タイトル: | 再公表特許(A1)_体細胞数の測定装置及びセンサ |
出願番号: | 2009063521 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | G01N 27/416,G01N 27/327,C12M 1/34 |
高橋 秀之 鈴木 博章 西 泰治 二階堂 祐子 綾野 賢 岡 桂子 JP WO2010013757 20100204 JP2009063521 20090729 体細胞数の測定装置及びセンサ 株式会社クラレ 000001085 鎌田 耕一 100107641 麻生 紀明 100148769 高橋 秀之 鈴木 博章 西 泰治 二階堂 祐子 綾野 賢 岡 桂子 JP 2008197838 20080731 JP 2009059139 20090312 G01N 27/416 20060101AFI20111209BHJP G01N 27/327 20060101ALI20111209BHJP C12M 1/34 20060101ALI20111209BHJP JPG01N27/46 336MG01N27/30 353ZC12M1/34 D AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20120112 2010522742 32 4B029 4B029AA07 4B029AA24 4B029BB11 4B029CC01 4B029FA09 本発明は、生乳中の体細胞数を測定する装置に関する。また、本発明は、前記装置に用いられるセンサに関する。 家畜の高能力化のための育種選抜、多頭羽飼育、あるいは集約管理等、家畜の生産性を高度に追及することによって起こる疾病を生産病という。生産病には、代謝障害に加えて、繁殖障害、泌乳障害、運動器障害等があり、さらには、日和見感染症の側面を持つ子牛や子豚の消化器病や呼吸器病等もその範疇に入る。生産病は、口蹄疫、BSE、豚コレラ、鶏の高病原性インフルエンザ等のように、国家防疫上の緊急性や危険性をはらんだ感染疾病と異なり、一般消費者にとって比較的馴染みのうすい病気ではある。しかし、畜産現場では、日常的に頻発し生産農家の経営を圧迫している最重要疾病の一つである。 問題となっている主な生産病を品種別、あるいは動物種別にみると次のようになる。乳牛では、代謝障害(ルーメンアシドーシス、脂肪肝やケトーシス等の肝機能障害)、繁殖障害(卵胞発育障害、卵巣嚢腫)、運動器障害、泌乳障害(臨床性乳房炎、潜在性乳房炎、慢性乳房炎)があげられる。肉牛では、代謝障害(ルーメンアシドーシス、肝機能障害、ビタミン欠乏症)、畜舎環境由来の慢性呼吸器病、消化器病があげられる。豚及び鶏では、畜舎環境由来の慢性呼吸器病、暑熱や寒冷環境による栄養障害、呼吸器感染等があげられる。 潜在性生産病とは、肉眼では異常が検出できず、血液や乳汁等の体液成分検査等によって、病態の進行が初めて検出される生産病である。近年の畜産学関連分野における栄養管理技術や家畜管理学の進展、及びこれらを取り組んだ生産獣医療の取り組みによって、臨床症状を伴う生産病は減少してきている。しかし、潜在性の生産病については解決したとはいえず、むしろ深く広く蔓延しつつある状況にある。潜在性生産病は、臨床症状を伴わないので見過ごされる場合が多い。潜在性生産病は、繁殖機能や免疫機能へも悪影響を及ぼし、経済的被害額は、臨床性生産病の数倍にのぼるといわれている。 潜在性の生産病の一つに、潜在性乳房炎が挙げられる。乳房炎は、乳用牛の死廃傷病事故のなかで最大の問題になっている。乳房炎は、罹りやすい上に極めて治りにくい病気のため、世界的に共通して、最難治疾病の一つとされている。乳房炎に罹患した乳用牛の生乳中の体細胞数は、正常な乳用牛が約30万個/mL以下であるのに対し、30万個/mL以上となり、なかには300万個/mL以上の慢性乳房炎に至る場合も少なくない。酪農検査協会等によって、サンプリングした生乳中の体細胞数が規定値以上であることが発覚した場合、生乳がタンク単位で廃棄されることになり、その年間被害額は、日本全体で800億円〜1000億円と試算されている。 乳房炎被害額の7割〜8割は、発熱、発赤、腫脹、疼痛といった臨床症状を示さずに生乳中の体細胞数が増加する、いわゆる潜在性乳房炎によるとされており、酪農家にとって潜在性乳房炎による経済的被害は甚大である。特に、黄色ブドウ球菌によって起こる潜在性乳房炎は、乳房組織内に微小膿瘍や肉芽腫を形成して慢性化の経過をたどりやすい。 従来の乳房炎の診断方法には、体細胞数法、CMT(カリフォルニア・マスティティス・テスト)法、電気伝導度法等がある。体細胞数法は、細菌侵入後から中度乳房炎までの診断に有効であり、CMT法及び電気伝導度法は、軽度乳房炎から重度乳房炎までの診断に有効である。 体細胞数法は、好中球、好酸球等の貪食細胞、乳腺上皮細胞、リンパ球、単球、プラズマ細胞等、乳汁中の細胞数を直接的に測定するものであり、感染初期から中度までの乳房炎を検出することができるものである。しかしながら、自動細胞数測定機器による体細胞数法は、極めて高額である問題点があった。また、光学顕微鏡による塗沫測定では、手間がかかりすぎるという問題点があった。特に、初乳は乳を塗沫固定することが難しく、乳房炎が亢進すると、細菌に多数の白血球が吸着して団子状になるため、測定が不可能になる問題点があった。 CMT法は、生乳中に界面活性剤を加えると、体細胞数に応じて凝集反応の程度が異なることを利用して、体細胞数を推定する方法である。pH測定用にBTB試薬も入っているので、乳房炎時の血管透過性の亢進、白血球と細菌との戦いの亢進等によって、生乳の塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩類が増し、アルカリ性に近づくことを利用して色調が黄→緑→青と変化し、乳房炎の判定指標とするものである。誰にでも手軽に測定でき、乳房炎か否かの概略が判定できること、価格が非常に安いことが特徴である。しかしながら、CMT法は、白血球と細菌との戦いの後、あるいは血管透過性亢進後といった、反応が起こってからでないと診断が難しいとともに、判定は人の主観的判断にゆだねられるため、診断法としては、あくまで目安程度にしかならないという問題点があった。特に、生乳中の体細胞数が、30万個/mL以下になると判定は難しく、乳房炎を初期段階で診断するには適さない問題点があった。 電気伝導度法は、乳房炎乳では乳腺組織の炎症反応により、血管の透過性が亢進し、血漿成分のナトリウム、塩素等の電解質成分が増加するため、正常乳よりも電気が通りやすくなることを利用するものである。電気伝導度の数値化により、定量的な値が得られる利点がある。しかしながら、電気伝導度法は、生乳中の体細胞数が増加し、細菌が侵入して白血球との戦いの後の炎症反応による変化を見ているため、乳房炎を初期段階で診断するには適さない問題点があった。また、正常乳でも各分房、あるいは各牛によって電解質成分や濃度にかなりの違いがあるので、再現性が良くなく、乳房炎の判定率は低くなる問題点があった。 これらの問題を改良した方法として、生乳中の体細胞の中で体勢を占める好中球等の貪食白血球が、感染時の初期反応(機敏性)が優れていることに着目し、生乳中の貪食白血球機能をルミノール化学発光法で測定することが提案されている(特許文献1参照)。 ルミノール化学発光法について説明すると、乳房が細菌の侵入を受け始めると、それを食い止めようとして、貪食殺菌能力のある好中球が生乳中に集まってくる。好中球は、細菌侵入後の機動性が高く、圧倒的な数によって細菌侵入を食い止めようとして働く。好中球は、細菌を殺すために、活性酸素を放出する。ルミノール化学発光法は、ルミノール試薬によって、好中球から放出された活性酸素を励起し、その化学発光量を検出して、増幅・定量化する方法である。細菌侵入に連動して集まる好中球数を、感染初期の細菌侵入開始段階から、重度乳房炎まで広範囲にわたって、高感度で検出可能な技術である。 しかしながら、ルミノール化学発光法による乳房炎診断装置は、装置が高額となり、一定の光量を得るまでに時間を必要とするため、研究試験用、又は体細胞数の検定用には優れるものの、搾乳の現場で要求される迅速性に課題を有していた。好中球から放出された活性酸素を、ルミノール化学発光試薬で発光させ、その微弱な光量を検出するには、光電子増倍管(Photomultiplier)が使用される。光電子増倍管は、光電効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電管を基本に、電流増幅機能を付加した高感度光検出器で、微弱な光量を検出できる反面、高コストとなる課題を有していた。光電子増倍管のサイズも大きいため、装置が大きくなり、酪農家の現場で使用するには、持ち運び性に課題を有していた。 また、特許文献1に記載されているように、ルミノール化学発光試薬による発光ピークを短時間で得るため、好中球の刺激剤としてザイモザンを生乳サンプルに添加することも試みられている。しかし、定量性を有する発光ピークを得るための時間は、5分〜15分となるため、酪農家の現場で使用するには、迅速性に課題を有していた。 この問題を改良した方法として、好中球から放出された活性酸素の存在を電流として検出することが提案されている。この提案は、ルミノール化学発光法と同じく、生乳中の体細胞の中で体勢を占める好中球等の貪食白血球が、感染時の初期反応(機敏性)が優れていることに着目し、好中球等から放出される活性酸素量を定量化することを試みている。