タイトル: | 公開特許公報(A)_経皮吸収促進剤及びこれを含有する皮膚外用剤 |
出願番号: | 2009037405 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 8/893,A61K 47/34,A61Q 19/00 |
武岡 永里子 草場 健太郎 岡本 亨 JP 2010189352 公開特許公報(A) 20100902 2009037405 20090220 経皮吸収促進剤及びこれを含有する皮膚外用剤 株式会社資生堂 000001959 ▲高▼野 俊彦 100094570 武岡 永里子 草場 健太郎 岡本 亨 A61K 8/893 20060101AFI20100806BHJP A61K 47/34 20060101ALI20100806BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20100806BHJP JPA61K8/893A61K47/34A61Q19/00 4 OL 23 4C076 4C083 4C076AA09 4C076AA16 4C076BB31 4C076EE27N 4C076FF34 4C083AA082 4C083AA112 4C083AA122 4C083AB032 4C083AB051 4C083AB232 4C083AB242 4C083AB282 4C083AB352 4C083AB432 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC082 4C083AC092 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC172 4C083AC182 4C083AC212 4C083AC242 4C083AC262 4C083AC302 4C083AC312 4C083AC342 4C083AC352 4C083AC392 4C083AC422 4C083AC432 4C083AC442 4C083AC472 4C083AC482 4C083AC532 4C083AC542 4C083AC562 4C083AC582 4C083AC622 4C083AC642 4C083AC662 4C083AC682 4C083AC712 4C083AC772 4C083AC792 4C083AC842 4C083AD042 4C083AD052 4C083AD092 4C083AD112 4C083AD152 4C083AD161 4C083AD162 4C083AD172 4C083AD202 4C083AD212 4C083AD252 4C083AD262 4C083AD332 4C083AD352 4C083AD392 4C083AD492 4C083AD512 4C083AD532 4C083AD552 4C083AD622 4C083AD642 4C083AD662 4C083BB51 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC07 4C083CC13 4C083CC37 4C083DD01 4C083DD05 4C083DD23 4C083DD27 4C083DD30 4C083DD32 4C083DD33 4C083DD41 4C083EE03 4C083EE07 4C083EE12 4C083EE22 4C083EE24 4C083FF01 4C083FF05 本発明は、経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤、及びこれを配合した皮膚外用剤に関する。 さらに詳しくは、製剤中の水相又は水相領域近傍に存在し、特に皮膚への浸透性が低い水溶性薬剤の経皮吸収を、選択的に促進したり又はコントロールしたりして、特異的に皮膚内のターゲット部位へ効率良く貯留させ、水溶性薬剤の有効濃度を高めることを目的とする、経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤、及びこれを配合した皮膚外用剤に関する。 薬効成分の投与方法としては、経口投与や注射による投与等がひろく行われてきた。 しかしながら、経口投与の場合には吸収が不十分であったり、胃腸障害等の副作用をひきおこしたりする欠点があった。 また、注射による投与では吸収は速いが、医師等の専門家が必要である。 近年、このような副作用や欠点を改善するために、経皮投与による外用製剤が開発されている。経皮投与は、下記の1〜4の理由から注目されている。1:制御された速度で長時間投与が可能である。2:投与が確実である。3:肝臓での代謝をうけにくい。4:必要に応じて投与を中止できる。 特に、皮膚を薬効成分の作用部位とする化粧料などの皮膚外用剤の場合、薬効成分をダイレクトに皮膚に浸透可能かつ、従来のように皮膚の薬効成分通過量を高めるのではなく、有効薬剤のターゲット部位である皮膚各部位での薬剤濃度を高めるような、経皮外用剤を用いることが好ましい。 しかしながら、そのような外用製剤においても、未だ十分な皮膚浸透効果が得られない場合が多く、満足できる状態とは言いがたい。 すなわち、皮膚の最外層は角質層と呼ばれ、本来体外からの異物の侵入を防御するバリアー層としての生理的機能を有するものであるため、ただ単に従来外用製剤に常用されてきた基剤中に薬効成分を配合しただけでは、十分に皮膚内での薬剤濃度の向上は認められない。 これを改良するために、界面活性剤や油分等の低分子の経皮吸収促進剤を配合したり、あるいは、剤型としてパック、シートを用いることにより皮膚に対するオクルージョン効果を高めたりする方法が主なものとして挙げられる。 例えば、特許文献1には、グリセリル変性シリコーンからなる経皮吸収促進性を利用した皮膚外用剤が開示されている。 しかしながら、低分子量の界面活性剤または油分からなる経皮吸収促進剤の使用は、角層間脂質を乱す、製剤上での制約がある、一過的性に皮膚透過量は増加するが皮内ターゲット部位での濃度の持続性がないため有効濃度を保つことができない、等の理由で、十分なものとは言いがたい。 