生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_HIV−1−感染患者におけるウイルス負荷を減少させる方法
出願番号:2008523029
年次:2009
IPC分類:A61K 39/395,A61P 31/18


特許情報キャッシュ

オルソン、ウィリアム・シー. マッドン、ポール・ジェイ. ペビア、ダニエル・シー. イスラエル、ロバート・ジェイ. ムーガ、ジョセ・ディー. JP 2009514790 公表特許公報(A) 20090409 2008523029 20060721 HIV−1−感染患者におけるウイルス負荷を減少させる方法 プロジェニクス・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド 501130383 鈴江 武彦 100058479 蔵田 昌俊 100108855 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 峰 隆司 100075672 福原 淑弘 100109830 白根 俊郎 100095441 村松 貞男 100084618 野河 信久 100103034 砂川 克 100140176 橋本 良郎 100092196 風間 鉄也 100100952 オルソン、ウィリアム・シー. マッドン、ポール・ジェイ. ペビア、ダニエル・シー. イスラエル、ロバート・ジェイ. ムーガ、ジョセ・ディー. US 60/702,064 20050722 US 60/701,889 20050723 US 60/711,528 20050826 US 60/715,619 20050909 A61K 39/395 20060101AFI20090313BHJP A61P 31/18 20060101ALI20090313BHJP JPA61K39/395 DA61K39/395 SA61P31/18 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2006028565 20060721 WO2007014114 20070201 76 20080324 4C085 4C085AA13 4C085AA14 4C085BA65 4C085CC02 4C085CC05 4C085DD22 4C085DD23 4C085GG02 4C085GG04本出願は、米国仮出願第60/702,064(2005年7月22日出願); 米国仮出願第60/701,889(2005年7月23日出願); 米国仮出願第60/711,528(2005年8月26日出願); および 米国仮出願第60/715,619(2005年9月9日出願)の利益を請求する出願であり、その各々の内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される。 本発明は、国立免疫感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases)からの合衆国政府助成金助成金番号AI046871およびAI066329の助成によってなされた発明である。従って、合衆国政府は、本発明に特定の権利を有している。 本出願の全体において、様々な文献が括弧内の著者名および日付並びに特許および特許公開番号によって参照される。これらの文献の完全な引用は、明細書の末尾に記載されるであろう。これらの出願の各々の開示の全体は、本願の出願日当時の当業者に既知の当該技術分野の状況を全体的に記載するために、参照によって本明細書に援用される。 [発明の背景]ヒト免疫不全症ウイルス1型(HIV-1)による細胞の感染は、ウイルスエンベロープ(Env)(糖タンパク質のgp120およびgp41)によって媒介される、これらはウイルスおよびウイルス感染細胞の表面に非共有結合性で、オリゴマー性の複合体として発現される。ウイルスの標的細胞への進入は、次の(1)〜(3)の事項を含む細胞表面でのイベントのカスケードを介して進行する:(1)ウイルス表面の糖タンパク質gp120の細胞表面レセプターへの結合、(2)Envの融合コレセプターへの結合、および(3)gp41の複数のコンホメーション変化。 ビリオンと細胞表面との間の最初の高親和性相互作用は、gp120の細胞表面CD4(HIV-1に対する第1のレセプター)への結合である〔Dalgleish et al.; 1984; Klatzmann et al., 1984; Maddon et al., 1986; McDougal et al., 1986〕。この結合は、gp120の高次構造上の変化を誘導し、これによって幾つかのケモカインレセプターのうちの1つと相互作用することが可能となる(Berger, 1997; Bieniasz et al., 1998; Dragic et al., 1997; Littman, 1998)。CC-ケモカインレセプター5(CCR5)は、マクロファージ向性(R5)株の主要なコレセプターであり、HIV-1の伝染において重要な役割を演ずる(Berger, 1997; Bieniasz et al., 1998; Dragic et al., 1997; Littman, 1998)。T細胞系指向性(X4)ウイルスは、CXCR4を使用して標的細胞に侵入し、通常(常にではない)、病状の進行した後期に出現するか又は組織培養におけるウイルス増殖の結果として出現する。幾つかの一次HIV−1分離株は、常に同じ効率というわけではないが、両方のコレセプターを使用することができるので、二重指向性(R5X4)である(Connor et al., 1997; Simmons et al., 1996)。gp120がケモカインレセプターに結合することによって、次にウイルスの膜貫通糖タンパク質gp41のコンホメーション変化を惹起し、これによってウイルスと細胞膜との融合が媒介される。この複数工程のプロセスの各段階を、適切なウイルスまたは細胞質タンパク質のインヒビターでブロックできる。また、gpl20, gp41, CD4およびコレセプターのインヒビターは、集合的に侵入インヒビターとして知られる。侵入インヒビターは、彼等の分子標的およびウイルス耐性の決定因子に基づいて4つの区別しえるクラスの因子を示す〔Olson and Maddon, 2003〕。表1は、臨床的な使用のために臨床開発され、承認されたことが知られているHIV-1侵入インヒビターを示す。 PRO 542は、ヒトIgG2の重鎖および軽鎖の定常領域へと遺伝的に融合させたCD4のD1D2ドメインを含んでいる四価の第3世代のCD4-IgG2融合タンパク質である(Allaway et al., 1995; Zhu et al., 2001)。この薬剤は、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120にナノモル親和性(nanomolar affinity)で結合し、レセプターブロックおよびgp120をビリオンの表面から脱離(detaching)させることの双方でウイルス付着を阻害し、前記ウイルスを不可逆的に不活性化しえる。 BMS-488043は、BMS-378806の至適化されたアナログ (PCTの国際公開第WO 01/62255 A1およびWO 03/082289 A1号パンフレットを参照されたい)であり、gpl20のCD4への付着(Lin et al., 2002; 2003)および付着後のイベント(Si et al., 2004)をブロックするとの様々な報告がなされている。 TNX-355は、抗-CD4モノクローナル抗体(mAb)5A8のヒト化IgG4バージョンであり、gpl20のCD4への付着後に発生する融合イベントをブロックする(Burkly et al., 1992; Moore et al., 1992)。 PRO 140(ヒト化抗-CCR5 mAb)、および小分子CCR5アンタゴニスト、SCH-D〔現在、SCH 417670またはヴィクリヴィロック(vicriviroc)とも称される〕, UK-427,857〔マラビロック(maraviroc)とも称される〕およびGW873140を、以下で議論する。 CCR5mAb004は、完全なヒトmAbであり、Abgenix XenoMouse(登録商標)技術を用いて作出されたものであり、CCR5を認識して、結合する(Roschke et al., 2004)。CCR5mAb004は、HIV-1ウイルスのヒト細胞へのCCR5依存的な侵入を阻害することが報告されており、最近第1相臨床試験が開始された(HGS Press Release, 2005)。 HIV-I感染を阻害する能力があると同定された最初の小分子の抗CCR5アンタゴニストは、TAK-779であった(Baba et al., 1999)。しかしながら、TAK-779は、経口のバイオアベイラビリティー(Baba et al., 2005)が低く、また局所性注射部位刺激作用(Iizawa et al., 2003)を呈し、臨床開発中にTAK-779誘導体, TAK-652(Baba et al., 2005)に置き換わった。TAK-652は、インビトロでのナノモル範囲の強力な抗-HIV-1活性およびインビボでの有望な薬理学的なプロフィールを有する経口的に生物が利用可能なCCR5アンタゴニストである(Baba et al., 2005)。 AMD070は第2世代のCXCR4 インヒビターである;第1世代のCXCR4 インヒビター AMD3100は、HIV-l 治療に関して有効な安全性ウィンドウ(safety window)を実証しなかった(Schols et al., 2002)。 最終的に, T-20は、2つの中心的な第3相臨床試験の各々において有効な抗ウイルス性および安全性のプロフィールにしたがったHIV-l感染の代替療法(salvage therapy)に関して承認された(Lalezari et al., 2003; Lazzarin et al., 2003)。 抗HIV-1治療の標的としてのCCR51986年に最初に実証されたとおり、HIV-1は、標的細胞にCD4レセプターを介して結合するが、侵入を媒介するために付加的な宿主細胞因子を必要とする(Maddon et al., 1986)。次の10年で幾つかの候補コレセプターが提案されたが、別の非許容性細胞(nonpermissive cells)中でCD4と共発現させた場合に、ウイルス侵入の媒介を再現できなかった。しかしながら、1996年に特定のケモカインレセプター(主にCCR5およびCXCR4)が、HIV-lへの融合コレセプターとして作用することが示された。 Cocchi等(1995)は、初めてHIV-lおよびケモカイン〔小さい(〜8 kDa)相同的な可溶性タンパク質〕の間の関連性を示した。ケモカインは、免疫細胞の補充(recruitment)および活性化を媒介する。ケモカインは、4つの保存されたシステイン残基の最初の2つの数および配列上の類縁関係に基づいてCC-, CXC-, CX3C- および XC-ケモカインと分類される;大抵のものはCC-またはCXC-ケモカインの何れかである。CC-ケモカインRANTES, MIP-lαおよびMIP-1βは、HIV-lの一次のマクロファージ向性の複製をブロックすることが示された(Cocchi et al., 1995)。発現クローニング技術を用いて、Feng等(1996)はケモカインレセプターfusin(後にCXCR4と改名された)がT細胞株の成長に適合したHIV-lの株に関する融合コレセプターであることを発見した。その後すぐに、幾つかのグループが、CCR5(RANTESに特異性をもつCCケモカインレセプター)、MIP-lαおよびMIP-1βのクローニングを報告した(Combadiere et al., 1996; Raport et al., 1996; Samson et al., 1997)。次に他のグループは、CCR5が一次のマクロファージ向性HIV-1単離体によって使用される侵入補助因子であることを実証した(Alkhatib et al., 1996; Choe et al., 1996; Deng et al., 1996; Doranz et al., 1996; Dragic et al., 1996)。CCR5 および CXCR4 発現のパターンが、HIV-lの異なる株の向性に関連する長期にわたる謎の解明の一助となった。マクロファージ向性, T-細胞株向性および二重向性のウイルスは、侵入にそれぞれCCR5, CXCR4 または両方のレセプターを利用する能力に基づいてR5, X4 および R5X4ウイルスと分類できた。 種々の他のケモカインレセプターは、インビトロで過剰発現させた場合にHIV-l コレセプターとして機能できる。リストには、CCR8, Apj, V28, US28, CCR2b, CCR3, gprl, Bonzo (STRL33, TYMSTR), および BOB (gprl5)が含まれる。明らかに、ケモカイン レセプター ファミリーに属するタンパク質は、HIV-l 膜融合を促進する生化学的な特性を有する。しかしながら,前述のコレセプターの殆どは、非常に効率的ということはなく、正常にCD4と共発現されず、HIV-l, HIV-2 またはSIVの特定の株でのみ機能する。これらの代替的なコレセプターのインビボでの関連性は、確立されていない。 幾つかの因子によって、CCR5は新しい抗レトロウイルス治療の魅力的な標的となる。CCR5は、HIV-lの伝染および病因(pathogenesis)に中心的役割を担う。また、CCR5の天然の変異によって、HIV-lの感染および疾患の進行の防御がえられる。最も注目すべきCCR5の多形性は、CCR5の翻訳領域の32 bpの削除(A32)に関与する(Liu et al., 1996)。A32対立遺伝子は、細胞表面への到達に失敗する非機能的なレセプターをコード化する。1つの正常体および1つの突然変異体のCCR5遺伝子を所有している個体は、低いレベルのCCR5を発現し、それらのT細胞はインビトロでR5ウイルス感染に感受性が低い(Liu et al., 1996; Wu et al., 1997)。A32の異型接合体は、ウイルス負荷の減少およびAIDSへの進行の遅延によって特徴付けられ、疾患の経過は穏やかである(Huang et al., 1996; Michael et al., 1997)。これらの結果は、CCR5利用可能性の減少がウイルス性の複製を低下させ、疾患の進行を遅くできるとの概念を支持している。 2つの突然変異体CCR5遺伝子を有する個体は、北ヨーロッパ家系の人々のかなりの部分に含まれる;人口統計学は、CCR5使用病原体の世界的な流行前である状況を連想させる。係る個体は、機能的なCCR5タンパク質を発現しないヒトCCR5「ノックアウト」を代表している。稀な例(Balotta et al., 1997; Biti et al., 1997; O'Brien et al., 1997)を除き、これらの個体は、HIV-l感染に耐性(Huang et al., 1996; Liu et al., 1996; Michael et al., 1997; Samson et al., 1997)であり、彼等のT細胞はインビトロでR5ウイルスに感染されない(Liu et al., 1996)。これらの発見によって、HIV-l伝染におけるCCR5の中心的役割が強調される。事実、現在R5ウイルスが殆ど全例において伝染を媒介し、殆どのケースにおいてAIDSへの進行を媒介することが知られている。 重要なこととして、CCR5を欠損している個体は、正常な健康状態を享受し、明らかな免疫性の又は他の欠陥を呈示しない。これはケモカインシグナル伝達経路の重複性および限定的なCCR5発現のパターンを反映している。CCR5発現は、大部分は活性化したT細胞およびマクロファージに限定され、インビボでのHIV-l感染の主な標的を代表するものであるが、低レベルのCCR5発現も他の組織(例えば、平滑筋)において報告されている(Schecter et al., 2000)。CCR5ノックアウトマウスが作出され、CCR5機能を妨げる効果に更なる洞察が提供された。CCR5ノックアウトマウスは、正常に発生し、表面上は健常であるが、免疫応答の軽微な変化が特定の病原体への暴露に際して観察できた(Huffnagle et al., 1999; Schuh et al., 2002; Tran et al., 2000; Zhou et al., 1998)。対照的に,CXCR4 ノックアウトは、マウスに致死的な表現型であり(Lapidot et al., 2001)、ヒトでは観察されていない。 要約すると、これらの遺伝的な分析は、薬剤の標的としてCCR5に基づく新規な治療アプローチを強く支持している。逆転写酵素がエラーを生じがちな性質を有することから、薬物耐性の分離体の発生が育成される多くの遺伝的な多様性が生じ、HIV-lが複数の融合コレセプターを利用する能力によって、耐性へと至る1つの経路が提供される。薬剤耐性ウイルスが、全ての市販の抗レトロウイルス薬に対して単離されているが、適切な併用療法を用いた場合には重要な治療上の利益が提供される。従って、薬物耐性ウイルスが潜在的に出現するにもかかわらず、CCR5-ターゲティング剤はHIV-l感染の新たな治療パラダイムとして機能しえる。 CCR5の明らかに非必須の性質から、CCR5アンタゴニストはインビボで良好に耐えるだろうことが示唆されるが、免疫系がその存在下で発生した個体のCCR5機能を排除する長期の効果を決定するためにさらなる研究が必要とされる。係る潜在的に有害な効果は、CCR5に結合し、HIV-1の結合を阻害するが、正常なCCR5機能を損なわない因子を使用することによって軽減されるだろう。係る特性を有することが実証された1つの薬剤はヒト化抗-CCR5 mAb(PRO 140)であることが実証され、これによってCCR5の生理学的な活性が阻害されない濃度で効果的にHIV-lの複製がブロックされる(Olson et al., 1999)。PRO 140は、抗-HIV 活性を選抜する蛍光共鳴エネルギー移動(RET)アッセイを用いて同定された。これは約4 μg/mlのIC90を有している強力な抗ウイルス作用を有し(Olson et al., 1999; Trkola et al., 2001)、多様な一次標的細胞タイプを防御する(Ketas et al., 2003; Olson and Maddon, 2003)。PRO 140の反復性の投与によって、hu-PBL SCIDマウスモデルにおいてウイルスが逃避することなくHIV-1複製の長期間の制御がえられる。また、PRO 140は、現在ヒトでの第1相臨床試験にはいっている。 小分子CCR5アンタゴニストの同定に続いて、TAK-779 (Baba et al., 1999), 幾つかの他の小分子CCR5アンタゴニストを同定した。これらのうちの4つ(SCH-C, SCH-D, UK-427,857, GW873140)は、同様な設定のHIV感染個体での第1相試験を完了した(Reynes et al., 2002; Schurmann et al., 2004; Dorr et al., 2003; Lalezari et al., 2004)。これら薬剤の各々は、10-14日間の処理期間の間のHIV-l RNAレベルの用量依存的な〜1 log10 平均値減少を媒介した。予想どおり、ウイルス負荷は、療法の停止に続いてベースラインのレベルまでリバウンドした。最も普通の薬物関連の副作用は神経性(頭痛, 眩暈)および胃腸性(悪心, 下痢, 膨満)のものであり、これらは用量を制限するものではなかった。SCH-Cを除いて(Reyes et al., 2001)、上記の薬剤はQTcインターバルの臨床上の有意な変化を誘発しなかった。 二重盲検で、プラセボをコントロールとする、経口投与での単独用量試験を、健常な男性のボランティアにおいてTAK-652(TAK-779の後継者)の安全性, 耐容性, および薬物動態を評価するために実施した(Baba et al., 2005)。TAK-652溶液の単独投与は、安全であり、認容性があると伝えられている(Baba et al., 2005)。 総合的に、これらの試験によって、CCR5を治療のための標的としての予備的なバリデーションが提供される。小分子CCR5アンタゴニストは、異なる薬物動態および代謝特性を有する特許可能で区別しえる一連の化学物質を代表するが、前記化合物はCCR5機能の阻害, CCR5上の結合部位, 耐性プロフィール, および投薬計画(dosing regimen)において多くの特性を共有する。これらの類似性によって、おそらく小分子CCR5アンタゴニストで与えられる真正の治療オプションの数が制限されえる。そのうえ、CCR5機能の慢性的なブロックの有害な結果が存在するかどうかを決定することが残されている。また、HIV-1治療の小分子CCR5アンタゴニストの有用性を、第3相臨床試験で適切な安全性および有効性を実証して達成することが残されている。 モノクローナル抗体療法近年、mAb産物は、多様な疾患の設定における看護の新しい標準を提供する。現在、18のmAbsが合衆国食品医薬品局(FDA)によって承認されており、適応症には癌, 自己免疫疾患, 移植拒絶およびウイルス感染が含まれる。特に、14のmAbsが2000年から承認されている。多くの例において、mAbsによって、小分子化合物とは比肩できない安全性, 有効性および使い勝手の良いプロフィールが提供される。例には、Synagis(MedImmune, Inc., Gaithersburg, MD)〔呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するヒト化 mAb〕並びにRituxan(Genentech, San Francisco, CA)〔非ホジキンリンパ腫の介護標準を提供する抗-CD20 mAb〕が含まれる。 ヒト化抗CCR5 mAb(PRO 140)は、小分子CCR5アンタゴニストと構造的, 機能的および機構的に別であり、独特のCCR5インヒビターのクラスを代表するものである。PRO 140は、マウス mAb(PA14)のヒト化バージョンであり、CD4+CCR5+ 細胞に対して産生された(Olson et al., 1999)。PRO 140は、細胞表面で発現されたCCR5に結合し、HIV-1の侵入および複製をインビトロでHIV-1感染のhu-PBL-SCIDマウスモデルにおけるCCR5 ケモカインレセプター活性に影響しない濃度で強力に阻害する(Olson et al., 1999; Trkola et al., 2001)。後者の所見によって、インビボでのPRO 140 抗-HIV-1 治療のための概念の証明(proof-of-concept)が提供される。また、PRO 140は、現在第1a相臨床試験が行なわれている。 PRO 140および小分子CCR5アンタゴニストの間の重要な差異は、表2に要約される。開発中の小分子CCR5アンタゴニストが多くの特性を共有するが、PRO 140はこれらの小分子インヒビターとは明らかに別であることが表2から明らかである。2つのCCR5インヒビタークラスの間の差異によって、PRO 140が、基本的に小分子CCR5アンタゴニストとは別(多くの様式で相補的)の製品プロフィールを提供することが明らかである。実際、PRO 140は、HIV-1感染を治療するための新規の治療上のアプローチを代表するものであり、小分子CCR5アンタゴニストが最終的に臨床的に承認されるかどうかとは無関係にHIV-1治療に重要な役割を担うだろう。 異なるクラスのインヒビターによるHIV-1感染の相乗的な阻害HIV-1侵入の相乗的な阻害は、以前に特定の抗-Env抗体と他の抗Env抗体(Thali et al., 1992; Tilley et al., 1992; Laal et al., 1994; Vijh-Warrier et al., 1996; Li et al., 1997; Li et al., 1998), 抗CD4抗体(Burkly et al., 1995), またはCD4に基づくタンパク質(Allaway et al., 1993)との組み合わせを用いて実証されている。同様に,相乗効果が、抗CCR5抗体と他の抗CCR5 抗体, CCケモカイン, またはCD4に基づくタンパク質との組み合わせを用いて観察されている(Olson et al., 1999)。2000年の6月22日に公開されたPCT国際公開番号WO 00/35409に記載された先の研究は、HIV-1 付着 インヒビター および CCR5 コレセプター インヒビターの組み合わせを調査した。2001年の8月2日に公開されたPCT国際公開番号WO 01/55439に記載された先の研究は、gp41融合中間体およびHIV-1 付着のインヒビターの組み合わせを調査した。2002年の3月21日に公開されたPCT国際公開番号WO 02/22077に記載された先の研究は、融合インヒビター(fusion inhibitors)およびCCR5コレセプターインヒビターの組み合わせ、同様に、融合インヒビター、CCR5コレセプターインヒビター、およびHIV-1 付着インヒビターの三重の組み合わせを調査した。しかしながら、どの研究も異なるクラスのCCR5 コレセプター インヒビター(例えば、抗-CCR5 mAbsおよび非抗体CCR5アンタゴニスト)の組み合わせを調査していない。 [発明の概要]本発明の方法は、HIV-1感染ヒト被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させる方法を提供し、該方法は前記被験者に予め規定された間隔でHIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量の以下のものを投与することを備える: (a) PRO 140と称されるヒト化抗体、または (b) 抗CCR5レセプターモノクローナル抗体であって、 (i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、 (ii) CD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合をPRO 140の作用強度以上で阻害し、 (iii) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または (iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体、 ここで、PRO 140は、以下の鎖を具備し、 (i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖、ここで、前記HIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量は、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させるために前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgを具備する。 