生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_組織の修復又は再生用製剤
出願番号:2008549197
年次:2013
IPC分類:A61K 33/00,A61K 9/12,A61P 1/02


特許情報キャッシュ

眞野 喜洋 荒川 真一 千葉 金夫 JP 5255451 特許公報(B2) 20130426 2008549197 20071210 組織の修復又は再生用製剤 国立大学法人 東京医科歯科大学 504179255 株式会社REO研究所 503357735 南条 雅裕 100113376 瀬田 あや子 100132942 眞野 喜洋 荒川 真一 千葉 金夫 JP 2006334203 20061212 20130807 A61K 33/00 20060101AFI20130718BHJP A61K 9/12 20060101ALI20130718BHJP A61P 1/02 20060101ALI20130718BHJP JPA61K33/00A61K9/12A61P1/02 A61K 33/00 A61K 9/12 A61P 1/02 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 国際公開第2006/051542(WO,A1) 国際公開第05/084786(WO,A1) 国際公開第05/084718(WO,A1) 特開2005−342030(JP,A) 特開昭62−213752(JP,A) 特開平07−010762(JP,A) Onaga T. et al,Development of a New Apparatus for Dental Plaque Removal Using Microbubbles,日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集,2006年10月28日,Vol.84th,808 5 JP2007001375 20071210 WO2008072370 20080619 10 20101104 加藤 文彦 本発明は、損傷や変性等の組織変化を伴う様々な疾病や外傷の治療又は予防に好適な、組織の修復又は再生用製剤に関する。 様々な疾病や外傷により、組織は損傷や変性等の異常な変化を受ける。このような異常な変化を受けた組織を速やかに修復又は再生可能な薬剤を得ることができれば、様々な疾病や外傷の治療又は予防に、非常に好適であると考えられる。 例えば、口内炎は、口腔粘膜に発生する炎症の総称であり、口腔粘膜組織の異常な変化であるということができる。これらの炎症が重篤になると疼痛や出血を伴い、食物の摂食が困難になるなど患者にとって深刻な問題となるため、早期に治療することが望まれている。口内炎の代表的な病変であるアフタは、口腔粘膜における円形乃至楕円形、扁豆大までの大きさの境界明瞭な炎症局面で、周辺に潮紅、表面に白色乃至黄色の偽膜を有し、強い痛みを伴う病変である。原因としては、細菌感染、免疫異常、栄養障害、胃腸障害等が挙げられるが、近年特に、精神的ストレス、環境の変化も主な原因の一つであると考えられている。通常約1ヶ月で完治するが、再発する場合があり、何度も繰り返しできる場合は再発性アフタ性口内炎(recurrent aphtha; 習慣性アフタ habitulle aphtha)と呼ばれ、実際には最も多い口内炎である。アフタは、不規則優性遺伝性と考えられ、神経質な人に多く、また、口腔粘膜疾患の内では最も多く罹患率は10%にも及ぶ。男女差は無く、病因は不明であるが、わずかな外的刺激によって誘発される。1個のアフタは、10日から2週間で瘢痕とならずに治癒する(まれに1ヶ月以上続く場合もある)が、激烈な接触痛と刺激痛があり、痛みは少なくとも4日から7日続き、重症になると発熱、頸部リンパ節の腫れ、疲労感等も出現する。 前記したようなアフタの従来の治療法としては、アフタが自然治癒するまで痛みを和らげる対症療法が中心となっている。例えば、ジクロニンやリドカインなどの麻酔薬が、含嗽剤、塗布剤として処方される。また、アフタの保護と抗炎症作用による一時的な痛みの鎮静を目的として、コルチコステロイド(トリアムシノロンやベタメタゾン等)を含む口内炎用軟膏等が処方される場合もある。