タイトル: | 特許公報(B2)_自己免疫疾患予防治療エンドトキシン吸収剤 |
出願番号: | 2008533206 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 38/00,A61K 9/14,A61K 47/32,A61P 37/06,A61P 29/00,A61P 39/02 |
塩野谷 博 寺戸 国昭 岩下 定一 JP 5180830 特許公報(B2) 20130118 2008533206 20070830 自己免疫疾患予防治療エンドトキシン吸収剤 コンドレックス インク 509044615 室町ケミカル株式会社 398045865 塩野谷 博 501340188 古谷 聡 100087642 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 義経 和昌 100098408 塩野谷 博 寺戸 国昭 岩下 定一 US 11/518,393 20060907 20130410 A61K 38/00 20060101AFI20130321BHJP A61K 9/14 20060101ALI20130321BHJP A61K 47/32 20060101ALI20130321BHJP A61P 37/06 20060101ALI20130321BHJP A61P 29/00 20060101ALI20130321BHJP A61P 39/02 20060101ALI20130321BHJP JPA61K37/02A61K9/14A61K47/32A61P37/06A61P29/00 101A61P39/02 A61K 9/00- 9/72 A61K 31/00-33/44 A61K 38/00-49/22 CAPLUS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開昭58−013519(JP,A) 特開平11−335396(JP,A) 特開2002−263486(JP,A) 特開平08−026954(JP,A) 10 JP2007067446 20070830 WO2008029897 20080313 12 20100722 吉田 佳代子 本発明は消化管内のエンドトキシンを除去することにより関節リウマチなどの自己免疫疾患の予防治療するエンドトキシン吸収剤に関する。 エンドトキシン、内毒素はグラム陰性菌外膜の構成成分の一つで、化学的にはリポ多糖体(LPS)で、リピドAが毒性を示す。(Microbiology.Davis BD,Dulbecco R,Eisen HN,Harold S,Ginsberg HS,Barry W.A Harper International Edition 1970,p.615−617)。 エンドトキシンの生理作用は多彩で、十分量が注射されると1時間以内にショック状態に陥る。また、微量でも強い発熱が起こすことから発熱物質・パイロジェンとよばれる。従って、注射剤や輸液製剤など、非経口的に投与される医薬品にあってはエンドトキシンを含まない製剤であることが求められている。 人・動物の消化管内には通常、大腸菌その他のグラム陰性菌が多数生息し、したがってそれらの構成成分であるエンドトキシンも消化管に存在するが、特に発熱することは無い。このことは、エンドトキシンが高分子であるために、消化管粘膜バリヤーやIgA抗体による免疫バリアーによって発熱作用するほどの量には吸収されないものと考えられている。 免疫機構は、外来微生物はもとより、癌などの異常細胞も含めて正常な自己成分とは異なる異物性を識別し、これらを攻撃・排除して、生体の恒常性を維持する機構である。しかし、正常な免疫機構のバランスを失って失調をきたし、自己成分を攻撃・排除するに至ると、多種の難治性疾病を発症する。これらの疾病は総称して、自己免疫疾患といわれ、関節リウマチ、自己免疫性肝炎、自己免疫性腎炎、内耳自己免疫病、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性甲状腺炎、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、多発性皮膚筋炎、乾癬、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、ギランバレー症候群などが知られている。 関節リウマチは代表的自己免疫の一つであり、患者数が多く、苦痛が激しく患者の社会生活も困難なことから特に注目されている。