生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_抗ヘリコバクター・ピロリ剤
出願番号:2009072162
年次:2010
IPC分類:A61K 31/353,A61K 36/18,A61K 36/47,A61K 36/71,A61K 36/09,A61P 31/04,A61P 1/04,A61K 31/35,C07D 311/04,C07D 311/60,C07D 493/06,C07D 493/04


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門脇 真 サイイヤド ファイサル ハイダル ザイヂ 杉山 敏郎 JP 2010043061 公開特許公報(A) 20100225 2009072162 20090324 抗ヘリコバクター・ピロリ剤 国立大学法人富山大学 305060567 門脇 真 サイイヤド ファイサル ハイダル ザイヂ 杉山 敏郎 JP 2008183409 20080715 A61K 31/353 20060101AFI20100129BHJP A61K 36/18 20060101ALI20100129BHJP A61K 36/47 20060101ALI20100129BHJP A61K 36/71 20060101ALI20100129BHJP A61K 36/09 20060101ALI20100129BHJP A61P 31/04 20060101ALI20100129BHJP A61P 1/04 20060101ALI20100129BHJP A61K 31/35 20060101ALI20100129BHJP C07D 311/04 20060101ALN20100129BHJP C07D 311/60 20060101ALN20100129BHJP C07D 493/06 20060101ALN20100129BHJP C07D 493/04 20060101ALN20100129BHJP JPA61K31/353A61K35/78 CA61K35/78 LA61K35/78 FA61K35/82A61P31/04A61P1/04A61K31/35C07D311/04C07D311/60C07D493/06C07D493/04 106C 5 OL 14 4C062 4C071 4C086 4C088 4C062EE49 4C062FF13 4C071AA01 4C071AA02 4C071AA07 4C071AA08 4C071BB01 4C071BB05 4C071BB06 4C071CC12 4C071EE07 4C071FF17 4C071GG01 4C071GG03 4C071HH05 4C071HH08 4C071JJ01 4C071LL01 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA08 4C086CA01 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA07 4C086NA14 4C086ZA68 4C086ZB35 4C088AA11 4C088AB12 4C088AB32 4C088AB46 4C088AC04 4C088AC07 4C088BA10 4C088CA06 4C088NA14 4C088ZA68 4C088ZB35本発明は、ヘリコバクター・ピロリ菌に殺菌作用を示す生薬・香辛料に関する。ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacterpylori、以下、ピロリ菌と称する)は、胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などと関連性の高い菌であり、世界保健機関(WHO)ではピロリ菌を「確実な発がん因子」と規定している。その感染者は世界人口の約40-50%に達するものと考えられている。一方、抗ヘリコバクター・ピロリ作用を有する生薬・香辛料、それらの抽出物に対し、数多くの探索が為され、特許が出願されている。それらの中で、以下のものが知られている。(1)クスノハガシワ/カマラ/ロットレリン琉球以南の熱帯に生息するクスノハガシワ(Mallotus philippensis)の果皮表面のカマラ(kamala)と呼ばれる腺毛には、数種のフロログルシノール誘導体が存することが知られている。具体的には、クスノハガシワの果皮の赤い腺毛は、古来、サナダムシ駆除に用い、フロログルシノール誘導体であるロットレリンを含んでいる。特開2003-342190(特許文献1)には、クスノハガシワなどから成る群より選ばれる植物体、又はそれより得られる搾汁若しくは水抽出物若しくは有機溶媒抽出物のうち、少なくとも1種を含有する、抗ヘリコバクター・ピロリ用組成物が記載されている。該公報の実施例には、クスノハガシワの枝葉のエタノール抽出物に関して、ピロリ菌に対する作用の記述があるものの、カマラおよびロットレリンの抗ヘリコバクター・ピロリ活性の記載はない。