生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_被覆錠剤
出願番号:2008521200
年次:2013
IPC分類:A61K 9/32,A61K 47/32,A61K 31/155,A61K 31/4178


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加藤 博信 坂本 弘一 JP 5257070 特許公報(B2) 20130502 2008521200 20070612 被覆錠剤 日本新薬株式会社 000004156 清水 尚人 100104802 加藤 博信 坂本 弘一 JP 2006162972 20060613 20130807 A61K 9/32 20060101AFI20130718BHJP A61K 47/32 20060101ALI20130718BHJP A61K 31/155 20060101ALI20130718BHJP A61K 31/4178 20060101ALI20130718BHJP JPA61K9/32A61K47/32A61K31/155A61K31/4178 A61K 9/32 A61K 31/155 A61K 31/4178 A61K 47/32 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) WPI 米国特許第06676966(US,B1) 特開平04−145016(JP,A) 国際公開第2005/019286(WO,A1) 興和株式会社,日研化学株式会社,“オルメテック錠と塩酸メトホルミン製剤又はメシル酸カモスタット製剤との配合変化について”,2006年 4月,[検索日2012.11.09],インターネット<URL:http://www.kowa-souyaku.co.jp/medical/product/inform/packing/olme0604.pdf> 藤井歳郎他,新規コーティング剤PVAコポリマーの開発,PHARM TECH JAPAN,2005年,第21巻,第2号,第67−71頁 7 JP2007061777 20070612 WO2007145191 20071221 7 20100531 遠藤 広介 本発明は、フィルムコーティング用ポリビニルアルコール共重合体で被覆されていることを特徴とする被覆錠剤に関するものである。 例えば、市販されている塩酸メトホルミン含有錠剤と、同じく市販されているオルメサルタンメドキソミル含有錠剤とを、いわゆる一包化調剤すると、塩酸メトホルミン含有錠剤が赤色を帯びることが報告されている。この現象は、オルメサルタンメドキソミル含有錠剤中のオルメサルタンメドキソミルから遊離した(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル(以下、「DMDO」という)基が加水分解され、ジアセチル、アセトインへと変化し、これらが塩酸メトホルミン含有錠剤中の塩酸メトホルミンのグアニジノ基と反応することにより起こると考えられており、この反応はフォーゲス・プロスカウエル反応(Voges−Proskauer(VP)反応)として知られている。しかし、当然のことながらこのような医薬品の変色は好ましくないため、製剤上の工夫などにより変色を防ぐことが必要と考えられる。 一般に、医薬錠剤の変色や着色の防止・隠蔽を目的として、素錠をコーティング(以下、被覆ともいう)することが行われている。素錠に含まれる化合物の性質などによりコーティングの種類や、コーティング剤等が選択される。 ところで、近年、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)とアクリル酸、メタクリル酸メチルとからなるフィルムコーティング用PVA共重合体が開発されている。このものは当初、溶液充填用カプセル剤皮として開発されたが(例えば、特許文献1参照)、このものの優れた造膜性、物理的強度、付着性、酸素遮断性等からフィルムコーティング剤(POVACOAT(商品名))としても応用されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。