生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_カルバメート化合物又はその塩
出願番号:2009068902
年次:2012
IPC分類:C07D 401/12,C07D 409/12,C07D 405/12,C07D 417/12,A61K 31/496,A61P 13/10,A61P 13/00,A61P 25/20,A61P 7/12,A61P 13/08,C07D 413/12,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

石井 孝拓 菅根 隆史 宗像 亮介 青木 敏 檜垣 雅英 染谷 晃好 JP WO2010053120 20100514 JP2009068902 20091105 カルバメート化合物又はその塩 アステラス製薬株式会社 000006677 森田 拓 100098501 矢野 恵美子 100109357 鈴木 ▲頼▼子 100117846 濱井 康丞 100137464 石井 孝拓 菅根 隆史 宗像 亮介 青木 敏 檜垣 雅英 染谷 晃好 JP 2008285466 20081106 C07D 401/12 20060101AFI20120309BHJP C07D 409/12 20060101ALI20120309BHJP C07D 405/12 20060101ALI20120309BHJP C07D 417/12 20060101ALI20120309BHJP A61K 31/496 20060101ALI20120309BHJP A61P 13/10 20060101ALI20120309BHJP A61P 13/00 20060101ALI20120309BHJP A61P 25/20 20060101ALI20120309BHJP A61P 7/12 20060101ALI20120309BHJP A61P 13/08 20060101ALI20120309BHJP C07D 413/12 20060101ALI20120309BHJP A61P 43/00 20060101ALI20120309BHJP JPC07D401/12C07D409/12C07D405/12C07D417/12A61K31/496A61P13/10A61P13/00A61P25/20A61P7/12A61P13/08C07D413/12A61P43/00 111 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20120405 2010536783 38 4C063 4C086 4C063AA01 4C063BB07 4C063CC12 4C063CC26 4C063CC52 4C063CC62 4C063CC76 4C063CC94 4C063DD06 4C063DD12 4C063EE01 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086BC50 4C086BC70 4C086BC84 4C086GA02 4C086GA04 4C086GA07 4C086GA08 4C086GA09 4C086GA10 4C086GA12 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA81 4C086ZA84 4C086ZC20 4C086ZC42 本発明は医薬組成物、殊にFAAHが関与する疾患の治療用医薬組成物の有効成分として有用なカルバメート化合物又はその塩に関する。 頻尿は、昼間頻尿と夜間頻尿に大別できる(日本排尿機能学会誌、第14巻、2003年)。昼間頻尿とは、日中の排尿回数が多すぎるという患者の愁訴であり、便宜的に昼間頻尿を回数で定めることがある(例えば8回以上)。それに対して、夜間頻尿とは、「夜間1回またはそれ以上排尿のために起きなければならない訴え」であり、新たに1つの疾患として定義された(International Continence Society:ICS、2002年)。夜間頻尿の発生には様々な要因が関与しているとされ、夜間多尿、夜間膀胱容量の低下(尿意覚醒閾値の低下)、睡眠障害などが主な因子として挙げられる。ここでの夜間多尿とは、夜間に作られる尿量が多くなることをいい、1日の排尿量に対して夜間排尿量が20(young)-33(elder)%を越える場合とされている(BJU International、第90巻、第18-20頁、2002年)。また、夜間頻尿と睡眠障害は双方向の関係にあり、夜間頻尿の結果、二次的に睡眠障害が発生する図式がある一方、睡眠障害のために二次的に夜間頻尿をもたらす図式が存在する(排尿障害プラクティス、第13巻、2005年)。いずれにせよ、睡眠が妨げられQOLの低下を招き、高齢者の場合では排尿の為夜起きた時に転倒による骨折の原因にもなる疾患である。 昼間頻尿と夜間頻尿は必ずしも合併しておらず、夜間頻尿の患者の中には、昼間は正常である人も多い。これは、昼間頻尿と夜間頻尿の原因が異なることに起因するが、夜間頻尿の発生原因は夜間多尿、夜間膀胱容量の低下、睡眠障害など多様であることから、頻尿治療における第一選択薬である抗コリン薬は、昼間頻尿患者には効果を示すが、夜間頻尿患者においては効果が不十分である(Int Urogynecol J、第18巻、第737-741頁、2007年)。 以上のことから、夜間頻尿に対する新規機序の薬剤への期待は大きい。 脂肪酸アミド加水分解酵素(Fatty acid amide hydrolase;FAAH)は、エンドカンナビノイドを加水分解することで、その活性を消失させることが知られている(Prostaglandins Leukotrienes and Essential Fatty Acids、第66巻、第143-160頁、2002年;British Journal of Pharmacology、第141巻、第253-262頁、2004年;Nature、第384巻、第83-87頁、1996年;Biochemical Pharmacology、第62巻、第517-526頁、2001年)。エンドカンナビノイド(endocannabinoid)とは、カンナビノイド受容体に作用して生理作用を発揮する生体内物質の総称である。代表的なエンドカンナビノイドとしてアナンダミド、パルミトイルエタノールアミド、オレアミド、2-アラキドン酸グリセロールがあり、FAAHによって加水分解を受け活性が消失することが知られている。また、大麻(マリファナ)の活性成分であると考えられているΔ9-テトラヒドロカンナビノールは、カンナビノイド受容体を活性化することが知られている(Current Medicinal Chemistry、第6巻、第635-664頁、1999年)。 哺乳動物にはこれまで2種類のカンナビノイド受容体CB1、CB2が知られている。CB1は中枢及び末梢神経系に発現しており、その活性化により精神作用及び鎮痛作用等が惹起される。CB2は免疫系組織に発現し、その活性化により抗炎症作用及び鎮痛(炎症性)作用等が惹起される。 