生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法
出願番号:2009036100
年次:2010
IPC分類:C12Q 1/37,C12Q 1/28,C12Q 1/26


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西尾 朋久 中西 一夫 町田 聡 JP 2010187604 公開特許公報(A) 20100902 2009036100 20090219 糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法 積水メディカル株式会社 390037327 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 西尾 朋久 中西 一夫 町田 聡 C12Q 1/37 20060101AFI20100806BHJP C12Q 1/28 20060101ALI20100806BHJP C12Q 1/26 20060101ALI20100806BHJP JPC12Q1/37C12Q1/28C12Q1/26 7 OL 11 4B063 4B063QA01 4B063QA19 4B063QQ79 4B063QR02 4B063QR03 4B063QR16 4B063QR50 4B063QR57 4B063QR64 4B063QR66 4B063QS12 4B063QS28 4B063QS36 4B063QX01 本発明は、酵素法による糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法、並びに糖化ヘモグロビン測定用試料の前処理試薬に関する。 糖化ヘモグロビンとは、血球中のグルコースの還元末端と、ヘモグロビンのβ鎖の遊離のアミノ基が非酵素的に結合して形成された不安定なアルドイミンが、さらにアマドリ転移により安定なケトアミンへと移行することにより生成されるアマドリ化合物の一種である。糖化ヘモグロビンの1種であるヘモグロビンA1c(以下、HbA1cという)血中濃度は過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値を反映するとされるため、糖尿病の診断マーカーとして広く測定されている。 糖化ヘモグロビン測定法としては、高速液体クロマトグラフィー法、ラテックス凝集免疫比濁法等が広く普及している。しかしながら、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)は測定精度、再現性等で優れた方法であるものの、処理能力が低いという問題がある。また、ラテックス凝集免疫比濁法は処理能力でHPLC法に優るものの、測定精度、再現性でHPLC法に劣り、測定に使用する分析装置の反応槽を汚染するなど、機器に負荷が掛かるという問題がある。 そこで近年、上記従来の測定方法の問題点を解決する方法として酵素法が新たに開発された。酵素法とは、糖化ヘモグロビンよりタンパク質分解酵素を作用させて糖化アミノ酸あるいは糖化ペプチドを生成させ、さらに糖化アミノ酸あるいは糖化ペプチドを基質として過酸化水素を生成する酸化還元酵素を用いて過酸化水素を生成し、さらに該過酸化水素をパーオキダーゼの存在下において発色基質と反応させて発色へと導く比色定量法である(特許文献1)。特開平05−192193号公報 ところが、前記糖化ヘモグロビンの測定に使用される試料に酵素法を適用した場合、一部の試料で他の測定法と比較して測定値、すなわち糖化ヘモグロビン濃度が低値となるという問題が生じることが判った。 従って、本発明は、糖化ヘモグロビン測定用の試料を酵素法により正確に測定するための方法を提供することを課題とするものである。 本発明者は、一部の試料で糖化ヘモグロビン濃度の測定値が低値になる原因について種々検討したところ、全く意外にも、その原因が当該試料そのものにあることを見出した。すなわち、ヘモグロビン類は不安定な物質で、酸化によりヘム鉄が2価から3価となり鮮赤色から暗褐色のメトヘモグロビンが生成されるため、この生成を抑制する目的で前記の糖化ヘモグロビン測定用の試料にはチオール化合物がヘモグロビン安定化剤として配合されている場合がある。このチオール化合物が酵素法による糖化ヘモグロビン濃度の定量に負誤差を与えていたのである。 そこで、さらに検討したところ、糖化ヘモグロビン測定用試料を測定する前に、予め該試料とチオール封鎖剤とを混合した後に酵素法による測定に付せば、該試料にチオール化合物が含まれている場合でも、チオール化合物による影響を回避し、高精度に糖化ヘモグロビン濃度を測定できることを見出し、本発明を完成に至った。 すなわち、本発明は、酵素法によりヘモグロビン安定化剤が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料を測定する方法において、該試料とチオール封鎖剤とを混合した後、酵素法による測定に付することを特徴とする糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法を提供するものである。 また、本発明は、チオール封鎖剤を含有することを特徴とする糖化ヘモグロビン測定用試料の前処理試薬を提供するものである。 本発明によれば、他の測定法と比較して利点の多い酵素法により、糖化ヘモグロビン測定用試料を正確に測定することができる。L−システイン希釈系列による検量線を示す。 