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タイトル:再公表特許(A1)_ピセアタンノール含有組成物及びピセアタンノール含有組成物の製造方法
出願番号:2009056945
年次:2012
IPC分類:C07C 39/21,C07C 37/82,A23L 1/30,A61K 8/97,A61Q 19/00,C07C 37/72,A61K 31/05


特許情報キャッシュ

松井 悠子 亀井 優徳 杉山 謙吉 JP WO2010113315 20101007 JP2009056945 20090403 ピセアタンノール含有組成物及びピセアタンノール含有組成物の製造方法 森永製菓株式会社 000006116 松井 茂 100086689 松井 悠子 亀井 優徳 杉山 謙吉 C07C 39/21 20060101AFI20120907BHJP C07C 37/82 20060101ALI20120907BHJP A23L 1/30 20060101ALI20120907BHJP A61K 8/97 20060101ALI20120907BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20120907BHJP C07C 37/72 20060101ALI20120907BHJP A61K 31/05 20060101ALN20120907BHJP JPC07C39/21C07C37/82A23L1/30 BA61K8/97A61Q19/00C07C37/72A61K31/05 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20121004 2011506939 18 4B018 4C083 4C206 4H006 4B018LB08 4B018MD52 4B018ME14 4B018MF01 4C083AA111 4C083AC471 4C083CC01 4C083EE16 4C083FF01 4C206CA19 4C206KA01 4C206ZA89 4H006AA01 4H006AA02 4H006AA03 4H006AB10 4H006AB12 4H006AD16 4H006AD17 4H006BB14 4H006BB16 4H006BB31 4H006FE13 本発明は、パッションフルーツ種子由来のピセアタンノールを含有するピセアタンノール含有組成物及びその製造方法に関する。 下記非特許文献1には、ぶどう由来のポリフェノール類化合物であるレスベラトロール(Resveratrol)やピセアタンノール(Piceatannol)には、メラニン産生細胞によるメラニンの生成を抑制する作用効果があることが記載されている。しかしながら、その作用効果の確認試験のためには、市販の試薬が用いられており、ぶどう等天然物に由来するピセアタンノール等を含有する組成物を得ることに関しては記載がない。 一方、下記特許文献1には、レスベラトロールを、イタドリ(Reynoutria japonica Houtt.var.japnica)根の抽出物から安価に選択的且つ効率良く濃縮・回収することが記載されている。また、下記特許文献2には、レスベラトロールを含有するコケモモ抽出物が記載されている。更に、下記特許文献3,4には、パッションフルーツ(トケイソウ科、Passiflora sp.)の抽出物、特にパッションフルーツの果皮の抽出物に関する記載があり、その抽出物の食品、栄養補助食品、及び医学用への使用に関する記載がある。 しかしながら、上記文献の技術は、いずれも、天然物から得られる組成物であってピセアタンノールを高含有で含むものを提供する技術ではなかった。特開2005−281179号公報特開2009−13159号公報特開2007−302659号公報特表2007−531734号公報Takako Yokozawa and You Jung Kim, Piceatannol Inhibits Melanogenesis by Its Antioxidative Actions, Biological & Pharmaceutical Bulletin Vol. 30 (2007) No. 11 p2007-2011 食品安全に関する一般的観念からは、機能性食品や健康食品などの飲食品に配合されるピセアタンノールは、天然物由来のものであることが好ましい。しかしながら、従来、ピセアタンノールを豊富に含む天然物が知られておらず、また、ぶどう等の天然物からは非常に低含有の組成物しか得られなかった。 