また、角層間脂質に対して影響が小さい高分子経皮吸収促進剤、特に水に不溶の油性の高分子経皮吸収促進剤は、水相中の薬剤とは相互作用しにくいため、水溶性薬剤の経皮への浸透促進には不適である。 さらに、パック、シートは使用時の行動が制限される。 したがって、皮膚浸透促進剤自体は皮膚への刺激がなく、目的とする薬剤のみを皮膚内のターゲットとする場所へ、選択的に効率よく、かつ持続的に浸透促進させることの可能な基剤の開発が望まれてきた。 上述の観点から、本発明者等は、簡便かつ的確に被験物の皮膚浸透量を測定する方法について鋭意研究した結果、特許文献2において、皮内各部位へ浸透した被験物量を皮膚浸透された被験物量の指標として、in vitroまたはin vivoで関連付けることにより、簡便かつ的確に被験物の皮膚浸透量(濃度)を把握することが可能であることを見出した。そして、本評価法を用い、特許文献3において、トリグリセリン以上のポリグリセリン基を有する親水性ポリグリセリン変性シリコーンからなる経皮吸収促進剤を発明している。 一方、糖残基をシリコーン末端に有するオルガノシロキサンは特許文献4に記載されている。そして特定の糖残基をシリコーン末端に有するオルガノシロキサンを利用した経皮吸収促進剤は特許文献5に記載されている。 また、糖変性シリコーンを配合した化粧料は特許文献6に記載されている。特開平9−118636号公報特開2003−183117号公報特開2002−71682号公報特開平5−186596号公報特開平11−92490号特開平6−145023号公報 本発明者等は、特に皮膚への浸透性が低い水溶性薬剤に関し、その浸透性を選択的に皮膚中へ高める基剤についてさらなる研究を進めた結果、糖変性直鎖状シリコーンが、目的とする水溶性薬剤のみを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させ、その有効濃度を長時間に亘り維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明は、目的とする薬剤のみを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させ、その有効濃度を長時間に亘り皮膚中にて維持することが可能な経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤、及びこれを配合した皮膚外用剤を提供することを目的とする。 すなわち、本発明は、糖変性直鎖状シリコーンからなる経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤を提供するものである。 また、本発明は、前記糖変性直鎖状シリコーンが、シリコーン側鎖に糖変性基を有する構造である上記の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤を提供するものである。 また、本発明は、薬剤と、上記の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤を有効成分として含有する皮膚外用剤を提供するものである。 さらに、本発明は、水溶性薬剤と、上記の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤を有効成分として含有し、さらに水性成分の含有量が全量に対して80%以上である水性皮膚外用剤を提供するものである。 本発明によれば、目的とする薬剤のみを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させ、有効濃度を長時間にわたり維持することが可能な経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤を提供出来る。 さらに、薬剤成分を配合した皮膚外用剤において、安全性が高く、使用感触のよい皮膚外用剤を提供出来る。 そして、皮膚に吸収され難い水溶性薬剤を皮膚外用剤に配合した場合に、その経皮吸収促進効果が特に優れたものとなる。 以下、本発明について詳述する「経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤」 本発明の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤とは、特定薬剤の経皮吸収促進又はコントロールすることを目的とする皮膚外用剤の原料成分である。「糖変性直鎖状シリコーン」 経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤となる糖変性直鎖状シリコーンは公知の化合物であり、前述した特許文献4に記載されてはいる。なお、特許文献4には片末端に糖変性基を含むシリコーンが記載されてはいる。しかしながら、片末端に糖変性基だけでは糖残基の置換率が低いので、シリコーン側鎖に糖変性基を有する下記式(I)のように水溶性にならない。 本発明においては、下記式(I)のようにシリコーンの側鎖に糖変性基がある構造のものを使用する。特に、下記式(I)のシリコーン化合物のうち、m=0、n=8、R1が同種または異種の炭素数1〜18の置換または非置換一価炭化水素基であり、具体的に例示すると、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。R2が−R3−O−G(R3は、炭素数2〜20の有機基、Gは、単糖、オリゴ糖又は多糖から誘導されるグリコシル基)という特定された糖変性直鎖状シリコーンが好ましい。 本願に用いる糖変性直鎖状シリコーンは、水溶性が高く、水と任意の濃度で混合させることが可能である。さらに、本発明に用いる糖変性直鎖状シリコーンは、皮膚外用剤に配合すると、肌に塗布した際の感触が軽く、べたつきが少ないという優れた性質を発揮する。