また、本発明は、ヒト被験者におけるHIV-1-関連障害の発病または進行を阻害するための方法であって、該阻害は前記被験者においてHIV-1とCCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害することによって成立(effected)する方法を提供し、該方法は前記被験者に予め規定された間隔で融合を阻害する有効量の以下のものを投与することを備える: PRO 140と称されるヒト化抗体、または 抗CCR5レセプター抗体であって、 (i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、 (ii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合を10 μg/ml以下のIC90の作用強度(potency)で阻害し、 (iii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または (iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体、 ここで、PRO 140は、以下の鎖を具備し、 (i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖、ここで、前記被験者におけるHIV-1-関連障害の発病(onset)または進行(progression)を阻害するために、前記抗体の各投与によって前記被験者に前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgが送達される。 さらに本発明は、ヒト被験者のHIV-1感染にかかる可能性を減少させる方法を提供し、該方法は前記被験者に予め規定された間隔で融合を阻害する有効量の以下のものを投与することを備える: PRO 140と称されるヒト化抗体、または 抗CCR5レセプター抗体であって、 (i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、 (ii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合を10 μg/ml以下のIC90の作用強度(potency)で阻害し、 (iii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または (iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体、 ここで、PRO 140は、以下の鎖を具備し、 (i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖、 ここで、前記被験者がHIV-1感染にかかる可能性(likelihood)を減少させるために、前記抗体の各投与によって前記被験者に前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgが送達される。 本発明は、HIV-1に感染した被験者を治療するための方法を提供し、該方法は前記被験者に(a)抗体であって、(i)CD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1とCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)CCR5レセプターの非抗体アンタゴニストを、前記被験者を治療するための有効量で投与することを備える。 また、本発明は、被験者におけるHIV-1-関連障害の発病または進行を阻害するための方法であって、該阻害は前記被験者においてHIV-1とCCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害することによって成立(effected)する方法を提供し、該方法は前記被験者に(a)抗体であって、(i)CD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1とCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)CCR5レセプターの非抗体アンタゴニストを、HIV-1と前記CCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害するための有効量で投与することを備え、これによって前記被験者におけるHIV-1-関連障害の発病または進行が阻害される。 更に、本発明は、被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させるための方法を提供し、該方法は前記被験者に(a)抗体であって、(i)CD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1とCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)CCR5レセプターの非抗体アンタゴニストを、前記被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させるための有効量で投与することを備える。 また、本発明は、被験者のHIV-1感染の治療において(i)抗CCR5レセプターモノクローナル抗体または(ii)非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストのHIV-1阻害活性を増強する方法を提供し、該方法は前記被験者にHIV-1阻害活性を増強させる量の抗CCR5レセプターモノクローナル抗体とHIV-1阻害活性を増強させる量の非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストとを組み合わせて投与することを備え、前記組み合わせはHIV-1感染を阻害することに相乗効果を生じて、(i)抗CCR5レセプターモノクローナル抗体または(ii)非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストの阻害活性を増強する。一態様において、相乗効果によって、非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストは抗CCR5レセプターモノクローナル抗体の約1/4〜1/10の用量減少(dose reduction)を生じ、抗CCR5レセプターモノクローナル抗体は非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストの約1/3〜1/16の用量減少を生じる。 [発明の詳細な記載]用語本明細書中に使用される次ぎの用語のそれぞれは、他に明示的に記載がなければ、以下に記載される意味を有する。 「投与(Administering)」は、当業者に既知の任意の様々な方法および送達システムを用いて、成立および実施(performed)される様式で送達することを意味する。前記投与は、例えば、局所的に, 静脈内に, 心膜内(pericardially), 経口的に, 非経口的に, 移植片を介して, 経粘膜的に(transmucosally), 経皮的に(transdermally), 皮内(intradermally), 筋肉内に, 皮下に, 腹腔内に, くも膜下腔内に, リンパ内(intralymphatically), 病巣内に(intralesionally), 硬膜外に(epidurally), またはインビボ電気穿孔法によって実施される。また、薬剤または組成物は、肺および/または鼻腔内の送達などのためにエアロゾルで投与してもよい。投与は、例えば、1回、複数回および/または1以上の延長期間(extended periods)で実施してもよい。 「抗体」には、2つの重鎖と2つの軽鎖を備え、抗原を認識する免疫グロブリン分子が含まれるが、限定されない。免疫グロブリン分子は、IgA、分泌型IgA、IgG、及びIgMを含む一般的に知られたクラスの何れに由来してもよいが、それらに限定されない。IgGサブクラスも、当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4が含まれるが、それらに限定されない。「抗体」には、例示として、天然および非天然の抗体の両方;モノクローン性およびポリクローン性の抗体;キメラおよびヒト化抗体;ヒトまたは非ヒト抗体;完全に合成の抗体;および単鎖抗体が含まれる。前記非ヒト抗体は、ヒトでの免疫原性を減少させるために、組換法によってヒト化してもよい。抗体をヒト化する方法は、当業者に公知である。また、「抗体」には、任意の上記の免疫グロブリン分子の断片(fragment)または部分(portion)並びに一価および二価の断片または部分が含まれるが、これらに限定されない。抗体断片には、例えば、Fc断片および抗原結合性の断片(Fab)が含まれる。 「抗ケモカインレセプター抗体(anti-chemokine receptor antibody)」は、ケモカインレセプター上のエピトープを認識し、結合する抗体を意味する。本明細書で使用する「抗CCR5抗体」とは、CCR5ケモカインレセプター上のエピトープを認識して結合するモノクローナル抗体を意味する。 「付着(Attachment)」とは、HIV−1エンベロープ糖タンパク質のヒトCD4レセプター(これは、融合コレセプターではない)への結合によって媒介される過程を意味する。 本明細書で使用する「CCR5」とは、ケモカインのC−C基のメンバーを結合し、そのアミノ酸配列が、Genbank受付番号1705896に提供されたアミノ酸配列を含むケモカインレセプター及び関連の多型変異種である。本明細書中に使用される、CCR5には、HIV-1エンベロープタンパク質に結合する能力のあるCCR5の細胞外部分が含まれるが、それらに限定されない。「CCR5」および「CCR5レセプター」は、同意(synonymously)で使用される。 「CD4」とは、細胞質ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、及びHIV−1 gp120エンベロープ糖タンパク質に結合する細胞外ドメインを含む成熟した、ネイティブの、膜結合型CD4タンパク質を意味する。 「CDR」又は「相補性決定領域(complementarity determining region)」とは、抗体の可変ドメイン中に存在する高度に可変的なアミノ酸の配列を意味する。「細胞」には、生物学的細胞(例えば、HeLa細胞細胞)および非生物学的細胞(例えば、リン脂質ベシクルまたはウイルス粒子)が含まれる。また、「HIV感染に感受性の細胞(cell susceptible to HIV infection)」には、「標的細胞(target cell)」を意味してもよく、HIVまたはHIV感染細胞によって感染されている又は融合する能力のある細胞が含まれる。 「CXCR4」とは、ケモカインのC−X−C基のメンバーを結合し、そのアミノ酸配列が、Genbank受付番号400654に提供されたアミノ酸配列を含むケモカインレセプター及び関連する多型変異種である。本明細書中に使用される、CXCR4には、HIV-1エンベロープタンパク質に結合する能力のあるCXCR4の細胞外部分が含まれる。 HIV-1に「暴露される(Exposed)」は、感染が生じるようなHIV-1との接触を意味する。 「完全にヒト(fully human)」の抗体は、全てのアミノ酸がヒトの免疫グロブリン分子におけるアミノ酸と一致する抗体を意味する。「完全にヒト」および「ヒト」は、同意で使用される。 「HIV」は、ヒト免疫不全症ウイルスを意味する。HIVは、HIV-1を含むが限定されない。HIV−1には、HIV−1に感染した細胞に関連するHIV−1の細胞外ウイルス粒子及び形態が含まれるが、それらに限定されない。ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)は、2つの既知のタイプのHIV(HIV-1またはHIV-2)の何れかであってもよい。HIV-1ウイルスは、任意の既知の主要なサブタイプ(クラス A, B, C, D, E, F, G および H)または周辺(outlying)のサブタイプ(グループO)を表してもよい。HIV-1JR-FLは、AIDS患者の脳組織から剖検で最初に単離された系統である。前記ウイルスがクローン化され、そのエンベロープ糖タンパク質のDNA配列が知られている(GenBankアクセッション番号U63632)。ウイルス侵入のインヒビターへの感受性の点に関して、HIV-1JR-FLは、一次のHIV-1単離体を代表することが知られている。 「ヒト化(humanized)」抗体とは、CDR領域外のアミノ酸の幾つか、殆ど、又は全てが、ヒト免疫グロブリン分子由来の対応するアミノ酸で置換された抗体を意味する。ヒト化された形態の前記抗体のある態様では、CDR領域外のアミノ酸の幾つか、殆ど、又は全てが、ヒト免疫グロブリン分子由来のアミノ酸で置換されているが、1以上のCDR領域内の幾つか、殆ど、又は全てのアミノ酸は、変化していない。抗体が所与の抗原に結合する能力をこれらがなくさない限り、アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換、または修飾は許される。適切なヒト免疫グロブリン分子は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgEおよびIgM分子を含む。「ヒト化」抗体は、オリジナル抗体の抗原特異性と類似する抗原特異性を保持する。 「モノクローナル抗体」は、mAbとも表記され、その一次配列が、本質的に同一で、同じの抗原特異性を示す抗体分子である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、トランスジェニック、又は当業者に公知である他の手法によって作成され得る。 「CCR5レセプターの非抗体アンタゴニスト(non-antibody antagonist of a CCR5 receptor)」は、抗体を含まなく、CCR5レセプターに結合し、このレセプターの活性を阻害する薬剤を意味する。係る阻害には、HIV-1とCCR5 レセプターとの結合を阻害することが含まれえる。例示として、非抗体アンタゴニストには、核酸, 炭水化物, 脂質, オリゴペプチド, および小さい有機分子が含まれる。 「被験者のウイルス感染にかかる可能性を減少させる(Reducing the likelihood of a subject's contracting a viral infection)」は、被験者が前記ウイルスに感染される可能性を少なくとも1/2まで減少させることを意味する。例えば、被験者が前記ウイルスに感染される1%の見込み(1% chance)を有している場合、被験者がウイルス感染にかかる可能性が1/2に減少することによって、被験者が前記ウイルスに感染される見込みは0.5%となる。本発明の好適な態様において、「被験者のウイルス感染にかかる可能性を減少させる」は、被験者が前記ウイルスに感染される可能性を少なくとも1/10に減少させることを意味する。 「小分子(small-molecule)」CCR5レセプターアンタゴニストには、例えば、CCR5レセプターに結合し、前記レセプターの活性を阻害する小さい有機分子が含まれる。係る阻害には、例えば、HIV-1と前記レセプターとの結合を阻害することが含まれる。一態様において、小さい有機分子は、1,500 ダルトン未満の分子量を有する。別の態様において、前記分子は、600 ダルトン未満の分子量を有する。 「被験者(Subject)」には、HIVに感染し得る任意の動物又は人工的に修飾した動物が含まれる。動物には、ヒト, 非ヒト霊長類, イヌ, ネコ, ウサギ, フェレット, および齧歯類、例えば、マウス, ラット および モルモットが含まれるが、これらに限定されない。人工的に修飾した動物には、ヒトの免疫系を有するSCIDマウスが含まれるが、これに限定されない。好ましい態様では、前記被験者はヒトである。 2以上の薬剤の間の「相乗作用(Synergy)」は、相加効果よりも大きな薬剤の併用効果を意味する。相乗的な、薬剤の間の相加性または拮抗性の効果は、併用指標(CI; Combination Index)法を用いた用量反応曲線の分析によって定量されえる。1より大きなCI値は、拮抗作用を示す;1と等しいCI値は、相加作用を示す;1未満のCI値は、相乗作用を示す。一態様において、相乗的な相互作用のCI値は、0.9未満である。別の態様において、前記CI値は、0.8未満である。好適な態様において、前記CI値は、0.7未満である。 「被験者におけるHIV-1感染を治療すること」は、被験者のHIV-1障害の進行を遅くすること、停止させること、又は回復させること(reversing)を意味する。好ましい態様では、「治療する」とは、前記疾患がなくなるポイントまで進行を回復させることを意味する。本明細書で使用する「治療する」とは、ウイルスの感染数の減少、感染性ウイルス粒子の数の減少、ウイルスに感染した細胞の数の減少、又はHIV−1に随伴する症状の改善も意味する。被験者におけるウイルス負荷を減少させることは、前記被験者を治療する一態様である。 [発明の態様]本発明の方法は、HIV-1感染ヒト被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させる方法を提供し、該方法は前記被験者に予め規定された間隔でHIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量の以下のものを投与することを備える: (a) PRO 140と称されるヒト化抗体、または (b) 抗CCR5レセプターモノクローナル抗体であって、 (i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、 (ii) CD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合をPRO 140の作用強度以上で阻害し、 (iii) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または (iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体、 ここで、PRO 140は、以下の鎖を具備し、 (i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖、ここで、前記HIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量は、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させるために前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgを具備する。 一態様において、前記抗CCR5レセプターモノクローナル抗体は、PRO 140が結合するものと同じCCR5エピトープに結合する。前記抗CCR5レセプターモノクローナル抗体は、例えば、ヒト化, ヒト, またはキメラ抗体であってもよい。好適な態様において、前記被験者に投与される抗体は、PRO 140と称される抗体である。 一態様において、ウイルス負荷を減少させる有効量は、0.25 mg/kg〜7.5 mg/kg被験者体重である。別の態様において、前記用量は、0.5 mg/kg〜5 mg/kg被験者体重である。別の態様において、前記用量は、1 mg/kg〜3 mg/kg被験者体重である。別の態様において、前記用量は、2 mg/kg被験者体重である。 別の態様において、ウイルス負荷を減少させる有効量は、被験者中で少なくとも 400 ng/mlの抗体の血清中濃度を達成するために十分である。更なる一態様において、標準の間隔で投与される用量は、被験者中で少なくとも 1 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である。更なる一態様において、前記用量は、被験者中で約 3 μg/ml〜約 12 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である。更なる一態様において、前記用量は、被験者中で少なくとも 5 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である。更なる一態様において、前記用量は、被験者中で少なくとも 10 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である。更なる一態様において、前記用量は、被験者中で少なくとも 25 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である。更なる一態様において、前記用量は、被験者中で少なくとも 50 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である。 本発明の一態様において、予め規定された間隔は、少なくとも毎週1回である。別の態様において、予め規定された間隔は、2週〜4週毎(every two to four weeks)である。更なる態様において、予め規定された間隔は、2週毎又は4週毎である。更なる態様において、予め規定された間隔は、少なくとも毎月1回(once monthly)、6週毎、または8週毎である。本発明の別の態様において、被験者のHIV-1ウイルス負荷の減少は、少なくとも1週間維持される。別の態様において、被験者のHIV-1ウイルス負荷は、少なくとも2週間維持される。別の態様において、被験者のHIV-1ウイルス負荷の減少は、少なくとも4週間維持される。別の態様において、被験者のHIV-1ウイルス負荷の減少は、少なくとも3週間維持される。 一態様において、前記抗体は、静脈内への点滴(infusion)を介して投与される。別の態様において、前記抗体は、皮下(subcutaneous)への注射を介して投与される。一態様において、被験者のHIV-1ウイルス負荷は、前記抗体の投与に続いて少なくとも50%まで減少する。別の態様において、被験者のHIV-1ウイルス負荷は前記抗体の投与に続いて少なくとも70%まで減少し、好ましくは前記抗体の投与に続いて少なくとも90%まで減少する。 本発明の一態様において、前記方法はさらに被験者に少なくとも1つの抗HIV-1抗レトロウイルス剤を投与することを備える。前記抗HIV-1抗レトロウイルス剤は、例えば、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター (NNRTI), ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI), プロテアーゼインヒビター(PI), 融合インヒビター, 又は任意のその組み合わせである。一態様において、前記被験者は未治療者(treatment-naive)である。好ましい態様では、前記被験者は治療経験者(treatment-experienced)である。 別の態様において、(a)前記モノクローナル抗体を前記被験者に投与する前に、前記被験者は少なくとも1つの抗HIV-1抗レトロウイルス剤での治療を受けており、(b)前記モノクローナル抗体の投与と同時に、前記被験者は前記被験者中のHIV-1ウイルス負荷の減少化を増強させるために薬剤での治療を連続して受け取る。抗HIV-1抗レトロウイルス剤は、例えば、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター (NNRTI), ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI), プロテアーゼインヒビター(PI), 融合インヒビター, 又は任意のその組み合わせである。 また、本発明は、ヒト被験者におけるHIV-1-関連障害の発病(onset)または進行(progression)を阻害するための方法であって、該阻害は前記被験者においてHIV-1とCCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害することによって成立(effected)する方法を提供し、該方法は前記被験者に予め規定された間隔で融合を阻害する有効量の以下のものを投与することを備える: PRO 140と称されるヒト化抗体、または 抗CCR5レセプター抗体であって、 (i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、 (ii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合を10 μg/ml以下のIC90の作用強度(potency)で阻害し、 (iii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または (iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体、 ここで、PRO 140は、以下の鎖を具備し、 (i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖、ここで、前記被験者におけるHIV-1-関連障害の発病(onset)または進行(progression)を阻害するために、前記抗体の各投与によって前記被験者に前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgが送達される。 さらに本発明は、ヒト被験者のHIV-1感染にかかる可能性を減少させる方法を提供し、該方法は前記被験者に予め規定された間隔で融合を阻害する有効量の以下のものを投与することを備える: PRO 140と称されるヒト化抗体、または 抗CCR5レセプター抗体であって、 (i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、 (ii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合を10 μg/ml以下のIC90の作用強度(potency)で阻害し、 (iii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または (iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体、 ここで、PRO 140は、以下の鎖を具備し、 (i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖、ここで、前記被験者がHIV-1感染にかかる可能性(likelihood)を減少させるために、前記抗体の各投与によって前記被験者に前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgが送達される。一態様において、前記被験者は、HIV-1に暴露された被験者である。別の態様において、前記被験者は、HIV-1に暴露されるリスクがある。 