したがって、本発明の目的は、天然物由来の組成物であってピセアタンノールを高含有で含有するピセアタンノール含有組成物、並びにその製造方法を提供することにある。 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、従来、利用する用途もなく廃棄していたパッションフルーツ種子に、ピセアタンノールが豊富に含まれていることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明のピセアタンノール含有組成物は、パッションフルーツ種子から得られ、ピセアタンノールを0.0001〜99.9質量%の含有量で含むことを特徴とする。 本発明のピセアタンノール含有組成物によれば、ピセアタンノールを高含有で含有する、天然物由来の組成物を提供することができる。そして天然物由来の組成物であるので、化粧品や医薬品、更には機能性食品や健康食品などの飲食品に配合するのにも適している。 一方、本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法は、パッションフルーツ種子を粉砕した後、含水アルコール系溶媒及び含水ケトン系溶媒から選ばれた少なくとも1種を添加して攪拌し、前記溶媒中にピセアタンノールを抽出することを特徴とする。 本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法によれば、パッションフルーツ種子からのピセアタンノールの抽出に、含水アルコール系溶媒又は含水ケトン系溶媒を用いるので、天然物由来の組成物であってピセアタンノールを高含有で含有するものを、収率よく製造することができる。 本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法においては、パッションフルーツ種子を粉砕した後、含水アルコール系溶媒及び含水ケトン系溶媒のいずれか一方を添加して攪拌し、該溶媒中にピセアタンノールを抽出して第1抽出物を得、更に、前記抽出物として回収されなかった残渣に、含水アルコール系溶媒及び含水ケトン系溶媒のうち上記で選択しなかった他方を添加して攪拌し、該溶媒中にピセアタンノールを抽出して第2抽出物を得、前記第1抽出物と第2抽出物とを混合することが好ましい。この態様によれば、複数の溶媒で段階抽出するので、ピセアタンノールを高含有に含有するピセアタンノール含有組成物を、より収率よく製造することができる。 本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法においては、前記パッションフルーツ種子は、パッションフルーツの生の種子又はパッションフルーツの生の種子を乾燥した種子であることが好ましい。 また、本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法においては、前記含水アルコール系溶媒が含水エタノールであり、又は前記含水ケトン系溶媒が含水アセトンであることが好ましい。その含水率としては、含水エタノールの場合には、エタノールを20〜99.9体積%含むものであることが好ましい。含水アセトンの場合には、アセトンを20〜99.9体積%含むものであることが好ましい。これらの態様によれば、ピセアタンノールの抽出効率がより良い。 本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法においては、前記各溶媒中における攪拌を、超音波振動又は振とうによって行うことが好ましい。この態様によれば、ピセアタンノールの抽出効率がより良い。 また、本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法においては、抽出後、溶媒を減圧留去することが好ましい。 一方、本発明の他の1つは、パッションフルーツ種子から得られ、ピセアタンノールを0.0001〜99.9質量%の含有量で含むピセアタンノール含有組成物を添加した飲食品である。 また、本発明の更に他の1つは、パッションフルーツ種子から得られ、ピセアタンノールを0.0001〜99.9質量%の含有量で含むピセアタンノール含有組成物を添加した化粧品である。 本発明のピセアタンノール含有組成物によれば、ピセアタンノールを高含有で含有する、天然物由来の組成物を提供することができる。そして天然物由来の組成物であるので、化粧品や医薬品、更には機能性食品や健康食品などの飲食品に配合するのにも適している。