このため、化粧料原料である経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤として特に好ましい。 本発明に用いる糖変性直鎖状シリコーンは、ポリシロキサン部を含む疎水部と、糖変性基を含む親水部とからなり、疎水性部、親水性部を分子内に含有する。 糖変性直鎖状シリコーンが水溶性であることにより、皮膚に吸収させる薬剤が水溶性の場合、薬剤と経皮吸収促進剤とが同じ水相に存在することで、有効成分に直接作用し、本発明の効果が一層発揮される。ポリシロキサン部は、分子内に糖残基を有するオルガノポリシロキサンの皮脂や角層間脂質等への親和性を高め、結果として有効成分を含有する基剤の表面張力を低下させ、水溶性有効成分と皮膚角層との親和性を高めることで有効成分の浸透を助ける働きを有する。 したがって、ポリシロキサン部を含まない炭化水素系物質と比較して、有効成分の基剤への分配が低く、皮膚への浸透を高める効果を有する。 また、糖残基は水溶性を保持する上で必須であるのみならず、水分保持能が高いことから、角層表面上で有効成分保持性の高い水和膜を形成し、有効成分を皮膚へ持続して放出させることが可能となる。その結果、水溶性薬剤の有効成分に対して、特異的に高い皮膚浸透効果を有する。 さらに、分子量が比較的大きいことから、経皮吸収促進剤自身はほとんど皮膚へ浸透することがないため、角層間脂質を乱さず、安全性が高い。 本発明においては、経皮吸収促進効果又は経皮吸収コントロール効果をより有効に発揮させるためには、薬剤を配合する皮膚外用剤の基剤が水系又はO/W型であることが好ましい。 本発明の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤は、化粧料に好適に配合され、薬効成分(薬剤)を効率的かつ持続的に皮膚浸透することができる。 薬効成分(薬剤)としては水溶性、油溶性、両親媒性のいずれも適用し得るが、水溶性であることが特に好ましい。 したがって、本発明の皮膚外用剤は水性化粧料が好ましく、水相を構成する水性成分の含有量は、全量に対して50質量%以上が好ましく、さらに好ましくは70質量%以上である。 また、水溶性薬剤を含有するローションにおいて、水相を構成する水性成分の含有量は全量に対して80質量%以上が好ましい。 本発明の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤によって皮膚に吸収される薬剤としては、例えば、美白剤、抗酸化剤、保湿剤、ビタミン類、各種アミノ酸、育毛剤、抗菌剤、ホルモン剤、酵素を初めとする薬剤成分が挙げられる。特に好ましくは水溶性美白剤である。以下に具体例を列挙するが水溶性の薬剤が好ましい。 美白剤としては、例えば、L−アスコルビン酸(ビタミンC)及びその誘導体、パントテン酸誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4−メトキシサリチル酸カリウム等のサリチル酸誘導体、レゾルシン誘導体、その他フェノール誘導体、プラセンタエキスや植物抽出物(例えばカミツレエキス)等の各種抽出物が好ましい。 L−アスコルビン酸及びその誘導体としては、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド又はそれらの塩;L−アスコルビン酸モノステアレート、L−アスコルビン酸モノパルミテート、L−アスコルビン酸モノオレート等のL−アスコルビン酸モノアルキルエステル類;L−アスコルビン酸モノリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルなどのL−アスコルビン酸モノエステル類;L−アスコルビン酸ジステアレート、L−アスコルビン酸ジパルミテート、L−アスコルビン酸ジオレートなどのL−アスコルビン酸ジアルキルエステル類;L−アスコルビン酸ジリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸ジエステル類;L−アスコルビン酸トリステアレート、L−アスコルビン酸トリパルミテート、L−アスコルビン酸トリオレートなどのL−アスコルビン酸トリアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリリン酸エステルなどのアスコルビン酸トリエステル類;L−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グルコシド類が挙げられる。 パントテン酸誘導体としては、例えば、パントテニルエチルエーテル、パントテニルアルコールが挙げられる。 トラネキサム酸誘導体としては、例えば、トラネキサム酸の二量体(例えば、塩酸トランス−4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(例えば、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’−ヒドロキシフェニルエステル)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(例えば、2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸及びその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミドおよびその塩、トランス−4−(P−メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩)が挙げられる。 抗酸化剤としては、例えば、グリチルリチン、グリチルリチン酸塩(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム)、アラントイン、チオタウリン、グルタチオン、カテキン、アルブミン、フェリチン、メタロチオネインが挙げられる。 保湿剤としては、例えば、尿素、グリセリン、キシリトール、エリスリトールが挙げられる。 