タイトル: | 公表特許公報(A)_クエン酸フェンタニル経口固形経粘膜剤形、賦形剤及びそれらの結合材料の組成物、並びに製造方法 |
出願番号: | 2008540204 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 47/26,A61K 31/445,A61K 47/04,A61P 25/04,A61K 47/36 |
ジョブデヴァイラッカム,クリストファー エヌ. セルヴァラジ,ベンジャミン JP 2009515886 公表特許公報(A) 20090416 2008540204 20061110 クエン酸フェンタニル経口固形経粘膜剤形、賦形剤及びそれらの結合材料の組成物、並びに製造方法 ナヴィンタ リミテッド ライアビリティ カンパニー 507387435 池田 憲保 100077838 福田 修一 100082924 ジョブデヴァイラッカム,クリストファー エヌ. セルヴァラジ,ベンジャミン US 11/271,767 20051110 A61K 47/26 20060101AFI20090323BHJP A61K 31/445 20060101ALI20090323BHJP A61K 47/04 20060101ALI20090323BHJP A61P 25/04 20060101ALI20090323BHJP A61K 47/36 20060101ALI20090323BHJP JPA61K47/26A61K31/445A61K47/04A61P25/04A61K47/36 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2006043739 20061110 WO2007058923 20070524 19 20080627 4C076 4C086 4C076AA49 4C076BB02 4C076BB22 4C076CC01 4C076DD26Z 4C076DD41 4C076DD43 4C076DD67 4C076EE38A 4C076FF01 4C076FF05 4C086BC21 4C086MA01 4C086MA05 4C086MA34 4C086NA10 4C086ZA08 本発明は、薬物送達用トローチ(把持具を備えたもの(例えば、キャンディ)を含む)、薬物用結合剤、及びそれらの製造方法に関する。 オピオイドは、安全性と有効性を兼備した最も頻繁に投与される鎮痛薬である。オピオイドは、中枢神経系の内外両方で特異的な受容体と結合することができるために有効であることが分かっている。オピオイドは、疼痛が現に存在する場合には、安全、且つ非中毒性である。フェンタニルは、神経因性疼痛、癌疼痛、及び他の慢性関節痛等の重篤な疼痛の緩和管理に最も汎用されるオピオイドの1つである。フェンタニル等のオピオイド鎮痛薬の中には、口腔粘膜組織を介して投与されているものもある。高品質の経粘膜フェンタニル剤形を製造するためには、幾つかの因子を考慮する必要がある。単一投与単位間での含量均一性、及び各単一投与単位内部での均一な薬物分布が必要とされ、トローチは均一に一体化した構造を有する必要がある。剤形化により経口経粘膜送達に関連したこれらの要因に対処し、有効な経粘膜吸収を生じさせる必要がある。 「経口薬物送達」という語句は、経口送達を介した胃腸管吸収における薬物吸収のことを指すことが非常に多い。経粘膜送達と称されることの多い口腔粘膜組織による薬物吸収につながる経口送達は、或る特定の利点を有する。経口経粘膜送達によって、薬物を粘膜を通過して導入することが可能となり、胃腸管を回避すること及び薬物を直接全身に導入することが可能となる。経口経粘膜送達の別の利点は、患者の服薬遵守水準の高い非侵襲的な薬物送達方法だということである。 トローチ、チューインガム、及び錠剤は全て医薬品の経口経粘膜送達に用いられている。舌下錠は効果のある薬物を少量送達するように設計されており、ほぼすぐに溶解且つ吸収される。ライナー(Reiner)他による特許文献1には、医薬品送達用チューインガムが開示されている。ライナーのチューインガム送達剤形は、他のあまり馴染みの無い剤形とは対照的に、チューインガムの形態で薬物を自己投与することをより強く求め得る患者を主に対象とする。フロックハート(Flockhart)他による特許文献2には、口腔パッチを用いる経口経粘膜送達が開示されている。 殆どのトローチ又は錠剤は、通常、口内で数分間かけて溶解するように設計される。これにより、トローチの溶解及び薬物吸収の増大が可能となる。