生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び癌の治療用インターフェロン−アルファ及びC−フィコシアニン
出願番号:2008536916
年次:2009
IPC分類:A61K 38/21,A61K 38/00,A61P 37/00,A61P 37/08,A61P 35/00,A61P 25/28,A61P 29/00,A61P 37/04,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

ペントン、ロル、ジゼル セルバンテス リアノス、マヘル ペントン アリアス、エドゥアルド ガルシア デル バルコ ヘレラ、ディアナ バレンズエラ シルバ、カルメン、マリア ロペス サウラ、ペドロ、アントニオ ギレン ニエト、ヘラルド エンリケ JP 2009513583 公表特許公報(A) 20090402 2008536916 20061030 自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び癌の治療用インターフェロン−アルファ及びC−フィコシアニン セントロ デ インジエニエリア ジエネテイカ イ バイオテクノロジア 304012895 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 長沼 暉夫 100088926 池田 幸弘 100102897 ペントン、ロル、ジゼル セルバンテス リアノス、マヘル ペントン アリアス、エドゥアルド ガルシア デル バルコ ヘレラ、ディアナ バレンズエラ シルバ、カルメン、マリア ロペス サウラ、ペドロ、アントニオ ギレン ニエト、ヘラルド エンリケ CU 2005-0207 20051028 A61K 38/21 20060101AFI20090306BHJP A61K 38/00 20060101ALI20090306BHJP A61P 37/00 20060101ALI20090306BHJP A61P 37/08 20060101ALI20090306BHJP A61P 35/00 20060101ALI20090306BHJP A61P 25/28 20060101ALI20090306BHJP A61P 29/00 20060101ALI20090306BHJP A61P 37/04 20060101ALI20090306BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090306BHJP JPA61K37/66 GA61K37/02A61P37/00A61P37/08A61P35/00A61P25/28A61P29/00 101A61P37/04A61P43/00 121 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW CU2006000012 20061030 WO2007048357 20070503 57 20080630 4C084 4C084AA02 4C084BA44 4C084DA22 4C084MA02 4C084MA52 4C084MA55 4C084MA59 4C084MA66 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZA02 4C084ZB072 4C084ZB09 4C084ZB132 4C084ZB152 4C084ZB26 4C084ZC751 本発明は、生物科学、バイオテクノロジー及び医学、特に神経学、腫瘍学、内科学に関し一般に、自己免疫疾患、アレルギー及び癌を治療するための天然産物の活性成分として存在する公知の免疫調節剤の併用療法の使用に関する。本発明は、抗炎症効果、免疫調節効果、抗酸化効果、抗ウィルス効果、抗増殖効果及び抗腫瘍効果、特に本発明において初めて立証された調節T細胞誘導効果を有する医薬化合物を得ることに基づいている。本発明は、多発性硬化症(MS)及びリウマチ様関節炎(RA)などの自己免疫疾患(AD)、並びに気管支喘息(BA)などのアレルギー性疾患(ALD)において、それらの再発性臨床形態における再発又は発症の数を減少させることによって、又はそれらの一相性の臨床形態における進行を抑えることによって、有益な効果を有する。その一方、癌(CA)において、腫瘍細胞の生育及び増殖を停止させ、これにより、腫瘍の進行を防止する。 疫学的調査により、この30年間に先進国におけるALD及びADが増加しているという強力な証拠が提供されている。これら2つのタイプの疾患の発生は増加している:ALDを代表して、喘息(Woolcock AJら、世界的な喘息増加の証拠(Evidence for the increase in asthma worldwide)(1997)、CIBA Found Symp 206:122〜134頁)、鼻炎(Upton MNら、成人の喘息及び枯草熱の罹患率における世代間の20年の傾向(Intergenerational 20 years trends in the prevalence of asthma and hay fever in adults):親子のスパン中央家族試験調査(The Midspan family study surveys of parents and offspring)(2000)、BMJ321:88〜92頁)、及びアトピー性皮膚炎(Williams HC、アトピー性皮膚炎の罹患率は増加しているか(Is the prevalence of atopic dermatitis increasing?)(1992)、Clin Exp Dermatol 17:385〜391頁)、並びにADの代表例として、MS(Rosati Gら、サルデーニャのサッサリ町における1965年から1985年の多発性硬化症の発生率(Incidence of Multiple sclerosis in the town of Sassari,Sardinia,1965 to 1985):疾病発生増加の証拠(evidence for increasing occurrence of the disease)(1988)、Neurology 38:384〜388頁;Poser Sら、ドイツ、ザクセン南部におけるMSの発生率の増加(Increasing incidence of MS in South Lower Saxony,Germany)(1989)、Neuroepidemiology 8:207〜213頁)、特に若年者におけるインスリン依存性糖尿病(I型糖尿病)(TID)(EURODIAB ACE研究グループ、欧州における小児糖尿病発生率の変動及び傾向(Variation and trends in incidence of childhood diabetes in Europe)(2000)、Lancet 355:873〜876頁)、及びクローン病(Swarbrick ETら、炎症性腸疾患における疫学的調査の発症レビュー(A critical review of epidemiological studies in inflammatory bowel disease)、(2001)Scand J Gastroenterol 36:560a頁)。 同時に、抗生物質の使用、ワクチン接種の結果として、又はより単純に、衛生及び社会経済的条件の改善により、先進国においては多くの感染性疾患の発生率は明らかに減少している。 AD及びALDの増加は、基本的に、それらの病因に関与する遺伝的及び環境的要因に関連付けて説明される。 例えば遺伝的要因に関して、日本では、若年性TIDに対する感受性を増加させる対立遺伝子DR3とDR4−DQB1*0302の頻度は低い。したがって、この疾患の発生率は低いが、一方、サルデーニャの住民、並びにイタリア本土に移住したサルデーニャ住民の直接の子孫では、TIDの発生率は高い(近隣地域に比較した場合)(Muntoni Sら、イタリア、ラツィオ地域に出生したサルデーニャ遺伝小児間のインスリン依存性糖尿病の発生率(Incidence of insulin−dependent diabetes mellitus among Sardinian−heritage children born in Lazio region,Italy)(1997)、Lancet349:160〜2頁)。 先進国におけるAD及びALDの急速な増加は、環境的な要因によって解釈し得る。これらの疾患の発生率が異なるある国から他の国へ移住した集団におけるMS、TID及びBAの発生率についての情報がある。英国に移住したパキスタン出身の小児におけるTIDの発現率は、英国小児の発現率と同じ(11.7/100000)か、又はパキスタンにおけるTIDの発生率(1/100000)の約10倍高い(Bodansky HJら、移動集団におけるインスリン依存性糖尿病の病因における環境的作用の証拠(Evidence for an environmental effect in the aetiology of insulin dependent diabetes in a transmigratory population)(1992)、BMJ 304:1020〜2頁)。イスラエルでは、MSは、欧州からの移住者によく見られ、アフリカ又はアジアからの移住者ではまれであり、対照的に、欧州、アジア又はアフリカ出身の在来イスラエル人では、MSの罹患率は、欧州の移住者と同様の高さである(Leibowitz ORら、イスラエルにおける多発性硬化症の頻度変化(The changing frequency of multiple sclerosis in Israel)(1973)、Arch Neurol 29:107〜10頁)。また、全身性エリテマトーデス(SLE)の頻度は、アメリカの黒人よりも、アフリカ東部出身者で劇的に低いことにも注目すべきである。これら2つの集団は、同じ民族集団出身だが、異なる環境に曝された(Symmons DPM、アフリカ出身者における狼瘡の頻度(Frequency of lupus in people of African origin)(1995)、Lupus 4:176〜8頁)。 AD及びALDに対する感受性に及ぼす遺伝的及び環境的要因の影響は、さらに明らかにする必要がある。 一卵性双生児におけるこれらの疾患の発生率から重要な情報が得られる。その比率は、MSに関しては25%(Murnford CJら、双生児における多発性硬化症の英国島調査(The British Isles survey of multiple sclerosis in twins)(1994)、Neurology 44:11〜5頁)、TIDに関しては、40%(Bach JF、自己免疫疾患としてのインスリン依存性糖尿病(Insulin−dependent diabetes mellitus as an autoimmune disease)(1994)、Endocr Rev 15:516〜42頁)及び、喘息に関しては、75%(Skadhauge LRら、喘息に及ぼす遺伝的及び環境的影響:11,688組のデンマーク人双生児の集団ベースの調査(Genetic and environmental influence on asthma:to population−based study of 11,688Danish twin pairs)(1999)、Eur Respir J 13.8〜14頁)である。双方の双生児とも罹患しやすい遺伝子総てを有していて疾患の無い双生児の組をこの分析に含めることが不可能であるという条件で、その一致は該疾患の浸透率に直接関連していると考えられ得る。MS(Oksenberg JRら、MS:ゲノム報酬(MS:genomic rewards)(2001)、J Neuroimmunol 113:171〜84頁)、TID(Todd JA、I型糖尿病の遺伝学(Genetics of type I diabetes)(1997)、Pathol(Paris)45:219〜27頁)及び喘息(Cookson WOC、「喘息遺伝学(Asthma genetics)」(2002)、Chest 121:増補:7S〜13S頁)に対する人の素因を生じさせる遺伝子を含む染色体領域を同定する、最近重要なブレイクスルーがあったが、ADにおけるHLA遺伝子を除いては、疾患に関連した遺伝子についての情報はほとんど得られていない。重大な要件は我々を環境的要因から助け、保護する、罹患率を直接調節する遺伝子(1つ又は複数)がどれかを同定することである。一例は、アレルギー性疾患に対して感染防御的効果に寄与し得る2種のサイトカインである。IL−10及びTGF−βをコードする遺伝子において唯一の多型が見られる、アトピー性疾患に罹っている患者での観察である(Hobbs Kら、インターロイキン−10及び形質転換成長因子−ベータはアレルギー及び喘息における多型を促進する(Interleukin−10 and transforming growth factor−beta promote polymorphisms in allergy and asthma)(1998)、Am J Respir Crit Care Med 158:1958〜62頁)。 たいていのADの発現は、Th1細胞によって産生されるIL−2及びIFN−γサイトカインに依存しており、一方、アレルギー性疾患の発現には、IL−4及びIL−5が必要であり、これらは双方ともTh2細胞によって産生される。Th2サイトカインに対するTh1細胞及びTh1サイトカインに対するTh2細胞の相互的フィードバックは、これらのサイトカインが、AD又はALDに対する感染によって媒介される防御に関与していると考えられることを指示している。最初の報告(The EURODIAB Substudy 2 study group、小児糖尿病患者におけるアトピー性疾患の罹患率減少(Decreased prevalence of atopic diseases in children with diabetes)(2000)、J Pediatr 137:470〜4頁)と対照的に、個々の患者におけるADとALDとの間には関連性がある:アトピー性疾患の頻度は、糖尿病及びリウマチ様関節炎患者において増加する(Kero Jら、TH1疾患とTH2疾患は共存するか?腹腔病、I型糖尿病、又はリウマチ様関節炎の小児患者における喘息発生率の評価:登録調査に対して(TH1 and TH2 disease coexist? Evaluation of asthma incidence in children with coeliac disease,type I diabetes,or rheumatoid arthritis:to register study)(2001)、J Allergy Clin Immunol 108:781〜3頁;Simson CRら、Th1及びTh2サブセットによって駆動された免疫媒介疾患の同時発生は、共通の病因を示唆する:コンピュータ化一般的実施日を用いた集団ベース調査(Coincidence of immune−mediated diseases driven by Th1 and Th2 subsets suggest to common aetiology:to population−based study using computerized general practice dates)(2002)、Clin Exp Allergy 32:37〜42頁)。これらの観察事項は、自己免疫とアレルギーとの間の共通機序のコンセプトを裏付けている。 健康なマウスにおけるCD4+T細胞の欠如により、多自己免疫症候群が誘発されることから、IL−2受容体(CD25)のアルファ鎖を発現する、調節T細胞(rTc)と呼ばれるCD4+T細胞がかなり注目されている(Assano Mら、T細胞亜集団の発達異常の結果としての自己免疫疾患(Autoimmune disease as a consequence of developmental abnormality of to T cell subpopulation)(1996)、J Exp Med 184:387〜96頁)。この観察は、ADの発生を避けるためには、この細胞亜集団の濃度及び適切な機能の維持が重要であることを裏付けている。 これらの防御的自己免疫細胞についての以下の詳細な表現型特性化によって、動物及びヒトモデルにおける自己寛容の重要な媒介物としてのT調節細胞の存在に対する疑いは生じない。 調節性を有する細胞は、2つのタイプ:胸腺によって産生されるナチュラルrTc、及び「Th3」、「Tr1」又は「適応性調節細胞」と呼ばれる、抹消における特定の条件下での抗原刺激によって産生される誘導rTcに分けることができる(Bluestone JAら、ナチュラルT細胞対適応性調節T細胞(Natural versus adaptive regulatory T cells)(2003)、Nat Rev Immunol 3:253〜257頁)。 誘導rTcに関する抑制機序は基本的に、IL−10及びTGF−βなどのサイトカインの分泌による(Groux H.、1型T調節細胞:免疫応答の制御におけるそれらの役割(Type 1 T−regulatory cells:their role in the control of immune responses)(2003)、Transplantation 75:8S〜12S頁)。しかし、ナチュラルrTcは、細胞間接触を優先的に用いる。 Sakaguchiらは初めて、rTcマーカーとしてCD5分子を同定し(Sakaguchi S.ら、T細胞サブセット:Iの除去によるマウスにおいて誘導された臓器特異的自己免疫疾患。自然自己寛容におけるT細胞の活発な関与の証拠;自己免疫疾患の原因としての可能性があるT細胞サブセットの欠如(Organ−specific autoimmune diseases induced in mice by elimination of T cell subset:I.Evidence for the active participation of T cells in natural self−tolerance;deficit of to T cell subset as to possible causes of autoimmune disease)(1985)、J Exp Med 161:72〜87頁)、一方、CD45RBは、他のrTcマーカーとして同定された(Powrie Fら、CD4+T細胞の表現型が異なるサブセットの誘導又はC.B−17 scidマウスにおける慢性腸炎症からの予測(Phenotypically distinct subsets of CD4+ T cells induces or Project from chronic intestinal inflammation in C.B−17 scid mice)(1993)、Int Immunol 5:1461〜1471頁)。 現在用いられている主要な表面マーカーはCD25である(Sakaguchi Sら、アルファ鎖(CD25)を受容するIL−2を発現する活性化T細胞によって維持される免疫学的自己寛容(Immunologic self−tolerance maintained by activated T cells expressing IL−2 receiving alpha chains(CD25))。自己寛容の機序を遂行するものの破壊が種々の自己免疫疾患の原因となる(Breakdown of to it sails mechanism of self−tolerance you cause various autoimmune diseases)(1995)、J Immunol 155:1151〜1164頁)。マウスにおいて、CD4+細胞の約5〜10%、及びCD8+細胞の1%が、CD5high及びCD45RBlowを発現し(Itoh Mら、胸腺及び自己免疫:免疫学的自己寛容の維持における胸腺の重要な機能に関するCD25+CD4+自然アネルギー及び抑制性T細胞の産生(Thymus and autoimmunity:production of CD25+CD4+ naturally anergic and suppressive T cells as to key function of the thymus in maintaining immunologic self−tolerance)(1999)、J Immunol 162:5317〜5326頁)、ヒトにおけるrTcは、CD4+細胞の6〜10%である(Ng WFら、ヒトCD4+CD25+細胞:調節T細胞の天然集団に対して(Human CD4+CD25+ cells:to naturally occurring population of regulatory T cells)(2001)Blood 98:2736〜2744頁)。rTcは、明白な抗原刺激の非存在下で、高レベルのCD11a(LFA−1)、CD44、CD54(ICAM−1)、及びCD103を示す(McHugh RSら、CD4+CD25+免疫調節T細胞:遺伝子発現分析により解明される糖質コルチコイド誘導TNF受容体の機能的役割(CD4+CD25+ immunoregulatory T cells:gene expression analysis reveals the functional role of the glucocorticoid−induced TNF receptor)(2002)、Immunity 16:311〜323頁)。さらに、rTcは、細胞活性化の後でのみ発現される分子であるCD152(CTLA−4)を発現させる(Takahashi Tら、細胞毒性Tリンパ球関連抗原4を構成的に発現するCD25+CD4+調節T細胞によって維持される免疫学的自己寛容(Immunologic self−tolerance maintained by CD25+CD4+ regulatory T cells constitutively expressing cytotoxic T lymphocyte−associated antigen−4)(2000)、J Exp Med 192:303〜310頁)。 rTcは、ヒトにおいて、高レベルのCCR5ケモカイン受容体及びその対応物(CCR4及びCCR8)を発現させる(Bystry RSら、B細胞及びCCL4による専門的APC動員調節T細胞(B cells and professional APCs recruit regulatory T cells via CCL4)(2001)、Nat Immunol 2:1126〜1132頁)。ケモカイン受容体発現のこの特徴的なパターンによって、rTcが炎症領域に向かって速やかに動員され得、免疫応答を効率的に制御することが示唆される。