また、本発明は、ある形態の抗HIV-1治療に耐性が発生したHIV-1感染ヒト被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させる方法を提供し、該方法は前記被験者に予め規定された間隔でHIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量の以下のものを投与することを備える: (a) PRO 140と称されるヒト化抗体、または (b) 抗CCR5レセプターモノクローナル抗体であって、 (i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、 (ii) CD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合をPRO 140の作用強度以上で阻害し、 (iii) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または (iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体、 ここで、PRO 140は、以下の鎖を具備し、 (i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖、ここで、前記HIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量は、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させるために前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgを具備する。 ある態様では、前記形態の抗HIV-1療法は、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター (NNRTI), ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI), プロテアーゼインヒビター(PI), 融合インヒビター, 又は任意のその組み合わせである。別の態様において、融合インヒビターは非抗体CCR5アンタゴニスト(non-antibody CCR5 antagonist)である。更なる一態様において、前記非抗体CCR5アンタゴニストは、小分子CCR5アンタゴニストである。なお別の態様において、前記小分子CCR5アンタゴニストは、経口的に投与される。 本発明の方法において、前記抗体は、小分子CCR5アンタゴニストの投与と同じ時間(same time)に、と同時に(concurrently)、の前に、又は小分子CCR5アンタゴニストの投与に引き続き投与されてもよい。被験者を治療するために前記被験者に2以上の薬剤を投与することに関して、各薬剤は前記被験者に互いの薬剤が同じ治療期間内に投与されてもよい。前記薬剤は、同じ時間に、同じ又は異なる組成物中で、同じ又は異なる投与経路を介して共に投与することができる。或いは、各薬剤は、互いの薬剤が投与されるものとは異なる投薬計画(例えば、頻度, 経路および量)を介して投与される。例えば、2つの投与される薬剤の第1の薬剤(例えば、抗体)は、皮下注射を介して2週間隔で1年の治療期間投与されてもよく、他方で同じ1年の期間に第2の投与される薬剤(例えば、小分子)を経口的に2回/日で投与される。従って、「同時投与(concurrent administration)」は、少なくとも2つの薬剤を1つの治療期間内に投与することを意味する。 また、本発明は、HIV-1に感染した被験者を治療するための方法を提供し、該方法は前記被験者に(a)抗体であって、(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者を治療するための有効量で投与することを備える。 また、本発明は、被験者におけるHIV-1-関連障害の発病または進行を阻害するための方法であって、該阻害は前記被験者においてHIV-1とCCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害することによって成立(effected)する方法を提供し、該方法は前記被験者に(a)抗体であって(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者のHIV-1-関連障害の発病または進行を阻害するための有効量で投与することを備える。 更に、本発明は、被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させるための方法を提供し、該方法は前記被験者に(a)抗体であって、(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させるための有効量で投与することを備える。一態様において、前記被験者は、HIV-1に暴露されている。別の態様において、前記被験者は、HIV-1に暴露されるリスクがある。 また、本発明は、CCR5に結合する別のクラスの化合物の組み合わせ(すなわち、抗-CCR5 mAbsおよび非抗体CCR5アンタゴニスト)の、感受性の標的細胞に融合し、侵入するHIV-1における効果に関する。標的細胞のHIV-1感染の相乗的な阻害は、以前に異なるHIV-1侵入インヒビターの組み合わせを用いて実証された。しかしながら、どの研究も同じCCR5コレセプターを標的とする異なるクラスのインヒビターの組み合わせを調査していない。 特に、本発明は、HIV-1に感染した被験者を治療するための方法を提供し、該方法は前記被験者に(a)抗体であって、(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者を治療するための有効量で投与することを備える。 更に、本発明は、被験者におけるHIV-1-関連障害の発病または進行を阻害するための方法であって、該阻害は前記被験者においてHIV-1とCCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害することによって成立(effected)する方法を提供し、該方法は前記被験者に(a)抗体であって(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者のHIV-1-関連障害の発病または進行を阻害するための有効量で投与することを備える。 また、本発明は、被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させるための方法を提供し、該方法は前記被験者に(a)抗体であって、(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させるための有効量で投与することを備える。一態様において、前記被験者は、HIV-1に暴露されている。別の態様において、前記被験者は、HIV-1に暴露されるリスクがある。 また、本発明は、被験者のHIV-1感染の治療において(i)抗CCR5レセプターモノクローナル抗体または(ii)非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストのHIV-1阻害活性を増強する方法を提供し、該方法は前記被験者にHIV-1阻害活性を増強させる量の抗CCR5レセプター モノクローナル抗体とHIV-1阻害活性を増強させる量の非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストとを組み合わせて投与することを備え、前記組み合わせはHIV-1感染を阻害することに相乗効果を生じて、(i)抗CCR5レセプターモノクローナル抗体または(ii)非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストの阻害活性を増強する。一態様において、相乗効果によって、非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストは抗CCR5レセプターモノクローナル抗体の約1/4〜1/10の用量減少(dose reduction)を生じ、抗CCR5レセプターモノクローナル抗体は非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストの約1/3〜1/16の用量減少を生じる。 別の態様において、前記方法は、1以上の非抗体CCR5レセプターアンタゴニストのHIV-1阻害活性増強量(HIV-1 inhibitory activity potentiating amount)を備える。別の態様において、前記方法は、1以上の抗CCR5レセプターモノクローナル抗体のHIV-1阻害活性増強量を備える。なお別の態様において、抗CCR5レセプターモノクローナル抗体および非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、前記被験者に同時に投与される。 一態様において、前記モノクローナル抗体は、PA14(ATCCアクセッション番号 HB-12610)と称されるハイブリドーマ株化細胞によって産生されるPA14またはCCR5レセプターに結合するモノクローナル抗体PA-14と競合する抗体である。別の態様において、前記モノクローナル抗体は、PRO 140と称されるヒト化抗体またはCCR5レセプターに結合するPRO 140と競合する抗体であり、ここで、PRO 140は、以下の鎖を具備する: (i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖。別の態様において、前記モノクローナル抗体は、PRO140と称されるヒト化抗体である。別の態様において、前記モノクローナル抗体はCCR5mAb004または2D7である。 一態様において、非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、SCH-D, TAK-779, TAK-652, UK-427,857, RANTES, GW873140, 又はその組み合わせである。別の態様において、非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5 レセプターとの結合においてSCH-Dと競合する小さい有機分子である。別の態様において、非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5 レセプターとの結合においてUK-427,857と競合する小さい有機分子である。なお別の態様において、非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5 レセプターとの結合においてTAK-779と競合する小さい有機分子である。一態様において、非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5 レセプターとの結合においてTAK-652と競合する小さい有機分子である。別の態様において、非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5 レセプターとの結合においてGW873140と競合する小さい有機分子である。 本明細書に記載された任意の方法の一態様において、抗-CCR5抗体は、モノクローナル抗体である。別の態様において、前記抗体は、ポリクローナル抗体である。更なる一態様において、前記抗体は、ヒト化抗体である。更なる一態様において、前記抗体は、ヒト抗体である。付加的な態様において、前記抗体は、キメラ抗体である。一態様において、前記抗体は、Human Genome Sciencesによって生産されたCCR5mAb004と称される抗CCR5ヒト抗体である。 モノクローナル抗体PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、およびPA14を分泌するマウスハイブリドーマは、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(「ブダペスト条約」)の要件に従い、これを充足するために、以下のアクセッション番号の下に1998年12月2日に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110-2209に寄託された:ATCCアクセッション番号HB-12605 (PA8), ATCCアクセッション番号HB-12606 (PA9), ATCCアクセッション番号12607 (PA10), ATCCアクセッション番号HB-12608 (P11), ATCCアクセッション番号HB-12609 (PA12), およびATCCアクセッション番号HB-12610 (PA14)。 本発明の更なる一態様において、前記モノクローナル抗体は、PA14(ATCCアクセッション番号 HB-12610)と称されるハイブリドーマ株化細胞によって産生されるPA14またはCCR5レセプターに結合するモノクローナル抗体PA-14と競合する抗体である。なお更なる態様において、前記モノクローナル抗体は、モノクローナル抗体PA14が結合するものと同じエピトープに結合する抗体である。同じエピトープへの結合が発生する場合、競合阻害が生じる。 別の態様において、前記モノクローナル抗体は、PA14 (ATCCアクセッション番号. HB-12610)と称されるハイブリドーマから産生されるPA14、PA8 (ATCCアクセッション番号. HB-12605)と称されるハイブリドーマから産生されるPA8、PA9 (ATCCアクセッション番号. HB-12606)と称されるハイブリドーマから産生されるPA9、PA10 (ATCCアクセッション番号. HB-12607)と称されるハイブリドーマから産生されるPA10、PA11 (ATCCアクセッション番号. HB-12608)と称されるハイブリドーマから産生されるPA11、PA12 (ATCCアクセッション番号. HB-12609)と称されるハイブリドーマから産生されるPA12、および 2D7 (Wu et al., 1997)からなる群から選択される。更なる一態様において、前記モノクローナル抗体は、PA14である。 当業者であれば、本発明のヒト化抗体を作出する方法を知っているであろう。種々の刊行物(また、いくつかは本出願に参照によって本明細書に援用される)でも、ヒト化抗体を作出する方法を記載する。たとえば、米国特許第4,816,567に記載された方法は、1つの抗体の可変領域および別の抗体の定常領域を有するキメラ抗体の産生を含む。 米国特許第5,225,539号は、ヒト化抗体の産生のためのもう一つのアプローチを記載する。この特許は、ヒト化抗体が所望の標的を認識するが、ヒト被験者の免疫系によって有意な方法で認識されないように、1つの免疫グロブリンの可変領域のCDRを異なる特異性を有する免疫グロブリンに由来するCDRで置換される、ヒト化抗体を産生する組換えDNA技術の使用を記載する。特に、CDRをフレームワークに融合させるために、部位特異的突然変異誘発が使用される。 抗体をヒト化するためのその他のアプローチは、米国特許第5,585,089号および第5,693,761号)並びに国際公開公報第WO90/07861号に記載されており、これはヒト化免疫グロブリンを産生するための方法を記載する。これらは、ドナーの免疫グロブリンに由来する1つまたは複数のCDRおよびさらなる可能なアミノ酸、および受け入れるヒトの免疫グロブリンに由来するフレームワーク領域を有する。これらの特許は、所望の抗原に対する抗体の親和性を増大するための方法を記載する。フレームワーク内の一部のアミノ酸は、アクセプターのものよりもむしろドナーのものの位置のアミノ酸と同じであるように選択される。特に、これらの特許は、ヒト免疫グロブリンフレームワークおよび定常領域とマウス・モノクローナル抗体のCDRを結合することによってレセプターに結合するヒト化抗体の調製を記載する。ヒト・フレームワーク領域は、マウス配列と相同性が最大になるように選択することができる。CDRまたは特異的な抗原と相互作用する可能性が高いフレームワーク領域のアミノ酸を同定するために、コンピュータ・モデルを使用することができ、次いでマウス・アミノ酸をこれらの位置で使用してヒト化抗体を作製することができる。上記の方法は、単に当業者がヒト化抗体を作製するために使用することができるいくつかの方法を図解するだけである。 完全なヒト抗体を作出するための方法は、当業者に周知である。例えば、完全なヒトモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリンの重および軽鎖の遺伝子座の大きな部分に関してトランスジェニックである動物を免疫することによって調製することができる。例えば、米国特許第5,591,669, 5,545,806, 5,545,807, 6,150,584号、及びそれらが引用している文献を参照されたい(これらの文献の内容は、本明細書中に参照によって援用される)。これらのトランスジェニック動物は、内在性の(例えば、マウスの)抗体の産生において機能的な削除が存在するように遺伝子改変されている。前記動物は、これらの動物の免疫化によって所望の抗原に対する完全なヒト抗体の産生が得られるように、ヒトの生殖細胞系の免疫グロブリン遺伝子座位の全て又は部分が含まれるようにさらに修飾される。これらの動物〔例えば、Xenoマウス(登録商標)(Abgenix), HuMAb-Mouse(登録商標) (Medarex/GenPharm)〕の免疫化に続いて、モノクローナル抗体を標準のハイブリドーマ技術にしたがって調製することができる。これらのモノクローナル抗体は、ヒトの免疫グロブリンアミノ酸配列を有するので、ヒトに投与した際にヒト抗マウス抗体(HAMA)反応を惹起しない。 ヒト抗体を産生するためのインビトロ法も存在する。これらには、ファージディスプレイ技術(米国特許第5,565,332 および 5,573,905) およびヒトB細胞のインビトロ刺激(米国特許第5,229,275 および 5,567,610)が含まれる。これらの特許の内容は、本明細書中に参照によって援用される。 ヒト化のPRO 140抗体の重および軽鎖をコード化している核酸は、ATCCに寄託されている。具体的には、それぞれpVK-HuPRO140, pVg4-HuPRO140 (mut B+D+I) および pVg4-HuPRO140 HG2と称されるプラスミドは、ブダペスト条約の要件に従い、これを充足するために、それぞれアクセッション番号PTA 4097, PTA 4099 および PTA 4098の下に2002年2月22日に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, Manassas, VA, U.S.A. 20108)に寄託された。 本発明の方法の好適な態様において、前記モノクローナル抗体は、PRO 140と称されるヒト化抗体またはCCR5レセプターに結合するPRO 140と競合する抗体であり、ここで、PRO 140は、以下の鎖を具備する: (i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定(ATCC Deposit Designation) PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖。更なる態様において、前記モノクローナル抗体は、抗体PA14が結合するものと同じエピトープに結合するヒト化またはヒト抗体である。別の態様において、前記モノクローナル抗体は、PRO140と称されるヒト化抗体である。更なる態様において、前記モノクローナル抗体は、CCR5mAb004と称されるヒト抗体である(Roschke et al., 2004; HGS Press Release, 2004; 2005)。 本明細書に記載された方法の一態様において、前記抗体の部分(portion)は前記抗体の軽鎖を具備する。別の態様において、前記抗体の部分は、前記抗体の重鎖を具備する。更なる態様において、前記抗体の部分は、前記抗体のFab部分を具備する。なお更なる態様において、前記抗体の部分は、前記抗体のF(ab')2部分を具備する。付加的な態様において、前記抗体の部分は、前記抗体のFd部分を具備する。別の態様において、前記抗体の部分は、前記抗体のFv部分を具備する。更なる態様において、前記抗体の部分は、前記抗体の可変ドメインを具備する。なお更なる態様において、前記抗体の部分は、前記抗体の1つまたは複数のCDRドメインを具備する。なお別の態様において、前記抗体の部分は、前記抗体の6つのCDRドメインを具備する。 本方法の一態様において、前記抗体は前記被験者に複数回投与され、前記抗体の各投与は前記抗体の0.01 mg/kg体重〜50 mg/kg体重を前記被験者に送達する。別の態様において、前記抗体の各投与は、前記抗体の0.05 mg/kg体重〜25 mg/kg体重を前記被験者に送達する。更なる態様において、前記抗体の各投与は、前記抗体の0.1 mg/kg体重〜10 mg/kg体重を前記被験者に送達する。なお更なる態様において、前記抗体の各投与は、前記抗体の0.5 mg/kg体重〜5 mg/kg体重を前記被験者に送達する。別の態様において、前記抗体の各投与は、前記抗体の1 mg/kg体重〜3 mg/kg体重を前記被験者に送達する。好適な態様において、前記抗体の各投与は、前記抗体の約2 mg/kg体重を前記被験者に送達する。 一態様において、前記抗体は複数回投与され、前記抗体の最初の投与は前記抗体の引き続く投与と1週未満の間隔で分離される。別の態様において、前記抗体の最初の投与は前記抗体の引き続く投与と少なくとも1週の間隔で分離される。更なる態様において、前記抗体の最初の投与は前記抗体の引き続く投与と1週の間隔で分離される。別の態様において、前記抗体の最初の投与は前記抗体の引き続く投与と2週〜4週の間隔で分離される。好適な態様において、前記抗体の最初の投与は前記抗体の引き続く投与と2週の間隔で分離される。更なる態様において、前記抗体の最初の投与は前記抗体の引き続く投与と4週の間隔で分離される。なお別の態様において、前記抗体は複数回投与され、前記抗体の最初の投与は前記抗体の引き続く投与と少なくとも1月の間隔で分離される。 更なる態様において、前記抗体は、対象に静脈内への点滴を介して投与される。好適な態様において、前記抗体は、被験者に皮下への注射を介して投与される。別の態様において、前記抗体は、被験者に筋肉内(intramuscular)への注射を介して投与される。 本発明の方法の一態様において、非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、小さい有機分子(small organic molecule)である。別の態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは、SCH-D, UK-427,857, TAK-779, TAK-652, GW873140 および RANTESからなる群から選択される。更なる態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しSCH-D'sと競合する薬剤である。なお更なる態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しUK-427,857'sと競合する薬剤である。別の態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しTAK-779'sと競合する薬剤である。なお別の態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しTAK-652'sと競合する薬剤である。更なる態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しGW873140'sと競合する薬剤である。 本明細書に記載の方法の付加的な態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは複数回投与され、前記CCR5レセプターアンタゴニストの各投与は前記CCR5レセプターアンタゴニストの0.5 mg〜2,500 mgを前記被験者に送達する。別の態様において、CCR5レセプターアンタゴニストの各投与は、前記アンタゴニストの5 mg〜1,250 mgを前記被験者に送達する。なお別の態様において、CCR5レセプターアンタゴニストの各投与は、前記アンタゴニストの5 mg〜15 mgを前記被験者に送達する。更なる態様において、CCR5レセプターアンタゴニストの各投与は、前記アンタゴニストの50 mg〜1,250 mgを前記被験者に送達する。なお更なる態様において、CCR5レセプターアンタゴニストの各投与は、前記アンタゴニストの200 mg〜800 mgを前記被験者に送達する。別の態様において、CCR5レセプターアンタゴニストの各投与は、前記アンタゴニストの300 mg〜600 mgを送達する。 彼等の急速なクリアランスのために、小分子CCR5レセプターアンタゴニストは、ウイルスの選択圧を維持するために、少なくとも毎日1回または毎日2回の投薬を必要とする。表3は、臨床試験が現在行なわれている多様な小分子CCR5アンタゴニストで実施された投薬計画の概要を記載している。本発明の方法の一態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは、経口的に被験者に少なくとも1回/日で投与される。別の態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは、経口的に被験者に1回または2回/日で投与される。更なる態様において、CCR5レセプターアンタゴニストは、経口的に3以下の回数/日で投与される。 CCR5アンタゴニストに関する用量は、国立免疫感染症研究所(NIAID;National Institute of Allergy and Infectious Diseases)の「http://www.clinicaltrials.gov」ウェブサイトに示されている。GW873140に関する用量の情報は、Demarest等〔Demarest et al. (2004)〕から取得された。 加えて、本発明の一態様は、さらに被験者に少なくとも1つの抗HIV-1、抗レトロウイルス剤を投与することを備える。1987年にヌクレオシドアナログ逆転写酵素インヒビター (NRTI) AZT (ジドブジン)が承認されていらい、HIV-1の医療(HIV-1 armamentarium)は、4つの治療クラス〔8つのNRTIs, 3つの非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTIs), 9つのプロテアーゼインヒビター(PIs), および1つの融合インヒビター(FI)〕を代表している少なくとも21の薬物およびプロドラックに増えた(表4を参照されたい)。別の態様では、抗レトロウイルス剤は、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター (NNRTI;nonnucleoside reverse transcriptase inhibitor), ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI), プロテアーゼインヒビター(PI), 融合インヒビター(fusion inhibitor), 又は任意のその組み合わせである。更なる態様において、少なくとも1つの 抗レトロウイルス剤は、表 4にリストされた薬剤の1つ又は任意のこれらの薬剤の組み合わせである。様々な抗レトロウイルス剤は、より効果的な治療のために組み合わされて市販されている(係る組み合わせ及び投薬計画に関して表5を参照されたい)。本発明の方法の態様において、抗レトロウイルス剤は、被験者に表5に記載の量で投与される。好適な態様において、抗レトロウイルス剤は、NNRTIまたはPIである。 本発明の別の態様において、被験者は、未治療者である(即ち、前記被験者は、以前に何らかの抗-HIV-1, 抗-レトロウイルス剤での治療を経験していない)。