また、複数のアフタが発症している場合には、テトラサイクリンを含有する含嗽剤等が処方される場合もある。また、潰瘍下の神経の閾値を上げ、痛みを緩和することを目的として、硝酸銀をアフタに直接塗布する場合もあるが、この場合には激しい苦痛を伴うという問題がある。重症の場合には、ステロイドを含むデキサメタゾンうがい薬や、ステロイド内服薬のプレドニゾロン錠剤等も使用される。 しかしながら、前記したようにアフタは原因が多様であるため、現在のところ、主に対症療法(痛みの軽減)のみが行われており、苦痛や副作用の問題の無い、根本的な治療法は皆無であるのが現状である。 一方で、近年、ナノバブル状態にある酸素を多量に含んだ水が、魚介類の環境変化に対する適応性を向上させたり、衰弱した個体を急速に回復させたりするなど、生物に対する種々の生理活性作用を有していることが注目されている。ナノバブルとは、直径がナノサイズ(1nm以上1000nm未満、例えば100nm未満)の気泡であり、直径がマイクロサイズ(1μm以上1000μm未満)の気泡であるマイクロバブルよりもさらに小さい気泡(bubble)である。ナノバブルは、通常は直径が約50μm以下のマイクロバブルが縮小する過程において生成するが、表面張力の作用により自己加圧されているため急速に完全溶解してしまい、その寿命は一般的に短いとされていた。しかし、界面活性剤による殻を被った場合や、表面帯電による静電反発力を受けた場合には、ナノサイズの気泡であってもある程度の長時間、存在することが可能であることが報告されている。ナノバブル状態にある酸素やオゾンを長期間安定に含む水溶液の製造方法も確立されており、特に帯電効果により安定化したナノバブルは、気泡としての特性を保持しており、生物の細胞レベルへの直接的な働きかけなど、多方面に応用の可能性が期待されている(例えば、特許文献1参照)。特開2005−245817号公報 本発明の課題は、前記従来における諸問題を解決し、組織の修復又は再生能力に優れ、損傷や変性等の組織変化を伴う様々な疾病や外傷の治療又は予防に好適な、組織の修復又は再生用製剤を提供することである。 前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、ナノバブル状態にある気体を含むナノバブル水が、口内炎に対して優れた治癒促進効果を奏し、優れた組織の修復又は再生用製剤として、医療、医学実験等の分野で好適に利用可能であるという知見を得た。これは、従来全く知られていない、本発明者らの見出した新たな知見である。 本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、<1> ナノバブル状態にある気体を含むことを特徴とする、組織の修復又は再生用製剤である。<2> 前記ナノバブル状態にある気体が酸素であることを特徴とする、前記<1>に記載の組織の修復又は再生用製剤である。<3> 酸素ナノバブル水を含むことを特徴とする、組織の修復又は再生用液体製剤である。<4> ナノバブル状態にある気体を含むことを特徴とする、口内炎の治療又は予防剤である。<5> 前記ナノバブル状態にある気体が酸素であることを特徴とする、前記<4>に記載の口内炎の治療又は予防剤である。<6> 酸素ナノバブル水を含むことを特徴とする、口内炎の治療又は予防剤である。<7> 有効量のナノバブル状態にある気体を適用することを特徴とする、組織の修復又は再生方法である。<8> 前記ナノバブル状態にある気体が酸素であることを特徴とする、前記<7>に記載の組織の修復又は再生方法である。<9> 有効量の酸素ナノバブル水を適用することを特徴とする、組織の修復又は再生方法である。<10> 有効量のナノバブル状態にある気体を適用することを特徴とする、口内炎の治療又は予防方法である。<11> 前記ナノバブル状態にある気体が酸素であることを特徴とする、前記<10>に記載の口内炎の治療又は予防方法である。<12> 有効量の酸素ナノバブル水を適用することを特徴とする、口内炎の治療又は予防方法である。<13> 組織の修復又は再生用製剤を製造するための、ナノバブル状態にある気体の使用である。<14> 前記ナノバブル状態にある気体が酸素である、前記<13>に記載の使用である。