例えば特許文献2には、円筒状の絶縁部材の内周面に作用極が形成され、外周面に対極が形成されたニードル状の活性酸素センサを備える乳房炎診断装置が開示されている。この乳房炎診断装置は、活性酸素センサによって活性酸素の濃度を測定し、その濃度に基づいて乳房炎に罹っているか否かを判定するものである。作用極及び対極は、導電性部材の表面に金属ポルフィリン錯体の重合膜が形成されたものであり、活性酸素の測定原理は次のとおりである。 活性酸素センサを活性酸素(例えば、スーパーオキシドアニオン:O2-)の存在する生乳中に漬けると、金属ポルフィリン錯体中の金属が活性酸素により還元される(例えば、Fe3+→Fe2+)。そこで、作用極と対極との間にある程度の電圧を印加すると、還元された金属が再酸化され(例えば、Fe2+→Fe3+)、電流が流れる。このときの電流値は、活性酸素の濃度と対応しているため、その電流値から活性酸素の濃度を検出することができる。 ルミノール化学発光法では、ルミノール化学発光試薬による、発光ピークを短時間で得るため、好中球の刺激剤としてザイモザンを生乳サンプルに添加する必要があり、現場の酪農家にとっては、大きな負担になることが予測された。活性酸素センサを使用した乳房炎診断装置では、好中球の刺激剤を生乳サンプルに添加することなく、活性酸素量を測定できることが期待されていた。 しかしながら、活性酸素センサを使用した乳房炎診断装置は、金属ポルフィリン錯体中の金属の還元及び酸化を利用するものであるため、活性酸素の検出感度を高めることが難しい課題を有していた。 生乳の生産において、体細胞数の管理目標値は、30〜50万個/mL以下に設定されている。乳房炎に感染した、生乳中の体細胞数に占める好中球の比率は、8割〜9割と報告されており、体細胞数が30〜50万個/mLの場合、好中球数は27〜45万個/mLと推定される。このような生乳中の好中球数は、健康な牛の血液中の好中球数の約1/10程度であり、乳房炎への感染を早期に発見するには低い好中球数を再現性よく測定できることが望まれる。 ところが、電極に金属ポルフィリン錯体の重合膜を用いた活性酸素センサの場合、好中球数がそれほど増加しない乳房炎の初期段階では、金属ポルフィリン錯体の重合膜表面からの反応によって得られる電流値の増加量は非常に小さく、乳房炎を初期段階で診断することが困難であった。特開2000−041696号公報特開2005−106490号公報 従来の乳房炎の診断方法である、光学顕微鏡による体細胞数法では、手間がかかりすぎるという問題点があった。 CMT法は、乳房炎に感染した乳用牛の症状が亢進してからでないと診断が難しいとともに、判定は人の主観的判断にゆだねられるため、診断法としては、あくまで目安程度にしかならないという問題点があった。 電気伝導度法は、生乳中の体細胞数が増加し、細菌が侵入して白血球との戦いの後の炎症反応による変化を見ているため、乳房炎を初期段階で診断することには適さない問題点があった。また、正常乳でも各分房、あるいは各牛によって電解質成分や濃度にかなりの違いがあるので、再現性が良くなく、乳房炎の判定率は低くなる問題点があった。 ルミノール化学発光法による乳房炎診断装置は、装置が高額となり、一定の光量を得るまでに時間を必要とするため、研究試験用、又は体細胞数の検定用には優れるものの、搾乳の現場で要求される迅速性には課題を有していた。また、光電子増倍管を使用するため、装置が比較的大きくなり、酪農家の現場で使用するには、持ち運び性に課題を有していた。 電極に金属ポルフィリン錯体の重合膜を用いた活性酸素センサを備える乳房炎診断装置では、金属ポルフィリン錯体の重合膜表面からの反応によって得られる電流値の変化量が非常に小さいために、乳房炎を初期段階で診断することが困難であった。 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、酪農家による生乳の生産現場において、タンク単位での生乳の廃棄を防止するために乳房炎を初期段階で診断することを可能とする体細胞数装置及びこの体細胞数測定装置に用いられるセンサを提供することを目的とする。 前記目的を達成するために、本発明は、生乳を保持するための検査室、前記検査室の内部空間に臨む第1電極部を有し、前記第1電極部上に前記生乳中に含まれる活性酸素と反応する酵素試薬が固定化された作用極、及び前記検査室の内部空間に臨む第2電極部を有する対極、を含むセンサと、前記作用極と前記対極との間に電圧を印加したときに流れる電流に基づいて前記生乳中に含まれる体細胞数を算出する装置本体と、を備える体細胞数測定装置を提供する。 また、本発明は、生乳を保持するための検査室と、前記検査室の内部空間に臨む第1電極部を有し、前記第1電極部上に前記生乳中に含まれる活性酸素と反応する酵素試薬が固定化された作用極と、前記検査室の内部空間に臨む第2電極部を有する対極と、先端が前記検査室の内部空間に臨む参照極と、前記作用極、前記対極、及び前記参照極を支持するベースプレートと、前記作用極、前記対極、及び前記参照極を挟んで前記ベースプレートに固定され、前記ベースプレートと共に前記検査室を形成するカバープレートと、を備えるセンサを提供する。 本発明によれば、酪農家による生乳の生産現場において、乳房炎を初期段階で診断することが可能となる。これにより、タンク単位での生乳の廃棄を効果的に防止することができる。本発明の第1実施形態に係る体細胞数測定装置を示す平面図である。図1に示した体細胞数測定装置を構成するセンサを示す斜視図である。図2のIII−III線断面図である。カバープレートを省略したセンサを示す平面図である。第1電極部の表面に形成された突起を示す斜視図である。突起の配置の変形例を示す平面図である。突起の拡大断面図である。センサの変形例を示す斜視図である。図9A〜図9Cは、作用極、参照極、及び対極のパターンの変形例を示す模式図である。図1に示した体細胞数測定装置のブロック図である。本発明の第2実施形態に係る体細胞数測定装置を示す平面図である。本発明の第3実施形態に係る体細胞数測定装置を示す平面図である。体細胞数と電流値の関係を示すグラフ(散布図)である。 本発明の体細胞数測定装置は、小型化及び低コスト化が可能であり、簡易かつ迅速に体細胞数を精度よく測定できる。この体細胞数測定装置は、活性酸素測定センサと装置本体からなり、例えば、自動搾乳機のミルカーに搭載したり携帯型としたりすることができる。この特徴により、酪農家の搾乳現場での使用や検定員等によるバッチ測定への利用が可能になり、体細胞数異常の生乳を早期に検出でき、タンク単位での生乳の廃棄を防止できる。自動搾乳機搭載型又は携帯型のいずれの場合も、活性酸素測定センサを装置本体に着脱可能にしておいて、活性酸素測定センサを使い捨てとすることが好ましい。 本発明の特徴の一つは、生乳中の好中球から放出される活性酸素に着目し、この活性酸素を酵素によって電流として検出することである。健常牛と乳房炎に感染している乳牛では、生乳中に含まれる体細胞の成分が大きく異なる。生乳中には、乳腺上皮細胞、好中球、好酸球等の貪食細胞リンパ球、単球、プラズマ細胞等が存在している。乳房炎に感染すると、それを食い止めようとして、貪食殺菌能力のある好中球が生乳中に集まり、好中球の比率が飛躍的に高まる。 本発明の他の特徴では、作用極と参照極を用い、細菌を殺すために好中球から放出される活性酸素を、作用極に配置された酵素によって選択的に検出することで、塩素、カリウム等の他の成分による影響を受けることなく、生乳中の体細胞数を測定することが可能となる。活性酸素には、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素、一酸化窒素、二酸化窒素、オゾン、過酸化脂質等が含まれる。 本発明の他の特徴は、活性酸素測定センサがプレートタイプであることである。プレートタイプの活性酸素測定センサには、生乳を保持するための検査室、酵素試薬が固定化された第1電極部を有する作用極、第1電極部と離間する第2電極部を有する対極等が設けられている。プレートタイプとすることで、活性酸素と酵素との反応による酸化還元電流値を高めるためのレイアウトを最適化することが可能となる。例えば、酵素が配置された第1電極部の面積は、最大感度を得るために、拡大することが極めて容易となる。作用極と対極、及び絶縁材(プレート)のレイアウト設計においても、例えば、第1電極部の周囲を第2電極部が取り囲む等、最大感度を得るための設計が可能となる。 酵素試薬を作用極の第1電極部に固定化する方法は、第1電極部上に酵素試薬をそのまま塗布して乾燥させてもよいが、電子伝搬性のある有機層によって固定化することが好ましい。このようにすれば、第1電極部上に酵素試薬を強固に保持することができ、感度を安定化させることができる。また、酵素の立体構造を維持して酵素の活性劣化を抑制する効果もある。 前記有機層は、薄すぎると酵素の構造維持が困難となり、厚すぎると電子伝搬性が低下するため、有機層の厚さは0.1nm〜10μmが好ましく、0.5nm〜1μmがより好ましい。 有機層による酵素試薬の固定化方法としては、例えば第1電極部上に有機皮膜を形成して、その上に酵素試薬を塗布又は共有結合によって固定する方法や、酵素試薬を含有する有機ポリマーゲルを第1電極部上に塗布する方法等が挙げられる。特に、均質な有機皮膜を簡単に形成することができ、かつ、膜厚や酵素試薬固定化量を制御することが容易な自己組織化単分子膜(SAM)を用いることが好ましい。