ビタミン類としては、例えば、ビタミンAおよびその誘導体;ビタミンB6、ビタミンB6塩酸塩等のビタミンB6誘導体;ニコチン酸、ニコチン酸アミドのニコチン酸誘導体;ビタミンEおよびその誘導体;β−カロチンなどが挙げられる。特に、油溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンE)ではなく、水溶性ビタミン又は親水化したビタミン誘導体が好ましい。 アミノ酸としては、例えば、ヒドロキシプロリン、l−セリン、トリメチルグリシン、l−アルギニンが挙げられる。 育毛剤としては、例えば、パントテニルエチルエーテル、アデノシン、β−グリチルレチン酸、ミノキシジルが挙げられる。 抗菌剤としては、例えば、レゾルシン、イオウ、サリチル酸が挙げられる。 ホルモン剤としては、例えば、オキシトシン、コルチコトロピン、バソプレッシン、セクレチン、ガストリン、カルシトニン、ヒノキチオール、エチニルエストラジオールが挙げられる。 酵素としては、例えば、トリプシン、塩化リゾチーム、キモトリプシン、セミアルカリプロテナーゼ、セラペプターゼ、リパーゼ、ヒアルロニダーゼが挙げられる。 また、カンファー、メントール等の清涼剤も、本発明の水溶性薬剤として用いることが可能である。 本発明に用いる糖変性直鎖状シリコーンは、特に水溶性薬剤に対する経皮吸収の促進効果又はコントロール効果が大である。 水溶性薬剤としては、特に、水/オクタノール分配係数のlogP値が、1.2以下の水溶性薬剤が好ましい。 LogP値とは、Chemical Reviews vol71(6), 525 (1971)などで定義されている水とオクタノールへの物質の分配のしやすさにより、極性をあらわす係数である。 本発明において、logP値が1.2以下であるというのは、皮膚外用剤中のpH値にて1.2以下であることを意味する。 薬剤のlogP値は、計算ソフト(PALAAS:CompDrug Chemistry Ltd.製)にて算出することが出来る。 「logP値が1.2以下の水溶性薬剤」は、logP値が小さくなるほど(すなわち負の値が大きくなるほど)、疎水表面である角層との親和性が悪くなり、皮膚へ浸透しにくくなることが知られている。「logP値が1.2以下の水溶性薬剤」の浸透媒体である水相は、疎水性の角層との親和性が悪いので角層表面上でのぬれが悪い。そのため、皮膚への浸透面積が小さくなる。 経皮吸収量は基剤と皮膚との浸透面積に比例するので、浸透面積が小さいと浸透量も少なくなる。 本発明は、「logP値が1.2以下の水溶性薬剤」が存在している水相中に、親水性の糖変性直鎖状シリコーンを共存させることによって、水相と皮膚とのぬれ性を著しく改善し、通常では皮膚へ浸透し難い「logP値が1.2以下の水溶性薬剤」の皮膚浸透性即ち経皮吸収性を大きく促進させる画期的技術である。 「表1」に、logP値が1.2以下の代表的な水溶性薬剤を例示する。pH4〜8の領域での分配係数である(*1はpH5〜8の範囲)。 なお、イオン性薬剤の場合には、皮膚外用剤のpHにより解離度が変わるので、logP値が一定の範囲を有する値になっている。例えば、トラネキサム酸の場合は、pH4〜5付近と、pH10〜11付近に2つのpKaがあり、このpKaを境に、イオン基の解離状態が変化する。イオン解離した基の割合が多いpHにおいては、水溶性の割合が高くなり、logP値すなわち「log(オクタノール−水)分配」の値が小さくなる。 したがって、−2.87〜−2.49の値となっている。本願発明で意味する「logP値が1.2以下の水溶性薬剤」とは、トラネキサム酸のようなイオン性の薬剤に対しては、製剤中のpHにおいて取り得るlogP値が1.2以下の水溶性薬剤であるという意味である。 本発明の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤と、薬剤の皮膚外用剤中への配合量は、薬剤の種類及び意図する吸収速度などにより、適宜決定される。 通常、経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤は、皮膚外用剤全量に対して0.0001〜50質量%、薬剤は皮膚外用剤全量に対して0.0001〜20質量%程度配合される。 本発明の皮膚外用剤は、経皮吸収性に優れているので薬剤の配合量を少なくすることが出来る。 なお、本発明において、経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤とは、皮膚に作用する薬剤(薬効成分)の吸収を促進させたり、又はその吸収速度をコントロールしたりする作用を有する皮膚外用剤の原料を意味する。 本発明の皮膚外用剤には、上記した必須成分の他に、通常皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形及び製品形態に応じて常法により製造することが出来る。 次に実施例を挙げて本発明を説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。配合量は特に断りのない限り質量%を表わす。「実施例1」 実施例1に用いた経皮吸収促進剤(又は経皮吸収コントロール剤)は、式(I)の化合物の製造法は特に制限されないが、一般によく知られた、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと末端に二重結合を有する糖誘導体とのヒドロシリル反応によって製造することができる。 すなわち、下記の手順により製造される糖変性直鎖状シリコーンを使用した。 一般式(II)〔一般式(II)中、R1は同種または異種の炭素数1〜18の置換または非置換一価炭化水素基を示す。R4は水素原子を示す。mおよびnの平均値は同一または異なった0または正数を示し、かつ1≦m+n≦100である〕で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンと、一般式(III)で表される糖誘導体とを、白金触媒の存在下にて反応させて、目的の糖変性直鎖状シリコーンを製造することができる。