タイトル: | 特許公報(B2)_新規なナノシリカ粒子の製造方法と用途 |
出願番号: | 2008520630 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C08G 77/04,C08G 77/08,A61K 9/16,A61K 47/04,A61K 47/48,A61K 51/00,A61K 49/00,C12M 1/00,C12M 3/00,G01N 33/552 |
中村 教泰 JP 5311340 特許公報(B2) 20130712 2008520630 20070607 新規なナノシリカ粒子の製造方法と用途 国立大学法人徳島大学 304020292 山本 秀策 100078282 安村 高明 100062409 森下 夏樹 100113413 中村 教泰 JP 2006160107 20060608 20131009 C08G 77/04 20060101AFI20130919BHJP C08G 77/08 20060101ALI20130919BHJP A61K 9/16 20060101ALI20130919BHJP A61K 47/04 20060101ALI20130919BHJP A61K 47/48 20060101ALI20130919BHJP A61K 51/00 20060101ALI20130919BHJP A61K 49/00 20060101ALI20130919BHJP C12M 1/00 20060101ALI20130919BHJP C12M 3/00 20060101ALI20130919BHJP G01N 33/552 20060101ALI20130919BHJP JPC08G77/04C08G77/08A61K9/16A61K47/04A61K47/48A61K49/02 AA61K49/00 AC12M1/00 AC12M3/00 AG01N33/552 C08G 77/00−77/62 A61K 9/00−9/72 47/00−47/48 49/00−49/04 C12M 1/00−1/42 3/00−3/10 G01N 33/00−33/98 特開平04−202325(JP,A) 国際公開第2003/002633(WO,A1) 特開平03−047840(JP,A) 特開平03−269020(JP,A) 特開平04−114065(JP,A) 16 JP2007061587 20070607 WO2007142316 20071213 64 20100224 岡▲崎▼ 忠 この発明は、新規なナノシリカ粒子の製造方法と用途に関するものである。更に詳しくは、従来のシリカ粒子に比べ、著しく優れた特長を有するシリカ粒子ないしはシリカ球であるMPS粒子(MPS:メルカプトプロピルトリメトキシシラン;3−mercapto−propyltrimethoxysilane、又はメルカプトプロピルトリエトキシシラン;3−mercapto−propyltriethoxysilane;以下「MPS」と略記する)に関するものである。また、本明細書において、MPS以外にも種々のシリカ供給源による著しく優れた特長を有するシリカ粒子の作製についても記載するものである。 シリカ粒子ないしはシリカ球の製造方法と用途に関する技術は、世界各地で多種多様に研究開発されており、これ等の一部は白熱ランプの改良、バイオアッセイ等において既に実用化されている。尚、その合成には、常套手段あるいは出発材料としてTEOS(テトラエチルオルソシラン;tetraethylorthsilane;以下「TEOS」と略記する)が常用され、従来のシリカ粒子はTEOS粒子であった。しかし、かかるTEOS粒子の表層は化学反応性(外来のタンパク質や核酸への結合能)が低いため、上記TEOSとは別のシリカ化合物によるアクセプター基の導入による活性化が試みられていた(特許文献1)。例えば、シリカ化合物(括弧内は、導入される「アクセプター基」)として、テトラエトキシシラン(OH基)、メルカプトプロピルエトキシシラン(SH基)、アミノプロピルエトキシシラン(NH2基)等が知られている。換言すれば、従来の活性シリカ粒子は、TEOSからなる内殻とアクセプター基からなる外殻あるいは表層の2重構造になっており、その製造に要する時間や労力等のコストは高価であった。上述のように、従来、シリカ粒子の作製は通常、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いて行われており、その他のシリカ化合物、例えばMPSなどで粒子を作製するという報告は数少ない。この理由としてシリカネットワークを形成するための結合サイト(Si−O)がTEOSでは4本あるのが、必然的にその結合部位3本以下となるようなその他のシリカ化合物を選択して粒子を作製することは容易ではないからであると考えられる。