一方、本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法によれば、パッションフルーツ種子からのピセアタンノールの抽出のための溶媒として、含水アルコール系溶媒又は含水ケトン系溶媒を用いるので、天然物由来の組成物であってピセアタンノールを高含有で含有するものを、収率よく製造することができる。また、含水アルコール系溶媒又は含水ケトン系溶媒に属する複数の溶媒で段階的に抽出することもでき、これによりより収率よく製造することができる。種子(A)果皮(b)及び果肉(c)からの抽出物のHPLCクロマトグラムを示す図表である。図1のHPLC分析で41分付近に溶出する成分のマススペクトル(A)及びUVスペクトル(B)を示す図表である。レスベラトロール(Resveratrol、分子量228)のマススペクトル(A)及びUVスペクトル(B)を示す図表である。ピセアタンノール(Piceatannol、分子量244)のマススペクトル(A)及びUVスペクトル(B)を示す図表である。溶媒のエタノール(A)又はアセトン(B)の含水率がピセアタンノールの抽出効率に与える影響を示す図表である。 本発明のピセアタンノール含有組成物は、パッションフルーツ種子から得られた組成物であって、ピセアタンノールを0.0001〜99.9質量%の含有量で含有する。その形状は液状、固形状、半固形状、ゲル状などであってよく、また、パッションフルーツ種子そのものや種子を粉砕したペーストや種子をフリーズドライして粉砕した粉末などの種子加工物であってもよい。そのピセアタンノールの固形分換算含有量としては、0.0001〜99.9質量%であることが好ましく、0.01〜50質量%であることが更に好ましく、0.1〜10質量%であることが最も好ましい。 ピセアタンノール(Piceatannol)は、下記化学式(1)で表される。 上記化学式で表されるピセアタンノールは、2個のフェニル基がトランス型のアルケン基で連結した構造の、トランス型ピセアタンノールであるが、本発明において、ピセアタンノール(Piceatannol)は、上記化学式において、2個のフェニル基がシス型のアルケン基で連結した構造の、シス型ピセアタンノールをも含む概念である。 パッションフルーツは、パッシフローラ属トケイソウ科の植物であり、別名:クダモノトケイソウ(果物時計草)とよばれ、その実は甘酸っぱく果物として実をそのまま食したり、その果汁をジュースにして飲んだり、ゼリー、ケーキ等の飲食品に配合して、風味付けに用いられたりされている。パッションフルーツの種子は硬く、ジュースなどにする場合には果実から取り除かれ、果実を種ごと飲食した場合であってもその外皮は硬く消化を受けにくいのでそのまま排泄されてしまう。本発明は、従来、利用する用途もなく廃棄していたパッションフルーツ種子に、ピセアタンノールが豊富に含まれていることを見出したことに基づく発明である。なお、本発明に用いられる、パッションフルーツ種子は、従来からのパッションフルーツの食経験からも裏付けられるように、機能性食品や健康食品などの飲食品に配合しても、その安全性には問題がないものである。 本発明のピセアタンノール含有組成物は、好ましくは例えば、生のままの、又は乾燥させたパッションフルーツ種子を粉砕し、種々の溶媒を用いて抽出する方法により得ることができる。そのパッションフルーツ種子には、抽出効率をよくするため、適宜、酸又はアルカリ分解、酵素分解等の化学的処理を施して、それから抽出してもよい。更に、下記に説明する本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法によれば、ピセアタンノールを高含有に含有する組成物を特に収率よく得られるので、その方法により得ることが最も好ましい。 以下に、本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法について説明する。 本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法においては、まず、パッションフルーツ種子を粉砕する。パッションフルーツ種子は、生のままの、又は乾燥させたパッションフルーツ種子を用いてもよく、抽出効率をよくするため、適宜、酸又はアルカリ分解、酵素分解等の化学的処理を施して、それから抽出してもよい。粉砕は、公知の粉砕機を用いて行うことができる。なお、パッションフルーツ種子には油分が多いため粉砕後にはペースト状になることがある。 次に、粉砕したパッションフルーツ種子に含水アルコール系溶媒及び含水ケトン系溶媒から選ばれた少なくとも1種を添加して攪拌し、その溶媒中にピセアタンノールを抽出する。 