全てスタンレー(Stanley)他による、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7には、フェンタニルの経粘膜薬物送達の柄付きトローチ剤形が開示されている。これらの特許には、可溶性糖ベースのマトリクス中に薬物を含有する固形剤形の製造方法が記載されている。1つの方法では、薬物を溶融した糖ベース中に混合し、ベースを硬キャンディ中に固化させることにより固形剤形が得られる。別の方法では、薬物が内部で良好に分散されている粉末を圧縮して固形剤形とすることについて記載されている。 薬物の苦味又は他の不快な味は、トローチ送達デバイス及びキャンディ送達デバイスに添加される大量の糖によって覆い隠される。香味増強剤又は他の甘味料も官能的に満足な製品を提供するために含有され得る。FDAが認可したフェンタニルを含有する柄付きトローチ型経口経粘膜固形剤形は、米国ではACTIQという標章でセファロン社(Cephalon Inc.)により販売されている。ACTIQは、200μg単一投与単位から1600μg単一投与単位までの範囲の様々な濃度で利用可能である。ACTIQは、水和デキストロース、粉糖、及びデンプンから構成されるマトリクスを含有する。ACTIQキャンディ、即ちACTIQ柄付きトローチにおいて、柄は食品等級のデンプンベースを結合材料として用いることにより、マトリクスに固定される。 フェンタニルは非常に強力な麻薬性鎮痛薬であるため、非常に一定した且つ均一な剤形化手順が要求される。したがって、投与単位内部で均一に分散された一定量の活性物質を含有する最終的な経口投与単位の製造を可能にすると共に、製造される複数の投与単位間で同様の均一性を提供する、μg投与単位を製造するための製剤化工程は開発する価値が高い。 上記の特許文献3には、ソルビトール又はマンニトールを利用し、且つアスパルテーム等の人口甘味料を使用することにより、糖尿病患者に好適な経口剤形を製造する概念が開示されている。多価アルコールマトリクスを用いる同様の無糖経粘膜固形剤形は、ハーグ(Hague)による特許文献8に記載されている。 先行技術により、固形経口経粘膜剤形の各種組成物が開示されている。Chiszh他の特許文献9には、少なくとも1つのフェンタニル型構造を有するオピオイド化合物及びケタミンを含有する活性成分の組合せが開示されている。当該出願には、1:20〜1:1500の範囲の活性物質構成成分aと活性物質構成成分bの重量比が開示されている。シャオ(Shao)の特許文献10には、フェンタニル及びその同族体、並びにシクロデキストリン、リポソーム、ミセル形成剤、及び重合性担体から成る群から選ばれる賦形剤の、経口投与可能な製剤の組成物が開示されている。 上記スタンレー他の特許及びハーグの出願には、経口経粘膜剤形の組成物及びフェンタニル含有トローチ(キャンディ)の組成物が開示されている。しかしながら、フェンタニルキャンディの調製工程は開示されていない。結合材料組成物が重要な因子であるのは、結合材料組成物が経口経粘膜トローチ(キャンディ)の強度を決定するからである。 スランレー他の特許文献7には、可溶性圧縮マトリクスが柄等のホルダに結合し得ることが開示されている。ホルダは製菓用接着剤、液体ソルビトール等の可溶性接着剤、又はワックスによってマトリクスと接着し得る。また、ホルダを上記した可溶性マトリクス内に圧縮、締め付け、嵌め込み、若しくは成形することができ、又は、可溶性マトリクスを形成中の柄上に噴霧、若しくはそうでなければ溶着することができる。可溶性マトリクスはまた、ホルダを結合可能な挿入部付近に形成され得る。 ハーグの特許文献8には、圧縮された無糖クエン酸フェンタニルにホルダを取り付けるために食品等級の接着剤を使用することについて開示されている。その中でマトリクスは、主にPurity Gum BE(E1450デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムとしても知られている)、粉糖、及び精製水構成成分と記載されている。これに問題があるのは、スクロース又は粉糖から作り出される接着剤が接着に比較的長い時間を要し、且つ結合強度が低いからである。 Chickeringの特許文献11には、賦形剤と混合される場合に、ジェットミルを利用して微粒子の分散性、懸濁性、又は湿潤性の向上を引き起こす、乾燥粉末混合医薬品製剤の製造方法が開示されている。混合物の粉砕工程により均一な固形剤形が得られる。 