タイトル: | 公表特許公報(A)_完全非経口栄養法に伴う血栓症を予防するためのコリンの使用 |
出願番号: | 2008526961 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/14,A61P 7/02,A61K 47/26,A61K 47/02,A61K 47/18,A61K 47/06,G01N 33/53,G01N 27/62,G01N 30/88 |
ブックマン, アラン・エル JP 2009505987 公表特許公報(A) 20090212 2008526961 20060801 完全非経口栄養法に伴う血栓症を予防するためのコリンの使用 ブックマン, アラン・エル 508048399 BUCHMAN, ALAN L. 深見 久郎 100064746 森田 俊雄 100085132 仲村 義平 100083703 堀井 豊 100096781 野田 久登 100098316 酒井 將行 100109162 荒川 伸夫 100111246 ブックマン, アラン・エル US 60/708,395 20050816 A61K 31/14 20060101AFI20090116BHJP A61P 7/02 20060101ALI20090116BHJP A61K 47/26 20060101ALI20090116BHJP A61K 47/02 20060101ALI20090116BHJP A61K 47/18 20060101ALI20090116BHJP A61K 47/06 20060101ALI20090116BHJP G01N 33/53 20060101ALI20090116BHJP G01N 27/62 20060101ALI20090116BHJP G01N 30/88 20060101ALI20090116BHJP JPA61K31/14A61P7/02A61K47/26A61K47/02A61K47/18A61K47/06G01N33/53 DG01N27/62 VG01N30/88 C AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2006029869 20060801 WO2007021529 20070222 20 20080410 2G041 4C076 4C206 2G041CA01 2G041EA03 4C076AA12 4C076BB13 4C076CC14 4C076CC44 4C076CC46 4C076DD51 4C076DD67 4C076EE30 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA42 4C206MA01 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA05 4C206MA75 4C206NA14 4C206ZA54 4C206ZC51 関連出願 本出願は、2005年8月16日に出願され、その全文が本明細書に組み込まれている米国出願番号60/708,395の優先権を主張する。 発明の分野 本発明は、血栓症、好ましくは静脈血栓症を予防する方法に関する。より詳細には、本発明は、完全非経口栄養法(TPN)を受けている患者において、ホモシステイン濃度を減少させ、血栓症を予防するためのコリンの使用に関する。 発明の背景 TPNは、胃腸管の重篤な大きな外傷に対する手術後に最初に使用される応急処置法として始まった。TPNは、様々な症状における腸管安静および栄養を提供する比較的一般的な手段となった。TPNは、当初は短期の一時的栄養手順として使用されたが、それはまた長期的な栄養プロトコルとしても広く使用されるようになった。 非経口的栄養は、それが完全であるか補充的であるかに関係なく、広範囲の慢性症状において使用されてきた。例えば、急性および慢性の炎症性腸疾患による栄養失調を何度も患っている患者は、完全非経口栄養法を必要とする。さらに、手術によって直ちに取り除くことができない胃腸管の部分的または全体的な障害を患う患者もまた、TPNに対する候補者である。TPNを受ける他の患者としては、重大なタンパク質の損失を生じる大きな火傷を患う人々、および栄養失調が彼らの生命に対する脅威であり、消化管から栄養素を受け取り、吸収することができない他の疾病を患う人々が挙げられる。 TPNの過程で患者に静脈内投与される栄養液または混合物は、一般に患者の個々の必要性および忍容性に適合させられる。一般に、栄養液は、ブドウ糖、アミノ酸類、電解質類、微量元素類およびビタミン類を含む水溶液である。2から3リットルの栄養液が、完全非経口栄養法の間、患者に静脈内投与される。栄養液の投与は、上大静脈または下大静脈に挿入される中心静脈カテーテル経由で一般に遂行される。 完全非経口栄養法は、多くの患者のための救命給食プログラムではあるけれども、発症し得る多くの合併症がある。患者は、栄養混合物中の成分のうちのいくつかに対する感受性により副作用を患い得、感染の可能性が常に存在する。発症し得る他の合併症としては、コリン欠乏症、電解質平衡異常、高血糖症、心臓への過負荷、脱水症、代謝性アシドーシス、心臓に対する物理的損傷、代謝性骨疾患および腎臓病が挙げられる。 上記の起こりうる合併症に加えて、長期的なTPNを必要とする腸管不全を有する患者は、合併症として静脈炎およびカテーテル血栓症を発症する傾向があることが注目されてきた。中心静脈カテーテル血栓症は、長期的な完全非経口栄養法(TPN)を必要とする患者では度々起こる合併症である。Buchman AL,Goodson B,Herzog F,Ament ME。Catheter thrombosis and superior/inferior vena cava syndrome are rare complications of long−term parenteral nutrition。(1994)Clinical Nutrition。13:356−360。少なくとも2つの主要な脈管の再発性血栓症および損失は、小腸移植のためのメディケアの承認を受けた適応症である。