タイトル: | 公開特許公報(A)_触媒SbCl3、SbCl5、SbF5、TiCl4、SnCl4、Cr2O3、及びフッ化Cr2O3を用いた2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンへのフッ化水素化 |
出願番号: | 2009005693 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 17/087,C07C 19/10,C07B 61/00 |
ダニエル・シー・マーケル ロバート・シー・ジョンソン スースン・トゥン JP 2009167187 公開特許公報(A) 20090730 2009005693 20090114 触媒SbCl3、SbCl5、SbF5、TiCl4、SnCl4、Cr2O3、及びフッ化Cr2O3を用いた2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンへのフッ化水素化 ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド 500575824 小野 新次郎 100140109 社本 一夫 100089705 小林 泰 100075270 千葉 昭男 100080137 富田 博行 100096013 中田 尚志 100133765 ダニエル・シー・マーケル ロバート・シー・ジョンソン スースン・トゥン US 61/021,121 20080115 US 12/338,466 20081218 C07C 17/087 20060101AFI20090703BHJP C07C 19/10 20060101ALI20090703BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090703BHJP JPC07C17/087C07C19/10C07B61/00 300 4 OL 15 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC30 4H006BA10 4H006BA11 4H006BA13 4H006BA14 4H006BA30 4H006BA37 4H006BC10 4H006BC11 4H006BC13 4H006BC14 4H006BC31 4H006BE01 4H006EA02 4H039CA51 4H039CF10 本出願は、2008年1月15日に出願され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国仮出願第61/021121号に対する優先権を主張する。 本開示は2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンの製造方法に関する。本開示は更に、高シングルパス転化率の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのフッ化水素化を介した2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンの製造方法に関する。 関連技術の記載 冷却材及び発泡剤である2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)は、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(244bb)の脱塩化水素化により製造される。244bbは2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)から製造することができる。 2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンへの転化率が低い場合、生成物流中に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン及び2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンは混和状態で存在する。2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは同様の沸点及び共沸混合物様特性を示し、これにより、従来の蒸留法のような標準的な技法を介して両者を分離することが困難となっている。 低転化率の問題に取り組む一つの方法としては、更なる転化率が得られるように反応器への生成物流の再循環を増加させることが挙げられる。再循環の増加により、所望のレベル又は生成物産出量を維持するために、プロセス装置のサイズ及び規模を増大させる必要があるであろうし、そしてそのことは製造コストを上昇させるであろう。更に、生成物流中の成分の分離は困難である。 より高いシングルパス転化率で2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンを2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから製造する方法を獲得することが望ましいであろう。 SbCl3、SbCl5、SbF5、TiCl4、SnC14、Cr2O3、及びフッ化Cr2O3よりなる群から選択される触媒の存在下で2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをフッ化水素化することを含む、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンの製造方法。 触媒は、好ましくは、無水フッ化水素を用いて活性化され、そしておそらく無水塩素を用いて活性化されることが可能である。更に、触媒は、塩素(又は同様の酸化剤)の連続添加又はバッチ添加により活性化状態が保たれる。 フッ化水素化反応は、気相でのフッ素化である。気相でのフッ素化反応のための触媒は、SbCl5担持活性炭である。気相でのフッ素化反応は約30℃乃至約200℃、好ましくは約50℃乃至約120℃で行われる。気相でのフッ素化反応は約5psia乃至約200psia、好ましくは約30psia乃至約175psiaの圧力で行われる。 2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対するフッ化水素のモル比は、約1:1乃至約30:1、好ましくは約2:1乃至約15:1である。 または、フッ化水素化段階は液相でのフッ素化であり、ここでの反応温度は約30乃至200℃、好ましくは約50乃至120℃;ここでの反応圧力は約15乃至200psia、好ましくは約50乃至175psia;ここでの2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対するフッ化水素のモル比は、約1:1乃至約30:1、好ましくは約2:1乃至約15:1である。 本発明の開示の方法において、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの二重結合へのHFの付加を介した2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの2−クロロ-1,1,1,2−テトラフルオロプロパンへのシングルパス転化率を高めるために、選択された触媒を用いる。触媒として以下が挙げられる:SbCl3、SbCl5、SbF5、TiCl4、SnC14、Cr2O3、及びフッ化Cr2O3。所望により、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、前段階の残余であるHClを更に含んでもよい。 フッ化水素化工程は気相又は液相で行ってよい。 気相でのフッ化水素化において、HF(フッ化水素ガス)は触媒床を通って連続的に供給される。