関節リウマチは全身の関節に進行性の慢性炎症が起こる病気で関節の破壊、変形が進み、痛みと運動機能障害のために、寝たきりの生活になる。 自己免疫疾患の治療は免疫の異常亢進を止めるために、非ステロイド性抗炎症剤、抗炎症ステロイド剤、免疫抑制剤、抗サイトカイン抗体(レミケード(登録商標))などを使用する治療が中心で、いずれも対象療法である。慢性関節炎リウマチなどの自己免疫疾患の病因についてはいくつかの仮説が提唱されているが、その原因とメカニズムは今だに明らかでない。 本発明者らはリウマチ患者血清や関節軟骨から回収される自己抗体の分析を行った。その結果から、自己免疫疾患は消化管粘膜の透過性亢進により、慢性的に過剰量のミミック抗原、即ち、自己抗原に類似した異種生物由来の抗原やバクテリア毒素などが吸収されることによって発症するとの仮説に到達した。この仮説は、まず関節リウマチモデルにおいて証明された。即ち、異種動物の関節軟骨から精製しII型コラーゲンやLPSを単独または混合して実験動物に経口投与して、3種の異なるタイプの関節炎を惹起することにより証明された。特に、エンドトキシンなどのバクテリアが産生する毒素類はその種類に関係なく、ホストの免疫系を非特異的に刺激し、免疫のバランスを崩すだけでなく、直接関節炎などを惹起するなど多くの病因としての作用がある。そこで、本発明者らは、消化管内のバクテリアが最も大量に生産し、自己免疫疾患発症の主要原因と推察されるLPSに注目し、その消化管吸収を防止することにより自己免疫疾患を予防ならびに治療に役立つ仮説を考案した。 まず、マウスにニワトリのII型コラーゲンを10週間以上に亘り経口投与したところ、明らかにニワトリコラーゲンに対する抗体が産生され、その一部がマウスII型コラーゲンと交叉反応し、臨床的に明確な関節炎が発症した(K.Terato,X.Y.Ye,H.Miyahara,M.A.Cremer,and M.M.Grifiths.Induction of auto−immune arthritis in DBA/1 mice by oral administration of type II collagen:Br.J.Rheum.35,828−838,1996). 一方、ヒトでも動物でも、II型コラーゲンに対する自己抗体が陽性であるからといって必ずしも関節炎が発症するわけではなく、第2の因子が関与している可能性が大きい。第2の因子として各種の細菌毒素が上げられるが、エンドトキシンが恒常的に大量に消化管内に存在しているため、エンドトキシンが最も頻繁に自己免疫と関与していることが容易に伺い知れ、これを証明するための実験を行った。即ち、抗体単独では関節炎を発症しない量のII型コラーゲンに対する自己抗体をマウスに投与し、このマウスにLPSを腹腔内さらには経口投与したところ、激しい関節炎が発症した。この結果から、エンドトキシンなどの外的要因が最も重要な病因であろうと考えられ、関節リウマチの病因の仮説が実証されたと考えるに至った。 (K.Terato,D.S.Harper,M.M.Griffiths,D.A.Hasty,X.Y.Ye,M.A.Cremer and J.S.Seyer.Collagen−induced arthritis:Synergistic effect of E.coli lipopolysaccharide bypass epitope specificty in the induction of arthritis with monoclonal antibodies to type II collagen. LPSが関節リウマチ以外の自己免疫病の発症に関わることは、自己免疫性脳脊髄炎(Nogai A et al.J.Immunol 2005,175;959−966),ループス肺炎(Chae BS et al.Arch Pharm Res 2006 29;302−309)自己免疫性甲状腺炎(Damotte D et al.Eur Cytokine Netw 2003 14;52−59)原発性胆汁性肝硬変(Ballot E et al.J.Autoimmun 2004 22;153−158),ギランバレー症候群(Yuki N et al.Proc Natl Acad Sci USA 2004 101;11404−11409)などにおいても知られている。 本発明者らは、さらに、このモデル動物を用い、エンドトキシンに対する抗体を経口投与することにより、関節炎の発症を阻止しうることを証明した(JP−A 2006−151914)。