生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_重合性組成物
出願番号:2009065415
年次:2010
IPC分類:C08F 4/40,C08F 292/00,C08F 20/00,A61K 6/083


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鎗水 秀樹 徳井 秀樹 南澤 博人 JP 2010215824 公開特許公報(A) 20100930 2009065415 20090318 重合性組成物 株式会社ジーシー 000181217 野間 忠之 100070105 鎗水 秀樹 徳井 秀樹 南澤 博人 C08F 4/40 20060101AFI20100903BHJP C08F 292/00 20060101ALI20100903BHJP C08F 20/00 20060101ALI20100903BHJP A61K 6/083 20060101ALI20100903BHJP JPC08F4/40C08F292/00C08F20/00 510A61K6/083 500A61K6/083 530 4 OL 12 4C089 4J015 4J026 4C089AA06 4C089BC07 4C089BD02 4C089BE02 4J015CA05 4J015CA14 4J026AC00 4J026BA27 4J026BA28 4J026BA29 4J026BA30 4J026DB07 4J026DB16 4J026GA09 本発明は特に歯牙治療に用いる重合性組成物に関する。 本発明は、1種または2種以上の液と粉末とを混和して使用する重合性組成物に関する。より詳細には、重合前の液成分を冷蔵することなく長期間保存した場合でもゲル化せず、硬化時間も保存によって遅延したり早まったりする経時変化が起こらない重合性組成物に関する。 ラジカル重合性を有するメタクリレートやアクリレート等のモノマー,オリゴマー,プレポリマーを含有する重合性組成物を粉成分と混合して常温で重合させるには、化学重合触媒として有機過酸化物−芳香族第3級アミンを組み合わせて使用する手段が古くから用いられている。この手段においては、液成分に配合する有機過酸化物と粉成分に配合する芳香族第3級アミンの量を加減すると共に重合禁止剤を併用することにより重合硬化時間を調整したり重合前の組成物の保存安定性を高めている。しかしながら、この重合性組成物は芳香族第3級アミンにより重合後の硬化体が時間と共に変色してしまうという問題があった。更に、有機過酸化物は不安定な物質であり、有機過酸化物を液成分に多量に配合すると長期保存した場合に重合前に液成分がゲル化してしまい易く、反対に長期保存安定性を確保するために重合禁止剤を液成分に多量に配合すると重合硬化時間が著しく長くなってしまうという問題があった。そのため、従来の重合性組成物では冷蔵で保存して有機化酸化物の反応を遅らせる等の対策をとらねばならなかった。 他の化学重合触媒として、−SO2−基を少なくとも1個含有する有機芳香族化合物と過酸化物と芳香族第3級アミンを組み合わせて使用する組成物がある。しかし、有機過酸化物−芳香族第3級アミンを用いるので硬化体の変色と保存安定性の低さの問題は解決できていなかった。 また、トリアルキルボランを用いた重合手段も知られているが、トリアルキルボランは芳香族第3級アミンよりも酸化され易いため、ラジカル重合性を有する(メタ)アクリレート化合物を含有する重合性組成物中には予め配合できないことが欠点である。そのため、(メタ)アクリレート化合物とは別の容器にトリアルキルボランを保存しておき、使用時に重合性組成物へ添加して使用しなければならず操作が煩雑であった。 本件出願人は以前にピリミジントリオン誘導体−有機ハロゲン化合物−有機金属化合物の3元系触媒を含む重合性組成物を開発し当該組成物を出願した(特許文献1参照。)。この組成物はアミンを含有しないことから硬化体の着色が無く酸性条件下でも使用することができるという特徴がある。しかしながらこの系はピリミジントリオン誘導体の保存安定性に課題を残していた。 その他にも、クメンヒドロペルオキシドとチオ尿素誘導体との組み合わせも開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この系は、従来の系と比較して熱安定性が高い特徴がある。しかしながらこの系を使用した組成物は、クメンヒドロペルオキシドとチオ尿素誘導体の硬化反応が遅いという問題があり、配合濃度を十分にしても特に歯科用接着剤として納得できる重合速度が得られない。 その改良として、銅化合物の存在下でのレドックス反応として、クメンヒドロペルオキシドとN-アセチルチオ尿素との組み合わせもある(例えば、特許文献3参照。)。この系は、熱に対する安定性が比較的高く芳香族第3級アミンを含まないので硬化後に経時的な変色が見られることはない。そして、組成物に接着性を付与させるために従来から配合されている酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の酸による影響を受けることがないことも特徴であり、組成物の保存安定性が良い。