<15> 口内炎の治療又は予防剤を製造するための、ナノバブル状態にある気体の使用である。 本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、組織の修復又は再生能力に優れ、損傷や変性等の組織変化を伴う様々な疾病や外傷の治療又は予防に好適な、組織の修復又は再生用製剤、組織の修復又は再生方法を提供することができる。 また、歯周病患者においてオゾンナノバブル水での含嗽を実施したところ、殺菌効果のみならず、歯周組織修復効果が認められた。さらに、感染性皮膚炎の鯉等を酸素ナノバブル水中で飼育したところ、感染性皮膚炎が完治した。本願の実施例とこれらの事実から、オゾンナノバブル水及び酸素ナノバブル水ともに、殺菌効果、及び組織の修復、再生の効果があることが判明した。さらにこれらの事実は、ナノバブル水の効果が、単なる気体の性質に依存するものではなく、「ナノバブル状態にある気体」という微細な気泡とすることによる、特有の効果であることを裏付けている。図1は、上顎左上7番(第二大臼歯)根尖部に発症したアフタ性口内炎に対する本発明の組織の修復又は再生用製剤の効果を示した図である。図2は、舌尖部に発症したアフタ性口内炎に対する本発明の組織の修復又は再生用製剤の効果を示した図である。 (組織の修復又は再生用製剤) 本発明の組織の修復又は再生用製剤は、ナノバブル状態にある気体を含むことを特徴とする。 <ナノバブル> 本発明において、「ナノバブル」とは、気泡径(直径)がナノサイズ(1nm以上1000nm未満)の気泡をいう。本発明において、「ナノバブル状態にある気体」に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸素、オゾン、水素、窒素、二酸化炭素、天然ガス(例えば、メタン)などが挙げられる。これらの中でも、組織の修復又は再生能力という観点から、前記「ナノバブル状態にある気体」としては酸素が好ましい。また、本発明において、「ナノバブル状態にある気体」としては、二種以上の気体を用いることができる。二種以上の気体を用いる場合としては、例えば、気体Aのみからなるナノバブルと気体Bのみからなるナノバブルとの混合物を用いる場合もあれば、気体Aと気体Bとの混合物を含むナノバブルを用いる場合もあるが、これらに限定されず、例えば、いくつかのナノバブルは気体Aのみを含み、いくつかのナノバブルは気体Bのみを含み、いくつかのナノバブルは気体Aと気体Bとを含むナノバブルの混合物であってもよい。 前記ナノバブルの気泡径は、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、200nm以下が好ましく、100nm以下が特に好ましい。一般的には、前記気泡径が100nm以下であると、ナノバブルの安定性の観点から有利である。前記気泡径が小径であるほど、一般的に長期保存の安定性に優れると考えられる。 前記ナノバブルの気泡径は、例えば、逆浸透膜などを利用して所望のサイズに調整することができ、また、前記ナノバブルの気泡径は、例えば、動的光散乱光学計を用いた測定やフリーラジカルの測定により評価することができる。但し、「ナノバブル状態にある気体」がオゾンである場合には、逆浸透膜を損壊させる可能性があるため、その利用は必ずしも適さない。しかし、逆浸透膜を透過させなくとも、例えば、気泡分布の95%以上が直径100nm以下のオゾンナノバブル水を製造できることが知られる。 本発明の組織の修復又は再生用製剤は、その中に含まれる気泡の少なくとも一部が前記ナノバブルとして存在していればよく、前記ナノバブル以外に、より気泡径の大きい気泡(例えば、気泡径(直径)がマイクロサイズ(1μm以上1000μm未満)である気泡)を含んでいてもよい。なお、前記組織の修復又は再生用製剤中における前記「ナノバブル状態にある気体」の濃度は、飽和濃度であることが特に好ましい。また、前記「ナノバブル状態にある気体」が、溶液中に安定して存在していることが特に好ましい。 前記組織の修復又は再生用製剤が液体製剤である場合、これを構成する溶液は、水溶液であることが好ましいが、特に制限はなく、目的に応じて、他の液体を適宜選択することができる。