[化3]R5−O−G (III)〔式中R5は、分子内に二重結合を有する炭素数1〜10の炭化水素基を示し、Gは、単糖、オリゴ糖又は多糖から誘導されるグリコシル基を示す。〕 なお、反応終了後Siに結合した水素原子が残っている場合には、反応終了後にオレフィン化合物を加え、未反応の水素原子をできるだけ反応させておくことが好ましい。特に式(I)で表される糖変性直鎖状シリコーンのうち、mが0〜5、nが5〜70のものは水に溶解し、本発明に関わる親水性薬剤の皮膚浸透効果を得るのに好適である。「比較例1」 比較例1に用いた水溶性オルガノポリシロキサンは下記式で示される公知のEO変性シリコーンである。「経皮吸収促進効果」 実施例1の糖変性直鎖状シリコーンを用いて、下記評価試験により、各種薬剤の皮膚浸透性促進効果を評価した。結果を「表2」に示す。<評価試験> 評価試験はin vitroの形態で行った。皮膚モデルとしてミニブタの皮膚を用い、本願発明者により開発された特開2002−71682号公報記載の方法により評価した。 すなわち、各薬剤の単純溶液(1質量%の水溶性薬剤成分を含むpHを6に調整した水溶液)、又は1質量%の実施例1若しくは比較例1のシリコーンを含む上記溶液を、ミニブタ皮膚に適用し、37℃で6hrインキュベートし、表皮を溶媒で抽出、単位質量当たりに含まれる薬剤量をLC-MASSにより定量することにより、薬剤の皮膚浸透量を比較した。 測定に使用したLC-MASSは、製品名1100Series LC/MSD、Agilent社製である。 「表2」の結果より、糖変性直鎖状シリコーン(実施例1)を配合することにより各種薬剤の皮膚中への浸透性、貯留性が向上し、格別顕著な経皮吸収効果を有することが確認された。 一方、分子内に糖変性基を有しないポリオキシアルキレン基含有シリコーン(水溶性EO変性オルガノポリシロキサン)(比較例1)では、薬効成分の経皮吸収効果はみられなかった。 また、糖変性直鎖状シリコーンを配合することにより、皮膚には不要な成分である防腐剤(メチルパラベン、フェノキシエタノール:logP値が1.2以下ではない薬剤)の皮膚中への浸透量の増加は認められないことから、糖変性直鎖状シリコーンは、薬剤の経皮吸収のコントロール性があることが示された。 すなわち、本発明は、皮膚に吸収されることが好ましい薬剤の経皮吸収促進効果を有すると同時に、また、皮膚吸収が不要な薬剤や配合成分を皮膚に吸収させないための経皮吸収コントロール効果を有する。 以下に、本発明の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤を配合した皮膚外用剤(特に化粧料)の実施例を示す。 下記皮膚外用剤は、薬剤と、上記効果を有する本発明の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤を有効成分として含有する皮膚外用剤である。「透明化粧水」(配 合 成 分) 配合量(質量%)1,3−ブチレングリコール 6グリセリン 4ポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレン共重合体 5オレイルアルコール 0.1糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.5エタノール 10アルブチン 24メトキシサリチル酸カリウム 1酸化鉄 0.001フェノキシエタノール 1クエン酸 0.05クエン酸ナトリウム 0.6香料 適 量精製水 残 余(製法) 精製水に1,3−ブチレングリコール、グリセリン、糖変性直鎖状シリコーン、アルブチン、緩衝剤を溶解して水相とする。一方、エタノールにオレイルアルコール、界面活性剤、香料、色剤、防腐剤を溶解してエタノール相とする。このエタノール相を先の水相に添加して可溶化し、透明化粧水を得る。「化粧水」(配 合 成 分) 配合量(質量%)ジプロピレングリコール 1ソルビット 1POE(20)オレイルアルコールエーテル 1糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.2アスコルビン酸2−グルコシド 2エタノール 15フェノキシエタノール 0.3クエン酸 0.05クエン酸ナトリウム 0.6酸化鉄 0.001香料 適 量精製水 残 余(製法) 精製水にジピロピレングリコール、ソルビット、糖変性直鎖状シリコーン、アスコルビン酸2−グルコシド、緩衝剤を溶解して水相とする。一方、エタノールにPOE(20)オレイルアルコールエーテル、香料、色剤、防腐剤を溶解してエタノール相とする。このエタノール相を先の水相に添加して可溶化し、化粧水を得る。「化粧水」(配 合 成 分) 配合量(質量%)エタノール 10ジプロピレングリコール 1糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 1ポリエチレングリコール1000 1ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.15N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.1クエン酸 0.04クエン酸ナトリウム 0.18水酸化カリウム 0.4グリチルリチン酸ジカリウム 0.1トラネキサム酸 2アルギニン 0.1L−アスコルビン酸2−グルコシド 2オウゴンエキス 0.1ユキノシタエキス 0.1フェノキシエタノール 0.2エデト酸3ナトリウム 0.05パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 1.0香料 適 量精製水 残 余(製法) 精製水に保湿剤、アルカリを加えた後、糖変性直鎖状シリコーン、アスコルビン酸2−グルコシド、グリチルリチン酸ジカリウム、緩衝剤を加えて水相とする。一方、エタノールに、油溶性成分、香料、防腐剤を溶解してエタノール相とする。このエタノール相を先の水相に添加して可溶化し、化粧水を得る。