一方、ラット膀胱炎モデルにおいて、カンナビノイド受容体作動薬は膀胱容量及び排尿閾値を増大させること(The Journal of Neuroscience、第22巻、第7147-7153頁、2002年;Pain、第76巻、第189-199頁、1998年)、FAAHの基質の一つであるアナンダミドは睡眠惹起物質であることが知られていること(Brain Research、第812巻、第270-274頁、1998年)、及びカンナビノイド受容体作動薬を動物に投与した場合に観察される幻覚、妄想、頻脈、起立性低血圧等の副作用が、FAAH阻害剤を投与した場合には観察されないこと(Nature Medicine、第9巻、第76-81頁、2003年)から、FAAH阻害剤は副作用や常用性の懸念が少ない新規な夜間頻尿治療剤として期待される。 FAAH阻害活性を有する化合物としては、例えば以下の化合物が知られている。 特許文献1には、FAAH阻害活性を有し、神経因性疼痛等の治療に有用な化合物として下記式(A)で示される化合物が開示されている。(式中、Bは置換されていてもよい種々の環基等を、Aは置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェニルアルキル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ナフチル、インドリル、フルオレニル、カルバゾリルをそれぞれ意味する。詳細は当該公報を参照)。 また、特許文献2には、FAAH阻害活性を有し、不安、疼痛等の治療に有用な化合物として下記式(B)で示される化合物が開示されている。(式中、Rは置換されていてもよい種々の環基等を、X及びQはそれぞれ同一又は互いに異なってO又はSをそれぞれ意味する。また、R1及びR2は、任意でこれらが結合するN原子と共に、置換又は非置換環を形成してもよい。詳細は当該公報を参照。) 更に、特許文献3には、FAAH阻害活性を有し、頻尿、尿失禁、過活動膀胱、疼痛等の治療に有用な化合物として下記式(C)で示される化合物が開示されている。(詳細は当該公報を参照) 更に、特許文献4には、FAAH阻害活性を有し、頻尿、尿失禁、過活動膀胱等の治療に有用な化合物として下記式(D)で示されるウレア化合物が開示されている。(詳細は当該公報を参照。) しかしながら、これらの文献で開示されている化合物は何れも式(I)の化合物と構造が異なる。国際公開パンフレットWO2003/065989号国際公開パンフレットWO2004/033422号国際公開パンフレットWO2006/088075号国際公開パンフレットWO2008/023720号 医薬組成物、特にFAAHが関与する疾患の治療用医薬組成物の有効成分として有用な化合物を提供する。 本発明者らは、FAAH阻害活性を有する化合物について鋭意検討した結果、式(I)の化合物が優れたFAAH阻害活性、並びに、それに基づく有効膀胱容量増大作用、睡眠障害改善作用、抗利尿作用、及び膀胱痛等の下部尿路痛に対する鎮痛作用を有することを知見して本発明を完成した。 即ち、本発明は以下に関する。[1] 式(I)の化合物又はその塩。(式中、Aは、NR4、S又はOであり、Bは、CR5又はNであり、R1は、R0、ハロゲン、−CO−O−低級アルキル又は−CO−N(R0)2であり、R2及びR3は、同一又は異なってR0、−O−R0、−O−ベンジル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル又は−CO−アリールであり、R4及びR5は、同一又は異なってR0であり、R0は、同一又は異なってH又は低級アルキルである。)[2] ピリジン-3-イル 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(5,6-ジクロロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(4,5-ジフルオロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(3-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(4-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(1-メチル-1H-インドール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-(1-ベンゾフラン-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(5-フルオロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(5-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(5,6-ジメチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、及びピリジン-3-イル 4-[(5-クロロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレートからなる群から選択される上記[1]に記載の化合物又はその塩。[3] 上記[1]に記載の化合物又はその塩、及び製薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物。[4] 上記[1]に記載の化合物又はその塩を含有する夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の治療用医薬組成物。[5] 夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の治療用医薬組成物の製造のための上記[1]に記載の化合物又はその塩の使用。[6] 夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の治療のための上記[1]に記載の化合物又はその塩の使用。[7] 上記[1]に記載の化合物又はその塩の有効量を患者に投与することからなる夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の治療方法。 なお、特に記載がない限り、本明細書中のある化学式中の記号が他の化学式においても用いられる場合、同一の記号は同一の意味を示す。 式(I)の化合物又はその塩は、優れたFAAH受容体阻害作用を有し、それに基づく有効膀胱容量増大作用、睡眠障害改善作用、抗利尿作用、及び膀胱痛等の下部尿路痛に対する鎮痛作用を有することから、FAAHが関与する疾患、特に夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の予防及び/又は治療剤として使用できる。 