Buchman AL,Scolopio J,Fryer J.Technical review of the treatment of short bowel syndrome and intestinal transplantation。(2003)Gastroenterology 124:1111−1134。高ホモシステイン血症は、静脈血栓症の発症に対する危険因子である。Den Heijer M,Koster T,Blom HJ,et al.Hyperhomocysteinemia as a risk factor for deep−vein thrombosis。(1996)New Engl J Med 334:759−762;Eichinger S.Homocysteine,vitamin B6 and the risk of recurrent venous thromboembolism。(2003)Pathophysiol Haemost Thromb 33:342−4;Unlu Y, Keles S,Becit N,et al。Hyperhomocysteinaemia as a risk factor for deep−vein thrombosis。Eur J Vasc Endovasc Surg 2005(in press)。コリン欠乏症については、長期間の完全非経口栄養法を必要とし、肝臓異常(Buchman AL,Dubin M,Jenden D,et al。Lecithin supplementation causes a decrease in hepatic steatosis in patients receiving long term parenteral nutrition。(1992)Gastroenterology 102:1363−70;Buchman AL,Dubin M, Moukarzel A,et al。Choline deficiency:a cause of hepatic steatosis associated with parenteral nutrition that can be reversed with and intravenous choline chloride supplementation。(1995)Hepatology 22:1399−1403;Buchman AL,Sohel M,Dubin M,Jenden DJ,Roch M。Choline deficiency causes reversible hepatic abnormalities in patients during parenteral nutrition:proof of a human choline requirement;a placebo−controlled trial。(2001)JPEN 25:260−268; Buchman AL,Sohel M,Brown M,et al。Verbal and visual memory improve after choline supplementation in long−term total parenteral nutrition:a pilot study。(2001)JPEN 25:30−35)および神経精神異常を発現する患者において、以前に記載した。Buchman AL,et al。(2001)JPEN 25:30−35。げっ歯類では、コリン欠乏症は、高ホモシステイン血症を伴う。Da Costa KA,Gaffney CE,Fischer LM, Zeisel SH。Choline deficiency in mice and humans is associated with increased plasma homocysteine concentration after a methionine load。(2005)Am J Clin Nutr 81:440−444;Chen AH, Innis SM,Davidson AG,James SJ。Phosphatidycholine and lysophosphatidylcholine excretion is increased in children with cystic fibrosis and is associated with increased plasma homocysteine, S−adenosylhomocysteine,and S−adenosylmethionine。(2005)Am J Clin Nutr 81:686−691;Monserrat AJ,Musso AM,Tartas N,et al。Consumption coagulopathy in acute renal failure induced by hypolipotropic diets。(1981)Nephron 28:276−284;およびVarela−Moreiras G,Ragel C,Perez de Miguelsanz J。Choline deficiency and methotrexate treatment induces marked but reversible changes in hepatic folate concentrations,serum homocysteine and DNA methylation rates in rats。(1995)J Am Coll Nutr 14:480−485。経口投与によるコリンの補充は、早発性動脈血管病の患者群中の血漿ホモシステイン濃度を減少させ(Dudman NP,Wilcken DE,Wang J,et al。動脈血栓症および静脈血栓症は異なる事象であり、しかしながら動脈血栓症が非常に稀であって孤立しているのに対して、静脈血栓症は、TPNを受けている患者では比較的に解説される。Disordered methionine/homocysteine metabolism in premature vascular disease.Its occurrence, cofactor therapy,and enzymology。(1993)Arterioscler Thromb 13:1253−1260。)