(2)ニクズク/ナツメグ/メースニクズク科の常緑樹のニクズク(Myristicafragrans HOUTTUYN)の果実から作られるものに、ナツメグとメースがある。果実の中には、鮮やかな赤い網目状の仮種皮に包まれた黒褐色の殻が入っている。この仮種皮がメースで、仮種皮をはがして殻を割った中にある種子がナツメグである。特開平07-196522(特許文献2)には、ニクズクなどから選ばれる一種または複数の生薬を含有することを特徴とする抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤が記載されている。該公報の実施例において、ニクズクなど各種生薬のエタノール抽出物に関し、ピロリ菌に対する作用の記述があるものの、メースの抗ヘリコバクター・ピロリ活性の記載はない。(3)ニゲラ/黒種草/ブラッククミンキンポウゲ科(Ranunculaceae) クロタネソウ属(Nigela L.)植物であるセイヨウクロタネソウ( Nigella sativa L.) は、アジア南西部、地中海沿岸部およびヨーロッパ中部を原産とする双子葉植物であり、別名ブラッククミン、黒種草と呼ばれている。その種子であるニゲラシードは、エジプトやトルコでなどでは一般的な食品として使われている以外に、古代エジプト時代より種々の疾患(風邪、喘息、結膜炎、小児麻痺など)に有効な民間薬として伝承されている。また、セイヨウクロタネソウについての化学、薬理学の両面からの研究は数多くなされてきており、含有成分として精油、脂肪酸、ステロール、テルペノイド、サポニン、フラボノール配糖体、アルカロイドなどが単離され、エキスレベルでは抗腫瘍、気管支拡張、降圧、抗菌、抗真菌作用を有することが報告されている(非特許文献1)。しかし、抗ヘリコバクター・ピロリ活性は知られていない。(4)ウメノキゴケ特開平05-246876(特許文献3)には、ウメノキゴケを含む地衣植物の培養物から抽出される成分のグラム陽性菌に対する抗菌剤が記載されている。しかし、抗ヘリコバクター・ピロリ活性は知られていない。一方、後述する胃潰瘍診療ガイドラインでは、除菌に抗菌剤2剤(アモキシシリン、クラリスロマイシン)と胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬1剤(ランソプラゾール、オメプラゾール)の3剤併用療法が推奨されている。しかし、3剤併用療法に使用されるクラリスロマシン耐性ピロリ菌の増加が問題となっており、クラリスロマシン耐性ピロリ菌に有効な生薬やその成分に関する研究がなされている(特許文献4、5)。特開2003-342190特開平07-196522特開平05-246876特開2006-124296特開2007-217384Phytother.Res., 17, 299-305(2003)ピロリ菌により胃に慢性の炎症が惹起され、慢性萎縮性胃炎となり、胃がんの発生母地になるとされており、厚生労働省の研究班による胃潰瘍診療ガイドラインにおいては、胃潰瘍の治療では基本的にピロリ菌の除菌治療を優先して行うことが決められている。日本人は40歳以上で約7割の人がピロリ菌に感染しており、しかも世界的に見ても胃がんの発症が多く、日本人にとってはピロリ菌を胃内から排除することが重要な問題となっている。胃潰瘍診療ガイドラインによる除菌療法では、約50%に軟便、下痢などの消化器症状や味覚異常などの何らかの副作用が認められている。さらに大きな問題は最近、抗生物質で死なない耐性菌が増え、患者の半数程度しか除菌できないことがわかってきた。除菌治療が適切でないと、さらに耐性菌が増える恐れもある。南アジアのパキスタンなどでは、衛生状態を反映してピロリ菌の感染率は100%近いが、胃がんの罹患率は日本よりもはるかに低い。この理由として、ピロリ菌の構造物や産生物質などの細菌側病原因子の違い、感染に伴い宿主胃上皮細胞や免疫担当細胞が産生する宿主側病原因子の人種による違いなども考えられるが、発明者らは、生活習慣の違い、特に食生活の違い、さらに日常用いられている伝統薬に着目した。そこで、南アジア地域で毎日摂取されている香辛料やパキスタンの伝統薬にピロリ菌に対する抗菌活性があるために、完全に除菌されなくても、ピロリ菌の活性を阻害し、菌による慢性炎症を抑制し、癌化を防いでいるのではないかと考え、パキスタンの各種香辛料や伝統薬のピロリ菌に対する抗菌作用を検討した。その結果、クスノハガシワ(Mallotusphilippensis)の果皮表面のカマラ(kamala)、ニクズク(Myristica fragrans HOUTTUYN)の果実から作られるメース、セイヨウクロタネソウ( Nigella sativa L.) の種子(ニゲラシード)およびウメノキゴケの含水エタノール抽出物に抗ヘリコバクター・ピロリ活性があること、さらに抽出物の成分の中にアモキシシリンより強い抗菌作用を示す化合物のあること、また、その中の化合物が耐性ピロリ菌にも有効であることを見出し、本発明を完成した。以下、詳細に本発明を説明する。本発明に使用されるカマラ、メース、ニゲラシード、ウメノキゴケは、以下のものである。