クーパー(Cooper)他の特許文献12には、(1)少なくとも1つの難溶性ナノ粒子状活性物質の粒子、(2)少なくとも1つの、表面上にナノ粒子状活性物質の粒子を吸着する表面安定化剤、及び(3)少なくとも1つの難溶性マイクロ粒子状活性物質((1)の活性物質と同一又は相違し得る)を含む、均一な固形剤形を調製するための方法論が開示されている。本工程には、ナノ粒子及びマイクロ粒子を混合することにより難溶性マトリクスの固形剤形を調製することが包含される。 Bredenberg他の非特許文献1により、速やかに吸収される小型のフェンタニル舌下錠用製剤の乾式混合が報告されている。平均重量約70mgを有する錠剤中のフェンタニル含量は、400μg投与量では0.9%、含量均一性は約88〜94%である。フェンタニルの平均含量は、マンニトールと計算粒度約1μm(表面積2.3m2/g)のクエン酸フェンタニルの乾燥混合物を直接圧縮することにより調製された錠剤重量約70mgの約96%であると報告された。彼らは錠剤化工程中に僅かな分離が起こっていたと結論付けている。 フェンタニルキャンディにおいて、単一投与単位と薬物の重量比は、200μg投与単位に関しては約10000、1600μg投与単位に関しては約1250である。賦形剤(複数可)の薬物に対する比率が高い、かかる剤形におけるマトリクス内部での薬物含量均一性及び薬物分布は困難な課題である。かかる製剤では、トローチ間の均一性は達成され得るが、トローチ内部での不均一性が頻繁に生じ、ピーク薬物吸収値(Cmax)も同時に変動する。この剤形内部での変動(ホットスポット)は有効性及び安全性の低下を生じ得る。フェンタニル等の高い効果のある薬物を含有する典型的な固形剤形については、任意の所定の時間間隔中に放出される薬物量は非常に重要であり、放出速度は全ての投与単位間で均一である必要がある。 上記の出版物は参照により本明細書中に援用される。米国特許第5,711,961号明細書米国特許第5,298,256号明細書米国特許第4,671,953号明細書米国特許第5,132,114号明細書米国特許第5,288,497号明細書米国特許第5,855,908号明細書米国特許第5,785,989号明細書米国特許出願公開第2004/0253307号明細書米国特許出願公開第2004/0092531号明細書米国特許出願公開第2002/0160991号明細書米国特許出願第2005/0079138号明細書米国特許第6,908,626号明細書米国特許第6,682,432号明細書Bredenberg他:Eur. J. Pharma. Sci., 20, 2003, 327-334. 本発明は、乾式混合工程及び特定の賦形剤を用いることにより、固形トローチ剤形のマトリクス中で均一な薬物分布を達成することについて開示する。新規な工程により、単一投与単位当たり約100μg〜約3000μgのレベルで、各投与単位間、及び単一投与量のトローチマトリクス内部での薬物の良好な含量均一性を有する、活性薬物を含有するかかるトローチの調製が可能となる。トローチ間での薬物の含量均一性は、高速液体クロマトグラフィ(以下、「HPLC」)により、トローチ内の薬物を定量することによって測定される。一方、トローチ内部での均一な薬物分布は、トローチの各同軸性四分領域内で放出される薬物含量により証明される。本発明の工程で調製されるトローチは、トローチにおける薬物と主要構成成分(賦形剤)の比を測定することにより、均一な溶解速度で薬物を放出することが見出される。薬物の放出と主要な賦形剤の放出の比は一定に保たれる。薬物含有トローチに対するスティック又はホルダを固定するのに有用な、結合材料の新規組成物も提供される。また、水和デキストロースを含有する医薬食品等級の結合材料の新規組成物を明らかにする。 本発明は、単一投与量内部でフェンタニルが均一に分布する経口経粘膜トローチを開示する。平均粒度が直径で約1〜5μmのマイクロ化クエン酸フェンタニルは自己凝集することが見出される。マイクロ化クエン酸フェンタニル粒子を水和デキストロース等の医薬品賦形剤と混合すると、クエン酸フェンタニル粒子がデキストロース粒子の表面全体に渡って均一に分布した混合物を生じる。賦形剤の表面全体でのフェンタニルの吸着エネルギーは自己凝集を破壊するのに十分なものである。 本発明はまた、少なくとも1つのトローチマトリクスの主要構成成分を含有する結合材料又は接着剤に関する新規組成物を提供する。トローチマトリクス及び接着剤の間に共通した少なくとも1つの成分が存在することにより、架橋結晶化によりスティックをトローチに結合するための接着剤に、良好な強度が付与される。