さらに、SAMとしては、金や白金上で容易に強固な皮膜を形成するチオール基又はジスルフィド基を有する化合物によって形成されたSAMであることが好ましい。そのような化合物としては、例えば、ベンゼンチオール、4−アミノチオフェノール、4−メルカプトピリジン、4,4’−ジチオビスピリジン、メチオニン、p−メチルチオフェノール、2−メルカプトピリジン、ブタンチオール、2−アミノエタンチオール、イソシステイン、2−(アセチルアミノ)エタンチオール、N−アセチル−L−システイン、N−システイニルグリシン、システイン、L−システイン、D,L−ホモシステイン、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトウンデカン酸、メルカプトこはく酸、チオ乳酸、ジチオビス(スクシンイミジルオクタネート)、ジチオビス(スクシンイミジルヘキサネート)等が挙げられる。 活性酸素測定センサから検出された酸化還元電流は、例えば電流電圧変換素子等を内蔵する装置本体によって体細胞数に換算されて表示される。体細胞数の表示方法は、酸化還元電流値、直流電圧値、体細胞数、アラーム、LED表示、音声であっても良く、限定されるものではない。 活性酸素と酵素試薬の反応は、測定の温度環境下で大きく異なる。通常、室温付近の23℃よりも高い、37℃付近であるほうが反応性は高まり、酸化還元電流値は高い値を示す。体細胞数測定装置に、検査室に保持された生乳を所定温度に加熱するためのヒータを設ければ、活性酸素と酵素試薬の反応性を高めることで、精度の高い測定が可能となる。 実際の測定は、乳用牛の搾乳と同時に計測する場合や、サンプルとして生乳を採取後、検定員がバッチ測定する場合等が考えられる。測定を行う生乳の温度は、測定の形態によって異なることが推測される。生乳を採取後、放置時間が経過した場合、例えば、37℃まで生乳を加温することは、測定に時間を要することになる。同一の生乳については温度環境の違いがあっても出力する体細胞数が変化しないように、活性酸素測定センサで検出された酸化還元電流に基づいて算出された体細胞数を生乳温度に応じて補正する体細胞数測定装置であってもよい。 プレートタイプの活性酸素測定センサは、電極の配置等が容易に最適化できることに加え、1つのセンサに複数の検査部(検査室とこれに望む電極)を設けることが可能である。乳用牛の乳房は4つあり、例えば、1つのセンサに4つの検査部を設けることで、効率よく分房別の体細胞数を測定することができ、更なる低コスト化と迅速測定が可能になる。 複数の活性酸素測定センサを備えている場合、または1つの活性酸素測定センサに複数の検査部が設けられている場合は、装置本体は、複数の系統を有する体細胞数の検出回路を有していてもよいし、例えば、一つの体細胞数の検出回路において自動切換えスイッチにより各生乳の酸化還元電流値を計測するようにしてもよい。また、測定された生乳中の体細胞数を装置本体が内蔵する無線タグによって自動的にデータ管理するようにすれば、酪農家や検定員の手間を極力抑えることが可能になる。 生乳中の体細胞数は、30万個/mLを管理範囲の上限と定めている検査機関が中心となっている。潜在性乳房炎を早期に発見するには、できるだけ感染初期で診断できることが望ましく、体細胞数が5万個/mLを超えているかどうかの検出感度を持つことが望ましい。 生乳中の体細胞数は、前絞り、中絞り、後絞りによっても変動し、搾乳時間が長くなる後絞りが、体細胞が多くなることが知られている。健常な乳用牛においても、後絞りでは、体細胞数は、200万個/mLを超える場合があり、乳房炎に感染した乳用牛では、500万個/mLを超える場合がある。したがって、体細胞数測定装置が検出可能な体細胞数は、5万個/mL以上500万個/mL以下が好ましく、10万個/mL以上300万個/mL以下がより好ましい。 体細胞数測定装置における装置本体は、装置の製造コストを下げるために、汎用の電流電圧素子、電圧増幅素子等で構成することが好ましい。近年の電子素子の絶縁性、分解能、増幅能が高まったことにより、nA単位の電流値であれば、汎用の素子にて、電流電圧変換を行い、電圧増幅が可能となっている。 体細胞数測定装置の製造コストを下げ、かつ、測定精度を有する体細胞数を計測可能にするためには、活性酸素測定センサが検出する電流値が1nAから1000nAの範囲であることが好ましく、5nAから500nAの範囲であることがより好ましい。 また、活性酸素測定センサは、暗所又は冷所に保管するよう定めたり、アルミニウム等の金属をコートした包装袋に入れる等、適宜、最適な保管形態を行うことが望ましい。 本発明の体細胞数測定装置は、工業技術として確立された電極の形成法を活用することにより、寸法精度を満足させることができる。例えば、年間1,000万個以上の活性酸素測定センサを製造する場合において、寸法精度を満足することによって、製造ロット間等のバラツキをなくし、再現性を有する値を得ることができる。 作用極上への酵素試薬の固定化に加え、ヒータの設置、白血球活性化剤を含む表層の形成、第1電極部への複数の突起の形成等によって、活性酸素測定センサの検出感度を飛躍的に高めることが可能となる。この高感度化によって、生乳中の体細胞数を定量化するために必要な測定時間は、2分以内とすることができ、好ましくは1分以内とすることができる。 生乳中の体細胞数測定が低コストで迅速に実施できることは、酪農家による現場使用、又は検定員等によるバッチ測定において、体細胞数異常を早期に把握することができ、タンク単位での生乳の廃棄防止が可能になる。 生乳中の体細胞数測定においては、検査すべき生乳量を一定にすることで、同一生乳であれば検査対象の生乳中に含まれる体細胞数を同じにすることができる。活性酸素測定センサの検査室によって、測定に使用する生乳量は一定となり、同一生乳における体細胞数測定値の再現性を高めることが可能となる。生乳の検査室への導入方法は、例えば毛細管現象を利用して、生乳を検査室に自動的に導入させてもよい。 乳房炎の病原菌が乳頭口より乳房に侵入し、定着と増殖(感染)が起きると、細菌の直接的な攻撃や産生される毒素は、乳腺細胞にダメージを与える。その結果、ダメージを受けた乳腺細胞から炎症を開始させる物質が放出され、血管の透過性が高まり、白血球が遊走し、血漿成分と共に生乳中に漏出する。腺腔内へ剥がれ落ちた乳腺上皮細胞や、血管から遊走してきた白血球は、生乳と共に外へ排出され、これらが体細胞と呼ばれる。 生乳中に認められる体細胞の種類は、以前は、上皮細胞が主であるとされてきたが、検査技術の発達により、正常乳と潜在性乳房炎に感染した乳では、体細胞の種類が異なることが報告されている。 正常乳中にはマクロファージが多い(60%〜70%)のに対し、潜在性乳房炎に感染した牛の生乳中では、90%以上が好中球であると報告されている。好中球は、乳房に炎症が起きると、血液中から大量に乳腺腔へ遊走し、活性酸素を放出することで貪食殺菌し、病原菌の排除に寄与する。 また、生乳中の体細胞数は、正常乳であっても、前搾り、中搾り、後搾りによって変動し、後搾りの生乳中の体細胞数が多くなることが報告されている。体細胞数測定装置は、好中球から放出される活性酸素に基づいて体細胞数を算出するものであるので、体細胞数測定装置が測定した体細胞数から好中球の比率の増減を把握することができる。このため、測定された体細胞数を記録すれば、この体細胞数の推移から、生乳が搾取された乳牛について、乳房炎、臨床性乳房炎、潜在性乳房炎、慢性乳房炎の感染の有無を早期に診断することが可能となる。 白血球、なかでも好中球の活性化の度合いは、数の増減、サイズの違い、材料面への粘着性の違いによっても確認が可能である。好中球のサイズが大きくなったり好中球が材料面に粘着するようになると、好中球が活性化していることが予測される。例えば、顕微鏡観察を使用した、好中球のサイズ、粘着性の度合いを測定することによっても、乳房炎、臨床性乳房炎、潜在性乳房炎、慢性乳房炎の簡易診断が可能である。 以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。 (第1実施形態) 図1に、本発明の第1実施形態に係る体細胞数測定装置1Aを示す。この体細胞数測定装置1Aは、搾乳と同時に体細胞数を測定する連続測定に適したものであり、乳用牛の分房数に対応した4つの活性酸素測定センサ(以下、単に「センサ」という。)2と、これらのセンサ2とケーブル71によって接続された装置本体(体細胞数表示器)6とからなる。装置本体6には、各センサ2に対応した4つの表示部61と各種の押しボタン6a〜6cが設けられている。 体細胞数測定装置1Aは、搾乳機に搭載される。搾乳機には、ミルカー又はその周辺に、生乳のサンプリング容器が乳房毎に付属されており、各サンプリング容器にセンサ2がそれぞれセットされている。センサ2は、ケーブル71の先端に設けられたコネクタ7に着脱自在に取り付けられており、これによりセンサ2を容易に交換できるようになっている。センサ2は、先端が生乳に浸された状態で装置本体6により電圧が印加されることにより、電気信号を出力する。センサ2が出力した電気信号は、ケーブル71を経由して装置本体6に伝達される。装置本体6は、その電気信号に基づいて生乳中の体細胞数を算出し、表示部61に表示する。算出された生乳中の体細胞数は、その都度、現場で管理することが難しい場合、装置本体6に無線タグを装備し、パソコン等に送信することにより、酪農家の手間をかけることなく、自動管理することも可能である。 <センサ> 次に、図2〜図4を参照して、センサ2の構成について詳細に説明する。