多くのグループが、CD4+CD25+細胞における糖質コルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)の発現を報告している(McHugh RSら、CD4+CD25+免疫調節T細胞:遺伝子発現分析によって解明される糖質コルチコイド誘導TNF受容体に関する機能的役割(CD4+CD25+ immunoregulatory T cells:gene expression analysis reveals to functional role for the glucocorticoid−induced TNF receptor)(2002)、Immunity 16:311〜323頁)。 rTrマーカーが活性化細胞にも見られるということにより、その単離及びサプレッサー細胞のマーカーとしてのCD25の同定が妨げられる(Shevach EM.、CD4+CD25+サプレッサーT細胞:答えよりも多い疑問(CD4+CD25+ suppressor T cells:More questions than answers)(2002)、Nat Rev Immunol 2:389〜400頁)。 最近の研究により、rTcが、IL−2受容体のアルファ鎖を高レベルに発現するCD4+T細胞に属するCD25high細胞内で高濃度であることが示されている。CD4+CD25highT細胞は、CD4+T細胞の増殖及びサイトカイン分泌を完全に抑制する。CD4+CD25highT細胞は、CD45RO及びHLA−DRの発現レベルにおいて、CD4+CD25+T細胞とは異なる(Baecher−Allan Cら、ヒト末梢血におけるCD4+CD25high調節細胞(CD4+CD25high regulatory cells in human peripheral blood)(2001)、J Immunol 167:1245〜1253頁)。 マウス及びヒトの胸腺由来のrTcが記載されている。マウスにおいて、rTcの非存在によって、臓器特異的な自己免疫が生じる。最近、転写因子、Foxp3がマウスにおけるrTcの機能にとって重要であることが立証された。Foxp3の発現は、CD4+CD25+T細胞に典型的であり、これらの細胞の抑制活性に関連していることが示された。これは、rTc産生の失敗がADの一因となり得ることを示唆し、また、Foxp3は、これらの疾患の治療において治療的役割を有することも示唆している(Walker MRら、Foxp3の誘導及びヒトCD4+CD25+T細胞の刺激によるT調節活性の獲得(Induction of Foxp3 and acquisition of T regulatory activity by stimulated human CD4+CD25+ T cells(2003)、J Clin Invest 112:1437〜1443頁)。 スカルフィン(Scurfin)タンパク質をコードするFoxp3転写因子は、rTcのいくらかより限定的なマーカーのようである(Brunkow MEら、新規フォーク頭/有翼螺旋タンパク質、スカルフィンの破壊によってもたらされるスカルフィーマウスの致死的リンパ球増殖障害(Disruption of to new forkhead/winged−helix protein,scurfin,results in the fatal lymphoproliferative disorder of the scurfy mouse)(2001)、Nat Genet 27:68〜73頁)が、その発現の可能性は、他の活性化条件及び他の細胞集団においては除外されていない(Morgan MEら、ヒトにおいて、FOXP3 mRNAの発現は、CD4(+)CD25(+)T調節細胞に限定されていない(Expression of FOXP3mRNA is not confined to CD4(+)CD25(+)T regulatory cells in humans)(2005)、Hum Immunol.1:13〜20頁)。 誘導rTcの作用機序は、TGF−βを含む(Nakamura Kら、CD4(+)CD25(+)調節T細胞による細胞接触依存性免疫抑制は、細胞表面結合形質転換成長因子ベータによって媒介される(Cell contact−dependent immuno−suppression by CD4(+)CD25(+)regulatory T cells is mediated by cell surface−bound transforming growth factor beta)(2001)、J Exp Med 194:629〜44頁)。NK及びT細胞の性質を有するNK細胞は、この免疫調節に寄与し得る(Bendelac Aら、マウスCD−1特異的NK1T細胞:発現、特異性、及び機能(Mouse CD1−specific NK1 T cells:development,specificity,and function)(1997)、Annu Rev Imunol 15:535〜62頁)。 誘導rTcによって産生されたIL−10、Th2サイトカイン、単球及びマクロファージは、実験モデルにおけるAD及びALDの進行を減速化する(Moore KWら、インターロイキン10及び受容体インターロイキン10(Interleukin−10 and the receptor interleukin−10)(2001)、Annu Rev Immunol 19:683〜765頁)。IL−10はまた、活性化好酸球の生存率を低下させることによって、ALDにおいて重要な役割を果たし得る(Takanashi Sら、インターロイキン10は、ヒト末梢血好酸球によるリポ多糖誘導生存及びサイトカイン産生を抑制する(Interleukin−10 inhibits lypopolisaccharide−induced survival and cytokine production by human peripheral blood eosinophils)(1994)、J Exp Med 180:711〜5頁)。研究者の2つのグループが、喘息患者の肺内には、健康対照の肺内よりも存在するIL−10がかなり少量であることを見出した(Lim Sら、重症喘息患者におけるインターロイキン10の低産生に関連するハプロタイプ(Haplotype associated with low interleukin−10 production in patients with severe asthma)(1998)、Lancet 352:113頁;Takanashi Sら、痰中のインターロイキン10濃度は、気管支喘息、COPD、及び喫煙者において低下する(Interleukin−10 level in sputurn is reduced in bronchial asthma,COPD and in smokers)(1999)、Eur Resp J 14:309〜14頁)。 このことは、rTcによって産生されたIL−10及びTGF−βは、双方の応答(Th1及びTh2)を抑制でき、したがって、この調節の媒介物であることを示唆している。 rTcは、免疫応答の制御に重要な役割を果たしており、例えば、rTcは、微生物又は抗腫瘍免疫応答を制限できる。必要な場合に、免疫応答を増強又は減少させるために、rTcの戦略的操作を実施できる(Fehervari Zら、自己寛容の見本に:CD25+CD4+調節T細胞及び免疫応答の制御(To paragon of self−tolerance:CD25+CD4+ regulatory T cells and the control of immune responses)(2004)、Arthritis Head Ther 6:19〜25頁)。 rTcの数及び/又は機能が低下して、エフェクター細胞とrTcの不均衡が存在する場合のAD及びALDにおいて、我々の発明で立証されたIFN−α/フィコシアニン併用のrTc誘導因効果は、その使用を正当化する。 自己免疫疾患は、有害な侵入微生物の同定及び破壊を担っている細胞が、自己の組織を異物として認め、それらを攻撃する免疫系(IS)の機能障害である。研究者は、ウィルス因又は細菌因:ヒトヘルペスウィルス6(Human Herpes virus 6)、エプスタインバーウィルス(Epstein−Barr virus)及びクラミジア肺炎菌(Clamydia pneumonia bacterium)などの替わりに説明を提供している。 感染物質は、種々の実験条件下でADを誘導し得、そのいくつかは、それらの臨床的に対応するものを有する。これらの観察事項を説明するために、分子擬態及び標的臓器の炎症によって引き起こされた自己抗原免疫原性の増強など、多くの機序が考えられている(Olson JKら、ウィルス誘発自己免疫:T細胞媒介自己免疫疾患の開始、永続化、及び進行におけるウィルスの役割の可能性(Virus−induced autoimmunity:potential role of viruses in initiation,perpetuation,and progression of T−cell mediated autoimmune disease)(2001)、viral Immunol 14:227〜250頁)。逆説的であるが、感染物質は、自己免疫及びアレルギー性障害を抑制することもあり得る。 実験的自己脳脊髄炎(EAE)は、臨床的及び病理学的特徴を示す中枢神経系(CNS)炎症性及び脱髄性疾患であり、多発性硬化症の動物モデルと考えることができる。EAEが、インターフェロンガンマ(IFN−γ)などの炎症誘発性サイトカイン又は腫瘍壊死因子α(TNF−α)の分泌を伴うTh1疾患であることは、多くの証拠によって示されており、サイトカインによって誘発された酸化的ストレスが、EAE神経病理学に重要な役割を果たし得ることが示唆されている。しかし、疾患の病因におけるこれら及び他のサイトカインとの個々の作用はまだ不明である。この報告において、Mirror Cら(Mirror Cら、実験的自己免疫脳脊髄炎時、インターフェロンガンマは、酸化的ストレスを制御する(Interferon−gamma regulates oxidative stress during experimental autoimmune encephalomyelitis)(2002)、Exp Neurol 177:21〜31頁)は、IFN−γノックアウトマウスの受容体(IFN−gamma R(−/−))を用いて、EAE時のIFN−γの役割を分析した。該マウスを、ラットミエリン乏突起膠細胞糖タンパク質(MOG)の40〜55ペプチドで免疫化した。酸化的ストレスのレベルは、誘発性シンターゼ一酸化窒素(NO)、ニトロチロシン及びマロニルデアルデヒドに関する免疫反応性の分析により、並びに、防御的組織抗酸化因子:メタロチオネインI+II(MT−I+II)の発現により判定した。又それらにより、TUNNEL法の使用を介して、アポトーシスを発現する細胞数が判定される。EAEによる酸化的ストレスのレベル、MT−I+II及びアポトーシス細胞死は、全てのマウス(IFN−gamma R(−/−)及び野生型)で増加したが、これが、IFN−gamma R(−/−)マウスではさらに多かった。このことは、IFN−γが、EAEに対して防御的役割を果たすという仮説を裏付ける。 EMは、基本的に若年成人が罹患する自己免疫脱髄性疾患である。キューバにおけるMS発生率の最も控えめな値は、住民の10/100,000人である(Hernandez−Valero Eら、キューバ西部における多発性硬化症の臨床的特徴。当国の他の2つの地域との比較(Clinical features of multiple sclerosis in Western Cuba.A comparison with two other regions in the country)(2004)、Rev Neurol.May 1〜15;38(9):818〜23頁)。 それは、女性において、該疾患の開始によって変動する比率で広まっている(Wingerchuk DMら、視神経脊髄炎(ドヴィック症候群)の臨床経過(The clinical course of optic neuromyelitis(Devic’s syndrome))(1999)、Neurology 53:1107〜14頁)。人種に関しては、白人により多い。 MSは、脳及び脊髄に罹患するCNS疾患である。それは、2つの基本的な特徴:脱髄及び軸索損失を有する。 その症状、重症度及び臨床経過は、プラークの位置及び脱髄の程度に依って変化し得る。したがって、それは2つの主要なカテゴリー:再発−寛解の形態及び進行性慢性形態に分類できる。 MSはADと称される。理論的に、この病態は、免疫系が遺伝的要因又は環境的要因又は双方によって損傷され、自己の組織への攻撃を引き起こす場合に発現する。MSの場合、該組織はミエリンである。該生体は、ミエリン産生細胞(乏突起膠細胞)の破壊の効果を「消す」ために、修正的事象も実施する。例えば、数が増加する電気装荷を有するナトリウムチャネルの密度の増加があり、それによって、神経細胞は、ミエリンの損失に関わらず、伝達を継続できること;逆に、神経はいくらか再ミエリン化能力を保持することが観察されている。 複数の感染性生物が、MSの発現における原因物質又は補因子として提案されている(Johnson RT、Viral infections of nervous system、第2版、フィラデルフィア:Lippincott−Raven、248〜258頁における多発性硬化症のウィルス因の可能性(Viral Possible causes of multiple sclerosis)(1998))、HIV−1に関する感染(Blanche Pら、ドヴィック視神経脊髄炎及びHIV−1感染(Devic’s neuromyelitis optic and HIV−1 infection)(2000)、J Neurol Neurosurg Psychiatry 68:795〜796頁)、それらは、この研究で現地集団におけるMSに関連していた。内因性レトロウィルス(ERV)は、MSの病因に関連しており、種々のグループがMSに関連した特定のERVを同定している(Perron Hら、多発性硬化症患者から反復単離された初期レトロウィルスの分子同定(Molecular identification of to beginner retrovirus repeatedly isolated from patients with multiple sclerosis)(1997)、多発性硬化症についての共同研究グループ、Proc Natl.Acad Sci USA 94:7583〜7588頁;Christensen Tら、多発性硬化症患者のリンパ球から確立したBリンパ芽球腫細胞系における逆転写酵素活性及び粒子産生(Reverse transcriptase activity and particle production in B lymphoblastoid cell lines established from lymphocytes of patients with multiple sclerosis)(1999)、AIDS Head Hum Retroviruses 15:285〜291頁)。これらの疾患における抗ウィルス性を有する薬剤の使用がこれによって裏付けられる。MSの原因は不明だが、IFN−γ、IL−2 TNF−α及びリンホトキシンの産生に関して分極化されている限定されたMHC II CD4+T細胞によって開始されるADであること、言い換えれば、それらはTh1細胞であることは広く認められている。MSはTh1細胞(CD4−Th1モデル)によって媒介されるADであるという証拠が示されている(Lassmann Hら、多発性硬化症に関するCD4−Th1モデル:重要な再評価に対して(The CD4−Th1 model for multiple sclerosis:to crucial reappraisal)(2004)、Trend in Immunology 25:3、132〜137頁)。このモデルに関して認められた予測は:a)MS病巣のリンパ球集団において、CD4+T細胞が優勢であるはずである。他のリンパ球集団は、付属的な少数集団のはずである。b)Th1に分極化したCD4+T細胞及びそれらの主要なエフェクターサイトカイン、TNF−α及びIFN−γは、MS病巣において病原性のはずである。c)Th2に分極化したCD4+T細胞は、MS病巣において、調節性又は抗炎症性であるはずである。CD4−Th1モデルにより、MSの臨床的及び病理学的特徴に見られる変動性が解明されるはずである。d)前記過程は明らかに自己免疫であり、これは、宿主のCNSが、CD4−Th1媒介機序による自己免疫攻撃の前には損傷されていなかったという証拠が確かに存在したことを意味している。 MSの病因に関し、遺伝的素因のある宿主では、自己のミエリン抗原と交差反応する配列を含有する一般的病原体は、Toll様受容体(TLR)を介して抗原提示細胞(APC)を活性化し、これが、CNS自己免疫炎症性疾患の誘発にとって最少要件であることが推測される。MS患者の血流中の調節T細胞の減少などの基礎的な免疫調節の欠損によって、自己反応性T細胞の最終的な病的活性化に至る。活性化されたミエリン反応性T細胞はCNSへ移動し、それらはミクログリア、局所APCによって提示された抗原を認識する。Th1サイトカインが分泌され、炎症のカスケードが始まる。自然に生じる機序は、CNSに移動するT細胞(IL−4、IL−5、IL−13)、Th3(TGF−β)又はTr1(IL−10)によって分泌されたTh2サイトカイン類の誘導などの自己免疫応答を調節でき、Th1炎症性自己反応性T細胞を負に調節できる(Hafler DA.、多発性硬化症(Multiple sclerosis)(2004)、J Clin Inv 113:788〜94頁)。 正常な状態では、血液脳関門(BBB)により、血液細胞とミエリンとの間に効果的な隔離が提供され、したがって、誤ってプログラムされた白血球があったとしても、無関連にされる。したがって、MS攻撃時はBBBの不十分な機能が推測されている。 ISのいくつかの細胞は、細胞外マトリックスを分解する酵素を産生する。たいていの生物において、これは、白血球を感染領域により接近させることになる。しかしながら、これらの細胞がCNS内部の毛細血管中に化学物質を放出すると、BBBの破壊が生じ、少なくとも一定の個体において病巣を生じさせる。白血球によって放出され得る化学物質の1つは、細胞「接着物」間を弱めるメタロプロテイナーゼ類(MMP)である。それらは、放出される時は活性ではないが、他の酵素によって活性化する(Maeda Aら、正常なヒト中枢神経系、ミクログリア節、多発性硬化症病巣におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ(Matrix Metalloproteinases in the normal human central nervous system,microglial nodules,Multiple and Sclerosis lesions)(1996)、J Neuropathol Exp Neurol.55(3):300〜309頁)。したがって、これらの疾患の治療として可能性のあるものの他の特徴は、MMP類の阻害及び/又はそれらの阻害剤の刺激であると考えられる。 BBBの完全性に影響を及ぼす機序として可能性のあるものがもう1つある。白血球は侵襲性の微生物を破壊する際、きわめて活性なスーパーオキシド及びフリーラジカルを放出しそれらの標的の多くを破壊することができるが、BBBにおいてこの過程が生じると、病巣を作り始め、BBBの完全性に対して1種又は複数の攻撃を引き起こし得る(Jean Claude Monboisseら、スーパーオキシドイオンによる酸溶解性子ウシ皮膚コラーゲンの非酵素的分解:フラボノイドの保護的効果(Non−enzymatic degradation of acid−soluble calf−skin collagen by superoxide ion:protective effects of flavonoids)(1983)、Biochem Pharmacol.32(1):53〜58頁)。したがって、我々の発明において立証されたIFN−α/C−フィコシアニン併用の抗酸化性は、この疾患における使用を根拠づける。 MSプラークは、ミエリンをそのタンパク質及び脂質を消化することによって破壊すると考えられるマクロファージを大量に含有する。これらの酵素の阻害剤は、ミエリンの破壊を減少させるか、該組織へのマクロファージの移動を妨害することができる。急性の病態を治療するためにこの疾患に用いられる薬剤の原理は、その抗炎症性に基づいている(W.A.Sibley及びTherapeutic Claims Committee of the International Federation Multiple of Sclerosis Societies、多発性硬化症における治療的請求(Therapeutic Claims in Multiple Sclerosis)、第3版、1992年)。 MSの早期に影響を及ぼす3つのタイプの免疫調節療法:ミトキサントロン及びシクロスホスファミドなどの免疫抑制剤;インターフェロンベータ、及びT細胞受容体(TCR)、グラチラマーアセテート(Glatiramer Acetate)(GA)に結合している主要組織適合性複合体(MHC)に対する結合ペプチドの有効性立証に伴って、MSに対する療法が最近の20年間に現れてきた。 現在のところ、この疾患に対して、FDAが承認した薬剤は、1993年にインターフェロンベータ−1b(ベタセロン)、1996年にインターフェロンベータ−1a(アボネックス)及び1996年にコパキソン(GA又はコポリマー1)であるが、それらはきわめて高価である。 IFN−βは、再発−寛解MSに大きな影響を及ぼしたが、これが進行性の二次的MSへの移行を予防し得るかどうかは不明である。IFN−βの作用機序は明らかではない。それは恐らく、IL−10の誘導及びメタロプロテイナーゼのブロックによるT細胞移動の抑制を含む多数の種々の機序の改変を含むと考えられる(Stuve O.ら、インターフェロンベータ1bは、インビトロでTリンパ球の移動を減少させる:マトリックスメタロプロテイナーゼ−9に及ぼす効果(Interferon beta−1b decreases the migration of T lymphocytes in vitro:effects on matrix metalloproteinase−9)(1996)、Ann.Neurol.40:853〜863頁)。IL−12及びIL−23の共通のp40鎖のブロックに基づいた臨床試験が現在始まっている。これらの臨床試験はまた、B7−CD28とIg CTLA−4との相互作用を介した共刺激性シグナルのブロックを含む。 