含水アルコール系溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール等の含水溶媒を用いることができ、特に、含水エタノールが好ましい。また、含水ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、クロロアセトン等の含水溶媒を用いることができ、特に、含水アセトンが好ましい。 その含水率としては、含水エタノールの場合には、エタノールを20〜99.9体積%含むものであることが好ましく、40〜99.9体積%含むものであることが更に好ましく、60〜80体積%含むものであることが最も好ましい。含水アセトンの場合には、アセトンを20〜99.9体積%含むものであることが好ましく、40〜99.9体積%含むものであることが更に好ましく、60〜80体積%含むものであることが最も好ましい。上記範囲を外れると、ピセアタンノールの抽出効率が悪くなることがあるので、好ましくない。なお、以下、含水溶媒の含水率の表記については、簡便化のため、例えば、20体積%で含水させた80体積%エタノールのことを「80%含水エタノール」と表記する。また、例えば、30体積%で含水させた70体積%エタノールのことを「70%含水エタノール」と表記する。更に、例えば、30体積%で含水させた70体積%アセトンのことを「70%含水アセトン」と表記する。 本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法においては、上記各溶媒中における攪拌を、超音波振動又は振とうによって行うことが好ましい。これによれば、粉砕され上記各溶媒に接したパッションフルーツ種子に、有効に振動が与えられるので、パッションフルーツ種子からの上記各溶媒中へのピセアタンノールの抽出効率を高めることができる。超音波振動は公知の超音波装置によって付与することができる。また、振とうは公知の振とう装置によって付与することができる。 また、本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法においては、抽出後、上記溶媒を減圧留去することが好ましい。これによれば、有機溶媒を含まない組成物とすることができ、機能性食品や健康食品などの飲食品に配合するための食品素材として、その安全性の基準等に適合させることが可能である。 本発明のピセアタンノール含有組成物の製造方法においては、複数の溶媒で段階的な抽出を行うことができる。これにより、ピセアタンノールを高含有に含有するピセアタンノール含有組成物を、より収率よく製造することができる。 具体的には、例えば、パッションフルーツ種子を粉砕した後、上記含水アルコール系溶媒及び上記含水ケトン系溶媒のいずれか一方を添加して攪拌し、その溶媒中にピセアタンノールを抽出して第1抽出物を得る。遠心等により抽出物とその抽出物として回収されなかった残渣に分離し、その残渣に、上記溶媒のうち選択しなかった他方を添加して攪拌し、その溶媒中にピセアタンノールを抽出して第2抽出物を得る。そして、前記第1抽出物と第2抽出物とを混合する。なお、この第2抽出物の単独でもパッションフルーツ種子の抽出物として利用可能であることはいうまでもない。 また、パッションフルーツ種子が、上記含水アルコール系溶媒又は上記含水ケトン系溶媒による第1の抽出処理を受けることによって、そのテキスチャー等の特性が抽出のために好適なものに変化することが考えられるので、続く第2の抽出処理の際には、上記含水アルコール系溶媒又は上記含水ケトン系溶媒を用いる場合はもとより、それ以外の溶媒を用いる場合であっても、その抽出効率が改善されることが期待できる。更に、後述の実施例でも示されるように、上記含水アルコール系溶媒又は上記含水ケトン系溶媒の抽出効率が良いのはその含水によると考えられるので、水や水性溶媒でパッションフルーツ種子に対して第1の処理を行うと、続く第2の抽出処理の際には、上記含水アルコール系溶媒又は上記含水ケトン系溶媒を用いる場合はもとより、それ以外の溶媒を用いる場合であっても、その抽出効率が改善されることが期待できる。 上記の方法で得られたパッションフルーツ種子の抽出物は、これを、そのまま又は濃縮して液体状のものをピセアタンノール含有組成物とすることもできる。更に凍結乾燥又は噴霧乾燥により粉末化して粉末状のものをピセアタンノール含有組成物とすることもできる。また、これらの形態に制限されるものでもない。抽出物中に含まれる不溶物は、適宜、濾過などで除くことができる。不溶物はさらに粉砕し、微細粒子状にしてもよい。 