ここでFAAHが関与する疾患としては、上記の夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群及び慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の他に、不安、うつ、癲癇、脳障害(頭部外傷、脳虚血、痴呆等)、頻尿、尿失禁、過活動膀胱、疼痛、免疫疾患、炎症性疾患、嘔吐、摂食障害、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、高血圧、緑内障等が挙げられる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本明細書において、「低級アルキル」とは、直鎖又は分枝状の炭素数が1から6(以後、C1-6と略す)のアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等である。別の態様としては、C1-4アルキルであり、さらに別の態様としては、メチル又はエチルである。 「ハロゲン」は、F、Cl、Br、Iを意味する。 「ハロゲノ低級アルキル」とは、1個以上のハロゲンで置換された、C1-6アルキルである。別の態様としては、1〜5個のハロゲンで置換された低級アルキルであり、さらに別の態様としては、トリフルオロメチルである。 「アリール」とは、C6-14の単環〜三環式芳香族炭化水素環基であり、例えばフェニル、ナフチルであり、別の態様としてはフェニルである。 なお、−CO−N(R0)2におけるR0のように同一原子上に複数個の置換基を有する場合は、それらの置換基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。 本発明のある態様を以下に示す。(1)BがCR5であって、AがNR4又はOである化合物。別の態様としては、BがCR5であって、AがOである化合物。更に別の態様としては、BがNであって、AがNR4である化合物。(2)R4がHである化合物。別の態様としては、R4がメチルである化合物。(3)R5がHである化合物。別の態様としては、R5がメチルである化合物。(4)R1がH、ハロゲン又は低級アルキルである化合物。別の態様としては、R1がH、Cl又はメチルである化合物。更に別の態様としては、R1がH又はClである化合物。(5)R2及びR3が、同一又は異なってH、メチル、F、Cl、Br、トリフルオロメチル又はベンジロキシである化合物。別の態様としては、R2及びR3が、同一又は異なってH、メチル、F又はClである化合物。(6)上記(1)〜(5)に記載の基のうち二以上の組み合わせである化合物。 式(I)の化合物には、置換基の種類によって、互変異性体や幾何異性体が存在しうる。本明細書中、式(I)の化合物が異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明は、それ以外の異性体も包含し、異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。 また、式(I)の化合物には、不斉炭素原子や軸不斉を有する場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明は、式(I)の化合物の光学異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。 さらに、本発明は、式(I)で示される化合物の製薬学的に許容されるプロドラッグも包含する。製薬学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等に変換されうる基を有する化合物である。プロドラッグを形成する基としては、例えば、Prog. Med., 5, 2157-2161(1985)や、「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。 また、式(I)の化合物の塩とは、式(I)の化合物の製薬学的に許容される塩であり、置換基の種類によって、酸付加塩又は塩基との塩を形成する場合がある。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。 さらに、本発明は、式(I)の化合物及びその塩の各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形の物質も包含する。また、本発明は、種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物も包含する。(製造法) 式(I)の化合物及びその塩は、その基本構造あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料から中間体へ至る段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような保護基としては、例えば、ウッツ(P. G. M. Wuts)及びグリーン(T. W. Greene)著、「Greene's Protective Groups in Organic Synthesis(第4版、2006年)」に記載の保護基等を挙げることができ、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行なったあと、必要に応じて保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることができる。 また、式(I)の化合物のプロドラッグは、上記保護基と同様、原料から中間体へ至る段階で特定の基を導入、あるいは得られた式(I)の化合物を用いてさらに反応を行なうことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者に公知の方法を適用することにより行うことができる。 以下、式(I)の化合物の代表的な製造法を説明する。各製法は、当該説明に付した参考文献を参照して行うこともできる。なお、本発明の製造法は以下に示した例には限定されない。(第1製法) 式(I)の化合物は、化合物(1)と化合物(2)との反応により得ることができる。 この反応では、化合物(1)と化合物(2)とを等量若しくは一方を過剰量用い、これらの混合物を、縮合剤の存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下〜加熱下、好ましくは-20℃〜60℃において、通常0.1時間〜5日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン若しくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトニトリル又は水、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。縮合剤の例としては、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(WSC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、オキシ塩化リンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤(例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt))を用いることが反応に好ましい場合がある。トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン若しくはN-メチルモルホリン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機塩基の存在下で反応を行うことが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。 また、カルボン酸(1)を反応性誘導体へ変換した後にアミン(2)と反応させる方法も用いることができる。カルボン酸の反応性誘導体の例としては、オキシ塩化リン、塩化チオニル等のハロゲン化剤と反応して得られる酸ハロゲン化物、クロロギ酸イソブチル等と反応して得られる混合酸無水物、HOBt等と縮合して得られる活性エステル等が挙げられる。これらの反応性誘導体と化合物(2)との反応は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類等の反応に不活性な溶媒中、冷却下〜加熱下、好ましくは、-20℃〜60℃で行うことができる。[参考文献]S. R. Sandler及びW. Karo著、「Organic Functional Group Preparations」、第2版、第1巻、Academic Press Inc.、1991年日本化学会編「実験化学講座(第5版)」16巻(2005年)(丸善)(第2製法)(式中、Lは脱離基を示す。) 式(I)の化合物は、化合物(3)を炭酸エステル誘導体(4)へと変換後、アミン化合物(5)と反応させることにより得ることができる。 ここで、脱離基の例には、Cl、1-イミダゾリル、フェノキシ、4-ニトロフェノキシ基が挙げられる。 最初の工程は、反応に不活性な溶媒中、塩基の存在下、冷却下〜加熱下、好ましくは-20℃〜80℃で、化合物(3)を等量若しくは過剰量のカルボニル化試薬と通常0.1時間〜1日程度反応させることにより行われる。次の工程では、第一工程の反応を処理することなく、反応混合物に等量若しくは過剰量のアミン化合物(5)を加え、この混合物を、冷却下〜加熱下、好ましくは-20℃〜80℃で0.1時間〜1日程度反応させる。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定されないが、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、DME等のエーテル類、DMF、DMSO、EtOAc、アセトニトリル又はこれらの混合溶媒が挙げられる。カルボニル化試薬の例としては、ジホスゲン、トリホスゲン、CDI、クロロギ酸 4-ニトロフェニル、クロロギ酸フェニルが挙げられる。中間体である炭酸エステル誘導体(4)が安定である場合には、これを一旦単離した後に次の反応を行っても良い。[参考文献]S. R. Sandler及びW. Karo著、「Organic Functional Group Preparations」、第2版、第2巻、Academic Press Inc.、1991年(原料合成1)(式中、Pはアミノ基の保護基を示し、例えば、ベンジロキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル(Boc)である。) 化合物(2)は、化合物(3)と適当に保護されたピペラジン(5)を前述の第2製法に従って反応させ、次いでアミノ基の保護基を除去することによって製造することができる。(原料合成2)(式中、Rは低級アルキルを示し、好ましくはメチル又はエチルである。) 式(1)においてAがNHでかつBがNである化合物(1-a)は、化合物(7)と化合物(8)を酢酸中、室温〜加熱下で反応させることによりベンゾイミダゾール環を構築し、次いでベンゾイミダゾール2位のトリクロロメチル基を塩基性条件下、加水分解することによって製造することができる。[参考文献]Eur. J. Med. Chem.、第28巻、第71-75頁、1993年(原料合成3) 式(5)においてAがNHでかつBがNである化合物(5-a)は、化合物(1)と適当に保護されたピペラジン(6)を前述の第1製法に従って反応させ、次いでアミノ基の保護基を除去することによって製造することができる。 式(I)の化合物は、遊離化合物、その塩、水和物、溶媒和物、あるいは結晶多形の物質として単離され、精製される。式(I)の化合物の塩は、常法の造塩反応に付すことにより製造することもできる。 単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分画クロマトグラフィー等、通常の化学操作を適用して行なわれる。 各種の異性体は、適当な原料化合物を選択することにより製造でき、あるいは異性体間の物理化学的性質の差を利用して分離することができる。例えば、光学異性体は、ラセミ体の一般的な光学分割法(例えば、光学活性な塩基又は酸とのジアステレオマー塩に導く分別結晶化や、キラルカラム等を用いたクロマトグラフィー等)により得られ、また、適当な光学活性な原料化合物から製造することもできる。 式(I)の化合物の薬理活性は、以下の試験により確認した。試験例1:ヒト膀胱上皮癌由来細胞を用いたFAAH活性を阻害する物質のスクリーニング(1)FAAH活性を阻害する物質のスクリーニング ヒト膀胱上皮癌由来細胞株5637細胞(HTB-9;ATCC)を48ウェルの細胞培養プレートに1ウェルあたり1x105個、10%ウシ胎児血清(HyClone社)を含有するRPMI1640培地(Invitrogen社)を用いて播種した。37℃で12時間以上培養した後、細胞を1ウェルあたり400 μlの緩衝液(Hank's Balanced Salt Solution、20 mM Hepes-NaOH(pH 7.4))で洗浄した。基質液(3 μCi/ml放射標識アナンダミド(Anandamide [ethanolamine 1-3H])、10 μMアナンダミドを含む前記緩衝液)にDMSOに溶解した試験物質を0.003 nM〜30 nMになるように添加した。コントロールとしてDMSOのみを添加した。上記細胞に1ウェルあたり100 μlの基質液を加え、CO2インキュベーター内で、37℃で30分間インキュベートした。その後、細胞培養プレートを氷上に移し、基質液を吸引除去し、1ウェルあたり75 μlの氷冷した細胞溶解用の溶液(0.5% TritonX-100、10 μMのFAAH阻害活性を有する化合物cyclohexylcarbamic acid 3'-carbamoylbiphenyl-3-yl ester(URB597;Cayman chemical社;Kathuriaら、Nature Med.、第9巻、第76-81頁、2003年)を含む前記緩衝液)を加え攪拌した。得られた細胞溶解液をウェルごとに1.5 ml容のサンプルチューブに移し、150 μlのクロロホルムとメタノールの1:1(容量比)溶液を加え攪拌した。遠心分離(15000回転/分、2分間)すると、上層(水/メタノール層)に分解産物のエタノールアミン(ethanolamine 1-3H)が、下層(クロロホルム層)に未反応の放射標識アナンダミドが分離される。