このことは、LPSの除去が自己免疫疾患の治療に役立つことが関節リウマチにおいて示されたと考えられる。 抗体は、これを医薬品として用いるためには、大量生産が困難で、高額の生産コストがかかる。さらに、抗体は熱により活性が失われやすく物性が不安定で、たんぱく質であるために、経口摂取では消化酵素による抗体活性の失活などの問題点があり、経済的のみならず物性的に問題点が大きい。そこで、物性が安定、大量生産可能、低価格であるとともに、安全性についても問題のない除去剤の創出が望まれる。 注射剤などの製造にあたっては、微量であっても発熱などの副作用の原因となるので、エンドトキシンを除去する必要がある。そのために、エンドトキシンの特異的な除去剤が工業的に使用されている。それらは、エンドトキシンに高い親和性を有する分子基を結合させた合成繊維や布、粒子による形成物で、エンドトキシンを除きたい溶液に接触させることによりエンドトキシンのみを特異的に吸着させて、エンドトキシンを 除くことが出来るものであり、多種の製品が使用されている(アフィプレップポリミキシン(バイオ・ラッド社、米国)トレミキシン(東レ・メデイカル(株))、JP−A 11−335396、JP−A 2002−263486)。 本発明は、経口摂取が可能な非消化性および非吸収性を特徴とする粒子で、粒子径5μm以下が体積換算分布で1%以下で、且つ、粒子径50μmミクロン以下が90%以上のエンドトキシン吸着体である。 さらに、本発明は、上記エンドトキシン吸着体を含むエンドトキシン吸収剤または自己免疫疾患予防治療剤、上記エンドトキシン吸着体を患者に投与することを含む自己免疫疾患を予防または治療する方法、上記エンドトキシン吸着体の自己免疫疾患予防または治療剤を製造する用途も提供する。発明の詳細な説明 本発明のエンドトキシン吸着剤開発に関しての基本要件について述べると、エンドトキシン吸着体を自己免疫疾患の治療に用いるためには、その吸着体は、1)エンドトキシン吸着能が高いとだけでなく、2)患者への経口投与に適した物性を持ち、しかも、3)有害な副作用を持たない人体に安全なものである、ことである。消化管に生息する細菌は100兆個とも言われ、LPS保有腸内細菌も莫大な数と推察される。従って、消化管内に存在する大量のエンドトキシンを効率的に除去するには用いるエンドトキシン吸着剤は、まず多量のエンドトキシン結合能があることが必要である。 これらの諸問題点を解決するために鋭意研究を重ね、エンドトキシン吸着活性と安全性の両面から、人体使用に適した新規エンドトキシン吸着剤を完成させるに至った。 エンドトキシンの毒性活性は分子中の脂質部分にあり、リピドAと呼ばれている。本発明はリピドA結合分子とこれを担持する細粒子で構成され、これを摂取して、消化管内のエンドトキシンを吸着し便中に排泄させ、リウマチをはじめとする自己免疫疾患を予防、治療剤するものである。 本発明は次の好ましい態様を含む。 1.エンドトキシンの試験管内吸着活性が、乾燥粉末1g当たり10×106エンドトキシン単位(EU)以上である上記エンドトキシン吸着体。 2.エンドトキシンの試験管内吸着活性が、乾燥粉末1g当たり50×106エンドトキシン単位(EU)以上である上記エンドトキシン吸着体。 3.エンドトキシンの試験管内吸着活性が、乾燥粉末1g当たり100×106エンドトキシン単位(EU)以上である上記エンドトキシン吸着体。 4.エンドトキシン結合活性基とこれを担持する細粒子を含む上記エンドトキシン吸着体。 5.エンドトキシン結合活性を有するリピドA結合分子を含む上記エンドトキシン吸着体。 6.リピドA結合分子がポリミキシンBである上記エンドトキシン吸着体。 7.リピドA結合分子がポリミキシンBであり、担体微粒子がカルボキシル基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂である上記エンドトキシン吸着体。 8.上記エンドトキシン吸着体の薬理学上の有効量を自己免疫疾患の予防または治療が必要な患者に投与することを含む自己免疫疾患を予防または治療する方法。 本発明は、本発明エンドトキシン吸着体の自己免疫病予防剤または治療剤を提供する。