国際公開第02/17848号パンフレットPHARM TECH JAPAN, Vol.21 No.2 (2005) p.257−261第22回製剤と粒子設計シンポジウム講演要旨集、77−80頁(浜松、2005年) 本発明は、DMDO基を持つ医薬錠剤と一包化調剤されても明らかな変色を生じない、グアニジノ基を持つ医薬を含有する新規な被覆錠剤を提供することを主な目的としている。 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、グアニジノ基を持つ医薬を含有する素錠を、PVA、アクリル酸、およびメタクリル酸メチルからなるフィルムコーティング用PVA共重合体(以下、単に「PVA共重合体」という)で被覆し、被覆錠剤とすることにより上記目的を達成しうることを見いだし、本発明を完成した。 本発明として、例えば下記のものを挙げることができる。(1)グアニジノ基を持つ医薬を含有する素錠が、PVA、アクリル酸、及びメタクリル酸メチルからなるPVA共重合体で被覆されていることを特徴とする被覆錠剤。(2)PVA共重合体の構成成分の一つであるPVAの重合度及びけん化度がそれぞれ、重合度400〜600の範囲内、及び、けん化度85〜90mol%の範囲内である、上記(1)の被覆錠剤。(3)PVA共重合体の構成成分の重合割合がそれぞれ、PVAが70〜85重量%の範囲内、アクリル酸が2.0〜8.0重量%の範囲内、及びメタクリル酸メチルが17〜21重量%の範囲内である、上記(1)又は(2)の被覆錠剤。(4)素錠重量あたり、0.5〜20.0重量%の範囲内のPVA共重合体で被覆されている、上記(1)〜(3)のいずれかの被覆錠剤。(5)グアニジノ基を持つ医薬が、塩酸メトホルミン、メシル酸カモスタット、ザナミビル水和物、酢酸セトロレリクス、マレイン酸テガセロド、酢酸デスモプレシン、エプティフィバチド、ビバリルジン、酢酸ガニレリクス、酢酸ブセレリン、ファモチジン、パモ酸トリプトレリン、ピナシジル、ヒストレリン、チモペンチン、メシル酸アドレノクロムグアニルヒドラゾン、シメチジン、塩酸ベネキサートベータデクス、塩酸グスペリムス、メシル酸ナファモスタット、酢酸グアナベンズ、又はアルガトロバンである、上記(1)〜(4)のいずれかの被覆錠剤。(6)少なくとも、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の被覆錠剤と(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル(DMDO)基を持つ医薬を含有する錠剤とが一包化されている調剤。(7)DMDO基を持つ医薬が、オルメサルタンメドキソミル、プルリフロキサシン、または塩酸レナンピシリンである、上記(6)の調剤。錠剤の変色の推移を表す。縦軸は色差(ΔE)を、横軸は時間(週)をそれぞれ示す。図中、−□−は実施例1の本発明被覆錠剤、−△−は比較例1のヒドロキシプロピルメチルセルロース2910被覆錠剤、−●−はグリコラン錠(素錠)、の結果をそれぞれ表す。錠剤の変色の推移を表す。縦軸は色差(ΔE)を、横軸は時間(週)をそれぞれ示す。図中、−□−は実施例1の本発明被覆錠剤、−◇−は比較例2のプルラン被覆錠剤、−●−はグリコラン錠(素錠)、の結果をそれぞれ表す。 本発明に係る「PVA共重合体」は、PVA、アクリル酸、およびメタクリル酸メチルからなる。それぞれの重合割合は、PVA共重合体としてフィルムを形成し得る割合であれば特に制限されないが、例えば、PVAが70〜85重量%の範囲内、アクリル酸が2.0〜8.0重量%の範囲内、およびメタクリル酸メチルが17〜21重量%の範囲内が適当である。好ましくは、PVAが75〜80重量%の範囲内、アクリル酸が2.5〜7.5重量%の範囲内、およびメタクリル酸メチルが17.5〜20重量%の範囲内である。 PVA共重合体の構成成分の一つである「PVA」は、例えば、重合度が400〜600の範囲内のもの、好ましくは450〜550の範囲内のもので、けん化度が85〜90mol%の範囲内のもの、好ましくは86〜89mol%の範囲内のものが適当である。 当該PVA共重合体の中には、重合度が500で、けん化度が86.5〜89.0mol%の範囲内のPVAと、アクリル酸およびメタクリル酸メチルをそれぞれ80.0重量%、2.5重量%、17.5重量%の重合割合で共重合させた、市販のPOVACOAT(登録商標、日新化成社製)も含まれる。 本発明被覆錠剤に含有される「グアニジノ基を持つ医薬」とは、該医薬の化学構造中にグアニジノ基、又は置換されているグアニジノ基を持つ医薬をいう。