、健常人のグループで血漿ホモシステイン濃度を減少させた(Olthof MR,Brisk EJ,Katan MB,Verhoef P。Choline supplemented as phosphatidylcholine decreases fasting and postmethionine−loading plasma homocysteine concentrations in healthy men。(2005)Am J Clin Nutr 82:111−117。)。したがって、コリン欠乏症は、カテーテル血栓症の発症の際、腸管不全の患者におけるカテーテル血栓症の発症に関して、疑いのある重要な危険要因である。 したがって、血液中のホモシステイン濃度を減少させるために、完全非経口栄養法を受けている患者の無血漿コリン濃度を増加させることができる、簡単で有効な治療を提供することが望ましい。さらに、高ホモシステイン血症を減少させるのに有効な治療を提供して、それにより長期間の完全非経口栄養法から生じるコリン欠乏症を伴うカテーテル血栓症を予防することが望ましい。 発明の要約 本発明によれば、TPNを受ける患者の無血漿コリン濃度と(1)高ホモシステイン血症および(2)カテーテル血栓症の発生率とに関連があることが発見された。我々は、完全非経口栄養法を受けている患者での無血漿コリン濃度の減少した、または正常以下の濃度が、カテーテル血栓症、初期血栓症および再発性血栓症の危険性または増加した危険性と相関することを示す。他の人達は、上昇したホモシステイン濃度を有する静脈血栓症の危険性を示した。したがって、無血漿コリンの減少した、または低い濃度は、高ホモシステイン血症に関係していると推論される。例えば、非経口的に患者に投与される栄養液中にコリンを含ませることによって、正常な濃度に、またはその濃度の近辺に増加した、および/または正常な濃度に、またはその濃度の近辺に維持された無血漿コリン濃度は、したがって、無血漿コリン濃度を正常な範囲内に維持するのみならず、血中のホモシステイン濃度を減少させ、それによりカテーテル血栓症を予防および/または抑制するのに有効であろう。 本発明の1態様では、コリンは、好ましくは塩化コリンまたは他のコリン塩の形態で、完全非経口栄養法を受けている患者に投与される。コリンは栄養液に加えてもよいし、または別々に非経口的に注入してもよい。1日に患者に投与される栄養液の通常の投薬量は、おおよそ2から3リットルの溶液である。本発明の特徴として、治療上有効量の塩化コリンまたは他のコリン塩が、非経口的に注入される、または溶液1リットル当たり、0.25グラムから約8グラムのコリンを供給するのに十分な量で栄養液に添加される。 栄養液中のコリンの上記濃度は、患者における忍容性が良好であり、長期の総タンパク質栄養療法の間、無血漿コリン濃度を正常範囲内に維持するのに有効であるコリンの1日投薬量を提供する。米国特許第5,567,736号参照。コリンを先の投薬量濃度で栄養液に添加することは、慢性のコリン欠乏症に罹患している患者のホモシステイン濃度を減少させ、カテーテル血栓症を予防または抑制するのに有効であることが発見された。 本発明の特徴として、改善された栄養液は、十分な塩化コリンまたはコリンの他の塩をTPN患者の通常の栄養液に添加することにより提供される。複雑な製剤化手順または困難な混合工程は、本発明を実施するためには必要ではない。所望の投薬量の塩化コリンまたはコリンの他の塩が、通常の慣行に従ってTPN患者に投与されるコリン濃縮液を用いて栄養水溶液に添加される。 塩化コリンは、ブドウ糖、アミノ酸類、電解質類、微量元素類、ビタミン類および完全非経口栄養液中で典型的に見られる他の化合物と反応しないか、もしくは副作用を及ぼさない。さらに、コリンは通常の条件下で保存された場合、栄養液中で比較的安定である。コリンは、比較的長い期間、劣化しないか、もしくはその活性を失わない。その結果、コリンは、薬剤師または医者によってTPN栄養液に添加されてもよいし、または、その液剤の投与直前に患者によって添加されてもよい。TPN栄養液への補助としてのコリンの使用は、長期および短期の両方の完全非経口栄養法を必要とする状況に容易に組み込まれる。 本発明の別の態様では、栄養液および一般に容器中に含まれる治療上有効量のコリンを含むTPNを受けている患者において、ホモシステイン濃度を減少させる、および/または血栓症、好ましくは静脈血栓症を予防するためのキットが提供される。 本発明の別の態様では、血栓症、好ましくは静脈血栓症の危険性を診断するために、TPNを受けている患者のコリン濃度を監視する方法がある。好ましい実施形態では、その方法は、TPNを受けている患者から血液または血漿サンプルを得て、コリン濃度を検出することを含み、そこで正常な濃度と比較して低いまたは減少した無血漿コリン濃度は、血栓症の増加した危険性を示すものである。コリン濃度は、血栓症の危険性の決定的な要因としてコリン濃度における傾向を検知するために、または血栓症の危険性を減少させる予防処置としてコリン注入の有効性を監視するために、経時的に監視されてもよい。 本発明の上記で議論された特徴および他の多くの特徴ならびに付随する利点は、添付図面と共に考慮して詳細な説明を参照することによって一層よく理解されるようになるであろう。 発明の詳細な説明 本発明は、コリン欠乏症が腸管不全の患者におけるカテーテル血栓症の発症に関係していることを初めて示すものである。さらに、再発性血栓症の患者における無血漿コリン濃度を低くする傾向もまた観察された。本明細書で引用された刊行物、特許および特許出願のすべては、上記または下記を問わず、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。 本明細書および添付の特許請求の範囲において、用語「コリン」は、コリン、コリン塩、コリン前駆体およびコリン代謝物を含み、コリン前駆体およびコリン代謝物は、TPN溶液と混合された場合、または生体内に導入された場合、コリンに転換されることができる。 本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「正常濃度」は約10nmol/mlから約15nmol/mlの範囲内のコリンを意味する。 