HF供給流のみの状態でしばらくした後、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、約1:1乃至約1:30、好ましくは約1:2乃至約1:15の比(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン/HFモル比)で触媒床を通って連続的に供給される。HFと2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとの反応は約30℃乃至約200℃の温度(好ましくは約50℃乃至120℃)、約5psia乃至約200psia(ポンド平方インチ絶対圧力)(好ましくは約30psia乃至約175psia)で行われる。触媒は活性炭上といった基材上に担持されていてよく、又は担持されていなくてもよく、即ち、独立した状態でもよい。活性炭に加えて、有用な触媒担体としては以下のものが挙げられる:アルミナ、フッ化アルミナ、フッ化アルミニウム、アルカリ土類金属酸化物、フッ化アルカリ土類金属、酸化亜鉛、フッ化亜鉛、酸化スズ、及びフッ化スズ。触媒は、触媒の状態に依存して、使用前に無水フッ化水素HF(フッ化水素ガス)及び/又はCl2(塩素ガス)で活性化されていてもよい(活性化されていなくてもよい)。必要であれば、Cl2又は同様の酸化剤の連続添加又はバッチ添加により触媒を活性化した状態を保たせることができる。 液相でのフッ化水素化において、触媒は液体の状態で反応器に添加され、所望によりHFにより触媒が活性化される。次に、活性化された触媒は、約30℃乃至約200℃(好ましくは、約50℃乃至約120℃)の所望の反応温度まで加熱され、圧力は約15psia乃至約200psia(好ましくは約50psia乃至約175psia)に保たれる。HF供給流のみの状態でしばらくした後、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、約1:1乃至約1:30、好ましくは約1:2乃至約1:15の比(2クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン/HFモル比)で触媒を通って連続的に供給される。必要であれば、触媒は、Cl2又は同様の酸化剤の連続添加又はバッチ添加により、活性化された状態を保つことができる。 2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンへの、強化され改善されたシングルパス転化は本開示の重要な特徴である。フッ化水素化反応は、約70%以上、好ましくは約90%以上、最も好ましくは約93%以上の転化率を達成するように行われるのが好ましい。転化率は、反応物(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)の消費されたモル数を反応器に供給される反応物(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)のモル数で割ったものに100を乗じたものにより計算される。達成される2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンの選択性は好ましくは約60%以上、最も好ましくは約80%以上である。選択性は、形成された生成物(2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン)のモル数を消費された反応物のモル数で割ったものにより計算される。 フッ化水素化は好ましくは、耐食性の反応槽において行われる。耐食性材料の例として、ハステロイ(Hastelloy)、ニッケル、インコロイ(Incoloy)、インコネル(Inconel)、モネル(Monel)及びフルオロポリマーライニングが挙げられる。この槽は固定された触媒床又は流動触媒床を有してよく、又は液体触媒を含んでいてもよい。所望により、窒素又はアルゴンといった不活性ガスは、操作中、反応器に用いることができる。 以下は本開示の実施例であり、限定するものとして解釈されるものではない。特に明示しない限り、すべてのパーセント及び部は重量換算である。 実施例1 気相での以下のフッ素化反応を行った。2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)+HF→2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(244bb) この実験のフッ素化触媒は、50重量%SbCl5含浸50重量%Calgon PCB活性炭であった。 活性炭上の数キログラムの50重量%SbCl5を実験室において製造した。この触媒は、まず10メッシュの篩に通して微粒子を取り除いた。2つの連続した2インチの気相パイプリアクターに計2276.6グラム(すなわち2800cc)を添加し、制御加熱のため砂浴に設置した。 SbCl5に対するHFのモル比が少なくとも5:1となるようにHFを加え、その後、SbCl5に対するCl2のモル比が少なくとも3:1となるようにCl2を加えることにより触媒を活性化させた。最後に、大過剰のHFを2時間触媒床に通した。 2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの原材料の種々のシリンダーを有機物の供給として用いて反応を行い、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンを製造した。過剰のHFを除去する前に蒸留塔中の反応流出液を回収した。実験中、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの93.5%の転化率を達成した。2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンの最大の選択性はモル換算で98.4%であった。この反応はCl2による触媒再生を試みることなく76.5時間連続した。触媒は約65時間の稼働時間後不活性化の兆候を示し始めた。実験データ及び反応条件は以下の表1A及び1Bに示される。 実施例2 液相でのフッ素化 2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)+HF→2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(244bb) 実験のフッ素化触媒はSbCl5であった。 約6100グラムのSbCl5を、2インチID(内径)充填カラム及び凝縮器を備えたTeflon(商標)でコーティングされた液相反応器(TeflonはE.I. duPont de Nemours & Coの商標である)に添加した。反応器は2.75インチID×36インチL(長さ)である。まず、大過剰量のCl2を反応器に加え、触媒が確実に5価の状態となるようにした。反応器を約85℃乃至87℃まで加熱した。まずHFの供給を開始した。1.3lbs(ポンド)のHFを加えてから2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン供給を開始した。2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン供給原料の純度は約98GC面積%であった(ガスクロマトグラフ)。実験は71時間連続して行った。この実験では、実験中約4時間ごとにバッチ式に塩素を加え、触媒を活性状態に保った。HF及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの供給は実験中に変化した。実験の始めにおいて、供給量は、比率が7.9/1のHF/2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して平均してHFは0.495ポンド/時間、及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは0.408ポンド/時間(塩素は有機化合物に対して5.4重量%)であり、滞留時間は135秒であった。