さらに、水和デキストロースを含有する接着剤は元の体積を縮小させることなく、固化又は硬化する特性を有する。 クエン酸フェンタニルの経口経粘膜投与では、複数の単一投与単位間、及び単一投与単位内部での薬理学的に許容可能で均一な薬物含量を与えるために、正確且つ一定の製剤化技法が必要とされる。トローチは可溶性糖マトリクス、少なくとも1つの緩衝剤、少なくとも1つの医薬品、及び薬物から製造される。トローチは口腔粘膜を介した良好な薬物吸収を提供する。投与単位内に均一に分散された薬物の良好な吸収は再現性のある投与量を保つためには望ましい。含量均一性の他にも、スティックのトローチ(即ち、キャンディ)に対する強い結合は、投与の全期間に渡って維持される必要がある。 本発明の一実施形態は、トローチ間での良好な含量均一性、及び単一剤形内部での均一な薬剤分布を実現するための技法を提供する。平均粒径約1μm〜約5μmのマイクロ化クエン酸フェンタニルは自己凝集することが見出された。マイクロ化クエン酸フェンタニル粒子は、水和デキストロース等の薬学的に許容可能な賦形剤と混合すると、クエン酸フェンタニル粒子がデキストロース粒子の表面全体に渡って均一に分散したマトリクスを生じる。賦形剤表面全体に渡るフェンタニルの吸着エネルギーにより、粒子が自己凝集を破壊することが可能となり、薬理学的に利用可能となる可能性が高い。 本明細書中に提示される本発明の別の実施形態によれば、結合材料又は接着剤の新規組成物はトローチマトリクスの主要構成成分のうち少なくとも1つを含有する。トローチマトリクス及び接着剤の間に共通した少なくとも1つの成分が存在することにより、架橋結晶化によりスティックをトローチに結合させる際、良好な強度を生じる。さらに、水和デキストロースを含有する接着剤は、元の液体体積から有意に縮小することなく、固化又は硬化する特性を有する。 トローチは薬物及び賦形剤を含有する乾燥混合物を圧縮することにより製造される。薬物は賦形剤の表面上に存在する空洞又は孔の中に吸着されることが走査電子顕微鏡により見出されている。多孔性水和デキストロースの平均孔径は約3μm〜20μmであるため、マイクロ化によって得られる1μm〜10μmの薬物粒子を保持するには十分である。良好な均一性に対する第一義的な要求の1つとして、薬物の平均粒径が基体の表面空洞径又は表面孔径と等しいか又はそれ以下であることが要求される。クエン酸フェンタニルは結晶性物質である。クエン酸フェンタニルは、マイクロ化で直径約1μm〜10μmの微粒子となる。好ましくは、マイクロ化後に、粒子の100重量%が約20μm未満、より好ましくは約17μm未満であり、粒子の90重量%が約10μm未満、より好ましくは約7.5μm未満であると共に、50重量%が約5μm未満、より好ましくは約3μm未満である。粉砕により誘起される強い粒子間力によってクエン酸フェンタニル粒子の凝集が起こる。水和デキストロース及びマイクロ化クエン酸フェンタニルの密接混合は、クエン酸フェンタニル粒子を互いに物理的に解離するように作用すると共に、クエン酸フェンタニルが混合物全体に渡って分散することを可能にする。 異なるトローチ間での薬物の含量均一性はHPLCによるトローチ内の薬物の定量によって測定された。トローチ内部での比較的均一な薬物分布は、トローチの各同軸性四分領域で放出される薬物含量によって証明される。本発明の工程により調製されるトローチは均一な溶解速度(トローチの薬物と主要構成成分の比によって測定される)で薬物を放出することが見出された。フェンタニルの含量は、紫外線(以下、「UV」)検出器を用いて、HPLCによって決定された。デキストロースは屈折率検出器を備えたHPLCによって決定された。 接着剤の調製工程も開示される。本工程は、約50°C〜約100°Cの温度で適量の水和デキストロースを水中に溶解させること、コーンスターチを添加すること、及びその後、約40°C〜約70°Cの所望の温度に冷却することを含む。糊状物の冷却の前後どちらかで接着剤は水により希釈され得る。本工程で調製される接着剤は冷却時に有意な体積変化は無く、それにより接着剤、トローチ、及びスティック間の圧力を低減し、同一の接触表面積を維持するため、良好な結合が得られる。 本発明のさらなる詳細を、本明細書中にまとめた実施例により説明する。本実施例においては、どちらも本形式の実験に関して概して予想されるように、時間、温度、及び量の全てが或る一定程度正確であると共に、或る一定程度の誤差も存在する。また、全ての実験において、クエン酸フェンタニルをジェットミル等の粉砕によってマイクロ化したが、他の粉砕方法、及び他の粒子調製方法は好適であり、本発明の範囲内である。