本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「非経口的」および「非経口的に」は、胃腸管経由によるのとは別の何らかの手段によることを意味し;特に静脈注射、皮下注射、筋肉注射、髄内注射により患者の中へ物質を導入することを指す。 本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「患者」はヒトを含むが、それに限定されない動物界の成員を含む。 本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「治療上有効量」は、無血漿コリンを正常濃度またはその濃度の近辺まで増加させるのに十分な量を意味する。 本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「血栓症」は、血管内の凝固の形成または存在を意味し、それは血管によって補給される組織の梗塞を引き起こし得る。好ましくは、血栓症は、上大静脈および/または下大静脈の静脈血栓症を指す。最も好ましくは、血栓症は静脈カテーテル血栓症、初期血栓症および/または再発性血栓症を指す。 本発明の1態様では、患者に治療上有効量のコリンを非経口的に投与することを含む、完全非経口栄養法(TPN)を受けている患者のホモシステイン濃度を減少させる方法が提供される。本発明の別の態様では、患者に治療上有効量のコリンを非経口的に投与することを含む、完全非経口栄養法(TPN)を受けている患者において血栓症、好ましくは静脈血栓症を予防する方法が提供される。好ましくは、治療上有効量のコリンは、患者の血漿ホモシステイン濃度を減少させる。別の好ましい実施形態では、治療上有効量のコリンは、血栓症を予防する。 コリンは栄養液と一緒に、または別々に投与されてもよい。1実施形態では、コリンは、患者に栄養液とは別に注入されてもよい。好ましくは、コリンは、約0.25グラムから約8グラムの1日の合計投薬量で投与される。別の実施形態では、栄養液はコリンで補充されてもよいし、コリンが補充された栄養液を患者に注入してもよい。 完全非経口栄養法(TPN)によって患者に与えるのに使用される栄養液は、周知である。栄養液に含まれる特定の成分は、患者の栄養の必要性および患者の病状に依存して広く変動する。一般に、最も一般的な栄養液中の成分は、ブドウ糖であって、より少量のアミノ酸類、電解質類、微量元素類およびビタミン類が含まれる。一般に、栄養液は、10から35容量%ブドウ糖液を含む。ブドウ糖液は、溶液1リットル当たり、10グラムから35グラムのブドウ糖を含む水性溶液である。そのようなブドウ糖液は、Abbott Laboratories,Baxter Healthcare Corp.,McGaw Laboratoriesその他から市販されている。 栄養液はまた、典型的には約2から5重量%のアミノ酸類を含む。栄養液に使用されるアミノ酸類は、任意の必須アミノ酸であることができ、様々な濃度および混合物として含まれることができる。栄養液に使用される好ましいアミノ酸類としては、トレオニン、セリン、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、ヒスチジンおよびアルギニンが挙げられる。ブドウ糖とアミノ酸類に加えて、大部分の栄養液は、カリウム、ナトリウム、塩化物、マグネシウム、酢酸塩、カルシウム、およびリン、ならびに他のものなどの電解質類を含む。これらの電解質類は、一般におおよそ1%以下の比較的少量が含まれる。 微量元素類およびビタミン類はまた、たいていの栄養液に含まれる。代表的な微量元素類としては、セレン、クロム、マンガン、亜鉛および他の元素が挙げられる。通常栄養液に含まれるビタミン類としては、A、B1、B2、B6、B12、C、D、E、ビオチン、パントテン酸などが挙げられる。これらの元素は、通常おおよそ1%の1/10未満の濃度で存在する。ビタミン類は、確立された周知のビタミンの1日所要量を満たすのに十分な量で一般的に存在する。 本発明によれば、コリン、好ましくは塩化コリンまたは別のコリン塩は、患者にコリンを直接静脈内に導入するために栄養液に添加される。塩化コリンは、栄養液に添加されるコリンの好ましい形態であるが、重酒石酸コリン、クエン酸二水素コリン、リン酸コリンまたは重炭酸コリンなどの他のコリン塩と同様に、当業者の知っている他の医薬用塩類を使用してもよい。さらに、ホスファチジルコリン、CDP−コリン、大豆レシチンなどのコリン前駆体およびコリン代謝物が使用されてもよい。 栄養液に添加されるコリンの量は、患者の無血漿コリン濃度、高ホモシステイン血症の程度、およびコリン欠乏症に関連した他の医学的問題の重症度に依存して変化し得る。 一般に、栄養液に添加されるコリンの量は、溶液1リットル当たり、約0.25グラムから約8グラムのコリンの溶液中濃度を提供するのに十分であることが好まれる。コリンのこの濃度は、患者が毎日、2から3リットルの栄養液を摂取する場合、コリンの許容される1日投薬量レベルを提供する。望ましい1日の合計コリン投薬量は、おおよそ約0.5グラムから約8グラムのコリンであるべきである。 栄養液の患者への非経口的投与は、完全非経口栄養法のための栄養液の投与に関する充分に確立された技術によって遂行される。栄養液の総量は、その日の異なる時間帯に個別の一定分量として投与されてもよい。しかしながら、2から3リットルの投薬量の栄養液が、毎晩6から10時間かけて、または連続する24時間に投与されることが好ましい。 栄養液に添加されるコリンは、好ましくは溶液として添加される。コリンの適切な量が、秤量され、米国薬局方(USP)の注射用滅菌水に溶解されてコリンの重量比で約50%の溶液を形成する。次いで、得られたコリン溶液は、0.2μmの孔径の滅菌フィルタを通過させられ、無菌のバイアル中に詰められる。コリン溶液のろ過に適切なフィルタとしては、Pall Ultrafine Corp.(Glen Cove,N.Y.)によって製造されたものなどの0.2μmナイロン66滅菌フィルタカートリッジが挙げられる。