<カマラ>クスノハガシワ(Mallotusphilippensis)の果皮表面のカマラ(kamala)と呼ばれる腺毛であれば、その原料であるクスノハガシワの産地等は、特に限定されない。<メース>ニクズク(Myristicafragrans HOUTTUYN)のメースと呼ばれる仮種皮であれば、その原料であるニクズクの産地等は特に限定されない。<ニゲラシード>セイヨウクロタネソウ( Nigella sativa L.)、別名、ブラッククミン、黒種草の種で、ニゲラシードと呼ばれるものであれば、その原料であるセイヨウクロタネソウの産地等は特に限定されない。<ウメノキゴケ>地衣類のウメノキゴケ科のウメノキゴケであれば限定されないが、Parmelia perlata Eschhaと称されるウメノキゴケの一種が好ましい。本発明において、上記、カマラ、メース、ニゲラシード、ウメノキゴケは、そのもの自体または粉砕物を抽出材料として使用すればよい。本発明の抽出物を得るのに用いられるアルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコール類が挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールもしくはこれらの混液または水を含有するこれらの含水アルコールが挙げられる。好ましいものとして、60容量%程度までの水を含有する含水アルコールが挙げられる。さらに好ましいものとして、アルコール濃度40〜95体積%の含水エタノール、特にアルコール濃度60〜80%(W/W)の含水エタノールが挙げられる。これらの抽出溶媒は、抽出材料に対して、1〜50倍(容量)、好ましくは2〜10倍(容量)用いればよい。抽出温度は、室温〜溶媒の沸点の間で任意に設定でき、振盪下もしくは非振盪下または還流下に、上記の抽出材料を上記の抽出溶媒に浸漬することによって行えばよい。抽出材料を振盪下または非振盪下に浸漬する場合には、1時間〜72時間、好ましくは、好ましくは24〜48時間程度行えばよい。また、非振盪下に浸漬する場合、超音波照射下に行うことが好ましい。また、抽出溶媒の還流下に抽出するときは、30分〜数時間加熱還流するのが好ましい。抽出操作は、同一材料について、複数回、例えば、2〜5回程度繰り返すのが好ましい。抽出混合物から固形物を除去して得られる抽出液は、常法により濃縮して抽出エキスとしてもよい。濃縮は、低温で減圧下に行うのが好ましく、抽出液が乾固するまで行ってもよい。抽出エキスは、そのまま本発明の組成物を調製するのに用いてもよいが、粉末状または凍結乾燥品等として用いてもよい。これらの固形物とする方法は、当該分野で公知の方法を採用することができる。抽出液は、濃縮する前後に精製処理に付してもよい。精製処理は、クロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法、溶媒による分配抽出などを単独または組み合わせて行えばよい。例えば、クロマトグラフ法としては、順相もしくは逆相担体またはイオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーまたは遠心液体クロマトグラフィーなどのいずれか、またはそれらを組み合わせて行う方法が挙げられる。この際の担体、溶出溶媒などの精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することができる。カマラのエタノール抽出液をカラムクロマトグラフィーを用いて精製処理得られる化合物の内、抗ヘリコバクター活性を示す化合物として、ロットレリン、1-(5,7-dihydroxy-2,2,6-trimethyl-2H-1-benzopyran-8-yl)-3-phenyl-2-Propen-1-one(red compound)が挙げられる。本発明は、ロットレリンを含む次の一般式[1]「式中、R1およびR2は、同一または異なって置換されていてもよいアルキル基、R3は、水素原子またはヒドロキシル基、nは1〜5の整数を、それぞれ意味する」で表される1−(5,7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−8−イル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン誘導体を含有する抗ヘリコバクター・ピロリ剤を包含するものである。R1およびR2のアルキル基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルおよびヘキシル基などの炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状の低級アルキル基が挙げられる。R1のアルキルの置換基として、メチル基、ヒドロキシル基、アセチル基などの基で置換されたフェニル基、メチル基などで置換された炭素数2〜10のアルカジエン基またはアルケニル基が挙げられる。R2のアルキルの置換基として、メチル基などで置換された炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。