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タイトル:特許公報(B2)_1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン及びそれを用いた感熱記録材料
出願番号:2008525887
年次:2009
IPC分類:C07C 39/16,B41M 5/385,B41M 5/39


特許情報キャッシュ

津川 洋晶 上堀 創一 吉藤 光雄 JP 4216325 特許公報(B2) 20081114 2008525887 20070718 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン及びそれを用いた感熱記録材料 日本化薬株式会社 000004086 杉村 憲司 100147485 冨田 和幸 100119530 寺嶋 勇太 100150360 津川 洋晶 上堀 創一 吉藤 光雄 JP 2006196891 20060719 20090128 C07C 39/16 20060101AFI20090108BHJP B41M 5/385 20060101ALI20090108BHJP B41M 5/39 20060101ALI20090108BHJP JPC07C39/16B41M5/26 K C07C 39/16 特開昭60−247592(JP,A) 2 JP2007064203 20070718 WO2008010526 20080124 15 20080609 木村 敏康 本発明は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン及びそれを用いた感熱記録材料に関する。更に詳しくは、Cu−Kα線によるX線回折法において、特定のX線回折図により特徴づけられる結晶形を有する1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンに関するものである。 従来より感熱記録材料は、一般にロイコ染料(発色性化合物)とフェノール性物質等の顕色性化合物をそれぞれ別個に微粒子状に分散化した後、両者を混合し、これに結合剤、増感剤、充填剤、滑剤等の添加剤を添加して塗液とし、紙、フィルム、合成紙等に塗布したもので、加熱によりロイコ染料と顕色性化合物が溶融、接触して起こる化学反応により発色記録を得るものである。このような材料を用いる感熱記録シートの発色のためには、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられる。この感熱記録法は、他の記録法に比較して、(1)記録時に騒音がでない、(2)現像、定着等の処理の必要がない、(3)メンテナンスフリーである、(4)機械が比較的安価である等の特徴により、ファクシミリ分野、コンピューターのアウトプット、電卓等のプリンター分野、医療計測用のレコーダー分野、自動券売機分野、感熱記録型ラベル分野等に広く用いられている。 近年の小売店、コンビニエンスストア、ス−パーマーケット等におけるPOSシステムの普及により、感熱記録材料の品質としては、記録特性としてレジシート等にみられる高速化、低エネルギー記録化が求められ、保存特性としては、記録画像はもとより、食品ラベル等が電子レンジの加熱や解凍処理をはじめ日常環境での接触熱等で容易に発色しない、普通紙ライクの様態が求められている。 このような課題を解消する方法として、通常、特定の熱可融性化合物を使用する方法(特開2002−52842号公報)、基材と感熱記録層の間に中間層(断熱効果)を設ける方法、特定の顕色性化合物を使用する方法(特開昭60−247592号公報、特開2002−52842号公報)が提案され、中でも特開昭60−247592号公報で提案されている1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンは、温湿度においてカブリを生じないという点で、感熱発色層自体の素材としての利便性が高い。しかしながら、この化合物を顕色性化合物として用いた場合、近年要求されている高速発色に適応可能な低エネルギー発色性が不十分であるという欠点がある。 そこで、本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解決し、熱、水等に対する保存安定性及び低エネルギー発色性を付与することが可能な1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを用いた、熱、水等に対する発色画像及び未発色部の保存安定性に優れ、高速発色に適応可能な低エネルギー発色性に優れた感熱記録材料を提供することにある。 本発明者らは、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを用いた感熱記録材料の発色特性と保存性との関係を種々検討したところ、異なる挙動を示す場合のあることが観察された。 このため、上記の挙動を示す理由をさらに詳細に検討したところ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンには2種類の結晶形が存在することと、さらにこれら2種類の結晶形は、感熱記録材料として全く異なった挙動を示すことを見出した。 即ち、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを感熱記録材料に顕色性化合物として使用した場合、地肌部及び未発色部の保存性に優れるが、低エネルギー発色における発色濃度に劣るという欠点をもつ結晶(以下これをα型結晶と記載する)と、地肌部及び未発色部の特性は維持されたままで高速発色に適応可能な低エネルギー発色性にも優れる結晶(以下これをβ型結晶と記載する)の2種類が存在することを見出した。 