他のナイロンフィルタも、酢酸セルロースおよびポリスルフォンなどの他の材料から作られたフィルタと同様に使用されてもよい。 使用に先立って、適切な量のコリン溶液は、無菌バイアルから移され、一般にTPNバッグに含まれている栄養液に添加される。塩化コリンは、少なくとも30日間、様々なTPN栄養液において安定であることが分かっており、また、TPN溶液の濁度、pHまたはアミノ酸濃度に悪影響はなかった。 コリン水溶液は、TPN溶液と別に保存され、溶液を調製するその日に栄養液に添加するのが好ましい。栄養液中のコリン濃度は、投与される溶液の総量に依存して変化し得る。好ましくは、患者に投与される栄養液に添加されるコリン溶液の量は、約0.5グラムから8グラムの間のコリンの1日の合計投薬量を提供すべきである。おおよそ1グラムから6グラムのコリンの1日の合計投薬量が、たいていの療法に適切であろう。 本発明はまた、当業者によって使用される、または開発される栄養液にコリンを添加する他の方法も包含する。TPN用の栄養液は、また、その内容物の成分として既にコリンを含むように製造されてもよい。 さらに別の態様では、本発明は、TPNを受ける患者の血栓症を予防するためのキットを提供する。1実施形態では、栄養液および治療上有効量のコリンは、一般に適切な容器内に含まれるキットで提供される。キットの成分は、いずれも水性媒体中にパッケージされてもよい。キットの包含手段は、一般に、バイアル、試験管、フラスコ、バッグ、ボトル、注射器または他の包含手段などの少なくとも1つの包含手段を含み、その中に栄養液およびコリンを入れてもよい。好ましくは、栄養液は、コリンとは別に保存される。 本発明のなお別の態様では、血栓症、好ましくは静脈血栓症の危険性を診断する方法が提供される。好ましい実施形態では、その方法は、TPNを受けている患者から生体サンプルを採取し、サンプル中のコリン濃度を検出し、サンプル中のコリン濃度を血栓症の危険性の有無に相関させることを含む。コリンが正常濃度より低いことは、血栓症の危険性と相関し、コリン濃度が低くなればなるほど、危険性はより大きくなる。反対に、コリンの正常濃度またはそれより上の濃度は、血栓症の危険性が無いこと、および/または血栓症の危険性が低いことと相関する。生体サンプルは、血液、血漿、血清および尿などの任意の生体液サンプルを含んでもよい。 好ましくは、検出されるコリンは無血漿コリンであるが、しかし、リン脂質結合コリンおよびリン酸コリンもまた検出され得る。無血漿コリンは、好ましくは、Jenden DJ,Roch M,Booth RA.Simultaneous measurement of endogenous and deuterium−labeled tracer variants of choline and acetylcholine in subpicomole quantities by gas chromatography−mass spectrometry.(1973)Anal Biochem 55:438−448,1973およびFreeman JJ,Choi RL,Jenden DJ.(1975)Plasma choline,its turnover and exchange with brain choline.J Neurochem 24:729−734に記載された方法に準拠してガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)を使用して検出される。放射免疫測定(RIA)および高速液体クロマトグラフィ(HPLC)もまた、コリンを検出するために使用されてもよい。 本発明のなお別の態様では、コリン検出方法を利用する血栓症の危険性監視方法が提供される。したがって、例えば、TPNを受けている患者からの生体サンプル中のコリン濃度を経時的に測定することにより、血栓症の危険性の変化を監視すること、および/または血栓症を予防することを目指したコリン注入などの特定の治療法が有効かどうかを判断することが可能である。正常濃度より低いコリンは、血栓症の危険性と相関し、コリン濃度が低くなればなるほど、危険性はより大きくなる。反対に、正常濃度以上の濃度のコリンは、血栓症の危険性が無いこと、および/または血栓症の危険性が低いことと相関する。 以下の実施例は例示の目的のために示され、本発明がそれらの正確な実施形態に制限されるものではないことを理解すべきである。以下の実施例で開示された技術は、本発明の実施に際して良好に機能するための技術を表わしており、したがって、その実施のための好ましい形態を構成すると考えることができることが、当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更が、開示される特定の実施形態中で行なわれることができ、やはり同様または類似の結果を得ることができることを認識すべきである。実施例は以下の通りである: 実施例1:高ホモシステイン血症およびコリン欠乏症の間の相関性 長期的な在宅TPN患者の無作為群の無血漿コリン濃度に関する前方視的研究 (Buchman AL,Moukarzel A,Jenden DJ,et al.Low plasma fee choline is prevalent in patients receiving long term parenteral nutrition and is associated with hepatic aminotransaminase abnormalities.(1993)Clin Nutr.12:33−37.)および527人の在宅TPN患者群のカテーテル血栓症発生率の遡及研究(Buchman AL,et al.,(1994)Clinical Nutrition.13:356−360.)の過程で得られたデータは、高ホモシステイン血症およびコリン欠乏症の間の相関性を示す。研究された患者は、これらの被験者、すなわち1991年に無血漿コリン濃度を測定した被験者の部分集合を表わす。患者の診断結果は、下記の表1に表示される。 被験者の患者に使用されたカテーテルはすべて、Hickman(登録商標)またはBroviac(登録商標)タイプであり;経皮的穿刺中心静脈カテーテル(PICC)はなかった。