上層の25 μlを96ウェルの有機溶媒耐性白色マイクロプレート(PicoPlate-96;PerkinElmer社)に移し、150 μlのマイクロシンチ20(PerkinElmer社)を加えマイクロプレートシンチレーションカウンター(TopCountTM;Beckman社)にて測定した。コントロールと比較して測定値を減少させる物質を、FAAH活性を阻害する物質として選択した。(2)FAAH活性阻害物質のIC50値の測定 DMSOに10 mMになるように溶解した化合物を0.003 nM〜30 nMになるように、基質液に加え、上記に記載の方法でFAAH活性に及ぼす影響を調べた。ネガティブコントロールとしてDMSOを、ポジティブコントロールとして特許文献2に記載の化合物URB597を10 μMになるように基質液に添加し、ポジティブコントロールの測定値を0%、ネガティブコントロールの測定値を100%としてIC50値を求めた。試験例2:試験物質を投与したラットの組織破砕液を用いたFAAH活性を阻害する物質のスクリーニング(1)ラットへの投与、及び組織破砕液の調製 2匹の9週齢のWistar系雄性ラット(日本エスエルシー株式会社)に0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁した試験物質を1 mg/kgで経口投与した。コントロールとして2匹のラットには0.5% MC溶液を経口投与した。30分後に、エーテル麻酔下にて開腹し腹部大静脈より末梢血を採取後、断頭し右脳を採取した。 採取したラット脳に、2 mlの氷冷した緩衝液(50 mM Tris-HCl(pH 8.0)、1 mM EDTA、0.32 M Sucrose)を加え、氷中でホモジナイザーにより、均一な溶液になるまで摩砕した。さらに超音波発生機(UR-20P(Power dial 4);トミー精工社)により、5秒間、超音波破砕した。得られた破砕液の蛋白質濃度を色素結合法(プロテインアッセイCBB溶液;ナカライテスク社)により測定した。緩衝液(50 mM Tris-HCl(pH 8.0)、1 mM EDTA)を用いて、蛋白質の濃度が80 μg/mlになるようにラット脳破砕液を希釈し酵素液とした。 また、採取した末梢血に等量の生理食塩水を加え、希釈した。15 mlの遠心チューブにリンホセパールII(免疫生物研究所)を3 ml入れておき、その上に希釈末梢血3 mlを静かに添加した。遠心(2000回転/分、20℃、20分間)後、単核球層を採取し、生理食塩水で2回洗浄した。遠心後、得られた単核球に200 μlの氷冷した緩衝液(50 mM Tris-HCl(pH 8.0)、1 mM EDTA)を加え、超音波発生機(UR-20P(Power dial 4);トミー精工社)により、5秒間、超音波破砕した。得られた破砕液の蛋白質濃度を色素結合法(プロテインアッセイCBB溶液;ナカライテスク社)により測定した。緩衝液(50 mM Tris-HCl(pH 8.0)、1 mM EDTA)を用いて、蛋白質の濃度が400 μg/mlになるようにラット単核球破砕液を希釈し酵素液とした。(2)FAAHの活性の測定 50 μlの酵素液に50 μlの基質液(74 kBq/ml 放射標識アナンダミド(Anandamide [ethanolamine 1-3H])(室町化学)、50 mM Tris-HCl(pH 8.0)、1 mM EDTA)を加え室温にて60分間反応させた。クロロホルムとメタノールの1:1溶液(容量比)を200 μl加え攪拌し、遠心(15000回転/分、2分間)した。上層の30 μlを96ウェルの有機溶媒耐性白色マイクロプレート(PicoPlate-96;PerkinElmer社)に移し、150 μlのマイクロシンチ20(PerkinElmer社)を加え、マイクロプレートシンチレーションカウンター(TopCountTM;Beckman社)にて測定した。 試験物質を投与していないコントロールラットのFAAH活性を100%とし、組織破砕液を含まない緩衝液(50 mM Tris-HCl(pH 8.0)、1 mM EDTA)のFAAH活性を0%とし、試験物質を投与したラット組織破砕液のFAAH活性の相対値(%)を求めた。阻害率(%)は、100%から得られた相対値(%)を引いて算出した。 式(I)の幾つかの化合物について、上記試験例1の結果(IC50値)及び試験例2の結果(阻害率)を表に示す。なお、表中、Exは後記の実施例番号を、−は未評価であることをそれぞれ示す。試験例3:シクロフォスファミド(CPA)誘発頻尿ラットに対する化合物の作用 化合物の膀胱刺激症状改善作用を病態モデルを用いて検討した。シクロフォスファミド(CPA)は全身投与により代謝物であるアクロレインに変換され、尿中から膀胱粘膜を傷害することが知られている。ラットにおいては、CPA投与により出血性膀胱炎に伴う膀胱痛あるいは頻尿状態が誘発されるため、これら症状に対する薬効評価が可能である。実験には9週齢のWistar系雌性ラット(日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。CPA(100 mg/kg)を腹腔内投与し、その2日後に実験を行った。化合物を経口投与し15分後に、蒸留水(30 ml/kg)を強制的に経口投与した。ラットを代謝ケージに入れ、排尿重量を1時間連続的に測定した。総排尿量を総排尿回数で割ることにより、有効膀胱容量を算出した。その結果、溶媒である0.5% メチルセルロース投与群においては有効膀胱容量が減少し、頻尿状態が認められた。式(I)のある化合物の有効経口投与量は1 mg/kgであり、減少した有効膀胱容量を増加させ頻尿状態を改善した。試験例4:水負荷ラットに対する化合物の作用(抗利尿作用試験) 化合物の排尿量減少作用を水負荷ラットを用いて検討した。蒸留水を強制経口投与することによって、排尿量が増加するため、排尿量に対する薬効評価が可能である。実験には、9-11週齢のWistar系雄性ラット(日本エスエルシー株式会社)を用いた。化合物を経口投与し30分後に、蒸留水(30 ml/kg)を強制的に経口投与した。ラットを代謝ケージに入れ、排尿重量を6時間連続的に測定した。実施例18、20及び23の化合物は10 mg/kg以下で有効であり、溶媒である0.5% メチルセルロース投与群に比し排尿量を減少させた。試験例5:睡眠妨害状態ラットに対する化合物の作用(睡眠障害改善作用試験) 化合物の睡眠障害改善作用を脳波電極植え込みラットを用いて検討した。直径30 cm、高さ50 cmのアクリル円筒状ケージに、ケージの底から7 cmの場所に、2 cm間隔でグリッドを取り付け、その下に水を張った。ラットをこのグリッド上に置くことによって睡眠が妨害され覚醒時間が増加するため、睡眠妨害に対する薬効評価が可能である。実験には、10-12週齢のWistar系雄性ラット(日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。化合物を経口投与し、投与直後から自発脳波および筋電図を6時間連続的に測定した。