タイトル: | 公開特許公報(A)_糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体 |
出願番号: | 2009058398 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07H 19/01 |
山ノ井 孝 小田 慶喜 JP 2010209020 公開特許公報(A) 20100924 2009058398 20090311 糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体 財団法人野口研究所 000173924 山ノ井 孝 小田 慶喜 C07H 19/01 20060101AFI20100827BHJP JPC07H19/01 4 OL 9 4C057 4C057AA17 4C057AA19 4C057BB02 4C057DD01 4C057EE05 4C057LL01 本発明は、ヘミケタール構造のアノマー炭素原子をクラウンエーテルの環状炭素原子に含み、糖分子とクラウンエーテルがスピロ構造となる糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体(以後、糖結合型クラウンエーテル誘導体とも称する)、およびその製造法に関するものである。具体的には、糖分子のヘミケタール構造のアノマー炭素原子をクラウンエーテルの環状炭素原子に含み、糖分子とクラウンエーテルがスピロ構造となる式[1]〜[3]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体、および式[4]の1−C−ビニル化糖誘導体を出発原料とした、式[1]〜[3]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体の製造法に関するものである。 クラウンエーテルは、エチレンオキシ鎖の繰り返し構造からなる環状化合物である。クラウンエーテルは、自由度の非常に高い化合物であり、その環の大きさによって、様々なイオンを取り込むことが知られており、例えば有機合成化学の分野では、金属イオンを取り込ませ、不斉触媒として広く利用されている(例えば非特許文献1を参照)。また最近では、クラウンエーテルがアンモニウムイオンの認識に適していることが判り、特にタンパク質中のリジン残基に由来するアミノ基と結合して、タンパク質の物性や機能を改変しうることが明らかになってきた(非特許文献2、3を参照)。しかし、クラウンエーテルは生体内のナトリウムイオンや、カリウムイオンを認識し、環内に取り込んでしまい、生体内のバランスを壊し人体に猛毒となることが言われている。そのため、クラウンエーテルを制御するシステムを構築することが求められている。 一方、糖分子(糖鎖)は、生体内においてその種類や構造に応じて、特定の細胞やレクチンに対する認識能を持つことが最近の研究で解明されつつある。その為、糖分子は医薬送達システム(Drug Delivery system; DDS)として期待されており、生物学、薬学、医学の分野で重要視されている。これらの背景から、糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体は、生体内においてDDSとして利用できることが期待される。Toshiyuki, I.ら、「Synthesis of Chiralazacrown Ethers Derived From α-D-Glucose and Their Catalytic Properties on The Asymmetric Michael Addition」、Heterocycles, 2001年, 55巻, 37ページ.Reinhoudt, R. D.ら、「The Effect of Crown Ethers on Enzyme-catalysed Reactions in Organic Solvents」、Journal of Chemical Society Chemical Communications, 1989年, 359ページ.Paul, D.ら、「Chemical Activation of Cytochrome c Proteins via Crown Ether Complexation: Cold-Active Synzymes for Enantiomer-Selective Sulfoxide Oxidation in Methanol」、Journal of The American Chemical Society, 2003年, 125巻, 11478ページ. 本発明では、糖分子のヘミケタール構造のアノマー炭素原子が、クラウンエーテルの環状炭素原子の一部になり、糖分子とクラウンエーテルがスピロ構造となるスピロクラウンエーテル誘導体、およびその製造法を提供することを課題とする。 糖分子のヘミケタール構造のアノマー炭素原子をクラウンエーテルの環状炭素原子に含み、糖分子とクラウンエーテルがスピロ構造となるスピロクラウンエーテル誘導体を製造するにあたり、式[4]の1−C−ビニル化糖を原料に用い、活性化剤としてビスマス(III)トリフレート、またはトリフルオロメタンスルホン酸を作用させる事で合成することが出来た。