本発明においてヘモグロビン安定化剤が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料とは、糖化ヘモグロビンの臨床検査において主に校正用試料あるいは精度管理用試料として用いられる試料であって、ヘモグロビン安定化剤が添加された試料である。校正用試料とは、糖化ヘモグロビンの濃度を求める基準となる既知濃度の糖化ヘモグロビンが含有された試料であり、精度管理試料とは、糖化ヘモグロビンの臨床検査において測定結果の正確性を管理するために用いられる試料である。該試料は、長期間使用するため、凍結乾燥品、凍結品が好ましく、凍結乾燥品が更に好ましい。該試料が凍結乾燥品の場合、使用時に精製水、緩衝液等に溶解させて使用する。 上記緩衝液としては、好ましくは、pH4.0〜10.0、さらに好ましくは、pH5.0〜9.0の範囲で緩衝能を有するもので、例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸及びその塩類;グリシン、タウリン、アルギニン等のアミノ酸類;塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等の無機酸及びその塩類等、グッドの緩衝液などの両性緩衝液が挙げられる。 また、糖化ヘモグロビン測定用試料には、防腐剤等が含まれていてもよい。なお、該試料のpH、組成等の制限はない。 糖化ヘモグロビン測定用試料に添加されるヘモグロビン安定化剤としては、チオール化合物が挙げられ、例えば、システイン、メチオニン、シスチンなどの含硫アミノ酸;チオ安息香酸、チオグリコール酸、1−チオグリセリン、チオジグリコール、メルカプトエタノール、グルタチオン、ジチオスレイトール、これらの類縁体が挙げられる。通常、チオール化合物の該試料中の濃度は、ヘモグロビン(Hb)1mg当たりのチオール化合物量として0.03μmole以上である。なお、該試料にチオール化合物が含まれていなくても糖化ヘモグロビン測定値に影響を与えるものではない。 本発明で用いられるチオール封鎖剤とは、糖化ヘモグロビン測定用試料中に含まれるチオール化合物のSH基を封鎖するものである。このようなチオール封鎖剤としては、例えば、ヨードアセトアミド、モノヨード酢酸、N−エチルマレイミド(NEM)、N−4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニルマレイミド(DDPM)、ベンゾイミダゾイルマレイミド(BIPM)、N−(9−アクリジニルマレイミド)(NAM)、4−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、9−ビニルアクリジン、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、2,2’−ジチオジピリジン(2PDS)、4,4’−ジチオジピリジン(4PDS)、6,6’−ジチオニコチン酸(6NDS)、チアミンジスルフィド(TDS)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 チオール封鎖剤は、溶解性の点から、マレイミド系化合物が好ましく、特にNEMが好ましい。 チオール封鎖剤の糖化ヘモグロビン測定用試料に対する混合量は、該試料に含まれるチオール化合物による測定値への影響を回避し得る量であれば特に制限されないが、該試料中のチオール化合物に対し、1〜100倍、好ましくは1〜50倍の濃度となるように混合するのが好ましい。 糖化ヘモグロビン測定用試料にはヘモグロビン(以下、Hbという)1mgあたり0.03μmole〜0.5μmoleのチオール化合物が含有される場合があり、例えば、該試料中のチオール化合物濃度にもよるが、チオール封鎖剤を、Hb1mg当たり0.03μmole〜50μmole、好ましくは0.03μmole〜25μmoleとなるように混合するのが好ましい。 酵素法による糖化ヘモグロビン測定用試料の測定は、公知の方法(例えば、特開平2−195899号公報、特開平2−195900号公報、特開平5−192193号公報、特開平6−46846号公報、特開平7−289253号公報、特開平8−154672号公報、特開平8−336386号公報)に準じて行えばよく、例えば、糖化ヘモグロビンよりプロテアーゼを用いて糖化アミノ酸あるいは糖化ペプチドを切り出し、次に該糖化アミノ酸あるいは糖化ペプチドと反応する酸化酵素を作用させて過酸化水素を生成させ、さらにパーオキシダーゼの存在下で発色基質を発色に導くことにより糖化ヘモグロビンを比色定量する方法にて行えば良い。 本発明の前処理試薬は、酵素法によって糖化ヘモグロビン濃度を測定する前に糖化ヘモグロビン測定用試料を処理するもので、試薬中に上記チオール封鎖剤が含有されたものである。 上記前処理試薬中のチオール封鎖剤の含有量は、1〜300mMとするのが好ましく、特に10〜200mMとするのが好ましい。 本発明の前処理試薬には、例えば緩衝剤、防腐剤、界面活性剤、ヘモグロビンメト化剤等を配合することができる。また前処理試薬のpHは特に限定されないが、チオール封鎖剤としてマレイミド化合物を使用する場合には、マレイミド系化合物の安定性よりpH1.0〜6.0、さらにpH2.0〜4.0の範囲が好ましい。 本発明の前処理試薬を用いて糖化ヘモグロビン測定用試料を処理する方法は、例えば、該試料が凍結乾燥品である場合には、該試料を精製水、緩衝液で溶解した後、前処理試薬と混合し、反応させる方法、あるいは該試料を前処理試薬で直接溶解し、反応させる方法がある。