乾燥成分の混合は好ましくは実施例のようにV型混合機で行われるが、他の混合方法は本発明によって意図される。実施例におけるリン酸水素二ナトリウム及びクエン酸の組合せは従来の緩衝剤の組合せである。クエン酸フェンタニルは実施例中で活性成分として用いられるが、他の活性成分は本発明を用いるトローチとして提供され得ると考えられるはずである。接着剤は重力により送達されるか、又は分配ノズル、若しくは他の分配装置の開口部を通って運ばれ得ることが見出されている。下記実施例においては、マイクロ化粒子の100%が17.3μm未満、90重量%が7.5μm未満、且つ50%重量%が3.4μm未満であった。 乾燥組成物の錠剤化で慣用されているように、賦形剤(不活性成分)は担体又はマトリクス材料として用いられる。より慣用的な着色剤、着香剤、甘味料、及び他の官能的に作用する材料だけでなく、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤、及び/又は滑剤等の他のアジュバントも存在し得る。 特定の賦形剤及び結合剤は、デキストロース一水和物(水和デキストロース)である。粉末化デキストロースは結晶化デキストロース水和物(水分9%)であり、無水デキストロースは水分0.5%未満である。デキストロース水和物は無水物の約75%の甘味である。特許文献13には、デキストロース一水和物の製造工程が開示されている。結合剤及び賦形剤の例としては、通常、糖、糖アルコール、及びそれらの混合物が挙げられ、デキストロース水和物(Cerelose 2043等)が含まれる。 本発明は、クエン酸フェンタニルによって例示されているが、概して本発明は、剤形間での良好な薬物含量均一性、及び単一剤形内部での均一な薬物分布を達成するための技法を提供する。本発明に適用可能な薬物等の活性成分としては、限定するものではないが、フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、抗うつ薬(例えば、ネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、イミプラミン、パモ酸イミプラミン、イソカルボキサジド、トリミプラミン、及びプロトリプチリン);降圧薬(例えば、プロパノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、パルギリン塩酸塩、デセルピジン、ジアゾキシド、一硫酸グアネチジン、ミノキシジル、レシナミン、ニトロプルシドナトリウム、インドジャボク、アルサーオキシロン、及びフェントラミン);抗不安薬(例えば、ロラゼパム、バスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、パモ酸ヒドロキシジン、ヒドロキシジン塩酸塩、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノン、及びダントロレン);ステロイド化合物及びホルモン(例えば、ダナゾール、シピオン酸テストステロン(testosterone cypionate)、フルオキシメステロン(fluoxymesteron)、エチルテストステロン、エナント酸テストステロン(testosterone enathate)、メチルテストステロン、フルオキシメステロン(Fluoxymesterone)、及びシピオン酸テストステロン(testosteroncypionate)等のアンドロゲン;エストラジオール、エストロピペート、及び結合型エストロゲン等のエストロゲン; 酢酸メトキシプロゲステロン、及び酢酸ノルエチンドロン等のプロゲスチン;トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム(prednisolone sdium phosphate)、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(hydrocortisone cypionate)、トリアムシノロンヘキサアセトニド、ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、テブト酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム(predinisolone sodium phosphate)、及びコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(hydrocortisone sodium succinate)等のコルチコステロイド;並びにレボチロキシンナトリウム等の甲状腺ホルモン)が挙げられる。