タイトル: | 公開特許公報(A)_電解質の解析方法 |
出願番号: | 2009050367 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 21/64,H01M 8/04,H01M 8/10,G01N 21/78 |
長谷 康平 寺西 仁志 JP 2010203942 公開特許公報(A) 20100916 2009050367 20090304 電解質の解析方法 トヨタ自動車株式会社 000003207 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 長谷 康平 寺西 仁志 G01N 21/64 20060101AFI20100820BHJP H01M 8/04 20060101ALI20100820BHJP H01M 8/10 20060101ALI20100820BHJP G01N 21/78 20060101ALI20100820BHJP JPG01N21/64 FH01M8/04 ZH01M8/10G01N21/78 CG01N21/64 E 9 1 OL 10 2G043 2G054 5H026 5H027 2G043AA03 2G043BA07 2G043CA05 2G043DA02 2G043EA01 2G043FA01 2G043FA02 2G043KA02 2G043KA05 2G054AA04 2G054CA10 2G054CE02 2G054EA03 5H026AA06 5H026BB03 5H026BB06 5H026BB10 5H026EE18 5H026HH00 5H026HH03 5H027AA06 本発明は、燃料電池等の触媒層に含まれる電解質を解析する方法、特に触媒層に含まれる電解質の分布を解析する方法に関する。 燃料電池は、高分子電解質膜を介して一対の触媒層(一方がカソード触媒層、他方がアノード触媒層)が接合した構造、すなわち膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を主要部材として有している。なお、一対の触媒層の外側にガス拡散層を有する構造もMEAに含まれる。 また、一対の触媒層は、炭素粒子に白金等を担持させた白金担持触媒を、アイオノマと呼称される高分子電解質膜と同種の化合物に分散した構造となっている。例えば、溶融状態のアイオノマに白金担持触媒を添加し、その後、十分に混練・撹拌することで白金担持触媒をアイオノマ中に分散した触媒インクを調製する。この触媒インクを高分子電解質膜の両主面に塗布・乾燥させることで、触媒層を形成することができる。 ここで、触媒層におけるアイオノマは、必ずしも均一に分散してはおらず面内方向及び/又は膜厚方向に偏って分布している可能性がある。ただし、触媒層におけるアイオノマを積極的に偏った分布となるように形成するといった報告も多い。 ところで、従来、触媒層におけるアイオノマを観察する手法としては、走査電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等を使用している。しかしながら、電子線を使用する解析方法では、電子線照射によりアイオノマの分解が生じ、測定中に触媒層若しくは触媒層を含む構造体の構造が変化するといった不都合がある。また、これらの手法では、アイオノマと白金担持触媒との境界を鮮明に検出することができないといった不都合もあった。さらに、これらの手法では、解析対象の触媒層若しくは触媒層を含む構造体を包埋樹脂により固定する必要があるが、アイオノマと包埋樹脂との境界を鮮明に検出することができないといった不都合もあった。換言すれば、従来、触媒層におけるアイオノマを高感度に検出する方法は知られておらず、アイオノマの存在形態に偏った分布を付けた触媒層についても、実際にアイオノマがどのように分布して存在するかを解析することは困難であった。 特許文献1には、特徴的なMEAについてTEMを使用して解析したことが開示されている(特許文献1の段落〔0055〕)。 特開2004−71253号公報 本発明は、上述した実情に鑑み、触媒層に含まれる電解質を容易、且つ高精度に検出することができ、その結果、当該触媒層内の電解質の分布や触媒粒子の分布等を解析することができる解析方法を提供することを目的としている。 上述した目的を達成する本発明は以下を包含する。 (1)酸基を有する高分子化合物からなる電解質及び触媒を含む触媒部を有する構造体を、当該酸基に反応しうる結合部と標識部とを有するプローブ分子を含有する溶液に浸漬する工程と、上記標識部を検出することで、上記触媒部に含まれる上記電解質を観察する工程とを含む電解質の解析方法。 (2)上記構造体は、固体高分子電解質膜と上記触媒部とを接合した膜/電極接合体であることを特徴とする(1)記載の電解質の解析方法。 (3)上記構造体を面内方向に対して直交若しくは傾斜した角度で切断する工程を更に有し、切断面における上記標識部を検出することを特徴とする(1)記載の電解質の解析方法。 (4)上記プローブ分子は、上記標識部として芳香環構造を有する芳香族化合物であることを特徴とする(1)記載の電解質の解析方法。 (5)上記芳香族化合物は、4以上の芳香環を有することを特徴とする(4)記載の電解質の解析方法。 (6)上記標識部は、可視光領域内の波長の蛍光を発することを特徴とする(1)記載の電解質の解析方法。 (7)上記プローブ分子は、アミノ化ペリレンであることを特徴とする(1)記載の電解質の解析方法。 (8)上記電解質は、酸基としてスルホン基を有するポリマーであることを特徴とする(1)記載の電解質の解析方法。 (9)上記標識部に由来する発光強度に従って、上記触媒部に含まれる上記電解質の存在分布を観察することを特徴とする(1)記載の電解質の解析方法。 本発明に係る解析方法では、酸基を有する高分子化合物からなる電解質及び触媒を含む触媒部を有する構造体にプローブ分子を接触させることで、構造体に含まれる電解質に対して当該プローブ分子を特異的に吸着させることができる。当該プローブ分子における標識部を検出することにより上記触媒部に含まれる上記高分子化合物を観察することができる。本発明に係る解析方法によれば、従来、詳細な解析が困難であった触媒部における電解質や触媒の分布を詳細に解明することができる。本発明に係る解析方法を適用して解析するMEAの製造フロー及びMEAの解析フローを示すフローチャートである。実施例で作製した2種類の触媒層について、膜厚方向におけるアイオノマの分布を示す特性図である。 本発明に係る電解質の解析方法は、触媒部に含まれる電解質(アイオノマと呼称される)の存在分布を解析する際に適用することができる。 ここで、触媒部とは、白金(Pt)等の触媒粒子を担体に担持させたものをアイオノマに分散してなり、水素やメタノール等を燃料とした電気化学反応若しくは酸素を含有する酸化ガスとの電気化学反応を触媒する。ここで、触媒粒子としては、Ptに限定されず、例えば、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、金、銀等の貴金属元素、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、W等の卑金属元素を含むことができる。また、担体としては、導電性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、一般的な燃料電池に用いられる材料と同様のものを使用することができる。例えば、カーボンブラック、活性炭、アセチレンブラック、メソポーラスカーボン等を挙げることができる。担体と触媒粒子との質量比は特に限定しないが、5%〜80%程度とすることができる。 また、触媒部を構成する電解質としては、燃料電池の触媒電極層を形成する際に一般的に用いられる電解質樹脂を用いることができる。具体的には、電解質としては、酸基を有する高分子化合物であってプロトン伝導性を有する材料が使用される。すなわち、触媒粒子によって生成したプロトンは水和されて酸基上を移動する。ここで、酸基とは、特に限定されないが、例えばスルホン酸基を挙げることができるが、これに限定されず、例えば、カルボキシル基、リン酸基等を挙げることができる。 より具体的には、パーフルオロスルホン酸系ポリマーのようなフッ素系の樹脂やプロトン伝導基を有するポリイミドなどの炭化水素系の樹脂が挙げられる。例えば、ナフィオン(Nafionデュポン株式会社製)、フレミオン(Flemion、旭硝子社製)及びアシプレックス(Aciplex、旭化成社製)を挙げることができる。 本発明に係る解析方法においては、上記触媒部を有する構造体を、アイオノマに含まれる酸基に反応しうる結合部と標識部とを有するプローブ分子を含有する溶液に浸漬することで、プローブ分子をアイオノマに選択的に結合させる。ここで、プローブ分子における標識部とは、光学顕微鏡により視認可能な波長で発光する化学構造を意味する。標識部としては、特に限定されないが、蛍光を生ずる芳香環構造を挙げることができる。特に、標識部としては、多環の芳香環構造を採用することが好ましい。一般に芳香環数の増加に伴い蛍光波長は長波長にずれ、可視光領域(380nm〜780nm)での蛍光が得られるようになるためである。また、蛍光観察に蛍光顕微鏡を用いる場合は、可視光領域での蛍光を有する必要がある為、芳香環の環数は4以上であることが望ましい。