GAに関しては、多くの患者において、GAの毎日の注射により、CD4+T細胞に関するIL−5及びIL−13の分泌が生じ、Th2応答の変化を示している(Duda PWら、複合抗原に対するヒト及びマウスCD4 T細胞反応性:合成ランダムポリペプチドグラチラマーアセテートの認識(Human and murine CD4 T cell reactivity to complex antigen:recognition of the synthetic random polypeptide glatiramer acetate)(2000)、J Immunol 165:7300〜7307頁);Qin Y.ら、グラチラマーアセテートで処置した多発性硬化症患者由来のT細胞系の特性化(Characterization of T cell lines derived from glatiramer−acetate−treated multiple sclerosis patients)(2000)、J Neuroimmunol 108:201〜206頁);Dabbert D.ら、グラチラマーアセテート(コポリマー1)特異的、ヒトT細胞系:サイトカインプロフィール及びミエリン塩基性タンパク質に対して反応性のT細胞系の抑制(Glatiramer acetate(copolymer−1)−specific,human T cell lines:cytokine profile and suppression of T cell lines reactive against myelin basic protein)(2000)、Neurosci.Lett 289:205〜208頁)。さらに、GAに対して反応性のT細胞の生存率は、多様なペプチドと交差反応するその能力によって測定すると、変性の程度が高いことが示されている。 現在、免疫学において検討中の独創的なコンセプトが存在している。それらは、調節T細胞の存在によって裏付けられているクローン選択及びその代替、優性寛容のパラダイムとは相容れない証拠の解釈を制限している従来の規則より優れているからである。 我々の発明によって提供される療法オプションは、他の療法の中でもとりわけ、この細胞集団:ナチュラルrTc CD4+CD25 high、Foxp3+又はIL−10又はTGF−βの誘導rTc産生物質を増加させる能力によって自己免疫疾患において重要な役割を果たしていると考えられるこのエフェクター/レギュレーターの不均衡を復帰させることに焦点を当てている。 RAは、大きな不利益を生む別の自己免疫炎症性疾患である。RAに罹患した人の50%から90%が、最初の診断の10年後に重篤な身体障害を有すると考えられている(Markenson JA.(1991)、社会経済的影響及び長期予測における世界的傾向又はリウマチ様関節炎(Wordwide trends in the socioeconomic impact and long−term prognosis or rheumatoid arthritis)、Semin Arthritis Rheum:21(2)、4〜12頁)。米国においてRAによって生じる治療及び身体障害の費用は、毎年6兆5千億ドルにもなる(Fanci Aら(編集者)(1998)、Harrison’s principals of Internal Medicine.(第14版)(376章、2412頁).New Cork:McGraw Hill;Yelin E.(1996)。リウマチ様関節炎の費用:絶対、増分及び限界予測(The cost of rheumatoid arthritis:absolute,incremental,and marginal estimates)、J Rheumatol:(増補44)23、47〜51頁)。 RAは最も一般的な炎症性関節炎であり、世界の成人集団の0.5〜1%における身体障害の主要な原因である。 RAは、主に手及び足の小型の関節が罹患する多関節対称性の炎症である。滑膜の炎症以外に、パンヌスと称される組織塊が侵入し局所関節構造を破壊する。RAでは、CD4+T細胞、Bリンパ球及びマクロファージが滑膜に浸潤し、時には、発芽中心を有する別のリンパ球凝集物として組織化される。内膜層の肥厚化は、線維芽細胞及びマクロファージタイプの滑膜細胞の著しい増加の結果である。局所的に発現する分解酵素としては、メタロプロテイナーゼ類、絹プロテアーゼ類及びアグレガナーゼ類が挙げられ、細胞下マトリックスを消化し、関節構造を破壊する(Firestein GS.リウマチ様関節炎の進展するコンセプト(Evolving concepts of rheumatoid arthritis)(2003)、Nature 423:356〜61頁)。 RAの病因は、一般にまだ不明であり、特に、関節構造の特異的抗原に対する自己免疫の役割については議論がある。この疾患の病因における獲得免疫の抗原特異的活性化の罹患に導く遺伝的因子、感染因子及び神経内分泌因子を含む多因子性の機序に有利な実験的証拠がある。HLA−DR4/Dw4の存在は、罹患した白人患者の約70%に示されている(Stastny P.、RAによるB細胞アロ抗原DRw4の結合(Association of the B−cell alloantigen DRw4 with RA)(1978)、N Engl J Med 298:869〜71頁)。 病因機序に関して、「エピトープ共有」が、関節炎原性ペプチドに対する、又は恐らく外来抗原を模倣する自己抗原(分子模倣)に対する結合部位として作用し得る。ある病原菌が、RAを開始させる可能性のある実体として提案されており(Feldmann M.ら、RAにおけるサイトカインの役割(Role of cytokines in RA)(1996)、Annu Rev Immunol 14:397〜440頁)、特に、生理学的表現型を変化させることによって正常なヒト滑膜線維芽細胞に侵襲性を誘導するウィルスの能力を有するパルボウィルスB19が立証されている(Ray NBら、正常なヒト滑膜線維芽細胞におけるヒトパルボウィルスB19による侵襲性表現型の誘導(Induction of an invasive phenotype by human parvovirus B19 in normal human synovial fibroblasts)(2001)、Arthritis Rheum 44:1582〜6頁)。 他の重要な病因は、プロテウスミラビリス(Proteus mirabilis)である(Ebringer A.ら、RAに関連するHLA−DR1サブタイプとDR4サブタイプとの間の配列類似性及びプロテウス/セラチア膜ヘモリシン(Sequence similarity between HLA−DR1 and DR4 subtypes associated with RA and Proteus/Serratia membrane haemolysins)(1992)、Ann Rheum Dis 51:1245〜6頁)。最近、この疾患の進行における生得的免疫の直接的な役割が強調されている。RAの自然な経過は、3つの段階:誘導、維持及び組織破壊を特徴とする。T細胞の活性化に関与する分子、壊食機序におけるT細胞の役割についての知識の進展、並びに「ホーミング」及び血管新生の過程に関与するケモカインについての研究により、適応免疫系の抗原特異的活性化の理論が裏付けられている。したがって、RA時、滑膜炎及び壊食の病因は、生得的免疫系と適応免疫系の双方を機序を含んで、最終的な関節損傷の誘導が生じる。(Valenisi G.、Barone F.ら、免疫学及びリウマチ様関節炎病因論の進展(Advances in immunology and rheumatoid arthritis pathogenesis)(2004)、rheumatism 56:9〜20頁)。 最近、膜に、又は特定の可溶性媒介物質に結合した分子に対して用いられる生物学的薬剤の開発が、RAの治療を革命的に変えた。TNF−αの抑制、及び重要性は劣るがIL−1抑制の成功により、RAの臨床管理における堅固に確立された療法が提供されている。臨床試験における、及び実際の生活経験におけるTNF−α抑制剤の使用データにも関わらず、相当な割合の患者がこれらの薬剤に応答しないか、又はそれらに対する初期の応答性を失って、新たな療法の探索が必要となっている。昨年、モノクローナル抗体のリツキシマブを用いるB細胞枯渇により、この疾患の症状及び徴候に著しい改善が生じた。同時に、Ig CTLA−4の使用により、T細胞の共刺激シグナルの抑制を介して、改善及び許容し得る毒性が見られた。選択的IL−6抑制、RAにおける中枢炎症誘発性サイトカインは、該疾患の状態、特にRAに関連した急性応答段階において、臨床的改善を生じさせた(Singh R.ら、リウマチ様関節炎における生物学的療法の出現:細胞標的及びサイトカイン(Emerging biologic therapies in rheumatoid arthritis:cell targets and cytokines)(2005)、Curr Opin Rheumatol 17:274〜79頁)。 アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、薬剤に対するアレルギー及びアトピー性アレルギー性湿疹/皮膚炎症候群及び他のものを含むアレルギー性疾患は、免疫グロブリンEによって媒介されると思われる一般的な機能障害の一群である。世界のいずれの国でもあらゆる年齢の人々がこれらの疾患に罹る。アレルギーの罹患率は、最近増加している。世界の人口の30〜40%が罹患し、21世紀の三大疾患の1つと考えられている。 最近の20年間、炎症はアレルギー反応の主要な病態生理学的特徴の1つである。肥満細胞は、アレルギー反応の主要な伝達物質であり、それらの活性化は、アレルゲンに曝露された感受性の個体における微小血管透過性及び組織浮腫の急速な発現のための必要十分条件である。肥満細胞は、ヒスタミン、中性プロテイナーゼ類、プロテオグリカン類、プロスタグランジンD2、ロイコトリエンC4及び一定のサイトカインなど、アレルギー性炎症の伝達物質の主要源である(Parikh INCら、肥満細胞顆粒における予備形成酵素及びアレルギー性鼻炎におけるそれらの役割の可能性(Preformed enzymes in mast cell granulates and their potential role in allergic rhinitis)(2003)、Curr Asthma Rep 3:266〜272頁)。これらのうちで、ヒスタミンは、喘息に関与する病態生理学的変化の最初の伝達物質である。 気管支喘息は、アレルゲンに対する過敏症にとって、恐らく二次的な、気道の慢性炎症の1つの表現である。したがって、この疾患の治療は、アレルゲン刺激に関連した炎症性応答を最小化するための環境制御、並びに、炎症を減少させ、該疾患の進行を防ぐための抗炎症療法の使用からなる(Craig ML.、喘息の多様性:病態生理学のコンセプトの進展及び遺伝学からの教訓(Diversity of asthma:evolving concepts of Pathophysiology and lessons from genetics)(2005)、J Allergy Clin Immunol 115:S526〜31頁)。 喘息は、先進国に固有であり、小児の4人に1人が罹患し得る(Asher MI.、Keil OR.ら、小児期における喘息及びアレルギーの国際的調査(ISAAC):根拠及び方法(International study of asthma and allergies in childhood(ISAAC):rationale and methods)(1995)、Eur Resp J 8:483〜91頁)。気管支の過敏性は、喘息の生理学的体制内で見られるが、それはまた、喘息に罹っていない個体でも生じる(集団全体の10〜15%以内)。 現在、喘息は、複雑な免疫生物学による遺伝的−環境的相互作用によって生じる疾患であると考えられている。喘息は、気道内へのアレルゲンの放出により、人生早期に始まる。喘息の免疫認識における第1の段階は、抗原が免疫細胞に進入する際に生じる。樹状細胞などのAPCが抗原として働き得る外来タンパク質を組み込む。APCは、それらを小型ポリペプチドへと加水分解し、それらはMHCクラスIIコンテキストにおいて、APCの表面上に発現され得る。この提示に伴って、APCの表面上に付属分子が発現する。この過程は気道表面の近くで生じ得、これは、CCR7リガンド、EBI−1及び二次的リンパ球組織のケモカインの影響下で、リンパ球組織へCCR7を有するこれらの細胞が移動することによって継続され、これによって、記憶T細胞及びCCR7を有する「ナイーブな」細胞も引き寄せられる。T細胞の活性化は、APCでロードされた抗原に対する局所のリンパ球組織で起こる。サイトカインの局所的発現は、抗原提示に対するT細胞の応答に深い影響を与え得、この過程は免疫偏向と称される。IL−12の存在下、これらの細胞は、IFN−γを発現するTh1表現型を有する。IL−10の影響下、これらの細胞は、喘息の進行を制限する上で重要であると考えられるレギュレーター表現型を発現し得る。IL−4及びIL−13の影響により、喘息の存在にとって必要なTh2表現型の発現に至る。興味深いことに、IL−4、IL−13、CD40及び活性化によって誘導されたシチジンデアミナーゼと称される酵素の組合せ作用が、アトピー性喘息で増加しているBリンパ球の組換え及びアレルゲンに対する特異的IgEの産生に欠失変化を生じさせる。これが、アレルゲンに、並びに肥満細胞、好塩基球及び好酸球などのアレルギー性応答のエフェクター細胞上の受容体に特異的に結合し、喘息の症状を引き起こす伝達物質の放出に至らしめるIgEの能力である。 喘息におけるエフェクター分子としては、血小板の活性化因子であるヒスタミン、プロテアーゼ類及びアラキドン酸(AA)の代謝物が挙げられる。プロスタグランジン(PG)及びロイコトリエン(LT)は、アレルギー反応及び喘息反応の間に酵素的に産生されるAAの代謝物であり、それらは気道環境内の限定された場所に存在し、肺内の常在細胞に影響を及ぼす一方、特定の受容体に作用する(Drazen JM.、喘息におけるロイコトリエン(Leukotrienes in asthma)(2003)、Adv Exp Med Biol 525:1〜5頁)。喘息におけるエフェクター炎症細胞は、ロイコトリエンを産生する一方、肺の構造細胞はプロスタグランジンを産生する(Holgate ST.ら、気道炎症におけるシステイン化ロイコトリエンの役割(Roles of cysteinyl leukotrienes in airway inflammation)(2003)、J Allergy Clin Immunol 111(増補):S18〜36頁)。 PG及びLTはまた、酸化的ストレスの結果としても形成され得る。ペルオキシダ−ゼを含有する気道の顆粒球の活性化は、この段階でのオキシダントの生成に関連している。窒素及び酸素の反応性の種の形成が気道環境の低下させる能力を超えると、脂質膜の過酸化が生じ得る。この過程により、イソプロスタン形成が導かれ、これらは酸化的ストレスのマーカーである。 多型マーカー、並びに喘息罹患のいく人かの成員の表現型に特徴のある家族を利用して、該疾患に関連した遺伝子変異体の同定が可能になっている。喘息に関連があることが疑われた遺伝子(IL4、IL13、Tbet及びGATA3)の12の試験からの集団の検査により、該疾患に関連がないことが示された。喘息に関連があった遺伝子としては、デスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ33(ADAM33)(Van Eerdewegh P.、Little RDら、ADAM33遺伝子と喘息及び気管支応答性亢進との関連(Association of the ADAM33 gene with asthma and bronchial hyperresponsiveness)(2002)、Nature 418:426〜30頁)、ジペプチジルペプチダーゼ10(DPP10)及びPHDフィンガータンパク質11(PHF11)(Zhang Y.ら、免疫グロブリンE濃度及び喘息に影響を与える染色体13q14上の定量的特性座の位置的クローニング(Positional cloning of to quantitative trait locus on chromosome 13q14 that influences immunoglobulin E levels and asthma)(2003)、Nat Genet 34:181〜6頁)などのいくつかのよく知られた多機能遺伝子が挙げられる。これらの遺伝子の変異体が喘息の病因に影響を及ぼす機序は現在研究されている。 喘息の病因において出されているモデルがある。喘息の伝統的なモデルは、気道における平滑筋の機能及び炎症経路に焦点を当てていた。現在、それは、サイトカイン及びケモカインの発現に影響を及ぼすレギュレーター系のコンセプトを組み込み、気道における常在細胞の成長及び増殖に及ぼすアレルゲンの効果を含み(Holgate STら、気道炎症におけるシステイン化ロイコトリエンの役割(Roles of cysteinyl leukotrienes in airway inflammation)(2003)、J Allergy Clin Immunol 111(増補):S18〜36頁)、喘息におけるDPプロスタノイド受容体の役割を説明している。このモデルにおいて、刺激物質、毒素又はアレルゲンへの曝露は、適応免疫系の偏向並びに気道へのTh2リンパ球、好酸球及び肥満細胞の動員を可能にするのみならず、気道の平滑筋の細胞の近くへの肥満細胞の配置においても間接的に作用し(Brightling CEら、喘息における気道平滑筋の肥満細胞浸潤(Mast−cell infiltration of airway smooth muscle in asthma)(2002)、N Engl J Med 346:1699〜705頁)、プロスタノイドDP受容体を活性化して、その生存を助長する(Gervais FGら、PGD2受容体、CRTH2及びDPを介したケモキネシスの選択的調節、脱顆粒、及び好酸球のアポトーシス(Selective modulation of chemokinesis,degranulation,and apoptosis in eosinophils through the PGD2 receptors CRTH2 and DP)(2001)、J Allergy Clin Immunol 108:982〜8頁)。アレルゲンへの反復的曝露により、気道上皮細胞の活性化条件に変化が生じ、上皮下の線維芽細胞が、コラーゲン分泌型筋芽細胞表現型へと形質転換する因子が放出される。気道の基底膜上へのコラーゲンの沈着により、気道の平滑筋の狭窄応答を変化させ、管腔面積に影響が及ぼされる(Wiggs BRら、喘息及び慢性閉塞性肺疾患における気道狭小化のモデル(A model of airway narrowing in asthma and in chronic obstructive pulmonary disease)(1992)、Am Rev Resp Dis 145:1251〜8頁)。喘息の症状は、気道からの好酸球及び肥満細胞の収縮性伝達物質の放出エピソードを介して生じる。出されているコンセプトは、喘息が、感染性物質、アレルゲン及び環境毒素によって生じ、時間を経て、細胞組成及び気道構造の変化に至る疾患であるというものである。 喘息では、動物モデルにおいて、エフェクター細胞の「インビトロ」及び「インビボ」活性化を防止し得る抑制性又は調節性T細胞の種々のサブタイプが記載されている。最近の証拠において、アレルギー感作の発現に役割を果たし得るCD4(+)CD25(+)ナチュラル調節T細胞及びIL−10産生調節T細胞の抑制活性の欠損が示唆されている。該療法は、喘息における調節T細胞とエフェクター細胞との間の均衡の維持を標的化する必要がある(Robinson DS、喘息病因における調節リンパ球の役割(The role of regulatory lymphocytes in asthma pathogenesis)(2005)、Curr Allergy Asthma Rep 5:135〜41頁)。 腫瘍形成について提案されたモデルは、種々のタイプの癌の特徴的な主要なコミュネシス(comuneses)の分析に基づいている。 最近の研究(Karpinets V.ら、腫瘍形成:持続ストレス環境に対する、後成的変化及び引き続くマッチド変異による哺乳動物細胞の適応(Tumorigenesis:the adaptation of mammalian cells to sustained stress environment by epigenetic alterations and succeeding matched mutations)(2005)、Carcinogenesis 26:1323〜1334頁)で、腫瘍形成の悪性転換時、該細胞は、エラー及び異常有糸分裂を生じる性向を有するポリメラーゼの関与による細胞分裂時のエラーを犯す傾向の結果、それら自体に変異を生じさせ得ることが示されている。これらの機序は、持続ストレス環境(SSE)におけるシグナル伝達の存続及び増殖の継続により、細胞において活性化され得る:このシグナル伝達に対する長期曝露は、後成的に一定の細胞のゲノムを再プログラム化し、それらの配列を生じさせる。後成的な再プログラム化により以下のことが生じる:細胞周期停止、DNA修復及びアポトーシスの開始に関与する腫瘍抑制遺伝子の過剰メチル化、持続的増殖活性に関連した癌原遺伝子の低メチル化、全ゲノム脱メチル化、並びにDNA反復配列の活性化。 このモデルに従って、SSEにおける持続的増殖及びシグナル伝達が、例えば、発癌物質曝露の結果としての永続的攻撃に曝された組織におけるサイトカインの継続的な産生によって生じ得る。同様なストレスに関連したシグナル伝達は、炎症、ホルモン及びウィルス感染など、極めてよく知られた癌誘発物質などの他の生理学的及び環境的な因子によって誘導され得る。 癌の原因及び発現に関与したホルモンは、十分に文書化されている。多くのホルモンが、多くの細胞における増殖応答とシグナル伝達存続双方を活性化し、それらの増殖並びにアポトーシス抑制を誘導することが知られている(Moggs JGら、エストロゲンに誘導された子宮成長時に遺伝子発現の表現型固定が変化する(Phenotypic anchoring of gene expression changes during estrogen−induced uterine growth)(2004)、Environ Health Perspect 112:1589〜1606頁)。 