200μg投与単位用混合物の調製 平均粒径3μmのマイクロ化クエン酸フェンタニル約252mgを、EMDEX(約7%のマルトデキストリンを含有する水和デキストロース(デキストロース一水和物)、Edward Mendell Co., Inc., Patterson, NYの登録商標、圧縮錠製造用スプレー結晶化マルトース−デキストロース多孔質スフェア用、JRS Pharma LP, Patterson, NYより入手可能)1312gに添加し、V型混合機で約5分間混合した。次に、リン酸水素二ナトリウム約12.88g、クエン酸6.16g、香料3.2g、及び粉糖6X 249.5gを添加した。組合せを15分間混合した。次に、ステアリン酸マグネシウム約16.0gを添加し、混合物を3分間混合して、粉末体を製造した。400μg投与単位用混合物の調製 平均粒径約3μmのマイクロ化クエン酸フェンタニル約503mgを、EMDEX(商標)マルトース−デキストロース1312gに添加し、V型混合機で約5分間混合した。次に、リン酸水素二ナトリウム約12.88g、クエン酸6.16g、香料3.2g、粉糖6X 249.27gを添加した。組合せを約15分間混合した。次に、ステアリン酸マグネシウム約16.0gを添加し、約3分間混合して、粉末体を製造した。1600μg投与単位用混合物の調製 平均粒径約3μmのマイクロ化クエン酸フェンタニル約1006mgを、EMDEX(商標)マルトース−デキストロース1312gに添加し、V型混合機で約5分間混合した。次に、リン酸水素二ナトリウム約12.88g、クエン酸6.16g、香料3.2g、粉糖6X 123.3gを添加した。組合せを約15分間混合した。ステアリン酸マグネシウム約16.0gを添加し、約3分間混合して、粉末体を製造した。1600μg投与単位用混合物の調製 平均粒径約3μmのマイクロ化クエン酸フェンタニル約1006mgを、EMDEX(商標)マルトース−デキストロース1312gに添加し、V型混合機で約5分間混合する。次に、リン酸水素二ナトリウム約12.88g、クエン酸6.16g、香料3.2g、粉糖6X 123.3gを添加した。組合せを約15分間混合した。ステアリン酸マグネシウム約16.0gを添加し、約3分間混合して、粉末体を製造した。トローチの調製 各混合物約2.00gを別個に下杵の上方にある従来型の錠剤機の金型に移し、上杵を用いて約700kgで圧縮した。金型の空洞は、キャンディの製造中に取り付けられるホルダに好適な大きさを有する射出体で溝を作製するマンドレル(mandrel)を包含した。得られた錠剤は、空洞を含む平坦な側面を有する楕円形トローチであった。側面を平坦化すると共に、結合材料を用いたホルダの結合が容易となるように空洞を付与した。結合材料(接着剤)の調製 EMDEX(商標)マルトース−デキストロース約95gを水35mL中に懸濁し、約10分間、約65°Cに加熱した。昇温し、清澄溶液が得られるまで溶液を沸騰させた。コーンスターチ78−1551(CAS 9005−25−8、食品等級のα化デンプン、National Starch and Chemical Co., Bridgewater, NJより入手可能)約5gを、約3分間に渡って攪拌しながら、熱溶液にゆっくりと添加した。糊状物を沸騰させ、約1分間維持した。次に、ペースト物を冷却し、さらなる使用のため、約65°Cで保存した。結合材料(接着剤)の調製 デキストロース一水和物約95gを水35mL中に懸濁し、約10分間、約65°Cに加熱した。その後、昇温し、清澄溶液が得られるまで溶液を沸騰させた。コーンスターチ78−1551約5gをゆっくりと添加し、約3分間に渡って攪拌した。次に、糊状物を加熱し沸騰させ、約1分間維持した。次に、ペースト物を冷却し、さらなる使用のため、約65°Cで保存した。本工程で調製した材料は、実施例6に記載した方法を利用して調製した材料と同様に有効であることが見出された。したがって、結合材料中に存在する糖質の少なくとも約75重量%がデキストロース一水和物であり、より好ましくは約88重量%がデキストロース一水和物であり、最も好ましくは約95重量%がデキストロース一水和物である。キャンディの調製 各種トローチをパレット上に配置し、実施例6及び実施例7にそれぞれ記載した工程により調製した接着剤約50μLを各トローチの空洞内に分配した。