このセンサ2は、生乳を保持するための検査室20を有する略長方形状のプレートタイプのものであり、検査室20には毛細管現象により生乳が導入される。検査室20の容積は、0.01〜5mLが好ましく、0.05〜1mLがより好ましい。さらに好ましい検査室20の容積は、0.1〜0.3mLである。 具体的に、センサ2は、略長方形状のベースプレート21と、このベースプレート21の一方面(厚み方向の片側の面)21aに支持された、作用極31、参照極32、および対極33の3つの電極と、これらの電極31〜33を挟んでベースプレート21の一方面21aに固定された略長方形状のカバープレート22とを有している。なお、以下では、説明の便宜のために、ベースプレート21の長手方向の一方(図2では右上方向)を前方、他方(図2では左下方向)を後方というとともに、ベースプレート21の短手方向の一方(図2では右下方向)を右方、他方(図2では左上方向)を左方という。 [ベースプレート及びカバープレート] カバープレート22の幅は、ベースプレート21の幅と同じであるが、カバープレート22の長さは、ベースプレート21の一方面21aの後端部を露出させるようにベースプレート21の長さよりも短く設定されている。ベースプレート21のサイズは、例えば、長さ60mm、幅30mm、厚み1mmであり、カバープレート22のサイズは、例えば、長さ50mm、幅30mm、厚み3mmである。 ベースプレート21及びカバープレート22の材質は、絶縁性のものであれば特に制限されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、スチレン系樹脂、アクリル−スチレン系共重合樹脂(MS樹脂)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合樹脂、スチレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂等を挙げることができる。ベースプレート21の材質としては、後述する電極材料との接着性を考慮して適宜選択することが好ましく、カバープレート22の材質としては、ベースプレート21との接着性を考慮して適宜選択することが好ましい。 カバープレート22には、ベースプレート21に沿ってカバープレート22の端面に開口する溝23が形成されており、溝23とベースプレート21の一方面21aによって検査室20が構成されている。そして、検査室20には、開口23aから毛細管現象により生乳が自動的に充填される。すなわち、溝23の開口23aは、検査室20への導入口を構成している。毛細管現象を利用するには、溝23の幅は1〜50mm、深さは0.05〜5mm、長さは2〜100mmであることが好ましく、より好ましくは、溝23の幅は3〜30mm、深さは、0.1〜3mm、長さは10〜70mmである。例えば、溝23の幅を10mm、深さを0.5mm、長さを40mmとしてもよい。 溝23の形成は、機械切削加工や射出成型等により行うことができ、ベースプレート21とカバープレート22との接合は、熱融着、レーザー融着、溶液接着技術等により行うことができる。このような工業生産技術として確立された方法を適用することにより、検査室20の容積の精度、すなわちセンサ2への生乳導入量の精度を高めることができる。これにより、同一生乳であれば検査室20内の好中球の数を一定とすることができ、体細胞数の測定精度を高めることが可能になる。 本実施形態では、毛細管現象を利用しているため、センサ2の開口23a側の端部を生乳に浸すだけで、短時間で、例えば5秒以内に生乳を検査室20に充填させることができる。 [電極] 作用極31、参照極32、及び対極33は、左右方向に並んでおり、それぞれがベースプレート21の後端部から所定位置まで前後方向に直線状に延びている。本実施形態では、作用極31の先端に円形状の第1電極部(正極部)31aが設けられ、対極33の先端に第1電極部31aよりも大きな円形状の第2電極部(負極部)33aが設けられている。また、参照極32の先端32aも小さな円形状になっている。第1電極部31a及び第2電極部33a並びに参照極32の先端32aは全て検査室20の内部空間に臨んでいる。また、各電極31〜33におけるカバープレート22で覆われていない部分は、幅広の端子部31b〜33bを構成しており、これらの端子部31b〜33bが、センサ2がコネクタ7に差し込まれて取り付けられたときに、コネクタ7の端子(図示せず)と電気的に接続される。 第1電極部31aの表面31c上には、生乳中に含まれる活性酸素と反応する酵素試薬4が固定化されており、さらにその上には白血球活性化剤を含む表層5が積層されている(図7参照)。参照極32は、基準極として使用される。作用極31と対極33との間及び参照極32と対極33との間には、例えば直流1Vの電圧が均等に印加される。その上で、作用極31に重畳的に例えば0.3Vの追加電圧が印加されると、第1電極部31a上で酵素試薬4による活性酸素の酸化分解(正確には生乳中の好中球から放出されたスーパーオキシドアニオンの酸化分解:O2-→O2+e-)が発生するとともに、第1電極部31a上から溶け出した酵素が第2電極部33a上で還元されて、作用極31と対極33との間に電流が流れる。作用極31と対極33との間に流れる電流量を測定することにより、好中球から放出される活性酸素量、ひいては生乳中の体細胞数を測定することが可能となる。なお、第1電極部31a上での酸化分解に対する還元電流を効率よく検出するために、第2電極部33aの面積は第1電極部31aの面積よりも大きくなっていることが好ましい。ここで、「第2電極部33aの面積」及び「第1電極部31aの面積」とは、第2電極部33a及び第1電極部31aをベースプレート21と直交する方向から見たときの面積をいう。第1電極部31aの面積は、0.7〜500mm2であることが好ましく、4〜250mm2であることがより好ましい。 電極31〜33の形成法は、蒸着、スパッタリング、電解メッキ、無電解メッキ、シルクスクリーン印刷、金属ペーストのインジェクション法等を用いることができる。このような工業的に確立された方法を採用することにより、電極31〜33を高精度に形成することが可能となり、大量生産において、測定値の再現性を高めることが可能となる。電極に用いられる導電性材料としては金、銀、塩化銀、白金、銅、アルミニウム等を挙げることができる。本実施形態では、活性酸素として好中球から放出されるスーパーオキシドアニオンを主に検出するので、作用極31を金、参照極32を銀/塩化銀、対極33を白金で構成している。 好ましくは、各電極31〜33の幅は50〜5000μm、長さは5〜100mm、厚みは0.003〜300μmであり、より好ましくは、各電極31〜33の幅は100〜2000μm、長さは10〜50mm、厚みは0.02〜200μmである。 なお、ベースプレート21の一方面21aには微小凹凸が形成されていて、この微小凹凸の上に作用極31、参照極32、及び対極33が形成されていることが好ましい。このようになっていれば、アンカー効果によりベースプレート21と電極31〜33の接着性を向上させることができる。 微小凹凸は、一方面21aの算術平均粗さ(Ra:JIS B0601)が20nm〜20μmの範囲内に入る程度のものであることが好ましく、一方面21aの算術平均粗さが100nm〜2μmの範囲内に入る程度のものであることがより好ましい。 ベースプレート21の一方面21aに上記のような微小凹凸を形成するには、ベースプレート21の一方面21aを例えばプラズマエッチングやサンドブラストで処理すればよい。あるいは、ベースプレート21を成形する際に、表面が所定の表面粗さに粗面化された金型を用いることで、ベースプレート21の一方面21aに微小凹凸を形成してもよい。 [酵素試薬] 第1電極部31a上に固定化する酵素試薬4としては、複数種類のものを使用することができる。例えば、酵素試薬4は、SOD(スーパーオキサイドジスムターゼ)、シトクロームc、ヘミン、西洋ワサビペルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、チロシナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、及びラッカーゼよりなる群から選ばれる少なくとも1種の酵素を含む。なかでも、長期安定性(耐候性)、工業的に品質が安定していること、コストの観点から、SODを用いることが好ましい。また、必要に応じて、酵素試薬4に酵素活性化剤が添加されていてもよい。 酵素試薬4の厚さは、0.005〜1μmが好ましく、0.02〜0.1μmがより好ましい。 酵素試薬4は、酸化劣化、加水分解、光分解、熱分解等によって品質が劣化しないよう、メーカーが保障する期間(例えば、6ヶ月間)、安定であることが好ましい。品質を安定させるため、酵素試薬4にトレハロース等の酵素保護剤が添加されていてもよい。 酵素試薬4の固定方法の1例としては、金からなる第1電極部31a上にシステイン自己組織化単分子膜40(図7参照)を固定化させた後、その上にディッピング法、インクジェット法、インジェクション法等を用いて酵素試薬4を塗布し、これを硬化させることにより、固定化することが可能である。このように第1電極部31a上にシステイン自己組織化単分子膜40を介して酵素試薬4を塗布することにより、酵素試薬4から第1電極部31aへの電子伝搬性を向上させることができる。なお、システイン自己組織化単分子膜40を設けない場合には、作用極31を例えば白金で構成し、第1電極部31a上に直接的に酵素試薬4を塗布してもよい。 