これらの問題は、新生物の成長及び発現において細胞周期の調節及びアポトーシス機序がいかに重要であるかを理解する上で大切であり、これらは、細胞の損傷が修復できない場合、活性化プログラム化細胞死の道をもたらし得るシグナル伝達ポイントである(Pietenpol JAら、細胞周期のチェックポイントシグナル伝達:細胞周期停止対アポトーシス(Cell cycle checkpoint signalling:cell cycle arrest versus apoptosis)(2002)、Toxicology 181〜182:475〜481頁)。 p53及びp21がG2/M期における細胞周期の阻止及びDNA損傷後のアポトーシスの維持に必須であることが、研究により示されている。G2/M p53依存性の停止機序は、p21に関するB1/Cdc2サイクリンの活性の初期抑制、及び引き続くB1及びCdc2タンパク質サイクリン濃度の減少を含む(Flatt PMら、G(2)のp53調節チェックポイントi網膜芽細胞腫タンパク質依存性(p53 regulation of G(2)checkpoint i retinoblastoma protein dependent)(2000)、Mol Cell Biol 20:4210〜23頁);Innocente INCら、p53は、サイクリンB1を介してG2チェックポイントを調節する(p53 regulates to G2 checkpoint through cyclin B1)(1999)、Proc Natl Acad Sci USA 96:2147〜52頁)。B1/Cdc2サイクリン濃度及びp21活性の調節の他に、p53は、カスケード下のさらなる標的遺伝子の正の転写調節を介して、チェックアップ応答も実施する(Chan TAら、DNA損傷後の有糸分裂カタストロフィーを防ぐために、14−3−3 Sigmaが必要である(14−3−3 Sigma is required to prevent mitotic catastrophe after DNA damage)(1999)、Nature 410:616〜20頁)。 アポトーシスの誘導は、カスケード下のp21などのp53標的遺伝子の正の調節に関連していることが報告されている(Kannan K.ら、p53により調節される一次的及び二次的標的遺伝子のDNAマイクロアレイ同定(DNA microarrays identification of primary and secondary target genes regulated by p53)(2001)、Oncogene 20:2225〜2234頁)。 細胞過程に及ぼす形質転換株ウィルスの効果は、SSEの多くの態様を模倣している。一定のウィルスによってコードされる腫瘍性タンパク質発現は、生存及び増殖シグナルと同じ方法で宿主細胞過程を変化させる。悪性疾患のおよそ1/4は、慢性炎症の段階を経る(Coussens LMら、炎症及び癌(Inflammation and cancer)(2002)、Nature 420:860〜7頁)。発癌物質に付されたSSEと同様に、この細胞環境により、該系の細胞防御における重要な要素としての酸素反応性種の産生が導かれる。したがって、炎症は、その原因論とは関わりなく、細胞侵襲、DNA損傷を引き起こし、SSEを誘導する、サイトカイン及び成長因子に富んだミクロ環境を生じさせる。「癌免疫編集」と称されるより全体的な過程の一部であり得る、腫瘍に対する免疫学的監視の自然の機序の存在を持続させる多くの証拠が存在する。これは、認識及び腫瘍除去から腫瘍脱出を含む、腫瘍発現に及ぼす生得及び獲得免疫の作用の完全な一連の過程を含む(Dunn GPら、癌免疫編集の3つ:免疫監査から腫瘍脱出まで(The Three is of cancer immunoediting:from immunosurveillance to tumor escapes)(2004)、Annu Rev Immunol 22:329〜360頁)。驚くべきことに、非損傷免疫系の非存在下で形成された腫瘍は、免疫競合宿主において形成された腫瘍よりもより免疫原性である。これによって、腫瘍発現に対する宿主の防御面のみならず、免疫原性に基づいた腫瘍変異体の選択に及ぼす影響面での免疫系の役割が強化される。 基本的に、MHCクラスIコンテキストにおいて提示された抗原に対するCD8+T細胞(CTL)のリンパ球毒性応答は、抗腫瘍免疫応答における獲得免疫の主要なエフェクター分枝であると考えられ、この様式で、抗腫瘍免疫療法の傾向としては、CTL応答の増加に焦点が当てられていることが多い。 腫瘍に対する免疫学的監査の理論により、免疫系が腫瘍細胞を認識し、排除することができることが疑いもなく立証されている。 腫瘍に対する免疫学的監視の機序における最も関連性のある態様の1つは、IFN−γの役割である。免疫細胞系によって産生されたIFN−γは、移植された腫瘍の成長に対して、並びに化学的に誘導された、及び自然の腫瘍の誘導に対して、宿主を防御することができる(Dighe ASら、IFN−γ受容体の非活性形態の過剰発現により誘導されたインターフェロンγ(IFN−γ)に対する細胞応答の阻害(Inhibition of cellular responsiveness to interferon−γ(IFN−γ)induced by overexpression of inactive forms of the IFN−γ receptor)(1993)、J Biol Chem 268:10645〜53頁)。先の記述を裏付ける証拠が存在する。例えば、移植された腫瘍を有するマウスに、モノクローナル抗体、抗IFN−γを注射すると、LPSによって誘発されるそれらの拒絶反応を阻止することが示され;移植された線維肉腫は、非処置マウスにおいてよりも、モノクローナル抗体、抗IFN−γで処置されたマウスにおいて、より速やかに、より効率的に成長し;ノックアウトマウス(−/−)IFN−γR又は(−/−)STAT1は、対照マウスよりもより短時間で、より低用量のメチルコラントレン(MCA)によってより多くの腫瘍を具体的に発現することにより、対照マウスよりも、MCAによる腫瘍誘発に対して、10倍から20倍感受性であった(Qin Z.ら、メチルコラントレン誘発発癌の、IFN−γ受容体依存性異物反応による抑制(Inhibition of methylcholanthrene−induced carcinogenesis by an IFN−γ receptor dependent foreign body reaction)(2002)、J Exp Med 195:1479〜90頁)。 IFN−γに感受性でない腫瘍系は、感受性のものよりも多く増殖する。腫瘍免疫拒絶は、ノックアウトマウスときわめて類似した方法で抑制される。この実験モデルにおいて、腫瘍細胞は、拒絶過程におけるIFN−γの生理学的標的である。IFN−γは、腫瘍に及ぼす直接的作用を有する抗増殖性及びアポトーシス促進性を与える。抗腫瘍応答生成におけるTh1応答誘導の重要性と同様に、IFN−γ依存性MHC I抗原提示増強の重要性が立証されている。 IFN−α/C−Fico組合せの一部をなす2つの独立した活性成分を用いる根拠に関連して、MSにおけるI型IFN類(IFN−α及びIFN−β)の有益な効果を示唆する証拠がある。 抗ウィルス効果:I型IFN類は、強力な抗ウィルス効果を有し、それらは、細胞がウィルスに感染した後に誘導され、RNA又はDNAのウィルス複製を妨害する2’5’オリゴアデニレートシンセターゼなどの多数の酵素の合成を促進する。この初期応答(抗原に非特異的)は、抗原に対する特異的応答が感染を完全に制御し得る前のウィルス感染拡大の制限において重要である。 MS素因における感染の役割に関しては不一致があり、例えば、Sieveら(Sieve ANら、SJLマウスにおけるサイラーウィルス初期感染時の慢性の拘束ストレスは、引き続く脱髄疾患を悪化させる(Chronic restraint stress during early Theiler’s virus infection exacerbates the subsequent demyelinating disease in SJL mice)(2004)、J Neuroimmunol.10月号、155(1−2):103〜18頁)は、SJLマウスにおける脱髄性疾患の動物モデルにおいて、サイラーウィルスの感染が、脱髄事象の増強を生じさせることを立証し、対照的に、住血吸虫症が、EAEモデルにおいて、MSに対する防御を提供することを報告し、マンソン住血吸虫感染によるMS開始の直接的抑制を観察している(The Flamme ACら、住血吸虫症は多発性硬化症を防御する(Schistosomiasis protects against multiple sclerosis)(2004)、Mem Inst Oswaldo Cruz;99(増補5版、1):33〜6頁、Epub、2004年、10月13日)。 抗増殖、抗アポトーシス及び細胞分化効果:IFN−α及びIFN−βは、全ての細胞周期の段階:M、G1及びG2に影響を及ぼし得る。線維芽細胞が血清、上皮成長因子(EGF)又はインスリンによって刺激されると、IFNsは、Gi期の延長、S期への進入速度の低下並びにS期及びG2期の遅速化を生じさせる(Balkwill Fら、インターフェロンは、静止状態から増殖へと刺激された細胞におけるG1とS+G2の双方に影響を及ぼす(Interferon affects both G1 and S+G2 in cells stimulated from quiescence to growth)(1978)、Nature 274:798〜800;Gewert DRMGら、インターフェロン1による細胞増殖の抑制。ヒトリンパ芽球(ダウディ)細胞における細胞分裂及びDNA合成に及ぼす効果(Inhibition of cell proliferation by interferons 1.Effects on cell division and DNA synthesis in human lymphoblasts(Daudi)cells)(1984)、Eur J Biochem 139:619〜625頁)。正常細胞及び腫瘍細胞におけるIFNによる細胞周期延長の累積効果により、細胞分裂停止、細胞容量の増加及びアポトーシスが生じる(Otsuki Tら、インターフェロンαによって誘導されたヒト骨髄腫細胞のアポトーシス(Human myeloma cell apoptosis induced by interferon−α)(1998)、Br J Haematol 103:518〜529頁)。 腫瘍細胞は、細胞周期の進行を制御する1種又は複数のタンパク質における改変を発現する。IFNによって調節される癌原遺伝子としては、c−myc(Raveh Tら、二本鎖RNA依存性タンパク質キナーゼは、タイプIインターフェロンによって誘導されるc−Myc抑制を媒介する(Double−stranded RNA−dependent protein kinase mediates c−Myc suppression induced by type I interferons)(1996),J Biol Chem 271:25479〜25484頁)、bcl−2(Koshiji Mら、Bcl−2発現のダウンレギュレーションに起因する腫瘍壊死因子アルファ及び/又はインターフェロンガンマによる結腸直腸腺癌(COLO201)のアポトーシス(Apoptosis of colorectal adenocarcinoma(COLO201)by tumor necrosis factor−alpha and/or interferon−gamma resulting from down−regulation of Bcl−2 expression)(1998),Clin Exp Imunol 111:211〜218頁)、c−Ha−ras(Samid D.ら、ヒト発癌遺伝子によって形質転換されたインターフェロン処理マウス細胞における表現型復帰の生化学的関連性(Biochemical correlates of phenotypic reversion in interferon−treated mouse cells transformed by to human oncogene)(1984)、Biochem Biophys Res Comm 119:21〜28頁)及びc−srcが挙げられる。多くの腫瘍において他の重要な変異タンパク質は、網膜芽腫(Rb)である。E2F転写因子との結合によるこのタンパク質のリン酸化過剰により、細胞周期の進行が抑制され;IFN−αによる処理によって、このリン酸化過剰の抑制が生じる(Kumar Rら、インターフェロンαは、ヒトのバーキットリンパ腫ダウディ細胞において網膜芽腫遺伝子産物の発現を誘導する:増殖調節における役割(Interferon−α induce the expression of retinoblastoma gene product in human Burkitt lymphoma Daudi cells:role in growth regulation)(1992),Proc Natl Acad Sci USA 89:6599〜6603頁;Resnitzky D.ら、インターフェロン及びインターロイキン6は、増殖感受性造血細胞において、網膜芽腫タンパク質のリン酸化を抑制する(Interferons and interleukin 6 suppress phosphorylation of the retinoblastoma protein in growth−sensitive hematopoietic cells)(1992)、Proc Natl Acad Sci USA 89:402〜406頁)。IFN−αの効果により、E2F、E2F−1タンパク質の減少が生じる。 アポトーシス誘導に用いられる経路の1つは、FasLへのFasの結合を含み、そのことが死ドメイン、FADDを含有するタンパク質の動員とその結果であるカスパーゼ8などのカスパーゼ類の活性化をもたらす。IFN類はFas発現を正に調節し、したがって、Fas媒介のアポトーシス経路を介して作用し得る(Weller Mら、培養ヒト膠腫細胞の抗Fas/APO−1抗体媒介アポトーシス。サイトカイン類による感受性の誘導及び調節(Anti−Fas/APO−1 antibody−mediated apoptosis of cultured human glioma cells.Induction and modulation of sensitivity by cytokines(1994),J Clin Invest 94:954〜964頁)。Fasは、IFN−αによって正に調節することができ、(Gordon Mら、インターフェロンαによる処置は、慢性骨髄腫白血病患者からの顆粒球−マクロファージ前駆体(CFU−GM)の増殖に関する能力を優先的に減少させるが、正常なスペアCFU−GMは減少させず(Treatment with interferon−alpha preferentially reduces the capacity for amplification of granulocyte−mecrophage progenitors(CFU−GM)from patients with chronic myeloid leukaemia but normal spares CFU−GM)(1998)、J Clin Invest 102:710〜715頁)、この事象は、Fasによって媒介されるアポトーシスを促進する(Selleri CMJら、慢性骨髄腫白血病におけるbcr/ablのFas媒介調節は、アポトーシスに差異的効果をもたらす(Fas−mediated modulation of bcr/abl in chronic myeloid leukaemia results in differential effects on apoptosis)(1998)、Blood 92:981〜989頁)。 遺伝子調節:酵素、2〜5オリゴアデニレートシンセターゼ(2〜5A synthetase)、タンパク質キナーゼ(PKR)及びインドレアミン 2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)がIFN類によって誘導され、2〜5Aシンターゼは、IFNシグナル伝達の比較的特異的なマーカーである(Hassel BAら、2〜5A依存性RNアーゼのドミナントネガティブ変異体は、インターフェロンの抗増殖効果及び抗ウィルス効果を抑制する。(2−5A−dependent RNase suppresses anti−proliferative and antiviral effects of interferon)(1993)、EMBO J 12:3297〜3304頁)。潜在性リボヌクレアーゼは、2〜5Aによって活性化され;これらの酵素の誘導により、RNA及びタンパク質の合成を抑制できる。酵素的に不活性なリボヌクレアーゼ(RNase−L)の細胞内発現により、IFN類の抗ウィルス効果及び抗増殖効果が抑制される。種々のアポトーシス剤によって処置されたマウス無RNase−Lにおいて、アポトーシスが抑制される(Zhou Aら、2’5’−オリゴアデニレート依存性RNase Iを欠いたマウスは、インターフェロン作用及びアポトーシスを欠く(Interferon action and apoptosis are defective in mice devoid of 2’5’−oligoadenylate−dependent RNase I)(1997)、EMBO J 16:6355−6363頁)。 PKRの濃度は、種々のヒト腫瘍及び腫瘍細胞系における増殖活性に逆相関しており、侵襲性の乳癌では、PKR活性が小さいことが判明した(Haines GKCRら、ヒト乳房組織における二本鎖RNA依存性タンパク質キナーゼ(p68)の発現(Expression of the double−stranded RNA−dependent protein kinase(p68)in human breast tissues)(1996),Tumor Biol 17:5〜12;Savinova OJBら、乳癌細胞におけるds RNA活性化タンパク質キナーゼ、PKRの異常濃度及び最小活性(Abnormal levels and minimal activity of the ds RNA−activated protein kinase,PKR,in breast carcinoma cells)(1999)、Int Biochem Cell Biol 31:175〜189頁)。 IFNに誘導された転写因子であるIRF−1は増殖時の静止期の細胞で速やかに増加することから、IRF−1によってPKRの発現を制御でき、これによって、細胞増殖の負の制御に関与している遺伝子の発現及びIFNに媒介された抗増殖効果に影響を及ぼすことができる。 IDOによるキヌレニンへのトリプトファンへの分解もまた、トリプトファン欠乏の結果としてのタンパク質合成の抑制及び抗増殖効果に関連している(Byrne G.ら、インビトロ及びインビボでのトリプトファン分解の誘導:ガンマインターフェロン刺激活性に対して(Induction of tryptophan degradation in vitro and in vivo:to gamma−interferon stimulated activity)(1986)、J Interferon Res 6:389〜396頁)。 また、IFN類は、結腸癌のヒト細胞における多剤耐性遺伝子(mdr1)を負に調節する(Stein Uら、ヒト結腸癌細胞におけるサイトカインによるmdr1発現の調節:多剤耐性の逆転アプローチ(Modulation of mdr1 expression by cytokines in human colon carcinoma cells:an approach for reversal of multi−drug resistance.)(1996)、Br J Cancer74:1384〜1391頁)。また、bcr遺伝子(ブレークポイントクラスター領域)も、IFN−αによって負に調節できることが、ヌクレオチドアレイによって立証されている(Der SDら、オリゴヌクレオチドアレイを用いた、インターフェロンα、β又はγによって差異的に調節された遺伝子の同定(Identification of genes differentially regulated by interferon−α,β or γ using oligonucleotide arrays)(1998)、Proc Natl Acad Sci USA 95:15623〜15628頁)。 免疫調節効果:IFNアルファの存在下で培養されクローン化されたT細胞において増加したIFN−γ細胞産生物質(Th1細胞タイプ)の比率(Parronchi Pら、IL−4並びにIFNアルファ及びIFNガンマは、Th1又はTh2ヒトT細胞クローンによる細胞溶解潜在能力の発現に対して、反対の調節効果を及ぼす(IL−4 and IFN alpha and IFN gamma exert opposite regulatory effects on the development of cytolytic potential by Th1 or Th2 human T cell clones)(1992)、J Immunol 149:2977〜2983頁)か、又はTCR/CD3複合経路を介して、直接的に刺激する(Brinkmann Vら、インターフェロンアルファは、IFNガンマ産生CD4+ T細胞の頻度を増加させる(Interferon alpha increases the frequency of IFN gamma−producing CD4+ T cells)(1993)、J Exp Med 178:1655〜1663頁)。他の報告では、IFN−αがIFN−γを誘導することを立証している。IFN−γ「ノックアウト」マウスでは、炎症及び脱髄の増加が見られており(Tran EHら、IFNガンマは、ケモカインの調節によって中枢神経系の免疫侵襲を形成する(IFN−gamma shapes immune invasion of the central nervous system via regulation of chemokines)(2000)、J Immunol 164:2759〜2768頁)、これは、MSなどの脱髄性自己免疫疾患におけるIFN−γの保護的役割、及びその結果として、IFN−γの増加を示す疾患における有益な役割を示唆しており、これはそれに帰属されることが多い病因性の炎症促進的な役割とは対照的である。 エフェクター免疫細胞に及ぼす効果:IFN類は、全ての細胞型の免疫エフェクターの有効性を増大させる。これらには、細胞毒性T細胞及びナチュラルキラー細胞(NK)が含まれる。また、抗体依存性細胞の細胞毒性(ADCC)もIFN類によって増大し得る。