次に、スティックを接着剤を含有する空洞内に挿入した。接着剤、トローチ、及びスティックの組合せを包み、約10時間室温で硬化させた。こうして、水の蒸発により硬化させた。結果物は、図1に示されるようなキャンディであった。トローチ内部及びトローチ間でのフェンタニル均一性試験 実施例8により製造されたキャンディを溶解試験に付した。異なる時間間隔で放出されるデキストロース及び薬物の含量を、別個のHPLC法により決定した。図1、即ち理論的なキャンディの平面図に示すように、キャンディを、スティック5上に4つの別個の四分領域1、四分領域2、四分領域3、及び四分領域4を有するものとして表した。第一の四分領域は、平坦な表面を含む長い半球状キャンディの最外の約25重量%を表す。第四の四分領域は平坦な表面も含む長い半球状キャンディの最内の約25重量%を表す。下記に列挙する結果は体積ではなく、重量に基づいているので、図1は正確な縮尺ではない。キャンディの各四分領域で放出されるフェンタニルの割合をデキストロースの約25%放出、50%放出、75%放出及び100%放出のレベルで6サンプルに対して求めた。その結果を表1及び表2に提示する。特定の時間間隔でのフェンタニル重量とデキストロース重量の比を、トローチの溶解パターンの均一性の指標とした。これらの結果を表3及び表4に示す。トローチ間での含量均一性を、実施例1〜実施例4で製造された各投与量レベルで10サンプルを試験することにより求めた。これらの結果を表5にまとめる。400μg投与単位用混合物の調製 平均粒径3μmのマイクロ化クエン酸フェンタニル約503mgをデキストロース一水和物1312gに添加し、V型混合機で5分間混合した。リン酸水素二ナトリウム約12.88g、クエン酸約6.16g、香料3.2g、粉糖6X 249.27gを添加した。組合せを約15分間混合した。ステアリン酸マグネシウム約16.0gを添加し、3分間混合した。1600μg投与単位用混合物の調製 平均粒径3μmのマイクロ化クエン酸フェンタニルを約1006mgずつEMDEX(商標)マルトース−デキストロース1312gに添加し、それぞれ約5分間V型混合機で混合した。リン酸水素二ナトリウム約12.88g、クエン酸約6.16g、香料3.2g、粉糖6X 123.3gを添加した。組合せを約15分間混合した。ステアリン酸マグネシウム約16.0gを添加し、約3分間混合した。 上記記載は例示的であることを意図しており、限定するものではない。各種変更、変更形態、及び付加は本明細書を精読した当業者には明らかとなるであろう。かかる変更、変更形態、及び付加は、特許請求の範囲で明らかにされるように、本発明の範囲及び精神に含まれることを意図している。試験に用いられた最終的なトローチ及び四分領域の範囲を示す図である。 デキストロース一水和物を主要構成成分として含む賦形剤マトリクス全体に均一に分散された、所定量のマイクロ化フェンタニル塩を含むことを特徴とするトローチ組成物。 請求項1に記載のトローチ組成物を含むトローチであって、前記トローチは、該トローチと接着したホルダを有するキャンディの形態であることを特徴とするトローチ。 請求項2に記載のトローチであって、前記接着剤は、主としてデキストロースであることを特徴とするトローチ。 請求項1に記載のトローチ組成物を含むトローチであって、フェンタニルの投与量は、約200μg〜約1600μgの範囲であることを特徴とするトローチ。 請求項2に記載のトローチにおいて、フェンタニルの投与量は、約200μg〜約1600μgの範囲であることを特徴とするトローチ。 請求項1に記載のトローチ組成物を含むトローチであって、前記トローチは、緩衝剤をさらに含むことを特徴とするトローチ。 請求項2に記載のトローチにおいて、前記トローチは、緩衝剤をさらに含む、ことを特徴とするトローチ。 請求項6に記載のトローチにおいて、前記緩衝剤は、リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸の組合せであることを特徴とするトローチ。 請求項7に記載のトローチにおいて、前記緩衝剤は、リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸の組合せであることを特徴とするトローチ。 フェンタニル塩をマイクロ化すること、 所定量の該マイクロ化フェンタニル塩を、デキストロース一水和物を主要構成成分として有する所定量の賦形剤と乾式混合することであって、それにより混合物を製造する、乾式混合すること、及び 該混合物をトローチに圧縮することを含む工程により製造されることを特徴とするトローチ。 