このように、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンのβ型結晶を感熱記録材料における顕色性化合物として用いることにより、上記課題を解決出来ることを見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明の要旨構成は次のとおりである。1.Cu−Kα線によるX線回折法における回折角(2θ)において、16.4°に鋭く強い1本のピーク、13°〜16°及び17°〜20.8°に鋭く中間強度の各3本のピーク並びに22°〜23°に少なくとも3本の中間強度のピークを有するX線回折図により特徴づけられる結晶形を有する1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン。2.支持体上に、通常無色乃至淡色の発色性化合物及び該発色性化合物を熱時発色させ得る顕色性化合物を含有する感熱発色層を有する感熱記録材料において、顕色性化合物として上記1に記載の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを含有することを特徴とする感熱記録材料。 本発明によれば、熱、水等に対する保存安定性及び低エネルギー発色性を付与することが可能な1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを提供することができる。また、かかる1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを用いた、熱、水等に対する発色画像及び未発色部の保存安定性に優れ、高速発色に適応可能な低エネルギー発色性に優れた感熱記録材料を提供することができる。第1図は、本発明の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンのβ型結晶のCu−KαによるX線回折図を示す。第2図は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンのα型結晶のCu−KαによるX線回折図を示す。第3図は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンのα型結晶及びβ型結晶の混合物のCu−KαによるX線回折図を示す。 なお、第1図〜第3図において、X軸は回折角(2Theta(θ)(°))を示し、Y軸はIntensity(cps)を示す。 以下に、本発明を詳細に説明する。1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンは、公知の顕色性化合物であり、例えば、本州化学工業(株)製、商品名:BisP−APとして市場から容易に入手出来る。後記するように、上記の市販品はα型結晶の結晶形であることが判明している。 本発明の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンは、β型結晶の結晶形を有する。ここで、β型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンは、上記したα型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを、重量比で1〜10倍、好ましくは1〜5倍量のエタノールに完溶させ(必要により加温してもよい)、次いでその溶液に重量比で1〜5倍量の水を攪拌下に滴下して結晶を析出させ、次いで析出した結晶を濾取することにより得られる。即ち、α型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンをエタノール−水系にて晶析することにより、その結晶形をβ型結晶へと変換することができる。 次に、図を参照しながら1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンのα型結晶及びβ型結晶を詳細に説明する。 第1図及び第2図は、粉末X線回折法によるものであり、Cu−Kα線による回折状態を高速半導体アレイ検出器を使用して記録した図である。第1図は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンのβ型結晶のものであり、回折角(2θ)において、16.4°に鋭く強い1本のピーク、13°〜16°及び17°〜20.8°に鋭く中間強度の各3本のピーク並びに22°〜23°に少なくとも3本の中間強度のピークを示している。なお、本発明の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの回折角の表示において、±0.2°程度の誤差は許容されるものとする。 なお、本明細書において、「鋭く強い1本のピーク」とは、X線回折図において最も強い強度を示すピークを指す。更に、本明細書において、「中間強度」のピークとは、「鋭く強い1本のピーク」の強度に対して中間程度の強度を有するピークを指し、具体的には、「鋭く強い1本のピーク」の強度に対し、おおよそ30〜70%の強度を有するものである。 第2図は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンのα型結晶のものであり、回折角(2θ)において、10°に孤立状態のやや強いピーク、17°〜17.5°に先割れした強いピーク、19°〜23°に比較的強い複数のピークを示している。(回折角の表示において、±0.2°程度の誤差は許容されるものとする。)第1図及び第2図は、両結晶の相違を明らかに示している。 前記した処理において、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンのα型結晶が本発明のβ型結晶に変換されたかどうかは、X線回折図を測定することによって判定されるが、より簡単な判別法としては、試料の融点(キャピラリー使用)を測定することによっても判定される。