ヒトロイコサイト抗原(HLA)分子の発現増強に加えて、IFN類は、腫瘍細胞の細胞毒性に関する関連T細胞の機能を直接増大させる(Kayagaki Nら、タイプIのインターフェロンは、ヒトT細胞上の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導性リガンド(TRIL)の発現を調節する:タイプIのインターフェロンの抗腫瘍効果に関する新規機序(Type I interferons regulate tumor necrosis factor−related apoptosis−inducing ligand(TRAIL)expression on human T cells:a novel mechanism for the anti−tumoral effects of type I Interferons)(1999)、J Exp Med 189:1451〜1460頁)。NK細胞活性及びそれらの単球機能を増大させるIFN類の能力は、インビトロ及びインビボで立証されている。 血管新生作用:IFN媒介抗腫瘍効果の別の要素は、血管新生阻害である。IFN−αの全身投与によって、血管新生タンパク質発現の直接的制御によりIFN感受性細胞における腫瘍細胞bFGFの増殖速度が低下する(Dinney CPら、マウスにおけるヒト膀胱癌の塩基性線維芽細胞成長因子発現阻害、血管新生阻害、及び増殖阻害(Inhibition of Basic fibroblast growth factor expression,angiogenesis,and growth of human bladder carcinoma in mice)(1998)Cancer Res 58:808〜814頁)。 臨床的にIFN−αの処置は、異常内皮細胞を含有する腫瘍である血管腫の退縮誘導に成功を収めている(Ezekowitz RABら、乳児期の生命を脅かす血管腫に対するインターフェロンアルファ−2b治療(Interferon alpha−2b therapy for life−threatening hemangiomas of infancy)(1992)N Engl J Med 326:1456〜1463頁)。カポジ肉腫、内皮細胞起源の新生物疾患も又、IFN−α処置に応答する(Krown SE.、インターフェロン−α:AIDS−関連カポジ肉腫に関する治療の展開(Interferon−α:evolving therapy for AIDS−associated Kaposi’sarcoma)(1998)J Interferon Cyto Res 18:209〜214頁)。 IFN類の抗腫瘍効果:それらの抗腫瘍効果は、腫瘍細胞の機能的能力又は抗原組成に対する直接作用或いは腫瘍細胞と相互作用する免疫細胞集団の調節に対する間接的作用の結果であると推定されている。 しかしながら、一定数のI型IFN誘導遺伝子は、アポトーシスに関与し、PKR、PML、PAP46/Bag−1、リン脂質スクラムブレーズ及びヒポキシ誘導性アルファ−1因子を含む(Der SDら、オリゴヌクレオチドアレイを用いたインターフェロンα、β又はγにより差動的に調節された遺伝子の同定(Identification of genes differentially regulated by interferon α,β or γ using oligonucleotide arrays)Proc Natl Acad Sci USA(1998);95:15623〜15628頁)。インビボでのIFN類効果を、アポトーシス誘導試剤とを組み合わせることにより増加し得るかどうかを判定することが重要となろう。 最近の研究(Dunn GPら、癌免疫編集におけるI型インターフェロンに関する重要な機能(A critical function for type I interferons in cancer immunoediting)(2005)Nature Immunol 6:722〜29頁)は、腫瘍の治療におけるI型IFN(IFNα/β)の使用を支持する。本研究では、癌「免疫編集」過程における重要な成分として、IFNα/β並びにIFN−γを同定した。このグループは特に、免疫適格性マウスにおいて、内因的に産生されたIFNα/βが、高度に免疫原性であるMCA肉腫の拒絶に必要であり、又、宿主の造血細胞が、防御的抗腫瘍応答の発現時にIFNα/βの重要な標的であることから、一次発癌物質により誘導された腫瘍の過成長を防止することを立証している。 ヒト抗腫瘍効果:IFN類は、臨床実践において重要な役割を果たしている。単独剤としてIFN−α2の臨床的に有益な治療活性は、多くの疾患において立証されている。これらの発見により、癌患者の生存率を増加させる最初のヒトタンパク質としてIFN類が是認されている。IFN類と他の薬物との併用によって有望な成績及び新規で且つより有効な臨床適用が立証されている。動物モデル及び細胞において他の療法と併用する場合、IFN類は、多種多様な組織学の悪性疾患における治療有効性を増大させている。多くの場合、腫瘍の細胞数又はサイズの減少及び生存延長は、相加的又は相乗的効果を有した。 悪性血液学的疾患に対するIFN類の効果:毛様細胞性白血病(HCL)患者の活性度及び生活の質の改善により、IFNに関しての実施権が米国において最初に承認された。患者の85%超は、IFN−α2に対する部分的又は完全な血液学的応答について客観的証拠を有した(Quesada Jら、毛様細胞性白血病のアルファインターフェロンによる治療(Treatment of hairy cell leukemia with alpha interferon)(1985)Blood 1986年:493〜497頁)。 慢性骨髄性白血病(CML):IFN−αの適用により、新規に診断された患者の大部分において重要な治療応答(75%超)を生じた(Kantarjian HMら、慢性骨髄性白血病:簡潔な更新(Chronic myeloid leukemia:a concise update)(1993)Blood 82:691〜703頁;Talpaz M.、慢性骨髄性白血病の治療におけるインターフェロンの使用(Use of interferon in the treatment of chronic myeloid leukemia)(1994)Semin Oncol 21:3〜7頁)。CMLにおける最良の結果から、IFN−α2による著しい臨床応答及び細胞遺伝学的応答が実証されている(Talpaz M.、慢性骨髄性白血病の治療におけるインターフェロンの使用(Use of interferon in the treatment of chronic myeloid leukemia)(1994)Semin Oncol 21:3〜7頁)。連続処置により、患者のおよそ25%は、フィラデルフィア(Ph)染色体の発現喪失により完全な細胞遺伝学的応答を有する。細胞遺伝学的応答の証拠を示す(完全応答ではないが)応答患者の平均生存期間は、およそ6年であり;完全な細胞遺伝学的応答を示す患者の90%超が、10年超の寛解を有している。10年の平均生存では、化学療法と比較してIFN−α2が有意な有益性を示している(白血病TICSGoCM。慢性骨髄性白血病において従来の化学療法に対するインターフェロン−アルファのイタリア臨床試験の長期追跡調査(leukemia TICSGoCM.Long−term follow−up of the Italian trial of interferon−alpha versus conventional chemotherapy in chronic myeloid leukemia)(1998)Blood 92:1541〜1548頁)。Ph染色体を有する陽性又は陰性血小板増多症に関連する骨髄増殖性機能不全は、IFN−α2により調節できる(Ludwig H.ら、組換えIFNα−2cによる治療:骨髄増殖性疾患における多発性骨髄腫及び血小板増加症(Treatment with recombinant IFNα−2c:multiple myeloma and thrombocythaemia in myeloproliferative disease)(1985)Oncology 42(増補1):19〜25頁;Talpaz Mら、血小板増多症を有する染色体−陰性骨髄増殖性障害の組換えIFN−α2療法(Recombinant IFN−α2 therapy of chromosome−negative myeloproliferative disorders with thrombocytosis)(1989)Am J Med 86:554〜558頁)。 以前に治療されなかった多発性骨髄腫患者の50%は、IFN−α2による療法に応答している(Quesada JRら:転移性乳癌、悪性リンパ腫、及び多発性骨髄腫における組換えDNA−産生白血球インターフェロン(クローンA)の第I〜II相の共同試験(Collaborative phase I−II study of recombinant DNA−produced leukocyte interferon(clone A)in metastatic breast cancer,malignant lymphoma,and multiple myeloma)(1984)Am J Med 77:427〜432頁)。 IFN−αは、異なる組織学及びT並びにB細胞表現型のリンパ腫において治療的役割を有している(Borden EC.非ホジキンリンパ腫及び多発性骨髄腫に対する革新的治療戦略(Innovative treatment strategies for non−Hodgkin’s lymphoma and multiple myeloma)(1994)Sem Oncol 21:14〜22頁)。IFN−α2は、3カ月から25カ月の応答により、進行性皮膚T細胞リンパ腫患者の45%に活性を示した(Borden EC.非ホジキンリンパ腫及び多発性骨髄腫に対する革新的治療戦略(Innovative treatment strategies for non−Hodgkin’s lymphoma and multiple myeloma)(1994)Sem Oncol 21:14〜22頁)。分化不良のB細胞のリンパ腫において、45%超の応答頻度が、IFN−α2による処置後に見られた(Foon KAら、組換え白血球インターフェロンαによる進行性非ホジキンリンパ腫の治療(Treatment of advanced non−Hodgkin’s lymphoma with recombinant leukocyte α interferon).(1984)N Engl J Med 311:1148〜1152頁;O’Connell M、Colgan JP、Oken MMら、組織学的に有利な非ホジキンリンパ腫及び慢性リンパ球性白血病に対する初期療法として組換え白血球Aインターフェロンの臨床試験(Clinical trial of recombinant leukocyte A interferon as initial therapy for favorable histology non−Hodgkin’s lymphomas and chronic lymphocytic leukaemia)。Eastern Cooperative Oncology Groupのパイロット試験(An Eastern Cooperative Oncology Group pilot study)(1986)J Clin Oncol 4:128〜136頁)。 固形腫瘍に対するIFN類の効果:一定の転移性固形腫瘍の治療において、IFN−αは、最良の化学療法剤と同等の応答をもたらした。黒色腫のIFN−αに対する応答は、2%から29%の間の範囲で変動する(Creagan ANDら、播種性悪性黒色腫における組換え白血球インターフェロン(rIFN−アルファ−A)の第II相試験(Phase II study of recombinant leukocyte interferon(rIFN−alpha−A)in disseminated malignant melanoma)(1984)Cancer 54:2844〜2849頁;Robinson Wら、組換えインターフェロンアルファ2による転移性黒色腫の治療(Treatment of metastatic melanoma with recombinant interferon alpha 2)(1986)Immunobiology 172:275〜282頁)。IFN類とホルモン類化学療法及び/又はIL−2との併用では、治療様式としてその組込みは、それらの毒性により限定されたが、転移性黒色腫では応答が増加し、生存を延長できた(Legha SSRSら、転移性黒色腫におけるバイオ化学療法の開発及び成績(Development and results of bio−chemotherapy in metastatic melanoma):the University of Texas M.D.Anderson Cancer Center experience(1997)Cancer J Sci Am;3(増補1):S9〜S15頁)。 転移性腎癌において、IFN−α、IFN−α+IL−2の併用、IFN−α+IFN−γの併用療法が使用されているが、メタ分析の結果により、IFN−αで治療を受けた患者は、併用療法で治療された患者よりも、主としてそれらの毒性のため良好な応答を有することが示唆されている(Hemberg M.ら、転移性黒色腫及び腎細胞癌に対する治療としてのインターフェロン−アルファの有無での措置:無作為試験の総括(Regimens with or without interferon−alpha as treatment for metastatic melanoma and renal cell carcinoma:an overview of randomized trials)(1999)J Immunother 22:145〜154頁)。 自然において調節的役割を果たす有機起源の生物活性物質は、個体自体の固有の潜在的治癒能力の発現に基づく治療機序を有する薬物として作用できる基礎的な活性成分を構成している。このアプローチは、疾患において変化した機能的ホメオスタティックバランスの回復を達成する目的で個体能力を促進するか、解除するか、又は刺激するために用いられるバイオ調節産物及び手法の使用に基づいている。これらの活性成分及び生物学的応答変更因子の合理的な使用には、生理的な機序及び経路により、患者に対して直進的及び漸進的な方法で変化した機能の調和を回復させる目的がある。 状況証拠又は実験的証拠により、治療可能性のある天然物又は抽出源、或いは植物誘導体の使用が示唆される。これらのバイオ医薬品は、業界において治療適用の可能性のある1つ又はいくつかの知られた或いは関連した薬理活性を供するという一般的な特徴を有する天然起源、又は単離成分、濃縮又は半精製物の複雑な混合物である可能性があり、C−フィコシアニン(C−Phyco)もこのケースである。 C−Phycoは、緑藻類−藍藻類に見られるタンパク質に結合した色素である。C−Phycoモノマー類は、共有結合した少なくとも3つのビリン発色団及び金属錯体の無い鎖状テトラピロールを含有する2つの異なるα及びβタンパク質サブユニットに結合している(Duerring Mら、1.66A分解能における色順応シアノバクテリウム−フレミエラディプロシプロン(Cyanobacterium fremyella diplosiplon)からの構成的c−フィコシアニンの単離、結晶化、結晶構造解析及び精製(Isolation,crystallization,crystal structure analisis and refinement of constitutive c−phycocyanin from the chromatically adapting Cyanobacterium fremyella diplosiplon at 1.66 A resolution)(1991)J Mol Biol;217:577〜92頁)。この補欠分子族団は、藻類質量のおよそ4%を占め、1分子量単位当りおよそ16の発色団の存在を示す(Oh Eocha C.、フィコビリン類(Phycobilins).Lewin RA編集者、藻類の生理学及び生化学(Physiology and Biochemistry of Algae):ニューコーク:Academy Press、1962年:421〜35頁)。4つの異なる構造形体:モノマー、トリマー、ヘキサマー及びデカマーがあり(MacColl Rら、フィコビリタンパク質類(Phycobiliproteins)Boca Raton:CRC Press、1987年:1〜10頁)、藍藻類−緑藻類中の最も豊富な色素である(藻類乾燥重量の20%超)(Richmond A.大規模微細藻類培養及び適用(Large scale microalgal culture and applications)Round Chapman編集者、Progress in Phycological Research.7巻Biopres社、1990年:8頁)。 C−Phycoのビリン発色団の化学構造(開鎖テトラピロール)は、ビリルビンと極めて類似している。Stockerら(Stocker Rら、ビリルビンは生理学的に重要である可能性を有する抗酸化剤である(Bilirrubin is an antioxidant of possible physiological importance)(1987)Science;235:1043〜6頁)は、全ビリルビン分子に拡大する共鳴安定化を有する中心炭素とラジカルを形成するためにテトラピロール分子のC−10に結合された水素原子に送達するペルオキシドラジカルを除去できることから、ビリルビンは生理学的に重要である可能性を有する抗酸化剤であることを報告した。酸素反応性種(ORS)は、炎症、アテローム硬化症、癌、再灌流による損傷を含む医療において多種多様の重要な過程に関与することがよく知られている(Kehrer JP.組織損傷及び疾患の媒介物質としてのフリーラジカル(Free radicals as mediators of tissue injury and disease)(1993)Crit Rev Toxicol 23:21〜48頁)。物質がこれらの過程を妨害できる方法の中の1つは、抗酸化剤又はフリーラジカルのスカベンジャーとしての作用を介するものである。 抗酸化効果:C−Phycoの抗酸化性及び抗炎症性に関する最初の報告はRomayらにより行われ(Romay Cら、藍藻類−緑藻類由来のC−フィコシアニンの抗酸化性及び抗炎症性(Antioxidant and anti−inflammatory properties of C−phycocyanin from blue−green algae)(1998)Inflamm Res 47(1):36〜41頁)、「インビトロ」及び「インビボ」での抗酸化剤としてC−Phycoの可能性を評価した。C−Phycoは、ヒドロキシラジカル(IC50=0.91mg/ml)(IC50:過酸化損傷の阻止を50%誘導する添加物の濃度)及びアルコキシルラジカル(IC50=76μg/ml)を排除することができ、それぞれこれらのラジカルの特異的スカベンジャーである0.125mg/mlのジメチルスルホキシド(DMSO)及び0.038μg/mlのTroloxと同様の活性を有する。C−Phycoは又、肝ミクロソーム脂質過酸化を阻止した(IC50=12mg/ml)(Halliwell B.生物学的抗酸化剤を特性化する方法(How to characterize a biological antioxidant)(1990)Free rad Res Comm;9:1〜32頁)。興味深いことに、C−Phycoの酸素排除活性は、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)よりも丁度3倍低かったことが強調され、C−PhycoへのSODの添加により、その抗酸化能力は変わらないことから、異なる作用機序が示唆された。その抗酸化作用の別の効能は、部位特異的様式でデオキシリボースの損傷を阻止する能力である。デオキシリボースアッセイにおいて、C−Phycoに関して算出された速度定数は、インドメタシン及びイブプロフェンなどのいくつかの非ステロイド系抗炎症剤に関して同じ方法で得られたものと同様であった(1.8×1010M−1S−1)(Parij Nら、非ステロイド系抗炎症剤とヒドロキシルラジカルとの反応に関する速度定数の決定に対するデオキシリボースアッセイにおける線形及び非線形競合プロット(Linear and non linear competition plots in the deoxyribose assay for determination of rate constants for reaction of non steroidal anti−inflammatory drugs with hydroxyl radicals)(1995)Free Rad Head;23:571〜9頁)。 同グループは最近、C−Phycoが、非常によく知られている抗酸化剤であるTrolox及びアスコルビン酸と同様の方法で2,2’−アゾビス(2ミジノプラパン)ジヒドロキシクロリド(AAPH)赤血球溶血を阻止することを報告した(Romay Cら、フィコシアニンは、ペルオキシルラジカルによる溶解に対してヒト赤血球を抗酸化的に保護する(Phycocyanin is an antioxidant protective of human erythrocytes against lysis by peroxyl radicals)(2000)J Pharm Pharmacol 52:367〜368頁)。IC50値に基づき、C−Phycoは、Troloxよりも16倍有効であり、アスコルビン酸よりもおよそ20倍有効な抗酸化剤であることを立証した。これらの知見は、別の研究によっても確認されており(Hirata Tら、スピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)から調製されたフィコシアノビリンの抗酸化活性(Antioxidant activities of Phycocyanobilin prepared from Spirulina platensis)(2000)J Appl Phycol 435〜439頁)、フィコシアノビリン(C−Phycoの成分)の抗酸化活性は、アルファトコフェロールよりもモル量において高かったことが立証された。フィコシアノビリンの抗酸化効果は、疎水性系における、又はホスファチジルコリンリポソーム類とのリノール酸メチルの酸化に対して評価された。又、この研究ではスプレー乾燥スピルリナからのC−Phycoが、新鮮なスピルリナからのC−Phycoと同様の抗酸化活性を有することが示された。