一方、芳香環の環数が大きくなりすぎると、アイオノマにおける酸基への配位がしにくくなったり触媒層電解質のモルフォロジに影響を及ぼす可能性がある為、標識部における芳香族化合物の環数は10以下にすることが望ましい。 より具体的に、標識部としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、クリセン、トリフェニレン、テトラフェン、ピレン、ピセン及びペリレンを挙げることができる。 一方、結合部とは、上述したアイオノマにおける酸基に対して特異的に結合しうる化学構造を意味する。ここで、結合部と酸基との結合様式は、特に限定されず、共有結合やイオン結合の化学結合を挙げることができる。結合部としては、特に限定されないが、アミノ基等の塩基性の官能基を挙げることができる。 また、上記プローブ分子を含有する溶液としては、上記プローブ分子が例えば0.01〜0.5mol/L、好ましくは0.1〜0.5mol/Lとなるように調製したエタノール溶液とすることができる。上記触媒部を有する構造体を当該溶液に浸漬する工程では、例えば0〜70℃、好ましくは室温〜70℃とし、例えば1〜72時間、好ましくは24〜72時間とする。 上記触媒部を有する構造体を上記溶液に浸漬した後、当該構造体を取り出し、その後、洗浄することで余分のプローブ分子を洗い流すことができる。例えば、取り出した構造体をエタノール溶液中によって室温で洗浄することで、アイオノマにおける酸基に結合していない上記プローブ分子を除去することができる。 次に、洗浄後の構造体について、上記標識部を検出することで、上記触媒部に含まれる上記アイオノマを観察する。標識部を検出するには、標識部の化学構造にもよるが、例えば光学顕微鏡を用いることができる。プローブ分子として例えば、標識部が蛍光を生ずる化学構造である場合には蛍光顕微鏡を使用して、上記構造体に結合したプローブ分子を検出することができる。本工程では、プローブ分子の標識部に由来する発光(例えば蛍光)を観察できた領域がアイオノマの存在する領域であることが理解できる。なお、本工程では、上記構造体における面内方向の発光を観察することで、アイオノマの面内方向における分布を観察することができる。また、本工程では、上記構造体を面内方向に対して直交若しくは傾斜した角度で切断した後、切断面の発光を観察することで、膜厚方向におけるアイオノマの分布を観察することができる。なお、上記構造体を面内方向に対して直交若しくは傾斜した角度で切断する工程は、上記プローブ分子を含有する溶液に上記構造体を浸漬する工程の前であっても良いし、上記プローブ分子を含有する溶液に上記構造体を浸漬する工程の後であっても良い。 特に、触媒層の膜厚が3〜100μm程度の場合には、上記構造体を面内方向に対して直行若しくは傾斜した角度で切断し、得られた切断面の発光を観察することが好ましい。上記構造体を面内方向に対して傾斜した角度で切断することで切断面の総面積が大となり、触媒層の膜厚が3〜20μm程度であっても、触媒層におけるアイオノマの分布を高精度に観察することができる。 以上のように、本発明に係る解析方法によれば、標識部に由来する発光を検出することでアイオノマの存在状態を観察しているため、走査電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等に代表される電子線を使用した場合に起こりうるアイオノマの損傷や消失を回避することができる。また、標識部に由来する発光は、真空系などの特別な環境を要せず、蛍光顕微鏡のような光学顕微鏡を使用して簡便に検出することができる。したがって、本発明に係る解析方法によれば、触媒部におけるアイオノマの存在状態、存在分布を面内方向及び膜厚方向において迅速且つ簡便に観察することができる。 ところで、本発明に係る解析方法は、触媒層を単独で解析対象とすることもできるが、高分子電解質膜を介して一対の触媒層(一方がカソード触媒層、他方がアノード触媒層)が接合した構造、すなわち膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を解析対象とすることもできる。以下、触媒電極層の製造例について説明する。触媒電極層の製造方法においては、少なくとも触媒と電解質樹脂とを含む触媒ペーストを得る触媒ペースト調製工程、基材表面に上記触媒ペーストを塗布し、乾燥して触媒電極層を得る触媒電極層形成工程を経ることで触媒電極層を作製することができる。1.触媒ペースト調製工程 まず、触媒ペースト調製工程とは、少なくとも触媒とアイオノマとを含む触媒ペーストを調製する工程である。