不適切な文書化のために、使用された単一内腔カテーテルの正確な数が確定できなかったけれども、全部ではないが大部分は、単一内腔であった。カテーテル先端は、挿入時に蛍光透視法によって、次いで全部ではないが殆どの患者において、胸部X線画像により、上大静脈または下大静脈のいずれかの中で確認された。TPNは、ブドウ糖(15%から25%の最終濃度)、遊離アミノ酸類(3.5%から5%の最終濃度)、電解質類、ミネラル類、微量金属類および総合ビタミン剤の混合物を含む単一の1Lから3Lのバッグから成るものであった。脂質乳剤(20%)は、「ピギーバック」様式で送達され;3:1乳剤は使用されなかった。1人を除き全ての患者は、個々の栄養素および/または流動液の必要性に依存して、1週当たり3から7日間、8から12時間の周期的な夜間注入を受けた。ヘパリンは、全ての患者においてカテーテルフラッシュとして常套的に使用された。患者は彼らのカテーテル血栓症の前にはヘパリンまたはワルファリンを投与されていなかった。ヒドロコーチゾンはTPN溶液に添加されなかった。 カテーテルの困難なフラッシングもしくは注入、または手足、首もしくは顔の浮腫を根拠として臨床的に疑われたカテーテル血栓症が、カテーテルを通して、およびカテーテルの近位の両方での対比静脈造影法により確認された。対比静脈造影法により血栓症が証明されない患者は、この研究に含まれなかった。カテーテル内腔当たりウロキナーゼ5,000の注入により解決した限局的血栓症に基づくだけの症状を有する患者は本研究では含まれなかったように、位置異常のカテーテルに関係する血栓症の患者は除外された。 231カテーテル年(1年間カテーテル留置の1人の患者=1カテーテル年)を有する41人の被験者がこの研究に含まれた。これには、5.8±5.0年間、在宅でTPNを受けた21人の男性(34±26歳)および5.6±4.1年間、在宅でTPNを受けた20人の女性(55.1±18.1歳)が含まれ、研究された。16人(39%)の患者が、カテーテル血栓症を発症し、5人が再発性カテーテル血栓症を有していた。これは、最初の血栓症研究における527人の患者(1154カテーテル年)の11%に匹敵した。(Buchman AL,et.al.,(1994)Clinical Nutrition.13:356−360.)年齢、性別、TPN持続期間、およびTPN適応症は、カテーテル血栓症を発症した患者とそうでなかった患者との間では類似していた。 血栓性素因の評価は、標準技術を使用して、血小板算定数、タンパク質C濃度、タンパク質S濃度、プラスミノーゲン濃度、抗トロンビンIII濃度、ならびに抗カルディオリピン抗体および抗リン脂質抗体の測定によって試みられた。血小板増多症は、>450,000/mLの血小板算定数として定義された。 1晩8時間から10時間の絶食後、ヘパリン加血が無血漿のリン脂質結合コリンの測定のために得られた。検体は、直ちに氷の上に置いて、収集の20分以内に4℃で3000×gで遠心分離した;血漿は傾斜法で除去した。無血漿コリンは、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)(Jenden DJ,Roch M,Booth RA.Simultaneous measurement of endogenous and deuterium−labeled tracer variants of choline and acetylcholine in subpicomole quantities by gas chromatography−mass spectrometry.(1973)Anal Biochem 55:438−448;およびFreeman JJ,Choi RL,Jenden DJ.Plasma choline,its turnover and exchange with brain choline.(1975)J Neurochem 24:729−734.)を使用して測定され、リン脂質結合コリンは、以下のFolchら(A simple method for the isolation and purification of lipids from animal tissue.(1957)J Biol Chem 226:497−509.)によって記載された抽出、およびJopeおよびJenden(Jope RS,Jenden DJ.Choline and phospholipid metabolism and the synthesis of acetylcholine in rat brain.(1979)J Neurosci Res 4:69−82)による加水分解に従って測定された。 結果はすべて、平均±標準偏差として示される。<0.05のp値は、統計学的な有意性を表示するものとして定義された。 無血漿コリンは、41人の被験者のうちの33人において正常値(11.4±3.7 nmol/ml)より下であり、カテーテル血栓症の既往歴がない患者では7.7±2.7nmol/mlであり、以前にカテーテル血栓症に罹患した患者では6.2±1.7nmol/mlであった(Wilcoxinの順位和検定でp=0.076)。その差は統計学的には有意ではなかったが、無血漿コリン濃度は、>1の血栓を有する患者および1つの事象だけを有する患者よりもより低い傾向があった(6.0±1.8nmol/ml対7.7±2.7nmol/ml)。無血漿コリン濃度と、カテーテル持続を制御した後の凝固の頻度との間の偏相関分析は、r=−0.33、p=0.038であった。 血漿リン脂質結合コリン濃度は、41人の被験者のうちの34人において正常であり、以前にカテーテル血栓症に罹患した患者では2191.7±679.0nmol/mlであり、カテーテル血栓症の病歴のない患者(p=NS)では、2103.3±531.2nmol/mlであった。 患者は血小板増多症、タンパク質C欠乏症、タンパク質S欠乏症、プラスミノーゲン欠乏症、または抗トロンビンIII欠乏症、血小板増多症、抗カルディオリピン抗体もしくは抗リン脂質抗体、活性型の炎症性腸疾患または悪性腫瘍を有していなかった。