生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_座屈を利用した荷重負荷機構
出願番号:2009036011
年次:2010
IPC分類:G01N 3/42


特許情報キャッシュ

田中 由浩 佐野 明人 山田 篤史 藤本 英雄 JP 2010190757 公開特許公報(A) 20100902 2009036011 20090219 座屈を利用した荷重負荷機構 国立大学法人 名古屋工業大学 304021277 田中 由浩 佐野 明人 山田 篤史 藤本 英雄 G01N 3/42 20060101AFI20100806BHJP JPG01N3/42 A 6 6 OL 8 (出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「インテリジェント手術機器研究開発プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願本発明は、対象に対する接触力をほぼ一定に保つことができる座屈を利用した荷重負荷機構に関するものである。対象に対し接触を必要とする作業器具や計測装置においては、使用時に接触力を一定に保つことが必要になることがある。 たとえば、接触力を計測可能な力センサを配置して、その情報をフィードバックすることにより一定の接触力を実現することができる。しかし、一般に力センサは電気を必要とし、生体内や電気的ノイズが非常に大きい環境下では使用することができない。また、生体など対象が傷つきやすい場合、対象に対し過度の接触力が加わることを避ける必要がある。このとき、力センサを用いたフィードバック系は十分に安全ではない。したがって、力センサを使用せず、機械的に対象に対する接触力を一定に保つことができる方法が望まれる。たとえば、特許文献1の表面凸部検出装置および表面凸部検出方法では、硬い材質の円筒状の容器とその内部の力検出部の上に設置した弾性体を用いて、上部から人の手によって押さえつけるとき、操作者から加えられる力の変動が直接は力検出部には伝わらずに、ほぼ一定の力を力検出部に与えることができる。しかし、円筒状の容器に力の変動が伝わるため、力検出部以外の接触面において、接触力が大きく変動してしまう。これは、上述した対象が傷つきやすい場合において、安全性を確保できない。特許公開2008−70169特許出願2008−40053本発明は、上記事情に鑑み、センサ等のフィードバック系を必要とせず、機械的に対象に対する接触力をほぼ一定に保つことができる座屈を利用した荷重負荷機構を提供することを目的とする。課題を解決するために、第1の発明は、対象に対する接触力をほぼ一定に保つことができる座屈を利用した荷重負荷機構であって、対象と接触する固定部と、該固定部を対象に押付けるため動かされる可動部と、両端が該固定部と該可動部に固定された、曲げまたは圧縮により座屈を起こす弾性体部と、からなることを特徴とする座屈を利用した荷重負荷機構にある(請求項1)。第2の発明は、前記弾性体部が、複数形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の座屈を利用した荷重負荷機構にある(請求項2)。第3の発明は、前記弾性体部は、前記固定部および前記可動部に対して対称に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の座屈を利用した荷重負荷機構にある(請求項3)。第4の発明は、前記固定部は、前記可動部と同軸上にあり、該可動部表面、または該可動部内部をスライドするプローブ部と接続されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の座屈を利用した荷重負荷機構にある(請求項4)。第5の発明は、前記弾性体部は、断面が円弧または円の形状であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の座屈を利用した荷重負荷機構にある(請求項5)。第6の発明は、前記弾性体部は、平面板の形状であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の座屈を利用した荷重負荷機構にある(請求項6)。本発明によれば、対象に対する接触力をほぼ一定に保つことができる座屈を利用した荷重負荷機構を提供できる。特に、本発明の座屈を利用した荷重負荷機構では、対象に荷重を負荷することにより可動部と固定部の間にある弾性体部が座屈を起こす。座屈後は該可動部の移動量に対して、対象と接触する該固定部の接触力の変動を小さくすることができる。すなわち、対象に対する接触力がほぼ一定になる。また、弾性体部の硬さや形状、枚数を変えることで、座屈後の接触力の大きさを任意に設定できる。