本工程は、少なくとも触媒とアイオノマとを含む触媒ペーストを得ることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、通常用いられる方法を用いることができる。具体的には、アイオノマ及び触媒が担持された導電性材料等を溶媒に溶融、分散させることにより触媒ペーストを調製する方法が挙げられる。ここで、溶媒としては、上記アイオノマ及び触媒が担持された導電性材料等を溶融、分散させることができればよく、アイオノマの種類などによって変化するものであり、特に限定されるものではない。例えば、水、アルコール系溶剤(エタノール等)、分散剤等を混ぜ合わせたものを用いることができる。2.触媒電極層形成工程 次に、触媒電極層形成工程とは、上述した触媒ペースト調製工程で得られた触媒ペーストを基材表面に塗布し、乾燥して触媒電極層を得る工程である。上記触媒ペーストを基材表面に塗布する方法としては、上述した触媒ペースト調製工程で得られた触媒ペーストを基材表面に塗布できる方法であれば、特に限定されるものではなく、通常用いられる方法を用いることができる。具体的には、アプリケーターを用いて、バーを押しながら塗布する方法、スプレー塗布する方法、静電塗工による方法などを挙げることができる。 上記基材としては、上述した触媒ペースト調製工程で得られた触媒ペーストを本工程によって塗布した後、乾燥して所望の触媒電極層を得ることができ、これを熱圧着等により固体電解質と密着させ、燃料電池としたときに、所望の性能が得られるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、テフロン(登録商標)シート、PETフィルム等が挙げられる。中でも、剥離性がよく、一般的な燃料電池に用いられる基材として汎用されている等の理由からテフロン(登録商標)シートが特に好ましい。また、上記基材の代わりにガス拡散層を用いても良い。 本工程において、触媒ペーストを基材表面に塗布した後には、乾燥を行う。具体的な方法としては、基材表面に触媒ペーストを塗布した後、触媒ペースト中の水分やアルコール成分が完全に蒸発する程度の所定の条件で、真空乾燥させる方法等が挙げられる。真空乾燥させる場合、例えば、80℃以上、中でも80〜130℃の範囲内、特に100〜120℃の範囲内の温度条件とすることが好ましい。また、真空乾燥させる時間としては、例えば、4時間以上、中でも4〜12時間の範囲内、特に8〜10時間の範囲内であることが好ましい。 以上のようにして形成されて、基材表面上の触媒電極層を、少なくとも固体電解質膜のカソード側に配置して密着させることで、燃料電池に使用されるMEAを製造することができる。なお、得られた膜電極接合体は、その外側にガス拡散層及びセパレータをこの順で設置することもできる。 膜電極接合体を形成するには、先ず、上述したように得られた触媒電極層を、固体電解質膜のカソード側に配置してホットプレス等により所定の温度、圧力で熱圧着等させる。その後、固体電解質膜のアノード側に、上述した触媒ペーストを直接塗布して膜電極接合体を形成する方法、テフロン(登録商標)シートなどに所定の触媒ペーストを塗布した後に固体電解質膜に加熱プレスして転写して膜電極接合体を形成する方法、あるいはガス拡散層に所定の触媒ペーストを塗布し、後述するガス拡散層設置工程と同時にアノード側に触媒電極層を密着させる方法等により、膜電極接合体を形成することができる。 触媒電極層を固体電解質膜に配置して密着させる条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、上述したホットプレスする場合の温度条件としては、例えば、100℃以上、特に120〜130℃の範囲内であることが好ましい。また、圧力は、例えば、2MPa以上、特に7〜8MPaの範囲内であることが好ましい。また、雰囲気としては、特に限定されるものではなく、例えば、通常の室内等の大気等を挙げることができる。 以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施例に限定されるものではない。〔実施例1〕 本実施例では、固体電解質膜の一主面に触媒電極層を設置してなるMEAを作製し、このMEAを解析対象とし、触媒電極層の膜厚方向におけるアイオノマの分布を観察した。MEAの作製から発光観察までの工程を図1に模式的に示した。1.電極作製1-1. インク作製 20wt% Nafion 2020 分散溶液 (和光純薬製)、50 wt% Pt/C (田中貴金属製)、エタノール、水を所定量秤取り、超音波処理により分散させインクとした。1-2. 電極作製 図1(1)に示したように、テフロンシート上にインクをブレードコートし、その後乾燥させる事により燃料電池触媒層を形成した。