また、糖化ヘモグロビン測定用試料が凍結品である場合には、該試料を融解した後、前処理試薬と混合し、反応させる方法がある。前処理した試料は、糖化ヘモグロビンの酵素法による測定に供する。 かくして、酵素法により糖化ヘモグロビン測定用試料を測定することによって、他の測定法と比較しても負誤差のない、正確な糖化ヘモグロビン濃度の測定値が得られる。 以下に実施例をもって本願発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例11.試料に含まれるチオール化合物の濃度測定(1)試料の調製・標準液(システイン希釈系列) 1,000μMのL−システイン水溶液を生理食塩水で倍々希釈することにより、10濃度の希釈系列を調製した(1,000、500、250、125、62.5、31.25、15.625、7.8125、3.90125、1.950125)・グリコHbコントロール(シスメックス社製、凍結乾燥品) 2種の凍結乾燥品を精製水200μLで溶解(Level1(HbA1c%、5.6%)、Level2(同9.8%))後、さらに生理食塩水で50倍希釈したものを試料として測定に供した。・JCCLS CRM−004a(HECTEF、HbA1c測定用実試料標準物質(凍結品))(対照) 5種の凍結品(Level1(HbA1c%、4.54%)、Level2(同5.27%)、Level3(同6.96%)、Level4(同9.24%)、Level5(同11.58%))を生理食塩水で50倍希釈したものを試料として測定に供した。(2)試料の測定 日立7170形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。<第一試薬>50mM トリス緩衝液(pH7.5)<第二試薬>1mM 5,5’−Dithiobis(2−nitrobenzoic acid)(DTNB、和光純薬工業社製)50mM トリス緩衝液(pH7.5)<測定パラメータ>分析方式:2ポイントエンド測定波長(副/主):505/405側光ポイント:16−34反応時間:10分サンプル量:15μL第1試薬量(R1):180μL 第3試薬量(R2):90μL 試料15μLに第一試薬180μLを加え、37℃で5分間加温後の吸光度を測定した(吸光度I)。次いで第二試薬90μLを加え、37℃で5分間加温後の吸光度を測定した(吸光度II)。吸光度の測定は主波長405nm(副波長505nm)で行い、試料の代わりに生理食塩水を用いて同様に操作したもの(試薬ブランク)を対照とした。 各試料の吸光度I及び吸光度IIから式Aを用いて各試料の吸光度変化量(測定値)を算出した。式A:吸光度変化量(測定値)=吸光度II−(吸光度I×(15+180)/(15+180+90)) 得られたL−システイン希釈系列の各測定値を用いて、検量線を作成して試料中のチオール化合物の濃度を算出した。検量線のグラフを図1に示す。2.試料中のHbの濃度測定(1)試料の調製・グリコHbコントロール 上記2種の凍結乾燥品を精製水200μLで溶解したものを測定に供した。・JCCLS CRM−004a 上記5種の凍結品を室温にて融解後、測定に供した。(2)Hb濃度の測定 ネスコート ヘモキット−N(アルフレッサファーマ社製)を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。<ヘモグロビン濃度測定試薬>・呈色液 精製水で50倍希釈して使用した。・標準液(ヘモグロビン16.0g/100mL) そのまま使用した。 試料20μLと呈色液5mLをよく混和して、室温で5分間放置後、日立U−3310形分光光度計にて541nmの吸光度(吸光度I)を測定した。同時に標準液、およびブランクとして生理食塩水の吸光度(それぞれ吸光度II、吸光度III)を測定した。各試料の吸光度から式Bを用いて各試料のHb濃度を算出した。式B:Hb濃度(g/dL)=(吸光度I−吸光度III)÷(吸光度II−吸光度III)×16.0 各試料中のHb濃度および上記にて算出したチオール化合物の濃度より、Hb1mg当たりのチオール化合物の濃度を求めた。表1にHb1mg当たりのチオール化合物の濃度を示す。3.チオール化合物を含む試料の酵素法によるHbA1c量の測定(1)試料の調製・グリコHbコントロール 上記2種の凍結乾燥品を精製水200μLで溶解した後、150mM N−エチルマレイミド(NEM)(東京化成工業社製)酸性溶液(pH2.8、1N 塩酸にて調製)あるいは精製水と等量ずつ混合し、さらに下記検体希釈液で7倍希釈したものを試料として測定に供した。・JCCLS CRM−004a 上記5種の凍結品を融解した後、150mM N−エチルマレイミド(NEM)酸性溶液(pH2.8)あるいは精製水と等量ずつ混合し、さらに下記検体希釈液で6倍希釈したものを試料として測定に供した。