好ましくは、ループス肺炎、原発性胆汁性肝硬変、関節リウマチ、自己免疫性肝炎、自己免疫性腎炎、内耳自己免疫病、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性甲状腺炎、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、多発性皮膚筋炎、乾癬、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病またはギランバレー症候群に対する予防剤または治療剤を提供する。 即ち、本発明は、本発明エンドトキシン吸着体の上記病への予防または治療用途、予防剤または治療剤の製造養用途あるいは予防または治療方法を提供する。 本発明は、本発明エンドトキシン吸着体により自己免疫病を緩和または抑制することができる。 リピドA結合物質としては、ペプチド抗生物質であるポリミキシンBやLPS結合性を有するペプチド(JP−A 11−335396、JP−A 2002−263486、JP−A 2002−311029、JP−A 2004−292357、JP−A 2001−512140)が知られている。これらのいずれも本発明に使用できる。 LPS結合活性物を担持する担体としては、形状は服用に適した粒子または微粉末で、担体の素材としては、セルロース、アガロース、マンナン、グルカン、キチンなどの多糖体とそれらの誘導体、ポリアクリル系、ポリスチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ポリビニル系、などが挙げられる。 担体にリピドA結合物質を共有結合させる方法は特に限定されるものではなく、固定化酵素の一般的な架橋試薬、例えば水溶性カルボジイミド試薬であるECDI、ヘキサメチレンジイソシアネート、2個のエポキシ基を有するプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エピクロルヒドリンを用いることができる。 リピドA結合物質と担体の結合物は無害であること、体内移行がないこと、胃酸やひとが分泌する消化酵素のみならず、消化管内の微生物により分解、変性を受けないものであることが望ましい。本発明の非消化性とは動物の消化酵素と微生物による分解を受けないことを意味する。 消化管内に生息する微生物には、人体の消化酵素には分解できない植物繊維などを分解する細菌が存在することが知られている(文献Kopecny J et al Detection of cellulolytic bacteria from the human colon.Folia Microbiol(Praha).2004;49:175−7),Nakajima N et al.Dietary−fiber−degrading enzymes from a human intestinal Clostridium and their application to oligosaccharide production from nonstarchy polysaccharide using immobilized cells.Appl Microbiol Biotechnol.2002;59:182−9)。 従って、本発明に当たっては、LPS結合活性物を担持する担体としては、細菌による分解を受けない素材を選択し、セルロース、アガロース、マンナン、グルカン、キチンなどの天然由来の多糖体は除外した。 天然由来の多糖体に対し、合成樹脂の多くは消化酵素や微生物由来の酵素の影響を受けない。また、人が摂取しても安全であることはカリウム血漿治療剤としてのポリスチレンスルホン酸カルシウムやコレステロール低下剤としての陰イオン交換樹脂製剤であるコレスチラミンなどが使用されていることから、合成樹脂の中からリピドA結合物質の担体を選択することが望ましい。 担体の大きさについて考察すると、小腸、大腸にはパイエル板といわれるリンパ組織があり、パイエル板の表面を覆うM細胞は消化管内面に露出し、粒子状の物質も貪喰することが知られており(Gerbert A.et al.M cells in Peyer’s patches of the intestine.Int Rev Cytol.1996;167:91−159)、酵母程度の数μmの粒子は貪食される。本発明においては、ポリスチレンスルホン酸カルシウムの日本薬局方における品質規格と同様に径5μm以下の粒子は含めないこととした。 LPSは分子量1万を上回る高分子で、LPSの吸着は主として担体粒子の表面であると考えられ、表面積が大きいことが要求される。そのためには、粒子粉末は小さい径であるほど、活性が高いと考えられる。このことは、実施例12において示された。 