各結晶形のmp(融点)は、おおよそα型結晶がmp=185〜190℃の範囲内であるのに対し、β型結晶は低温側により広く、おおよそmp=170〜190℃の範囲内である。 本発明においては、Cu−Kα線によるX線回折法によるものであれば、測定機器及び測定条件は特に制限されるものではないが、第1図及び第2図において、粉末X線回折に供した測定機器及び測定条件は次の通りである。 測定機器;X’Pert−PRO−MPD(スペクトリス(株)製) ターゲット;Cu 走査角度;5°〜40.0° 走査速度;0.2°/分 管電圧;45KV 管電流;40mA 入射側スリット;0.04°ソーラースリット、自動可変型ダイバージェンススリット、AS1° 受光側スリット;0.04°ソーラースリット 本発明の感熱記録材料は、支持体上に、通常無色乃至炎色の発色性化合物、及び該発色性化合物を熱時発色させ得る顕色性化合物を含有する感熱発色層を有するものであり、該顕色性化合物として、本発明のβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを含有することを特徴とする。また、本発明の感熱記録材料は、上記発色性化合物及び本発明のβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの他、例えば、以下に示すような結合剤、充填剤、増感剤(熱可融性化合物)、その他の添加剤等を、必要に応じて混合、調製したものを紙、プラスチックフィルム又は合成紙等の支持体上に感熱発色層として設けることにより得ることができる。 本発明における感熱発色層を形成するにあたり、発色性化合物は、感熱発色層中、通常1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%で、本発明のβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンは、感熱発色層中、通常1〜70質量%で、好ましくは10〜50質量%で、結合剤は、感熱発色層中、通常1〜90質量%で、充填剤及び増感剤(熱可融性化合物)は、感熱発色層中、通常各々0〜80質量%で、滑剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤等のその他の添加剤は、感熱発色層中、各々任意の割合で、例えば通常各々0〜30質量%の範囲でそれぞれ使用される。更に好ましい態様としては、上記のような組成のうちで、各々の使用量が質量比で発色性化合物1に対してβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンが、通常0.5〜20倍、より好ましくは1〜5倍の質量比の範囲で使用される。 本発明において用いられる発色性化合物は、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられているものであればよく、特に制限されない。用いうる発色性化合物の例としては、例えばフルオラン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スピロ系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、ラクタム系化合物、フルオレン系化合物等が挙げられる。なお、これら発色性化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。 用いうるフルオラン系化合物の具体例としては、例えば3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−フルオロアニリノ)フルオラン、3−[N−エチル−N−(p−トリル)アミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−エトキシエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルフルオラン、3−[N−エチル−N−(p−トリル)アミノ]−6−メチル−7−フェネチルフルオラン等が挙げられる。 また、用いうるトリアリールメタン系化合物の具体例としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン又はCVL)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルアミノインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。 更に、用いうるスピロ系化合物の具体例としては、例えば3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、1,3,3−トリメチル−6−ニトロ−8’−メトキシスピロ(インドリン−2,2’−ベンゾピラン)等が、ジフェニルメタン系化合物の具体例としては、例えばN−ハロフェニル−ロイコオーラミン、4,4−ビス−ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が、チアジン系化合物の具体例としては、例えばベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が、ラクタム系化合物の具体例としては、例えばローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム等が、フルオレン系化合物の具体例としては、例えば3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリド等が挙げられる。これらの発色性化合物は単独もしくは混合して用いられる。 