その後、種々の化学変換を行い式[1]〜[3]の新規な糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体を製造することができた。 具体的には、グルコースの2、3、4、6位をベンジル基で保護し、1位にビニル基を導入した糖誘導体である2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-C-ビニル-α-D-グルコピラノースと、一つの水酸基をベンゾイル基で保護したエチレングリコール誘導体を用い、ビスマス(III)トリフレート、またはトリフルオロメタンスルホン酸を活性化剤に用いることで、糖結合型クラウンエーテル誘導体を製造することができることを見出し、本発明に到達した。 すなわち、本発明は、下記式[1]〜[3]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体に関するものであり、また、下記式[4]の1−C−ビニル化糖誘導体を原料に用い、エチレンオキシ鎖(酸素原子一つと炭素原子二つ)の異なるエチレングリコール誘導体に対し、ビスマス(III)トリフレート、またはトリフルオロメタンスルホン酸を活性化剤として反応させることを特徴とする下記式[1]〜[3]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体の製造法に関するものである。 [1](R1は、ヘミケタール構造のアノマー炭素原子をクラウンエーテルの環状炭素原子に含む糖分子を示す。R2はCH2、C=O、またはCHOHを表す。nは0から3までの整数を表す。) [2](R3はOBn、OAc、OBz、NHAcまたはN3を表す。Bnはベンジル基、Acはアセチル基、Bzはベンゾイル基を表す。) [3](R4はOBn、OAc、OBz、NHAcまたはN3を表す。Bnはベンジル基、Acはアセチル基、Bzはベンゾイル基を表す。nは0から5までの整数を表す。) [4](R5はOBn、OAc、OBz、NHAcまたはN3を表す。Bnはベンジル基、Acはアセチル基、Bzはベンゾイル基を表す。) 本発明の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体は、クラウンエーテル構造を持つことから、タンパク質中のアミノ基と結合して、タンパク質の物性や機能を改変するような性質を持つと考えられる。さらに糖分子を有することで、特定のタンパク質を選択することが出来ることから、DDSとしての利用が高まり、新しい医薬として重要な化合物になると考えられる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は、糖分子のヘミケタール構造のアノマー炭素原子をクラウンエーテルの環状炭素原子に含み、糖分子とクラウンエーテルがスピロ構造となる糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体を製造するにあたり、式[4]の1-C-ビニル化糖を原料とし、活性化剤にビスマス(III)トリフレート、またはトリフルオロメタンスルホン酸を作用させる事で式[1]〜[3]の新規な糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体を製造する。 式[2]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体は、次のようにして合成する。 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-C-ビニル-α-D-グルコピラノースを、ジクロロメタン中、5 mol%のビスマス(III)トリフレートを用い、テトラエチレングリコールモノベンゾエートと反応させる。次に、オゾン酸化を行いさらに酸化することで、ビニル基をカルボキシル基へと変換し、その後、ベンゾイル基を脱保護し、塩基にDIEAを用いPyBOPにて脱水縮合させることで、式[2]に示す糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体を得る。 式[3]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体は、次のようにして合成する。 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1C-ビニル-α-D-グルコピラノースを、ジクロロメタン中、5 mol%のトリフルオロメタンスルホン酸を用い、エチレングリコールモノベンゾエートと反応させる。次に、オゾン酸化を行いさらに還元することで、ビニル基をヒドロキシメチル基へと変換し、その後、ベンゾイル基を脱保護し、nが1の場合トリエチレングリコールビストシレート、nが2の場合テトラエチレングリコールビストシレートを用い、塩基にNaHを用いて縮合させることで、式[3]に示す糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体を得る。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例により何等の制限を受けるものではない。