式(I)のある化合物の有効経口投与量は3 mg/kgであり、溶媒である0.5% メチルセルロース投与群で増加した覚醒時間を減少させた。 上記試験の結果、式(I)の化合物は優れたFAAH阻害作用を有すること、更に有効膀胱容量増大作用及び睡眠障害改善作用を有するだけでなく、抗利尿作用も有することが確認された。従って、FAAHが関与する疾患、特に夜間頻尿の治療等に使用できる。 間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群及び慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群は、いずれも頻尿とともに膀胱痛を主症状の一つとする疾患である(Neurourology and Urodynamics、第21巻、第167-178頁、2002年;The Journal of Urology、第168巻、第593-598頁、2002年)。また、慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の患者の40-50%には精巣痛があることが知られている(The Journal of Urology、第168巻、第593-598頁、2002年;The Journal of Urology、第162巻、第369-375頁、1999年)。そこで更に以下の実験を行った。試験例6:膀胱痛モデルラットに対する化合物の作用 化合物の膀胱痛に対する鎮痛作用を病態モデルを用いて検討した。シクロフォスファミド(150 mg/kg)を腹腔内投与し、その2日後に非拘束条件下にて、膀胱内へ経尿道的に挿入したカニューレを介して生理食塩液を45 ml/hの流速で注入することにより膀胱を急速伸展させた。膀胱を急速に伸展させることによって、疼痛関連行動を伴った外腹斜筋筋電図スパイクの増幅が認められる。その時点の注入量を膀胱痛閾値と捉えることができるため、膀胱痛閾値に対する薬効評価が可能である。実験には7週齢のSD系雌性ラット(日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。シクロフォスファミド前処置したラットに化合物を経口投与し、その60分後における膀胱痛閾値を測定した。その結果、溶媒である0.5% メチルセルロース投与群においては膀胱痛閾値が減少し、膀胱痛が惹起されていることが認められた。式(I)のある化合物の有効経口投与量は3 mg/kgであり、減少した膀胱痛閾値を増加させ、膀胱痛に対して鎮痛作用を示した。試験例7:精巣痛モデルラットに対する化合物の作用 化合物の精巣痛に対する鎮痛作用を病態モデルを用いて検討した。ラット左右精巣に1%酢酸を1 ml/kgずつ投与すると、精巣痛に伴う疼痛行動が観察されるため、この疼痛行動に対する薬効評価が可能である。実験には、3-4週齢のWistar系雄性ラット(日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。化合物を経口投与後55分に酢酸を精巣内投与して、直径30 cm、高さ50 cmのアクリル円筒状ケージにラットを移し、酢酸投与後5分から15分間の疼痛行動の回数を測定した。式(I)のある化合物の有効経口投与量は1 mg/kgであり、溶媒である0.5% メチルセルロース投与群に比し有意に疼痛行動を減少させ、精巣痛に対して鎮痛作用を示した。 上記試験例3、試験例6及び試験例7の結果より、式(I)の化合物は頻尿モデルにおいて有効膀胱容量を増大させること、並びに、膀胱痛モデル及び精巣痛モデルにおいて鎮痛作用を有することが確認された。従って、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群及び慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の治療等にも使用できる。 更に、式(I)の化合物の疼痛に対する効果を確認する目的で、神経因性疼痛モデルであるL5/L6脊髄神経結紮ラット(特許文献3参照)で評価を行った。その結果、式(I)のある化合物の疼痛に対する効果を確認できた。従って、式(I)の化合物は疼痛の治療等にも使用できる。 ここで疼痛とは、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛等の総称である。このうち神経因性疼痛は、末梢又は中枢神経機能異常による疼痛を意味し、糖尿病性神経障害に伴う疼痛、癌性疼痛、三叉神経痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、又は視床痛等を包含する。また、炎症性疼痛の例としては、変形性関節炎に伴う疼痛が挙げられるが、これに限定されない。式(I)の化合物は、特に神経因性疼痛に有効と考えられる。 式(I)の化合物又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている賦形剤、即ち、薬剤用賦形剤や薬剤用担体等を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。 投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。 経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、及び/又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等のような崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。 経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。 非経口投与のための注射剤は、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール又はオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、又はポリソルベート80(局方名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。 外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。 吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体又は半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば公知の賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、もしくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。 