「化粧水」(配 合 成 分) 配合量(質量%)エタノール 40グリセリン 38ジプロピレングリコール 8エリスリトール 0.3糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 10ポリエチレングリコール1000 4ポリオキシエチレンメチルグルコシド 8イソステアリン酸 0.5トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.7ジイソステアリン酸ポリグリセリル 2ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.5クエン酸 0.06クエン酸ナトリウム 0.5水酸化カリウム 0.7グリチルリチン酸ジカリウム 0.5トリメチルグリシン 3ヒポタウリン 0.5油溶性甘草エキス 0.5L−アスコルビン酸2−グルコシド 2L−メントール 1フェノキシエタノール 0.5エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム 0.1エデト酸3ナトリウム 0.2パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7香料 適 量精製水 残 量(製法) 精製水に保湿剤、アルカリを加えた後、糖変性直鎖状シリコーン、アスコルビン酸2−グルコシド、グリチルリチン酸ジカリウム、緩衝剤を加えて水相とする。一方、エタノールに、油溶性成分、香料、防腐剤を溶解してエタノール相とする。このエタノール相を先の水相に添加して可溶化し、化粧水を得る。「2層式化粧水」(配 合 成 分) 配合量(質量%)スクワラン 8糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.2ソルビット 1グリセリン 1POEソルビタンテトラオレイン酸エステル 0.2エタノール 10グルタチオン 0.2ヒノキチオール 0.1フェノキシエタノール 0.3パラオキシ安息香酸エステル 0.12酸化鉄 0.001オレンジ油 0.01精製水 残 余(製法) ヒノキチオールにPOEソルビタンテトラオレイン酸エステル、防腐剤、色剤、エタノールを加えて油相とする。残りの成分を混合して水相とする。油相と水相を混合して2層式化粧水を得る。「エモリエントローション(O/W)」(配 合 成 分) 配合量(質量%)ステアリン酸 2セチルアルコール 1.5ワセリン 2スクワラン 3アルブチン 3レチノール 0.5トラネキサム酸 2ユキノシタエキス 0.5カミツレエキス 0.1寒天 0.5糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.5ソルビタンモノオレイン酸エステル 2ジプロピレングリコール 5ポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレン共重合体 2ポリエチレングリコール(PEG1500) 3L−グルタミン酸 0.3トリエタノールアミン 0.05クエン酸 0.05クエン酸ナトリウム 0.6フェノキシエタノール 0.3パラオキシ安息香酸エステル 0.12香料 適 量精製水 残 余(製法) 精製水に保湿剤、アルカリを加えた後、L−グルタミン酸、緩衝剤を加えて水相とする。油溶性成分を油分に溶解し、これを水相と混合してホモミキサーで乳化し、O/W型エモリエントローションを得る。「エモリエントローション(O/W)」(配 合 成 分) 配合量(質量%)ワセリン 2メチルポリシロキサン 2糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.5エタノール 5ベヘニルアルコール 0.5バチルアルコール 0.2グリセリン 71,3−ブチレングリコール 5ポリエチレングリコール20000 0.5ホホバ油 3スクワラン 2ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.5テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 1ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1水酸化カリウム 0.1ピロ亜硫酸ナトリウム 0.02メタリン酸ナトリウム 0.05グリチルレチン酸ステアリル 0.1パントテニルエチルエーテル 0.1アルブチン 7L−セリン 1酢酸DL−α−トコフェロール 0.1ヒアルロン酸ナトリウム 0.05パラオキシ安息香酸エステル 0.1エデト酸3ナトリウム 0.054−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキシル酸グリセリル 0.5キサンタンガム 0.1カルボキシビニルポリマー 0.2精製水 残 余(製法) 精製水に保湿剤、界面活性剤、糖変性直鎖状シリコーン、薬剤、キレート剤を加え、カルボキシビニルポリマーを溶解する。残りの成分を混合、溶解し、70℃でホモミキサーを用いて乳化し、O/W型エモリエントローションを得る。「ローション(O/W)」(配 合 成 分) 配合量(質量%)ステアリルアルコール 0.5ビタミンEアセテート 1トラネキサム酸 5硬化パーム油 2流動パラフィン 3糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 1ポリオキシエチレン変性シリコーン 0.1ジプロピレングリコール 6ポリエチレングリコール(PEG400) 4ソルビタンセスキオレイン酸エステル 1.6カルボキシビニルポリマー 1.5水酸化カリウム 0.42フェノキシエタノール 0.3エデト酸3ナトリウム 0.1香料 適 量精製水 残 余(製法) 精製水に保湿剤、界面活性剤、薬剤、キレート剤を加え、カルボキシビニルポリマーを溶解する。残りの成分を混合、溶解し、70℃でホモミキサーを用いて乳化し、O/W型ローションを得る。