しかし特に歯科用材料では、歯科用補綴物を歯牙へ接着させる場合、術者が望む時間で適切に硬化する特性や硬化時間が製品によって一定であることが要求されているが、これらの系では未だその要求されている硬化時間の安定性を満たすことができない。特開2003−105008号公報特開昭58−219281号公報特開2007−056020号公報 そこで本発明は、従来の銅化合物とクメンヒドロペルオキシドとN−アセチルチオ尿素との組み合わせを用いた組成物よりも液成分の保存安定性が良く、保存によって重合硬化時間が製品の設計時よりも遅延したり早まったりする経時変化が起こらない重合性組成物を提供することを課題とする。 本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、過酸化物としてヒドロペルオキシド、還元性物質としてチオ尿素誘導体、促進剤としてバナジウム化合物を用いると硬化性に優れ、且つ保存安定性にも優れた重合性組成物を得ることを見出して本発明を完成した。 即ち本発明は、(メタ)アクリレート化合物に過酸化物質としてヒドロペルオキシドを含む液(ペーストを含む)成分と、フルオロアルミノシリケートガラスに還元性物質としてチオ尿素誘導体及び重合促進剤としてバナジウム化合物とを含む粉成分とからなる重合性組成物である。 そして本願発明の重合性組成物は、(メタ)アクリレート化合物の一部または全てが酸基を有する(メタ)アクリレート化合物であると、歯牙や、歯科用修復物の材料であるジルコニア及びアルミナ等のセラミックス、または貴金属を含む合金に対しても接着効果を付与することができる。 本発明に係る重合性組成物は、従来の銅化合物とクメンヒドロペルオキシドとN−アセチルチオ尿素との組み合わせを用いた組成物よりも更に保存安定性が良い優れた重合性組成物である。 本発明での(メタ)アクリレート化合物は、アクリレートまたはメタクリレートの各種のモノマー,オリゴマー,プレポリマーを意味している。本発明で使用する(メタ)アクリレート化合物として具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらのモノマーあるいはオリゴマーあるいはプレポリマーが好適に使用できる。また、ウレタン結合を持つ(メタ)アクリレートとして、ジ−2−(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、1,3,5−トリス[1,3−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン、2,2−ビス−4−(3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−フェニルプロパン等があり、その他2,2’−ジ(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンと2−オキシパノンとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとからなるウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとからなるウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。 本発明では酸基を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することもできる。ヒドロペルオキシドは、酸基を持たない(メタ)アクリレート化合物に対しても、酸基を持つ(メタ)アクリレート化合物に対しても安定であることが特徴の一つである。酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は重合性組成物に歯質や、歯科用修復物の材料であるジルコニア及びアルミナ等のセラミックス、また貴金属を含む合金への接着性を付与する効果がある。酸基を有する(メタ)アクリレート化合物はリン酸基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、1分子中にリン酸基またはカルボキシル基を1個または複数個有する(メタ)アクリレート化合物を使用できる。リン酸基はカルボキシル基よりも強い酸性を示すことから、歯面のスメアー層の溶解や歯質脱灰の効果が高く、特にエナメル質に対して高い接着性の向上効果を発揮する。リン酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニルハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルプロパン−2−ジハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルプロパン−2−フェニルハイドロジェンホスフェート、ビス[5−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニル}ヘプチル]ハイドロジェンホスフェート等が挙げられる。中でも10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートが接着性及び(メタ)アクリレート化合物自体の安定性の点から特に好ましい。これらのリン酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独あるいは2種以上を混合して用いても良い。 カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸無水物、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシピロメリット酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。中でも4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸,4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物が接着性の点から特に好ましい。 本発明に係る重合性組成物に用いる重合反応はヒドロペルオキシドとチオ尿素誘導体の酸化還元反応を利用する。液成分には(メタ)アクリレート化合物に過酸化物質としてヒドロペルオキシドを配合する。粉成分にはフルオロアルミノシリケートガラスに還元性物質としてチオ尿素誘導体と重合促進剤としてバナジウム化合物を配合する。 ヒドロペルオキシドは液成分中に0.01〜10重量%配合されることが好ましく、0.01重量%未満ではレドックス重合開始剤としての機能が不足する傾向があり、10重量%を超えると液成分と粉成分を混合して使用する際に重合が早すぎて実用的ではない。ヒドロペルオキシドとしてはp−メンタンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド等が使用でき、特に保存安定性の点からクメンヒドロペルオキシド、tert−テトラメチルブチルヒドロペルオキシドが好ましい。 フルオロアルミノシリケート粉末は粉成分の主成分として練和物にX線造影性を付与するために使用される。フルオロアルミノシリケートガラス粉末は、主要成分としてAl3+、Si4+、F−、O2−を含み、更にSr2+及び/またはCa2+を含むアルミノシリケートガラス粉末が好ましく、特に主要成分の割合がガラスの総重量に対してAl3+:10〜21重量%、Si4+:9〜21重量%、F−:1〜20重量%、Sr2+とCa2+の合計:10〜34重量%であることが望ましい。フルオロアルミノシリケートガラス粉末は後述するフィラーと同様にシランカップリング剤によって表面を処理されていてもよい。 チオ尿素誘導体はレドックス重合の還元性物質である。チオ尿素誘導体は粉成分中に0.01〜10重量%含有されていることが好ましく、0.01重量%未満では重合触媒としての能力が不十分であり、10重量%を超えると硬化時間が安定し難い。チオ尿素誘導体としては、エチレンチオ尿素、ジエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、N−アセチルチオ尿素、N−ベンゾイルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、ジシクロヘキシルチオ尿素等が使用でき、特にN−アセチルチオ尿素、N−ベンゾイルチオ尿素が好ましい。 バナジウム化合物はレドックス重合の重合促進剤である。バナジウム化合物は粉成分中に0.001〜1重量%配合されていることが好ましい。0.001重量%未満であると重合促進剤としての効果が不足する傾向にあり、1重量%を超えると液成分と粉成分を混合して使用する際に重合が早すぎて実用的ではない。バナジウム化合物としては、バナジウムアセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネート、バナジルステアレート、バナジウムナフテネート、バナジウムベンゾイルアセトネート等が使用でき、特にバナジウムアセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネートが好ましい。 本発明に係る重合性組成物は、液成分にフィラー成分を配合しても良い。また粉成分にもフルオロアルミノシリケートガラス以外のフィラーを加えることもできる。フィラー成分は組成物の強度を高める効果がある。フィラーとしては無水ケイ酸,バリウムガラス,アルミナガラス,カリウムガラス,フルオロアルミノシリケートガラス等のガラス類、合成ゼオライト,リン酸カルシウム,長石,ヒュームドシリカ,ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム,炭酸マグネシウム,含水ケイ酸,含水ケイ酸カルシウム,含水ケイ酸アルミニウム,石英等の粉末がある。これらのフィラーは(メタ)アクリレート化合物と結合させるために、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,ビニルトリクロロシラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリアセトキシシラン,ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン等のシランカップリング剤で表面処理されていても良い。また、前記のフィラーを予めモノマーやオリゴマーと混合して硬化させた後、粉砕して作製した有機無機複合フィラーも使用することができる。これらのフィラーは単独または2種以上を混合して使用することができる。