(工程1) 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-C-ビニル-α-D-グルコピラノース(256.5 mg/ 0.45 mmol)と、ビスマス(III)トリフレート(15.2 mg/ 0.023 mmol)と、ドライアライト(379.6 mg)をナスフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下でジクロロメタン(3.5 mL)に溶解させ0℃にした。その後、テトラエチレングリコールモノベンゾエート(165.3 mg/ 0.55 mmol)を加え2時間撹拌した。次に、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて反応を停止させ、酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて有機層を抽出し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒比ヘキサン:酢酸エチル=2:1)によって精製を行った。1H-NMR (600 MHz, CDCl3): δ 3.34 (1H, d, J = 9.6 Hz, H-2), 3.48-3.70 (14H, m, H-4, Ha-6, OCH2CH2O), 3.76-3.79 (3H, m, Hb-6, OCH2CH2O), 3.85 (1H, m, H-5), 4.10 (1H, t, J = 9.7 Hz, H-3), 5.27 ( 1H, dd, J = 2.0 Hz, J = 11.0 Hz, CH=CHaHb), 5.54 (1H, dd, J = 2.1 Hz, J = 11.0 Hz, CH=CHaHb), 5.99 (1H, m, CH=CH2), 13C-NMR (150 MHz, CDCl3): δ61.4 (OCH2CH2O), 64.10 (OCH2CH2O), 68.79 (C-6), 69.15 (OCH2CH2O), 70.00 (OCH2CH2O), 70.59 (OCH2CH2O), 70.64 (OCH2CH2O), 70.64 (OCH2CH2O), 70.73 (OCH2CH2O), 71.54 (C-5), 78.48 (C-4), 82.99 (C-3), 84.29 (C-2), 99.46 (C-1), 118.78 (CH=CH2), 135.28 (CH=CH2).(工程2) 次に、工程1で得られた生成物(220.9 mg/ 0.26 mmol)をジクロロメタン(10.0 mL)に溶かし、オゾンガスをバブリングさせ、6時間後に、トリフェニルホスフィン(260.4 mg/ 0.99 mmol)を加えた。24時間後、t-ブタノール(4.0 mL)と純水(1.0 mL)の混合溶媒中、亜塩素酸ナトリウム(238.5 mg/ 2.64 mmol)、リン酸二水素ナトリウム(122.2 mg/ 0.78 mmol)、2−メチル−2−ブテン(121.6 μL/ 1.15 mmol)を加えた。48時間後、ジクロロメタンと食塩水を用いて有機層を抽出し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒比クロロホルム:メタノール=5:1)によって精製を行った。その後、テトラヒドロフラン中、水酸化ナトリウム水溶液を用いて脱ベンゾイル化を行った。1H-NMR (600 MHz, CDCl3): δ3.37-4.00 (22 H, m, H-2, H-3, H-4, H-5, H-6, OCH2CH2O), 13C-NMR (150 MHz, CDCl3): δ60.4 (OCH2CH2O), 62.6 (OCH2CH2O), 68.5-70.4 (OCH2CH2O, H-6), 78.1 (C-5), 82.4 (C-4), 82.9 (C-2, C-3), 99.7 (C-1), 172.3 (C=O)(工程3)式[2]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体の合成 工程2で得られた化合物(20.4 mg/ 0.027 mmol)を、ジクロロメタン(3.0 mL)に溶かし、PyBOP (28.3 mg/ 0.054 mmol)、DIEA (9.3 μL/ 0.054 mmol)を加えた後48時間撹拌した。酢酸エチルとクエン酸水溶液を用いて有機層を抽出し、さらに酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて有機層を抽出し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒比クロロホルム:メタノール=15:1)によって精製を行い、式[2]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体(6.8 mg)を得た。13C-NMR (150 MHz, CDCl3): δ99.7 (C-1), 168.6 (C=O).