「エモリエントローション(W/O)」(配 合 成 分) 配合量(質量%)マイクロクリスタリンワックス 1ミツロウ 2ラノリン 2流動パラフィン 10スクワラン 20ビタミンAパルミテート 24−メトキシサリチル酸カリウム 2糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.5プロピレングリコール 7ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4POE(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1フェノキシエタノール 0.3アスコルビン酸リン酸マグネシウム 2グリシン 0.5エリスリトール 0.5クエン酸 0.05クエン酸ナトリウム 0.6オレンジ油 0.01精製水 残 余(製法) 精製水に水溶性成分を添加、溶解し、水相とする。油分および油溶性成分、界面活性剤を混合し70℃で溶解させ、これに先の水相を徐添しながらホモミキサーにより乳化し、W/O型エモリエントローションを得る。「クリーム(O/W)」(配 合 成 分) 配合量(質量%)メチルポリシロキサン 2デカメチルシクロペンタシロキサン 28ベヘニルアルコール 0.77バチルアルコール 1.65糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 5グリセリン 4ジプロピレングリコール 5ラベンダー油 0.04サラシミツロウ 1.65トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 12−エチルヘキサン酸セチル 1クエン酸 0.01クエン酸ナトリウム 0.09水酸化カリウム 0.42グリチルリチン酸ジカリウム 0.05トリメチルグリシン 0.1L−アスコルビン酸2−グルコシド 2酢酸DL−α−トコフェロール 0.1パラオキシ安息香酸エステル 0.12ジブチルヒドロキシトルエン 0.01エデト酸3ナトリウム 0.1精製水 残 余(製法) 精製水に保湿剤、界面活性剤、糖変性直鎖状シリコーン、薬剤、緩衝剤を加え溶解する。残りの成分を混合、溶解し、70℃でホモミキサーを用いて乳化し、O/W型クリームを得る。「エモリエントクリーム(W/O)」(配 合 成 分) 配合量(質量%)スクワラン 15デカメチルシクロペンタシロキサン 5セチルイソオクタノエート 8.5アスコルビン酸ジパルミテート 2マイクロクリスタリンワックス 1糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.2有機変性スメクタイト 1.3POEグリセロールトリイソステアリン酸エステル 0.2シクロデキストリン 0.2グリセリン 10フェノキシエタノール 0.3パラオキシ安息香酸エステル 0.2香料 適 量精製水 残 余(製法) 油分に粘土鉱物、界面活性剤、防腐剤、香料を加え均一分散し、さらに薬剤を添加して油性ゲルを得る。精製水に保湿剤および他の水溶性成分を添加、溶解後、先の油相に添加、ホモミキサーにより攪拌して、W/O型エモリエントクリームを得る。「油性ジェル」(配 合 成 分) 配合量(質量%)流動パラフィン 6ポリジメチルシロキサン 6グリセロールトリ−2エチルヘキサン酸エステル 50ソルビトール 10ポリエチレングリコール(PEG400) 5アシルメチルタウリン 5POEオクチルドデシルアルコールエーテル 10糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.5ビタミンAパルミテート 2レゾルシン誘導体 0.5ラベンダー油 0.001精製水 残 余(製法) 精製水に保湿剤、アシルメチルタウリンを加え水相とする。残りの成分を混合溶解して油相とし、先の水相にホモミキサーにより攪拌しながら添加して乳化し、油性ジェルを得る。「モイスチャージェル」(配 合 成 分) 配合量(質量%)ジプロピレングリコール 7ポリエチレングリコール(PEG400) 8カルボキシビニルポリマー 0.4メチルセルロース 0.2POE(15)オレイルアルコールエーテル 1水酸化カリウム 0.1糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.5アスコルビン酸 3尿素 10フェノキシエタノール 0.3クエン酸 0.05クエン酸ナトリウム 0.6香料 適 量精製水 残 余(製法) 精製水に水溶性高分子を均一溶解させた後、残りの成分を添加し、均一溶解させ、モイスチャージェルを得る。「モイスチャージェル」(配 合 成 分) 配合量(質量%)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 5糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 1ジプロピレングリコール 3エリスリトール 11,3−ブチレングリコール 10ポリエチレングリコール1500 1ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール 5グリチルリチン酸ジカリウム 0.5レゾルシン誘導体 0.5パラオキシ安息香酸エステル 0.2エデト酸−3ナトリウム 0.01ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.7カルボキシビニルポリマーカリウム 0.5精製水 残 余(製法) 精製水に水溶性高分子を均一溶解させた後、残りの成分を添加し、均一溶解させ、モイスチャージェルを得る。「エモリエントクリーム(W/O)」(配 合 成 分) 配合量(質量%)スクワラン 15デカメチルシクロペンタシロキサン 5セチルイソオクタノエート 8.5アスコルビン酸ジパルミテート 24−メトキシサリチル酸カリウム 2マイクロクリスタリンワックス 1糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.2有機変性スメクタイト 1.3POEグリセロールトリイソステアリン酸エステル 0.2グリセリン 10フェノキシエタノール 0.3香料 適 量精製水 残 余(製法) 油分に粘土鉱物、界面活性剤、防腐剤、香料を加え均一分散し、さらに薬剤を添加して油性ゲルを得る。