第V因子Leiden遺伝子変異アッセイおよびプロトロンビン遺伝子突然変異アッセイは、データ収集の時点では利用可能ではなかった。ホモシステイン濃度は、研究が試みられた時点では、高い血漿ホモシステイン濃度が動脈血栓症または静脈血栓症のいずれかの危険要因を示すということがその時に知られていなかったので測定されなかったし、患者の多くは、今では死亡している。 カテーテル血栓症の患者はすべて、最初にヘパリンで、続いてカテーテルの除去および置換の前にワルファリンで血液凝固が阻止された。しかしながら、再発性カテーテル血栓症の患者はすべてではないが、再発の際には治療用プロトロンビンを服用していた。ある試みが初期血栓症の後での抗凝固療法でなされたとすれば、コリンの状態は抗凝固療法にもかかわらず変わらなかっただろうから、この抗凝固療法は、後の血栓形成の危険性の減少につながり、したがって、コリンと血栓症の間の相関性を減少させたように思われる。したがって、我々は、我々の最初の報文(Buchman AL,et al.(1994)Clinical Nutrition.13:356−360.)からの患者のこの部分集合においてカテーテル血栓症の発生率がはるかに大きい理由が、我々の研究の患者がTPNのはるかに大きな持続期間(5.7年対0.6年)を有していたという事実に主として関係があるのではないかということに対しては疑問視する。 血漿ホモシステイン濃度は我々の患者では測定されなかったが、Compherら(Hyperhomocysteinemia is associated with venous thrombosis in patients with short bowel syndrome.(2001)JPEN 25:1−7.)によって報告されたTPN依存性の短腸症候群の患者における高い血漿ホモシステインとカテーテル血栓症の発生率との間の相関性があるとすると、こうした研究者が観察した血漿ホモシステインの上昇は、実際、コリン欠乏症によって引き起こされたように思える。我々の患者が十分な静脈内の葉酸、ピリドキシン(B6)およびB12の補充を既に受けたとすれば、コリン欠乏症は恐らく、我々が観察した血栓症の事象の多くに対する最大の理由であった。 ホモシステイン代謝は、再メチル化のためのメチル供与体を要求するので、コリンなどのメチル供与体の欠乏は、高ホモシステイン血症を引き起こし得る。Compherらによって観察されたホモシステイン濃度の増加は、肝臓のトランスサルフレーション経路における欠陥と一致する。それは、代謝を要求する栄養素が門脈循環を回避し、静脈内に送達される場合に生じる。Stegink LD,Den Besten L.Synthesis of cysteine from methionine in normal adult subjects:effect of route of administration.(1972)Science 178:514−515; およびChawla RK,Berry CJ,Kutner MH,Rudman D.Plasma concentrations of transsulfuration pathway products during nasoenteral and intravenous hyperalimentaion of malnourished patients.(1985)Am J Clin Nutr 42:577−584。高い血漿ホモシステイン濃度が静脈血栓症の危険性を増加させるメカニズムは確かではないが、それは、トロンボモジュリン依存性のタンパク質Cの活性化の阻害(Rodgers GM,Conn MT.Homocysteine,an atherogenic stimulus,reduces protein C activation by arterial and venous endothelial cells.(1990)Blood 75:895−901.)または内皮の一酸化窒素産生の阻害を伴い得る。Stamler JS,Osborne JA,Jaraki O,et al.Adverse vascular effects of homocysteine are modulated by endothelium−derived relaxing factor and related oxides of nitrogen.(1993)J Clin Invest 91:308−318;およびUpchurch GR,Walch GN,Fabian AJ,et al.Homocysteine decreases bioavailable nitric oxide by a mechanism involving glutathione peroxidase.(1997)J Biol Chem 272:17012−17017。 歴史的に見ると、葉酸欠乏症、ビタミンB12欠乏症またはビタミンB6欠乏症だけが高い血漿ホモシステイン濃度をもたらすことが示唆されてきた。Stipanuk MH.Metabolism of sulfur−containing amino acids.(1986)Anu Rev Nutr 6:179−209;およびSelhub J,Jacques PF,Wilson PWF,et al.Vitamin status and intake as primary determinants of homocysteinemia in an elderly population.(1993)JAMA 270:2693−2698。血清葉酸濃度およびビタミンB12濃度は測定されなかったけれども、我々の患者はすべてTPN(1つのバッグ当たり、葉酸0.6mg/日、ピリドキシン6mgおよびB125mg)でこれらを摂取していた。これらの投薬量が、同様の経口投与量からのはるかに低い利用能と比較して、それらの送達の性質から100%生物学的に利用できるとすれば、それは患者に存在したいずれかのビタミンの欠乏ではないようである。 実施例2:カテーテル血栓症を予防する方法 低い無血漿コリン濃度を有することが知られており、長時間の在宅TPNを受けている患者は、コリン補充TPN溶液を投与される。