また、上記のようにして得られるパッションフルーツ種子からの一次的抽出物を、イオン交換、サイズ排除カラムクロマト法、HPLC法、ゲルろ過、膜分離等により、ピセアタンノールを指標にして分画、精製して、これをピセアタンノール含有組成物とすることもできる。 具体的には、例えば、後述の実施例で示されるように、パッションフルーツ種子から抽出した組成物を下記条件でHPLCにかけたときにはピセアタンノールは41分付近に溶出される。また、この溶出画分について質量分析装置によるマススペクトル測定を行うと、ネガティブイオンモードのシグナルとしてm/z243を呈する。[HPLC条件] ・ カラム:Mightysil RP-18 GP150-4.6 径4.6mm、長さ150mm(関東化学株式会社製) ・ カラム温度:40℃ ・ 溶出条件:流速1ml/min、0%メタノール→30%メタノール(60min) ・ UV検出:280nm したがって、本発明においては、上記に例示されるようなピセアタンノールの物性を指標にして、適宜分画、精製して、ピセアタンノールの含有量の高められた、パッションフルーツ種子由来のピセアタンノール含有組成物を調製することができる。 本発明のピセアタンノール含有組成物は、必要に応じて、薬学的に許容される基材や担体を添加して、錠剤、顆粒剤、散剤、液剤、粉末、顆粒、カプセル剤、ゼリー状剤等の形態にして、これを医薬に利用することができる他、軟膏剤、クリーム剤、ジェル、パック、化粧水、化粧料等の形態にして、これを化粧品として利用することができる。 また、本発明のピセアタンノール含有組成物は、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等に配合して摂取することもできる。このような食品としては、例えば、チョコレート、ビスケット、ガム、キャンディー、クッキー、グミ、打錠菓子等の菓子類;シリアル;粉末飲料、清涼飲料、乳飲料、栄養飲料、炭酸飲料、ゼリー飲料等の飲料;アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓が挙げられる。更に、そば、パスタ、うどん、そーめん等の麺類も好ましく例示できる。また、特定保健用食品や栄養補助食品等の場合であれば、粉末、顆粒、カプセル、シロップ、タブレット、糖衣錠等の形態のものであってもよい。 以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。 <試験例1>[パッションフルーツからのピセアタンノールの検出・同定] パッションフルーツを果皮・果肉・種子の3つの部位に分け、それぞれをフリーズドライして、粉砕機(商品名「サンプルミル 型式SK−M」、協立理工株式会社)で粉砕し、各部位を80%含水エタノールで抽出した。遠心後その上清をとりエバポレートで濃縮後、フリーズドライして粉末にした。この粉末を水に溶かして抽出物とした。そして、それぞれの固形分濃度を、種子抽出物については0.01g/mlに希釈し、果皮抽出物、又は果肉抽出物については0.1g/mlに希釈して、それらの5μlずつをHPLCにかけた。 HPLCによる分析条件は、以下のとおりとした。 ・ カラム:Mightysil RP-18 GP150-4.6 径4.6mm、長さ150mm(関東化学株式会社製) ・ カラム温度:40℃ ・ 溶出条件:流速1ml/min、0%メタノール→30%メタノール(60min) ・ UV検出:280nm 図1A〜図1Cには、上記それぞれの抽出物のHPLCクロマトグラムを示す。その結果、図1Aに示されるように、種子抽出物については、41分付近にピークが見られた。これに比べて、果皮及び果肉からの抽出物については、インジェクションした固形分濃度が、種子抽出物の10倍であるにもかかわらず、41分付近のピークが確認できなかった。 次に、種子抽出物の、上記保持時間41分付近に溶出する成分が、どのような物質であるかを以下のように同定した。 まず、HPLC/質量分析装置(サーモエレクトロン株式会社製、装置名「Thermo-LCQ-MS/MS」)を用いて、そのマススペクトルを測定した(図2A)。ポジティブ、ネガティブの両イオンモードで検討したがネガティブに良好なイオンが見出されたので、そのデータを用いた。その結果、主要シグナルm/z243は、(M−H)−であり、その他のピークm/z279は(M+2H2O−H)−と帰属され、m/z487は(M×2−H)−と帰属できた。したがって、分子量が244と決定できた。また、UVスペクトルを取ると、λmaxとして、220nm、304nm、322nmが観察された(図2B)。 