これらの結果により、アポタンパク質成分は乾燥工程中に変性し得ることから、C−Phycoの抗酸化活性は、C−Phycoの補欠分子団であるフィコシアノビリンに起因し得ることを示唆している。乾燥C−Phycoが、無処置タンパク質と同様の活性レベルを示すという事実により、C−Phycoの調製及び使用が商業的に実行可能なものになる。 Reddyらの結果(Reddy CMら、スピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)からのビリタンパク質(biliprotein)であるC−フィコシアニンによるシクロオキシゲナーゼ−2の選択的阻害(Selective inhibition of ciclooxygenase−2 by C−phycocyanin,a biliprotein from Spirulina platensis)(2000)Biochem Biophys Res Commun 3:599〜603頁)によれば、スピルリナプラテンシスからのC−Phycoは、極めて低いIC50COX−2/IC50COX−1(0.04)比を有する選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤である。興味深いことに、この研究では、COX−2に関してC−Phycoによって達成された阻害IC50値は、非常によく知られているCOX−2選択的阻害剤であるセレコキシブ(255 NM)及びロフェコキシブ(401 NM)よりもはるかに小さかった(180 NM)ことを示した。フィコシアノビリン及び還元C−Phycoは無効であったことから、COX−2阻害を担っていたのはC−Phycoアポタンパク質成分であった。文献に報告されたC−Phycoの抗関節炎性、抗炎症性及び肝保護性は、部分的にCOX−2選択的阻害性によるが、それらはフリーラジカルを効率的に排除し、脂質過酸化を阻止する能力によるC−Phycoの同様の効果を排除しないことを、この著者らは示唆している。 C−Phycoは用量依存様式でルミノール増幅化学発光(LCL)を阻止するが、それは恐らく食作用細胞のレスピラトリーバースト時に増加したフリーラジカル(OH、H2O2、RO)及びペルオキシドを排除する能力によるものと考えられる。しかしながら、C−Phycoは、例えば、活性化食細胞、NADPHオキシダーゼ及びミエロペルオキシダーゼにより反応性酸素種の産生に関与する酵素に影響を与えるか、又はアクチベーターの結合若しくはアラキドン酸代謝経路を干渉する他の経路を介してLCLレベルを減じ得ることも可能である。最近、動物炎症モデルにおいて、C−PhycoによるロイコトリエンB4(LTB4)の放出阻害が立証された。 H2O2及びOHの排除作用の可能性を有する薬剤を同定するために「インビトロ」モデルにおいて、ペルオキシドにより誘導された炎症応答が評価されている。マウスの足に注入されたグルコースオキシダーゼ(GO)は、内因性グルコースと反応し、OHラジカルの連続産生によりH2O2を生成する;双方とも、組織損傷及び付随する炎症変化の原因となる(Spillert CRら、薬物試験のためのペルオキシド誘導炎症モデル(A peroxide−induced inflammation model for drug testing)(1987)21:297〜8頁)。C−Phycoは、マウス足におけるグルコースオキシダーゼ誘導浮腫を減じた。この抗炎症作用は、少なくとも部分的にヒドロキシルラジカルの除去によるものであろう。 H2O2により誘導された多くのインビボ損傷は、強力な反応性の酸化剤、主としてOHへの変換のためであるというコンセンサスが多く(Halliwell B.生物学的抗酸化剤を特性化する方法(How to characterize a biological antioxidant)(1990)Free rad Res Comm;9:1〜32頁)、したがって、恐らくC−PhycoのOH排除作用は、その抗炎症効果にとって重要である。 抗炎症効果:C−Phycoは、スピルリナ(Spirulina)(SP)藻類に見られるフィコビリンである。キューバなど、多くの国において微細藻類が栄養サプリメントとして用いられていることを考慮すると、その抗炎症活性に関わる報告があることから(Gonzalez Rら、ラットにおける酢酸誘導大腸炎においてフィコシアニン抽出物の抗炎症活性(Anti−inflammatory activity of Phycocyanin extract in acetic acid−induced colitis in rats)(1999)Pharm Head 39;1:55〜59頁)、C−Phycoは、重要な炎症因子を有する疾患にも使用できると考えられる。Gonzalezらは、潰瘍性大腸炎に見られるいくつかの急性炎症反応を模倣する動物モデルの酢酸誘導大腸炎におけるC−Phyco抽出物の効果を評価した(Frettland DJら、エイコサノイド類及び炎症性腸疾患:治療に関する規制と見通し(Eicosanoids and inflammatory bowel disease:regulation and prospects for therapy)(1990)Prost Leukotr Ess Fatty Acids;41:215〜33頁)。この試験において最も重要な知見はラットにおけるC−Phycoは酢酸誘導大腸炎を減少させたことであって、これは、C−Phycoの抗大腸炎効果の最初の報告であり、その組織学的特徴並びに大腸組織の構造的解析により評価され、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性測定により確認された。この研究において、C−Phycoで処置した大腸炎動物の損傷大腸粘膜において好中球浸潤及びMPO活性の有意な減少が見られ、このことにより、この病態に対する有益な効果が裏付けられる。 C−Phyco抗炎症活性は又、ラット足におけるカラゲーン誘導浮腫及びラットにおけるコットンスペック肉芽腫においても同じ用量範囲で見られた(Romay Chら、いくつかの炎症動物モデルにおけるフィコシアニンの抗炎症活性に対するさらなる研究(Further studies on anti−inflammatory activity of phycocyanin in some animal models of inflammation)(1998)Inflamm Head 47(8):334〜8頁)。これらの実験的炎症モデル並びに実験的大腸炎において、アラキドン酸の代謝物は重要な役割を果たしている。C−Phycoは、用量依存様式でマウスの耳のアラキドン酸誘導浮腫並びにラット足のカラゲーン誘導浮腫を有意に減少させた。C−Phycoは又、滅菌コットンスペックがラット腋窩に移植されるコットンスペック亜慢性肉芽腫アッセイにおいて抗炎症活性を示した。C−Phycoの経口投与は、どの試験モデルにおいても有意な抗炎症活性をもたらした。観察された抗炎症活性は、C−Phycoの酸素排除及び抗酸化活性に起因すると考えられ、アラキドン酸代謝に対するその阻害効果によるものと考えられる。 他の報告では、記述されたその参照の抗酸化作用及び抗炎症作用に由来する化学的誘導肝損傷を防止する上でC−Phycoの役割が評価されている。(Vadiraja BBら、C−フィコシアニンの肝保護効果:ラットにおける四塩化炭素及びR−(+)−プレゴン媒介肝毒性に対する保護(Hepatoprotective effect of C−Phycocyanin:Protection for carbon tetrachloride and R−(+)−pulegone−mediated−hepatotoxicity in rats)(1998)Biochem and Biophys Res Com 249:428〜431頁)。Vadirajaらは、ラットにおけるR−(+)−プレゴン及びCCl4誘導肝毒性に対するC−Phycoの効果を研究した。この研究において、R−(+)−プレゴン(250mg/kg)又はCCl4(0.6ml/kg)の投与1時間から3時間前にC−Phycoの単一用量(200mg/kg)が、ラットに腹腔内投与され、これらの化学試剤により生じた肝毒性を有意に減少させた。双方の試剤は、フリーラジカルの発生により肝毒性を引き起こすことが示唆されている。 肝保護効果:したがって、C−Phycoの肝保護効果は、反応性代謝物発生に関与する反応阻害に、また恐らくはそのラジカル除去活性によるものと考えられた。C−Phycoは、反応性代謝物の形成に関与するチトクロームP450により媒介されるいくつかの反応を阻止する。この場合、C−Phycoは、効率的なラジカル除去剤として作用できる可能性もある。最近、Bhatら(Bhat VBら、C−フィコシアニン:インビボ及びインビトロで強力なペルオキシルラジカルスカベンジャー(C−phycocyanin:a potent peroxyl radical scavenger in vivo and in vitro)(2000)Biochem Biophys Res Comun 1:20〜25頁)は、C−Phycoが、ラットにおいて「インビボ」でCCl4により誘導された脂質過酸化を阻止し、この阻止は、11.35μMのIC50を有して濃度依存的であることを報告した。これらの研究により、C−Phycoは、尿酸(よく知られたペルオキシルラジカル除去剤)の3.5と比較して1.54の一定速度比を有する強力なペルオキシルラジカル除去剤であることが明瞭に立証されている。 抗酸化剤防御機序の減少及び酸素並びに窒素反応種の増加は、加齢に関連した機能性の減退及び神経変性疾患における原因因子であることが提案されている(Harman D.加齢化:フリーラジカル及び放射線化学に基づく理論(Aging:to theory based on free radical and radiation chemistry)(1956)J Gerontol 11:289〜300頁;Leibovitz BEら、生物学系におけるフリーラジカル反応の態様:加齢化(Aspects of free radical reactions in biological systems:aging(1980)J Gerontol 35:45〜56頁;Ames BNら、酸化剤、抗酸化剤、及び加齢化の神経変性疾患(Oxidants,antioxidants,and the degenerative diseases of aging)(1993)Proc Natl Acad Sci USA 90:7915〜7922頁)。炎症過程は中枢神経系(SNC)の酸化的損傷に関連することを示唆する証拠が増えている。抗酸化酵素スーパーオキシドジスムターゼの注入により、いくつかの動物モデルの炎症が減少する。抗酸化剤を「インビトロ」で単離免疫細胞に加えるか、又は抗酸化剤を「インビボ」で動物及びヒトにサプリメントとして与える場合、それらは免疫機能の一定のパラメータを増加させる(Ian SNら、抗酸化剤、サイトカイン類、及び老齢マウス及び高齢ヒトにおけるインフルエンザ感染(Antioxidant,cytokines,and influenza infection in aged mice and elderly humans)(2000)J Infect Dis 182:S74〜S80頁)。可能性として考えられる機序は、サイトカイン類などの免疫調節分子産生に対する抗酸化作用である。サイトカイン類は、脳損傷に応答して誘導され、細胞損傷を媒介し、阻止して再生を有利にし得る。多くの臨床試験により、脳損傷又は梗塞症を有した患者の脳脊髄液(CSF)中、又は死後大脳組織中のサイトカイン類の発現増加が報告されている。IL−1及びTNFなどの炎症誘発性サイトカイン類は、加齢化と共に増加する証拠が示されている(Lynch MA.海馬における長期強化に関する加齢関連機能障害。サイトカイン、インターロイキン−1βの役割とは何か(Age−related impairment in long−term potentiation in hippocampus.A role for the cytokine,interleukin−1β?)(1998)Prog Neurobiol 56:571〜589頁;Knoblach SMら、実験的脳傷害後の腫瘍壊死因子−αの早期ニューロン発現は、神経学的機能障害に寄与する(Early neuronal expression of tumor necrosis factor−α after experimental brain injury contributes to neurological impairment)(1999)J Neuroimmunol 95:115〜125頁)。 C−Phycoは、疎水性系におけるリノール酸メチルの酸化に対して評価されたSpに見られる全ての化合物の中で最高抗酸化活性を有する(Hirata Tら、スピルリナプラテンシスから調製されたフィコシアノビリンの抗酸化活性(Antioxidant activities of phycocyanobilin prepared from spirulina platensis)(2000)J Appl Phycol 12:435〜439頁)。 一研究において(Gemma Cら、小脳β−アドレナリン機能における加齢誘導減少及び炎症誘発性サイトカインの増加を再検討するための高抗酸化活性を有する食餌に富んだ飼料(Diets enriched in foods with high antioxidant activity to be reviewed age−induced decreases in cerebellar β−adenergic function and increases in pro−inflammatory cytokines)(2002)J Neurosci 22;14:6114〜6122頁)、Spのみに基づく飼料を用いて14日間給餌された344匹の加齢Fischerラットは、b−アドレナリン受容体機能の改善、炎症誘発性サイトカイン類の減少(TNF−α及びTNF−βのmRNAレベルの減少により立証されている)、及び小脳における酸化損傷のマーカーであるマロニルジアルデヒドレベル(MDA)の減少を示した。等量のキュウリで補足された飼料又は低レベルのORAC(酸素反応性吸収能力)を有する食餌で給餌されたラットにおいて、これらの事象は生じなかった。 神経保護効果:最近の精巧且つ興味深い研究では、ラットにおいてC−Phyco(100mg/kg)の経口投与により、膠細胞反応性及びラット海馬におけるカイニン酸により誘導された挙動が防止されることが示され、ニューロンに対する保護効果が示唆されている。この研究は、C−Phycoが実験的てんかん病態を軽減し、ある一定のタイプのてんかん治療における治療的関与の可能性を示唆することを示した。これらの著者(Rimbau Vら、ラット海馬におけるカイニン酸誘導ニューロン損傷に対するC−フィコシアニンの保護効果(Protective effect of C−phycocyanin against kainic acid−induced neuronal damage in rat hippocampus)(1999)Neuroscience Letters;276:75〜78頁)によれば、カイニン酸は、酸素反応性種の産生を生じるエクサイト毒性を引き起こす。したがって、彼らは、ニューロン損傷におけるC−Phycoの保護効果が、フリーラジカルの排除及びそれらの抗酸化剤性のためであり得ると推定している。この研究において興味深い特色は、C−Phycoの経口投与により、血液脳関門を交差する海馬に対して効果を及ぼすという知見である。これらの知見及びC−Phycoの毒性の事実上の欠如により、この光化学は、酸化的ストレスにより誘導されたニューロン損傷を特徴とするアルツハイマー病及びパーキンソン病などの神経変性疾患の治療に使用し得ることを示唆している。 抗アレルギー効果:既に詳細に言及されたその抗酸化性により媒介されるC−Phycoの抗炎症性の他にも、C−Phycoは、誘導されたアレルギー性炎症応答及び単離ラット肥満細胞のヒスタミン放出に対する抗炎症性効果を有することが報告されている(Remirez Dら、アレルギー性炎症応答の実験的モデルでのフィコシアニンの阻害効果におけるヒスタミンの役割(Role of histamine in the inhibitory effects of phycocyanin in experimental models of allergic inflammatory response)(2002)Mediators of Inflammation、11:81〜85頁)。「インビボ」実験において、C−Phycoは、予めオボアルブミン(Ova)感作マウスの耳にOvaによる誘発1時間前に投与された。1時間後、MPO活性及び浮腫が耳において評価された。C−Phycoは、双方のパラメータを有意に減少させ、単離されたラット腹腔肥満胖細胞のヒスタミンの放出を阻害した。C−Phycoの作用は用量依存的である。 血漿タンパク質に対する血管透過性の増加は、ラット及びマウスにおいて、肥満細胞が予備形成された血管作動性伝達物質である主としてヒスタミン及びセロトニンを分泌できるため、それらが重要な役割を果たすアレルギー性炎症反応の特徴の1つである(Halpern BNら、マウスにおけるアナフィラキシー反応に関与する化学伝達物質の性質に関して(On the nature of the chemical mediators involved in anaphylactic reaction in mice)(1963)Br J Pharmacol 20:389〜398頁;Ohuchi Kら、ラットにおけるアレルギー性炎症のアナフィラキシー相における血管透過性応答の薬理学的分析(Pharmacological analysis of the vascular permeability response in the anaphylactic phase of allergic inflammation in rats)(1985)Eur J Pharmacol 117:337〜345頁)。肥満細胞は又、IgE依存反応で分泌され得、アレルギー性炎症反応中に肥満細胞エフェクター及び免疫調節能力を生じ得るものの中でも、TNF−α及び血管透過性因子/血管内皮細胞成長因子などの予備形成されたサイトカイン類を含有することが立証されている。この反応において、プロスタグランジンD2、ロイコトリエン類(LTC4、LTD4、LTE4、LTB4)及び血小板活性化因子(PAF)などの肥満細胞からの新たに合成された脂質伝達物質、並びに反応性酸素種(ROS)の関与も又重要である(Williams CMら、アレルギー性疾患における肥満細胞の多種多様の潜在的エフェクター及び免疫調節的役割(The diverse potential effector and immunoregulatory roles of mast cells in allergic diseases)(2000)J Allergy Clin Immunol 105:847〜859頁;Fantozzi Rら、肥満細胞と好中球との相互作用:スーパーオキシドアニオン及びヒスタミンに関する役割(Mast cell and neutrophil interactions:a role for superoxide anion and histamine)(1985)Agents Actions 16:260〜264頁)。C−Phycoは、マウスの耳におけるアラキドン酸誘導炎症アッセイにおいてプロスタグランジンD2レベル及びLTB4を減少させる(Romay Cら、マウス耳の炎症試験におけるプロスタグランジンE2レベルに対するフィコシアニン抽出物の効果(Effects of phycocyanin extract on prostaglandin E2 levels in Mouse ears inflammation test)(2000)Arzneim Forsch/Drug Head 50:1106〜1109頁;Romay Cら、アラキドン酸誘導マウス耳の炎症試験において、フィコシアニン抽出物はロイコトリエンB4レベルを減少させる(Phycocyanin extract reduces leukotrienes B4 levels in arachidonic acid−induced mouse ear inflammation test)(1999)J Phar Pharmacol 51:641〜642頁)。 単離ラット肥満細胞のヒスタミン放出に対するC−Phycoの阻害効果は、抗炎症剤としてのC−Phycoの作用機序におけるこの事象の寄与を裏付けている。 スーパーオキシドアニオン類、過酸化水素、及びペルオキシルヒドロキシルラジカル類などのROSは、アラキドン酸カスケード、PAF合成又はヒスタミン放出を開始できる証拠がある。ROS脱顆粒肥満細胞は、ヒスタミン、セロトニン、TNF−α及び他の炎症伝達物質を放出させることが立証されている。C−Phycoは、ペルオキシド、ヒドロキシル及びアルコキシルラジカルを除去することができる(Lissi EAら、ペルオキシルラジカルによるフィコシアニンビリン群破壊の速度論(Kinetics of phycocyanin bilin groups destruction by peroxyl radicals)(2000)Free Radic Biol Med 28:1051〜1055頁)。 C−Phycoに関して示された抗酸化性、抗炎症性及び抗アレルギー性の他にも、抗腫瘍性も又観察されている。 抗癌効果:Schwartzらは(Schwartz Jら、ベータカロテン及び藻類抽出物により実験的ハムスター癌の退縮(Regression of experimental hamster cancer by beta carotene and algae extracts)(1987)Oral J Maxillofac Surg;45:510〜515頁)、DMBA(7,12−ジメチルベンズ(ベンザ)−アントラシン)により誘導された口腔扁平上皮癌において250μgのスピルリナ抽出物の投与効果を調査し、他の処置は、ベータカロテン類、カンタキサンチン及び13シス−レチノイン酸の注射を含んだ。全ての処置は、4週間に亘り週2回適用した。処置の終わりに、藻類抽出物で処置された動物の30%、ベータカロテン類で処置された動物の20%、及びカンタキサンチンで処置された動物の15%に完全退縮があった。藻類抽出物で処置された動物の残りの70%は部分的腫瘍退縮であった。この研究において興味深い観察事項は、藻類抽出物がベータカロテン単独よりも有効であることであり、藻類のいくつかの成分との相乗効果を示唆した。