本発明の感熱記録材料において、β型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンに加えて、さらに他の顕色性化合物を含有することができる。β型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンと併用可能な顕色性化合物としては、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられているものであれば、いずれも使用可能で、特に制限されない。併用しうる顕色性化合物の具体例としては、例えばα−ナフトール、β−ナフトール、p−オクチルフェノール、4−t−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA又はBPA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−チオビスフェノール、4,4’−シクロ−ヘキシリデンジフェノール、2,2’−ビス(2,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ベンジルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル等のフェノール性化合物、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、5−ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸等の芳香族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸又はその多価金属塩等が挙げられるが、これらのものに制限されない。 前記したβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンと併用可能な顕色性化合物の使用量は、本発明の効果を妨げない範囲、例えばβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの含有量を超えない量が好ましい。 本発明の感熱記録材料において用いうる増感剤(熱可融性化合物)としては、例えば動植物性ワックス、合成ワックスなどのワックス類や高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、ナフタレン誘導体、芳香族エーテル、芳香族カルボン酸誘導体、芳香族スルホン酸エステル誘導体、炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体、ビフェニル誘導体、ターフェニル誘導体、スルホン誘導体等、常温で固体、より好ましくは約70℃以上の融点を有するものを使用することができる。 上記ワックス類としては、例えば木ろう、カルナウバろう、シェラック、パラフィン、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等が、高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸等が、高級脂肪酸アミドとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が、高級脂肪酸アニリドとしては、例えばステアリン酸アニリド、リノール酸アニリド等が、ナフタレン誘導体としては、例えば1−ベンジルオキシナフタレン、2−ベンジルオキシナフタレン、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル等が、芳香族エーテルとしては、例えば1,2−ジフェノキシエタン、1,4−ジフェノキシブタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1−フェノキシ−2−(4−クロロフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン等が、芳香族カルボン酸誘導体としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル等が、芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、例えばp−トルエンスルホン酸フェニルエステル、フェニルメシチレンスルホナート、4−メチルフェニルメシチレンスルホナート等が、炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体としては、例えば炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル類が、ビフェニル誘導体としては、例えばp−ベンジルビフェニル、p−アセチルビフェニル、p−アリルオキシビフェニル等が、ターフェニル誘導体としては、例えばm−ターフェニル等が、スルホン誘導体としては、例えばジフェニルスルホン等が、それぞれ例示される。これら一種又は二種以上を混合して使用してもよい。これらのうちで特に好ましいものとしては、ステアリン酸アミド、2−ベンジルオキシナフタレン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル、p−ベンジルビフェニル、p−アセチルビフェニル、ジフェニルスルホン等が挙げられる。これら一種又は二種以上を混合して使用してもよい。 