なお、本発明において、前記「ナノバブル状態にある気体」を含む水溶液を「ナノバブル水」という。また、前記「ナノバブル状態にある気体」が実質的に酸素のみであるナノバブル水を、適宜、「酸素ナノバブル水」といい、前記「ナノバブル状態にある気体」が実質的にオゾンのみであるナノバブル水を、適宜、「オゾンナノバブル水」という。 なお、本発明におけるナノバブル水は、内部ガスとして気体を含むものの、その気泡サイズは極めて微細(例えば、100nm未満)であるため、ある程度の個数を含有することによっても、全体的な溶存する気体の量を特別に増やすものではない。この点で、溶存する気体の量を増加させた水と異なる。例えば、本発明の一態様において、酸素ナノバブル水の溶存酸素濃度は通常水とほぼ同じレベルに維持されており、数十倍とか数百倍の酸素含有量があるといわれる既存技術(例えば、「ナノバブル水」の名称で出回っていることもある、高濃度酸素水等。)とは異なる。また、DMPOをスピントラップ剤として電子スピン共鳴法でラジカルを測定した場合、塩酸と共にDMPOを添加した条件では、本発明の一態様である酸素ナノバブル水の場合、通常水酸基ラジカルの大きなピークが確認できる。一方、高濃度酸素水の場合には、DMPOの不純物起源の微弱なピークしか検出されない。このように溶存気体濃度や塩酸添加時の水酸基ラジカルの発生の点で、ナノバブル水は、既存技術と区別し得る。 <その他の成分> 前記ナノバブル水は、前記「ナノバブル状態にある気体」以外にも、必要に応じて適宜その他の成分を含有することができる。前記その他の成分に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、マンガン、塩分などを挙げることができる。また、前記ナノバブル水の塩分濃度、pH、硬度等に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらは、例えば、後述するナノバブル水の製造過程において、また、一旦、ナノバブル水を製造した後に、各々所望の程度に調整することができる。 <製造> 前記ナノバブル水の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−245817号公報、特開2005−246294号公報、特開2005−246293号公報(それぞれ、国際公開番号WO2005/084718号、WO2005/084786号、WO2005/085141号に対応)等に記載の製造方法に従って製造することができる。前記公報に記載の製造方法によれば、数ケ月以上の長期にわたって「ナノバブル状態にある気体」が安定して存在し、水溶液中から消滅することがないナノバブル水を製造することができる点で好ましい。 また、前記ナノバブル水の製造過程においては、用いる水溶液に、鉄、マンガン、塩分などを添加することが好ましい。 前記ナノバブル水の製造過程において、用いる水溶液の塩分濃度は、0.2〜3.0質量%が好ましく、0.8〜1.2質量%がより好ましい。一般的には、前記塩分濃度が、0.8〜1.2質量%の範囲内であると、ナノバブルのガス核を作製し易く、ナノバブル水の製造効率に優れるであろう。なお、前記塩分濃度は、例えば、公知の塩分濃度測定器を用いて測定することができる。 前記ナノバブル水の製造過程において、用いる水溶液のpH、硬度等は、一般的には、ナノバブルの作製効率に塩分濃度ほど大きな影響を与えないと考えられるが、通常、pHは、7〜8が好ましく、硬度は、20〜30が好ましい。前記pH、硬度等は、例えば、それぞれ公知のpH測定器、公知の硬度測定器等を用いて測定することができる。 より具体的には、例えば、1.0質量%の塩分濃度の硬水(地下水)を原材料として、50μm以下のマイクロバブルを作製した上で、急速圧壊させることにより、前記ナノバブル水を作製することができる。なお、更に10Åの逆浸透膜を2回通すことにより、塩分濃度0質量%のナノバブル水を作製できる(塩分濃度0質量%の酸素ナノバブル水が、飲料水として厚労省が認可している「ナーガの雫」(株式会社NAGA)である)。一方、10Åの逆浸透膜を通していない段階のものを塩分濃度1.0質量%のナノバブル水として用いることができる。