(2)ヘモグロビンA1c酵素的定量法(酵素法)試薬<検体希釈液>10mM 亜硝酸ナトリウム<プロテアーゼ含有基質試薬(第一試薬)>以下の成分を含む50mM リン酸ナトリウム緩衝液 pH7.01.5% アンヒトール20BS(花王社製)2.0 mg/mL プロチンPC10F(大和化成工業社製)0.01% アジ化ナトリウム(キシダ化学社製)50μM DA−67(10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム、和光純薬工業社製)<発色試薬(第二試薬)>以下の成分を含む50mM リン酸ナトリウム緩衝液 pH7.010U/mL フルクトシルペプチドオキシダーゼ(キッコーマン社製)1U/mL パーオキシダーゼ(東洋紡社製)<校正用試料>・ブランク試料;10U/mL POD水溶液(10,000Uのパーオキシダーゼ(東洋紡社製)を、精製水1Lで溶解した)・ヘモグロビンA1c校正用試料L(HbA1c(%)5.27%、凍結乾燥品)、(積水メディカル製、HbA1cコントロールL)・ヘモグロビンA1c校正用試料M(HbA1c(%)7.64%、凍結乾燥品)、(積水メディカル製、HbA1cコントロールM)・ヘモグロビンA1c校正用試料H(HbA1c(%)10.81%、凍結乾燥品)、(積水メディカル製、HbA1cコントロールH) いずれも検体希釈液300μLで溶解して測定に供した。(3)試料の測定 日立7170形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。<測定パラメータ>分析方式:3ポイントエンド測定波長(Hb、副/主):800/505 (HbA1c、副/主):800/660測光ポイント(Hb):0−14 (HbA1c):16−34反応時間:10分サンプル量:12μL第1試薬:180μL(R1) 第3試薬(R2):60μL 各試料12μL及び第一試薬180μLをセルに分注し37℃で5分間加温後、主波長660nm、副波長800nmの吸光度の差(Abs1)、及び主波長505nm、副波長800nmの吸光度の差(Abs3)を測定した。続いて第二試薬60μLを添加し、37℃で5分間加温後、主波長660nm、副波長800nmの吸光度の差を測定した(Abs2)。 各試料のAbs1(mOD)及びAbs2(mOD)から下記式Cを用いて各試料の吸光度変化量(測定値)を算出した。式C:吸光度変化量(ΔAbs)=Abs2−Abs1×192÷252 ブランク試料と校正用試料の4点のΔAbsよりHbA1cの検量線を作成した。 また、ブランク試料と校正用試料(HbA1cコントロールL)の2点のAbs3よりHbの検量線を作成した。 作成した検量線を用いて、各試料のHbA1c濃度(μmol/L)及びHb濃度(μmol/L)を算出し、さらに式D(日本糖尿病学会グリコヘモグロビン標準化HbA1c値に換算するために自動分析装置の項目間演算式、日本臨床化学会 糖尿病関連指標専門委員会:ADA,EASD,IFCC,IDFによるヘモグロビンA1c測定の国際標準化に関するコンセサス・ステートメントに対する糖尿病関連指標専門委員会の見解、臨床化学 36、310(2007))よりHbA1c%を算出した。式D:HbA1c(%)=HbA1c(μmol/L)÷Hb(μmol/L)×96.3+1.62 表1に各試料のHbA1c量(%)を示す。4.チオール化合物を含む試料のHPLC法によるHbA1c量の測定(1)試料の調製・グリコHbコントロール 上記2種の凍結乾燥品を精製水200μLで溶解した後、さらに検体希釈液(東ソー社製)で101倍希釈したものを東ソー自動グリコヘモグロビン分析計HLC−723G8で測定した。・JCCLS CRM−004a 上記5種の凍結品を検体希釈液で201倍希釈したもの試料としてHLC−723G8で測定した。(2)試料の測定 HLC−723G8を用いて測定した。表1にHPLC法により求めた各試料のHbA1c量(%)を示す。 表1に示すようにJCCLS CRM−004aと比較してグリコHbコントロールには多量のチオール化合物が含まれることが判明した。 また、表1に示すようにチオール化合物を多量に含有するグリコHbコントロールをNEM酸性溶液と混合せずに測定に供する方法では、HPLC法測定値に対して酵素法測定値は有意に低値となるのに対して、NEM酸性溶液と混合した後に測定に供する方法では、酵素法はHPLC法とほぼ一致する測定値を得ることができた。なお、JCCLS CRM−004aについてはNEM酸性溶液との混合の有無に関わらず酵素法測定値はHPLC法測定値とほぼ一致した。 酵素法によりヘモグロビン安定化剤が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料を測定する方法において、該試料とチオール封鎖剤とを混合した後、酵素法による測定に付することを特徴とする糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法。 ヘモグロビン安定化剤がチオール化合物である請求項1記載の測定方法。 ヘモグロビン安定化剤が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料が校正用試料である請求項1又は2記載の測定方法。 ヘモグロビン安定化剤が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料が精度管理試料である請求項1又は2記載の測定方法。 チオール封鎖剤がマレイミド系化合物である請求項1〜4のいずれか1項記載の測定方法。 チオール封鎖剤を含有することを特徴とする糖化ヘモグロビン測定用試料の前処理試薬。 チオール封鎖剤がマレイミド系化合物である請求項6記載の前処理試薬。 【課題】糖化ヘモグロビン測定用の試料を酵素法により正確に測定するための方法の提供。【解決手段】酵素法によりヘモグロビン安定化剤が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料を測定する方法において、該試料とチオール封鎖剤とを混合した後、酵素法による測定に付することを特徴とする糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法。【選択図】なし