コリン塩が補充された栄養液(溶液1リットル当たり、約0.25グラムから約8グラムのコリン塩を有する)は患者の静脈内に投与される。栄養液に添加されるコリンの量は、患者の無血漿コリン濃度、高ホモシステイン血症の程度、およびコリン欠乏症に関連した他の医療問題の重篤度に依存して変えられてもよい。コリン補充栄養液は、10時間から24時間の時間をかけて、単回投与として投与される。 実施例3:カテーテル血栓症を予防する方法 低い無血漿コリン濃度を有することが知られており、長時間の在宅TPNを受けている患者は、治療上有効量のコリンを投与される。コリン塩溶液(溶液1リットル当たり、約0.25グラムから約8グラムのコリン塩を有する)は、患者の静脈内に投与される。溶液中のコリンの量は、患者の無血漿コリン濃度、高ホモシステイン血症の程度、およびコリン欠乏症に関連した他の医療問題の重篤度に依存して変えられてもよい。コリン溶液は、10時間から24時間の時間をかけて、単回投与として投与される。 実施例4:カテーテル血栓症の危険性を診断する方法 血液または血清のサンプルはTPNを受けている患者から得られ、サンプル中の無血漿コリン濃度は、Jenden DJ,Roch M,Booth RA。Simultaneous measurement of endogenous and deuterium−labeled tracer variants of choline and acetylcholine in subpicomole quantities by gas chromatography−mass spectrometry.(1973)Anal Biochem 55:438−448,1973および Freeman JJ,Choi RL,Jenden DJ.(1975)Plasma choline,its turnover and exchange with brain choline.J Neurochem 24:729−734に記載された方法に従って、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)を使用して検出される。正常な濃度と比較して、無血漿コリンの低い、または減少した濃度は、カテーテル血栓症の増加した危険性を示す。経時的なコリン濃度の変化も、コリン注入による予防処置の有効性を追跡するために監視してもよく、および/またはカテーテル血栓症の危険性における決定的な要因としてコリン濃度における傾向を検知してもよい。 実施例5:高ホモシステイン血症を減少または予防する方法 2人の女性の正常なボランティアが、C−13で標識されたコリンを注入され、注入の前後にホモシステインの血漿濃度の測定を受けた。ホモシステインの血漿濃度は、6.62μmol/Lおよび7.47μmol/Lから5.14μmol/Lおよび6.64μmol/Lにそれぞれ減少したが、このことはコリンの投与が高ホモシステイン血症の危険性を減少させる、あるいは高ホモシステイン血症を予防することができることを証明している。 完全非経口栄養法(TPN)を受けている患者の静脈血栓症の危険性を減少する方法であって、TPNを受けている患者に治療上有効量のコリンを含む栄養液を非経口的に投与することを含む方法。 治療上有効量のコリンが、患者の血漿ホモシステイン濃度を減少させる、請求項1に記載の方法。 栄養液が、溶液1リットル当たり、約0.25グラムから約8グラムのコリン塩を含む、請求項1に記載の方法。 栄養液中のコリンが、コリンの医薬的に許容される塩、コリンの前駆体、コリンの代謝物またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。 栄養液中のコリンが、コリン塩である、請求項1に記載の方法。 コリン塩が、塩化コリン、重酒石酸コリン、クエン酸二水素コリン、リン酸コリンまたは重炭酸コリンである、請求項5に記載の方法。 完全非経口栄養法(TPN)に伴うカテーテル血栓症を予防する方法であって、TPNを受けている患者に治療上有効量のコリンを含む栄養液を非経口的に投与することを含む方法。 治療上有効量のコリンが、患者の血漿ホモシステイン濃度を減少させる、請求項7に記載の方法。 栄養液が、溶液1リットル当たり、約0.25グラムから約8グラムのコリン塩を含む、請求項7に記載の方法。 栄養液中のコリンが、コリンの医薬的に許容される塩、コリンの前駆体、コリンの代謝物またはそれらの組み合わせである、請求項7に記載の方法。 栄養液中のコリンが、コリン塩である、請求項10に記載の方法。 コリン塩が、塩化コリン、重酒石酸コリン、クエン酸二水素コリン、リン酸コリンまたは重炭酸コリンである、請求項11に記載の方法。 TPNを受けている患者が、カテーテル血栓症の危険にさらされているかどうかを決定する方法であって、患者から血液または血漿サンプルを採取し、サンプル中の無血漿コリン濃度を検出し、およびサンプル中の無血漿コリン濃度を血栓症の危険性の有無と相関させることを含む方法。 無血漿コリン濃度が、ガスクロマトグラフィおよび質量分析、RIAまたはHPLCを使用して検出される、請求項13に記載の方法。 正常な濃度と比較して減少したコリンの濃度が、カテーテル血栓症の危険性を示す、請求項13に記載の方法。 栄養液および治療上有効量のコリンを含むTPNを受けている患者のカテーテル血栓症を予防するためのキット。 ブドウ糖、電解質、アミノ酸類、微量元素類、ビタミン類および治療上有効量のコリンを含む栄養水溶液。 コリンがコリン塩である、請求項17に記載の栄養水溶液。 コリン塩が、塩化コリン、重酒石酸コリン、クエン酸二水素コリン、リン酸コリンまたは重炭酸コリンである、請求項18に記載の栄養水溶液。 コリンが、栄養水溶液1リットル当たり、約0.25グラムから約8グラムの量で存在する、請求項17に記載の栄養水溶液。 コリン欠乏症は、完全非経口栄養法を必要とする腸管不全患者における血栓症の発症の危険因子である。TPNを受けている患者にコリンを含む栄養液を投与することを含む、血栓症、好ましくは静脈血栓症を予防する方法が提供される。また、患者からサンプルを採取し、無血漿コリン濃度を検出することを含む、血栓症の危険性を診断する方法が提供される。