工業的な樹脂の微粉砕技術としては、乾式法と湿式法に大別される。乾式法としては衝撃式、スクリーン式、摩砕式等がある。湿式法としては媒体撹拌式等があげられる。他にも様々な粉砕方法があるが、樹脂を微粉化できる技術であれば特に限定されない。いずれの方法でも可能である。 粒子の大きさは粒度分布の測定により実施した。方法は第十三改正日本薬局方、第二追補の一般試験法65項の粉黛粒度測定法第一法光学顕微鏡法に準じて粒度分布を測定した。粒子の大きさは50%粒径、即ち累積体積換算値が50%を示すときの粒径、をμm単位により示した。 LPS結合活性に関して、試験管内における評価は日本薬局方エンドトキシンシ試験法に準拠した測定と、より簡便な紫外部吸収による測定を開発して実施した。その詳細を実施例10,11に記載した。 LPS吸着除去による自己免疫疾患予防治療効果を調べる方法については、JP−A 2006−151914に記載した方法に順じ評価される。即ち、マウス関節コラーゲンにたいするマウスモノクローナル抗体のカクテル(Chondrex製)は、この十分量の注射をすると3日目には、あるいは3日以内には、100%の確立で関節炎を発症する(Terato K et al.Induction of arthritis with monoclonal antibodies to collagen.J.Immunol 148,2103−2108)。しかし、この自己抗体の量を減らして、2mgの投与では関節炎を発症しない。DBA/1マウスに自己抗体投与日を0日として、マウス当たりLPSの3mgを0日、1日、2日の3日間経口投与することにより、関節炎を発症し、6〜7日で最大の腫れを記録する。しかし、LPSの経口投与に際し、LPSの消化管吸収を高めるために、動物にインドメタシンと鶏卵由来の蛋白分解阻害活性を有するオボムコイドを投与して、前処置することにより、LPS投与による関節の腫脹を高めることが出来る。この試験系にLPS吸着剤を経口投与することにより、関節炎の発症は抑制され、抑制の程度を測定して、LPS吸着剤の評価をおこなうことができる。本特許ではこの方法を採用した。この方法の特徴は、マウスに軟骨由来のII型コラーゲンを注射して免疫することにより発症する方法に較べて、短期間ですみ、関節炎の程度の、マウス個体によるばらつきが少なく、従って、エンドトキシン除去活性の評価が正確となるという特徴を有する。 リピドA結合物質と担体の結合物は、人が服用して用いるために、経口摂取で用いる一般の医薬品としての製剤、例えば、末剤、散剤、カプセル剤、錠剤、液剤として用いられる。これらの製剤は、通常の方法で、薬学的に許容される賦形剤、添加剤と共に各種製剤にすることができる。 治療予防の投与量、投与回数は通常は成人に対し、1日当たり約10mg〜10gを1回もしくは3回に分けて投与することができる。 以下に、本発明について実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1、 エポキシアクリル樹脂ポリミキシンB結合体RPMB ポリミキシンB硫酸塩300万単位(マルコ製薬株式会社製)を0.1MNaCl溶液200mlに溶かし、水酸化ナトリウムを加えてpHを8に調整し、ビーカーに入れた。エポキシ活性基を有するポリアクリル樹脂(アンバーザイム;米国ロームアンドハース社製)4gを加え、攪拌プロペラで72時間攪拌した。樹脂を5μmメンブレンフィルター上で精製水1000mlで洗浄し、あらかじめ水酸化ナトリウムを加えてpH8.0に調整した1Mグリシン溶液50mlを含むビーカーに入れ、一夜置き、ろ過後、精製水2リットルを流して洗浄した。樹脂に残留する水分はデシケータ内に置いて乾燥させ、ポリミキシン結合樹脂(以下球状RPMBとする)3.9gを得た。実施例2、 エポキシアクリル樹脂ポリミキシンB結合体RPMB−1 エポキシ活性基を有するポリアクリル樹脂(アンバーザイム;米国ロームアンドハース社製)4gを乳鉢にいれた。ポリミキシンB硫酸塩300万単位を0.1MNaCl溶液200mlに溶かし、水酸化ナトリウムを加えてpHを8に調整した。調整したポリミキシンB硫酸塩溶液を少量ずつ加え、乳棒を用いて樹脂を擂り潰した。すべてのポリミキシンB硫酸塩溶液を加え、72時間マグネチックスタラーで攪拌した。樹脂を5μmメンブレンフィルター上で精製水1000mlで洗浄し、これを、あらかじめ水酸化ナトリウムを加えてpH8.0に調整した1Mグリシン溶液50mlを含むビーカーに入れ、一夜置き、ろ過後、精製水2リットルを流して洗浄した。