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特許公報(B2)_糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法
出願番号:2009036100
年次:2014
IPC分類:C12Q 1/37,C12Q 1/28,C12Q 1/26,G01N 33/72


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西尾 朋久 中西 一夫 町田 聡 JP 5554000 特許公報(B2) 20140606 2009036100 20090219 糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法 積水メディカル株式会社 390037327 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 西尾 朋久 中西 一夫 町田 聡 20140723 C12Q 1/37 20060101AFI20140703BHJP C12Q 1/28 20060101ALI20140703BHJP C12Q 1/26 20060101ALI20140703BHJP G01N 33/72 20060101ALI20140703BHJP JPC12Q1/37C12Q1/28C12Q1/26G01N33/72 A C12Q 1/00−1/70 G01N 33/72 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 国際公開第02/021142(WO,A1) 国際公開第01/002438(WO,A1) 特表平04−504306(JP,A) 国際公開第2008/013874(WO,A1) 4 2010187604 20100902 10 20111019 北村 悠美子 本発明は、酵素法による糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法、並びに糖化ヘモグロビン測定用試料の前処理試薬に関する。 糖化ヘモグロビンとは、血球中のグルコースの還元末端と、ヘモグロビンのβ鎖の遊離のアミノ基が非酵素的に結合して形成された不安定なアルドイミンが、さらにアマドリ転移により安定なケトアミンへと移行することにより生成されるアマドリ化合物の一種である。糖化ヘモグロビンの1種であるヘモグロビンA1c(以下、HbA1cという)血中濃度は過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値を反映するとされるため、糖尿病の診断マーカーとして広く測定されている。 糖化ヘモグロビン測定法としては、高速液体クロマトグラフィー法、ラテックス凝集免疫比濁法等が広く普及している。しかしながら、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)は測定精度、再現性等で優れた方法であるものの、処理能力が低いという問題がある。また、ラテックス凝集免疫比濁法は処理能力でHPLC法に優るものの、測定精度、再現性でHPLC法に劣り、測定に使用する分析装置の反応槽を汚染するなど、機器に負荷が掛かるという問題がある。 そこで近年、上記従来の測定方法の問題点を解決する方法として酵素法が新たに開発された。酵素法とは、糖化ヘモグロビンよりタンパク質分解酵素を作用させて糖化アミノ酸あるいは糖化ペプチドを生成させ、さらに糖化アミノ酸あるいは糖化ペプチドを基質として過酸化水素を生成する酸化還元酵素を用いて過酸化水素を生成し、さらに該過酸化水素をパーオキダーゼの存在下において発色基質と反応させて発色へと導く比色定量法である(特許文献1)。特開平05−192193号公報 ところが、前記糖化ヘモグロビンの測定に使用される試料に酵素法を適用した場合、一部の試料で他の測定法と比較して測定値、すなわち糖化ヘモグロビン濃度が低値となるという問題が生じることが判った。 従って、本発明は、糖化ヘモグロビン測定用の試料を酵素法により正確に測定するための方法を提供することを課題とするものである。 本発明者は、一部の試料で糖化ヘモグロビン濃度の測定値が低値になる原因について種々検討したところ、全く意外にも、その原因が当該試料そのものにあることを見出した。すなわち、ヘモグロビン類は不安定な物質で、酸化によりヘム鉄が2価から3価となり鮮赤色から暗褐色のメトヘモグロビンが生成されるため、この生成を抑制する目的で前記の糖化ヘモグロビン測定用の試料にはチオール化合物がヘモグロビン安定化剤として配合されている場合がある。このチオール化合物が酵素法による糖化ヘモグロビン濃度の定量に負誤差を与えていたのである。 そこで、さらに検討したところ、糖化ヘモグロビン測定用試料を測定する前に、予め該試料とチオール封鎖剤とを混合した後に酵素法による測定に付せば、該試料にチオール化合物が含まれている場合でも、チオール化合物による影響を回避し、高精度に糖化ヘモグロビン濃度を測定できることを見出し、本発明を完成に至った。 