本発明の第1実施形態における座屈を利用した荷重負荷機構の構成を示す図である。図1の状態から弾性体部を座屈させた状態を示した図である。本発明の第2実施形態における座屈を利用した荷重負荷機構において、可動部の動作を直動とした場合の構成を示す図である。図3の断面図を示した図である。図3のA−A’断面図を示した図である。図4の状態から弾性体部を座屈させた状態を示した図である。本発明を触覚センサに応用した場合の構成を示す図である。図3に示した機構を用いて、対象に対し荷重を負荷した場合の可動部の移動量に対する固定部の接触力を測定した実験結果である。以下、本発明の座屈を利用した荷重負荷機構の実施の形態を説明する。本発明の座屈を利用した荷重負荷機構は、対象と接触する固定部と、該固定部を対象に押付けるため動かされる可動部と、両端が該固定部と該可動部に固定された、曲げまたは圧縮により座屈を起こす弾性体部と、からなることを特徴とする。 (第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態における座屈を利用した荷重負荷機構の構成を示したものである。図1の可動部1を動かし、固定部2を対象に接触させる。可動部1と固定部2の間には両端を可動部1と固定部2に固定された弾性体部3がある。図1では、固定部2が対象を押すように可動部1を動かすことで弾性体部3に曲げモーメントが加わり座屈を起こす。図1に示した状態から座屈を起こした後の状態を図2に示す。座屈後は、図2に示すように弾性体部3が大変形を起こし、可動部1の移動量に対して固定部2の接触力の変動を小さくし、接触力をほぼ一定に保つことができる。なお、可動部1および固定部2に、樹脂を用いている。また、弾性体部3には、平面状のシリコーンゴムを用いている。 (第2実施形態)図3に、本発明の第2実施形態における可動部の動作を直動とした場合の座屈を利用した荷重負荷機構の構成を示す。また、図4に図3の断面図を示す。ここでは、固定部4およびプローブ部5は可動部6と同軸上にあり、固定部4は可動部6内部をスライドするプローブ部5と接続されている。固定部4と可動部6の間には両端を固定された弾性体部7が配置されている。弾性体部7は固定部4および可動部6に対して2枚対称に配置されている。また、図5に、図3のA−A’断面図を示す。弾性体部7の断面は円弧形状をしている。本実施形態においては、可動部6が直動に動くことにより、弾性体部7に圧縮力が加わり、座屈を起こす。図4に示した状態から座屈を起こした後の状態を図6に示す。座屈後は、図6に示すように弾性体部7が大変形を起こし、可動部6の移動量に対して固定部4の接触力の変動を小さくし、接触力をほぼ一定に保つことができる。図3の可動部6については、外径5mm、内径3mm、高さ100mmのアクリル製中空の円柱を使用し、弾性体部7が固定される部分は、外径4mm、高さ3mmとした。プローブ部5には直径2mmのアクリル製円柱を使用した。固定部4には、直径5mm、高さ5mmのアクリル製円柱を使用し、弾性体部7が固定される部分は、直径4mm、高さ3mmとした。弾性体部7には、厚さ0.3mm、高さ15mm、断面形状がR2.5mm、円弧角90°のポリプロピレンを使用し、2枚対称に配置した。 (他の実施形態)第1実施形態では、可動部1、固定部2、および弾性体部3の材料を示したが、それ以外の材料でも良い。同一材料としても良い。第1実施形態では、弾性体部3が平面板であることを示したが、弾性体部3の断面形状が円弧または円であっても良い。第2実施形態では、可動部6内部をスライドするプローブ部5を用いることを示したが、可動部6表面をスライドするプローブ部を用いても良い。第2実施形態では、弾性体部7の断面形状が円弧であることを示したが、弾性体部7が平面板であっても良い。第2実施形態では、弾性体部7を2枚としたが、固定部4および可動部6に対して対称であれば複数用いて良い。第2実施形態では、可動部、固定部、プローブ部および弾性体部の材料を示したが、それ以外の材料でも良い。同一材料としても良い。第2実施形態では、具体的な寸法を示したが、上記以外の寸法でも良い。 (応用例)本発明の応用例を説明する。本発明は、たとえば、触覚センサのプローブに利用することが可能である。 特許文献2では、流体を用いて、対象の硬さおよびぬめり等の表面性状を計測する触覚センシング方法および触覚センサを提案している。これは、流体を用いて、対象の硬さおよびぬめり等の表面性状を計測する方法であって、流体が満たされた柔軟なバルーンを対象に押当てる接触工程と、該バルーンの流体を制御し、該バルーンを膨張させる流体制御工程と、該バルーンの膨張における流体または該バルーンの形状の変化を計測する計測工程と、該計測工程から得られた情報を信号処理し、硬さおよびぬめり等の表面性状の評価値を算出する評価工程と、から構成されることを特徴としている。