また、酵素試薬4を第2電極部33a上に固定化せずに第1電極部31a上のみに固定化している理由は、作用極31と対極33との間に流れる電流値を測定する際、作用極31以外の電極に電流値が発生すると、これがノイズとなり、測定精度が低下するためである。なお、酵素試薬4は、他の電極32,33に重ならないように第1電極部31a上に固定化されていればよく、例えば、第1電極部31aよりも一回り大きな領域に配置されていてもよい。 [白血球活性化剤] 乳房炎に感染した乳用牛は、白血球、なかでも好中球の貪食能が高まり、活性酸素を放出する。酵素試薬4の上に積層された表層5に白血球活性化剤が含まれていれば、好中球の貪食能がさらに高まり、活性酸素の放出量が増加することで高感度化が可能となる。 好中球の貪食能が高くなると、活性酸素の放出量が増加すると同時に、好中球の表面に擬似足場を形成し、血管の内側に粘着することが知られている。酵素試薬4上に好中球の活性化剤があれば、酵素試薬4上に好中球が付着し易くなり、さらなる高感度化が期待できる。 白血球活性化剤は、生理活性物質として表現されてもよい。白血球の遊走能は、生理活性物質の有無、又は濃度差によって異なることが知られている。第1電極部31a上又はその周辺に生理活性物質を配置し、好中球を第1電極部31a上に遊走させることで、第1電極部31a上に好中球を積極的に付着させ、さらなる高感度化が可能となる。 定量化された白血球活性化剤が予め酵素試薬4上に担持されることで、酪農家又は検定員等の測定者が白血球活性化剤を計量して生乳に添加する必要が無くなり、作業性及び迅速性が向上する。 白血球、なかでも好中球の活性化剤としては、例えば、ケモカイン、エイコサノイド、ロイコトリエン、FMLP、ザイモザン、ホルボールミリステートアセテート(PMA)、コンカナバリンA、遊離脂肪酸、界面活性剤、金属微粒子、ポリマー微粒子等があげられる。金属微粒子に接着した好中球は、磁力によって電極近傍へ集積させてもよく、またポリマー微粒子に接着した好中球は重力、あるいは浮力で電極近傍へ集積させてもよい。 また、通常特に制限はないが、活性化因子として活性化剤を用いる場合の好適な量は検査室又は生乳の体積に対して1ng/mL〜500μg/mLである。 表層5の形成は、凍結乾燥法により白血球活性化剤を調製し、これを酵素試薬4上に配置することで行うことが好ましい。凍結乾燥とは、水分を含んだ食品や食品原料を、マイナス30℃程度で急速に凍結し、さらに減圧して真空状態で水分を昇華させて乾燥する方法である。乾燥による収縮や亀裂などの形態の変化が少なく、ビタミンなどの栄養成分や風味の変化が少なく、多孔質で水や熱湯が侵入しやすいので溶解性が良いことが特徴である。このようにすれば、白血球活性化剤が生乳中に良好に溶け出すため、白血球活性化剤と生乳との混合度合いが大きく改善し、感度アップが期待できる。 一般的に円管内を流れる流体の場合は、レイノルズ数が2,000程度以下で層流、2,000〜4,000程度が層流、乱流が変化する領域とされている。なお、レイノルズ数とは、慣性力と摩擦力(粘性による)との比で定義され、飛行機の翼による空気の流れやカルマン渦などに使われている。レイノルズ数(Re=U×L/ν)は、流体の種類と状態(ν:m2/s)、注目部分の流速(U:m/s)、注目部分の長さ(L:m)が決まると定まる。 効率よく、第1電極部31a上(正確には酵素試薬4上)の白血球活性化剤と生乳とを混合するには、第1電極部31a上に生乳を滴下するよりも、例えば、生乳が導入される溝23に白血球活性化剤をコートしておくことで、混合度合いが向上することが期待できる。しかし、細い流路内の流速、及び長さは乱流の領域とならず、レイノルズ数は2,000以下の層流となり、大幅な混合状態の改善にはならないことが予測される。 表層5は、白血球活性化剤のみで構成されていてもよいが、これと疎水性有機材料との混合物で構成されていてもよい。生乳中の好中球から放出される活性酸素量は、好中球が第1電極部31a上の酵素試薬4に近接している又は付着している方が、高い感度で検出することが可能となる。 生乳中の好中球を第1電極部31a上の酵素試薬4に近接又は付着させるためには、第1電極部31a上で検査室20に保持された生乳に接触する表層5の表面の水に対する接触角が40°以上110°以下となっていることが好ましく、50°以上100°以下となっていることがより好ましい。これを実現するためには、表層5に疎水性有機材料が含まれていてもよい。活性酸素は有機材料を通過可能であるため、このようにしても感度に問題はない。 なお、表層5を設けない場合には、第1電極部31a上で検査室20に保持された生乳に接触する酵素試薬4の表面の水に対する接触角が40°以上110°以下となっていることが好ましい。 また、活性化剤と同様の効果を得るための方法として、生乳へエネルギーを与える方法がある。そこで、体細胞数測定装置1Aは、検査室20に保持された生乳にエネルギーを与える手段を備えていてもよい。前記エネルギーは、好中球の細胞膜上にある活性酸素産生酵素であるNADPHオキシダーゼを活性化させる作用を持つものであれば通常特に制限はない。例えば、電磁波、剪断応力、圧力、超音波、電場、磁場、マイクロ波、赤外線、可視光線が挙げられ、これらのうちの1つを前記エネルギーとしてもよいし、これらを任意に組み合わせたものを前記エネルギーとしてもよい。すなわち、前記エネルギーは、電磁波、剪断応力、圧力、超音波、電場、磁場、マイクロ波、赤外線および可視光線の少なくとも1つであってもよい。 活性化の機構について述べる。まず、好中球が細胞外の刺激を感知して細胞内シグナル伝達系が開始される。その結果、細胞内カルシウムイオン濃度が上昇する。そして、NADPHオキシダーゼの構成成分がサイトゾルから細胞膜上へ移行し、会合が起きると、NADPHオキシダーゼが活性化状態となり、活性酸素産生量が増大すると考えられている。 すなわち、好中球を活性化して活性酸素産生量を増大させるには、生乳にエネルギーを与えることによって好中球が細胞外の刺激を感知する、又は生乳にエネルギーを与えることによって細胞膜構造を柔軟化させて細胞内カルシウムイオン濃度を上昇しやすくする、あるいはNADPHオキシダーゼの構成成分がサイトゾルから細胞膜上へ移行しやくすることで可能となる。 生乳にエネルギーを与える方法によれば、工業技術上確立された素子を使用して安価かつ高精度にエネルギーを与えることができるため、体細胞測定装置の製造コストを安価にすることが可能である。また、生乳にエネルギーを与える方法は、薬剤刺激と比較して長期安定性があり、しかも体細胞測定装置が設置された環境温度および湿度に影響を受け難いため、使用年数が経過しても精度の高い測定値を再現することが可能となる。 好中球に細胞外の刺激を感知させるという観点からは、前記エネルギーとして電磁波を用いる方法があげられる。この場合、細胞核に作用する0.01〜0.4μmの波長の紫外線を生乳に照射することが好ましい。より好ましい紫外線の波長は、0.1〜0.3μmである。 同様に、好中球に細胞外の刺激を感知させるという観点からは、生乳に剪断応力を加える方法があげられる。この場合、剪断応力は10〜10000dynes/cm2であることが好ましく、50〜5000dynes/cm2であることがより好ましい。 細胞膜構造を柔軟化させるという観点からは、前記エネルギーとして圧力を用いる方法があげられる。 圧力を用いて細胞膜構造を柔軟化させるには、浸透圧を用いて好中球を膨潤させてもよい。この場合、浸透圧の範囲は、10〜250mOsmであることが好ましく、20〜100mOsmの範囲であることがより好ましい。 また、圧力には空気圧、水圧、真空圧のいずれを用いてもよい。活性化因子として空気圧、水圧、真空圧を用いる場合は、白血球が破壊されない程度の加圧、減圧を行えばよく、その圧力は通常特に制限はないが、0.01Pa〜10MPaの範囲であることが好ましく、0.1Pa〜1MPaの範囲であることがより好ましい。 また、圧力以外の方法で細胞膜構造を柔軟化させる方法としては、細胞膜構成分子を振動させて細胞膜を柔軟化させる、超音波、電場、もしくは磁場を用いた方法、あるいは細胞内の水の分子運動を高めて細胞膜を柔軟化させる、マイクロ波、赤外線、もしくは可視光線を用いた方法などが挙げられる。 通常特に制限はないが、超音波の範囲は10〜200kHzが好ましく、20〜100kHzがより好ましい。電場においては、0.001〜10V/cmの範囲が好ましく、0.01〜5V/cmの範囲がより好ましい。磁場においては、0.05〜30mTの範囲が好ましく、0.1〜20mTの範囲がより好ましい。さらに前記の電場及び磁場は、20Hz〜10MHzのパルス状に印加してもよい。 マイクロ波においては、1〜10GHzの範囲が好ましく、2〜4GHzの範囲がより好ましい。赤外線においては、0.7〜1000μmの範囲が好ましく、2.0〜500μmの範囲がより好ましい。可視光においては、380〜750nmの範囲が好ましく、430〜600nmの範囲がより好ましい。 [第1電極部] 次に、第1電極部31aについて、さらに詳しく説明する。 第1電極部31aの表面は、フラットであってもよいが、複数の点状の突起又は複数の点状の窪みによって凹凸形状とされていることが好ましい。通常、第1電極部31aの面積が大きくなると、体細胞の付着面積が増大することで、作用極31から対極33に流れる電流量が多くなり、検出感度が向上する。