すなわち、本発明は、酵素法によりヘモグロビン安定化剤が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料を測定する方法において、該試料とチオール封鎖剤とを混合した後、酵素法による測定に付することを特徴とする糖化ヘモグロビン測定用試料の測定方法を提供するものである。 また、本発明は、チオール封鎖剤を含有することを特徴とする糖化ヘモグロビン測定用試料の前処理試薬を提供するものである。 本発明によれば、他の測定法と比較して利点の多い酵素法により、糖化ヘモグロビン測定用試料を正確に測定することができる。L−システイン希釈系列による検量線を示す。 本発明においてヘモグロビン安定化剤が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料とは、糖化ヘモグロビンの臨床検査において主に校正用試料あるいは精度管理用試料として用いられる試料であって、ヘモグロビン安定化剤が添加された試料である。校正用試料とは、糖化ヘモグロビンの濃度を求める基準となる既知濃度の糖化ヘモグロビンが含有された試料であり、精度管理試料とは、糖化ヘモグロビンの臨床検査において測定結果の正確性を管理するために用いられる試料である。該試料は、長期間使用するため、凍結乾燥品、凍結品が好ましく、凍結乾燥品が更に好ましい。該試料が凍結乾燥品の場合、使用時に精製水、緩衝液等に溶解させて使用する。 上記緩衝液としては、好ましくは、pH4.0〜10.0、さらに好ましくは、pH5.0〜9.0の範囲で緩衝能を有するもので、例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸及びその塩類;グリシン、タウリン、アルギニン等のアミノ酸類;塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等の無機酸及びその塩類等、グッドの緩衝液などの両性緩衝液が挙げられる。 また、糖化ヘモグロビン測定用試料には、防腐剤等が含まれていてもよい。なお、該試料のpH、組成等の制限はない。 糖化ヘモグロビン測定用試料に添加されるヘモグロビン安定化剤としては、チオール化合物が挙げられ、例えば、システイン、メチオニン、シスチンなどの含硫アミノ酸;チオ安息香酸、チオグリコール酸、1−チオグリセリン、チオジグリコール、メルカプトエタノール、グルタチオン、ジチオスレイトール、これらの類縁体が挙げられる。通常、チオール化合物の該試料中の濃度は、ヘモグロビン(Hb)1mg当たりのチオール化合物量として0.03μmole以上である。なお、該試料にチオール化合物が含まれていなくても糖化ヘモグロビン測定値に影響を与えるものではない。 本発明で用いられるチオール封鎖剤とは、糖化ヘモグロビン測定用試料中に含まれるチオール化合物のSH基を封鎖するものである。このようなチオール封鎖剤としては、例えば、ヨードアセトアミド、モノヨード酢酸、N−エチルマレイミド(NEM)、N−4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニルマレイミド(DDPM)、ベンゾイミダゾイルマレイミド(BIPM)、N−(9−アクリジニルマレイミド)(NAM)、4−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、9−ビニルアクリジン、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、2,2’−ジチオジピリジン(2PDS)、4,4’−ジチオジピリジン(4PDS)、6,6’−ジチオニコチン酸(6NDS)、チアミンジスルフィド(TDS)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 チオール封鎖剤は、溶解性の点から、マレイミド系化合物が好ましく、特にNEMが好ましい。 チオール封鎖剤の糖化ヘモグロビン測定用試料に対する混合量は、該試料に含まれるチオール化合物による測定値への影響を回避し得る量であれば特に制限されないが、該試料中のチオール化合物に対し、1〜100倍、好ましくは1〜50倍の濃度となるように混合するのが好ましい。 糖化ヘモグロビン測定用試料にはヘモグロビン(以下、Hbという)1mgあたり0.03μmole〜0.5μmoleのチオール化合物が含有される場合があり、例えば、該試料中のチオール化合物濃度にもよるが、チオール封鎖剤を、Hb1mg当たり0.03μmole〜50μmole、好ましくは0.03μmole〜25μmoleとなるように混合するのが好ましい。 酵素法による糖化ヘモグロビン測定用試料の測定は、公知の方法(例えば、特開平2−195899号公報、特開平2−195900号公報、特開平5−192193号公報、特開平6−46846号公報、特開平7−289253号公報、特開平8−154672号公報、特開平8−336386号公報)に準じて行えばよく、例えば、糖化ヘモグロビンよりプロテアーゼを用いて糖化アミノ酸あるいは糖化ペプチドを切り出し、次に該糖化アミノ酸あるいは糖化ペプチドと反応する酸化酵素を作用させて過酸化水素を生成させ、さらにパーオキシダーゼの存在下で発色基質を発色に導くことにより糖化ヘモグロビンを比色定量する方法にて行えば良い。 本発明の前処理試薬は、酵素法によって糖化ヘモグロビン濃度を測定する前に糖化ヘモグロビン測定用試料を処理するもので、試薬中に上記チオール封鎖剤が含有されたものである。 上記前処理試薬中のチオール封鎖剤の含有量は、1〜300mMとするのが好ましく、特に10〜200mMとするのが好ましい。 