精製水に保湿剤および他の水溶性成分を添加、溶解後、先の油相に添加、ホモミキサーにより攪拌して、W/O型エモリエントクリームを得る。「エモリエントローション(O/W)」(配 合 成 分) 配合量(質量%)ステアリン酸 2セチルアルコール 1.5ワセリン 4スクワラン 5レチノール 0.8糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.5ソルビタンモノオレイン酸エステル 2ジプロピレングリコール 5ポリエチレングリコール(1500) 3L−グルタミン酸Na 0.3トリエタノールアミン 0.1フェノキシエタノール 0.34−メトキシサリチル酸カリウム 1クエン酸 0.01クエン酸ナトリウム 0.09香料 適 量精製水 残 余(製法) 精製水に保湿剤、アルカリを加えた後、L−グルタミン酸、緩衝剤を加える。油溶性成分を油分に溶解し、水相とホモミキサーで乳化し、O/W型エモリエントローションを得る。「マスク」(配 合 成 分) 配合量(質量%)ワセリン 6ベヘニルアルコール 2.5グリセリン 9マルチトール液 2ポリエチレングリコール1500 12糖変性直鎖状シリコーン(合成例1) 0.1スクワラン 11ベヘニン酸カリウム 2ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.1モノイソステアリン酸N−アルキレン(20-30)グリコール 32−エチルヘキサン酸セチル 4ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 2酸化チタン 1メタリン酸ナトリウム 0.1L−アルギニン 0.1ビタミンEアセテート 0.1ニンジンエキス 0.1パラオキシ安息香酸エステル 0.3ベントナイト 0.5精製水 残 余香料 適 量(製法) 精製水に、酸化チタン、グリセリン、マルチトール水溶液、ポリエチレングリコール15000、糖変性環状シリコーン、ニンジンエキスを加え十分に混合する。この混合液に残りの水溶性成分を加えて攪拌し、水相とする。スクワランにワセリン及びベヘニルアルコールを混合し、これに残りの油溶性成分を加え攪拌し、さらに、水相とホモミキサーで乳化し、洗い流しタイプのマスクを得る。「口紅」(配 合 成 分) 配合量(質量%)二酸化チタン 4.5赤色201号 0.5赤色202号 2赤色223号 0.05セレシン 4キャンデリラロウ 8カルナバロウ 2ヒマシ油 25イソステアリン酸ジグリセリド 40POE(25)ポリオキシプロピレン (20)2−テトラデシルエーテル 1レチノール 1グリセリン 2プロピレングリコール 1糖変性環状シリコーン(合成例1) 0.5オクチルメトキシシンナメート 0.01α−トコフェロール 0.1精製水 残 余(製法) 二酸化チタン、赤色201号、202号をヒマシ油の一部に加えローラーで処理する。赤色223号をヒマシ油に溶解する。精製水、グリセリン、プロピレングリコールを80℃で均一に溶解する。他の成分を混合し、顔料部、染料部を加えホモミキサーで均一に分散した後、水相を加えホモミキサーで乳化後、型に流し込み冷却し、口紅を得る。「養毛剤、白髪防止剤」 (配 合 成 分) 配合量(質量%)パントテニルエチルエーテル 0.5β−グリチルレチン酸 0.5センブリ抽出ペースト 0.5ニコチン酸アミド 0.5ビタミンEアセテート 0.5サンショウエキス 0.1エタノール 70糖変性直鎖状シリコーン(実施例1) 0.5イソステアリルアルコール 5ラウリルジメチルアミンオキサイドオレイン酸ナトリウム 0.5硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル付加物) 0.5精製水 残 余(製法) エタノールに各成分を添加し、養毛、また白髪防止効果等を有するヘアケア用エッセンスを得る。 本発明によれば、目的とする薬剤のみを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させ、有効濃度を長時間にわたり維持することが可能な経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤、及びこれを配合した皮膚外用剤を提供することが出来る。 糖変性直鎖状シリコーンからなる経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤。 前記糖変性直鎖状シリコーンが、シリコーン側鎖に糖変性基を有する構造である請求項1記載の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤。 薬剤と、請求項1又は2記載の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤を有効成分として含有する皮膚外用剤。 水溶性薬剤と、請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤を有効成分として含有し、さらに水性成分の含有量が全量に対して80質量%以上である水性皮膚外用剤。 【課題】目的とする薬剤のみを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させ、有効濃度を長時間にわたり維持することが可能な、経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤、及びこれを配合した皮膚外用剤を提供すること。【解決手段】糖変性直鎖状シリコーンからなる経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤である。また、薬剤と、糖変性直鎖状シリコーンからなる経皮吸収促進剤又は経皮吸収コントロール剤とを有効成分として含有する皮膚外用剤である。【選択図】なし