これらのマススペクトルやUVスペクトルの結果は、ピーナッツ果皮に含まれるポリフェノールであるレスベラトロール(Resveratrol、分子量228)に類似していた(図3A,B参照)。また、別途ポリフェノールを吸着する樹脂であるポリビニルポリピロリドン(PVPP:Polyvinylpolypyrrolidone)への吸着も確認された。更に、上記41分付近のピークは、同じHPLC条件でのレスベラトロールの保持時間に比べて、逆相カラムへの保持時間が小さかった。これらを総合して、上記種子抽出物の、保持時間41分付近に溶出する成分は、レスベラトロールより水酸基1個分分子量が大きい、下記式(1)で表されるピセアタンノール(Piceatannol、分子量244)であると考えられた。 そこで、ピセアタンノールの純化合物(シグマ社製)について、上記と同じ条件でのHPLC分析を行ない、さらにマススペクトルやUVスペクトルを得た(図4A,B)。その結果、HPLCにおける保持時間や、マススペクトルやUVスペクトルの帰属が全て一致していた。 以上から、上記種子抽出物の、上記HPLC分析での41分付近のピークはピセアタンノールのピークであり、パッションフルーツの種子にはピセアタンノールが多く含まれていることが明らかとなった。一方、パッションフルーツの果皮や果肉からはピセアタンノールは検出できなかった。 <試験例2>[パッションフルーツ種子からのピセアタンノールの抽出 その1] パッションフルーツ種子からのピセアタンノールの抽出方法について検討した。具体的には、国内産と外国産の2種類のパッションフルーツの種子について、各種の溶媒を用いて、ピセアタンノールの抽出効率を調べた。 (1)80%含水エタノールによる抽出 粉砕した種子の5gに80%含水エタノールの50mlを加え、30分間超音波をかけながら抽出を行った。その上清を回収した後、同じ操作で2回、計3回の抽出を行った。そして回収した抽出液を集め、得られた抽出液を80%含水エタノールで200mlに定容し、その10μlをHPLCにかけた。そして、常法に従い、HPLC分析のピーク下面積から、それを標準品濃度の検量線にあてはめることにより、その抽出物に含まれるピセアタンノールの量を定量した。なお、参考のために、レスベラトロールも同様に定量した。 (2)70%含水アセトンによる抽出 上記80%含水エタノールによる抽出の後の抽出残渣に、70%含水アセトンの50mlを加え、30分間超音波をかけながら抽出を行った。その上清を回収した後、同じ操作で2回、計3回の抽出を行った。そして回収した抽出液を集め、得られた抽出液を70%含水アセトンで200mlに定容し、上記と同様にして、その抽出物に含まれるピセアタンノール、及びレスベラトロールの量を定量した。 (3)酢酸エチルによる抽出 溶媒を酢酸エチルに代えて、パッションフルーツ(上記外国産)の種子について、上記80%含水エタノールによる抽出と同様にして、フリーズドライした種子粉末5gから抽出されるピセアタンノール、及びレスベラトロールの量を定量した。 (4)ジクロロメタンによる抽出 溶媒をジクロロメタンに代えて、パッションフルーツ(上記外国産)の種子について、上記80%含水エタノールによる抽出と同様にして、フリーズドライした種子粉末5gから抽出されるピセアタンノール、及びレスベラトロールの量を定量した。 結果を下記表1にまとめた。なお、この表1では、抽出効率の結果を、フリーズドライした種子粉末の100g当たりから抽出される、ピセアタンノールの量、又はレスベラトロールの量に換算して表している。 表1に示されるように、80%含水エタノールによる抽出の後の抽出残渣からでも、80%含水エタノールによる抽出にくらべて、それ以上のピセアタンノールが抽出されていた。一方、酢酸エチル単独による抽出では抽出効率は悪く、ジクロロメタン単独による抽出では、ピセアタンノールやレスベラトロールが検出できなかった。したがって、70%含水アセトンによる抽出が最も効率が良いことが明らかとなった。また、80%含水エタノールによる抽出と70%含水アセトンによる抽出とを併用することで、抽出効率が更に良くなることが明らかとなった。 <試験例3>[パッションフルーツ種子からのピセアタンノールの抽出 その2] パッションフルーツ種子からのピセアタンノールの抽出方法について更に検討した。具体的には、溶媒であるエタノールやアセトンの、その含水率が抽出効率に与える影響を調べた。 