好適な態様において、被験者は、治療経験者である〔即ち、前記被験者は、1以上の抗HIV-1, 抗レトロウイルス剤(例えば、1以上の表4に記載の薬剤)での治療を経験した及び/又は経験している〕。好適な態様において、本発明の方法は、HIV-1感染を治療するための併用療法のプログラムに使用され、抗CCR5 mAbおよび非抗体CCR5アンタゴニストは係る治療を必要とする被験者に1以上の抗レトロウイルス剤と組み合わせて投与される。a リトナビルと共投与されて、治療レベルのアプティバス(登録商標)を増強する。b 商品名Kaletra(登録商標)としてリトナビルとの組み合わせのみで販売される。 更に本発明は組成物を提供し、該組成物は、(a)モノクローナル抗体(例えば、PRO 140)であって、(i)CCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1とCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、および(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニスト(例えば、任意のSCH-D, UK-427,857, TAK-779, TAK-652, GW873140 およびRANTES)を具備する。前記組成物は、さらに薬学的に許容される担体を含んでもよい。また、本発明は、モノクローナル抗体(例えば、PRO 140)であって、(i)CCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1とCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体が、HIV-1とCCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害することに関して非抗体CCR5レセプターアンタゴニストと相乗的に振舞うかどうかを決定するための方法を提供し、該方法は以下に詳細に記載される実験方法にしたがって係る相乗作用の存在または非存在を決定することを備える。本発明は、本発明の方法を実施するためのキットであって、別々のコンパートメントに、好ましくは容易に投与可能な形態で、(a)モノクローナル抗体(例えば、PRO 140)であって、(i)CCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1とCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、および(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニスト(例えば、任意のSCH-D, UK-427,857, TAK-779, TAK-652, GW873140 およびRANTES)を具備するキットを提供する。前記抗体およびアンタゴニストは、各々が好ましくは薬学的に許容される担体と混合される。 以下の「実験の詳細」は、本開示の主題の理解を助けるために記載される。しかし、本願の特許請求の範囲の請求項に係る発明が限定されることを意図していない、また限定されると解釈されるべきではない。 [実験の詳細]パートI材料および方法化合物およびmAbsPRO 140を、2 mM L-グルタミンを添加したハイブリドーマ無血清培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いてSp2/0 細胞で発現させて調製した。バルクのmAbを、5.0 μmのデプスフィルター(Depth filter, Sartorius, Goettingen, Germany)を用いて清澄化し、0.2μmの滅菌グレードフィルター(Sartorius)を通過させた。前記mAbを、最初にアフィニティーカラム (MabSelectプロテインAカラム, Amersham, Piscataway, NJ)を通過させ、次にイオン交換クロマトグラフィー (SP セファロース陽イオン交換樹脂, Amersham)を通過させて精製した。PRO 140を、ViresolveTM 10 Opticap NFPカプセル(Millipore, Billerica, MA)、次に0.2 μmフィルターでナノフイルター(nanofiltered)し、ディスポーザブルのTFFカートリッジ(Millipore)で濃縮/ダイアフィルター(diafiltered)した。前記mAbを、次にヒドロキシアパタイトカラム(Bio-Rad, Hercules, CA)で精製し、10 mg/mlの濃度でリン酸緩衝生理食塩水に溶解し、-70゜C以下で使用前まで貯蔵した。 RANTESを、R&D Systems (Minneapolis, MN)から購入した。抗-CCR5 mAb 2D7をBD Biosciences (Cat.#555993)から購入した。抗-CCR5 mAb CTC5をR&D Systems (Cat.#FAB1802P)から購入した。 RETアッセイHIV-1 RETアッセイは、以前に詳細に記載された(Litwin et al., 1996)。要約すると、フルオレッセインオクタデシルエステル(F18; Molecular Probes, Eugene, OR; 5 mg/mlをエタノール中)を、1:800へとDMEM標識化培地(DMEM; Invitrogen, Carlsbad, CA)に10%ウシ胎児血清(FBS; HyClone, Logan, UT)を添加したもので希釈し、A506を0.34 ± 10%に調整した。オクタデシルローダミン B 塩素イオン(R18; Molecular Probes; 10 mg/mlをエタノール中)を、1:2050へと標識化培地で希釈し、A565を0.52 ± 10%に調整した。両方の色素を、さらにT75-cm2のフラスコ中の細胞に添加することで1/2に希釈した。HeLa-EnvJRFLおよびCEM NKR-CCR5細胞を、それぞれF18-およびR18-含有培養培地で一晩インキュベーションした。次の日、HeLa-EnvJRFL 細胞からの培地を除去し、10 mlの0.5 mM EDTAを添加し、37゜Cで5 minインキュベーションした。EDTAを除去し、フラスコをさらにインキュベーターに5 minもどし、フラスコを細胞をとるためにたたいた。10mlの15% FBSを有するPBSをフラスコに添加し、内容物を50mlの円錐形の遠心チュウブに移した。懸濁したCEM NKR-CCR5細胞を、直接的に別の50mlの円錐形遠心チュウブに添加した。両方の細胞株を、300 xgで5 min遠心した。上清を廃棄し、細胞を10 mlのPBS-/15% FBSで再懸濁した。遠心分離/洗浄する工程を、二回反復した。その後、細胞を計数し、濃度を1.5 x 106 細胞/mlに調整した。10μlの各細胞型(15,000細胞)を、384-ウェルプレートのウェルに播種した。インヒビター化合物を、すぐに添加し、最終的なウェル容量を40 μlにした。そして、プレートを、4 h、37゜Cでインキュベーションした。化合物を、連続的な希釈範囲に対し固定されたモル比または質量比で個々におよび組み合わせで試験した。プレートを、次に表6に示される励起/発光フィルターの組み合わせを用いて、蛍光 プレートリーダー(Victor2, Perkin Elmer, Boston, MA)で測定した。 「% RET」を、バックグランド(ブランク)測定値を減算後に下記の式にしたがって計算した:%RET=100x[(A3-(A1xFspill)-(A2xRspill))/A2]式中: Fspill=HeLa細胞単独, 走査3/走査1;Rspill=CEM細胞単独, 走査3/走査2;A1=HeLaおよびCEM細胞の組み合わせに関する走査1の値;A2=HeLaおよびCEM細胞の組み合わせに関する走査2の値;およびA3=HeLaおよびCEM細胞の組み合わせに関する走査3の値。 「%阻害(% Inhibition)」は、下記の式にしたがって計算された:%阻害=100x[(Max % RET - サンプルウェルに対する% RET)/(Max % RET - Min % RET)]式中: Max % RET=添加されるインヒビターなしのHeLaおよびCEM細胞の組み合わせに対する%RET値の平均;および Min % RET=500 ng/mlのLeu-3a mAb(CD4を標的とし、この濃度でRETアッセイにおける融合を完全にブロックする抗体)の存在下でのHeLa および CEM細胞の組み合わせに対する%RET値の平均。50パーセント阻害(IC50)値は、阻害データを非線形, 4パラメータ, 可変性の傾きの方程式(GraphPad Prism, 4.02; GraphPad Software, San Diego, CA)とフィッティングして決定された。上位および下位の阻害値を、カーブフィッティングに対して、それぞれ100% および 0%とした。 PBMCsの調製真性(authentic)のHIV-1の複製が、本研究に関して単球/マクロファージ向性のHIV-1クローン, JRFL (HIV-1JRFL)を用いて、活性化した末梢血単球(PBMCs)で測定される。 PBMCsは、4つの別々のドナー(Leukopacks)からフィーコールグラジエントで遠心分離することによって単離された。CD8細胞は、CD8枯渇反応混液(#15663, StemCell Research, Vancouver, BC)を用いて枯渇された。細胞は、4 x 106/mlに希釈され、3つのT175-cm2のフラスコに等しく添加され、次の培地のうち1つを添加することによって刺激された;その培地とは、IL-2 培地[RPMI 1640 (#10-040-CV, Cellgro, Herndon, VA), 10% FBS (#35-010-CV), 2 mM L-グルタミン (#25-005-CI), 100 U/ml IL-2 (シグマ, St. Louis, MO)]; PHA 5 培地: [IL-2 培地に濾過した5 ug/ml 植物性血球凝集素 PHA-P (PHA) (#L8754, シグマ, St. Louis, MO)を有するもの]; またはPHA 0.5 培地: [IL-2 培地に濾過した0.5 ug/ml PHAを有するもの]である。各フラスコに、全体で50〜150 mlの培地が入れられた。フラスコは、3日間、37゜Cでインキュベーションされ、次に感染アッセイに使用する前に内容物がプールされた。 ウイルス滴定ウイルスの連続的な段階希釈が、活性化PBMCs(1.4 x 105 PBMC/ウェル)で4回繰り返して試験された。滴定培地[IL-2 培地に100 IU/mlのペニシリン/ストレプトマイシン (#30-002-CI, Cellgro)を有する培地]が、ウイルス滴定のために利用された。50μlの希釈したウイルスが平底の組織培養処理96ウェルプレート(VWR# 29442-054, Corning, Corning, NY)中の100 μlのPBMCsに添加され、そのプレートは加湿した5%のCO2インキュベーターでインキュベーションされた。7日後、50μlが各ウェルから除去され、ウイルスのレベルに関してp24 抗原 ELISA (Perkin Elmer, Boston, MA)で試験された。ウイルス力価は、Reed および Muenchの方法で決定された(以下の表11を参照されたい)。 中和アッセイ刺激したPBMCsは、96ウェルの平底プレートに1.4 x 105 細胞/ウェルの密度で播種された。ウイルスは、2,000 TCID50/mlへと希釈され、そして細胞プレートへの付加前に1 h、37゜Cで化合物を連続的に0.5 log10 希釈したものと混合された。ウェルごとに添加されたウイルスの最終的な量は、100 TCID50である。アッセイにおける最終的なDMSO濃度は、小分子インヒビターが試験されるときは常に0.5%である。プレートは37゜Cで5日間インキュベーションされ、その時間に上清のアリコートがp24抗原ELISAのために除去された。コントロールウェル(インヒビターなしのウイルス)が低いp24抗原レベルを呈する場合、プレートは滴定培地で全容量(full volume)まで満たされ、付加的な24 hをインキュベーションされた。 データ分析中和活性が、p24抗原産生(全てのデータポイントからバックグランドを差し引いた後)のパーセント阻害(percent inhibition) 対 log10薬濃度をプロットすることで示された。パーセント阻害は次の通り導かれる[1 - (薬の存在下でのp24レベル/薬の非存在下でのp24レベル)] X 100。IC50値を、阻害データを非線形で, 4パラメータで, 可変性の傾きの方程式(GraphPad Prism, ver. 4.02; GraphPad Software, San Diego, CA)とフィッティングして決定した。上位(Upper)および下位(lower)の阻害値は、カーブフィッティングに対して、それぞれ100% および 0%とされた。 第1a相臨床研究個体は、連続的に、用量を上昇させた各々5被験者のコホートで試験され(4つの活性および1つのプラセボ)、治療後120日まで評価した。身体的な検査、病歴、および心電図に異常な所見のない、年齢19-50の健常(即ち、HIV-1非感染性)な男性のボランティア集団は、PRO 140の単独の点滴静注(0.1, 0.5, 2.0 および 5.0 mg/kg 体重)を投与された。安全性評価は次の事項をモニタリングして行った:つまり、バイタルサイン(血圧, 脈拍, 温度, など; 血液(ヘモグロビン, ヘマトクリット, 白血球, 血小板, など); 血液生化学検査(AST/ALT, アルカリホスファターゼ, BUN, クレアチニン, など); 検尿(pH, 比重, タンパク質, グルコース, 白血球, など);およびECGs(12-リード)である。 PRO 140によるCCR5細胞の被覆の測定全血標本を、フィコエリトリン標識抗CCR5抗体または適切なアイソタイプコントロール抗体で別々に混合した。赤血球を溶解し、白血球を安定化し、ImmunoPrep 試薬システム(Beckman Coulter)を用いて安定化した。そして、細胞をTQ PrepTM フローサイトメトリーワークステーション(Beckman Coulter)で分析した。データは、分析においてゲートした全細胞に対するCCR5細胞のパーセントとして表された。CTC5は、PRO 140と競合しない抗CCR5抗体である。2D7は、PRO 140と競合する抗CCR5抗体である。 PRO 140の血清濃度の測定血清を、必要に応じて希釈し、ヒトCCR5を安定的に発現するために操作されたマウスプレBリンパ腫であるL1.2-CCR5細胞と混合した。標準曲線を作成するために、PRO 140標準を、0.062〜4.0 μg/mlの範囲の濃度で平行して試験した〔10%の正常ヒト血清(NHS)〕。PRO 140を含有していない10% NHSを、ネガティブコントロールとして分析した。検査サンプルでインキュベーション後に、細胞を洗浄し、ヒトIgG4に対するFITC標識ヒツジ抗体と混合した(The Binding Site Limited, Cat. #AF009)。細胞を、再度洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。PRO 140の濃度を、検査サンプルの中央値蛍光強度(MFI;median fluorescence intensity)と標準曲線のMFI値とを比較することによって決定した。 血漿RANTES濃度の決定アッセイに、QuantikineTM ヒト RANTES イムノアッセイ キット (R&D Systems, Minneapolis, MN)を用いた。簡単に説明すると、血小板が乏しい血漿を、CTAD/EDTAチュウブに収集し、-20゜Cで貯蔵した。検査サンプルおよびRANTES標準を、RANTESに対するマウスモノクローナル抗体で事前に被覆されたマイクロタイタープレートに添加した。インキュベーションに続いて、プレートを洗浄し、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)に結合させた抗RANTESポリクローナル抗体で接触させた。プレートを、比色検出のためのテトラメチルベンジジン基質の付加前に再び洗浄した。アッセイの定量の下限は、415 pg RANTES/ml血漿であった。 結果および考察PRO 140は、HIV-1治療のために開発されているヒト化IgG4のκ抗CCR5 mAbである。この抗体は、インビトロでのHIV-1と標的細胞とのCCR5媒介性融合を広範(broadly)および強力に阻害することが示されている。また、PRO 140は、治療のhu-PBL-SCIDマウスモデルにおいて高度に活性である。また、予備的なデータが、現在健常ヒト被験者の第1a相臨床研究から利用可能である。 PRO 140のインビトロ抗ウイルス活性マウスおよびヒト化のPRO 140を、「方法」に記載した4つの一次の R5 HIV-1単離体に対して試験した。図1は、PRO 140がインビトロで強力な抗ウイルス活性を有し、3〜4 μg/mlのIC90で種々の一次R5株を中和していることを示した。PRO 140は、PRO 140が由来するマウスのmAb(PA14)に対し類似する抗ウイルス活性を呈した。 第1a相臨床試験の予備的データ第1a相試験の主な課題は、健常人男性被験者の用量を上昇させたコホート(a rising dose cohort)において単回用量(single dose)として与えられるPRO 140の安全性および耐容性(tolerability)を評価することであった。二次的な課題は、(1)静脈内に投与されたPRO 140の薬物動態について情報を取得すること、および(2)CCR5+細胞およびケモカインの血液レベルにおけるPRO 140の効果の情報を取得することであった。 PRO 140の薬物動態健常人男性のボランティアを、PRO 140単回の点滴静注を0.1, 0.5, 2.0 および 5.0 mg/kgの用量レベルで投与して治療した。PRO 140およびプラセボは、該してECGsを有意に変化させることなく、用量を制限する毒性(dose-limiting toxicity)もなかった。 血清を、治療後に採取し、低温保存し、PRO 140レベルに関して分析した。ピーク血清濃度は、0.1 mg/kgで3 mg/mlおよび0.5 mg/kgで12 mg/mlの範囲であった。血清濃度は、検出可能のままであった〔0.1 mg/kgで5日間、0.5 mg/kgで21日間までで、単回の2 mg/kg注射後の60日間までで、>400 ng/ml(図7)〕。PRO 140の血清濃度は、用量レベルに比例して増加した。クリアランス速度は、他のヒト化mAbsのものと類似していた。薬物動態(PK)の測定基準を、ノンコンパートメントモデルでWinNonLin(PharSight Corporation, Mountain View, CA)を用いて決定した。PRO 140の末期(terminal)の血清半減期が、10〜12日であることが決定された。予想通り、被験者は、ヒト化PRO 140に対して抗体を発生させなかった。 PRO 140によるCCR5リンパ球の被覆および非枯渇健常人男性のボランティア(n=4)を、PRO 140単回の点滴静注を2 mg/kgの用量レベルで投与して治療した。図6に指摘した時間で治療後60日間まで、血液を採取し、CCR5リンパ球レベルに関して分析した。 PRO 140での治療後、CTC5結合で測定されたCCR5リンパ球の全体数の減少はなかった;しかしながら、抗体2D7の結合は、有意に減少した(図6)。アイソタイプ コントロール抗体のバックグランド結合は、未変化であった。CTC5の結合はPRO 140の存在で減少しなかったので、CTC5-PE値は循環CCR5リンパ球の全体数の測定値であった。2D7はPRO 140で減少しなかったので、2D7-PE値はPRO 140で被覆されないCCR5リンパ球の数を反映する。 データは、単回の2 mg/kg用量のPRO 140が、細胞枯渇することなく2週間および部分的に被覆されたままの細胞で>4週間CCR5リンパ球を効率的に被覆(coats)することを示している。加えて,CCR5コーティング(CCR5 coating)は、5 mg/kg PRO 140で処理された患者ではより長期間であった。データは、単回の5 mg/kg用量のPRO 140が、細胞枯渇することなく部分的に被覆されたままの細胞で>60週間CCR5リンパ球を効率的に被覆することを示している(図13)。CCR5コーティングはPRO 140がHIVを阻害する機構であるので、HIV感染個体のウイルス負荷が類似の時間的な様式で減少することが予想できるだろう。 血漿ケモカインレベルにおけるPRO 140の効果健常人男性のボランティアを、 0.1 mg/kgのPRO 140 (コホート1), 0.5 mg/kgのPRO 140 (コホート2)または対応するプラセボ(matched placebo)の単回の点滴静注で治療した。血漿を、治療後に示した時間で採取し、低温保存し、CCR5の天然リガンドとして作用するRANTES(CC-ケモカイン)のレベルに関して分析した。RANTESのレベルを、投与前(pre-dose)および28日までの投与後(post-dose)に血小板枯渇化血漿(platelet-depleted plasma)においてELISAで測定した。図8に示したとおり、PRO 140治療後のRANTESレベルにおいて有意な変化はなかった(P >0.14 全ての時間)。これらのデータは、PRO 140がCCR5機能と拮抗しないとのインビトロ所見と一致する。この所見は、PRO 140が治療患者のCCR5媒介性の免疫機能に有害な作用を有さないことを示唆する。 本明細書に記載された結果は、PRO 140が、前臨床試験においてCCR5拮抗作用または他の免疫性の副作用なく、CCR5媒介性HIV-1侵入を広範および強力に阻害することに加えて、これによって健常人ボランティアにおける進行中の第1相試験からの予備的な結果において有効な耐容性、PKおよび免疫性のプロフィールが実証されたことを示している。従って、多くの点において、PRO 140は、抗HIV-1治療に対し新規で魅力的な製品プロフィールを提供する。 さらに、抗CCR5 mAbsの活性は、基本的に小分子CCR5アンタゴニスト(現在、これらもヒト臨床試験が行われている)の活性と異なるが、相補的(complementary)である(表2を参照されたい)。最近、PRO 140は、標的細胞へのCCR5媒介性HIV-1融合の阻害において非抗体CCR5アンタゴニストと相乗的に機能することが示された。従って,抗-CCR5 mAbs および 非抗体CCR5アンタゴニストの投与を備える併用療法は、HIV-1感染を予防および治療するための強力で効果的で新しいアプローチを提供しえる。 パートII例1: 蛍光RETアッセイにおけるPRO 140 および HIV-1侵入インヒビターの併用試験材料および方法 化合物およびmAbsPRO 140を、2 mM L-グルタミンを添加したハイブリドーマ無血清培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いてSp2/0 細胞で発現させて調製した。バルク mAbを、5.0 μmのデプスフィルター(Sartorius, Goettingen, Germany)を用いて清澄化し、0.2μmの滅菌グレードフィルター(Sartorius)を通過させた。前記mAbを、最初にアフィニティーカラム(MabSelectプロテインAカラム, Amersham, Piscataway, NJ)を通過させ、次にイオン交換クロマトグラフィー (SP セファロース陽イオン交換樹脂, Amersham)を通過させて精製した。PRO 140を、ViresolveTM 10 Opticap NFPカプセル(Millipore, Billerica, MA)、次に0.2 μmフィルターでナノフイルター(nanofiltered)し、ディスポーザブルのTFFカートリッジ(Millipore)で濃縮/ダイアフィルター(diafiltered)した。前記mAbを、次にヒドロキシアパタイトカラム(Bio-Rad, Hercules, CA)で精製し、10 mg/mlの濃度でリン酸緩衝生理食塩水に溶解し、-70゜C以下で使用前まで貯蔵した。 SCH-D (Schering Plough; Tagat et al., 2004), TAK-779 (Takeda Pharmaceuticals; Shiraishi et al., 2000), UK-427,857 (Pfizer; Wood および Armour, 2005), および BMS378806 (Bristol-Myers Squibb; Lin et al., 2003)は、商業供給者によって調製された。 SCH-Dは以下の構造を有する: SCH-D(SCH-417690とも称される): 1-[(4,6-ジメチル-5-ピリミジニル)カルボニル]-4-[4-[2-メトキシ-1(R)-4-(トリフルオロメチル)フェニル]エチル-3(S)-メチル-1-ピペラジニル]-4-メチルピペリジン(Schering-Plough)SCH-Dを、Tagat等〔Tagat et al. (2004)〕および図1に記載の処理にしたがって合成した。 TAK-779は以下の構造を有する: TAK-779を、Shiraishi等〔Shiraishi et al.(2000)〕および図2に記載の処理にしたがって合成した。 TAK-652は以下の構造を有する: UK-427,857は以下の構造を有する: UK-427,857を、PCT国際公開番号WO01/90106および図3に記載の処理にしたがって合成した。 BMS378806は以下の構造を有する: BMS378806: (R)-N-(ベンゾイル)-3-メチル-N'-[(4-メトキシ-7-アザインドール-3-イル)-オキソアセチル]-ピペラジン(Bristol-Myers Squibb)この化合物は、米国特許第6,476,034号(化合物17a)に記載の手順にしたがって合成された。ネビラピン (Boehringer Ingelheim; Merluzzi など, 1990) および アタザナビル (Bristol-Myers Squibb; Robinson et al., 2000)を、商業供給者から購入した。PRO 542を、チャイニーズハムスター卵巣細胞において発現させ、以前の記載のとおり精製した(Allaway et al., 1995)。T-20(フューゼオン(登録商標))を、以前の記載のとおり固相フルオロエニルメトキシカルボニル化学で合成し、逆相クロマトグラフィーで精製し、HPLCおよび質量分析計で純度およびサイズに関して分析した(Nagashima et al., 2001)。AZTを、シグマ化学(Sigma Chemicals St. Louis, Mo)から購入した。RANTESを、R&D Systems (Minneapolis, MN)から購入した。抗CCR5 mAb 2D7をPharmingen(San Diego, CA)から購入し、抗-CD4 mAb Leu-3AをBecton Dickinson (Franklin Lakes, NJ)から購入した。 試験のために、小分子化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中に10 mMで溶解し、DMSOで抗ウイルスアッセイに利用される200X終濃度に希釈した。