触覚センサは、流体が満たされた柔軟なバルーンを有するセンサ素子と、該バルーンの流体を制御し、該バルーンを膨張させる流体制御部と、該バルーンの膨張における流体または該バルーンの形状の変化を計測する計測部と、該計測部から得られた情報を信号処理し、硬さおよびぬめり等の表面性状の評価値を算出する評価部と、から構成されることを特徴としている。前記接触工程は、前記バルーンに一定荷重を与えることが望ましく、本発明は前記センサ素子に搭載することができ、該接触工程を実現できる。図7に、本発明を前記センサ素子に応用した場合の構成図を示す。固定部8の先端にはバルーン9が取り付けられている。固定部8およびプローブ部10が可動部11と同軸上にあり、可動部11内部をスライドするプローブ部10と固定部8は接続されている。固定部8と可動部11の間には両端を固定された弾性体部12が配置されている。弾性体部12は固定部8および可動部11に対して2枚対称に配置されている。なお、固定部8およびプローブ部10は中空でつながっており、バルーン9およびこの中空の中を流体が満たしている。プローブ部10は流体制御部とつながっている。前記接触工程は、バルーン9のついた固定部8を対象に接触させ、可動部11を直動に動かすことにより実現できる。可動部11が直動に動くことで弾性体部12に圧縮力が加わり、座屈を起こす。座屈後は、可動部11の移動量に対して固定部8の接触力の変動を小さくし、接触力をほぼ一定にすることができる。なお、バルーン9のついた固定部8およびプローブ部10は中空であり流体で満たされ、これらを通じて流体制御部とつながっているから、流体を制御し、バルーン9を膨張させることが可能である。本実施例の座屈を利用した荷重負荷機構の効果を実験的に確認するために、図3に示した実施形態を用いて、対象に対し荷重を負荷した場合に関し、可動部の移動量に対する固定部の接触力の測定実験を行った。硬い鋼板に対し荷重を負荷した場合の固定部の接触力の測定実験の結果を図8に示す。図8より、始めは可動部の移動量に対し固定部の接触力が増加するが、移動量0.5mm以降は、接触力は移動量に対しほとんど変化しないことがわかる。すなわち、固定部の接触力をほぼ一定に保つことができるといえる。この接触力が変化しなくなる点は、弾性体部が座屈を起こした点を表す。また、弾性体部の硬さや形状、枚数を変えることで、座屈後の接触力の大きさを変えることができる。 1 可動部 2 固定部 3 弾性体部 4 固定部 5 プローブ部 6 可動部 7 弾性体部 8 固定部 9 バルーン 10 プローブ部 11 可動部 12 弾性体部対象に対する接触力をほぼ一定に保つことができる座屈を利用した荷重負荷機構であって、対象と接触する固定部と、該固定部を対象に押付けるため動かされる可動部と、両端が該固定部と該可動部に固定された、曲げまたは圧縮により座屈を起こす弾性体部と、からなることを特徴とする座屈を利用した荷重負荷機構。前記弾性体部は、複数形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の座屈を利用した荷重負荷機構。前記弾性体部は、前記固定部および前記可動部に対して対称に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の座屈を利用した荷重負荷機構。前記固定部は、前記可動部と同軸上にあり、該可動部表面、または該可動部内部をスライドするプローブ部と接続されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の座屈を利用した荷重負荷機構。前記弾性体部は、断面が円弧または円の形状であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の座屈を利用した荷重負荷機構。前記弾性体部は、平面板の形状であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の座屈を利用した荷重負荷機構。 【課題】力センサ等のフィードバック系を必要とせず、機械的に対象と接触する面の接触力をほぼ一定に保つことができる座屈を利用した荷重負荷機構を提供する。【解決手段】本発明の座屈を利用した荷重負荷機構は、対象と接触する固定部と、該固定部を対象に押付けるため動かされる可動部と、両端が該固定部と可動部に固定された、曲げまたは圧縮により座屈を起こす弾性体部と、からなることを特徴とする。対象に荷重を負荷することにより該弾性体部が座屈を起こすことで、該可動部の移動量に対して、対象と接触する該固定部の接触力の変動を小さくすることができ、対象に対する接触力をほぼ一定に保つことができる。【選択図】図6


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