以下に、一般式[1]の具体的な化合物を例示する。・1-[6-[(3-Acetyl-2,4,6-trihydroxy-5-methylphenyl)methyl]-5,7-dihydroxy-2,2-dimethyl-2H-1-benzopyran-8-yl]-3-phenyl-2-propen-1-one (Rottlerin)・1-[6-[(3-Acetyl-2,4,6-trihydroxy-5-methylphenyl)methyl]-5,7-dihydroxy-2,2-dimethyl-2H-1-benzopyran-8-yl]-3-(4-hydroxyphenyl)-2-propen-1-one・1-[6-[(3-Acetyl-2,4,6-trihydroxy-5-methylphenyl)methyl]-5,7-dihydroxy-2,2-dimethyl-2H-1-benzopyran-8-yl]-3-(3,4-dihydroxyphenyl)-2-propen-1-one・1-(5,7-Dihydroxy-2,2,6-trimethyl-2H-1-benzopyran-8-yl)-3-phenyl-2-propen- 1-one・1-[5,7-Dihydroxy-2,2-dimethyl-6-(3-methyl-2-buten-1-yl)-2H-1-benzopyran- 8-yl]-3-(4-hydroxyphenyl)-2-propen-1-one・1-[6-(3,7-Dimethyl-2,6-octadien-1-yl)-5,7-dihydroxy-2,2-dimethyl-2H-1-benzopyran-8-yl]-3-(4-hydroxyphenyl)-2-Propen-1-one (Mallotophilippen C)・1-[6-(3,7-Dimethyl-2,6-octadien-1-yl)-5,7-dihydroxy-2,2-dimethyl-2H-1-benzopyran-8-yl]-3-(3,4-dihydroxyphenyl)-2-propen-1-one (Mallotophilippen D)・3-(3,4-Dihydroxyphenyl)-1-[6-(3,7-dimethyl-2,6-octadien-1-yl)-5,7-dihydroxy-2,2-dimethyl-2H-1-benzopyran-8-yl]-2-propen-1-one ・1-[2-Methyl-2-(4-methyl-3-pentenyl)-5,7-dihydroxy-6-(3-methyl-2-butenyl)-2H-1-benzopyran-8-yl]-3-(3,4-dihydroxyphenyl)-2-propen-1-one (MallotophilippenE)一般式[1]の化合物を製造するには、例えば、再表2005/087871に記載方法で、カマラを含むクスノハガシワ植物体から抽出・精製するか、または公知の合成方法で製造することができる。公知の製造方法としては、例えば、J. Org.Chem., 2008, 73(11), 4313-4316に記載の方法などが挙げられる。本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ剤は医薬品および食品として使用することができる。医薬品とする場合は、賦形剤、補助剤、添加剤などと組み合わせ、各種の医薬製剤、例えば、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、エキス剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル剤とすることができる。食品とする場合は、そのまま、または種々の栄養成分を加えて、顆粒状、粒状、ペーストななどの形態に加工するか、種々の食品に添加すればよい。クスノハガシワの果皮腺毛(カマラ)、ニクズクの仮種皮(メース)、セイヨウクロタネソウの種子(ニゲラシード)およびウメノキゴケの含水エタノール抽出物およびロットレリンを含む、1−(5,7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−8−イル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン誘導体は、ピロリ菌に対し抗菌作用を有し、抗ヘリコバクター・ピロリ剤として有用である。さらに、ロットレリンは、除菌療法に使用される抗菌薬に耐性なピロリ菌、具体的には、クラリスロマシン耐性ピロリ菌、メトロニダゾール耐性ピロリ菌などに対しても有効である。以下、本発明の製造例をカマラで、また抗ヘリコバクター・ピロリ作用について試験例を説明するが、本発明はこれに限定されない。 製造例1カマラ1.5kgに70%エタノール3Lを加え、室温で24時間、3回超音波抽出を行った。フィルターでろ過した後、減圧乾固し、さらに凍結乾燥して抽出物120gを得た。