乾燥の条件を以下の2種類とすることで、2種類の燃料電池触媒層を作製した。乾燥後の触媒層の膜厚は16μmであった。(触媒層1)ブレードコート後、大気雰囲気中、室温にて自然乾燥(触媒層2)ブレードコート後、すぐに80℃にて熱風乾燥1-3. MEA作製 図1(2)に示したように、テフロンシート上に作製した触媒層をホットプレス (130℃)によりNafion電解質膜上に転写しMEAを作製した。その後、図1(3)に示すように、20mm×20mmの形状に切断し、以下の蛍光観察に用いた。2. 蛍光観察2-1. プローブ導入 図1(4)に示したように、アミノ基を導入したペリレンのエタノール溶液(0.2 mol/L)に、20mm×20mmのMEAを浸漬 (室温, 24 hr)する事により、触媒層に含まれるNafionのスルホン酸基部位にペリレンを導入した。その後、MEAをエタノールにて3回洗浄(室温)し、余剰のペリレンを取り除いた。2-2. 切片切り出し 図1(5)に示したように、断面積を大きくする為にMEAを膜厚方向に対して斜め(約30度)にカットした。2-3. 蛍光測定 図1(6)に示したように、切断面を蛍光顕微鏡(株式会社キーエンス社製、商品名:BZ-9000)による観察面とし、ペリレン由来の蛍光を観察、蛍光強度を解析した。なお、励起波長は420nmとし、600nmの波長の蛍光を観察した。本例では、触媒層における固体電解質膜側、中央部及び気相側の蛍光強度を測定し、これらの領域における蛍光強度を触媒層1と触媒層2について比較した。なお、固体電解質膜側を高分子電解質膜-触媒界面より1μmの領域と定義し、気相側を触媒層-気相界面より1μmの領域と定義し、中央部を固体電解質膜側の領域と気相側の領域を除く領域と定義した。 結果を図2に示した。図2に示したように、触媒層の膜厚方向におけるアイオノマの分布を観察できることが明らかとなった。詳細には、触媒層1では、触媒層2と比較して、固体電解質膜側のアイオノマが少なくなっていることを観察することができた。この結果は、触媒層の形成時(図1(1))、触媒層のアイオノマが重力によりPTFEシート側に沈むためにアイオノマの分布が生じるという予測に合致していた。一方、触媒層2は、触媒層形成時に熱乾燥により溶媒を揮発させ触媒層を急速に固化させたため、アイオノマが膜厚方向に均一に分散していることが分かった。本実施例に示した結果から、本手法により触媒層に含まれるアイオノマの分布を簡便且つ高精度に観察できることが明らかとなった。 本発明に係る電解質の解析方法は、触媒層に含まれる電解質の分布を簡便且つ高精度に解析することができため、例えば燃料電池の製造における触媒電極層の解析方法として利用することができる。 酸基を有する高分子化合物からなる電解質及び触媒を含む触媒部を有する構造体を、当該酸基に反応しうる結合部と標識部とを有するプローブ分子を含有する溶液に浸漬する工程と、 上記標識部を検出することで、上記触媒部に含まれる上記電解質を観察する工程とを含む電解質の解析方法。 上記構造体は、固体高分子電解質膜と上記触媒部とを接合した膜/電極接合体であることを特徴とする請求項1記載の電解質の解析方法。 上記構造体を面内方向に対して直交若しくは傾斜した角度で切断する工程を更に有し、切断面における上記標識部を検出することを特徴とする請求項1記載の電解質の解析方法。 上記プローブ分子は、上記標識部として芳香環構造を有する芳香族化合物であることを特徴とする請求項1記載の電解質の解析方法。 上記芳香族化合物は、4以上の芳香環を有することを特徴とする請求項4記載の電解質の解析方法。 上記標識部は、可視光領域内の波長の蛍光を発することを特徴とする請求項1記載の電解質の解析方法。 上記プローブ分子は、アミノ化ペリレンであることを特徴とする請求項1記載の電解質の解析方法。 上記電解質は、酸基としてスルホン基を有するポリマーであることを特徴とする請求項1記載の電解質の解析方法。 上記標識部に由来する発光強度に従って、上記触媒部に含まれる上記高分子化合物の存在分布を観察することを特徴とする請求項1記載の電解質の解析方法。 【課題】触媒層に含まれる電解質を容易、且つ高精度に検出することができ、その結果、当該触媒層内の電解質の分布や触媒粒子の分布等を解析する。【解決手段】酸基を有する高分子化合物からなる電解質及び触媒を含む触媒部を有する構造体を、当該酸基に反応しうる結合部と標識部とを有するプローブ分子を含有する溶液に浸漬する工程と、上記標識部を検出することで、上記触媒部に含まれる上記電解質を観察する工程とを含む。上記構造体は、固体高分子電解質膜と上記触媒部とを接合した膜/電極接合体である。【選択図】図1