用いうる結合剤の具体例としては、例えばメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸基変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デンプン及びその誘導体、カゼイン、ゼラチン、水溶性イソプレンゴム、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソ(又はジイソ)ブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性のもの、或いはスチレン/ブタジエン(SB)共重合体、カルボキシル化スチレン/ブタジエン(CSB)共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸系共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリル/スチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリブチラール、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ロジンエステル樹脂、コロイダルシリカとアクリル共重合体の複合体粒子等の疎水性高分子エマルション等が挙げられる。 用いうる充填剤の具体例としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、クレー、アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等が挙げられる。 更に、本発明の感熱記録材料においては、上記以外の種々の添加剤を使用することが出来るが、用いうるその他の添加物の例としては、例えばサーマルヘッド摩耗防止、スティッキング防止等の目的でのステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、酸化防止又は老化防止効果を付与するためのフェノール誘導体、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、各種の界面活性剤、消泡剤等がそれぞれ挙げられる。 前記した材料を用いて、例えば次のような方法によって本発明の感熱記録材料が調製される。即ち、常法によりまず発色性化合物及びβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを、それぞれ別々に必要に応じて結合剤、増感剤(熱可融性化合物)、その他の添加剤等と共にボールミル、アトライター、サンドミルなどの分散機にて粉砕、分散化した後(粉砕、分散を湿式で行うときは通常水を媒体として用いる)、混合して感熱発色層塗布液を調製し、紙(上質紙、普通紙、コート紙等が使用出来る)、プラスチックシート、合成紙等の支持体上に通常乾燥重量で1〜20g/m2になるようにバーコーター、ブレードコーター等により塗布、乾燥して本発明の感熱記録材料を得る。 また、必要に応じて感熱発色層と支持体の間にそれ自体公知の中間層を設けたり、感熱発色層上に同じくオーバーコート層(保護層)を設けたりしてもよい。 通常無色乃至淡色の発色性化合物、及びβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを含有する感熱発色層を支持体上に設けた本発明の感熱記録材料は、熱、水等に対する発色画像及び未発色部の保存安定性に優れ、かつ高速発色を可能にする低エネルギー発色等の記録特性に優れている。<<実施例>> 本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、組成表示において、「部」は質量部、「%」は質量%をそれぞれ示す。また、実施例中で融点を測定した場合にはキャピラリー法を用いた。更に、結晶形の確認に用いた粉末X線回折に供した測定機器及び測定条件は次の通りである。 測定機器;X’Pert−PRO−MPD(スペクトリス(株)製) ターゲット;Cu 走査角度;5°〜40.0° 走査速度;0.2°/分 管電圧;45KV 管電流;40mA 入射側スリット;0.04°ソーラースリット、自動可変型ダイバージェンススリット、AS1° 受光側スリット;0.04°ソーラースリット<β型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの調製>(実施例1) 本州化学工業(株)製、商品名:BisP−APとして知られる1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを上記の機器および条件にて粉末X線回析したところ、第2図で示されるようなX線回折図を示し、α型結晶であることが確認された。さらにその融点測定を行ったところ、mp=185〜186℃を示した。 上記のα型結晶である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン100部をエタノール100部に60℃で溶解した後、攪拌下に水300部を加えて晶析した。次いで析出結晶を濾取し、水洗、乾燥を行って98部の結晶を得た。得られた結晶を同様に粉末X線回析したところ、第1図で示されるようなX線回折図を示し、この結晶はα型からβ型へ結晶形変換されたβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンであることが確認された。さらにその融点測定を行ったところ、mp=172〜186℃を示した。(比較例1) 中国特許出願第CN1557797号の表1の実施例13に記載の方法に準じて、上記実施例1で用いた本州化学工業(株)製、商品名:BisP−APを以下のように再結晶した。 トルエン/エタノールを容量比100/3で混合した溶媒250g中に、BisP−AP(50g)を加えて昇温し、加熱還流した。還流時の反応系内の温度は94〜94.5℃だった。還流の開始から10分後に加熱を停止し、氷水冷却した。1時間後、析出した結晶を濾取し、上記と同じ容量比のトルエン/エタノール混合溶媒で結晶を洗浄した。得られた結晶を70℃で一晩乾燥することにより、結晶を得た。