また実際に通常のTEOSを用いた粒子の作製条件にてMPSなどで粒子の作製を試みても良好に粒子が作製できない。また、実際にMPSなどを用いている場合においても、そのMPS粒子の製造では、MPSを塩酸単独(又は塩酸と塩化セチルメチルアンモニウムとの混合液)で前処理(室温で2〜5日間)の後、これにアンモニア水溶液を添加混合し、更に、室温で2日間、反応させ、MPS粒子を得る技術(特許文献2)が知られているが、この技術は、製造コストに関し従来技術に比べ、進歩性を欠き、かつ、製造工程が煩雑なため、実用的でないうえに、その粒子の製造にかなりの日数を要することが問題である。また、作製された粒子のサイズ(粒径)の調整が困難であった。 また、特許文献2の方法で得られるMPS粒子は、空洞形成性が高く、形成された空洞による表面積の拡大という点では利点があるものの、特許文献1に記載されるように機能性物質をシリカ化合物に結合さて粒子形成反応液に混合し、粒子の格子に組み込まれて、機能性物質を粒子内に高濃度に含有させる技術が開発されていることに鑑みると、空洞形成性が低い方が、一粒子当たりの機能性物質含有可能量が多くなり、その分有用であるので、空洞形成性が高い特許文献2に記載される方法は、機能性物質を取り込むことを目的とする場合には有用なものとはいえない。この空洞形成性に関して、その粒子において、空洞形成性が高いと、内部構造が減少し、内部に機能性物質を配置できるサイトの減少することに鑑みて、内部機能化の不利である(一粒子当りの蛍光強度は低い)。また、空洞形成性が高いと、表面積が増大する場合もあるが、空洞率の制御の問題あり、機能性物質を配置の制御に問題がある(定量的配置は困難である)ので、有効な実施例が無い限り有用とはいえない。他方、空洞形成性が低いと、内部構造が増大し、内部に機能性物質を配置できるサイトが増加するようになり、内部機能化にとって有利な結果となる(一粒子当りの蛍光強度は高い)。しかも、空洞形成性が低いと、表面積は単純表面積のみであり、その表面積は粒径に相関していることから、機能性物質を定量的に配置できるようになり、定量解析にとって有用である。したがって、サイズマーカーまたは蛍光マーカーとして利用する場合の「ポアの無い」粒子が有する優位性の1つは、内部機能化能の高さであるといえます。 また、DNAおよびタンパク質等に対するシリカの吸着能性能に関して、特許文献2の様な多くのポアを有する粒子ではDNAや蛋白が付着する有効付着面積は粒子の直径に基づく表面積のみに依存せず、ポアのサイズや数、位置により付着表面積が変化するため付着面積のパラメーターが多様化し、定量性に問題が生じると考えられる。(作成ロット内並びに作成ロット間の差が生じやすいと考えられ、また特許文献2において実際に定量が行えたとする所見は示されてない。)。したがって、無孔性シリカ粒子が実現すれば、有効付着表面積は単純に粒子の粒径に依存するため、粒子サイズにより表面積が決定できることにより定量的な実験において有利であり、このような粒子の作製の必要性がある。国際公開第2006/070582号パンフレット国際公開第2003/002633号パンフレット 上述したような従来技術のおける課題を解決することが本願発明の目的である。具体的には、TEOS粒子を含めた上述した従来型のシリカ粒子の欠陥、即ち、高い製造コスト、低い化学反応性(外来のタンパク質や核酸への結合能)等であり、本発明の目的は、従来のシリカ粒子に比べ、機能性と品質に優れ、しかも、低コストでの量産が可能なシリカ粒子の提供にある。 (発明の要旨)この発明は、「従来では通常、リガンド剤として使用のMPSにアンモニア水溶液を添加混合の後、加温すれば、迅速にMPS粒子が生成される」という実に驚くべき現象の発見に基づき、更に、長年にわたる絶え間ない創意工夫と勤勉により完成された。したがって、本発明によって以下が提供される:(A1)メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)からなる群より選択される1種または数種のシリカ化合物を含む、シリカ粒子。(A2)機能性物質を表層または内部に含む、項目A1に記載のシリカ粒子であって、該機能性物質が、蛍光性物質、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、糖鎖およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、シリカ粒子。