一方、第1電極部31aの面積が大きくなりすぎると、第1電極部31a上での電流が生乳中にも拡散するようになり、作用極31から対極33に流れる電流量は低下し、検出感度が低下する結果となる。 体細胞から放出された活性酸素による電流値をS(信号)、作用極31から対極33に流れるベース電流値をN(ノイズ)とすると、S/N比を高めることで検出感度は高まる。S/N比の向上のため、電流値の生乳中への拡散を極力抑え、作用極31から対極33に流れる電流値を低くするために、小さな電極を複数配置する方法が考えられるが、小さな電極を複数有することは、電極の造形精度が求められ、収率低下による生産性が低下する。 第1電極部31aの表面に、複数の突起又は窪みを配置することで、電流の生乳中への拡散を抑制し、電流密度の増大による、S/N比の向上が期待できる。第1電極部31a上に複数の突起又は窪みを有することで、凹凸形状の先端面(突起の場合は突起の頂面又は窪みの場合は窪み以外の面)で発生した電流は生乳中に拡散するものの、凹凸形状の先端面以外の表面で発生した電流は生乳中に拡散することなく、作用極31から対極33に電流を流すことが可能となり、S/N比を飛躍的に高めることが可能となる。 好ましい突起又は窪みの密度は、200〜15000個/mm2が好ましく、500〜10000個/mm2がより好ましい。突起又は窪みは、例えば柱形であり、その断面形状は円形であっても多角形であってもよい。突起又は窪みの密度が200個/mm2を下回る場合、電流が拡散しやすくなり、S/N比を高めることは困難な場合がある。一方15000個/mm2を上回る場合、造形精度を維持するために製造タクトタイムが長くなる等、工業生産における難易度が高くなり、高コストとなる場合がある。なお、「密度」とは、ベースプレートと直交する方向から見たときの面積あたりの突起又は窪みの個数をいう。 生乳中には、固形分である脂質粒子が、好中球数の100倍以上存在している。また、脂質粒子の粒子径は、乳用牛の育種、飼料の内容等によって異なり、2μm〜30μmの広い範囲となっている。隣り合う突起の間の距離又は窪みの幅は、生乳中の脂質粒子による閉塞を考慮し、4〜80μmが好ましく、10〜60μmがより好ましい。 好ましい突起の高さ又は窪みの深さは、0.5〜1000μmであり、より好ましくは2〜500μmである。突起の高さ又は窪みの深さが2μmを下回る場合、平坦な作用極と変わらず、S/N比の向上が困難となる場合がある。一方500μmを上回る場合、造形精度を維持するために製造タクトタイムが長くなる等、工業生産における難易度が高くなり、高コストとなる場合がある。特に好ましい突起の高さ又は深さは、5〜500μmである。 一方、突起の幅に対する高さのアスペクト比又は窪みの幅に対する深さのアスペクト比は、大きくなるほど好中球が付着する可能性が高くなるが、同時に工業技術の観点で難易度が高くなり、生産性が低下する可能性があることから、0.2〜10の範囲から選択することが好ましく、0.5〜5の範囲から選択することがより好ましい。 本実施形態では、図5に示すように、第1電極部31aの表面31cは、複数の突起31dによって凹凸形状とされている。好中球が生乳中に浮遊している状態よりも第1電極部31aに近接している又は付着している状態の方が活性酸素と酵素試薬4との反応が高くなり、好中球から放出される活性酸素量を高い感度で検出することが可能となる。第1電極部31aの表面31cに突起31dを形成することにより、好中球が付着しやすい構造とすることができる。さらに、突起31dにより、第1電極部31aの大きさを、ひいてはセンサ2の外形寸法を変えることなく、第1電極部31aの面積を例えば2倍以上高めることができ、高感度化と低コスト化の両立が可能となる。 好ましい突起31dの幅(太さ)は、1〜1000μmであり、より好ましくは5〜500μmである。 具体的に第1電極部31aの表面31cの凹凸形状は、図7に示すように、ベースプレート21に形成された凹凸構造21bに第1電極部31aが沿わされることにより形成されている。そして、その上に、上述したシステイン自己組織化単分子膜40、酵素試薬4、及び表層5がこの順に積層されている。 凹凸構造21bの形成方法は、特に限定されないが、例えば、射出成形、プレス成形、モノマーキャスト成形、溶剤キャスト成形、ホットエンボス成形、押出成形によるロール転写法等を挙げることができる。なかでも、生産性及び型転写性の観点から、射出成形が好ましく用いられる。 突起31dは、図5に示すようにマトリクス状に配置されていてもよいし、図6に示すように千鳥状に配置されていてもよい。例えば、高さ10μm、直径5μmの突起31dが縦横に20μmのピッチで並んでいてもよいし(約2400個/mm2でマトリクス状に配置)、高さ30μm、直径10μmの突起31dが縦横に30μmのピッチで、かつ、縦横のどちらかに半ピッチずつずらしながら並んでいてもよい(約1000個/mm2で千鳥状に配置)。また、突起31dは、規則的に並んでいる必要はなく、ランダムに配置されていてもよい。 隣り合う突起31dの間の距離Lは、生乳中の好中球を効率的に付着させるという観点から、4〜80μmが好ましく、6〜50μmがより好ましい。すなわち、隣り合う突起31dの間の距離Lが好ましい範囲に収まるように、突起31dのピッチおよび太さを決定すればよい。ここで、隣り合う突起31dの間の距離Lとは、突起31dが並ぶ方向における突起31d同士の離間距離であり、その並び方向とは、図5に示すマトリクス状の場合は縦方向及び横方向であり、図6に示す千鳥状の場合は横方向(又は縦方向)及び斜め方向である。 <センサの変形例> なお、センサ2は、必ずしも毛細管現象を利用したものである必要はなく、例えば図8に示すような構造のものであってもよい。図8に示すセンサ2’は、生乳のスポッテング方式に対応したものである。このセンサ2’では、カバープレート22に当該カバープレート22を厚み方向に貫通する略矩形状の貫通穴24が設けられており、この貫通穴24が下方からベースプレート21の一方面21aで塞がれることにより、上方に大きく開口する検査室20が構成されている。センサ2’の外形寸法は、1例として、長さ40mm、幅30mm、高さ4mmとすることが可能である。検査室20は、1例として、長さ20mm、幅20mm、深さ3mmとすることが可能である。 この構成の場合、1個のセンサ2’に複数の検査室20を設けるとともに、検査室20の数と同じ数だけ各電極31〜33をそれぞれ設けて、複数箇所で生乳を検査できるようにしてもよい。この場合、複数個のピペットを用い、それぞれの検査室20に生乳をスポッテングすることで、一度に大量の生乳について体細胞数を測定することができる。 また、電極31〜33のパターンは、生乳の導入経路、酵素試薬4の配置領域等に応じて最適なレイアウトとなるように適宜選定可能である。例えば、図9Aに示すように、作用極31の第1電極部31aを矩形状とし、対極33の第2電極部33aを、第1電極部31aの周囲を取り囲むように配置してもよい。このようにすれば、第1電極部31a上での酸化分解に対する酵素の還元による電流をより効率的に検出することができる。 あるいは、図9Bに示すように、作用極31の第1電極部31aを、互いに平行に並ぶ線状の電極指31eで構成して、作用極31と対極33との間に流れる基準電流量を抑制してもよい。この場合、図9B中に一点鎖線で示すように、全ての電極指31eに跨るように酵素試薬4を配置すればよい。 作用極31と対極33との間には、酸化還元電流が流れるだけでなく、作用極31に印加された追加電圧に応じた基準電流が流れている。この基準電流量が過大になって酸化還元電流量よりも大きくなると、S/N(信号となる酸化還元電流量/ノイズとなる基準電流量)比が低下し、検出感度を低下させる可能性がある。 電流量(I)は、抵抗値(R)に反比例(I=V/R)するので、作用極31に流れる電流量を小さくするには、作用極31のパターンを微細化し、作用極31の抵抗値を高くすることで可能となる。具体的に、電極指31eは、幅2〜100μm、長さ100〜5000μm、厚さ0.003〜1μmであることが好ましく、幅5〜50μm、長さ500〜3000μm、厚さ0.01〜0.1μmであることがより好ましい。 あるいは、図9Cに示すように、第2電極部33aも互いに平行に並ぶ線状の電極指33cで構成し、第1電極部33aの電極指31eと第2電極部33aの電極指33cとを交互に並べるようにしてもよい。 <装置本体> 次に、図10を参照して、装置本体6の構成について詳細に説明する。装置本体6は、作用極31と対極33との間に電圧を印加したときに流れる電流に基づいて生乳中に含まれる体細胞数を算出するものである。具体的に、装置本体6は、電源65と、作用極31と対極33との間及び参照極32と対極33との間に電圧を印加して、それらの間に流れる電流を検出する電流検出回路62と、検出された電流を電圧に変換する電流電圧変換回路63と、電圧値から体細胞数を算出する演算部64とを備えており、演算部64で算出された体細胞数が表示部61に表示される。 電源65は、電池やバッテリー等の内部電源であってもよいし、家庭用電源等の外部電源であってもよい。電流検出回路62は、スイッチング素子等で構成されている。電流電圧変換回路63は、電流電圧変換素子や電圧を増幅するオペアンプ等で構成されている。演算部64は、CPUや記憶部(ROM及びRAM)等からなっている。記憶部には、電圧値と体細胞数とを関係づける検量線が記憶されており、演算部64は、電流電圧変換回路63から送られる電圧値に応じた体細胞数を算出する。