通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重当たり約0.001〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜30 mg/kg、更に好ましくは0.1〜10 mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2回〜4回に分けて投与する。静脈内投与される場合は、1日の投与量は、体重当たり約0.0001〜10 mg/kgが適当で、1日1回〜複数回に分けて投与する。また、経粘膜剤としては、体重当たり約0.001〜100 mg/kgを1日1回〜複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。 式(I)の化合物は、前述の式(I)の化合物が有効性を示すと考えられる疾患の種々の治療剤又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与、或いは別個に連続して、若しくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていてもよい。 以下、実施例に基づき、式(I)の化合物の製造法をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではない。また、原料化合物の製法を製造例に示す。また、式(I)の化合物の製造法は、以下に示される具体的実施例の製造法のみに限定されるものではなく、式(I)の化合物はこれらの製造法の組み合わせ、あるいは当業者に自明である方法によっても製造されうる。 また、実施例、製造例及び後記表中において、以下の略号を用いることがある。Pre:製造例番号、Ex:実施例番号、Cpd:化合物番号、Str:構造式、Syn:製法(前記の実施例/製造例のうち、同様にして製造された製造例番号又は実施例番号を示す。ここでPは製造例を示し、Eは実施例を示す。例えば、製造例6の化合物は製造例1の化合物と同様にして製造したことを示し、実施例3の化合物は実施例1の化合物と同様にして製造したことを示す。)、Dat:物理化学的データ(NMR1:DMSO-d6中の1H NMRにおけるδ(ppm)、FAB+:FAB-MS (陽イオン)、ESI+:ESI-MS (陽イオン))、mp:融点(括弧内は再結晶溶媒を示す)、Me:メチル、Et:エチル、Bn:ベンジル、Boc:tert-ブトキシカルボニル、iPr2O:ジイソプロピルエーテル、MeOH:メタノール、Hex:ヘキサン、EtOH:エタノール、TFA:トリフルオロ酢酸。製造例1 メチル2,2,2-トリクロロアセトイミデート(1.53g)の酢酸(10ml)溶液に、氷冷下、4-フルオロベンゼン-1,2-ジアミンの酢酸(10ml)溶液を加え、室温にて3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和し、EtOAcにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をiPr2O/EtOAc/MeOHにて再結晶し、ベージュ色粉末の5-フルオロ-2-(トリクロロメチル)-ベンゾイミダゾール(1.5g)を得た。1M水酸化ナトリウム水溶液(30ml)に、氷冷下、5-フルオロ-2-(トリクロロメチル)-ベンゾイミダゾール(500mg)を加え、1時間撹拌した。反応液に1M塩酸を加え、酸性にした。生成した固体を濾取し、減圧下乾燥して、ベージュ色粉末の5-フルオロ-ベンゾイミダゾール-2-カルボン酸(350mg)を得た。製造例2 tert-ブチル-ピペラジン-1-カルボキシレート(1.75g)、ベンゾイミダゾール-2-カルボン酸(1.69g)、HOBt(1.52g)、WSC(1.75g)及びDMF(35ml)の混合物を室温にて終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、EtOAcにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;Hex:EtOAc=2:1(V/V))にて精製し、白色粉末のtert-ブチル-4-(ベンゾイミダゾール-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(2.4g)を得た。製造例3 tert-ブチル-4-(ベンゾイミダゾール-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(2.4g)、EtOAc(48ml)及びMeOH(12ml)の混合物に、4M塩化水素/EtOAc溶液(9ml)を加え、室温にて5時間撹拌した。生成した固体を濾取した後、EtOAcにて洗浄し、減圧下乾燥して、白色粉末の2-(ピペラジン-1-イルカルボニル)-ベンゾイミダゾール塩酸塩(1.9g)を得た。製造例4 3-ヒドロキシピリジン(3.62g)のアセトニトリル(160ml)懸濁液にCDI(6.18g)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に、氷冷下、ベンジル-ピペラジン-1-カルボキシレート(8.00g)、4M塩化水素/ジオキサン溶液(18.2ml)及びアセトニトリル(100ml)の混合物を加え、室温にて終夜撹拌した。反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、EtOAcにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;Hex:EtOAc=1:1〜1:4(V/V))にて精製し、無色油状物を得た。得られた油状物を終夜放置し、生成した固体をiPr2Oで洗浄し、減圧下乾燥して、白色粉末のベンジル-ピリジン-3-イルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(10.5g)を得た。製造例5 ベンジル-ピリジン-3-イルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(6.0g)のEtOH(180ml)溶液に5%パラジウム炭素(1.87g)を加え、水素雰囲気下、4時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮した。得られた油状物を1M塩酸に溶解し、EtOAcにて洗浄した。水層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にてアルカリ性にし、クロロホルムにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮し、無色油状物を得た。得られた油状物をEtOAcに溶解し、4M塩化水素/EtOAc溶液(8.8ml)を加え、室温にて撹拌した。生成した固体を濾取し、減圧下乾燥して、白色粉末のピリジン-3-イルピペラジン-1-カルボキシレート塩酸塩(4.2g)を得た。 製造例1〜5の方法と同様にして、後記表に示す製造例6〜12の化合物を製造した。製造例化合物の構造、物理化学的データ及び製造法を表2及び3に示す。