小分子の段階希釈を、DMSOで実施した。引き続き希釈を、培地中で実施して、アッセイの最終的な DMSO 濃度の0.5%を達成した。ペプチドおよびmAbsを、PBS中でDMSOの非存在下で希釈した。典型的に,RETアッセイのインヒビター濃度には、200 nM〜3.0 pMの範囲の11の3倍希釈が含まれる。 細胞調製HeLa細胞を操作して、(HeLa-EnvJRFL; Litwin など, 1996)に記載のとおりマクロファージ向性一次単離体JRFLからHIV-1 gp120/gp41を発現させる。簡単に説明すると、HIV-1LAI Env遺伝子を、プラスミドpMA243 (Dragic et al., 1992)から切り出し、HIV-1JRFL Env遺伝子を挿入した。HIV-1JRFL Env遺伝子を、プラスミドpUCFL112-1から増幅した(Koyanagi et al., 1987)。生じたプラスミド(JR-FL-pMA243と称される)を、標準の方法でシークエンスし、HeLa細胞にリポフェクチン(Gibco BRL/Invitrogen, Carlsbad, CA)でトランスフェクションした。HeLa-EnvJRFLトランスフェクタントを、メトトレキセート(Sigma, St. Louis, MO)で選択し、限界希釈で2回クローン化した。導入したヒトT細胞白血病株CEM NKR-CCR5細胞を、NIHのAIDS研究および参照プログラム(Cat. No. 458)から得た。 RETアッセイHIV-1 RETアッセイは、以前に詳細に記載された(Litwin et al., 1996)。要約すると、フルオレッセインオクタデシルエステル(F18; Molecular Probes, Eugene, OR; 5 mg/mlをエタノール中)を、1:800へとDMEM標識化培地(DMEM; Invitrogen, Carlsbad, CA)に10%ウシ胎児血清(FBS; HyClone, Logan, UT)を添加したもので希釈し、A506を0.34 ± 10%に調整した。オクタデシルローダミン B 塩素イオン(R18; Molecular Probes; 10 mg/mlをエタノール中)を、1:2050へと標識化培地で希釈し、A565を0.52 ± 10%に調整した。両方の色素を、さらにT75-cm2のフラスコ中の細胞に添加することで1/2に希釈した。HeLa-EnvJRFLおよびCEM NKR-CCR5細胞を、それぞれF18-およびR18-含有培養培地で一晩インキュベーションした。次の日、HeLa-EnvJRFL 細胞からの培地を除去し、10 mlの0.5 mM EDTAを添加し、37゜Cで5 minインキュベーションした。EDTAを除去し、フラスコをさらにインキュベーターに5 minもどし、フラスコを細胞をとるためにたたいた。10mlの15% FBSを有するPBSをフラスコに添加し、内容物を50mlの円錐形の遠心チュウブに移した。懸濁したCEM NKR-CCR5細胞を、直接的に別の50mlの円錐形遠心チュウブに添加した。両方の細胞株を、300 xgで5 min遠心した。上清を廃棄し、細胞を10 mlのPBS-/15% FBSで再懸濁した。遠心分離/洗浄する工程を、二回反復した。その後、細胞を計数し、濃度を1.5 x 106 細胞/mlに調整した。10μlの各細胞型(15,000細胞)を、384-ウェルプレートのウェルに播種した。インヒビター化合物を、すぐに添加し、最終的なウェル容量を40 μlにした。そして、プレートを、4 h、37゜Cでインキュベーションした。化合物を、連続的な希釈範囲に対し固定されたモル比または質量比で個々におよび組み合わせで試験した。プレートを、次に表6に示される励起/発光フィルターの組み合わせを用いて、蛍光 プレートリーダー(Victor2, Perkin Elmer, Boston, MA)で測定した。 「% RET」を、バックグランド(ブランク)測定値を減算後に下記の式にしたがって計算した:%RET=100x[(A3-(A1xFspill)-(A2xRspill))/A2]式中: Fspill=HeLa細胞単独, 走査3/走査1;Rspill=CEM細胞単独, 走査3/走査2;A1=HeLaおよびCEM細胞の組み合わせに関する走査1の値;A2=HeLaおよびCEM細胞の組み合わせに関する走査2の値;およびA3=HeLaおよびCEM細胞の組み合わせに関する走査3の値。 「%阻害(% Inhibition)」は、下記の式にしたがって計算された:%阻害=100x[(Max % RET -サンプルウェルに対する % RET)/(Max % RET - Min % RET)]式中: Max % RET=添加されるインヒビターなしのHeLaおよびCEM細胞の組み合わせに対する%RET値の平均;およびMin % RET=500 ng/mlのLeu-3a mAb(CD4を標的とし、この濃度でRETアッセイにおける融合を完全にブロックする抗体)の存在下でのHeLa および CEM細胞の組み合わせに対する%RET値の平均。 50パーセント阻害(IC50)値を、阻害データを非線形, 4パラメータ, 可変性の傾きの方程式(GraphPad Prism, ver. 4.02; GraphPad Software, San Diego, CA)とフィッティングして決定した。上位および下位の阻害値を、カーブフィッティングに対して、それぞれ100% および 0%とした。 相乗作用の決定薬物併用の協同的な阻害効果を、ChouおよびTalalay(1984)の方法で決定した。IC50値を、上記の全ての組合せに関して作成した。併用指標(CI)および用量減少(DR)値を、以下の式にしたがって計算した:DR(化合物1に関する) = (IC50 Dsolo1/IC50 Dcomb1)DR(化合物2に関する) = (IC50 Dsolo2/IC50 Dcomb2)式中: 「IC50 Dcomb1」 = 薬物2と併用した薬物1のIC50;「IC50 Dsolo1」 = 単独で試験した場合の薬物1のIC50 ;式中: 「IC50 Dcomb2」 = 薬物1と併用した薬物2のIC50;「IC50 Dsolo2」 = 単独で試験した場合の薬物2のIC50 ;2つの薬物の効果が相互に排他的(exclusive)である場合、α = 0;および2つの薬物の効果が相互に非排他的(nonexclusive)である場合、α = 1 CI < 1での併用は相乗的であると決定され、他方でCI > 1での併用は拮抗的であると決定される。相加性は、CI = 1である併用に反映される。 95パーセント信頼区間を、以下の式を用いてMicrosoft Excelで計算した:= 信頼(alpha,stdev,n)式中: alpha = 0.05 (95%信頼);stdev = データセット平均の標準偏差;およびn = 繰り返しの数 結果小分子融合インヒビターの調製SCH-D, TAK-779, UK-427,857, およびBMS378806は、商業供給者によって調製された。前記の化合物の所望の量およびHPLC純度を、達成した。前記化合物の純度は基本的な分析から得られた結果から支持されており、製品の同一性はプロトンNMR(プロトンおよび炭素13)および/または質量スペクトルデータで確認された。 RETアッセイで明らかとされた相乗的な相互作用相乗作用実験を、最初にPRO 140 および 小分子 およびCCR5, CD4, HIV-1 gp120 および HIV-1 gp41のペプチド基づくインヒビターの間の協同的な相互作用に関するポテンシャルを評価するために、細胞-細胞RET融合アッセイを用いて実施した。実験を、次にCCR5特異的マウスモノクローナル抗体(2D7)に拡張した(Wu et al., 1997)。 HIV-1 Env-媒介性融合の阻害を測定する実験を、最初にPRO 140と、それぞれPRO 140自身, 3つの小分子CCR5アンタゴニスト(SCH-D, TAK-779, UK427857), CCR5(RANTES)の天然のペプチドリガンド, および抗CCR5 mAb(2D7), gp41(T-20)のペプチドに基づくインヒビター, gp120(PRO 542)のタンパク質に基づくインヒビター, gp120 (BMS378806)の小分子インヒビター, および抗CD4 mAb (Leu3A)との併用を用いて実施した。PRO 140と他の侵入インヒビターとの質量比は、0.75〜364の範囲であった。結果を表7に示す。 2つの小分子CCR5アンタゴニスト(SCH-D および TAK-779)を、組み合わせでアッセイした。PRO 542(ヒトIgG2の重鎖および軽鎖可変ドメインが、ヒトCD4のD1D2ドメインで置換された組換え型の抗体様融合タンパク質)も、抗-CD4 mAb, Leu-3Aと組み合わせて試験した。これらのアッセイの結果を表8に示す。a CI値を、SCH-D vs. TAK-779に関する相互に排他的な式(即ち、α=0)およびPRO 542 vs. Leu-3Aに関する相互に非排他的な式(即ち、α=1;「方法」を参照されたい)を用いて計算した。b 異常なデータポイントを平均CIおよび平均DRsの計算から抜粋(culled)した。 協同性(cooperativity)レベルの組み合わせにおいて化合物の相対量を変化させることの効果も、測定された。5:1 および 1:5のPRO 140のモル比を使用した。結果は表9に示される。95%信頼区間での平均CI値は、1:1のモル比データに関して図4にプロットされる。PRO 140に加えて、mAb 2D7〔CCR5特異的なマウス抗体(Wu et al., 1997)〕の阻害活性も、蛍光RETアッセイを用いて小分子CCR5アンタゴニストとRANTESとを組み合わせて試験した。結果を表10に示す。 例2: HIV-1シュードウイルス粒子(HIV-1PP)アッセイにおけるPRO 140と小分子, ペプチドおよびタンパク質インヒビター, およびHIV-1との併用試験材料および方法 HIV-1シュード粒子の調製HIV-1シュード粒子(HIV-1pp)は、例えば、HIV-1に基づくNL4/3luc+env-プラスミドおよびHIV-1JRFL Envをコード化している構築物の一過性の同時発現によって293T細胞中で産生された。NL4/3luc+env-プラスミドを、NIHのAIDS研究およびReference Reagentプログラム(Cat. No. 3418)から得た。また、HIV-1JRFL Env を、pcDNA3.1ベクター(Invitrogen)に挿入した。簡単に説明すると、293T細胞を、Hepes緩衝剤に1:1の比のNL4/3luc+env-レポーターベクターおよびEnv発現ベクターを有するものでリン酸カルシウム法でトランスフェクションした(Profection Mammalian Transfection Kit, Promega)。16h後、トランスフェクション培地は、吸引された。新鮮な細胞培養培地(10% FBS, グルタミンおよび抗生物質を添加したDMEM)が添加され、インキュベーションを37゜Cで付加的な24-32h連続した。細胞の培養上清が、トランスフェクション後48hで収集され、1,400 rpmで10min遠心分離して細胞片をペレットにした。ウイルス上清を5%スクロースの終濃度にし、-80゜Cで貯蔵し、分けた。 細胞 U87-CD4-CCR5細胞を、NIHのAIDS研究および参照プログラム(Cat. No. 4035)から得た。これらの細胞を、0.3 mg/mlのG418および0.5 mg/mlのピューロマイシンを含有している培養培地(DMEMに10% FBS, 抗生物質およびグルタミンを添加したもの)で維持した。細胞は、T175cm2フラスコ中で37゜Cで成長し、3〜4日毎に1:5に希釈された。アッセイプレートの調製のために、細胞は、トリプシン処理され、96ウェル組織培養処理平底不透明ポリスチレンプレート(Perkin Elmer, Boston, MA)のウェルに3 x 103細胞/ウェルの密度で播種された。プレートは、HIV-1pp感受性アッセイに使用する前に、加湿した5%CO2インキュベーターで4 hまで37゜Cでインキュベーションされた。 化合物の調製50μlの4Xに希釈された化合物の所望の終濃度が、ウェルに添加された。DMSOに溶解した化合物に関して、4Xの貯蔵物は、2%のDMSOを含有する(アッセイにおける最終的なDMSO濃度は、小分子に関して常に0.5%である)。化合物をいれていないコントロールウェルが、各プレートに含まれる。加えて、AZT阻害コントロールが、各アッセイに含まれる。化合物は、個々に広い範囲の濃度に対し固定された質量比またはモル比で試験された。 ウイルスの付加凍結し、分けたHIV-1ppのバイアルが、37゜Cのウォーターバスで解凍され、湿性氷(wet ice)に配置された。ウイルスは、必要に応じて冷やした細胞培養培地を添加して、HIV-1pp アッセイにおいて所望の最終的なウイルス濃度を達成する〔約 10,000の相対光量単位(rlu;relative light units)/ウェル〕。50μlの希釈されたウイルスが、ウェルごとに添加され、200μlの最終的なウェル容量とされた。ウイルスのコントロール(最小またはバックグランドのルミネセンス)および化合物のコントロール(最大ルミネセンス)は、各プレートに含まれなかった。前記プレートは、加湿した5%CO2インキュベーター中で72 h、37゜Cでインキュベーションされ、ルシフェラーゼシグナル(以下を参照されたい)に関して処理した。 ルシフェラーゼアッセイに関するプレート処理アッセイ培地が吸引され、200μlのPBSが各ウェルに添加された。PBSが吸引され、50μlの1X細胞溶解試薬(Promega Cat. No. E1531)が各ウェルに添加された。アッセイプレートは、少なくとも2 h、-80゜Cで凍結され、次に室温で電気ピペッターでよく撹拌して解凍された。各ウェルの25μlが、不透明な96ウェルプレート(Costar #3922)に移された。4リプリケート(Four replicates)が、不透明プレートの同じウェルにプール(pooled)された。100μlの新しく解凍され、再構成されたルシフェラーゼ基質(Luciferase Assay System, Promega - Cat. No. E1501)が、前記プレートの各ウェルに電気ピペッターで添加された。そして、ルミネセンスが、直ちに中感度(medium gain)に設定したDynex MLXプレートリーダーで検出された。 データ分析中和活性が、ルシフェラーゼ活性(全てのデータポイントからバックグランドrluを差し引いた後)のパーセント阻害(percent inhibition) 対 log10薬濃度をプロットすることで示された。パーセント阻害は次の通り導かれる: [1 - (薬の存在下でのルシフェラーゼ活性/薬の非存在下でのルシフェラーゼ活性)] X 100。IC50値を、阻害データを非線形, 4パラメータ, 可変性の傾きの方程式(GraphPad Prism, ver. 4.02; GraphPad Software, San Diego, CA)とフィッティングして決定した。上位および下位の阻害値は、カーブフィッティングに対して、それぞれ100% および 0%とされた。 相乗作用の決定PRO 140および小分子およびCCR5, CD4, HIV-1 gp120, HIV-1 gp41 およびHIV-1逆転写酵素のペプチドに基づくインヒビターの間の協同的な相互作用(表4および臨床使用が承認されたHIV-1インヒビターのリストを参照されたい)は、例1に記載のとおり決定された。薬物併用の協同的な阻害効果は、ChouおよびTalalay(1984)の方法で決定された。IC50値は、上記の全ての組合せに関して作成された。併用指標(CI)および用量減少(DR)値は、以下の式にしたがって計算された:DR(化合物1に関する) = (IC50 Dsolo1/IC50 Dcomb1)DR(化合物2に関する) = (IC50 Dsolo2/IC50 Dcomb2)式中: 「IC50 Dcomb1」 = 薬物2と併用した薬物1のIC50;「IC50 Dsolo1」 = 単独で試験した場合の薬物1のIC50 ;式中: 「IC50 Dcomb2」 = 薬物1と併用した薬物2のIC50;「IC50 Dsolo2」 = 単独で試験した場合の薬物2のIC50 ;2つの薬物の効果が相互に排他的(exclusive)である場合、α = 0;および2つの薬物の効果が相互に非排他的(nonexclusive)である場合、α = 1。CI < 1での併用は相乗的であると決定され、他方でCI > 1での併用は拮抗的であると決定される。相加性は、CI = 1である併用に反映される。 例3: HIV-1真性ウイルス複製アッセイにおけるPRO 140と小分子, ペプチドおよびタンパク質インヒビターとの併用試験材料および方法PBMCsの調製真性(authentic)のHIV-1の複製が、本研究に関して単球/マクロファージ向性のHIV-1クローン, JRFL(HIV-1JRFL)を用いて、活性化末梢血単球(PBMCs)で測定される。 PBMCsは、4つの別々のドナー(Leukopacks)からフィコールグラジエントで遠心分離することによって単離された。CD8細胞は、CD8枯渇反応混液(#15663, StemCell Research, Vancouver, BC)を用いて枯渇された。細胞は、4 x 106/mlに希釈され、3つのT175-cm2のフラスコに等しく添加され、次の培地のうち1つを添加することによって刺激された;その培地とは、IL-2 培地[RPMI 1640 (#10-040-CV, Cellgro, Herndon, VA), 10% FBS (#35-010-CV), 2 mM L-グルタミン (#25-005-CI), 100 U/ml IL-2 (シグマ, St. Louis, MO)]; PHA 5 培地: [IL-2 培地に濾過した5 ug/ml 植物性血球凝集素 PHA-P (PHA) (#L8754, シグマ, St. Louis, MO)を有するもの]; またはPHA 0.5 培地: [IL-2 培地に濾過した0.5 ug/ml PHAを有するもの]である。各フラスコに、全体で50〜150 mlの培地が入れられた。フラスコは、3日間、37゜Cでインキュベーションされ、次に感染アッセイに使用する前に内容物がプールされた。 ウイルス滴定ウイルスの連続的な段階希釈が、活性化PBMCs(1.4 x 105 PBMC/ウェル)で4回繰り返して試験された。滴定培地[IL-2 培地に100 IU/mlのペニシリン/ストレプトマイシン (#30-002-CI, Cellgro)を有する培地]が、ウイルス滴定のために利用された。50μlの希釈したウイルスが平底の組織培養処理96ウェルプレート(VWR# 29442-054, Corning, Corning, NY)中の100 μlのPBMCsに添加され、そのプレートが加湿した5%のCO2インキュベーターでインキュベーションされた。7日後、50μlが各ウェルから除去され、ウイルスのレベルに関してp24 抗原 ELISA (Perkin Elmer, Boston, MA)で試験された。ウイルス力価は、Reed および Muenchの方法で決定された(表11)。 中和アッセイ刺激したPBMCsは、96ウェルの平底プレートに1.4 x 105 細胞/ウェルの密度で播種された。ウイルスは、2,000 TCID50/mlへと希釈され、そして細胞プレートへの付加前に1 h、37゜Cで化合物を連続的に0.5 log10 希釈したものと混合された。ウェルごとに添加されたウイルスの最終的な量は、100 TCID50である。アッセイにおける最終的なDMSO濃度は、小分子インヒビターが試験されるときは常に0.5%である。プレートは37゜Cで5日間インキュベーションされ、その時間に上清のアリコートがp24抗原ELISAのために除去された。コントロールウェル(インヒビターなしのウイルス)が低いp24抗原レベルを呈する場合、プレートは滴定培地で全容量(full volume)まで満たされ、付加的な24 hをインキュベーションされた。a ウイルス力価を計算するために、最初に陽性ウェルの総数に2を乗じて(チャートは、8リプリケートで使用されるよう設計された)、次に対応しているTCID50/mL力価をさがし、0.7を足す(この式には、log希釈係数の付加が必要とされる)。 データ分析中和活性が、p24抗原産生(全てのデータポイントからバックグランドを差し引いた後)のパーセント阻害(percent inhibition) 対 log10薬濃度をプロットすることで示された。パーセント阻害は次の通り導かれる[1 - (薬の存在下でのp24レベル/薬の非存在下でのp24レベル)] X 100。IC50値を、阻害データを非線形, 4パラメータ, 可変性の傾きの方程式(GraphPad Prism, ver. 4.02; GraphPad Software, San Diego, CA)とフィッティングして決定した。上位および下位の阻害値は、カーブフィッティングに対して、それぞれ100% および 0%とされた。 相乗作用の決定PRO 140および小分子およびCCR5, CD4, HIV-1 gp120, HIV-1 gp41, HIV-1逆転写酵素, およびHIV-1プロテアーゼのペプチドに基づくインヒビターの間の協同的な相互作用(表8)は、例1に記載のとおり決定された。薬物併用の協同的な阻害効果は、ChouおよびTalalay(1984)の方法で決定された。IC50値は、上記の全ての組合せに関して作成された。併用指標(CI)および用量減少(DR)値は、以下の式にしたがって計算された:DR(化合物1に関する) = (IC50 Dsolo1/IC50 Dcomb1)DR(化合物2に関する) = (IC50 Dsolo2/IC50 Dcomb2)式中: 「IC50 Dcomb1」 = 薬物2と併用した薬物1のIC50;「IC50 Dsolo1」 = 単独で試験した場合の薬物1のIC50 ;式中: 「IC50 Dcomb2」 = 薬物1と併用した薬物2のIC50;「IC50 Dsolo2」 = 単独で試験した場合の薬物2のIC50 ;2つの薬物の効果が相互に排他的(exclusive)である場合、α = 0;および2つの薬物の効果が相互に非排他的(nonexclusive)である場合、α = 1。CI < 1での併用は相乗的であると決定され、他方でCI > 1での併用は拮抗的であると決定される。相加性は、CI = 1である併用に反映される。 考 察 PRO 140は、HIV-1治療のために開発されているCCR5-特異的 mAbである。これはマウス抗体, PA14(Olson et al., 1999; 2000年6月20日に公開されたPCT国際公開番号WO 00/35409)のヒト化IgG4,κバージョン(2003年9月4日に公開されたPCT国際公開番号WO 03/072766を参照されたい)であり、細胞の表面のCCR5レセプターに結合し、HIV-1の前記細胞へのCCR5媒介性の融合を阻害する。本明細書に記載される研究は、PRO 140とHIV-1感染の小分子およびペプチドインヒビターとの組み合わせでの抗ウイルス活性の試験に関する。この試験から得られたデータを、HIV-1感染の阻害における潜在的な協同的な効果に関して分析した。 一系列の実験において、HIV-1感染の阻害を、蛍光共鳴エネルギー移動(RET)アッセイを用いてアッセイした。このアッセイは、組換え型のHIV-1株JRFLエンベロープ糖タンパク質(Env)を発現しているエフェクター細胞(HeLa-EnvJRFL)とCD4 および CCR5を発現している標的細胞(CEM NKR-CCR5)との融合を測定する(Litwin et al., 1996)。このアッセイにおいて、エフェクター細胞はF18色素で標識され、標的細胞はR18色素で標識された。エフェクターおよび標的細胞のHIV-1 Env-媒介性融合によって、これらの2つの色素が細胞膜で近接して配置される。F18が最適な波長(450 nm)で励起された場合に、R18を励起させる波長(530 nm)で光を放射し、2つの色素が同じ膜に共局在する場合に、590 nmでR18特異的な放射を生じる。薬感受性は、エフェクター細胞の付加前に連続的な濃度の薬物を標的細胞に添加することによって測定された。HIV-1 Env媒介性融合の阻害は、用量依存的な様式でのR18による蛍光発光の減少に反映され、これによって薬活性の定量的な測定が提供される。 HIV-1 Env-媒介性融合の阻害を測定する最初の実験は、協同的な相互作用を定量するためのアッセイ系の頑健性(robustness)を実証するために実施された。これらの実験において、PRO 140を、それ自身と組み合わせた〔相加的な相互作用が指し示す併用指標(CI)値を生じるべきの組み合わせ〕。Chou および Talalay (1984)の方法論を用いた際に、<1.0, =1.0 および >1.0のCI値は、それぞれ相乗的、相加的、および拮抗的な相互作用を指し示す。実際、PRO 140をそれ自身と組み合わせることで、0.97 ± 0.08(n=9; 表7)のCI値を示し、アッセイ系が正確にこの相互作用を呈することを示している。次に相乗作用実験を、PRO 140とCCR5の3つの小分子(SCH-D, TAK-779, UK427857), 1つのペプチド(RANTES)および1つのmAb(2D7)アンタゴニストとの間で行った。加えて,協同的な相互作用を、PRO 140とT-20(gp41のペプチドに基づくインヒビター), PRO 542(gp120のタンパク質に基づくインヒビター), BMS378806(gp120の小分子インヒビター)および Leu-3A(抗-CD4 mAb)との間で測定した。 結果(表7を参照されたい)は、PRO 140と全ての3つの小分子CCR5アンタゴニスト同様にRANTESとの間の強力な相乗作用を明らかとした。PRO 140及びこれらのCCR5アンタゴニストの間のCI値は、0.36 ± 0.10〜0.59 ± 0.08の範囲であった。用量減少の値は、化合物の組み合わせがPRO 140活性に約4倍の効果を発揮し、他方で組み合わせでの化合物におけるPRO 140の効果が約 3〜約 16倍の範囲であることを示していた(表7)。中等度(Modest)な相乗作用から相加作用が、PRO 140とT-20, PRO 542, BMS-378806 および2D7との間で観察された(それぞれ、CI = 0.84 ± 0.16, 0.96 ± 0.17, 1.21 ± 0.21, および 0.93 ± 0.04)。 組み合わせを行ったCCR5の小分子アンタゴニスト(SCH-D および TAK-779)は、1.12 ± 0.32の平均CI値を示し、僅かに相加的な相互作用を示している(表8)。逆に、組換え型の抗体様融合タンパク質PRO 542と抗-CD4 mAb(Leu-3A)との組み合わせは、16.9 ± 0.3の平均CI値を生じ、これらの2つのHIV-1インヒビターの間の強力な拮抗作用を示している(表8)。 化合物のモル比を変化させることによって、協同性の類似するパターンが実証された。PRO 140とSCH-D, TAK-779, UK-427,857 および RANTESとの5:1 および 1:5 モル比の両方で、HIV-1-Env-媒介性の侵入の強力な相乗的な阻害が観察された(表9)。これは、低い0.15〜高い1,820までの広い範囲のインヒビターの質量比を示す。