製造例2乾燥した抽出物55gをシリカゲルのカラムクロマトグラフィにかけ、10%酢酸エチル/ヘキサン溶出物(分画1;2g)、20%酢酸エチル/ヘキサン溶出物(分画2; 5g)、 30%酢酸エチル/ヘキサン溶出物(分画3; 8g)、 50%酢酸エチル/ヘキサン溶出物(分画4; 15g)、 80%酢酸エチル/ヘキサン溶出物(分画5; 12g) 、30%メタノール/酢酸エチル溶出物(分画6; 5g)を得た。分画2の500mgのヘキサン不溶解分画を、ジクロロメタンを用いた順相薄層クロマトグラフィで精製し、化合物1(30mg)を得た。分画2の500mgのヘキサン溶解分画を逆相クロマトグラフィにかけ、アセトニトリル/アセトン/水(1:1:0.5)系で20画分に分離した。13番目のフラクション(40mg)を5%アセトン−ヘキサンを用いた順相薄層クロマトグラフィで精製し、化合物2(10.2mg)を得た。分画3をヘキサンで結晶化して精製し、化合物3(3.0g)を得た。分画4の2gを100%ジクロロメタンでシリカゲル・カラムクロマトグラフィにかけ、メタノール/ジクロロメタンで5画分に分離し、分画4-1(200mg)、分画4-2(100mg)、 分画4-3(1g)、分画4-4(150mg)、分画4-5(300mg)を得た。分画4-3(1g)を逆相クロマトグラフィにかけ、アセトニトリル/アセトン/水(1:1:0.5)系で10画分に分離した。その5番目のフラクション(100mg)を逆相シリカゲル薄層クロマトグラフィにかけ、アセトニトリル/アセトン/水(1:1:1.5)系で精製し、化合物4(75mg)を得た。7番目のフラクションは8%アセトン/クロロホルムを用いた順相薄層クロマトグラフィで精製し、 化合物5(200mg)を得た。分画5(5g)をメタノールで洗浄した後、不溶画分を逆相薄層クロマトグラフィにかけ、アセトニトリル/アセトン/水(1:1:0.5)系で精製し、化合物5(1g)を得た。各化合物の物性値(NMR,マスペクトリーなど)から、各化合物を同定した。以下に各化合物の名称と化学構造を示す。・化合物1 5,7‐ジヒドロキシ‐8‐メチル‐6‐プレニルフラバノン(5,7-dihydroxy-8-methyl-6-prenylflavanone)・化合物23’‐プレニルルブラニン(3'-prenylrubranine)・化合物31-(5,7-Dihydroxy-2,2,6-trimethyl-2H-1-benzopyran-8-yl)-3-phenyl-2-propen-1-one(red compound)・化合物4イソロットレリン(isorottlerin)・化合物5 ロットレリン(rottlerin)物性値暗赤色粉末1H NMR (CDCl3,400 MHz)δ1.53 (6H, s, -O-C-(CH3)2), 2.08 (3H, s, CH3-Ar),2.70 (3H, s, -CO-(CH3), 3.80 (2H, s, Ar-CH2-Ar),5.47 (1H, d, J = 10 Hz, Ar-CH=CH-), 6.65 (1H, d, J = 10 Hz, Ar-CH=CH-), 7.41-7.61(5H, m, -C6H6), 7.82 (1H, d, J = 16 Hz, -CO-CH=CH-C6H6),8.18 (1H, d, J = 16 Hz, -CO-CH=CH-C6H6). EI-MS m/z: 515.9[M+] (Cald for C30H28O8: 516.1). Otherimportant peaks at m/z 500.8 (25%), 427.9 (20%), 334.9 (15%), 321.9 (35%),306.9 (70%), 166.9 (100%).試験例1本発明の抽出物の抗菌活性を調べるために、標準ヘリコバクター・ピロリ菌株ATCC43504に対するMBC測定(最小殺菌濃度)を測定した。MBCは寒天平板法で測定した。ヘリコバクター・ピロリ菌はブルセラ・ブロス(Becton Dickinson社製)培地10mLに植菌して、37℃で1-2日間恒温振盪機にて培養し、維持した。振盪培養したヘリコバクター・ピロリ菌液の吸光度を、分光光度計で測定し、およそ0.1となるように希釈した(ヘリコバクター・ピロリ菌108個/mL)。これの0.1mLを抽出物の溶液0.9mLに加え、60分間混合した。抽出物の溶液は、50μg/mLから順次50%希釈した。そして、混合液の0.1mLをcommercial selective Pylori agar plates (極東,東京)にて培養した。寒天上にコロニーを作らない最も低い抽出物等の濃度をMBCとした。対照薬としてはアモキシシリンを用いた。その結果を表1に示す。試験例2化合物1〜5について試験例1と同様にして抗ヘリコバクター・ピロリ活性を調べた。その結果を表2に示す。試験例3(1)クラリスロマイシンとメトロニダゾールのヘリコバクター・ピロリ菌に対する抗菌薬感受性試験において、最小発育阻止濃度(MIC)で評価するため、Eテスト法を用いた。Eテスト法は、5%羊血液を含むミューラー・ヒントン寒天培地を用いて、微好気性の条件下で37℃で72時間の混和して行った。