得られた結晶は、粉末X線回折の結果、第2図で示されるようなX線回折図を示し、原料であるBisP−APと同様にα型結晶であることが確認され、結晶形の変換は生じていないことが確認された。また、得られた結晶の融点測定を行ったところ、mp=182〜188℃を示した。(比較例2) 特開昭62−178534号公報の実施例3に記載の方法に従って、フェノール84.7g、アセトフェノン36g及びメルカプト酢酸1mlを加えて60℃に昇温し、塩化水素ガスを吹き込みながら撹拌して10時間反応させた。精製した結晶を温水により3回洗浄することにより1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの粗製品55g(純度76.7%、文献値92.8%)を得た。得られた粗製品を、更に、同文献の実施例3に記載された、メタノール120mlとキシレン60mlの混合溶媒を用いて精製を行った。得られた結晶(純度90.7%)を実施例1と同様に粉末X線回析したところ、第2図で示されるようなX線回折図を示し、α型結晶であることが確認された。さらにその融点測定を行ったところ、mp=182〜185℃を示した。(比較例3) 比較例2において精製に用いたメタノール120ml及びキシレン60mlの混合溶媒を、イソプロパノール120mlとトルエン60mlの混合溶媒に代える以外は、比較例2と同様の操作を行い、粗製品の精製を行った。得られた結晶(純度95.1%)を実施例1と同様に粉末X線回析したところ、第2図で示されるようなX線回折図を示し、α型結晶であることが確認された。さらにその融点測定を行ったところ、mp=183〜185℃を示した。(比較例4) 比較例2において精製に用いたメタノール120ml及びキシレン60mlの混合溶媒を、メタノール120mlとトルエン60mlの混合溶媒に代える以外は、比較例2と同様の操作を行い、粗製品の精製を行った。得られた結晶(純度99.0%)を実施例1と同様に粉末X線回析したところ、第3図で示されるようなX線回折図であることが確認された。さらにその融点測定を行ったところ、mp=185〜188℃を示した。融点から分類すると、得られた結晶はα型結晶であるが、粉末X線回折したところ、第3図で示されるようなX線回折図を示した。第3図は10°に孤立状態のやや強いピーク、及び19°〜23°に比較的強い複数のピークを示し、明らかにα型結晶の特徴を有するが、β型結晶に特徴的な16.4°に鋭く強い1本のピークを示すことから、α型及びβ型結晶の混合物が得られたと考えられる。<感熱記録材料の調製>(実施例2)(感熱発色層の形成) 下記組成の混合物をサンドグラインダーを用いて平均粒径が1μm以下になるように粉砕、分散化して、それぞれ[A]液、[B]液を調製した。[A]液:[B]液: 次いで、得られた各液と、下記に示す薬剤を下記の割合で混合して感熱発色層塗布液を調製し、坪量50g/m2の上質紙上に乾燥時の重量が8g/m2となるように塗布、乾燥して感熱発色層を形成した。*1 日本合成化学工業株式会社製,ゴーセノールGL−05R,重合度1,000以下,けん化度86.5〜89.0モル%.PVA25gを水75gに加熱溶解して調製して用いた.*2 旭化成株式会社製,旭化成ラテックスL7063.約48%変性スチレン・ブタジエン共重合体ラテックスを用いた.(保護層の形成) 次に、下記組成の混合物を調製して保護層塗布液とし、上記感熱発色層上に乾燥時の重量が3g/m2となるように塗布、乾燥して保護層付きの本発明の感熱記録材料を得た。*3 サイデン化学株式会社製,サイビノールEK−41.45%スチレン/アクリル共重合体水性エマルジョンを水で40%濃度に調製して用いた.*4 クニミネ工業株式会社製,クニピアG.コロイド性含水ケイ酸アルミニウム5gを水95gに溶解して調製して用いた.(実施例3) 実施例2の[A]液における3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを使用する以外は実施例2と同様にして保護層付きの本発明の感熱記録材料を得た。(実施例4) 実施例2の[A]液における3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランを使用する以外は実施例2と同様にして保護層付きの本発明の感熱記録材料を得た。(比較例5) 実施例2の[B]液におけるβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの代わりにα型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、すなわち本州化学工業(株)製、商品名:BisP−APを結晶形変換せずにそのまま使用する以外は実施例2と同様にして比較用の感熱記録材料を得た。なお、用いたBisP−APの純度をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で測定したところ、99.88%(面積%)を示した。(比較例6) 実施例2の[B]液におけるβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの代わりにビスフェノールAを使用する以外は実施例2と同様にして比較用の感熱記録材料を得た。(比較例7) 実施例2の[B]液におけるβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの代わりに比較例1で得られたα型の結晶を用いる以外は実施例2と同様にして比較用の感熱記録材料を得た。(比較例8〜10) 実施例2の[B]液におけるβ型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの代わりに、比較例2で得られた結晶を使用する以外は実施例2と同様にして比較例8の感熱記録材料を得た。