PRO 140及びCCR5アンタゴニストの間のCI値は、0.52 ± 0.20〜0.84 ± 0.14の範囲であった。より中等度の相乗作用から相加作用が、PRO 140とT-20, PRO 542またはBMS-378806との組み合わせに関して観察された。これらの調査の結果によって、PRO 140とCCR5アンタゴニストとの明らかに強力な相乗的な活性、同様に、PRO 140およびT-20の間のより中等度の相乗作用が同定された(図4を参照されたい)。 CCR5-特異的なマウスmAb(2D7)のHIV-1阻害活性も、蛍光RETアッセイを用いて小分子CCR5アンタゴニストとRANTESとを組み合わせて試験した。2D7が、これらのCCR5アンタゴニストと及びRANTESと相乗的に作用することが見出された(表10)。2D7及びこれらのCCR5アンタゴニストの間のCI値は、0.15 ± 0.03〜0.62 ± 0.04の範囲であった。用量減少の値によって、化合物の組み合わせが2D7活性に約2〜3倍の効果を発揮したことが示された(但し、TAK-779は、2D7活性に約 17倍の効果を有していた)。化合物の組み合わせにおける2D7の効果は、約 2〜約 12倍の範囲であった(表10)。以前に観察されたとおり、PRO 140および2D7の組み合わせは、基本的に相加的または中等度に相乗的(CI = 0.93 ± 0.04)であった。 これらの結果は、HIV-1 Env-媒介性の細胞間融合の相乗的な阻害がCCR5に結合する複数のmAbsおよび小分子の間で観察されることを示している。この特性は、CCR5を標的とするmAbs(例えば、CCR5に結合し、拮抗し、細胞間融合アッセイにおけるHIV-1侵入をブロックすることが示されたmAb CCR5mAb004を含む)に広く適用可能でありえる(Roschke et al., 2004)。多くの小分子が、CCR5アンタゴニストと同定された(表12を参照されたい)。特定のこれらの小分子CCR5アンタゴニストは、PRO140および他の抗-CCR5 mAbsを組み合わせたHIV-1 Env-媒介性融合の相乗的な阻害を生じえる。 相乗的な相互作用を検査するための代替的なアプローチは、以前に記載されたウイルス細胞融合アッセイ(Nagashima et al., 2001; Trkola et al., 1998)を利用している。このアッセイにおいて、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を含んでいるHIVのゲノムベクター(pNLluc+Env-)は、HIV-1JRFLからのEnvでシュードタイプ(pseudotyped)された。組換え型のシュードタイプウイルス粒子が使用されて、CD4 および CCR5を発現しているU87細胞が感染される(U87-CD4-CCR5)。標的細胞におけるルシフェラーゼの産生は、ウイルス侵入および1ラウンドのウイルス複製の完了に依存的である。薬感受性は、シュードタイプウイルス粒子の付加前に連続的な濃度の薬物を標的細胞に添加することによって測定された。ウイルス侵入の阻害は、用量依存的な様式でのルシフェラーゼ活性の減少に反映され、これによって薬感受性の定量的な測定が提供される。HIVのゲノムベクターはルシフェラーゼ発現を駆動するために機能的な HIV-1 逆転写酵素(RT)の発現が必要とされるので、このシュードウイルスアッセイもヌクレオチド/ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTIs)および非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTIs)による阻害に感受性である。それ自体で、HIV-1ppアッセイは、PRO 140とCCR5, CD4, HIV-1 gp120, HIV-1 gp41, およびHIV-1逆転写酵素の小分子, ペプチドおよびタンパク質インヒビターの間の協同的な相互作用を検査するために適切である。 抗ウイルス性の相乗作用を検査するための第三のアプローチは、全ウイルスアッセイ(whole virus assay)を利用するアプローチである。全クラスのインヒビター分子の間の協同性を、このアッセイ型式で検査できる。 ウイルス細胞融合ルシフェラーゼアッセイおよび全ウイルスアッセイの両方において、IC50値をRETアッセイに関して本明細書に記載された全ての組み合わせに関して得た。薬物併用の協調的な阻害効果は、ChouおよびTalalay(1984)の方法で決定された。 PRO 140は、前臨床試験においてCCR5拮抗作用または他の免疫性の副作用を生じることなく、CCR5媒介性のHIV-1侵入を広範および強力に阻害した。最近、健常人ボランティアにおける進行中の第1相試験からの予備的な結果においてPRO 140の有利な耐容性、PKおよび免疫性のプロフィールが実証された。従って、多くの点において、PRO 140は、抗HIV-1治療に対し新規で魅力的な製品プロフィールを提供する。さらに、抗CCR5 mAbsの活性は、基本的に小分子CCR5アンタゴニストの活性と異なるが、相補的(complementary)である(表2を参照されたい)。 抗CCR5 mAbsおよび非抗体CCR5アンタゴニストの組み合わせによって、HIV-1とCD4+CCR5+標的細胞との融合の阻害に相加作用を生じるだろうことが予想されてきた。というのも、両方のクラスの因子は、同じ標的分子に結合するからである。しかしながら、驚くことに、本明細書に示されたデータによって、抗-CCR5 mAbs(PRO 140および2D7で例示される)が、HIV-1 Env媒介性の細胞間融合の阻害において、非抗体CCR5アンタゴニスト(SCH-D, TAK-779, UK-427,857 および RANTESで例示される)と強力で再現性のある相乗作用を示すことが明らかとなった。相乗効果は通例1/4〜1/10の用量減少と言い換えられ、薬物併用に関する阻害作用の強度における有意な改善を示唆している。対照的に,純粋な相加作用は、非抗体CCR5アンタゴニストの組み合わせに対して観察された。これらの所見は、これらの分子のCCR5認識の異なるパターンを反映していると思われる:小分子CCR5アンタゴニストはCCR5の膜貫通ドメイン内の共通の疎水性ポケットに結合するが、PRO 140はCCR5の親水性の細胞外のエピトープを認識する。総合的に、前記データは、PRO 140を非抗体HIV-1侵入インヒビターと組み合わせて使用することを支持し、PRO 140がCCR5インヒビターの別のサブクラスを代表することを示唆する。さらに、利用可能なデータによって、観察された相乗作用が、mAb CCR5mAb004 (Roschke et al., 2004)を含むが限定されないPRO 140以外の抗-CCR5 mAbs、同様にSCH-D, TAK-779, UK-427,857 および RANTES以外の非抗体CCR5アンタゴニストが関与する組み合わせによって呈示されてもよいことが示唆される。従って、これらの抗体によって、GW873140 (Lalezari et al., 2004), TAK-652 (Baba et al., 2005), および表12に示される少なくとも特定の小分子CCR5アンタゴニストと組み合わせた相乗的な効果が生じる可能性がある。従って,抗-CCR5 mAbs および 非抗体CCR5アンタゴニストの投与を備える併用療法は、HIV-1感染を予防および治療するための強力で効果的で新しいアプローチを提供しえる。係る治療によって強力で耐久性のある抗HIV-1治療がえられることが予想される。加えて、本明細書に記載される相乗的な効果によって、被験者に投与される薬物の用量を減少させること、同様に投薬頻度(dosing frequency)を減少させることが可能となりえる。 例4: 負荷および維持の投薬計画例えば、維持療法よりも用量を集中(dose-intensive)できる負荷療法は、例えば、以下の特性を有しえる: 用量の数: 1以上(約 5 用量まで)。 用量レベル: 維持量療法(maintenance dose regimen)よりも約 25%, 50%, 75%, 100%, 150% または200%多い。 用量の頻度: 維持量療法よりも約 1.5X, 2X, 3X または4X頻繁である。 例として、維持量療法が2mg/kgを2週ごとである場合、負荷量療法は毎週2 mg/kgの用量を含むだろう。代わりに、負荷量療法は、単回の4 mg/kg用量または複数回の4 mg/kg用量を毎週または隔週のインターバルで含むだろう。 負荷量療法は、例えば、用量の間の薬の血中濃度の均一なピーク値および底値として規定されるような、被験者の薬物動態の定常状態の達成を促進するために設計できる。好適な負荷量療法は、薬が被験者に異なる負荷および維持療法で投与され、薬の血液レベルが測定される日常的な実験で決定できる。 また、別の態様において、PRO 140は、例えば、75 mg, 150 mg, 300 mg および600 mg/投与の固定用量の投薬計画にしたがって投与される。 パートII材料および方法インヒビターPRO 140は、哺乳類細胞中で発現され、プロテインA, イオン交換およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーで精製される。UK-427,857 (Dorr et al. 2005), SCH-D (Tagat et al. 2004), TAK-779 (Baba et al. 1999), エンファービルタイド (T-20 (Wild et al. 1992); BMS-378806 (Lin et al. 2003)) および PRO 542 (CD4-IgG2, (Allaway et al. 1995))は、公開された方法にしたがって調製された。ジドブジン (アジドチミジン, AZT), RANTES, CCR5 mAb 2D7 および CD4 mAb Leu-3Aは、それぞれSigma Chemicals (St. Louis, MO), R&D Systems (Minneapolis, MN), Pharmingen (San Diego, CA), およびBecton Dickinson (Franklin Lakes, NJ)から購入された。UK-427,857 および SCH-Dは、GE Healthcare (Piscataway, NJ)によってトリチウムで放射標識された。また、PRO 140は、Southern Biotech, Inc. (Birmingham, AL)によってフィコエリトリン(PE)と結合させた。 HIV-1膜融合アッセイHIV-1エンベロープ媒介性の膜融合を、蛍光共鳴エネルギー移動(RET)アッセイ (Litwin et al. 1996)を修正した方法を用いて検査した。簡単に説明すると、HIV-1JR-FL gp120/gp41を安定的に発現するHeLa細胞(Litwin et al. 1996)およびCEM.NKR-CCR5細胞(NIH AIDS Research and Reference Reagent Program, (Spenlehauer et al. 2001; Trkola et al. 1999))を、それぞれフルオレッセインオクタデシルエステル(F18; Molecular Probes, Eugene, OR)およびローダミンオクタデシルエステル(R18; Molecular Probes)で別々に一晩標識した。細胞を、15%ウシ胎児血清(PBSF)を含有しているリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、15,000 細胞/ウェルで384-ウェルプレートに共に播種した。インヒビターを添加し、プレートをPBSFプラス0.5%ジメチルスルホキシド(DMSO)で37゜Cで4hインキュベーションし、以前に記載されたとおりVictor2 プレートリーダー(Perkin-Elmer, Boston, MA)を用いてRETを測定した(Litwin et al. 1996)。CD4 mAb Leu3aを、コントロールインヒビターとして使用した。また、パーセント阻害を、(インヒビターの非存在下でのRET - インヒビターの存在下でのRET)/(インヒビターの非存在下でのRET - Leu3aの存在下でのRET) X 100と計算した。 HIV-1シュードウイルスアッセイ自己不活性化(SIN;self-inactivating)ベクターは、TATAボックスおよび転写制御因子の結合部位を除去するために、3'末端反復配列(LTR)のU3領域の507塩基対を削除することによって、pNL4-3ΔEnv-ルシフェラーゼベクター(Dragic et al. 1996)から作出された。ヒトサイトメガロウイルスプロモーターは、統合に引き続きルシフェラーゼの発現を可能にするために、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子の上流に挿入された。 HIV-1JR-FLまたはHIV-1SF162のエンベロープでシュードタイプされたレポーターウイルスは、以前に記載(Dragic et al. 1996)されたとおり293T細胞にSINベクターおよび適切なpcDNA env-発現ベクターをコトランスフェクションすることによって作出した。U87-CD4-CCR5細胞(8,000/ウェル; NIH AIDS研究および参照試薬プログラム)を、125〜375 pgのHIV-1のシュードウイルスで384ウェルプレート中でインヒビターの存在下または非存在下で感染させた。培養物を、10% ウシ胎児血清, 1 mg/mL ピューロマイシン, 0.3 mg/mL ジェネテシン, 抗生物質, および 0.5% DMSOを含有するDMEM中で37゜Cで72hインキュベーションした。ルシフェラーゼ活性(相対光量単位またはRLU)を、製造者の指示にしたがってBrightGlo 試薬(Promega, Madison, WI)を用いて測定した。パーセント阻害を、(1−インヒビターの存在下でのRLU/インヒビターの非存在下でのRLU)と計算した。IC50およびIC90は、HIV-1の50%および90%阻害に必要とされる各々の濃度を表すために使用された。 相乗作用の決定実験計画およびデータ分析は、併用指標(CI)法(Chou et al. 1991; Chou et al. 1984)に基づいた。化合物を、連続的な希釈範囲に対し固定されたモル比で個々におよび組み合わせで試験した。侵入インヒビターを等モル量で混合し、1:10モル比をPRO 140とアジドチミジンおよびネビラピンとの組み合わせに使用した。用量反応曲線を、50%(IC50)および90%(IC90)阻害に必要とされる濃度を計算するために、4パラメータのS字形の式(a four-parameter sigmoidal equation)を用いて、それぞれ100%および0%とした上位および下位の阻害値と適合させた(GraphPad Prism, GraphPad Software, San Diego, CA)。50%(CI50)および90%(CI90)阻害に対するCI値を、以前に記載されたとおり計算した(Chou et al. 1991; Chou et al. 1984)。相互に排他的なCI式をCCR5インヒビターの組み合わせに関して使用し、相互に非排他的な式をインヒビターと別の標的との組み合わせに利用した(Chou et al. 1991)。各試験を、4〜12回実施した。相乗作用、相加作用および拮抗作用は、それぞれCI<1, CI=1 および CI>1で示される。 競合結合アッセイPRO 140 結合の阻害を検討するために、CEM.NKR-CCR5細胞を、0.1% アジ化ナトリウムを有するリン酸緩衝生理食塩水(PBSA)に懸濁し、種々の濃度の非標識のCCR5アンタゴニストで周囲温度(ambient temperature)で30分間インキュベーションした。アジドを、アッセイの間のCCR5インターナリゼーションをブロックするために添加した。細胞を、PBSAで洗浄し、5nM PRO 140-PEで洗浄前に付加的な30分間インキュベーションし、FACSCalibur機器(Becton Dickinson)を用いたフローサイトメトリーで分析した。PRO 140-PE結合の程度を、平均蛍光強度(MFI)および陽性染色に対してゲートされた細胞のパーセントの両方に関して測定した。 UK-427,857結合の阻害を検討するために、CEM.NKR-CCR5細胞を、上記に記載のとおり2nMの3H-UK-427,857の添加前に付加的な30分間非標識のCCR5インヒビターでプレインキュベーションした。その細胞を、PBSAで洗浄し、Wallac1410機器を用いるシンチレーション計数前に0.5N HClで溶解した。さらなる研究によって、UK-427,857結合の安定性を検討するために、前記アッセイの過程で添加の順序が逆転される。細胞を、2nMの3H-UK-427,857で30 minプレインキュベーションし、洗浄し、非標識インヒビターを添加し、上記の処理を行った。EC50およびEC90は、それぞれ50%および90%まで標識化合物の結合を阻害するために必要とされる非標識の化合物の濃度を表すために使用された。 統計学的分析両側t検定を、Graph Pad Prismソフトウェアを用いて帰無仮説H0:CI=1(相加性)に対して平均CI50およびCI90値を検定するために使用した。P値を、ボンフェローニ法(Cudeck and O'Dell 1994)にしたがってα=0.05からの多重比較に関して補正した〔アッセイのコントロールとして含まれたPRO 140/PRO 140のモック(mock)の組み合わせは除外されている〕。ボンフェローニ補正において、P=α/nである(式中のnは、比較の数である)。二十二の相乗作用比較(11の化合物 X 2つのCI値)を、膜融合アッセイで生じたデータに基づいて作成し、補正されたP値の0.0023が生じた。シュードウイルスアッセイにおいて、32の相乗作用比較(8つの化合物 X 2つのウイルス X 2つのCI値)によって、補正されたP値の0.0016が生じた。 結 果HIV-1膜融合の阻害PRO 140およびUK-427,857を個々および共に使用して、RET細胞間融合アッセイにおけるHIV-1JR-FLのエンベロープ媒介性膜融合を阻害した。個々の因子および組み合わせに関する代表的な用量反応曲線は、図15Aに示される。PRO 140およびUK-427,857の両方が個々にHIV-1融合を低いナノモルの作用強度でブロックするが、その組み合わせは著しく強力であった。このアッセイにおいて、50%阻害は、2.9 nM PRO 140単独, 5.0 nM UK-427,857の単独使用, または2.1 nMの組み合わせ(1.05 nM PRO 140 プラス 1.05 nM UK-427,857)を用いて得られた。この超相加作用(supra-additive effect)は、2つの因子の間の抗ウイルス性の相乗作用の表示である。対照的に,SCH-DおよびUK-427,857の組み合わせは、個々の因子以下であった(図15B)。この例において、個々のインヒビターおよび組み合わせに対する用量反応曲線はオーバーラップし、50%阻害に9.7 nM UK-427,857, 5.5 nM SCH-D および 6.1 nM組み合わせを必要としている。データは、これらのインヒビターに対する純粋な相加作用を示唆している。 これらの研究は、付加的なCCR5(TAK-779, RANTESおよび2D7), gp120(BMS-378806およびPRO 542)およびgp41(エンファービルタイド)インヒビターに拡大され、各条件に関して4回以上反復された。CI50およびCI90値は、各条件に関して計算され、非依存性のアッセイに関して平均された。CI50およびCI90値を比較して有意に異なるかどうかを決定するためにt検定を用いて協同性を評価した。これらの方法の検査として、PRO 140/PRO 140のモックの組み合わせを、PRO 140をアッセイウェルへと2つの分離した付加物(two separate additions)中で添加することによって検査した。PRO 140/PRO 140の組み合わせに関するCI50 および CI90 値は、それぞれ0.96 および 0.97であった(表13);従って、予想通り、純粋な相加作用が、このモックの組み合わせに関して観察された。a 統計的に有意な結果(多重比較に関してボンフェローニ補正の適用後にP<0.0023)は、イタリックの太字で示される。IC50およびIC90は、1st インヒビターに対する値を表す。N/A=該当なし;TAK-779は、アッセイにおいて90%阻害を達成しない。CI値は、4〜12の非依存性アッセイの平均および標準偏差を表す 強力な相乗作用が、PRO 140と三つの小分子CCR5アンタゴニスト(UK-427,857, SCH-D およびTAK-779)のいずれかとの組み合わせに対して観察された。この所見は、たとえデータがボンフェローニ法で多重比較に関して補正された場合でも統計的に有意であった(表13)。CI値は、0.36〜0.61の範囲であった。また、これらの相乗効果は、異なる条件の間で1/3〜1/8の範囲にわたる用量減少と言い換えられる。相乗効果は、50%阻害よりも90%阻害で大きかった。PRO 140 および 小分子CCR5アンタゴニスト間の相乗作用は、全ての例で50%および90%阻害の両方で観察される程に頑強であった。例外は、TAK-779であった(これは個々に使用された場合に90%阻害を媒介しないので、CI90は未決定である)。RANTESがPRO 140またはUK-427,857と組み合わせて使用された場合に、同様に強力な相乗作用が観察された(表13)。付加的な試験を、二つの小分子CCR5アンタゴニスト (SCH-D/UK-427,857 および SCH-D/TAK-779)または二つのCCR5 mAbs(PRO 140/2D7)の組み合わせで行った。これらの組み合わせに関して有意な相乗作用は観察されなかったが、SCH-D/UK-427,857のCI90値は有意な傾向を示した。これらの所見は、PRO 140 および 2D7 (Olson et al. 1999)に関する及びSCH-D および TAK-779 (Seibert et al. 2006)に関するオーバーラップする結合部位の以前の観察と整合性がある。また、PRO 140は、gp41融合 インヒビター エンファービルタイドおよびgp120 付着 インヒビター PRO 542 および BMS-378806との組み合わせが試験された(表13)。CI値は0.84〜1.28の範囲であり、これらの組み合わせは統計学的な有意性の判定基準に合う相乗作用を実証した。PRO 140/BMS-378806の組み合わせに関して、中等度の拮抗作用が50%阻害で観察された(90%阻害ではない)。この結果の生物学的な有意性は、不明である。 HIV-1シュードウイルスの阻害単一サイクルのHIV-1レポーターウイルスは、相乗的な効果が細胞間融合に限定されるかどうか又はそれらがHIV-1侵入の他の方式(modes)に拡大されるかどうかを検討するために使用された。このアッセイにおけるシグナルは、ウイルス侵入 および 逆転写の両方を必要とするので、NRTIおよびNNRTIの両方が分析に含まれてもよい。各組み合わせは、少なくとも4つの非依存性アッセイ/ウイルスにおいて、HIV-1JR-FL および HIV-1SF162からのエンベロープでシュードタイプされたレポーターウイルスに対して試験された。PRO 140/PRO 140のモックの組み合わせは、再びアッセイのコントロールとして含まれ、予想通り、HIV-1JR-FL および HIV-1SF162 シュードウイルスの両方に対する相加作用が実証された(表14)。 PRO 140は、ウイルス細胞融合をブロックすることにおいてUK-427,857 および SCH-Dの両方と強力に相乗作用し、結果は統計学的な有意性に関する判定基準に合うものであった。匹敵するレベルの相乗作用は、HIV-1JR-FL および HIV-1SF162 シュードウイルスの両方に対して、50% および 90%阻害(表14)で0.18〜0.64の範囲のCI値で観察された。これらの相乗作用は、1/14の範囲にわたる用量減少と言い換えられる。これらの結果は、細胞間融合アッセイにおいて得られたものとよく一致した(表13)。TAK-779もRANTESもHIV-1シュードウイルス侵入の一貫した高いレベルの阻害を媒介しないので、これらの化合物は本分析に含ませさなかった(データ示さず)。 相加作用は、UK-427,857/SCH-D および PRO 140/2D7の両方の組み合わせについて観察された(表14)。同様に,相加性は、gp120インヒビターPRO 542 および BMS-378806と組み合わせて使用されたPRO 140に関して観察された。拮抗作用は、何れかのウイルスに対するPRO 140/BMS-378806の組み合わせについて観察されなかった。総合的に、これらの所見は、細胞間融合に関して認められたものと一致している。最後に、相加作用は、PRO 140とジドブジン (NRTI)またはネビラピン (NNRTI)の何れかとの組み合わせに関して観察された。 競合結合試験上記のとおり、相加的な抗ウイルス性の効果は、CCR5結合に競合することが既知の(PRO 140 および 2D7)または推測(inferred)(UK-427,857 および SCH-D)されるインヒビターに関して観察された;しかしながら、相乗的な化合物(例えば、PRO 140/UK-427,857 および PRO 140/SCH-D)の競合的な結合について僅かなことが知られているだけである。非競合的な結合によって、CCR5 インヒビターの間の相乗作用の潜在的な機構が提供されるので、この問題をUK-427,857 および PRO 140の標識された形態を用いて探究した。 CEM.NRK.CCR5 細胞へのPRO 140-PE結合の阻害を非標識の PRO 140, UK-427,857 および SCH-Dによって検討するために、フローサイトメトリーが使用された。PRO 140-PEの結合は、予想通り、非標識のPRO 140によって効率的に阻害された。完全な阻害は、MFI値(図16A)および陽性の結合についてゲートされた細胞のパーセント(図16B)の両方に関して観察された。MFIデータに基づくEC50は、2.5 nM(図 16A)であった。また、この値は、PRO 140の抗ウイルス性のIC50と比べ遜色がない(表13 および 14)。ゲートされた細胞のパーセントは基本的に結合の完全な阻害に対する読み出し情報であり、EC90 値は17 nMと計算され、この値はPRO 140について観察された抗ウイルス性のIC90 値と類似する(表13 および 14)。2D7も、PRO 140-PEとCEM.NKR-CCR5との結合を完全に阻害した。PRO 140-PEのCCR5特異性も、親のCEM.NKR 細胞を結合する能力がないことで実証された。 より対照的に、阻害の中等度のレベルは、UK-427,857およびSCH-Dについて観察された(図16)。マイクロモル濃度のUK-427,857 および SCH-Dによって、PRO 140-PEのMFI値が50%以下まで減少した(図 16A)。より劇的なこととして,UK-427,857 および SCH-Dは、PRO 140-PEの結合が陽性であることに関してゲートされた細胞のパーセントに僅かな影響を有していた(図 16B)。