樹脂に残留する水分はデシケータ内に置いて乾燥させ、ポリミキシン結合樹脂(以下RPMB−1とする)3.2gを得た。実施例3、 エポキシアクリル樹脂ポリミキシンB結合体RPMB−2 エポキシ活性基を有するポリアクリル樹脂(アンバーザイム;米国ロームアンドハース社製)1gを乳鉢にいれ、こすって樹脂粒子を砕いた。これを20mlの水に懸濁させ、エピクロルヒドリン0.6gと50%NaOH溶液0.3mlを加え2時間撹拌しながら反応させた。反応物を5μmメンブレンフィルター上で精製水100mlで洗浄し、得られたエポキシアクリル樹脂をビーカーに移し、ポリミキシンB硫酸塩300万単位を含むpH10の1Mりん酸緩衝液5mlを加えて懸濁し、40℃で16時間攪拌して反応させた。これに、あらかじめ水酸化ナトリウムを加えてpH8.0に調整した1Mグリシン溶液50mlを含むビーカーに入れ、一夜置き、ろ過後、精製水2リットルを流して洗浄した。樹脂に残留する水分はデシケータ内に置いて乾燥させ、ポリミキシンB結合樹脂、4/300を0.5g(RPMB−2)を得た。実施例4、 弱酸性陽イオン交換樹脂ポリミキシンB結合体 カルボキシル基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂(ダウエックスMAC−3)4gをビーカーにとり、0.1M MOPS pH7.550mlを加え、カップリング試薬1−Ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide,hydrochloride(シグマ)1gを加え、4℃で2時間振蕩した。樹脂を5μmメンブレンフィルター上で精製水200mlで洗浄し、活性化樹脂を得た。をこの樹脂をビーカーに取り、0.1M MOPS pH7.5 50mlに懸濁し、次いで、10mlの0.1M MOPS pH7.5に溶解したポリミキシンB硫酸塩溶液の300万単位を加えて、4℃に16時間振蕩した。樹脂を5μmメンブレンフィルター上に集め、あらかじめ水酸化ナトリウムを加えてpH8.0に調整した1Mグリシン溶液50mlを含むビーカーに入れ、4℃で一夜置き、ろ過後、精製水2リットルを流して洗浄した。樹脂に残留する水分はデシケータ内に置いて乾燥させ、弱酸性陽イオン交換樹脂ポリミキシンB結合体の3.8gを得た。これを4/300とした。実施例5、 弱酸性陽イオン交換樹脂ポリミキシンB結合体 1/300 弱酸性陽イオン交換樹脂(ダウエックスMAC−3)1gを用い、実施例4と同じ操作にて、弱酸性陽イオン交換樹脂ポリミキシンB結合体0.9gを得た。これを11300とした。実施例6、 弱酸性陽イオン交換樹脂ポリミキシンB結合体 4M/300 カルボキシ基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂(ダウエックスMAC−3)4gを乳鉢を用いて擂り、十分に樹脂粒子を細かくした。0.1M MOPS緩衝液 pH7.5 50mlを加え、カップリング試薬1−Ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide,hydrochloride(シグマ)1gを加え、4℃で2時間振蕩した。樹脂を、5μmメンブレンフィルター上で精製水200mlで洗浄し、活性化樹脂を得た。をこの樹脂を0.1M MOPS pH7.5 50mlに溶かし、ビーカーに入れ、次いで、10mlの0.1M MOPS緩衝液 pH7.5に溶解した硫酸ポリミキシンB硫酸塩300万単位を加えて、4℃に16時間振蕩した。樹脂を5μmメンブレンフィルター上に集め、あらかじめ水酸化ナトリウムを加えてpH8.0に調整した1Mグリシン溶液50mlを含むビーカーに入れ、一夜置き、ろ過後、精製水2リットルを流して洗浄した。樹脂に残留する水分はデシケータ内に置いて乾燥させ、樹脂3.1gを得た。これを4M/300とした。実施例7、 弱酸性陽イオン交換樹脂ポリミキシンB結合体 1M/300 弱酸性陽イオン交換樹脂(ダウエックスMAC−3)1gを乳鉢を用いて擂り、十分に樹脂粒子を細かくした。実施例6と同じ操作で、4M/300と同様にポリミキシンB硫酸塩300万単位とカップリングし、弱酸性陽イオン交換樹脂ポリミキシンB結合体の0.52gを得た。これを1M/300とした。