本発明の前処理試薬には、例えば緩衝剤、防腐剤、界面活性剤、ヘモグロビンメト化剤等を配合することができる。また前処理試薬のpHは特に限定されないが、チオール封鎖剤としてマレイミド化合物を使用する場合には、マレイミド系化合物の安定性よりpH1.0〜6.0、さらにpH2.0〜4.0の範囲が好ましい。 本発明の前処理試薬を用いて糖化ヘモグロビン測定用試料を処理する方法は、例えば、該試料が凍結乾燥品である場合には、該試料を精製水、緩衝液で溶解した後、前処理試薬と混合し、反応させる方法、あるいは該試料を前処理試薬で直接溶解し、反応させる方法がある。また、糖化ヘモグロビン測定用試料が凍結品である場合には、該試料を融解した後、前処理試薬と混合し、反応させる方法がある。前処理した試料は、糖化ヘモグロビンの酵素法による測定に供する。 かくして、酵素法により糖化ヘモグロビン測定用試料を測定することによって、他の測定法と比較しても負誤差のない、正確な糖化ヘモグロビン濃度の測定値が得られる。 以下に実施例をもって本願発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例11.試料に含まれるチオール化合物の濃度測定(1)試料の調製・標準液(システイン希釈系列) 1,000μMのL−システイン水溶液を生理食塩水で倍々希釈することにより、10濃度の希釈系列を調製した(1,000、500、250、125、62.5、31.25、15.625、7.8125、3.90125、1.950125)・グリコHbコントロール(シスメックス社製、凍結乾燥品) 2種の凍結乾燥品を精製水200μLで溶解(Level1(HbA1c%、5.6%)、Level2(同9.8%))後、さらに生理食塩水で50倍希釈したものを試料として測定に供した。・JCCLS CRM−004a(HECTEF、HbA1c測定用実試料標準物質(凍結品))(対照) 5種の凍結品(Level1(HbA1c%、4.54%)、Level2(同5.27%)、Level3(同6.96%)、Level4(同9.24%)、Level5(同11.58%))を生理食塩水で50倍希釈したものを試料として測定に供した。(2)試料の測定 日立7170形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。<第一試薬>50mM トリス緩衝液(pH7.5)<第二試薬>1mM 5,5’−Dithiobis(2−nitrobenzoic acid)(DTNB、和光純薬工業社製)50mM トリス緩衝液(pH7.5)<測定パラメータ>分析方式:2ポイントエンド測定波長(副/主):505/405側光ポイント:16−34反応時間:10分サンプル量:15μL第1試薬量(R1):180μL 第3試薬量(R2):90μL 試料15μLに第一試薬180μLを加え、37℃で5分間加温後の吸光度を測定した(吸光度I)。次いで第二試薬90μLを加え、37℃で5分間加温後の吸光度を測定した(吸光度II)。吸光度の測定は主波長405nm(副波長505nm)で行い、試料の代わりに生理食塩水を用いて同様に操作したもの(試薬ブランク)を対照とした。 各試料の吸光度I及び吸光度IIから式Aを用いて各試料の吸光度変化量(測定値)を算出した。式A:吸光度変化量(測定値)=吸光度II−(吸光度I×(15+180)/(15+180+90)) 得られたL−システイン希釈系列の各測定値を用いて、検量線を作成して試料中のチオール化合物の濃度を算出した。検量線のグラフを図1に示す。2.試料中のHbの濃度測定(1)試料の調製・グリコHbコントロール 上記2種の凍結乾燥品を精製水200μLで溶解したものを測定に供した。・JCCLS CRM−004a 上記5種の凍結品を室温にて融解後、測定に供した。(2)Hb濃度の測定 ネスコート ヘモキット−N(アルフレッサファーマ社製)を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。<ヘモグロビン濃度測定試薬>・呈色液 精製水で50倍希釈して使用した。・標準液(ヘモグロビン16.0g/100mL) そのまま使用した。 試料20μLと呈色液5mLをよく混和して、室温で5分間放置後、日立U−3310形分光光度計にて541nmの吸光度(吸光度I)を測定した。同時に標準液、およびブランクとして生理食塩水の吸光度(それぞれ吸光度II、吸光度III)を測定した。各試料の吸光度から式Bを用いて各試料のHb濃度を算出した。式B:Hb濃度(g/dL)=(吸光度I−吸光度III)÷(吸光度II−吸光度III)×16.0 各試料中のHb濃度および上記にて算出したチオール化合物の濃度より、Hb1mg当たりのチオール化合物の濃度を求めた。表1にHb1mg当たりのチオール化合物の濃度を示す。3.チオール化合物を含む試料の酵素法によるHbA1c量の測定(1)試料の調製・グリコHbコントロール 上記2種の凍結乾燥品を精製水200μLで溶解した後、150mM N−エチルマレイミド(NEM)(東京化成工業社製)酸性溶液(pH2.8、1N 塩酸にて調製)あるいは精製水と等量ずつ混合し、さらに下記検体希釈液で7倍希釈したものを試料として測定に供した。・JCCLS CRM−004a 上記5種の凍結品を融解した後、150mM N−エチルマレイミド(NEM)酸性溶液(pH2.8)あるいは精製水と等量ずつ混合し、さらに下記検体希釈液で6倍希釈したものを試料として測定に供した。