そのために、溶媒として、種々の含水率のエタノール、又はアセトンを用いて、上記試験例2と同様にして、パッションフルーツ(上記外国産)のフリーズドライした種子粉末5gから抽出されるピセアタンノール、及びレスベラトロールの量を定量した。なお、上記試験例2で用いた溶媒の酢酸エチルやジクロロメタンは、いずれも水との相溶性に乏しいため、同様の含水率の溶媒を調製することはできない。 結果を下記表2にまとめた。また、図5には、ピセアタンノールの結果についてグラフにした。なお、この表2,図5でも、抽出効率の結果は、フリーズドライした種子粉末の100g当たりから抽出される、ピセアタンノールの量、又はレスベラトロールの量に換算して表している。 表2,図5に示されるように、エタノールを用いた場合には、80%含水エタノールによる抽出がもっとも効率がよかった。また、アセトンを用いた場合には、70%含水アセトンによる抽出がもっとも効率がよかった。 <試験例4> 上記試験例2において溶媒を除去した後の抽出物(上記外国産由来)を秤量し、ピセアタンノール固形分含量を算出した。それらの値を表3に示す。 表3に示されるように、80%含水エタノールによる抽出では、ピセアタンノールの固形分濃度は2.6mg/100mg抽出物(2.6質量%)であった。また、80%含水エタノールによる抽出の後の70%含水アセトンによる抽出では、3.7mg/100mg抽出物(3.7質量%)であった。したがって、70%含水アセトンによる抽出のほうがより多くのピセアタンノールを得ることができる(試験例2,3で示したように)とともに、ピセアタンノールの純度も、より高いものが得られることが明らかとなった。 パッションフルーツ種子から得られ、ピセアタンノールを0.0001〜99.9質量%の含有量で含むことを特徴とするピセアタンノール含有組成物。 パッションフルーツ種子を粉砕した後、含水アルコール系溶媒及び含水ケトン系溶媒から選ばれた少なくとも1種を添加して攪拌し、前記溶媒中にピセアタンノールを抽出することを特徴とするピセアタンノール含有組成物の製造方法。 パッションフルーツ種子を粉砕した後、含水アルコール系溶媒及び含水ケトン系溶媒のいずれか一方を添加して攪拌し、該溶媒中にピセアタンノールを抽出して第1抽出物を得、更に、前記抽出物として回収されなかった残渣に、含水アルコール系溶媒及び含水ケトン系溶媒のうち上記で選択しなかった他方を添加して攪拌し、該溶媒中にピセアタンノールを抽出して第2抽出物を得、前記第1抽出物と第2抽出物とを混合する、請求項2のピセアタンノール含有組成物の製造方法。 前記パッションフルーツ種子は、パッションフルーツの生の種子又はパッションフルーツの生の種子を乾燥した種子である請求項2又は3記載のピセアタンノール含有組成物の製造方法。 前記含水アルコール系溶媒が含水エタノールであり、又は前記含水ケトン系溶媒が含水アセトンである請求項2〜4のいずれか1つにピセアタンノール含有組成物の製造方法。 前記含水エタノールは、エタノールを20〜99.9体積%含むものである請求項5記載のピセアタンノール含有組成物の製造方法。 前記含水アセトンは、アセトンを20〜99.9体積%含むものである請求項5記載のピセアタンノール含有組成物の製造方法。 前記各溶媒中における攪拌を、超音波振動又は振とうによって行う請求項2〜7のいずれか1つに記載のピセアタンノール含有組成物の製造方法。 抽出後、溶媒を減圧留去する請求項2〜8のいずれか1つに記載のピセアタンノール含有組成物の製造方法。 パッションフルーツ種子から得られ、ピセアタンノールを0.0001〜99.9質量%の含有量で含むピセアタンノール含有組成物を添加したことを特徴とする飲食品。 パッションフルーツ種子から得られ、ピセアタンノールを0.0001〜99.9質量%の含有量で含むピセアタンノール含有組成物を添加したことを特徴とする化粧品。 【課題】天然物由来の組成物であってピセアタンノールを高含有で含有するピセアタンノール含有組成物並びにそのピセアタンノール含有組成物の製造方法を提供することにある。【解決手段】ピセアタンノールを0.0001〜99.9質量%の含有量で含むピセアタンノール含有組成物をパッションフルーツ種子から抽出して得る。また、そのピセアタンノールを抽出する際、パッションフルーツ種子を粉砕した後、含水アルコール系溶媒及び含水ケトン系溶媒から選ばれた少なくとも1種を添加して攪拌し、前記溶媒中にピセアタンノールを抽出する。この場合、含水アルコール系溶媒及び含水ケトン系溶媒の両溶媒を用いて段階抽出することが好ましい。【選択図】なし


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