実施例8、 樹脂の粉砕(工業スケールにおける樹脂の粉砕) ダウエックス社製樹脂MAC−3(粒子径300〜1200□m)3300Lをダルトン製ネアミルNEA−48型粉砕機により処理し、粒子径10〜50□m、平均粒子径 30□mの粉砕樹脂約1400kgを得た。実施例9 粒度分布の測定は第十三改正日本薬局方、第二追補の一般試験法65項の粉黛粒度測定法第一法光学顕微鏡法に準じて粒度分布を測定した。光学顕微鏡はE600,ニコン ECLIPSE E600,カメラはビクターKY−F55B,解析ソフトはNano Hunter NS2K−Proを用いて実施例1で調整したRPMBの粒度分布を測定した。表1に結果を示したごとく、RPMBは50%粒径、213μmで、粒径5.0μm以下の細かい粒子の含量は0%であった。実施例10、 エンドトキシン吸着除去活性(1) エンドトキシンの測定は、エンドスペシーES―24Sセット(生化学工業)を用いてエンドポイント比色法により定量した。シグマ社製大腸菌O−111株のリポポリサッカライド(製品番号L4130)をパイロジェンフリーの精製水に5μg/mlに溶解し、試験菅にその1mlを入れ、実施例1において調製したRPMB−1を100μg、50μg、また、対照として、ポリミキシンBを結合しない樹脂を100μgを加え、37℃で回転子を加えて攪拌し、RPMB−1添加前、添加10,20分後のエンドトキシン量を測定した。 その結果、表2に示したごとく、ポリミキシンBを結合した樹脂(RPMB−1)がLPSを特異的に吸着除去しうることが示された。実施例11、 エンドトキシン吸着除去活性(2) エンドトキシン濃度の高い濃度におけるポリミキシンB結合樹脂の吸着除去能について評価した。 りん酸緩衝生理食塩液pH7.2に大腸菌O−111株LPS(シグマ、製品番号L4130)を0.2mg/mlに溶解し、その4mlをRPMB−1の20.6mgを入れた試験管に加え、37℃でマグネチックスタラーにて攪拌し、30分おきに、遠心上清を採取し、波長210nmにおける紫外部吸光度を測定した。 210nmにおける吸光値は最初の30分で1.0から0.6に減少し、その後は一定となった。そこで、その上清にあらたに20.5mgのRPMB−1を加えたところ吸光度は0.6から0.4に低下したことから、試験管1にあったRPMB1の20.6mgはLPSが飽和状態に吸着していると判断し、吸光度の減少からRPMB−1のLPS吸着量を試験に用いたシグマLPS換算値として算出した。なお、用いたLPS標品は純粋なものではなく、DNAや蛋白質の混在があり、最終的な吸光値0.4はそれらに由来するものと推定された。従って、1gのRPMB−1は以下の計算式により、シグマ社LPSの約25.9mgを吸着すると計された。 (0.8mg x0.4/0.6)/0.0206=25.9mg なお、用いたLPSの1mgはエンドトキシンの1.1×106EUに相当するので、RPMB−1の1gは29×106EUのエンドトキシンを吸着すると計算された。実施例12、 粒子サイズとエンドトキシン除去活性 実施例1〜実施例7において調整した、樹脂ポリミキシンB結合体のそれぞれについて、実施例9に示した粒度分布測定の方法、ならびに実施例11に示したエンドトキシン吸着除去活性測定の方法に従い、それぞれ粒度分布とLPS吸着活性を測定し、その粒子サイズとエンドトキシン吸着能の関係を調べた。なお、陽性対象としてバイオラット社のアフィプレップポリミキシンBを用いた。 同じ300万単位のPMBを用いて調整した各ロットのエンドトキシン吸着剤につき、エンドトキシン除去活性をエンドトキシン単位(EU)と、この実験に用いたLPS標品(シグマ製大腸菌O−111,B4株菌体よりトリクロル酢酸法により抽出したLPS、製品番号L4130)の乾燥質量に換算して示した。 結果は表3に示したごとく、実施例1〜7の樹脂ポリミキシンB結合体は、いずれもポリミキシンB硫酸塩300万単位を用いて調整したものであるが、50%粒径が小さいほど、LPS吸着活性が高いことが示された。実施例13:自己抗体とLPSの関与する関節炎モデルにおける評価 関節炎モデル用のマウスはDBA/1JNCrjマウス(日本チャールス・リバー株式会社)を1群5匹として5群(G1−G5)を用意した。LPSの経口吸収を高めるために、マウス1匹あたりにインドメタシン(シグマ)40μgとオボムコイド(シグマ)2mgを、−6日〜−2日の連日5回、すべてのマウスに経口投与した。次いで、0日に抗コラーゲン抗体カクテル(10mg/ml)溶液の0.2mlをすべてのマウスに静脈投与した。