ここで、置換されているグアニジノ基とは、置換可能な位置に1〜4個の同一又は異なる置換基を有するグアニジノ基をいう。かかる置換基としては、例えば、直鎖状または分枝鎖状のアルキル、シアノ、ニトロ、ピリジル(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)を挙げることができる。「グアニジノ基を持つ医薬」の具体例としては、塩酸メトホルミン、メシル酸カモスタット、ザナミビル水和物、酢酸セトロレリクス、マレイン酸テガセロド、酢酸デスモプレシン、エプティフィバチド、ビバリルジン、酢酸ガニレリクス、酢酸ブセレリン、ファモチジン、パモ酸トリプトレリン、ピナシジル、ヒストレリン、チモペンチン、メシル酸アドレノクロムグアニルヒドラゾン、シメチジン、塩酸ベネキサートベータデクス、塩酸グスペリムス、メシル酸ナファモスタット、酢酸グアナベンズ、又はアルガトロバンを挙げることができる。 「DMDO基を持つ医薬」とは、該医薬の化学構造中にDMDO基を持つ医薬をいい、具体例としては、オルメサルタンメドキソミル、プルリフロキサシン、又は塩酸レナンピシリンを挙げることができる。 本発明において、被覆される前の素錠は、例えば、グアニジノ基を持つ医薬などの有効成分を、賦形剤、崩壊剤、および結合剤などと共に造粒および整粒し、得られた整粒末に滑沢剤を混合し、打錠することにより得ることができる。これらの賦形剤、崩壊剤、結合剤および滑沢剤としては、錠剤の製造に常用されているものを用いることができる。 本発明被覆錠剤は、グアニジノ基を持つ医薬を含有する素錠に対して、PVA共重合体を含有するコーティング溶液を常法によりコーティングして得ることができる。本発明被覆錠剤におけるPVA共重合体の含有量は、通常、素錠重量あたり0.5〜20重量%の範囲内が適当であり、好ましくは1.0〜10重量%の範囲内、より好ましくは1.5〜5.0重量%の範囲内である。また、被覆層中のPVA共重合体の含有量は、通常、40〜80重量%の範囲内が適当であり、より好ましくは45〜75重量%の範囲内、さらに好ましくは50〜70重量%の範囲内である。 必要に応じて、被覆層に通常用いられうる添加剤を含むことができる。かかる添加剤としては医薬上許容される添加剤であれば特に制限されないが、例えば、皮膜剤(例えば、酸化チタン、沈降炭酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、タルク)、吸着剤(例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム)、着色剤(例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、タール色素)を挙げることができる。なかでも、酸化チタンがより好ましい。これらを例えば、5重量%以下でコーティング溶液にPVA共重合体と共に含有させ、かかるコーティング溶液で素錠を被覆することにより当該添加物を被覆層に含ませることができる。 以下に実施例、比較例、試験例を掲げて本発明をさらに詳述する。但し、本発明が下記実施例に限定されないことは言うまでもない。実施例1 グアニジノ基を持つ医薬である市販のグリコラン錠250mg(日本新薬社製)(素錠)を入手し、該グリコラン錠10,800gを通風乾燥式コーティング機(DRC−650型、パウレック社製)に入れ、PVA共重合体(POVACOAT(登録商標)、日新化成社製)400g、酸化チタン(タイペークA−100、石原産業社製)264g、タルク(タルクPKP−81、富士タルク工業社製。)136gを精製水7,200gに溶解ないし、懸濁したコーティング溶液を用い、素錠重量に対してPVA共重合体が3.7%(w/w)被覆された、本発明被覆錠剤を得た。比較例1 市販のグリコラン錠250mg(日本新薬社製)(素錠)を入手し、該グリコラン錠10,800gを通風乾燥式コーティング機に入れ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 435.2g、プロピレングリコール 89.6g、酸化チタン(タイペークA−100、石原産業社製。)115.2gを精製水5,760gに溶解、懸濁したコーティング液を用い、素錠重量に対してヒドロキシプロピルメチルセルロース2910が4.0%(w/w)被覆された、比較用被覆錠剤を得た。比較例2 POVACOAT(登録商標)と同様に、酸素透過遮断性を特徴とするコーティング剤、プルラン(林原商事社製)を用いて比較用被覆錠剤を製造した。 