この両者のナノバブル水の混合比率を変えることで、塩分濃度0〜1.0質量%のナノバブル水を提供することができる。なお、オゾンナノバブル水の場合には、逆浸透膜通過させると装置が融解破損するおそれがあるため、逆浸透膜の利用は好ましくない。 前記のようにして得られたナノバブル水は、例えばそのまま、前記組織の修復又は再生用製剤として使用してもよいし、他の成分と組み合わせることにより、前記組織の修復又は再生用製剤として使用してもよい。例えば、前記ナノバブル水に、組織の修復又は再生目的に使用され得る既存の薬剤等を添加することにより、或いは、前記ナノバブル水を、組織の修復又は再生目的に使用され得る既存の薬剤等の調製に用いることにより、組織の修復又は再生能力を更に向上できることが期待される。さらに、前記ナノバブル水を、組織の修復又は再生目的に使用され得る既存の薬剤等と併用することもできる。したがって、このような前記ナノバブル水を一部に利用した組織の修復又は再生用製剤も、本発明の組織の修復又は再生用製剤の範囲内に含まれる。 <組織> 本発明の、組織の修復又は再生用製剤の適用対象となる「組織」に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上皮組織、結合組織、筋肉組織、神経組織などが挙げられる。また、本明細書中において、前記「組織」とは、該組織を構成する「細胞」や該組織により構成される「臓器」をも含む概念である。前記「細胞」としては例えば、表皮細胞、膵実質細胞、膵管細胞、肝細胞、血液細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、骨芽細胞、骨格筋芽細胞、神経細胞、血管内皮細胞、色素細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞などが挙げられる。また、前記「臓器」としては、例えば、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤、膵臓、脳、四肢末梢、網膜などが挙げられる。 前記組織はいずれの生物由来であってもよく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、哺乳動物由来であることができ、特にヒト由来であることができる。 前記組織は、体内に存在する組織であってもよいし、体外に存在する組織(例えば、培養組織等)であってもよい。 <修復、再生> 本発明において、組織の「修復」、「再生」とは、いずれも、損傷や変性等の変化を受けた組織を、物理的及び/又は機能的に、本来の正常な状態に近付ける又は戻すことを意味する。 <用途> 本発明の組織の修復又は再生用製剤の使用方法に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、疾病や外傷により損傷や変性等の変化を受けた前記組織に、任意の方法で接触させることにより使用することができる。本発明の組織の修復又は再生方法における、「ナノバブル状態にある気体」の適用方法に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、疾病や外傷により損傷や変性等の変化を受けた前記組織に、任意の方法で有効量のナノバブル水を接触させることにより、適用することができる。 前記組織の修復又は再生用製剤の保存方法に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記「ナノバブル状態にある気体」としてオゾンが用いられる場合には、劣化防止の観点から、紫外線を避けて暗冷蔵保存を行うことが好ましい。 前記組織の修復又は再生用製剤は、組織の修復又は再生能に優れるので、例えば、損傷や変性等の組織変化を伴う様々な疾病や外傷の治療又は予防(例えば、口内炎等の治療又は予防)に、好適に利用可能である。本発明の口内炎の治療又は予防方法における、「ナノバブル状態にある気体」の適用方法に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、患部に任意の方法で有効量のナノバブル水を接触させることにより、適用することができる。