また、大腸菌O−111由来エンドトキシン(シグマ社製、フェノール抽出リポポリサッカライド)は7.5mg/mlとなるようにPBSに溶解し、その0.2mlを0日、1日、2日にG1−G4のマウスに経口投与した。エンドトキシン吸着剤、RPMB−1、は100mg/mlとなるように蒸留水に懸濁し、真空ポンプで樹脂中の空気を抜き、凝集した樹脂を均一なサスペンジョンにし用いた。RPMB−1はLPS投与後、G2のマウスに0.125ml,G3に0.25ml、G4に0.5mlを1日2回、経口投与した。またコントロールのG1には0.25mlの非結合樹脂のみを投与した。また、関節炎陽性コントロールとして用いたG5には3日に0.1mlのLPS溶液(0.5mg/ml,PBS)の0.1mlを腹腔に投与した。 抗体投与の0日から14日まで毎日関節炎の発症を観察し、関節炎の重篤度は0−4の5段階のスコアーで表示した。0;腫れの症状なし。1;指の1本に腫脹発赤、2;指2本以上の腫脹発赤または手足の甲のみの発赤、3;手足の甲の腫脹発赤、4;手足首とすべての指関節の発赤腫脹。各マウスについて四肢の合計を合わせて、最高16点が固体のスコアーである。 各グループ5匹の平均値をもとめ、それを用いてまた、関節症状の抑制率の算出は次式によった。 抑制率%=((1−テスト群のスコアー)/コントロール群のスコアー)×100 マウスの関節炎は7日にピークに達したので、エンドトキシン吸着剤による関節症状の抑制効果は7日における抑制率により評価した。実施例2で作成したRPMB−1の25mg,50mg,100mgをマウスに経口投与した時の関節炎抑制効果を表4に示した。RPMB−1の100mgの投与を受けたマウスは5匹とも全く関節炎の発症は見られず、50mg投与群では5匹中2匹(平均スコアー:2)に、また25mg投与群では5匹中4匹(平均スコアー:9)に関節炎の発症が認められ、関節炎抑制率に用量依存性のあることが判明した(表4、実験1)。 同様に、RPMB−1よりもエンドトキシン吸着能の高い、RPMB−2,1M/300並びに4M/300の10mgをマウスに投与し、それらの関節炎抑制作用を調べた。その結果、これらの3種のエンドトキシン吸着剤はいずれも同程度に有効で、関節炎発症をほぼ完全に押さえた(表4、実験2)。実施例14:錠剤 実施例7に示した1M/300の15gを2.5gの乳糖、2.4gのトウモロコシデンプン及び0.1gのステアリン酸マグネシウムと混合し、打錠機により打錠して、1M/300が1錠当たり200mg含む錠剤とした。実施例15: カプセル剤 実施例3に示したRPMB−2の粉末を硬カプセルに150mgとなるように充填してカプセル剤を得た。 経口摂取が可能な非消化性および非吸収性を特徴とする粒子であり、粒子径5μm以下が体積換算分布で1%以下、且つ、粒子径50μm以下が90%以上であるエンドトキシン吸着体を含む自己免疫疾患予防治療剤。 エンドトキシンの試験管内吸着活性が、乾燥粉末1g当たり10×106エンドトキシン単位(EU)以上である請求項1に記載した自己免疫疾患予防治療剤。 エンドトキシンの試験管内吸着活性が、乾燥粉末1g当たり50×106エンドトキシン単位(EU)以上である請求項1に記載した自己免疫疾患予防治療剤。 エンドトキシンの試験管内吸着活性が、乾燥粉末1g当たり100×106エンドトキシン単位(EU)以上である請求項1に記載した自己免疫疾患予防治療剤。 自己免疫疾患が関節リウマチである請求項1〜4のいずれかに記載した自己免疫疾患予防治療剤。 エンドトキシン吸着体がエンドトキシン結合活性基とこれを担持する細粒子を含む請求項1〜5のいずれかに記載した自己免疫疾患予防治療剤。 エンドトキシン吸着体がエンドトキシン結合活性を有するリピドA結合分子を含む請求項6に記載した自己免疫疾患予防治療剤。 エンドトキシン吸着体のリピドA結合分子がポリミキシンBである請求項7に記載した自己免疫疾患予防治療剤。 エンドトキシン吸着体のリピドA結合分子がポリミキシンBであり、エンドトキシン吸着体の担体微粒子がカルボキシル基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂である請求項7に記載した自己免疫疾患予防治療剤。 エンドトキシン吸着体の担体粒子がエポキシ基を有するポリアクリル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルより選択される合成樹脂のいずれかである請求項8に記載した自己免疫疾予防患治療剤。