なお、感度の異なる複数種類のセンサ2を使用する場合には、センサ2毎に検量線を記憶部に記憶させておけばよい。 本実施形態では、参照極32が設けられているので、体細胞数を算出する際の電圧値は、参照極32を考慮した値である。すなわち、装置本体6は、作用極31と対極33との間に電圧を印加したときに流れる電流を電圧に変換して作用電圧値を得るとともに、参照極32と対極33との間に電圧を印加したときに流れる電流を電圧に変換して参照電圧値を得る。そして、装置本体6は、体細胞数を算出する際には、作用電圧値から参照電圧値を控除した電圧値から体細胞数を算出する。このようにすれば、生乳中に含まれる活性酸素と酵素試薬4との反応に基づく電圧値を正確に得ることができる。 <使用要領> 次に、体細胞数測定装置1Aを使用して体細胞数を測定する方法を説明する。生乳のサンプリング容器に配置された各コネクタ7に、センサ2を取り付ける。次に、入ボタン6aを押して、電源スイッチをONにする。搾乳が開始される際には、測定ボタン6cを押して測定可能な状態にしておく。サンプリング容器内に生乳が満たされると、毛細管現象により、センサ2の開口23aから検査室20に生乳が充填される。そうすると、検査室20に保持された生乳中の体細胞、なかでも好中球が放出する活性酸素と酵素試薬4が反応し、その酸化還元電流が装置本体6に送られて、体細胞数が算出される。算出された体細胞数は、分房別に表示部61に表示される。なお、装置本体6に予め基準体細胞数を入力しておき、算出した体細胞数が基準体細胞数を超えたときには、ランプを点灯させたり、音声で報知したりすることも可能である。 搾乳及び体細胞数の測定が完了すると、ミルカー等と生乳サンプリング容器を洗浄した後、次の測定に備え、測定に使用したセンサ2を新しいセンサ2と交換する。 本実施形態の体細胞数測定装置1Aでは、小型化及び低コスト化が可能であり、簡易かつ迅速に体細胞数を精度よく測定できることができる。従って、酪農家による生乳の生産現場において、乳房炎を初期段階で診断することが可能になる。これにより、タンク単位での生乳の廃棄を効果的に防止することができる。 (第2実施形態) 図11に、本発明の第2実施形態に係る体細胞数測定装置1Bを示す。なお、本第2実施形態及び後述する第3実施形態では、第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。 第2実施形態の体細胞数測定装置1Bは、バッチ測定に適したものであり、酪農家がサンプリングした生乳、検定協会等に集配された生乳、タンク単位でサンプリングされた生乳等を、検定員等が迅速測定する際に効果を発揮する。体細胞数測定装置1Bは、携帯性に優れるように、外形寸法を例えば高さ120mm、幅80mmとし、重量を300g程度とすることが可能である。センサ2を取り付けるコネクタ7は、装置本体6に直接設けられており、第1実施形態のようなケーブル71が不要となっている。 また、体細胞数測定装置1Bには、検査室20に保持された生乳を所定温度に加熱するためのヒータ8が設けられている。第1実施形態の連続測定式の体細胞数測定装置1Aは、搾乳中の生乳が測定対象となるため、生乳温度が30℃〜37℃と高く、生乳中の好中球から放出される活性酸素とセンサ2の酵素試薬4の反応性が高く、十分な検出感度を得ることが予測される。バッチ測定式の体細胞数測定装置1Bにおいては、サンプリングした生乳の温度が、室温付近、例えば23℃程度まで低くなっていることが予測される。このように生乳の温度が低い場合は、体細胞数が例えば30万個/mL以下と少ないと、十分な検出感度が得られない可能性がある。このような場合、ヒータ8を装備し、例えば37℃付近まで生乳を昇温することによって、生乳中の好中球が放出する活性酸素と酵素試薬4との反応性を高め、十分な検出感度を得ることができる。 ヒータ8を有するバッチ測定式の体細胞数測定装置1Bでは、センサ2の検査室20に保持される生乳量は1mL以下であることが好ましい。センサ2がプレート式であるため、プレート型のヒータ8を装備すれば、1分以内の昇温及び測定が可能となる。消費する電力量も抑制ででき、携帯性を損なうことなく使用が可能となる。 例えば、ヒータ8は、装置本体6の入ボタン6aが押されて電源スイッチが入ると同時に、設定された温度、例えば37℃まで昇温されるようになっていてもよい。 (第3実施形態) 図12に、本発明の第3実施形態に係る体細胞数測定装置1Cを示す。この体細胞数測定装置1Cは、4つの生乳サンプルの体細胞数が測定可能なバッチ測定式のものであり、ケーブル71により装置本体6と接続された4つのコネクタ7と、各コネクタ7に付設された4つのヒータ8と、ヒータ8を連結する連結板9とを備えている。 この構成であれば、バッチ測定においても一度に複数の生乳について体細胞数を測定することができる。 以下に実施例を説明する。本実施例で示した体細胞数測定装置は一例であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 [生乳サンプル中の体細胞数検査法] 生乳サンプルをスライドグラスの上の一定面積に塗抹し、乾燥、染色、鏡検して、細胞数を数えた結果と、顕微鏡(油浸レンズ観察)の視野の面積との関係によって、生乳サンプル中に存在する体細胞数を算出した。なお、代表視野は16視野以上計測し、視野全ての有核体細胞数を計測した。体細胞数検査には、オリンパス光学工業株式会社の検査用顕微鏡(型式:BX41)を使用した。 2頭の健常牛(a、b)及び5頭の乳房炎に感染した牛(c、d、e、f、g)から生乳のサンプリングを実施したところ、生乳中の体細胞数は、a:9万個/mL、b:22万個/mL、c:38万個/mL、d:62万個/mL、e:88万個/mL、f:165万個/mL、g:210万個/mLであった。 [活性酸素測定センサの製造] [実施例1] アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、長さ60mm、幅30mm、厚み1mmのベースプレートを形成した。次に、ベースプレートにマスキングを施し、蒸着装置〔(株)アルバック社製、型式:UEP〕を用い、作用極(金)、参照極(銀/塩化銀)、対極(白金)を図4に示すパターンで形成した。具体的に、第1電極部の直径は4mmであり、第2電極部の直径は8mmである。 次に、作用極(金)にシステイン溶液を浸漬させ、自己組織化単分子膜を形成させた後、浸漬法により酵素試薬(SOD)を塗布して固定した。酵素試薬の厚みは、0.02μmである。 次に、アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、長さ40mm、幅10mm、深さ0.5mmの溝を有する、長さ50mm、幅30mm、厚み3mmのカバープレートを形成した。 次に、レーザー樹脂溶着機(ミヤチテクノス社製、型式:ML−5220B)を使用し、ベースプレートとカバープレートとを溶着し、活性酸素測定センサを得た。 [実施例2] アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を用いて射出成形法により長さ60mm、幅30mm、厚み1mmのベースプレートを形成する際に、スタンパーを使用して、ベースプレートの一方面における第1電極部を形成する領域に、高さ10μm、直径5μmの凸部を縦横に20μmのピッチで形成し、その上に作用極を形成することで第1電極部の表面に複数の突起を形成した以外は実施例1と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [実施例3] 酵素試薬の上に、さらに白血球活性化剤(FMLP)を固定化して表層を形成した以外は実施例2と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [実施例4] 酵素試薬の上に、さらに白血球活性化剤(PMA)を固定化して表層を形成した以外は実施例2と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [実施例5] アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を用いて射出成形法により長さ60mm、幅30mm、厚み1mmのベースプレートを形成する際に、表面が所定の表面粗さに粗面化された金型を使用して、ベースプレートの一方面に微小凹凸を形成し、その上に作用極、参照極及び対極を形成した以外は実施例1と同様にして活性酸素測定センサを得た。なお、微小凹凸が形成されたベースプレートの一方面の算術平均粗さは、110nmであった。 [実施例6] アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を用いて射出成形法により長さ60mm、幅30mm、厚み1mmのベースプレートを形成する際に、スタンパーを使用して、ベースプレートの一方面における第1電極部を形成する領域に、高さ40μm、直径20μmの凸部を縦横に35μmのピッチで形成し、その上に作用極を形成することで第1電極部の表面に複数の突起を形成し、かつ、第1電極部の直径を6mmとした以外は実施例1と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [実施例7] ベースプレートに形成する凸部の高さを40μmから80μmに変更した以外は実施例6と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [実施例8] ベースプレートに形成する凸部の高さを40μmから1μmに変更し、かつ、直径を20μmから2μmに変更した以外は実施例6と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [実施例9] ベースプレートに形成する凸部の高さを40μmから2μmに変更した以外は実施例6と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [実施例10] ベースプレートに形成する凸部のピッチを35μmから200μmに変更した以外は実施例6と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [実施例11] アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を用いて射出成形法により長さ60mm、幅30mm、厚み1mmのベースプレートを形成する際に、スタンパーを使用して、ベースプレートの一方面における第1電極部を形成する領域に、深さ60μm、直径20μmの凹部を縦横に35μmのピッチで形成し、その上に作用極を形成することで第1電極部の表面に複数の窪みを形成し、かつ、第1電極部の直径を6mmとした以外は実施例1と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [比較例1] システイン単分子膜及び酵素試薬を設けない、すなわち第1電極部が露出していること以外は実施例1と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [比較例2] システイン単分子膜及び酵素試薬を設けない、すなわち第1電極部が露出していること以外は実施例2と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [比較例3] 第1電極部上に、システイン単分子膜及び酵素試薬の代わりに金属ポルフィリン錯体の重合膜を形成した以外は実施例1と同様にして活性酸素測定センサを得た。 [活性酸素測定センサが検出する電流値の測定] 上述した各牛a〜gから搾取した生乳について、実施例及び比較例の活性酸素測定センサを用いて電流を検出し、その電流値を測定した。電流値の測定は、ポテンシオスタット・ガルバノスタット(北斗電工株式会社、型式:HA―151)を使用した。 作用極と参照極に直流1Vを印加した後、作用極に0.3Vの追加電圧を印加した。作用極上で酸化分解が発生すると同時に、対極には酵素の還元が起こり、作用極と対極との間に電流が流れた。その電流値を測定した。電流値の測定は、活性酸素測定センサを、37℃に設定されたプレート式のヒータ上に固定して行った。 測定結果は、表1及び表2並びに図13に示すとおりであった。 表1及び表2から、比較例1〜3では、乳房炎に罹っているが生乳中の体細胞数が38万個/mLと低い牛cと健常牛の牛bとで電流値の差がほとんどなく、乳房炎を初期段間で診断することが困難であることが分かる。これに対し、実施例1〜11では、牛cと牛bとで電流値に大きな差ができ、乳房炎を初期段間で診断することができる。 また、図13のグラフから、実施例1〜11では、生乳中の体細胞数の増加に従い、活性酸素測定センサが検出する電流値が大きく増大し、生乳中の体細胞数と電流値との相関関係が良好であることが確認できる。なかでも、実施例2の第1電極部が所定の大きさの複数の突起を有する場合、電流値が高くなることが確認できた。実施例3および実施例4の酵素試薬上に白血球活性化剤を設けた場合は、さらに電流値が高くなることがわかる。さらに、突起の大きさ(幅及び高さ)を実施例2よりも大きくした実施例6,7では、電流値が格段に高くなった。 なお、実施例2及び実施例6〜10での突起の寸法をまとめると、表3のようになる。 表3を表1及び表2と組み合わせて見ると、突起の高さが2μmを下回る実施例8やアスペクト比が0.2を下回る実施例9では、突起のない実施例1と同程度の電流値しか得られないことが分かる。また、実施例6と実施例10を比較すると、同じ大きさの突起でも突起同士の間隔が適切に設定されていれば、より高い電流値が得られることが分かる。 生乳を保持するための検査室、前記検査室の内部空間に臨む第1電極部を有し、前記第1電極部上に前記生乳中に含まれる活性酸素と反応する酵素試薬が固定化された作用極、及び前記検査室の内部空間に臨む第2電極部を有する対極、を含むセンサと、 前記作用極と前記対極との間に電圧を印加したときに流れる電流に基づいて前記生乳中に含まれる体細胞数を算出する装置本体と、を備える体細胞数測定装置。 前記センサは、前記検査室の内部空間に臨む先端を有し、基準極として使用される参照極をさらに含む、請求項1に記載の体細胞数測定装置。 前記センサは、前記作用極、前記対極、及び前記参照極を支持するベースプレートと、前記作用極、前記対極、及び前記参照極を挟んで前記ベースプレートに固定され、前記ベースプレートと共に前記検査室を形成するカバープレートと、をさらに含む、請求項2に記載の体細胞数測定装置。 前記ベースプレートと直交する方向から見たときの前記第1電極部の面積は、0.7〜500mm2である、請求項3に記載の体細胞数測定装置。 前記ベースプレートは、微小凹凸が形成された表面を有し、この微小凹凸の上に前記作用極、前記対極、及び前記参照極が形成されている、請求項4に記載の体細胞数測定装置。 前記第1電極部の表面は、複数の突起又は複数の窪みによって凹凸形状とされており、 前記複数の突起又は前記複数の窪みの密度は200〜15000個/mm2であり、前記複数の突起の高さ又は前記複数の窪みの深さは2〜500μmであり、前記突起の幅に対する高さのアスペクト比又は前記窪みの幅に対する深さのアスペクト比は0.2〜10である、請求項4に記載の体細胞数測定装置。 前記凹凸形状は、前記ベースプレートに形成された凹凸構造に前記第1電極部が沿わされることにより形成されている、請求項6に記載の体細胞数測定装置。 前記複数の突起における隣り合う突起の間の距離又は前記窪みの幅は4〜80μmである、請求項6に記載の体細胞数測定装置。 前記カバープレートには、前記ベースプレートに沿って当該カバープレートの端面に開口する溝が形成されており、前記溝及び前記ベースプレートの表面によって前記検査室が構成されている、請求項3に記載の体細胞数測定装置。 前記溝の幅は1〜50mm、深さは0.05〜5mm、長さは2〜100mmである、請求項9に記載の体細胞数測定装置。 前記活性酸素は、前記生乳中の好中球から放出されたスーパーオキシドアニオンである、請求項1に記載の体細胞数測定装置。 前記検査室に保持された生乳を所定温度に加熱するためのヒータをさらに備える、請求項1に記載の体細胞数測定装置。 前記酵素試薬は、SOD、シトクロームc、ヘミン、西洋ワサビペルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、チロシナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、及びラッカーゼよりなる群から選ばれる少なくとも1種の酵素を含む、請求項1に記載の体細胞数測定装置。 前記酵素試薬は、酵素保護剤を含む、請求項1に記載の体細胞数測定装置。 前記酵素試薬は、前記第1電極部上に、厚さ0.1nm〜10μmの有機層によって固定化されている、請求項1に記載の体細胞数測定装置。 前記酵素試薬上には、白血球活性化剤を含む表層が積層されている、請求項1に記載の体細胞数測定装置。 前記検査室に保持された生乳にエネルギーを与える手段をさらに備える、請求項1に記載の体細胞数測定装置。 前記エネルギーが、電磁波、剪断応力、圧力、超音波、電場、磁場、マイクロ波、赤外線および可視光線の少なくとも1つである、請求項17に記載の体細胞数測定装置。 生乳を保持するための検査室と、 前記検査室の内部空間に臨む第1電極部を有し、前記第1電極部上に前記生乳中に含まれる活性酸素と反応する酵素試薬が固定化された作用極と、 前記検査室の内部空間に臨む第2電極部を有する対極と、 先端が前記検査室の内部空間に臨む参照極と、 前記作用極、前記対極、及び前記参照極を支持するベースプレートと、 前記作用極、前記対極、及び前記参照極を挟んで前記ベースプレートに固定され、前記ベースプレートと共に前記検査室を形成するカバープレートと、を備えるセンサ。 前記第1電極部の表面は、複数の突起又は複数の窪みによって凹凸形状とされており、 前記複数の突起又は前記複数の窪みの密度は200〜15000個/mm2であり、前記複数の突起の高さ又は前記複数の窪みの深さは2〜500μmであり、前記突起の幅に対する高さのアスペクト比又は前記窪みの幅に対する深さのアスペクト比は0.2〜10である、請求項19に記載のセンサ。 体細胞数測定装置は、センサと装置本体とからなっている。センサは、生乳を保持するための検査室(20)と、作用極(31)及び対極(33)とを有している。作用極(31)及び対極(33)には、検査室(20)の内部空間に臨む第1電極部(31a)及び第2電極部(33a)がそれぞれ設けられている。第1電極部(31a)上には、生乳中に含まれる活性酸素と反応する酵素試薬(4)が固定化されている。装置本体は、作用極(31)と対極(33)との間に電圧を印加したときに流れる電流に基づいて生乳中に含まれる体細胞数を算出する。