また、同様にして、比較例3で得られた結晶を使用して比較例9の感熱記録材料を、比較例4で得られた結晶を使用して比較例10の感熱記録材料を得た。 以上のようにして得られた本発明及び比較用の感熱記録材料のそれぞれについて下記の品質性能試験を行った。表2(表1の続き) 品質性能 耐湿性5) 耐水性6)実施例2 0.06/1.25 1.00実施例3 0.06/1.26 1.01実施例4 0.07/1.39 1.10比較例5 0.06/0.90 0.75比較例6 0.11/1.28 0.64比較例8 0.06/0.88 0.78比較例9 0.06/0.90 0.75比較例10 0.06/0.95 0.771)地肌:試料の未発色部をマクベス反射濃度計(RD−914型、マクベス社製)で測定した値(マクベス反射濃度)。2)低温発色:熱傾斜試験機(HG−100、東洋精機(株)製)を用いて、印圧0.098MPa、120℃×1秒間の条件で発色させた試料の画像部分のマクベス反射濃度。3)高温発色:熱傾斜試験機(HG−100、東洋精機(株)製)を用いて、印圧0.098MPa、150℃×1秒間の条件で発色させた試料の画像部分のマクベス反射濃度。4)耐熱性:3)と同様に発色させた試料を60℃の恒温器中に24時間放置した後の未発色部と画像部のマクベス反射濃度(未発色部/画像部)。5)耐湿性:3)と同様に発色させた試料を40℃、相対湿度90%の恒湿器中に24時間放置した後の未発色部と画像部のマクベス反射濃度(未発色部/画像部)。6)耐水性:3)と同様に発色させた試料を25℃の水道水に24時間浸漬した後の画像部分のマクベス反射濃度。 表1及び表2から明らかなように、低温発色2)における画像部分のマクベス反射濃度は、実施例2〜4が1.35〜1.38であるのに対して、比較例5は0.56であり、β型結晶の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを用いた本発明の感熱記録材料は、α型結晶を用いた比較例5の感熱記録材料と比べて明らかに低温発色性に優れることが判明した。 また、高温発色3)においては、実施例2〜4が1.39〜1.46であるのに対して、比較例5は1.10であり、比較例5の感熱記録材料は、やはり発色性が不十分であった。 さらに、耐熱性4)、耐湿性5)および耐水性6)の試験においては、実施例2〜4がそれぞれ1.25〜1.43(画像部)、1.25〜1.39(画像部)および1.00〜1.10であるのに対して、比較例5はそれぞれ0.99(画像部)、0.90(画像部)および0.75であり、比較例5の感熱記録材料には、明らかな画像の退色が認められ、画像の安定性に大きな問題のあることが明白となった。 ビスフェノールAを顕色性化合物として用いた比較例6は、耐熱性4)および耐湿性5)の未発色部のマクベス反射濃度がそれぞれ0.10および0.11であるのに対して、実施例2〜4はそれぞれ同様に0.06〜0.07および0.06〜0.07であり、比較例6の感熱記録材料には、地肌かぶりの傾向が認められる。 また、耐水性6)においては、実施例2〜4が1.00〜1.10であるのに対して、比較例6は0.64であり、比較例6の感熱記録材料には、画像の耐水性に問題のあることが明らかとなった。 比較例8及び9から明らかなように、本発明のβ型結晶を得るには、該結晶が可溶性の溶媒であるアルコール類としてエタノールを使用することが必要であり、メタノール、イソプロパノール等の他のアルコール類を用いた場合、比較例10に示すように、α型及びβ型結晶の混合物が得られることはあるものの、本発明のβ型結晶のみを単独で得ることはできない。また該結晶が難溶性の溶媒としては水を用い、エタノール/水の溶媒系から晶析することも重要である。顕色剤としての性能もα型結晶またはα型及びβ型結晶の混合物と比較して、本発明のβ型結晶は優れており、特に高速発色に適用可能な低温発色性に優れる上に、地肌かぶり(未発色部分の変色)が生じないという大きな特徴を有する。従って本発明のβ型結晶を顕色剤として用いる感熱記録材料の有用性は明らかである。 次に、実施例2、比較例5及び比較例7の感熱記録材料のそれぞれについて、上記と同様にして地肌1)及び高温発色3)に関する品質性能試験を行った。結果を表3に示す。なお、実施例2及び比較例5において、表3に示す内容が表1の内容と異なるのは、同一条件で調製した感熱記録材料であっても、例えば、調製日時が異なる場合、全く同一の数値結果が得られるとは限らず、測定誤差が生じたためである。 表3から明らかなように、いずれも地肌1)については差がなく、地肌かぶりは生じていないことが確認された。しかしながら、α型結晶を用いた比較例5、及び比較例1で得られたα型の結晶を用いた比較例7は、高温発色3)がそれぞれ1.14及び1.16であり、β型結晶を用いた実施例2の1.50と比較して、いずれも発色濃度が低く、発色性が不十分であることが確認された。 Cu−Kα線によるX線回折法における回折角(2θ)において、16.4°に鋭く強い1本のピーク、13°〜16°及び17°〜20.8°に鋭く中間強度の各3本のピーク並びに22°〜23°に少なくとも3本の中間強度のピークを有するX線回折図により特徴づけられる結晶形を有する1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン。 支持体上に、通常無色乃至炎色の発色性化合物、及び該発色性化合物を熱時発色させ得る顕色性化合物を含有する感熱発色層を有する感熱記録材料において、顕色性化合物として請求項1に記載の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを含有することを特徴とする感熱記録材料。


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