この同じグループの別の研究において(Schwartz Jら、藻類由来のフィコシアニンは、口腔扁平上皮癌(ヒト又はハムスター)に対する細胞増殖抑制及び細胞毒性の双方である(Algae−derived phycocyanin is both cytostatic and cytotoxic to oral squamous cell carcinoma(human or hamster))(1987).J Dent Head 66:160頁)、彼らは、藻類由来のC−Phycoが、扁平上皮癌(ヒト及びハムスターにおいて)に対する細胞増殖抑制及び細胞毒性能力を有することを立証した。 一研究において(Liu ANDら、ヒト白血病K562細胞の増殖に対するスピルリナプラテンシスからのフィコシアニンの阻害効果(Inhibitory effect of phycocyanin from Spirulina platensis on the growth of human leukemia K562 cells)(2000)J Appl Phycol 12:125〜130頁)、スピルリナプラテンシスからのC−Phycoは、ヒト白血病K562細胞系の増殖を阻害した。C−Phycoの効果は最初、20、40、80及び169mg−1の濃度で半固体寒天培養におけるK562細胞の増殖後に調べた。この結果から、C−Phycoは、80及び160mg−1で見られた統計的に有意な阻害により用量依存様式でK562白血病細胞の増殖を阻害することを示した。C−Phycoの効果は、還元染色XTTアッセイにおいて細胞生存度を用いても調べた。C−Phycoは、用量依存様式で細胞生存度を再度阻害した。C−PhycoのIC50値は、72.5mg−1であった。DNA含量の分析に基づくフローサイトメトリー実験により、細胞を6日間C−Phycoとインキュベートした場合、K562細胞の蓄積はG−1期に生じることが判明した。G−1期における最高パーセンテージの細胞は、40及び80mg−1濃度のC−Phycoの場合であった。DNA断片化分析では、典型的なアポトーシスステッピングパターンを示さず、異なる機序がこの阻害に関与している可能性を示した。 以前の調査で、C−FicoによるCOX−2の選択的阻害が報告されており(Reddy CMら、スピルリナプラテンシスからのビリタンパク質であるC−フィコシアニンによるシクロオキシゲナーゼ−2の選択的阻害(Selective inhibition of ciclooxygenase−2 by C−phycocyanin,a biliprotein from Spirulina platensis)(2000)Biochem Biophys Res Commun 3:599〜603頁)、この調査及びこの性質に基づいて、グループ(Bobbili V.Vら、AK−5腫瘍細胞におけるフィコシアニン媒介アポトーシスは、Bcl−2のダウンレギュレーション及びROSの産生を含む(Phycocyanin−mediated apoptosis in AK−5 tumor cells involves down−regulation of Bcl−2 and generation of ROS)(2003)Mol Cancer Therapy 2:1165〜1170頁)は、組織球性ラット腫瘍細胞系に及ぼすC−Phycoの効果を調べた。アポトーシスが抗腫瘍効果を媒介しなかった以前の調査結果と異なり、C−Phycoは、AK−5細胞のプログラム化アポトーシス死を誘導した。このプログラムはカスパーゼ−3活性化を含む。C−Phycoにより媒介されたアポトーシス死は、ROSの産生により誘導される。アポトーシス阻害剤であるBcl−2は、ROS産生を調節した。Bcl−2遺伝子を形質移入されたAK−5細胞は、C−Phycoにより誘導されたその死に対して抵抗性になった。Bcl−2の過剰発現はC−Phycoで処理されたAK−5細胞におけるROS産生を阻害したが、このことは、AK−5細胞においてC−Phycoにより誘導されたアポトーシスがフリーラジカル産生の調節を介してBcl−2により阻害されることを立証している。C−Phyco並びにCOX−2の他の阻害剤は、腫瘍細胞に対するそのアポトーシス活性のために可能性のある化学療法剤として使用できるであろう。 C−Phycoの抗癌性に関する最も最近の調査は、ヒト慢性骨髄性白血病細胞系K562の増殖及び増倍に対して高度に精製されたC−Phycoの効果を評価したSubhashiniらにより報告された(Jagu Subhashiniら、C−フィコシアニンの分子機序により、ヒト慢性骨髄性白血病細胞系−K562におけるアポトーシスが誘導された(Molecular mechanisms in C−Phycocyanin induced apoptosis in human chronic myeloid leukemia cell line−K562)(2004)Biochem Pharmac 68:453〜462頁)。この結果は、50μMのC−Phycoで48時間処理されたK562細胞の増殖において有意な減少(49%)を示している。又、電子顕微鏡及び蛍光調査により、細胞退縮、膜隆起及び核縮合などアポトーシスの特徴が明らかにされた。C−Phycoで処理された細胞のゲノムDNA電気泳動は、アポトーシス細胞断片化の典型的なパターンを示した。25及び50μMのC−Phycoによる48時間のアポトーシス細胞のフローサイトメトリー分析では、サブG0/G1期においてそれぞれ14.11%及び20.93%の細胞が示された。K562細胞のC−Phycoによる処理は又、細胞質ゾルに対するチトクロームCの放出及びポリ(ADP)リボースポリメラーゼ(PARP)の破壊を生じた。又、この調査では、抗アポトーシスBcl−2の減少が示されたが、前アポトーシスBaxにおける変化はなく、したがってBcl−2/Bax比はアポトーシスに有利である。C−Phycoの効果は、未知の機序を介する細胞質ゾルへのC−Phycoの流入により媒介されると思われる。又、C−Phycoが、ミトコンドリアから細胞質ゾルに放出されたチトクロームC、PARPの破壊及びBcl−2の減少を介してK562のアポトーシスを誘導することも本調査により立証されている。 日本国特許(Dainippon Ink & Chemicals社(DIC).フィコビリンを含有する抗腫瘍剤(Anti−tumoral agents containing phycobillin)(1983)特開昭58−65216号)によれば、C−Phycoの経口投与により、肝臓からの腫瘍細胞を注入されたマウスの生存度が増加した。処理群におけるリンパ球活性は、対照群よりも有意に高く、免疫系の一定程度の刺激を示唆した。 種々の調査において示されたC−Phycoの他の性質:Cheng−Wuら(Cheng−wu Zら、マウスの末梢血及び骨髄の造血系に及ぼすスピルリナプラテンシスの多糖類及びフィコシアニンの効果(The effects of polysaccharide and phycocyanin from Spirulina platensis on peripheral blood and hematopoietic system of bone marrow in mice)(1994)Book of Abstracts.Second Asia Pacific Conference on Algal Biotechnology;58頁)、マウスの末梢血及び造血系の骨髄における多糖類及びC−Phycoの効果についての予備的調査において、C−Phycoが高いエリトロポイエチン(EPO)様活性を有することが立証された。 本発明は、疾患により変化したホメオスタティック機能不均衡の回復を達成するために、罹患者の能力の促進、解放又は回復を扱うバイオレギュレーター医薬化合物の使用を記載する。 この化合物は、本発明において自己免疫疾患及びアレルギー性疾患、並びに癌の治療に有効性を実証した、天然起源の産物と組合わされるインターフェロンファミリーに属するタンパク質によって形成されることから、その処方において独創的である。 本発明に記述された化合物は、アルファインターフェロン(INF−α)、特に組換えINFα−2bと、C−フィコシアニンとを含み、これらは、適切な賦形剤との非経口又は経口投与のために薬学的に組合せて含ませることができる。 上記の薬学的組合せは、単一治療のために同じ個体において活性成分の別個の投与による治療法として使用できる。 実験的自己免疫脳炎(EAE)モデルにおける特定の試験において、この組合せの成分は、種々の経路を経て投与された。INF−αは腹腔内に投与され、C−フィコシアニンは同じ治療の一部として経口投与された。同じ投与量を用いて異なる経路を介して成分を別個に投与した場合と、単一経路を介して製剤の一部として投与した場合では有意差を示さなかった。これにより、投与経路による影響はなく、この組合せは、筋肉内、静脈内、皮下、経口、経鼻及び鞘内経路を介してもまた投与できることが示された。 本発明の独創性は、IFN−α/C−Phyco製剤の効果の立証、並びに適応性及びナチュラル調節T細胞の誘導におけるそれらの別個の活性原理である。 免疫系の重要な性質は、IFN−αに関しては既に示唆されているが、我々の発明においては、それをIFN−αに関して示す他に、IFN−α/C−Phyco医薬化合物における双方の成分の相乗効果を示す、C−フィコシアニンによる調節性T細胞の誘導を初めて報告する。これによって、アレルギー性疾患及び自己免疫疾患など、調節T細胞(rTc)の数又は機能の低下を生じる疾患において、発症の発現、特にこれらの疾患の再発形態での発現を防止する場合でのその使用が裏付けられる。 かくして、本発明により、免疫調節の喪失のためにアレルギー性疾患及び自己免疫疾患で破壊されるエフェクター−レギュレーター均衡を回復させると同時に、これらの疾患の病因の異なる段階で同時に介入することができ、IFN−α及びC−フィコシアニンに関して文献に記載された抗炎症免疫調節性及び抗酸化性が、双方の活性成分の組合せにより増強される。 一方、本発明は、抗増殖性、抗酸化性及び抗炎症性に関し、且つ腫瘍細胞のアポトーシスの誘導能力において、個別の成分の活性と比較してIFN−α/C−Phyco製剤の相乗効果を立証している。 この場合における本発明の新規性は、当該医薬化合物が、腫瘍細胞における抗増殖性及びアポトーシス誘導性に関して個別成分よりも有意に高い抗癌効果を有することが示されたことにある。これは、G2/M期の細胞周期の停止及びDNA損傷後のアポトーシスを維持するために必要なp53タンパク質及び後期のp21の正の調節により立証されている。 さらに、IFN−α/C−Phyco化合物の統計的に有意な相乗的抗増殖及び用量依存効果は、異なる起源の腫瘍系の増殖阻害に関して示された。 C−Phycoの最も広く調査された効果のうちの1つは、インビトロ及びインビボ試験における抗酸化能力である(Romay Cら、藍藻由来のC−フィコシアニンの抗酸化性及び抗炎症性(Antioxidant and anti−inflammatory properties of C−Phycocynin from blue−green algae)(1998)Inflamm Head 47(1):36〜41頁)。C−Phycoは、ヒドロキシル及びアルコキシルラジカルに特異的に用いられる他のものと同じスカベンジャー活性によりこれらのラジカルを排除することができた。C−Phycoは又、肝ミクロソーム脂質過酸化を阻害した(Halliwell B.生物学的抗酸化剤を特性化する方法(How to characterize a biological antioxidant)(1990)Free rad Head Comm;9:1〜32頁)。C−Phycoの腫瘍細胞における抗炎症性、免疫調節及び抗増殖効果並びにアポトーシス誘導能力は、主としてその強力な抗酸化活性により媒介されると考えられている。このことは、大部分の新生物形成過程が、慢性炎症成分及び著しい酸化的ストレスを発現する他の要素を有することからC−Phycoの抗癌効果を説明できる。 これらは、新生物の増殖及び発生において細胞周期の調節及びアポトーシスの仕組みがいかに重要であるかを理解するための重要な一面である。これらのシグナル伝達ポイントは、細胞損傷が修復されなければプログラム化細胞死に導く経路の活性化にとって代わられる(Pietenpol JA、Stewart ZA.細胞周期チェックポイントのシグナル伝達:細胞周期停止対アポトーシス(Cell cycle checkpoint signaling:cell cycle arrest versus apoptosis)(2002)Toxicology 181〜182:475〜481頁)。 腫瘍細胞に対するIFN−αの抗増殖効果及びアポトーシス誘導効果は極めてよく知られている。それらは、G1期の延長、S期へのエントリー速度の減少並びにS期及びG2期の減速を生じる(Balkwill Fら、インターフェロンは、静止状態から増殖へと刺激される細胞のG1及びS+G2の双方に影響を及ぼす(Interferon affects both G1 and S+G2 in cells stimulated from quiescence to growth)(1978)Nature 274:798〜800頁)。正常細胞並びに腫瘍細胞においてIFN−αによる細胞周期の延長の累積効果によって、細胞分裂静止、細胞サイズ及びアポトーシスの増加に至る(Otsuki Tら、インターフェロン−αにより誘導されたヒト骨髄細胞アポトーシス(Human myeloma cell apoptosis induced by interferon−α)(1998)BR J HAEMATOL 103:518〜529頁)。 腫瘍細胞は、細胞周期の進行を調節する1種又は複数のタンパク質において変性を発生させ、それらの中にはIFNにより調節されるbcl2などの癌原遺伝子を見ることができる(Koshiji Mら、Bcl−2発現のダウンレギュレーションから生じる腫瘍壊死因子−アルファ及び/又はインターフェロン−ガンマにより結腸直腸腺癌(COLO201)のアポトーシス(Apoptosis of colorectal adenocarcinoma(COLO201)by tumor necrosis factor−alpha and/or interferon−gamma resulting from down−regulation of Bcl−2 expression)(1998)Clin Exp Immunol 111:211〜218頁)。我々の発明の特定例において、IFN−α/C−Phyco組合せにより刺激した場合、相乗的且つ用量依存効果が、腫瘍細胞に対してbcl2の負の調節で示された。 アポトーシス誘導に対する経路の中の1つは、FasLに対するFasの結合を含み、その結合によりFADD死因ドメインを含有するタンパク質の動員及びその後のカスパーゼ−8などのカスパーゼ類の活性化を生じる。IFN−αは、Fasの発現を正に調節する。したがって我々の発明の別の特定例で実証されるようにFasにより媒介されるアポトーシス経路を操作でき、IFN−α/C−Phyco医薬化合物は、腫瘍細胞におけるFasの発現の正の重要な調節を生じさせることも示された。 COX−2は、よく知られた抗アポトーシス分子であり、C−Phycoは、COX−2の選択的阻害剤であり、したがって腫瘍細胞のプログラム化細胞死に都合がよいことが報告されている(Reddy CMら、スピルリナプラテンシスからビリタンパク質にC−フィコシアニンによりシクロオキシゲナーゼ−2の選択的阻害(Selective inhibition of ciclooxygenase−2 by C−Phycocyanin,to biliprotein from Spirulina platensis)(2000)Biochem Biophys Head Commun 3:599〜603頁)。本発明では、IFN−α/C−Phyco化合物が、用量依存的にCOX−2の発現レベルを有意に減少させることも実証され、記載された組合せに関して腫瘍細胞に対するアポトーシス誘導効果を説明できる可能性のある機序を示している。 Subhashiniらにより実施された調査(Jagu Subhashiniら、ヒト慢性骨髄性白血病細胞系−K562におけるC−フィコシアニン誘導アポトーシスの分子機構(Molecular mechanisms in C−Phycocyanin induced apoptosis in human chronic myeloid leukemia cell line−K562)(2004)Biochem Pharmac 68:453〜462頁)は、ミトコンドリアから細胞質ゾルへC−Phytoの放出及びbcl−2の減少により、C−PhytoがK562細胞系においてアポトーシスを誘導することを示した。本発明においては、上記の医薬化合物がチトクローム−C発現の誘導レベルにおいてその個別の成分と比較して正の相乗効果を有し、したがってこれがこの化合物により生じた腫瘍細胞のアポトーシス誘導に関する機序とみなされることが示されている。 臨床実施において、IFN−αとホルモン類、化学療法及び/又はIL−2との併用により、多くのタイプの腫瘍に対する患者の応答及び生存度の延長を増加させることができるが、治療法の集積は、それぞれの毒性のため限界があることが実証されている。したがって、我々は、抗増殖、細胞毒性及び抗酸化効果並びに腫瘍細胞におけるアポトーシス誘導において双方の成分の相乗効果を生じ、それによって臨床結果を正当化できるばかりでなく、C−Phycoの無害性及び毒性の欠如に対して多数の証拠があることに基づき、本発明に記載された医薬化合物の使用を提案する。(実施例1)EAEのモデルにおけるIFN−α/C−Phyco併用及び別個の活性成分の治療効果 EAEのバイオモデルにおいてIFN−α/C−Phycoの併用を、その治療効果を評価するために試験した。 130gの平均生体体重を有するメスルイスラットは、PBS中(50%)5mgのモルモット脊髄ホモジネート及びフロイント完全アジュバント(50%)を用いて皮下に0日目と6日目とに免疫化した。治療スケジュールは、腹腔内経路を介して、IFN−α/C−Phyco併用(200ng/kg/日−740ng/kg/日)、別個の活性成分のIFN−α(200ng/kg/日)及びC−Phyco(200ng/kg/日)、及びプラセボ(PBS)を用いることにより最初の免疫化の10日後に開始した。それを、以下の臨床指標:0;変化なし、1;尾の完全麻痺、2;後肢の片方の麻痺、3;片側骨盤の完全麻痺、4;片側骨盤の完全麻痺及び肩甲胸部間の麻痺、5;死亡、に従って疾患の臨床的進展の評価を10日間モニターした。体重減少及び膀胱又は直腸括約筋の失調もまた、動物における疾患の臨床的徴候であるので、上記の臨床指標に0.5を加算することにより評価された。最初の免疫化40日後に、動物を麻酔にかけて屠殺し、各動物の脳及び脊髄を、組織病理学的分析のために処理した(10%ホルマリンの固定、H&E及びルクソール青染色)。考慮された組織病理学的診断基準は、血管周囲の炎症浸潤巣の数及びサイズ、脱髄性病巣、ニューロン又は膠細胞のアポトーシス及びアストロサイトの反応性であった。全ての観察は盲検で実施された。 表1に示されるように、これらの動物の50%だけが、最弱形態でEAEを発現し、残りは罹患しなかったことから、IFN−α/C−Phycoの併用は、この疾患を発現するように誘発された実験動物を保護する。このことは、この疾患の発生率が100%であった残りの群(別個の活性成分及びプラセボで処置された群)についてはそうでなかった。IFN−α/C−Phyco併用で処置された群の臨床指標の平均値は、0.37±0.47であり、別個の活性成分で処置された群は、IFN−αに関して1.37±1.7であり、C−Phycoに関して1.5±1.6であり、プラセボで処置された群は1.7±1.4である。1群につき8匹のラットを用い、比較は、p<0.001でNewman Keulsの多重比較検定に従って実施された。表1.EAEを発現するように誘発されたラットにおけるIFN−α/C−Phycoの併用及びそれらの別個の活性成分の臨床的治療効果 表2に見られるように、種々の群からの動物の脳及び脊髄の病理学解剖試験の結果により、星状細胞の反応性は同じであるが、血管周囲の炎症浸潤巣の数及びサイズは、プラセボを投与されたものよりも該医薬化合物により治療的に処置された群においてより小さいことが示されている(独立サンプルT検定でp=0.028)。表2.EAEを発生するように誘発されたラットの脳及び脊髄における血管周囲の炎症浸潤巣に対するIFN−α/C−Phycoの併用効果及びそれらの別個の活性成分効果 この実験により、IFN−α/C−Phycoの併用は、より重症の臨床形態での疾患の発現から動物を保護することが示されている。(実施例2)種々の投与経路を用いてIFN−α/C−Phycoの併用治療効果 成分に関して種々の投与経路を用いてIFN−α/C−Phycoの併用効果を評価するために、130gの平均体重を有するメスルイスラットを、PBS中(50%)5mgのモルモット脊髄ホモジネート及びフロイント完全アジュバント(50%)を用いて皮下に0日目と6日目とに免疫化した。治療スケジュールを、以下のとおり最初の免疫化10日後に開始した:I群:腹腔内に投与されたIFN−α/C−Phycoの併用(200ng/kg/日−7400μg/kg/日)、II群:IFN−α(200ng/kg/日)が腹腔内に、又胃内挿管を介してC−Phyco(7400μg/kg/日)が経口的に投与されるIFN−α/C−Phycoの併用、及びIII群:プラセボ。この治療スケジュールを、10日間続けた。臨床評価は先の実施例に説明されたとおり実施した。 結果を表3に示す。それぞれ腹腔内又は腹腔内/経口経路によるIFN−α/C−Phycoの併用は、EAEを発現するように誘発された実験動物を保護する。双方の場合において、動物の100%が罹患したプラセボ群と比較して40%の動物だけが疾患を発生した。IFN−α/C−Phycoの併用で腹腔内で処置された群の臨床指標の平均値は、0.37±0.17であり、IFN−α/C−Phycoの併用で経口的に処置された群に関しては、0.35±0.11であり、プラセボ群に関しては1.7±1.4であった。1群につき8匹のラットを用いた。群間の比較は、p<0.001で統計的に有意であった。Newman Keulsの多重比較検定を用いた。表3.EAEを発現するように誘発されたラットにおける種々の投与経路に関するIFN−α/C−Phycoの併用による臨床的治療効果(実施例3)MS患者の単核細胞におけるIFN−α/C−Phycoの併用及びその別個の活性成分に関するナチュラル及び適応性rTc作用誘発の評価 MS患者においてIFN−α/C−Phycoの併用並びにその別個の活性成分のrTc作用の誘発を評価するために、20mlの末梢血を、核磁気共鳴(NMR)により臨床的に規定された10人の再発−寛解MS患者及び10人の対照(明らかに健常な個人)から採血し、単核細胞をFicoll勾配(Serotec−Biochem、ベルリン、独国)により単離し、RPMI 1640培地中3×106細胞/群の4つの実験群に分け、その群を以下のとおり処置した:A)細胞単独、B)細胞+5μMのIFN−a2b、C)細胞+20μMのC−Phyco、D)細胞+5μMのIFN−2ab/20μMのC−Phyco、を37℃で5%CO2中4時間。