(A3)該機能性物質が、蛍光性物質である場合、該蛍光性物質は、ローダミンレッド、フルオロセイン、ヘキサン酸−6−(テトラメチルローダミン-5-カルボキサミド)、ヘキサン酸−5−(テトラメチルローダミン-5-カルボキサミド)、AlexaFluor647、DY635、DY485、DY495、DY505およびトリスジクロロツテニウム(II)ヘキサハイドレートからなる群より選択され、該蛍光性物質は、単独、またはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、イソチオシアネート(ITC)およびマレイミドから選択される化合物と結合している形態で内部に含まれるかまたは表層に存在する、項目A2に記載のシリカ粒子。(A4)項目A1〜3のいずれか1項に記載されたシリカ粒子を含む、シリカ粒子群。(A5)フローサイトメトリー、サイズマーカー、ビーズアッセイおよびプローブに使用される、項目A1〜3のいずれかに記載のシリカ粒子、または項目A4に記載のシリカ粒子群を含む、標準マーカー。(A6)項目A1〜3のいずれかに記載のシリカ粒子、または項目A4に記載のシリカ粒子群を含む、核酸または蛋白質の合成または細胞培養の用途で使用される、支持体。(A7)シリカ粒子またはシリカ粒子群の作製方法であって、(a)シリカ化合物とアンモニア水溶液との混合物を作製する工程;および(b)所定の温度条件下で該シリカ化合物と該アンモニア水溶液を反応させる工程;を包含する、方法であり、ここで、該シリカ化合物は、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)からなる群より選択される1種または数種のシリカ化合物であり、工程(a)および(b)における、アンモニア水溶液および温度条件は、(i)高温(80〜100℃の温度範囲);または(ii)高アンモニア濃度(最終濃度25%以上)のいずれかまたは両方の条件を満たすように実施される、方法。(A8)前記工程(b)がイソプロパノール存在下で実施される、項目A7に記載の方法。(A9)前記温度条件が室温であるか、またはアンモニア水溶液の濃度が、最終濃度2%以上5%以下である低アンモニア濃度である、項目A7に記載の方法。(A10)シリカ粒子群であって、(1)ナノサイズからミクロンサイズ範囲である5nm〜5μmに調節された平均粒径を有することと(2)粒径分布幅が平均粒径の±25%以内にある狭域分布性であることとの特徴を有する、シリカ粒子群。(A11)項目A1〜3のいずれかに記載されるシリカ粒子を含む、項目A10に記載のシリカ粒子群。(A12)項目A1〜3のいずれかに記載されるシリカ粒子であって、(1)無孔性であること;(2)マクロポアを含まないこと;(3)実質的に球状であること;(4)20nm以上のポアを含まないこと;(5)細孔容積が、0.1(m3/g)以下である;および(6)粒径が5nm〜5μmの範囲であることからなる群より選択される1つ以上の特徴を有する、シリカ粒子。また、本発明によって、以下のようなものを提供される:(B1)表層が無孔性であるシリカ粒子。(B2)マクロポアを含まないシリカ粒子。(B3)実質的に球状であるシリカ粒子。(B4)20nm以上のポアを含まない、項目B1〜3のいずれかに記載のシリカ粒子。(B5)項目B1〜4いずれかに記載されるシリカ粒子であって、(1)無孔性であること;(2)マクロポアを含まないこと;(3)実質的に球状であること;(4)20nm以上のポアを含まないこと;(5)細孔容積が、0.1(m3/g)以下である;および(6)粒径が5nm〜5μmの範囲であることからなる群より選択される1つ以上の特徴を有する、シリカ粒子。(B6)粒径が5nm〜5μmの範囲である、項目B1〜5のいずれかに記載のシリカ粒子。(B7)メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)からなる群より選択されるシリカ化合物から生成される、項目B1〜6のいずれか1項に記載のシリカ粒子。(B8)機能性物質を有する、項目B1〜7のいずれかに記載のシリカ粒子。(B9)前記機能性物質を前記シリカ粒子の表層上に有する、項目B8に記載のシリカ粒子。(B10)前記機能性物質を前記シリカ粒子の内部に有する、項目B8に記載のシリカ粒子。(B11)前記機能性物質が、蛍光性物質、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、糖鎖およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項目B8〜10のいずれかに記載のシリカ粒子。(B12)前記機能性物質が、蛍光性物質である、項目B11に記載のシリカ粒子。(B13)前記蛍光性物質が、ローダミンレッドまたはフルオロセインである、項目B12に記載のシリカ粒子。(B14)ナノサイズからミクロンサイズ範囲で調節された平均粒径を有するシリカ粒子群であって、粒径分布幅が狭域分布性である、シリカ粒子群。