これらの所見によって、UK-427,857 および SCH-Dが部分的にPRO 140-PE 分子結合の数/細胞を減少させること;しかしながら、これらの化合物は測定可能な量のPRO 140-PEを結合する細胞の数を減少させないことが示唆される。従って、UK-427,857 および SCH-Dは、PRO 140 結合の部分的なアンタゴニストであり、この所見によって、PRO 140 及び これらの小分子CCR5アンタゴニストの間で観察された抗ウイルス性の相乗作用についての機構が提供される。 3H-UK-427,857 結合を非標識のUK-427,857, SCH-D およびPRO 140により阻害する検査が、次に行なわれた。3H-UK-427,857とCEM.NKR-CCR5 細胞との結合は、効率的に非標識のUK-427,857によって阻害された(図 17A)。結合に対するEC50は4.3 nMであり、UK-427,857に関して観察された抗ウイルス性のIC50値と類似している(表13 および 14)。SCH-Dも、3H-UK-427,857結合をバックグランドレベルまでブロックした(図 17A)。しかしながら、化合物の抗ウイルス性の作用強度とそれらの3H-UK-427,857結合をブロックすることにおける作用強度との間に相関性はなかった。例えば、SCH-DはUK-427,857と等しい又は僅かに大きな抗ウイルス性の作用強度を有することが実証され(表13および14)、他方でSCH-Dは3H-UK-427,857 結合のブロッキングにおいて強度が低かった(EC50 = 17 nM, 図 17A)。この結果は、これらの化合物にCCR5結合部位において僅かな差異があることと整合する結果である。 驚くことに,PRO 140も、3H-UK-427,857 結合をバックグランドレベルまでブロックした(図 17A)。この結果は、UK-427,857によるPRO 140-PE 結合の中等度の阻害と対照的である(図 16)。PRO 140は3H-UK-427,857 結合を14 nMのEC50で阻害し、これはPRO 140の抗ウイルス性のIC50よりも5〜10倍高いものである(表13および14)。 最終的な実験によって、競合アッセイの条件下でCEM.NKR-CCR5 細胞へのUK-427,857 結合の安定性が検査された。この事項に関して、細胞を、3H-UK-427,85でプレインキュベーションした。そして、解離を、非標識のUK-427,857, SCH-D およびPRO 140の存在下で検査した。図17Bに示されたとおり、30 min、周囲温度で3H-UK-427,857の解離は最小であった。また、UK-427,857は、PRO 140またはSCH-Dの何れかで置換されなかった。従って、UK-427,857がCCR5へのPRO 140結合と効率的に競合する能力がないことは(図16)、アッセイの過程でCCR5からUK-427,857が急速に解離することによらない。総合的には、データは、PRO 140が前に結合したUK-427,857の存在下でCCR5と結合できることを指摘している。 考 察この研究によって、mAb および 小分子 CCR5 インヒビターの間の相互作用が探究され、HIV-1治療のために現在開発されているCCR5薬物の組み合わせが検査された。驚くことに,CCR5 mAb PRO 140と各々三つの構造的に別の小分子CCR5アンタゴニストとの間の強力な抗ウイルス相乗作用が観察された。一貫して、高レベルの相乗作用が、種々のアッセイ系、ウイルス単離体(viral isolates)、標的細胞および阻害レベルで観察された。PRO 140 および 小分子CCR5アンタゴニストは共に使用された場合に、HIV-1侵入の他の段階をブロックするインヒビターと組み合わせるよりも強力に相乗的である。対照的に,相加作用は、二つの小分子CCR5アンタゴニストの組み合わせに対して観察された。競合結合研究によって、mAbおよび小分子CCR5インヒビターによるCCR5結合の複雑で非相互的(non-reciprocal)なパターンが明らかとなり、相乗的な相互作用がレセプター結合のレベルで発生することが示唆された。 mAb および 小分子CCR5インヒビターの間の頑強な相乗作用が、本研究で観察された。強力な相乗作用は、細胞間およびウイルス細胞融合の両方で観察された。また、これらの二つの樹立されたアッセイ系における所見が一致した。匹敵するレベルの相乗作用が、PRO 140と無関係の化学物質の系列からの各々3つの小分子CCR5アンタゴニストとの組み合わせについて観察された。加えて,一貫した相乗作用が、二つの特性が詳細に調べられたHIV-1エンベロープおよび二つのCCR5標的細胞の各々について観察された。相乗作用はウイルス阻害のレベルの増加と共に増加し、これは1/14までのインビトロでの用量減少と言い換えられる。別の観点で眺めると、この度合の相乗作用によって、抗ウイルス圧力(antiviral pressure)の対応する増加が所与の濃度の薬物で提供され、これによってウイルス抑制が改善され、薬剤耐性ウイルスの出現が潜在的に遅らされる。この事項は、mAbおよび小分子CCR5インヒビターが相補的なパターンのウイルス抵抗性を所有することを指摘している予備的な研究によって支持される(Kuhmann et al. 2004 and Marozsan et al. 2005)。本発明の所見によって、mAbおよび小分子CCR5インヒビターを組み合わせる療法の臨床的な探索に関する理論的根拠が提供される。 また、強力な相乗作用は、UK-427,857またはPRO 140の何れかと組み合わせて使用されたRANTESについて観察された。内在性レベルのRANTESは、自然な感染の間のHIV-1疾患の進行に対してある種の保護を提供するであろう(Garzino-Demo et al. 1999; Lui et al. 1999)。従って、相乗作用に関するこの所見は、HIV-1のCCR5標的治療に重要でポジティブな意味を有する。RANTES および PRO 140の間の抗ウイルス相乗作用は、RANTESシグナル伝達が、抗ウイルス性の濃度のマウスのPRO 140(PA14)によってブロックされないとの以前の観察に基づけば驚くべきことではない(Olson et al. 1999)。RANTES および UK-427,857の間の相乗作用は、UK-427,857が強力なCCR5アンタゴニストであることを考慮すれば容易に説明されるわけではない。しかしながら、これらの所見は、小分子CCR5アンタゴニストのSCH-Cと潜在的な局所的殺菌剤として評価されてきたRANTES誘導体(Kawamura et al. 2000)であるアミノオキシペンタン-RANTES(AOP-RANTES)との間の相乗作用に関する以前の観察(Tremblay et al. 2002)と整合している。 mAbおよび小分子CCR5アンタゴニストの間で観察された頑強な相乗作用とは対照的に、相加作用が小分子CCR5アンタゴニストの組み合わせに対して観察された。協同性の欠除は、これらの分子がCCR5の共通のポケットに対する結合に対して競合するとの観点で一貫している(Dragic et al. 2000; Nishikawa et al. 2005; Tsamis et al. 2003; Watson et al. 2005)。インビトロ試験は、野生型ウイルスの阻害のみに基づいて小分子CCR5アンタゴニストを臨床において組み合わせることに関する根拠(basis)を提供しない。 同様に,強力な相乗作用は、PRO 140とHIV-1付着(PRO 542 およびBMS-378806), 融合(エンファービルタイド), または逆転写酵素(ジドブジンおよびネビラピン)のインヒビターとの間で観察されなかった。また、これらの所見によって、PRO 140および小分子CCR5アンタゴニストで観察された相乗作用の有意性が強調される。幾つかの以前の研究によって、多様な小分子CCR5アンタゴニスト(UK-427,857, SCH-C, TAK-220, TAK-652 および E913)と各々の現存しているHIV-1治療クラスからの薬物との間の相互作用が検査された。大抵の(Tremblay et al. 2005 Antivir. Ther.; Tremblay et al. 2005 Antimicrob. Agents Chemother; Tremblay et al. 2002)、しかし、全てではない(Dorr et al. 2005; Maeda et al. 2001)研究によって、CCR5インヒビターおよび他のHIV-1の治療クラスの間の広範な相乗作用が報告されている。また、多岐にわたる結果は、抗ウイルス試験のための化合物および方法における差異並びにデータ分析に使用される方法における差異を反映しているだろう。UK-427,857が20の認可された抗レトロウイルス剤に対して試験された場合に、中等度の相乗作用が報告(Dorr et al. 2005)された3つのケースを除いた全てにおいて相加作用が観察された。この結果は、PRO 140とCCR5を標的としないHIV-1インヒビターとの組み合わせに対する本発明の所見と整合する結果である。 理論に縛られることなく、抗-HIV-1薬物の間の相乗作用は、種々の機構から由来するだろう。混合ウイルス培養物において、一つの化合物は、第二の化合物 (Johnson et al. 1991)に関するウイルス耐性を阻害しえる。また、NRTI/NNRTIの組み合わせによって、特異的なRT-媒介性の抵抗機構が克服されえる(Basavapathruni et al. 2004; Borkow et al. 1999)。インヒビターの間の代謝の相互作用によって、それらの効果的な細胞内の薬濃度が増加されえる(Molla et al. 2002)。また、相乗的な侵入インヒビターによって、侵入カスケードにおいて相互に依存する段階が崩壊されえる(Nagashima et al. 2001; Tremblay et al. 2000)。本研究は、混合集団(mixed populations)よりもクローンのウイルスエンベロープを検査した。そして、標的の細胞外の性質によって、代謝の相互作用が議論された。gp120の複数のドメインがCCR5結合に寄与するが(Cormier et al. 2002)、現在これらの相互作用によって感染の間の分離した又は別々のイベントが説明されるかどうかは不明である。 本発明の発見によって、mAb および 小分子 CCR5 インヒビターの間の抗ウイルス相乗作用がレセプターのレベルで生じえることが指摘された。上記で議論したとおり、mAbs および 小分子は、CCR5上の別の座に結合する(Dragic et al. 2000; Nishikawa et al. 2005; Tsamis et al. 2003; Olson et al. 1999; Watson et al. 2005)。本研究においてCCR5細胞とプレインキュベーションされた場合、PRO 140は引き続くUK-427,857とレセプターとの結合を完全にブロックした;しかしながら、PRO 140の濃度は、同じ細胞へのHIV-1侵入をブロックするために必要とされる濃度よりも高い。対照的に,CCR5細胞と超飽和濃度(super-saturating concentrations)のUK-427,857またはSCH-Dとのプレインキュベーションによって、PRO 140結合が50%以下まで減少した。一つの可能性のある説明として、PRO 140は、UK-427,857またはSCH-Dによって結合されないCCR5コンホーマー(CCR5 conformers)を認識できるだろう。細胞表面のCCR5は複数のコンホメーションで存在するが(Lee et al. 1999)、小分子アンタゴニストが細胞表面のCCR5のかなりの部分(a significant fraction)への結合に失敗している間に強力な抗ウイルス活性を生じることはないと思われる。この関連で、共通の細胞の背景(CEM.NKR-CCR5細胞)が競合結合および抗ウイルス性試験に使用された。従って、本発明の発見はCCR5発現における細胞特異的な差異に関連しないことに注目すべきである。 理論に縛られることなく、本発明の発見に対する別の妥当な説明は、PRO 140が三元複合体(ternary complex)をUK-427,857が結合したCCR5と形成する能力があり、この三元複合体によってHIV-1侵入に対する障壁が増大することである。このモデルの前後関係において、UK-427,857の存在下でのPRO 140結合の中等度の減少によって明らかなとおり、PRO 140は遊離のCCR5よりも幾分低い効率でUK-427,857が結合したCCR5へと結合しえる。 併用指標法は、薬物間相互作用(drug-drug interactions)を評価するために広く使用される。この方法において、協同性は、アッセイ間の可変性とは無関係に経験的なCI値(例えば、相乗作用に対し<0.9および拮抗作用に対し>1.1)に基づいて規定される。統計学的分析は時々行われ、多重比較に対しなされる調整がまれに行われる。係る分析をしない場合、相乗的な組み合わせの数を過剰評価する可能性が高くなる。 相乗的な効果を同定するために厳格で慎重なアプローチを用いた。CI値を、相加性(CI=1)の帰無仮説に対する統計学的な有意性に関して試験した。加えて、これらの試験によって、相乗作用試験において通常である実験ごとに20〜30の異なるCI値が決定された(表13および14)。偽陽性の結果の可能性を減少させるために、有意水準をボンフェローニ補正を用いて減少させた。また、モックの組み合わせを、抗ウイルス性の試験およびデータ分析に関するこれらの方法の試験として評価した。その結果、多数の見かけ上の相乗作用(CI<0.9)が利用可能なデータに基づいたアッセイ間の変動と区別できないだろうことが結論づけられた。しかしながら、これらの方法は厳格であるにもかかわらず、PRO 140および小分子インヒビターは全ての試験条件下で有意な相乗作用を示し、本発明の発見に信頼性を与える。本調査において有意な傾向があるCI値を有する組み合わせは、将来の研究で探究できるだろう。例えば、PRO 140/エンファービルタイドの組み合わせに関するデータによって、有意な傾向がある中等度の相乗作用が示唆された;したがって、この組み合わせもHIV-1感染を治療するために有用であろう。 増大したデータによって、次の事項が指摘される;その事項とは、mAbおよび小分子CCR5アンタゴニストが、別のサブクラスのCCR5インヒビターであること、並びに幾つかの重要な類似性(parallels)を一方でNRTIおよびNNRTIの間および他方でmAbおよび小分子CCR5アンタゴニストの間に示すことができることである。各々の例において、標的タンパク質(逆転写酵素またはCCR5)のインヒビターに関して別の結合座位(binding loci)が存在する。一つのセットのインヒビター(NNRTIまたは小分子CCR5アンタゴニスト)はアロステリックな機構を介して作用し、他のセット(NRTIまたはCCR5 mAbs)は競合的なインヒビターとして作用する。NRTIおよびNNRTIのように、mAbおよび小分子CCR5インヒビターは、相乗的であり、予備的な試験においてインビトロのウイルス抵抗性の相補的なパターンを有している(Kuhmann et al. 2004; Marozsan et al. 2005)。同じタンパク質を標的とするのであるが、NRTIおよびNNRTIは重要な別の治療クラスであり、mAbおよび小分子CCR5インヒビターは同様に別のHIV-1治療のモダリティー(modalities)を提供しえる。 パートIV材料および方法PRO 140 および 小分子CCR5アンタゴニストは、上記の記載のとおり調製および/または取得された。一次のR5 HIV-1単離体JR-FLおよびCase C 1/85(CC1/85)を、インビトロでPRO 140またはSCH-Dの濃度を徐々に増加させた条件の存在下または非存在下で末梢血単核球(PBMCC)で毎週継代した。そして、ウイルス培養物を、これらの及び他のCCR5インヒビターに対する感受性に関して検査した。感受性試験に関して、ウイルスをインビトロで刺激したPBMCで培養した。連続的に希釈した薬の存在下および非存在下で、ウイルス複製の程度をp24 ELISAで決定した。 結 果JR-FL および CC1/85の両方に関して、薬剤耐性バリアント(drug-resistant variants)がPRO 140 および SCH-Dの存在下で発生した。継代12で、エスケープ変異体(escape mutants)は、選択のために使用された薬に対して約1/10〜1/100低い感受性であった。各ケースにおいて、エスケープ変異体は、PBMCにおける複製に引き続きCCR5を必要とした。抵抗性の相補的なパターンが観察された、つまり:SCH-Dエスケープ変異体はPRO 140で効率的に阻害され、PRO 140 エスケープ変異体はSCH-Dで効率的に阻害された。 考 察PRO 140エスケープ変異体は、引き続き侵入にCCR5を必要とし、小分子CCR5アンタゴニストに感受性のままである。加えて、PRO 140は、小分子CCR5アンタゴニストに耐性のウイルスに対し活性である。本発明の発見によって、PRO 140および小分子CCR5アンタゴニストが、別のサブクラスのCCR5インヒビターであることが示された。 [参照文献]U.S. Patent No. 4,816,567, issued March 28, 1989 to Cabilly et al.U.S. Patent No. 5,225,539, issued July 6, 1993 to Gregory Winter.U.S. Patent No. 5,229,275, issued July 20, 1993 to Goroff.U.S. Patent No. 5,545,806, issued August 13, 1996 to Lonberg et al.U.S. Patent No. 5,545,807, issued August 13, 1996 to Surani et al.U.S. Patent No. 5,565,332, issued October 15, 1996 to Hoogenboom et al.U.S. Patent No. 5,567,610, issued October 22, 1996 to Borrebaeck et al.U.S. Patent No. 5,585,089, issued December 17, 1996 to Queen et al.U.S. Patent No. 5,591,669, issued January 7, 1997 to Krimpenfort et al.U.S. Patent No. 5,693,761, issued December 2, 1997 to Queen et al.U.S. Patent No. 6,150,584, issued November 21, 2000 to Kucherlapati et al.U.S. Patent No. 6,476,034 B2, issued November 5, 2002 to Wang et al.U.S. Patent No. 6,759,519 B2, issued July 6, 2004 to Li et al.PCT International Publication No. WO 90/07861, published July 26, 1990.PCT International Publication No. WO 00/35409, published June 22, 2000.PCT International Publication No. WO 01/55439, published August 2, 2001.PCT International Publication No. WO 01/90106 A2, published November 29, 2001.PCT International Publication No. WO 02/22077, published March 21, 2002.PCT International Publication No. WO 01/62255 A1, published August 30, 2001.PCT International Publication No. WO 03/082289 A1, published October 9, 2003.Alkhatib, G., et al. 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Virol. 75: 6682-6686.ヒト化されたPRO140は、抗ウイルス性が強い。マウスおよびヒト化のPRO 140のインビトロでの中和活性を、全ウイルス複製アッセイ(whole virus replication assay)を用いて四つの一次R5 HIV-1単離体に関して試験した。データは、8以上の独立したアッセイからの中央値を反映する。ウイルスの遺伝的なサブタイプは、括弧内に示される。抗ウイルス活性は、標的細胞に依存しない。四つの異なる標的細胞の三つの一次R5 HIV-1単離体による感染の阻害を試験した。インビトロでのPRO 140に対するHIV-1感受性が、PhenoSense TM侵入アッセイを用いて定量された。PRO 140は、ViroLogic社のPhenoSense HIV 侵入TMアッセイで、20の一次HIV-1単離体に対する活性に関して試験された。薬感受性は、IC50値(これは、ウイルスの感染性を50%阻害するために必要とされる濃度を示す)として報告された。PRO 140は、HIV-1をブロックするが、ケモカインのシグナル伝達をブロックしない。L1.2-CCR5細胞のRANTES誘導性カルシウム動員の阻害における及びPBMC培養物のHIV-1JR-FL 複製の阻害におけるPRO 140の効果を決定した。類似の結果が、MIP-1αおよびMIP-1βに関して得られた。PRO 140は、HIV-1-感染マウスにおけるウイルス複製の長期的な制御を提供する。正常なヒト末梢血単核球をSCIDマウスに再配置し、2週間後にHIV-1JR-CSFで感染させた。複数の用量のPRO 140を、定常状態のウイルスレベルに到達した後に投与した。注射の前後の血漿ウイルス負荷が示される。PRO 140は、CCR5リンパ球を被覆するが、枯渇させない。健常人男性のボランティア(n=4)を、2 mg/kgの用量レベルでPRO 140の単回の点滴静注で治療した。治療後の指摘した時間に、血液を採取し、CCR5のリンパ球レベルに関して分析した。グループの平均値および標準偏差が示される。PRO 140の血清濃度。健常人男性のボランティアを、指摘の用量レベル0.1, 0.5および2.0 mg/kgでのPRO 140の単回の点滴静注で治療した。治療後の指摘した時間に、血清を採取し、低温保存し、PRO 140レベルに関して分析した。個々の患者に関するデータが指摘される。PRO 140は、血漿ケモカインレベルに影響しない。健常人男性のボランティアを、 0.1 mg/kgのPRO 140 (コホート1), 0.5 mg/kgのPRO 140 (コホート2)または対応するプラセボの単回の点滴静注で治療した。治療後の指摘した時間に、血漿を採取し、低温保存し、RANTESのレベルに関して分析した。アッセイの定量の下限は、415 pg RANTES/mL血漿であった。データは、グループの平均値である。SCH-Dの化学合成に関する図。TAK-779の化学合成に関する図。前記方法は、Shiraishi等(Shiraishi et al., 2000)に記載された。UK-427,857の化学合成に関する図。前記方法は、2001年11月29日に公開されたPCT国際公開番号WO 01/90106 A2に記載された。PRO 140と異なる化合物とによって呈示されるHIV-1融合の相乗的な阻害。HIV-1融合の阻害を標的とするPRO 140とCCR5, CD4, gp120 および gp41の小分子, ペプチド, mAb, およびキメラCD4免疫グロブリンインヒビターとの間の相互作用を、RETアッセイを用いてアッセイした。95%の信頼区間での平均の併用指標(CI)値が、1:1モル比で混合された化合物を用いて得られたデータに対してプロットされた。<1のCI値は、相乗作用を示す;1のCI値は、相加作用を示す;>1のCI値は、拮抗作用を示す。PRO 140は、リンパ球を被覆するが、枯渇させない。健常人男性のボランティア(n=4)を、5 mg/kgの用量レベルのPRO 140の単回の点滴静注で治療した。治療後の指摘した時間に、血液を採取し、CCR5のリンパ球レベルに関して分析した。グループの平均値および標準偏差が示される。PRO 140は、小分子CCR5アンタゴニストに耐性のHIV-1株に対し活性である。AD101(構造的にSCH-Cに関連する小分子CCR5インヒビター)およびSCH-D(Kuhmann et al., 2004; Maroznan et al. 2005)に対し耐性のHIV-1のバリアントが、抗-CCR5 mAb, PA14に対する感受性に関して試験された。初代のCD4+ T細胞におけるウイルス複製の程度が、インヒビターの非存在下でのp24抗原産生に関して示される(100%と規定される)。個々のデータポイントは、4つの別個の実験に由来する値の平均であり、その各々はデュープリケートウェル(duplicate wells)を用いて行なった。データは、次のことを指摘している、つまり; AD101-およびSCH-D-耐性のHIV-1バリアントが、それぞれSCH-CおよびSCH-Dに耐性であるが、他方でこれらのバリアントの複製がPA14で強力に阻害された(Maroznan et al. 2005)ことである。HIV-1JR-FL エンベロープ媒介性膜融合のCCR5インヒビターの組み合わせによる阻害の用量反応曲線。希釈を、トリプリケートウェル(triplicate wells)で分析した。データポイントは、繰り返しの平均および標準偏差を示す。(A)PRO 140およびUK-427,857は、個々に、指摘した範囲の濃度に対し1:1の固定モル比で試験された。示された実験において、IC50およびIC90値は、PRO140に対し2.9 nMおよび11 nMであり、UK-427,857に対し5.0 nMおよび21 nMであり、組み合わせに対し2.1 nMおよび4.6 nMであった。CI50およびCI90値は、それぞれ0.58 および 0.32であった。(B)SCH-DおよびUK-427,857は、個々に、指摘した範囲の濃度に対し1:1の固定モル比で試験された。示された実験において、IC50およびIC90値は、SCH-Dに対し5.5 nMおよび34 nMであり、UK-427,857に対し9.7 nMおよび59 nMであり、組み合わせに対し6.1 nMおよび31 nMであった。CI50およびCI90値は、それぞれ0.87 および 0.73であった。非標識のPRO 140, UK-427,857 およびSCH-DによるCEM.NKR-CCR5細胞へのPRO 140-PEの結合の阻害。CEM.NKR-CCR5 細胞を、種々の濃度の非標識のPRO 140, UK-427,857 またはSCH-DとPBSA緩衝液中で30 min、室温でインキュベートし、5 nM PRO 140-PEを付加的な30 minの間に添加した。細胞を、洗浄し、次に結合の平均蛍光強度(MFI)およびPRO 140-PEの陽性結合に対してゲートされた細胞のパーセントの両方に関してフローサイトメトリーで分析した。