なお、前記口内炎としては、特に制限はなく、例えば、アフタ性口内炎、カタル性口内炎、ウイルス性口内炎(ヘルペス性口内炎)、カンジタ性口内炎、アレルギーによる口内炎などが挙げられる。 以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。 (実施例1:酸素ナノバブル水の組織の修復又は再生効果の評価) 本発明の組織の修復又は再生用製剤の一態様である酸素ナノバブル水を、特開2005−246294号公報(国際公開番号WO2005/084786号に対応)に記載の製造方法を参照し、作製した。具体的には、まず、前記したような通常の作製方法に基づき、1.0質量%塩分濃度の酸素ナノバブル水を作製した後、10Åの逆浸透膜を2回通して塩分濃度0質量%の酸素ナノバブル水とし、使用するまでは冷蔵保存した。使用時には、未使用のプラスチック製又はガラス容器に子口分けして、実際に使用するまで原則的に冷蔵保存をした(一般的には室温保存でも使用効果に実質的な差が生じることは少ないであろう)。得られた酸素ナノバブル水の組織の修復又は再生効果について、アフタ性口内炎(Aphtha)を患った患者を被検体とし、臨床的に検討を行った。 <方法> 被検体の患者は、36歳の女性であり、全身状態に特記事項は無い。前記患者の場合、アフタ性口内炎を発症すると、通常、大きさは直径約1cmに及び、治癒には約2週間かかることが常であるとのことである。 まず、前記患者の上顎左上7番(第二大臼歯)根尖部に発症したアフタ性口内炎を対象とし、前記酸素ナノバブル水の治癒促進効果を検討した。前記アフタ性口内炎の発症を−1日とし、0日夜より、1日2回、前記酸素ナノバブル水の原液20mlを20秒間含嗽させ、アフタ性口内炎の大きさ(直径、mm)及び痛みの変化を観察した。 また、前記患者の舌尖部に発症したアフタ性口内炎に対しても、同様に前記酸素ナノバブル水の治癒促進効果を検討した。前記アフタ性口内炎の発症を0日とし、0日夜より、1日2回、前記酸素ナノバブル水の原液20mlを20秒間含嗽させ、アフタ性口内炎の大きさ(直径、mm)及び痛みの変化を観察した。 <結果> 結果を表1〜2及び図1〜2に示す。表1及び図1は上顎左上7番(第二大臼歯)根尖部に発症したアフタ性口内炎に対する結果を示し、表2及び図2は舌尖部に発症したアフタ性口内炎に対する結果を示す。なお、表1〜2中、痛みの評価基準は以下の通りである。[痛みの評価基準] + :明らかな疼痛あり。+/−:疼痛の自覚と言うよりも違和感あり。− :自覚症状消失。 以上の結果から、前記酸素ナノバブル水の含嗽により、アフタ性口内炎は通常よりも非常に短期間に治癒することが示された。前記アフタ性口内炎は、口腔粘膜組織の異常な組織変化であるということができるが、その組織変化が前記酸素ナノバブル水の含嗽により速やかに正常化されたことがわかる。したがって、これらの結果から、前記ナノバブル水が優れた組織の修復又は再生作用を有していることが示された。 また、更に特記すべきは、含嗽開始後わずか2日(3〜4回の含嗽)でアフタ性口内炎の痛みが減弱したことである(1週間は続くのが一般的である)。なお、本実施例において、含嗽剤として使用した前記酸素ナノバブル水による患部に対する刺激は皆無であった。 これらのことから、ナノバブル水は、苦痛の無い、口内炎の根本的な治療又は予防剤として非常に有望であると共に、その優れた組織の修復又は再生能力を利用し、損傷や変性等の組織変化を伴う様々な疾病や外傷の治療又は予防に広く応用することが可能であると考えられる。 本発明の組織の修復又は再生用製剤は、損傷や変性等の組織変化を伴う様々な疾病や外傷(例えば、口内炎)の治療又は予防に、好適に利用可能である。 ナノバブル状態にある酸素を含むことを特徴とする、口内炎の治療又は予防剤。 酸素ナノバブル水を含むことを特徴とする、口内炎の治療又は予防剤。 有効量のナノバブル状態にある酸素を適用することを特徴とする、ヒトを除く生物における口内炎の治療又は予防方法。 有効量の酸素ナノバブル水を適用することを特徴とする、ヒトを除く生物における口内炎の治療又は予防方法。 口内炎の治療又は予防剤を製造するための、ナノバブル状態にある酸素の使用。


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