(B15)前記平均粒径が5nm〜5μmのいずれかで調節されている、項目B14に記載のシリカ粒子群。(B16)前記狭域分布性が、粒径分布幅が平均粒径の±25%以内であることにより特徴付けられる、項目B14また15に記載のシリカ粒子群。(B17)メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)からなる群より選択されるシリカ化合物から生成される、項目B14〜16のいずれか1項に記載のシリカ粒子群。(B18)機能性物質を有する、項目B14〜17のいずれかに記載のシリカ粒子群。(B19)前記機能性物質を前記粒子群におけるそれぞれの粒子の表層上に有する、項目B18に記載のシリカ粒子群。(B20)前記機能性物質を前記粒子群におけるそれぞれの粒子の内部に有する、項目B18に記載のシリカ粒子群。(B21)前記機能性物質が、蛍光性物質、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、糖鎖およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項目B18〜20のいずれかに記載のシリカ粒子群。(B22)前記機能性物質が、蛍光性物質である、項目B21に記載のシリカ粒子群。(B23)前記蛍光性物質が、ローダミンレッドまたはフルオロセインである、項目B22に記載のシリカ粒子群。(B24)項目B1〜13に記載されるシリカ粒子または項目B14〜23に記載のシリカ粒子群を含む、標準マーカー。(B25)フローサイトメトリーで使用されるための項目B24に記載の標準マーカー。(B26)サイズマーカー用途ならびにビーズアッセイ用途で使用される、項目B24に記載の標準マーカー。(B27)シリカ化合物とアンモニア水溶液とを混合して混合物を作製する工程;および80〜100℃の温度範囲にある温度で2〜12時間にわたり該混合物を反応させる工程を包含する、シリカ粒子またはシリカ粒子群の製造方法。(B28)前記シリカ化合物とアンモニア水溶液とを混合して混合物を作製する工程が、イソプロパノールの存在下で実施される、項目B26に記載に製造方法。(B29)前記シリカ粒子の粒径または前記シリカ粒子群の平均粒径が、5nm〜5μmのいずれかで調節されている、項目B26または27に記載の製造方法。(B30)前記シリカ化合物の濃度により粒径または平均粒径が制御される、項目B28に記載される製造方法。(B31)前記シリカ化合物が、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)からなる群より選択される、項目B26〜29のいずれか1項で記載される製造方法。(B32)前記温度が90〜100℃である、項目B26〜30のいずれかで記載される製造方法。(B33)機能性物質を表層または内部に有するシリカ粒子を生成するために機能性物質をシリカ粒子に提供する工程をさらに包含する、項目B25〜30のいずれか1項に記載される製造方法。(B34)前記機能性物質が、蛍光性物質、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、糖鎖およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項目B31に記載の製造方法。(B35)前記機能性物質が、蛍光性物質である、項目B32に記載の製造方法。(B36)前記機能性物質が、ローダミンレッドまたはフルオロセインである、項目B33に記載の製造方法。(B37)項目B1〜11のいずれかに記載のシリカ粒子または項目B12〜22のいずれかに記載のシリカ粒子群を含む、支持体。(B38)核酸もしくは蛋白質の合成あるいは細胞浮遊培養のために使用される、項目B36に記載の支持体。 (本発明のシリカ粒子) 更に、本発明に係るシリカ粒子とその表層・表面、並びに製造方法には、効果に関し、従来にない次の特長ないしは特徴を有する。(a)シリカ粒子の表層あるいは表面の特長は次の通りである: (1)表層あるいは表面のアクセプター基により、タンパク質や核酸等の吸着能が高い; (2)抗原、抗体、酵素等の変性(活性や機能の失活)を生じることなく、これ等の機能を保持した状態で効率良く、これ等を表面に結合させることができる; (3)表層上で抗原抗体反応が可能である; (4)シリカ粒子の表面上で高感度に物質を検出することができる;及び (5)共役試薬によるタンパク質、核酸、色素等の化学物質の表層への結合が可能である。(b)シリカ粒子それ自体の特長は次の通りである: (1)粒子の作製や表層修飾に起因する凝集が少ない;及び (2)シリカ粒子の粒径は、ナノサイズからミクロンサイズまでの調整・調節が可能である。