阻害を、MFI(A)およびゲートされた細胞のパーセント(B)に基づいて評価した。3H-UK-427,857結合の非標識のUK-427,857, SCH-D およびPRO 140による阻害。(A)CEM.NKR-CCR5 細胞を、種々の濃度の非標識のUK-427,857, SCH-D またはPRO 140とPBSA緩衝液中で30 min、周囲温度でプレインキュベートし、2nM 3H-UK-427,857を付加的な30 minの間に添加した。細胞を、洗浄し、シンチレーション計数で放射性に関して分析した。(B)アッセイ条件下でのUK-427,857結合の安定性を、CEM.NKR-CCR5細胞を2 nM 3H-UK-427,857でプレインキュベートすることで検査し、洗浄し、非標識の化合物を30 min添加し、上記のとおり処理した。HIV-1感染ヒト被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させる方法であって、前記被験者に予め規定された間隔でHIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量の(a) PRO 140と称されるヒト化抗体、または(b) 抗CCR5レセプターモノクローナル抗体であって、(i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、(ii) CD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合をPRO 140の作用強度以上で阻害し、(iii) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または(iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体を投与することを備え、前記PRO 140は、(i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および(ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖を具備し、前記HIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量は、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させるために前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgを具備する方法。請求項1に記載の方法であって、前記抗CCR5レセプターモノクローナル抗体は、PRO 140が結合するものと同じCCR5エピトープに結合する方法。請求項1に記載の方法であって、前記抗CCR5レセプターモノクローナル抗体はヒト化抗体, ヒト抗体, またはキメラ抗体である方法。請求項1に記載の方法であって、前記被験者に投与される抗体は、PRO 140と称される抗体である方法。請求項1または4に記載の方法であって、前記ウイルス負荷を減少させる有効量は、0.25 mg/kg〜7.5 mg/kg被験者体重である方法。請求項5に記載の方法であって、前記用量は、0.5 mg/kg〜5 mg/kg被験者体重である方法。請求項6に記載の方法であって、前記用量は、1 mg/kg〜3 mg/kg被験者体重である方法。請求項7に記載の方法であって、前記用量は、2 mg/kg被験者体重である方法。請求項1に記載の方法であって、前記ウイルス負荷を減少させる有効量は、被験者中で少なくとも400 ng/mlの抗体の血清中濃度を達成するために十分である方法。請求項9に記載の方法であって、標準の間隔で投与される用量は、被験者中で少なくとも 1 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である方法。請求項10に記載の方法であって、前記用量は、被験者中で約 3 μg/ml〜約 12 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である方法。請求項10に記載の方法であって、前記用量は、被験者中で少なくとも 10 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である方法。請求項12に記載の方法であって、前記用量は、被験者中で少なくとも 10 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である方法。請求項13に記載の方法であって、前記用量は、被験者中で少なくとも 25 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である方法。請求項14に記載の方法であって、前記用量は、被験者中で少なくとも 50 μg/mlの抗体の血清中濃度を達成し、維持するために十分である方法。前記予め規定された間隔が少なくとも毎週1回である、請求項1または4に記載の方法。前記予め規定された間隔が2週〜4週毎である、請求項16に記載の方法。前記予め規定された間隔が2週毎である、請求項17に記載の方法。前記予め規定された間隔が4週毎である、請求項17に記載の方法。前記予め規定された間隔が少なくとも毎月1回である、請求項16に記載の方法。前記予め規定された間隔が6週毎である、請求項16に記載の方法。前記予め規定された間隔が8週毎である、請求項16に記載の方法。請求項1または4に記載の方法であって、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷の減少は、少なくとも1週間維持される方法。請求項23に記載の方法であって、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷の減少は、少なくとも2週間維持される方法。請求項24に記載の方法であって、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷の減少は、少なくとも4週間維持される方法。請求項25に記載の方法であって、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷の減少は、少なくとも3月の間維持される方法。請求項1または4に記載の方法であって、前記抗体が、静脈内への点滴を介して投与される方法。請求項1または4に記載の方法であって、前記抗体が、皮下への注射を介して投与される方法。請求項1または4に記載の方法であって、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷は、前記抗体の投与に続いて少なくとも50%まで減少する方法。請求項29に記載の方法であって、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷は、前記抗体の投与に続いて少なくとも70%まで減少する方法。請求項30に記載の方法であって、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷は、前記抗体の投与に続いて少なくとも90%まで減少する方法。請求項1または4に記載の方法であって、さらに前記被験者に少なくとも1つの抗HIV-1抗レトロウイルス剤を投与することを備える方法。請求項32に記載の方法であって、前記抗HIV-1抗レトロウイルス剤は、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター (NNRTI), ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI), プロテアーゼインヒビター(PI), 融合インヒビター, 又は任意のその組み合わせである方法。請求項1または4に記載の方法であって、前記被験者が未治療者である方法。請求項1または4に記載の方法であって、前記被験者が治療経験者である方法。請求項1または4に記載の方法であって、(a)前記モノクローナル抗体を前記被験者に投与する前に、前記被験者は少なくとも1つの抗HIV-1抗レトロウイルス剤での治療を受けており、(b)前記モノクローナル抗体の投与と同時に、前記被験者は前記被験者中のHIV-1ウイルス負荷の減少化を増強させるために薬剤での治療を連続して受け取る方法。請求項36に記載の方法であって、前記抗HIV-1抗レトロウイルス剤は、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター (NNRTI), ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI), プロテアーゼインヒビター(PI), 融合インヒビター, 又は任意のその組み合わせである方法。ヒト被験者におけるHIV-1-関連障害の発病または進行の阻害が、前記被験者においてHIV-1とCCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害することによって成立する方法であって、前記被験者に予め規定された間隔で融合を阻害する有効量のPRO 140と称されるヒト化抗体、または抗CCR5レセプター抗体であって、(i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、 (ii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合を10 μg/ml以下のIC90の作用強度(potency)で阻害し、(iii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または(iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体を投与することを備え、前記PRO 140は、(i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖を具備し、前記被験者におけるHIV-1-関連障害の発病または進行を阻害するために、前記抗体の各投与によって前記被験者に前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgが送達される方法。ヒト被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させる方法であって、前記被験者に予め規定された間隔で融合を阻害する有効量のPRO 140と称されるヒト化抗体、または抗CCR5レセプター抗体であって、(i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、(ii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合を10 μg/ml以下のIC90の作用強度(potency)で阻害し、(iii) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または(iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体を投与することを備え、前記PRO 140は、(i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および(ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖を具備し、前記被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させるために、前記抗体の各投与によって前記被験者に前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgが送達される方法。前記被験者はHIV-1に暴露された、請求項39に記載の方法。前記被験者はHIV-1に暴露されるリスクがある、請求項39に記載の方法。ある形態の抗HIV-1治療に耐性が発生したHIV-1感染ヒト被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させる方法であって、前記被験者に予め規定された間隔でHIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量の(a) PRO 140と称されるヒト化抗体、または(b) 抗CCR5レセプターモノクローナル抗体であって、(i) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞に結合し、HIV-1と係る細胞との融合を阻害し、(ii) CD4+CCR5+細胞とのHIV-1融合をPRO 140の作用強度以上で阻害し、(iii) 前記被験者におけるCD4+CCR5+細胞を前記被験者中の係る細胞の数を減少させることなく被覆し、および/または(iv) 前記被験者のCD4+CCR5+細胞に前記被験者の循環しているβケモカインの血漿中濃度の増加を誘導させることなく結合する抗体を投与することを備え、前記PRO 140は、(i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および(ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖を具備し、前記HIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量は、前記被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させるために前記被験者の体重あたり0.1 mg/kg〜10 mg/kgを具備する方法。請求項42に記載の方法であって、前記形態の抗HIV-1療法は、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター (NNRTI), ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI), プロテアーゼインヒビター(PI), 融合インヒビター, 又は任意のその組み合わせを投与することを備える方法。請求項43に記載の方法であって、前記融合インヒビターは、非抗体CCR5アンタゴニストである方法。請求項44に記載の方法であって、前記非抗体CCR5アンタゴニストは、小分子CCR5アンタゴニストである方法。請求項45に記載の方法であって、前記小分子CCR5アンタゴニストは、経口的に投与される方法。HIV-1に感染した被験者を治療するための方法であって、前記被験者に(a)モノクローナル抗体であって、(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者を治療するための有効量で投与することを備える方法。請求項47に記載の方法であって、(a)および(b)が同時に投与される方法。請求項47に記載の方法であって、前記モノクローナル抗体は、PA14(ATCCアクセッション番号 HB-12610)と称されるハイブリドーマ株化細胞によって産生されるPA14またはCCR5レセプターに結合するモノクローナル抗体PA14'sと競合する抗体である方法。請求項47に記載の方法であって、前記モノクローナル抗体は、ヒト抗体, ヒト化抗体, またはキメラ抗体である方法。請求項50に記載の方法であって、前記モノクローナル抗体がヒト化された方法。請求項50に記載の方法であって、前記前記モノクローナル抗体は、PRO 140と称されるヒト化抗体またはCCR5レセプターに結合するPRO 140と競合する抗体であり、前記PRO 140は、(i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および(ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖を具備する方法。請求項52に記載の方法であって、前記モノクローナル抗体は、PRO 140と称されるヒト化抗体である方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記抗体は複数回投与され、投与ごとの有効量は0.01 mg/kg〜50 mg/kg被験者体重を含む方法。請求項54に記載の方法であって、前記量は、0.05 mg/kg〜25 mg/kg被験者体重である方法。請求項55に記載の方法であって、前記量は、0.1 mg/kg〜10 mg/kg被験者体重である方法。請求項56に記載の方法であって、前記量は、0.5 mg/kg〜5 mg/kg被験者体重である方法。請求項57に記載の方法であって、前記量は、1 mg/kg〜3 mg/kg被験者体重である方法。請求項58に記載の方法であって、前記量は、約2 mg/kg被験者体重である方法。前記抗体が予め規定された間隔で投与され、前記予め規定された間隔が少なくとも毎週1回である、請求項47または53に記載の方法。前記予め規定された間隔が2週〜4週毎である、請求項60に記載の方法。前記予め規定された間隔が2週毎である、請求項61に記載の方法。前記予め規定された間隔が4週毎である、請求項61に記載の方法。前記抗体が予め規定された間隔で投与され、前記予め規定された間隔が少なくとも毎月1回である、請求項47または53に記載の方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記抗体が、静脈内への点滴を介して投与される方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記抗体が、皮下への注射を介して投与される方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、小さい有機分子である方法。請求項67に記載の方法であって、前記CCR5レセプターアンタゴニストは、SCH-D, UK-427,857, TAK-779, TAK-652またはGW873140である方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しSCH-Dと競合する薬剤である方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しUK-427,857と競合する薬剤である方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しTAK-779と競合する薬剤である方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しTAK-652と競合する薬剤である方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合に対しGW873140と競合する薬剤である方法。請求項67に記載の方法であって、前記CCR5レセプターアンタゴニストは複数回投与され、投与ごとの有効量は0.5 mg〜2,500 mgを含む方法。請求項74記載の方法であって、前記量が5 mg〜1,250 mgである方法。請求項74記載の方法であって、前記量は、前記被験者に対して前記アンタゴニスト5 mg〜15 mgである方法。請求項76記載の方法であって、前記量は、前記被験者に対して前記アンタゴニスト50 mg〜1,250 mgである方法。請求項77記載の方法であって、前記量は、前記被験者に対して前記アンタゴニスト200 mg〜800 mgである方法。請求項78記載の方法であって、前記量が前記アンタゴニスト300 mg〜600 mgである方法。請求項67に記載の方法であって、前記CCR5レセプターアンタゴニストは、経口的に1回または2回/日で投与される方法。請求項68に記載の方法であって、前記CCR5レセプターアンタゴニストは、経口的に3以下の回数/日で投与される方法。請求項47または53に記載の方法であって、さらに前記被験者に少なくとも1つの付加的な抗レトロウイルス剤を投与することを備える方法。請求項82に記載の方法であって、前記抗レトロウイルス剤は、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター (NNRTI), ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI), プロテアーゼインヒビター(PI), 融合インヒビター, 又は任意のその組み合わせである方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記被験者が未治療者である方法。請求項47または53に記載の方法であって、前記被験者が治療経験者である方法。被験者におけるHIV-1-関連障害の発病または進行の阻害が前記被験者においてHIV-1とCCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害することによって成立する方法であって、前記被験者に(a)モノクローナル抗体であって(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者のHIV-1-関連障害の発病または進行を阻害するための有効量で投与することを備える方法。被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させるための方法であって、前記被験者に(a)モノクローナル抗体であって、(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者がHIV-1感染にかかる可能性を減少させるための有効量で投与することを備える方法。前記被験者はHIV-1に暴露された、請求項87に記載の方法。前記被験者はHIV-1に暴露されるリスクがある、請求項87に記載の方法。被験者のHIV-1感染の治療において(i)抗CCR5レセプターモノクローナル抗体または(ii)非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストのHIV-1阻害活性を増強する方法であって、前記被験者にHIV-1阻害活性を増強させる量の抗CCR5レセプターモノクローナル抗体とHIV-1阻害活性を増強させる量の非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストとを組み合わせて投与することを備え、前記組み合わせはHIV-1感染を阻害することに相乗効果を生じて、(i)抗CCR5レセプターモノクローナル抗体または(ii)非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストの阻害活性を増強する方法。請求項90に記載の方法であって、前記相乗効果によって、非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストは抗CCR5レセプターモノクローナル抗体の約4〜10倍の用量減少を生じ、抗CCR5レセプターモノクローナル抗体は非抗体性のCCR5レセプターアンタゴニストの約3〜16倍の用量減少を生じる方法。前記方法は1以上の非抗体CCR5レセプターアンタゴニストのHIV-1阻害活性増強量を備える、請求項90に記載の方法。前記方法は1以上の抗CCR5レセプターモノクローナル抗体のHIV-1阻害活性増強量を備える、請求項90に記載の方法。請求項90に記載の方法であって、前記抗CCR5レセプターモノクローナル抗体および非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、前記被験者に同時に投与される方法。請求項88または請求項90に記載の方法であって、前記モノクローナル抗体は、PA14(ATCCアクセッション番号 HB-12610)と称されるハイブリドーマ株化細胞によって産生されるPA14またはCCR5レセプターに結合するモノクローナル抗体PA-14と競合する抗体である方法。請求項88または請求項90に記載の方法であって、前記前記モノクローナル抗体は、PRO 140と称されるヒト化抗体またはCCR5レセプターに結合するPRO 140と競合する抗体であり、前記PRO 140は、(i) 各軽鎖がpVK:HuPRO140-VK(ATCC寄託指定PTA-4097)と称されるプラスミドの発現産物を含んでいる2つの軽鎖、および (ii) 各重鎖がpVg4:HuPRO140 HG2-VH(ATCC寄託指定 PTA-4098)と称されるプラスミドまたはpVg4:HuPRO140(mut B+D+I)-VH(ATCC寄託指定 PTA-4099)と称されるプラスミドの何れかの発現産物を含んでいる2つの重鎖を具備する方法。請求項96に記載の方法であって、前記モノクローナル抗体は、PRO140と称されるヒト化抗体である方法。請求項88または請求項90に記載の方法であって、前記モノクローナル抗体がCCR5mAb004または2D7である方法。請求項88、89、または90に記載の方法であって、前記非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、SCH-D, TAK-779, TAK-652, UK-427,857, RANTES, GW873140, 又はその組み合わせである方法。請求項99に記載の方法であって、前記非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合においてSCH-Dと競合する小さい有機分子である方法。請求項99に記載の方法であって、前記非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合においてUK-427,857と競合する小さい有機分子である方法。請求項99に記載の方法であって、前記非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合においてTAK-779と競合する小さい有機分子である方法。請求項99に記載の方法であって、前記非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合においてTAK-652と競合する小さい有機分子である方法。請求項99に記載の方法であって、前記非抗体CCR5レセプターアンタゴニストは、CCR5レセプターとの結合においてGW873140と競合する小さい有機分子である方法。 本発明の方法は、HIV-1感染ヒト被験者のHIV-1ウイルス負荷を減少させる方法であって、前記被験者に予め規定された間隔でHIV-1ウイルス負荷を減少させる有効量の(a)PRO 140と称されるヒト化抗体、または(b)抗CCR5レセプターモノクローナル抗体を投与することを備える方法を提供する。また、本発明は、ヒト被験者におけるHIV-1-関連障害の発病または進行を阻害するための方法であって、該阻害は前記被験者においてHIV-1とCCR5+CD4+標的細胞との融合を阻害することによって成立する方法を提供する。また、本発明は、HIV-1に感染した被験者を治療するための方法であって、前記被験者に(a)モノクローナル抗体であって、(i)前記被験者のCD4+細胞の表面上のCCR5レセプターに結合し、(ii)HIV-1と前記被験者のCCR5+CD4+細胞との融合を阻害する抗体、並びに(b)非抗体CCR5レセプターアンタゴニストを、前記被験者を治療するための有効量で投与することを備える方法を提供する。


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