MICは、薬剤を濃度勾配性に塗布した小短冊状のストリップを、菌を塗布した寒天培地に置き、形成された阻止円帯とストリップが交差する位置に記載されている数値から判定した。クラリスロマイシンとメトロニダゾールのMICがそれぞれ、1mg/L 以上あるいは8mg/L以上である場合、クラリスロマイシン耐性菌あるいはメトロニダゾール耐性菌とした。(2)Eテスト法で求めたMICでクラリスロマイシン耐性菌(CR)あるいはメトロニダゾール耐性菌(MR)であると判定した菌株を用いて、クラリスロマイシンとメトロニダゾールの最小殺菌濃度(MBC)を求めた(表3)。クラリスロマイシンに感受性のある標準菌株であるATCC 43504ではクラリスロマイシンのMBC は6.25mg/Lであり、CRではクラリスロマイシンのMBC は100mg/L以上であった。従って、CRでカマラ抽出物、化合物3及び化合物5のMBCが、それぞれ15.6〜31.2mg/L、25〜100mg/L、3.12〜6.25mg/Lであるということは、CRでカマラ抽出物、化合物3及び化合物5のCRでの抗H.ピロリ活性は、強いということを明らかに示している(表4)。メトロニダゾールに関しては、メトロニダゾールに感受性のある日本人から分離した菌株(392A)を用い、Eテスト法でメトロニダゾールのMICは0.5mg/Lであり、MBCは500mg/Lであった。メトロニダゾール耐性の標準株ATCC 43504でのメトロニダゾールのMBCは2000mg/L以上であった。従って、MRでカマラ抽出物、化合物3及び化合物5のMBCが、それぞれ15.6〜31.2mg/L、25〜100mg/L、3.12〜6.25mg/Lであるということは、カマラ抽出物、化合物3及び化合物5のMRでの抗H.ピロリ活性は、強いということを明らかに示している(表5)。クスノハガシワの果皮腺毛(カマラ)、ニクズクの仮種皮(メース)、セイヨウクロタネソウの種子(ニゲラシード)およびウメノキゴケの含水エタノール抽出物およびロットレリンは、抗ヘリコバクター・ピロリ剤として有用である。また、カマラの含水エタノール抽出物およびカマラなどに含まれるロットレリンなどの1−(5,7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−8−イル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン誘導体は、クラリスロマシン、メトロニダゾールなどに耐性のピロリ菌にも有効であり、これらを成分または添加することで、抗菌力を高めた医薬品、食品、飲料を開発することができる。クスノハガシワの果皮腺毛(カマラ)、ニクズクの仮種皮(メース)、セイヨウクロタネソウの種子(ニゲラシード)またはウメノキゴケのアルコール抽出物から選ばれる抗ヘリコバクター・ピロリ剤。クスノハガシワの果皮腺毛(カマラ)のアルコール抽出物である請求項1記載の抗ヘリコバクター・ピロリ剤。アルコール抽出物中の抗ヘリコバクター・ピロリ活性を示す化合物がロットレリンである請求項2記載の抗ヘリコバクター・ピロリ剤。一般式「式中、R1およびR2は、同一または異なって置換されていてもよいアルキル基、R3は、水素原子またはヒドロキシル基、nは1〜5の整数を、それぞれ意味する」で表される1−(5,7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−8−イル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン誘導体を含有する抗ヘリコバクター・ピロリ剤。1−(5,7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−8−イル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン誘導体のR1が、アルケニル基または置換されたフェニル基で置換されたアルキル基、R2が、アルケニル基で置換されていてもよいアルキル基である請求4記載の抗ヘリコバクター・ピロリ剤。 【課題】ヘリコバクター・ピロリ菌に抗菌作用を示す生薬・香辛料を見出すことを目的とする。【解決手段】カマラ(クスノハガシワの果皮腺毛)、メース(ニクズクの仮種皮)、ニゲラシード(セイヨウクロタネソウの種子)およびウメノキゴケ(地衣類)の含水エタノール抽出物はヘリコバクター・ピロリに抗菌作用を示し、抗ヘリコバクター・ピロリ剤として有用である。また、カマラの含水エタノール抽出物およびカマラなどに含まれるロットレリンなどの1−(5,7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−8−イル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン誘導体は、クラリスロマシン、メトロニダゾールなどに耐性のピロリ菌にも有効である。【選択図】なし


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