請求項10に記載のトローチにおいて、前記乾式混合は、緩衝剤、さらなる結合剤、滑剤、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤、滑剤、着色剤、着香剤、及び甘味料、並びにそれらの相性の良い混合物から成る群から選択される少なくとも1つの成分の添加をさらに含むことを特徴とするトローチ。 請求項10に記載のトローチにおいて、前記フェンタニル塩の量は、約200μg〜約1600μgのトローチ投与量が得られるように選択されることを特徴とするトローチ。 請求項10に記載のトローチにおいて、前記工程は、 ホルダを備えること、及び 該ホルダを前記トローチに接着させることをさらに含むことを特徴とするトローチ。 請求項13に記載のトローチにおいて、前記接着剤は、主にデキストロースを含むことを特徴とするトローチ。 固形経口剤形のための薬学的に許容可能な接着剤の製造方法であって、 所定量のデキストロース一水和物を熱水中、水へ懸濁させること、 沸騰するまで該水温を上昇させること及び熱清澄溶液が得られるまで昇温を維持すること、 該熱清澄溶液の中に食品等級のデンプンを混合すること、並びに 得られる糊状物を冷却することを含むことをと特徴とする薬学的に許容可能な接着剤の製造方法。 請求項15に記載の製造方法において、前記デキストロース一水和物は、少なくとも約75重量%の前記乾燥成分を含むことを特徴とする製造方法。 請求項16に記載の製造方法において、前記デキストロース一水和物は、少なくとも約88重量%の前記乾燥成分を含むことを特徴とする製造方法。 固形経口剤形のための薬学的に許容可能な接着剤であって、 所定量のデキストロース一水和物を熱水中、水へ懸濁させること、 沸騰するまで該水温を上昇させること及び熱清澄溶液が得られるまで昇温を維持すること、 該熱清澄溶液の中に食品等級のデンプンを混合すること、並びに 得られる糊状物を冷却することを含む工程により製造されることを特徴とする薬学的に許容可能な接着剤。 改善は、マイクロ化クエン酸フェンタニル粒子、及び主としてデキストロース一水和物である賦形剤を組合せることを含む、固形経口剤形トローチであることを特徴とするトローチ。 請求項19に記載のトローチにおいて、前記賦形剤は、マルトデキストリンを約10重量%までさらに含むことを特徴とするトローチ。 請求項19に記載のトローチにおいて、前記トローチは、ホルダをさらに含むと共に、さらなる改善が、実質的に少量のデンプンを含むデキストロース一水和物から成る結合剤を用いて該ホルダを該トローチに接着することを含むことを特徴とするトローチ。 各四分領域が空間的に手前の四分領域の外側にあると共に、互いにほぼ同じ重量を有し、前記トローチが活性成分を全体に分散した、第1〜第4の等容性四分領域により規定される経口経粘膜トローチであって、該活性成分は、存在する活性成分全量の約20%〜30%の量で各四分領域内に存在することを特徴とする経口経粘膜トローチ。 請求項22に記載のトローチにおいて、前記活性成分は、鎮痛薬、抗うつ薬、降圧薬、抗不安薬、ステロイド化合物及びホルモン、並びにそれらの相性の良い組合せから成る群より選択されることを特徴とするトローチ。 請求項23に記載のトローチにおいて、前記鎮痛薬は、フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、及びそれらの相性の良い混合物から成る群より選択されることを特徴とするトローチ。 請求項24に記載のトローチにおいて、キャンディの形態のトローチを提供するための、前記トローチに結合するホルダをさらに含むことを特徴とするトローチ。 請求項25に記載のトローチにおいて、前記ホルダは、デキストロースを用いて結合されることを特徴とするトローチ。 クエン酸フェンタニルの高度に均一な経口経粘膜トローチ(「フェンタニルキャンディ」)の調製工程により、均一な薬物分布が提供される。トローチ間での含量均一性及びトローチ内部での均一な薬物分布は、粒度約1μm〜10μmのマイクロ化薬物を、トローチ状に圧縮成形した後に表面に空洞及び孔を有する、デキストロース等の少なくとも1つの主要な賦形剤と乾式混合することにより達成される。トローチの主要構成成分は、デキストロース水和物、食品等級のデンプン、及び水の混合物を用いて調製された結合材料であり得る。本結合材料は、トローチ及び結合材料間の架橋マトリクス形成がより強力であるために、スティックをトローチに結合する強度がより良好である。【選択図】 図1