市販のグリコラン錠250mg(日本新薬社製)(素錠)を入手し、グリコラン錠10,800gを通風乾燥式コーティング機(DRC−650型、パウレック社製)に入れ、プルラン(林原商事)400gを精製水4,600gに溶解したコーティング液を用い、素錠重量に対してプルランが3.7%(w/w)被覆された、比較用被覆錠剤を得た。試験例1 市販のグリコラン錠(素錠)、実施例1及び比較例1で製造された被覆錠剤の各3錠に対してDMDO基をもつ医薬であるオルメテック錠 20mg(第一三共(株)社製)3錠をチャック付きポリ袋(ユニパックA−4、株式会社生産日本社製)に入れ、40℃75%RHの条件にて保存した。経時1,2,3,4週で各錠剤の変色を色差計(分光式色差計 SE2000、日本電色工業会社製)にて測定した。 その結果を図1に示す。色差(ΔE)が3以上の場合、肉眼で錠剤の赤変色を確認でき、2.5以下であれば肉眼では明らかな変色は確認しがたい。なお、色差(ΔE)は、経時後の錠剤の色と試験開始時の錠剤の色との差が数値に変換された値である。図1から明らかなように、グリコラン錠または比較例1で製造したヒドロキシプロピルメチルセルロース2910被覆錠剤と比較して、実施例1で製造した本発明被覆錠剤は顕著に変色を抑制した。試験例2 市販のグリコラン錠(素錠)、実施例1及び比較例2で製造した被覆錠剤の各3錠に対してオルメテック錠 20mg(第一三共社製)3錠をセロハンポリ((株)日本商会社製)で一包化し、40℃75%RHの条件にて保存した。経時1,2週で各錠剤の変色を色差計(分光式色差計 SE2000、日本電色工業会社製)にて測定した。 その結果を図2に示す。色差(ΔE)が3以上の場合、肉眼で錠剤の赤変色を確認でき、2.5以下であれば肉眼では明らかな変色は確認しがたい。図2から明らかなように、比較例2で製造したプルラン被覆錠剤はグリコラン素錠と比較して、変色抑制効果は全く見られなかったが、実施例1で製造した本発明被覆錠剤は顕著に変色を抑制した。 以上のように、本発明被覆錠剤は、DMDO基を持つ医薬と接触ないし近接して保管した場合に起こり得る赤色呈色反応を明らかに抑制することができる。従って、本発明被覆錠剤は、DMDO基を持つ医薬との一包化調剤において変色が抑制されるから有用である。グアニジノ基を持つ医薬を含有する素錠が、ポリビニルアルコール、アクリル酸、及びメタクリル酸メチルからなるフィルムコーティング用ポリビニルアルコール共重合体で被覆されていることを特徴とする被覆錠剤。フィルムコーティング用ポリビニルアルコール共重合体の構成成分の一つであるポリビニルアルコールの重合度及びけん化度がそれぞれ、重合度400〜600の範囲内、及び、けん化度85〜90mol%の範囲内である、請求項1に記載の被覆錠剤。フィルムコーティング用ポリビニルアルコール共重合体の構成成分の重合割合がそれぞれ、ポリビニルアルコールが70〜85重量%の範囲内、アクリル酸が2.0〜8.0重量%の範囲内、及びメタクリル酸メチルが17〜21重量%の範囲内である、請求項1又は2に記載の被覆錠剤。素錠重量あたり、0.5〜20.0重量%の範囲内のフィルムコーティング用ポリビニルアルコール共重合体で被覆されている、請求項1〜3のいずれかに記載の被覆錠剤。グアニジノ基を持つ医薬が、塩酸メトホルミン、メシル酸カモスタット、ザナミビル水和物、酢酸セトロレリクス、マレイン酸テガセロド、酢酸デスモプレシン、エプティフィバチド、ビバリルジン、酢酸ガニレリクス、酢酸ブセレリン、ファモチジン、パモ酸トリプトレリン、ピナシジル、ヒストレリン、チモペンチン、メシル酸アドレノクロムグアニルヒドラゾン、シメチジン、塩酸ベネキサートベータデクス、塩酸グスペリムス、メシル酸ナファモスタット、酢酸グアナベンズ、又はアルガトロバンである、請求項1〜4のいずれかに記載の被覆錠剤。少なくとも、請求項1〜5のいずれかに記載の被覆錠剤と(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル(DMDO)基を持つ医薬を含有する錠剤とが一包化されている調剤。DMDO基を持つ医薬が、オルメサルタンメドキソミル、プルリフロキサシン、又は塩酸レナンピシリンである、請求項6に記載の調剤。


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