(c)製造方法の特徴は次の通りである: (1)シリカ粒子の製造に要する日数が、従来の方法(数日間)に比べ、極めて短時間(1〜12時間)である; (2)収率は30%を超える;ここで、収率は、反応開始前のシリカ化合物の重量を基準として最終的に得られた粒子群の乾燥重量を測定して決定した。例えば、MPSの重量が30mg、作製した粒子の乾燥重量が10mgであれば、その収率は10mg/30mg=0.33、すなわち、33.3%とした。 (3)製造に要する試薬の種類が少なく(サーファクタントや塩酸等を使用しない)、製造プロセスが1段階ないしは1工程の反応で量産可能である;製造に要する容器、チューブ、フラスコ、タンク等は、生産規模に応じ1個である。例えば、本発明の蛍光色素含有シリカ粒子は、従来型の色素含有粒子と違い、一段階で反応が進みます。この反応の進み方の違いにおいては、(A)従来型の通常法は、第一反応としてアミノ基をもつシリカ化合物アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)(a)と、アミノ基と反応するNHSと色素が結合したものNHS結合色素(b)を反応させAPS−色素結合体(c)を作製します。そして第二反応としてTEOS(d)を用いた粒子合成反応にAPS−色素結合体(c)を加えてシリカ粒子中にAPSを介して色素を組み込んでいた。しかし、このような従来法と違い、MPSなどチオール基をもつシリカ化合物による本発明の粒子形成の場合、通常法と違い一段階反応により、色素含有粒子が形成される。例えば、チオール基と反応するマレイミド基と色素が結合したMPS−色素結合体の形成とMPSによる粒子形成反応が同時に行えることにより一段階で反応が可能である。すなわち、模式的にあらわすと以下のようになる。(A) 従来法 1) APS(a)+NHS−色素(b)=APS−色素(c) 2) APS−色素(c)+TEOS(d)=色素含有粒子(B) 新法 1) マイレイミド−色素+MPS(=(MPS−色素)+MPS)=色素含有粒子 従来のシリカ粒子の製造コストの大幅な低減、更に、機能と品質の向上、用途の多様化と拡大等により、シリカ粒子の付加価値を高める。医療、環境保全等でのバイオアッセイ、定性試験、定量試験、診断等での有力かつ強力な手段を提供する。図1において、(a)は、実施例1において得られた電子顕微鏡像である。(b)は、実施例2において得られた電子顕微鏡像である。(c)は、実施例4において得られた電子顕微鏡像である。(d)は、実施例6−1において得られた電子顕微鏡像である。(e)は、実施例7において得られた蛍光顕微鏡である。図2において、(a)は、本発明の蛍光性シリカ粒子の蛍光顕微鏡像である。ここで、3.4Mの3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(3−Mercaptopropyltriethoxysilane)10μl、10mMRhodamineRedTMC2maleimide5μl、イソプロパノール溶液245μl、および28重量%アンモニア水溶液245μlと混合して、100℃で3時間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察し、粒子がローダミンの蛍光を発していることを確認した。(b)は、実施例12のフローサイトメトリーの結果を示す。図3は、MPES由来チオール含有粒子の電子顕微鏡像を示す。(A)3−メルカプト−プロピルトリエトキシシラン10μ1、および28重量%アンモニア水溶液990μ1を混合して、100℃で3時間反応させ、得られ溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g;5分間)にて遠沈させ、得られたペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返して、遠沈させた粒子を超音波破砕機にて攪拌し、このシリカ球を電子顕微鏡で観察した結果である。平均粒径515nm、サイズ制御率約16%粒子が作製された。(B)3−メルカプト−プロピルトリエトキシシラン10μ1、およびイソプロパノール溶液445μ1、および28重量%アンモニア水溶液445μ1を添加混合して、100℃で3時間反応させ、得られ溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g;5分間)にて遠沈させ、得られたペレットに対して70%エタノールと蒸留氷を使用した洗浄を数回繰り返し、遠沈させた粒子を超音波破砕機にて撹拌して、このシリカ球を電子顕微鏡で観察した結果である。平均粒径1130nm、サイズ制御率約13%の粒子が作製できたことを確認した。