実験の中盤、供給量は、比率が8.33/1のHF/2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して平均してHFは0.843ポンド/時間、及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは0.66ポンド/時間(塩素は有機化合物に対して3.3重量%)であり、滞留時間は80秒であった。実験の終盤では、供給速度を増加させた。この期間における供給量は、比率が7.5/1のHF/2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して平均してHFは1.42ポンド/時間、及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは1.24ポンド/時間(塩素は有機化合物に対して2重量%)であり、滞留時間は47秒であった。未反応の2−クロロ-3,3,3−トリフルオロプロペンの濃度は実験の終盤で増加したように見えたが、これはCl2濃度が低いこと又は滞留時間が短いことの結果であった可能性があるであろう。 この実験についての反応器の温度範囲は78乃至91℃であり、圧力範囲は85psig乃至115psig(ポンド/平方インチゲージ)であった。実験から回収された有機物の粗生成物をガスクロマトグラフにかけ、以下のGC分析を行った。 有機相は、ガスクロマトグラフを用いた分析を行った際、以下を示した:GC面積%1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン=11.802−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン=82.872−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン=1.142−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン=0.522,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン=0.201,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン=2.44 以下の表2は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率及び生成物の選択性のデータを含む: 実施例3 実施例3では、実施例2と同様の装置を用いた。 約5615グラムのSbCl5を、実施例2と同様の反応器に添加した。反応器を約85℃乃至87℃まで加熱した。まず、HF供給を始めた。約1.5ポンドのHFを加えた後に、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの供給を始めた。2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン供給原料の純度は約97.3GC面積%であった。実験は連続して71時間行った。この実験では、実験中約4時間ごとにバッチ式に塩素を加え、触媒を活性状態に保った。 この実験の実験番号(実験#)は36bであった。転化率は、ちょうど98%を超える程度であり、実験の残りの間中(金曜日に終えるまで)その状態を維持した。触媒充填は週末の間高温を保ち、月曜日に操作を再開し(ここから実験#37とする)、そしてこれにより一週間を通して同様の高い転化率が観察された。約123ポンドの酸不含の2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン粗生成物が、実験#36b及びその続きの翌週の実験#37との間に収集された。塩素の添加の回数は、別表中に実験#37のデータとして記されている―この添加の直後(典型的には約1時間後)、サンプルにおいて1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが有意に増加することを観察することができ、その後減少する。 この実験の反応器の温度範囲は78℃乃至86℃であり、圧力範囲は70psig乃至105psigである。この実験から収集された有機粗生成物をガスクロマトグラフにかけ、以下のGC分析を示した。 実験#36b及び#37から収集された2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン粗生成物は以下のGC分析を示した。面積%1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン=4.482−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン=91.592−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン=2.102−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン=0.212,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン=0.171,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン=1.13 以下の表3A及び3Bは2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率及び生成物選択性のデータを表す。 以上の記載が、本発明の開示を単に説明するものに過ぎないということは理解すべきである。種々の代替及び改変は、本開示を逸脱しない範囲で当業者により案出することが可能である。従って、本開示は、別添の特許請求の範囲内の上記のような代替、改変、変種をすべて包含することが意図されている。 SbCl3、SbCl5、SbF5、TiCl4、SnC14、Cr2O3、及びフッ化Cr2O3よりなる群から選択される触媒の存在下で2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをフッ化水素化することを含む、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンの製造方法。 前記触媒は、無水フッ化水素、無水塩素又は塩素を用いて活性化される、請求項1に記載の方法。 前記フッ化水素化は気相でのフッ素化又は液相でのフッ素化であり、該フッ素化反応は約30℃乃至約200℃、約5psia乃至約200psiaの圧力で行われる、請求項1に記載の方法。 2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対するフッ化水素のモル比が約1:1乃至約30:1、好ましくは約2:1乃至約15:1である、請求項1に記載の方法。 【課題】冷却材及び発泡剤である2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの合成原料である2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンの工業的に有利な製造方法を提供する。【解決手段】SbCl3、SbCl5、SbF5、TiCl4、SnC14、Cr2O3、及びフッ化Cr2O3よりなる群から選択される触媒の存在下で2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをフッ化水素化することを含む、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンの製造方法。【選択図】なし