中でも、無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウムは、長期間保存した場合でも重合前の液成分がゲル化するのを防止する効果がある。 本発明に係る重合性組成物の液成分と粉成分の混合割合は、重量で5:1〜1:10であることが好ましい。この範囲外では各重合触媒のバランスがとり難くなり重合に問題が生じる場合がある。 なお、本発明に係る重合性組成物には必要に応じて通常用いられる光重合触媒,抗菌剤,顔料等を適宜配合することもできるのは勿論である。また、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の歯質に対する反応性を高めるために液成分に水を配合することもできる。 表2〜4に示した配合(重量%)によって液成分及び粉成分を作製し、保存安定性の試験を実施した。 表中の略語はそれぞれ以下の通りである。TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレートUDMA:ジ-2-メタアクリロキシエチル-2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジカルバメートHEMA:2−ヒドロキシメタクリレートMDP:10−メタアクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートアエロジル:ヒュームドシリカ(商品名 R812,日本アエロジル社製)BPO:ベンゾイルパーオキサイドDAC:ジメチルアンモニウムクロライドBHT:ブチルヒドロキシトルエンp−アミン:p-トリルジエタノールアミンN−C5EPT:N-シクロヘキシル5エチルピリミジントリオンAACu:アセチルアセトン銅 フルオロアルミノシリケートガラス粉末の配合を表1に示す。<表1> フルオロアルミノシリケートガラス粉末は、原料を充分混合し1200℃の高温電気炉中で5時間保持しガラスを溶融させた。溶融後急冷却し、ボールミルを用いて10時間粉砕し、200メッシュ(ASTM)ふるいを通過させた後の粉末をフルオロアルミノシリケートガラス粉末とした。『保存安定性の確認試験』 各実施例及び比較例は、重合性組成物は23℃及び50℃の恒温状態で保管され、それぞれ作製時と12週間後に硬化時間を測定した。23±1℃の恒温室内において、液成分1g、粉成分2gを練和紙上に測り採り、スパチュラを用いて15秒間の人手による練和操作を行うことで均一に混合し、この重合性組成物の発熱曲線をISO4029:2000 7.6に準じて測定した。また、硬化時間の読み取り方法はISO4029:2000 7.8に準じた。結果を表5〜7に示す。なお、実施例及び比較例の組成物は光重合触媒(カンファーキノン)を含んでいる製品を想定した組成としているが、保存安定性の確認のため光照射は行っていない。 表2〜7から明らかなように、歯科材料に一般的に用いられている(メタ)アクリレート化合物の異なる組成や酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の有無に関らずヒドロペルオキシド−チオ尿素誘導体−バナジウム化合物開始剤系の重合組成物は、硬化遅延の度合いが小さいことが確認できた。<表2><表3><表4><表5><表6><表7>(メタ)アクリレート化合物に過酸化物質としてヒドロペルオキシドを含む液成分と、フルオロアルミノシリケートガラスに還元性物質としてチオ尿素誘導体及び重合促進剤としてバナジウム化合物とを含む粉成分とからなる重合性組成物。(メタ)アクリレート化合物の一部または全てが、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物である請求項1に記載の重合性組成物。チオ尿素誘導体が、エチレンチオ尿素、ジエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、N-アセチルチオ尿素、N-ベンゾイルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、ジシクロヘキシルチオ尿素から選ばれる1種または2種以上である請求項1または2に記載の重合性組成物。バナジウム化合物が、バナジウムアセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネート、バナジルステアレート、バナジウムナフテネート、バナジウムベンゾイルアセトネートから選ばれる1種または2種以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の重合性組成物。 【課題】 従来の銅化合物とクメンヒドロペルオキシドとN-アセチルチオ尿素との組み合わせを用いた組成物よりも更に液成分の保存安定性が良く、保存によって重合硬化時間が製品の設計時よりも遅延したり早まったりすることがない重合性組成物を提供する。【解決手段】 (メタ)アクリレートに過酸化物質としてヒドロペルオキシドを含む液成分と、フルオロアルミノシリケートガラスに還元性物質としてチオ尿素誘導体及び重合促進剤としてバナジウム化合物とを含む粉成分とからなる重合性組成物とする。【選択図】 なし


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