その後、細胞を洗浄し、全RNA抽出をトリ試薬法(Chomczynski P.、細胞及び組織サンプルからRNA、DNA及びタンパク質のセールステップ同時単離用TO試薬(TO reagent for the sail−step simultaneous isolation of RNA,DNA and proteins from cell and tissue samples.(1993)BioTechniques、15、532〜537頁)により行った。逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)(キットRT−PCRコアPerkin Elmer)が、1μgの全RNA/実験群を用いて実施された。RT反応を20μlの全容量で実施し、次にこれを各10μlの2つのPCR反応物に分けた。反応物のプライマーはナチュラル及び適応性rTcのマーカー増幅に用いられた。使用されたオリゴヌクレオチド類は、参照としてNational Center for Biotechnology Information(NCBI)のデータベース配列を用いて設計され、それらを下記に説明する。 CD25:618位から637位までの20塩基対(bp)のオリゴ5’−配列。1053位から1072位までの20塩基対(bp)のオリゴ3’−配列、それらは、登録番号NM_000417を有する配列の454bpバンドを増幅する。 Foxp3:482位から501位までの20bpのオリゴ5’−配列。762位から781位までの20bpのオリゴ3’−配列、それらは、登録番号NM_014009を有する配列の299bpバンドを増幅する。 IL−10:358位から377位までの20bpのオリゴ5’−配列。687位から709位までの22bpのオリゴ3’−配列、それらは、登録番号NM_000572を有する配列の351bpバンドを増幅する。 TGF−β:1209位から1227位までの19bpのオリゴ5’−配列。1564位から1582位までの19bpのオリゴ3’−配列、それらは、登録番号NM_000660を有する配列の373bpバンドを増幅する。 GAPDH:386位から403位までの18bpのオリゴ5’−配列。561位から580位までの20bpのオリゴ3’−配列、それらは、登録番号NM_002046を有する配列の164bpバンドを増幅する。 PCR産物が操作された2%アガロースゲルのデンシトメトリーからMolecular Analysisソフトウェアにより得られた相対値を正規化するために、構成的発現の遺伝子としてGAPDHを使用した。 この結果は、GAPDHで正規化されたRNAの相対値の(変数の分布による)平均値又は中央値として表され;この平均値又は中央値は、細胞単独による対照群と比較して処置された3つの実験群と比較され、対応する統計的p値は患者と対照とで算出された。図1A、1B、1C及び1Dに示されるように、細胞が別個の活性成分及びその併用で処理される場合に見られるそれらのマーカーの増加によって表されるrTc誘発作用があり、IFN−α/C−Phycoの併用で処置後、CD25に関してはp=0.023の値(ペアードt検定)(A)、Foxp3に関してはp=0.037の値(ペアードt検定)(B)、IL−10に関してはp=0.015の値(ペアードt検定)(C)、及びTGF−βに関してはp=0.025の値(ウィルコクソン)(D)、で統計的に有意差を示している。このことにより、患者及び対照の双方においてrTc誘発に関してIFN−α/C−Phycoの併用に相乗効果があることを示している。 CD25及びFoxp3遺伝子に関して統計的に有意な増加を示すほかに、IFN−α/C−Phycoの併用で処置された細胞は、p=0.022の値により統計的に有意であったCD25/Foxp3の関係に関して正の線形相関を示し、それらは調節T細胞且つ非活性化T細胞であることを示した(図2を参照)。 CD4+ CD25+細胞の誘発は又、RRMS患者及び対照からの末梢血の単核細胞においてフローサイトメトリー(FACS)により示された。これらの実験に関しては、105細胞/ウェルを、96ウェルの細胞培養プレート(COSTAR)中、1実験群当り二重反復試験でインキュベートした。実験群は:A)細胞単独、B)細胞+5μMのIFN−a2b、C)細胞+20μMのC−Phyco、D)細胞+5μMのIFN−a2b/20μMのC−Phyco、を含んだ。細胞を37℃で5%CO2中72時間処理した。その後、細胞を洗浄し、抗CD4−PE(Serotec)及び抗CD25−Cy5(Serotec)抗体と共にインキュベートしてから、FACS上で読取りを行った。 この結果では、別個の成分に関してCD4+ CD25+及びCD4+ CD25high細胞の誘発効果を示し、患者及び対照(本発明において示された結果は3人の患者及び3人の対照を表す)において、その効果はIFN−α/C−Phyco併用に関してさらにより高かった。IFN−α/C−Phyco併用の誘発効果は、考えられ得る生物学的最大値に達した(図3A及び3B)。(実施例4)リウマチ様関節炎患者の単核細胞におけるIFN−α/C−Phycoの併用及びその別個の活性成分に関するナチュラル及び適応性rTcの誘発作用の評価 マーカー遺伝子に対するrTc作用の評価に関しての手法は、6人の患者及び6人の対照を用いて上記の節に記載されたものと同じである。 この結果は、RT−PCRの節で説明されたとおり表される。図4に示されるように、細胞が別個の活性成分又はその併用で処理される場合、そのマーカーの増加により表されるrTcの誘発作用がある。この誘発作用は全ての場合に見られ、IFN−α/C−Phycoの併用処置において、CD25に関してはp=0.016の値(ペアードt検定)(A)、Foxp3に関してはp=0.029の値(ペアードt検定)(B)、IL−10に関してはp=0.034の値(ペアードt検定)(C)、及びTGF−βに関してはp=0.028の値(ウィルコクソン)(D)、で統計的有意性を示している。別個の活性成分で処置された細胞はrTc誘発作用を示したが、その差異は、評価されたいずれの遺伝子に関しても統計的に有意ではなかった。一方、IFN−α/C−Phyco併用の相乗効果は、患者と同様に対照においても常に観察された。(実施例5)気管支喘息患者の単核細胞におけるIFN−α/C−Phycoの併用及びその別個の活性成分に関するナチュラル及び適応性rTcの誘発作用の評価 実験的な変型は、上記に説明されたもの、並びにRT−PCR手法及びデータ処理であった。6人の患者及び6人の対照が試験された。 結果は、患者及び対照においてナチュラル及び誘発rTc双方の誘発作用を示し、これはIFN−α/C−Phycoの併用で処置された細胞に対して統計的に有意であり、CD25に関してはp=0.012の値(ペアードt検定)、Foxp3に関してはp=0.009の値(ペアードt検定)、IL−10に関してはp=0.037の値(ペアードt検定)、及びTGF−βに関してはp=0.021の値(ウィルコクソン)、で統計的有意差を示す(図5)。(実施例6)腫瘍細胞系におけるIFN−α/C−Phycoの併用及びその別個の活性成分の抗腫瘍作用評価 IFN−α/C−Phycoの併用、並びにその独立成分の抗腫瘍活性を、抗増殖活性及び細胞毒性活性並びに腫瘍細胞のアポトーシス誘導の評価により表した。 IFN−α/C−Phycoの併用及びその別個の活性成分の抗増殖活性及び細胞毒性活性の評価について、以下のいくつかのヒト腫瘍細胞系をインビトロで用いた:HeLa(ヒト子宮頚癌)、HepG2(ヒト肝癌)、A375(ヒト黒色腫)、HL60(ヒト前骨髄性白血病)、K562(ヒト赤血白血病)、PBMC(末梢血からの単核細胞)。これらの細胞は、96ウェルプレート(Costar)中、腫瘍細胞系に関して全部で2000細胞/ウェル及びBPMCに関して2000細胞/ウェルを培養した。細胞増殖抑制は、Mosmannらにより記載された(Mosmann T.細胞増殖及び生存に関する高速比色アッセイ:増殖及び細胞毒性アッセイへの適用(Rapid colorimetric assay for cellular growth and survival:application to proliferation and cytotoxicity assays).(1983)J IMMUNOL METHODS 65:55〜63頁)修飾による3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5ジフェニルテトラゾリウムブロミドアッセイ(MTT;Sigma Chemical社、セントルイス、ミズーリ州、米国)により評価された。上記の細胞全量を達成するために評価される各細胞系は、100μl/ウェルを加えた各細胞系に適切な培養培地中で培養され、37℃で5%CO2中で24時間培養した。この時間後に、培養培地は、二通りに種々の処理剤:A)細胞単独、B)細胞+5μMのIFNα−2b、C)細胞+20μMのC−Phyco、D)細胞+5μMのIFNα−2b/20μMのC−Phyco、を含有する別の培養培地により置き換えた。処理された細胞を、同じ条件下でさらに48時間インキュベートした。その後、MTTを加え、可溶性産物をプレートリーダーで540nmにて読み取った(Multiscan、Titertek)。 結果は表4に示す。それらは、細胞単独の対照と比較した細胞増殖抑制%として表されている。細胞増殖抑制は、全ての腫瘍細胞系に見られ、BPMCに見られたのはより少なかった。IFN−α/C−Phyco併用の相乗効果は、別個の活性成分と比較して細胞増殖抑制でも検出された。この効果は、HeLa細胞系及びA375に関してより大きかった。 図6は、HeLa細胞系における増殖抑制に対するIFN−α/C−Phyco併用の用量依存効果を示す。表4.腫瘍細胞系におけるIFN−α/C−Phyco併用及びそれらの別個の活性成分の抗増殖活性評価 IFN−α/C−Phyco併用及びその別個の活性成分によるアポトーシス活性誘発は、RT−PCRによるCOX−2及びBcl−2遺伝子の発現並びにウェスタンブロットによるチトクローム−Cタンパク質の発現に対するそれらの効果によっても評価された。 RT−PCRを実施するために、我々は、Perkin Elmerキットを用いた。各々の場合において、我々は、K562細胞系から抽出された1μgの全RNA/実験変数を用いて開始した。RT反応を合計20μlの容量で実施し、後でこれを各10μlの2つのPCR反応液に分けた。PCR産物が分離されたアガロースゲルのデンシトメトリーからMolecular Analysisソフトウェアにより得られた相対値を正規化するために、GAPDHを構成的発現の遺伝子として使用した。 IFN−α/C−Phycoの併用効果は、COX−2及びBcl−2の遺伝子発現により評価され、そのために105細胞/実験変数を、補充なしのRPMI 1640培地/10%ウシ胎仔血清中、A)細胞単独、B)細胞+5μMのIFNα−2b、C)細胞+20μMのC−Phyco、D)細胞+5μMのIFNα−2b/20μMのC−Phyco、を用いて8時間培養した。 結果は、別個の活性成分の阻害効果並びにIFN−α/C−Phyco併用の相乗的阻害効果を示し、それらの効果は、COX−2遺伝子発現に関してp=0.011の値(ANOVA.細胞単独対IFN−α/C−Phyco併用)及び抗アポトーシス分子としてよく知られているBcl−2遺伝子に関してp=0.009の値(ANOVA.細胞単独対IFN−α/C−Phyco併用)を有して統計的に有意であった(図7A)。 さらに、我々は、K562細胞系における遺伝子COX−2及びBcl−2の阻害に対するIFN−α/C−Phyco併用の時間依存効果を示した(図7B)。 アポトーシス誘導のための経路の1つは、FasからFasLまでのユニオンを含む。Fasは、IFN−αにより正に調節できる(Gordon M.Marley SB、Lewis JLら)。インターフェロン−アルファによる処置により、慢性骨髄性白血病患者から顆粒球−マクロファージ前駆体(CFU−GM)の増幅能力を優先的に減じるが、正常なCFU−GMを与える(1998)J Clin Invest 102:710〜715頁)。この事象は、Fasにより媒介されるアポトーシスを促進し(Selleri CMJ、Pane F、Luciano Lら、慢性骨髄性白血病におけるbcr/ablのFas媒介調節は、アポトーシスに対する差異的効果をもたらす(Fas−mediated modulation of bcr/abl in chronic myeloid leukemia results in differential effects on apoptosis)(1998)Blood 92:981〜989頁)、本発明において我々は、IFN−α/C−Phycoの併用が、IFN−α単独と比較してFasの正の調節効果を有するかどうかを試験した。実施された実験変数は、先の実施例において説明された。K562細胞系の105細胞/実験変数を、種々の処理剤により4時間培養し、Fasの発現レベルは、先の節で説明されたRT−PCRにより測定した。この結果は図8に示しており、IFN−αに関して統計的に有意な刺激効果が、p=0.042の値(ANOVA細胞単独対IFN−α)でFas遺伝子に対して見られる。同様にC−Phycoは、Fasを正に調節したが、その差異は統計的に有意ではなく、Fasの相乗的正の調節効果は、p=0.009の値(ANOVA細胞単独対IFN−α/C−Phyco併用)でこの細胞系においてIFN−α/C−Phyco併用により観察された。 タンパク質レベルでチトクローム−C発現に対するIFN−α/C−Phyco併用効果の評価に対してウェスタンブロットを使用した(Chandra Jら、プロテアソーム阻害剤は、グルココルチコイド耐性慢性リンパ球性白血病リンパ球においてアポトーシスを誘導する(Proteasoma inhibitors induce apoptosis in glucocorticoid−resistant chronic lymphocytic leukemia lymphocytes).(1998)Blood 92:4220頁)。上記に説明されたとおりに処置されたK562細胞から5μgのタンパク質/実験変数を、24時間培養し、15%アクリルアミドゲル中SDS−PAGE電気泳動により分離した。後でこのタンパク質をニトロセルロース膜に移し、特異的タンパク質を抗チトクローム−Cマウスモノクローナル抗体の使用により検出した。 この結果を図9に示しており、IFN−α/C−Phycoの併用は、チトクローム−C発現に対してp=0.006で統計的に有意なANOVA(細胞単独対IFN−α/C−Phyco併用)により相乗的効果を誘発したことが見られ、これがK562細胞においてIFN−α/C−Phycoの併用により誘導されたアポトーシス効果の媒介物質であることを可能性にする。 p53及びp21タンパク質は、G2/M期における細胞周期の静止及びDNA損傷後のアポトーシスの維持に必須である。 ELISAは、p53及びp21タンパク質の発現を検出するために使用された(Molecular Roche Biochemical,Germany for p53 and Calbiochem、ケンブリッジ、マサチューセッツ州、USES for p21)。細胞を、30ngのIFNα−2b/50μMのC−Phyco併用又は図7Aで示される実験に関して記載した濃度での独立成分により、図7Bに示される実験のとおり6、12、24及び48時間処理した。サンプルに、抗p53又は抗p21モノクローナル抗体でコーティングした96ウェルプレート中、特異的ビオチン化抗体と同量のタンパク質を加えた。室温で2時間のインキュベーション後、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体を加えた。吸光度を450nmで測定し、濃度は、双方の既知濃度のタンパク質の標準曲線の外挿により判定した。 本発明において、独立成分と比較してIFN−α/C−Phyco併用の統計的に有意な相乗効果が示され、p53タンパク質の誘導に関してp=0.026及びp21タンパク質の発現レベルに関してp=0.041(ANOVA細胞単独対IFN−α/C−Phyco併用)は、ヒト肝癌のHepG2系においてELISAにより検出された(図10)。 処置6時間後にIFN−α/C−Phycoの併用で処理された細胞中のp53タンパク質のレベル(図11A)は、細胞が単独である場合よりも4倍高く、この組合せによる処置12時間後、アップレギュレートされたままであった。これらの結果は、p53タンパク質発現の増加がHepG2細胞のアポトーシスにおいて重要な役割を有し得ることを裏付けている。 アポトーシス誘導は、p21タンパク質をコードする遺伝子においてp53を含むシグナル伝達カスケードから下流にある標的遺伝子の負の調節と関連している。本発明において、p21タンパク質発現の正の調節に対してIFN−α/C−Phyco併用の時間依存効果が示された。この増加は、IFN−α/C−Phyco併用による細胞処理12時間後に生じた(図11B)。この併用により12時間処理されたHepG2細胞は、p21タンパク質の発現を4倍増加させた。 p53の発現ピーク(6時間)は、p21タンパク質の発現ピーク(12時間)よりも早く、細胞をIFN−α/C−Phyco併用により処理することにより誘導されたアポトーシスに関するシグナル伝達機序においてp21以上に実施されるp53の果たしている役割の可能性を示唆した。ナチュラル調節T細胞のマーカー遺伝子の発現に対する別個の処置及びIFN−α/C−Phycoの併用効果(図1A及び図1B)、及び多発性硬化症(MS)患者におけるRT−PCRによる適応性調節T細胞の効果(図1C及び図1D)を示す図である。多発性硬化症患者におけるCD25/Foxp3の関連性に対してIFN−α/C−Phycoの併用効果を示す図である。図3Aは、別個の活性成分及びIFN−α/C−Phyco併用により処置された末梢血からの単核細胞においてCD4+ CD25+の発現のフローサイトメトリーを示す図であり、図3Bは、別個の活性成分及びIFN−α/C−Phyco併用のCD4+CD25+及びCD4+CD25high細胞の誘発効果を示す図である。ナチュラル調節T細胞の遺伝子マーカーの発現に対して別個の処置及びIFN−α/C−Phycoの併用効果(図4A及び図4B)、及びリウマチ様関節炎患者におけるRT−PCRによる適応性調節T細胞の効果(図4C及び図4D)を示す図である。ナチュラル調節T細胞の遺伝子マーカーの発現に対する別個の処置及びIFN−α/C−Phycoの併用効果(図5A及び図5B)、及び気管支喘息患者におけるRT−PCRに関する適応性調節T細胞の効果(図5C及び図5D)を示す図である。HeLa細胞系における増殖抑制に対するIFN−α/C−Phyco併用の用量応答効果を示す図である。図7Aは、K562細胞系におけるCOX−2及びBcl−2遺伝子の発現に対するIFN−α/C−Phycoの併用効果及び別個の活性成分効果を示す図であり、図7Bは、K562細胞系におけるCOX−2及びBcl−2遺伝子の発現に対するIFN−α/C−Phyco併用の時間依存効果を示す図である。細胞系K562における遺伝子Fasの発現に対するIFN−α/C−Phycoの併用効果及び別個の活性成分効果を示す図である。タンパク質チトクロームCの発現に対する別個の活性成分効果及びIFN−α/C−Phycoの併用効果を示す図である。ELISA HepG2細胞により定量化されたタンパク質p53(図10A)及びp21(図10B)のレベルに対するIFN−α/C−Phycoの併用効果及び別個の活性成分効果を示す図である。ELISA HepG2細胞系により定量化されたタンパク質p53(図11A)及びp21(図11B)のレベルに対するIFN−α/C−Phyco併用の動態学を示す図である。 自己免疫疾患、アレルギー及び癌の治療に有用な、インターフェロンファミリーのタンパク質及び天然胆汁色素を含有することを特徴とする、医薬化合物。 前記インターフェロンが、組換え法により得られるか、又はペグ化若しくは他のタンパク質との結合により修飾された、IFNα−2bであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬化合物。 前記天然胆汁色素がC−フィコシアニンであることを特徴とする、請求項1及び2に記載の医薬化合物。 非経口経路及び経口経路により使用される製剤であることを特徴とする、請求項1、2及び3に記載の医薬化合物。 その活性成分が、治療方法として又は医薬組成物として一個体において別個に投与できることを特徴とする、請求項1、2及び3に記載の医薬化合物。 前記組成物の双方の成分が、同じ治療方法の一部として一個体において異なる経路により使用されることを特徴とする、請求項5に記載の医薬組成物。 IFNα−2bが非経口経路により投与され、C−フィコシアニンが経口経路により投与されることを特徴とする、請求項5及び6に記載の医薬組成物。 筋肉内、静脈内、皮下、経口、経鼻及びくも膜下腔内経路により投与できる請求項1から7までに記載の医薬化合物又は医薬組成物の使用。 自己免疫疾患が、天然及び/又は適応性調節T細胞の数又は機能性が低下した多発性硬化症、リウマチ様関節炎又は他の疾患である請求項1から8までに記載の医薬化合物の使用。 これら疾患の再発形態での再発防止のための請求項1から9までに記載の医薬化合物の使用。 アレルギー性疾患が、天然及び/又は適応性調節T細胞の数又は機能性が低下した気管支喘息又は他の疾患である、請求項1から10までに記載の医薬化合物の使用。 抗増殖性、細胞毒性及び腫瘍細胞アポトーシスに関するその活性成分の相乗効果により、種々の起源の悪性腫瘍におけるその適用に関して理論的根拠がある請求項1から11までに記載の医薬化合物の使用。 本発明は、インターフェロン−アルファとC−フィコシアニンとの組合せ(IFN−α/C−Phyco)に関するものであり、これは、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び癌の治療用製剤を得るために使用される。本発明に示される調節T細胞の誘導効果に関連する抗炎症性、免疫調節性、抗酸化性、抗ウィルス性、抗増殖性及び抗腫瘍効果によって、前記疾患用にIFN−α/C−Phycoの組合せを使用することが正当化される。


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