実施例1 ピリジン-3-イルピペラジン-1-カルボキシレート塩酸塩(250mg)、ベンゾイミダゾール-2-カルボン酸(176mg)、HOBt(144mg)、WSC(166mg)及びDMF(5ml)の混合物にトリエチルアミン(0.25ml)を加え、室温にて終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、EtOAcにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;Hex:EtOAc=1:2(V/V))にて精製した後、Hex/EtOAcより固化し、得られた固体を減圧下乾燥して、白色粉末のピリジン-3-イル-4-(ベンゾイミダゾール-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(245mg)を得た。実施例2 5-ヒドロキシニコチン酸メチル(113mg)のDMSO(10ml)溶液にCDI(120mg)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に、氷冷下、2-(ピペラジン-1-イルカルボニル)-ベンゾイミダゾール塩酸塩(180mg)及びTFA(0.07ml)を加え、室温にて終夜撹拌した。反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、EtOAcにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;Hex:EtOAc=1:2(V/V))にて精製し、白色粉末の5-(メトキシカルボニル)ピリジン-3-イル-4-(ベンゾイミダゾール-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(105mg)を得た。 実施例1及び2の方法と同様にして、後記表に示す実施例3〜27の化合物を製造した。実施例化合物の構造、物理化学的データ及び製造法を表4〜7に示す。また、いくつかの実施例化合物のNMRデータ及びmpを表8及び9にに示す。 また、表10〜16に、式(I)の化合物の別の化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や実施例に記載の方法、及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより、容易に製造することができる。 式(I)の化合物又はその塩は、優れたFAAH受容体阻害作用を有し、それに基づく有効膀胱容量増大作用、睡眠障害改善作用、抗利尿作用、及び膀胱痛等の下部尿路痛に対する鎮痛作用を有することから、FAAHが関与する疾患、特に夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の予防及び/又は治療剤として使用できる。式(I)の化合物又はその塩。(式中、Aは、NR4、S又はOであり、Bは、CR5又はNであり、R1は、R0、ハロゲン、−CO−O−低級アルキル又は−CO−N(R0)2であり、R2及びR3は、同一又は異なってR0、−O−R0、−O−ベンジル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル又は−CO−アリールであり、R4及びR5は、同一又は異なってR0であり、R0は、同一又は異なってH又は低級アルキルである。)ピリジン-3-イル 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(5,6-ジクロロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(4,5-ジフルオロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(3-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(4-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(1-メチル-1H-インドール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-(1-ベンゾフラン-2-イルカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(5-フルオロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(5-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、ピリジン-3-イル 4-[(5,6-ジメチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレート、及びピリジン-3-イル 4-[(5-クロロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルボニル]ピペラジン-1-カルボキシレートからなる群から選択される請求項1に記載の化合物又はその塩。請求項1に記載の化合物又はその塩、及び製薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物。請求項1に記載の化合物又はその塩を含有する夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の治療用医薬組成物。夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の治療用医薬組成物の製造のための請求項1に記載の化合物又はその塩の使用。夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の治療のための請求項1に記載の化合物又はその塩の使用。請求項1に記載の化合物又はその塩の有効量を患者に投与することからなる夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の治療方法。 【課題】FAAHが関与する疾患の治療用医薬組成物の有効成分として有用な化合物を提供する。【解決手段】本発明者らは、FAAH阻害活性を有する化合物について鋭意検討した結果、ベンゾイミダゾール−2−イルカルボニル、ベンゾフラン−2−イルカルボニル等がピペラジン4位に結合するピペラジン−1−カルボキシレート化合物が優れたFAAH阻害活性を有すること、更に有効膀胱容量増大作用、睡眠障害改善作用、抗利尿作用、及び膀胱痛等の下部尿路痛に対する鎮痛作用を有することを確認し、本発明を完成した。本発明のカルバメート化合物は優れたFAAH阻害活性を有し、FAAHが関与する疾患、特に夜間頻尿、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群又は慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の予防及び/又は治療剤として使用しうる。【選択図】なし


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