(2)ヘモグロビンA1c酵素的定量法(酵素法)試薬<検体希釈液>10mM 亜硝酸ナトリウム<プロテアーゼ含有基質試薬(第一試薬)>以下の成分を含む50mM リン酸ナトリウム緩衝液 pH7.01.5% アンヒトール20BS(花王社製)2.0 mg/mL プロチンPC10F(大和化成工業社製)0.01% アジ化ナトリウム(キシダ化学社製)50μM DA−67(10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム、和光純薬工業社製)<発色試薬(第二試薬)>以下の成分を含む50mM リン酸ナトリウム緩衝液 pH7.010U/mL フルクトシルペプチドオキシダーゼ(キッコーマン社製)1U/mL パーオキシダーゼ(東洋紡社製)<校正用試料>・ブランク試料;10U/mL POD水溶液(10,000Uのパーオキシダーゼ(東洋紡社製)を、精製水1Lで溶解した)・ヘモグロビンA1c校正用試料L(HbA1c(%)5.27%、凍結乾燥品)、(積水メディカル製、HbA1cコントロールL)・ヘモグロビンA1c校正用試料M(HbA1c(%)7.64%、凍結乾燥品)、(積水メディカル製、HbA1cコントロールM)・ヘモグロビンA1c校正用試料H(HbA1c(%)10.81%、凍結乾燥品)、(積水メディカル製、HbA1cコントロールH) いずれも検体希釈液300μLで溶解して測定に供した。(3)試料の測定 日立7170形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。<測定パラメータ>分析方式:3ポイントエンド測定波長(Hb、副/主):800/505 (HbA1c、副/主):800/660測光ポイント(Hb):0−14 (HbA1c):16−34反応時間:10分サンプル量:12μL第1試薬:180μL(R1) 第3試薬(R2):60μL 各試料12μL及び第一試薬180μLをセルに分注し37℃で5分間加温後、主波長660nm、副波長800nmの吸光度の差(Abs1)、及び主波長505nm、副波長800nmの吸光度の差(Abs3)を測定した。続いて第二試薬60μLを添加し、37℃で5分間加温後、主波長660nm、副波長800nmの吸光度の差を測定した(Abs2)。 各試料のAbs1(mOD)及びAbs2(mOD)から下記式Cを用いて各試料の吸光度変化量(測定値)を算出した。式C:吸光度変化量(ΔAbs)=Abs2−Abs1×192÷252 ブランク試料と校正用試料の4点のΔAbsよりHbA1cの検量線を作成した。 また、ブランク試料と校正用試料(HbA1cコントロールL)の2点のAbs3よりHbの検量線を作成した。 作成した検量線を用いて、各試料のHbA1c濃度(μmol/L)及びHb濃度(μmol/L)を算出し、さらに式D(日本糖尿病学会グリコヘモグロビン標準化HbA1c値に換算するために自動分析装置の項目間演算式、日本臨床化学会 糖尿病関連指標専門委員会:ADA,EASD,IFCC,IDFによるヘモグロビンA1c測定の国際標準化に関するコンセサス・ステートメントに対する糖尿病関連指標専門委員会の見解、臨床化学 36、310(2007))よりHbA1c%を算出した。式D:HbA1c(%)=HbA1c(μmol/L)÷Hb(μmol/L)×96.3+1.62 表1に各試料のHbA1c量(%)を示す。4.チオール化合物を含む試料のHPLC法によるHbA1c量の測定(1)試料の調製・グリコHbコントロール 上記2種の凍結乾燥品を精製水200μLで溶解した後、さらに検体希釈液(東ソー社製)で101倍希釈したものを東ソー自動グリコヘモグロビン分析計HLC−723G8で測定した。・JCCLS CRM−004a 上記5種の凍結品を検体希釈液で201倍希釈したもの試料としてHLC−723G8で測定した。(2)試料の測定 HLC−723G8を用いて測定した。表1にHPLC法により求めた各試料のHbA1c量(%)を示す。 表1に示すようにJCCLS CRM−004aと比較してグリコHbコントロールには多量のチオール化合物が含まれることが判明した。 また、表1に示すようにチオール化合物を多量に含有するグリコHbコントロールをNEM酸性溶液と混合せずに測定に供する方法では、HPLC法測定値に対して酵素法測定値は有意に低値となるのに対して、NEM酸性溶液と混合した後に測定に供する方法では、酵素法はHPLC法とほぼ一致する測定値を得ることができた。なお、JCCLS CRM−004aについてはNEM酸性溶液との混合の有無に関わらず酵素法測定値はHPLC法測定値とほぼ一致した。 酵素法により、チオール化合物が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料中の糖化ヘモグロビンを測定する方法において、該試料とN−エチルマレイミドとを混合した後、酵素法による測定に付することを特徴とする、測定方法。 チオール化合物が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料が校正用試料である請求項1記載の測定方法。 チオール化合物が添加された糖化ヘモグロビン測定用試料が精度管理試料である請求項1記載の測定方法。 糖化ヘモグロビンがヘモグロビンA1cである請求項1〜3のいずれか1項記載の測定方法。


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