(工程4) 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-C-ビニル-α-D-グルコピラノース(138.1 mg/ 0.24 mmol)と、トリフルオロメタンスルホン酸(1.0 μL/ 0.012 mmol)と、ドライアライト(161.5 mg)をナスフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下でアセトニトリル(3.5 mL)に溶解させ0℃にした。その後、エチレングリコールモノベンゾエート(51.3 mg/ 0.31 mmol)を加え2時間撹拌した。次に、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて反応を停止させ、酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて有機層を抽出し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒比ヘキサン:酢酸エチル=3:1)によって精製を行った。1H-NMR (600 MHz, CDCl3):δ3.38 (1H, d, J = 9.7 Hz, H-2), 3.62 (1H, d, J = 11.0 Hz, Ha-6), 3.68 (1H, dd, J = 2.7 Hz, J = 11.0 Hz, Hb-6), 3.69-3.72 (2H, m, H-4, CH2CH2OBz), 3.95 (1H, m, H-5), 4.19 (1H, t, J = 9.6 Hz, H-3), 4.46-4.53 (3H, m, CH2OBz, CH2Ph), 4.56-4.66 (3H, m, CH2Ph), 4.85-4.92 (4H, m, CH2Ph), 5.30 ( 1H, d, J = 10.9 Hz, CH=CHaHb), 5.60 (1H, d, J = 17.2 Hz, CH=CHaHb), 5.91-5.96 (1H, m, CH=CH2).(工程5) 次に、工程4で得られた生成物(121.5 mg/ 0.17 mmol)をジクロロメタン(4.0 mL)に溶かし、オゾンガスをバブリングさせ、45分後に、トリフェニルホスフィン(136.3 mg/ 0.52 mmol)を加えた。1時間後、濃縮し、メタノール(4.0 mL)に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(23.8 mg/ 0.63 mmol)を加えた。15時間後、酢酸エチルと食塩水を用いて有機層を抽出し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒比ヘキサン:酢酸エチル=1:1)によって精製を行った。その後、メタノール(3.0 mL)中、ナトリウムメトキシド(100.0 μg)を用いて脱ベンゾイル化を行った。1H-NMR (600 MHz, CDCl3): δ2.68 (1H, s, CH2OH), 2.98 (1H, s, CH2CH2OH), 3.60 (1H, dd, J = 2.0 Hz, J = 4.8 Hz, CH2CHaHbOH), 3.61 (1H, dd, J = 2.0 Hz, J = 6.2 Hz, CHaHbOH), 3.64-3.71 (7H, m, H-4, H-6, CHaHbOH, CH2CHaHbOH), 3.73 (1H, d, J = 9.6 Hz, H-2), 3.79 (1H, m, H-5), 4.09 (1H, t, J = 9.6 Hz, H-3), 4.48-4.57 (3H, m, CH2Ph), 4.74 (1H, d, J = 11.0 Hz, CHaHbPh), 4.82 (1H, d, J = 10.3 Hz, CHaHbPh), 4.89-4.93 (3H, m, CH2Ph), 7.14-7.34 (20H, m, Ph).(工程6)式[3]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体(nが1の化合物)の合成 工程5で得られた化合物(42.3 mg/ 0.069 mmol)を、テトラヒドロフラン(15.0 mL)に溶かし、NaH (131.1 mg/ 5.5 mmol)、トリエチレングリコールビストシレート(39.8 mg/ 0.087 mmol)を加えた後、6時間還流した。その後、メタノールを加え酢酸エチルと食塩水溶液を用いて有機層を抽出し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒比ヘキサン:酢酸エチル=1:10)によって精製を行い、式[3]のnが1の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体(31.8 mg)を得た。1H-NMR (600 MHz, CDCl3): δ3.49-3.52 (1H, m, Ha-9'), 3.50-3.77 (18H, m, H-4, H-5, H-6, CH2), 3.82 (1H, d, J = 9.7 Hz, H-2), 3.90 (1H, d, J = 11.7 Hz, CHaHbO), 3.96 (1H, d, J = 10.9 Hz, CHaHbO), 4.03-4.06 (1H, m, Hb-9'), 4.06 (1H, t, J = 9.6 Hz, H-3), 4.56 (1H, d, J = 11.0 Hz, CH2Ph), 4.57 (1H, d, J = 12.3 Hz, CH2Ph), 4.62 (1H, d, J = 11.7 Hz, CH2Ph), 4.79-4.88 (4H, m, CH2Ph), 4.92 (1H, d, J = 11.0 Hz, CH2Ph), 7.17-7.38 (20H, m, Ph).(工程7)式[3]の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体(nが2の化合物)の合成 工程5で得られた化合物(286.6 mg/ 0.47 mmol)を、テトラヒドロフラン(67.0 mL)に溶かし、NaH (197.6 mg/ 8.2 mmol)、テトラエチレングリコールビストシレート(286.0 mg/ 0.57 mmol)を加えた後、6時間還流した。その後、メタノールを加え酢酸エチルと食塩水溶液を用いて有機層を抽出し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒比ヘキサン:酢酸エチル=1:10)によって精製を行い、式[3]のnが2の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体(260.0 mg)を得た。1H-NMR (600 MHz, CDCl3): δ3.52-3.75 (23H, m, H-4, H-5, H-6, Ha-11', CH2), 3.77 (1H, d, J = 10.3 Hz, H-2), 3.82 (1H, d, J = 11.0 Hz, Ha-1'), 3.88 (1H, d, J = 11.0 Hz, Hb-1'), 3.91-3.94 (1H, m, Hb-11'), 4.06 (1H, t, J = 9.6 Hz, H-3), 4.54-4.57 (2H, m, CH2Ph), 4.60 (1H, d, J = 12.4 Hz, CH2Ph), 4.79 (1H, d, J = 11.0 Hz, CH2Ph), 4.83-4.86 (3H, m, CH2Ph), 4.90 (1H, d, J = 11.0 Hz, CH2Ph), 7.17-7.36 (20H, m, Ph). クラウンエーテル構造を持つことから、タンパク質中のアミノ基と結合して、タンパク質の物性や機能を改変するような性質を持ち、さらに糖分子を有することで、特定のタンパク質を選択することが出来ることから、DDSとしての利用が高まり、新しい医薬として重要な化合物になると考えられる。ヘミケタール構造のアノマー炭素原子をクラウンエーテルの環状炭素原子に含み、糖分子とクラウンエーテルがスピロ構造となる下記式[1]で示される糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体。 [1](R1は、ヘミケタール構造のアノマー炭素原子をクラウンエーテルの環状炭素原子に含む糖分子を示す。R2はCH2、C=O、またはCHOHを表す。nは0から3までの整数を表す。)下記式[2]に示される糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体。 [2](R3はOBn、OAc、OBz、NHAcまたはN3を表す。Bnはベンジル基、Acはアセチル基、Bzはベンゾイル基を表す。)下記式[3]に示される糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体。 [3](R4はOBn、OAc、OBz、NHAcまたはN3を表す。Bnはベンジル基、Acはアセチル基、Bzはベンゾイル基を表す。nは0から5までの整数を表す。)下記式[4]に示される1−C−ビニル化糖誘導体を原料に用い、エチレンオキシ鎖(酸素原子一つと炭素原子二つ)の異なるエチレングリコール誘導体に対し、ビスマス(III)トリフレート、またはトリフルオロメタンスルホン酸を活性化剤として反応させることを特徴とする請求項1〜3記載の糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体の製造法。 [4](R5はOBn、OAc、OBz、NHAcまたはN3を表す。Bnはベンジル基、Acはアセチル基、Bzはベンゾイル基を表す。) 【課題】ヘミケタール構造のアノマー炭素原子をクラウンエーテルの環状炭素原子に含み、糖分子とクラウンエーテルがスピロ構造となる糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体とその製造法の提供。 【解決手段】2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-C-ビニル-α-D-グルコピラノースと、一つの水酸基をベンゾイル基で保護したエチレングリコール誘導体を用い、ビスマス(III)トリフレート、またはトリフルオロメタンスルホン酸を活性化剤に用いることで、糖結合型スピロクラウンエーテル誘導体を製造することができた。【選択図】なし