図4は、MPDMS由来チオール含有粒子の電子顕微鏡像を示す。(3−メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン10μ1に28重量%アンモニア水溶液を加えて1m1として混合して、25℃で3日間反応させ、得られた溶液(反応終了液)を高速遠心機(10,000×g;5分間)にて遠沈させ、得られたペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返しして、遠沈させた粒子を超音波破砕機にて攪拌し、このシリカ球を電子顕微鏡で観察した結果である。平均粒径750nm、サイズ制御率約16%の粒子が作製できたことを確認した。図5は、MPDMS由来チオール含有粒子の電子顕微鏡像ある(実施例3)。図6は、EpoPSによるシリカ粒子の電子顕微鏡画像を示す。トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン)(Trimethoxy[2−(7−oxabicyc1o[4.1.0]−hepto−3−yl)ethy1]silane;EpoPS)7.5μ1、および28重量%アンモニア水溶液675μ1と混合して、95℃で3時間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にて遠沈させて得られたペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて撹拌し、このシリカ球を電子顕微鏡で観察した結果である。平均粒径1160nm、サイズ制御率約10.3%の粒子が作製できたことを確認した。図7は、TCPSによるシリカ粒子の電子顕微鏡像を示す。3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(3−Thiocyanatopropyltriethoxysilane;TCPS)7.5μ1、および28重量%アンモニア水溶液675μ1と混合して、99℃で3時間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000xg、5分間)にて遠沈させペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて攪拌し、このシリカ球を電子顕微鏡で観察した結果である。粒子が作製できたことを確認した。平均粒径296nm、サイズ制御率35.1%の粒子が作成できたことを確認した。図8は、AcPS由来チオール含有粒子の電子顕微鏡画像を示す。3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(3−Acryloxypropyl)trimethoxysilane;AcPS)10μ1に28重量%アンモニア水溶液を加えて1m1として混合して、25℃で3日間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にて遠沈させペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて撹拌し、このシリカ球を電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径540nm、サイズ制御率約18.5%の粒子が作製できたことを確認した。図9は、時間関数としての蛍光ナノシリカ粒子の透過型電子顕微鏡画像を示す。TEOSNP(a〜c)およびMPSNP(d〜f)を、9時間後(a,d)、1日後(b,e)および2日後(c,f)に観察した。スケールバーは、500nmを示す。図10は、マレイミド−ローダミン結合体を表層上に有するナノシリカ粒子の蛍光顕微鏡像である。表層上のマレイミド−ローダミンレッド結合体で改変したMPSNP(a,b)およびTEOSNP(c,d)。明視野下(a,c)、または540/12nm(b,d)の励起状態で観察した。図11は、表層蛍光調節MPSNPのフローサイトメトリー分析を示す。種々の濃度のマレイミド−ローダミンレッドで表層上で改変したMPSNPを、同じ条件で分析した。図12は、蛍光顕微鏡を、TEOSNP(白四角)およびMPSNP(黒丸)の光安定性を比較するために使用した。ここでこの両方のNPは、蛍光色素を含んでおり、MPSNPはローダミンレッドで表層改変されたもの(黒三角)でもある。図13は、シリカ粒子が蛋白質に結合する能力についてのドットブロット分析を示す。ガラススライド上にドット処理したナノ粒子を、Cy3結合体化抗ヤギIgGと反応させて、(a)蛍光画像分析機器で分析して、(b)強度をプロットした。図14は、蛋白質で表層改変したナノシリカ粒子のフローサイトメトリー分析を示す。MPSNP(a,c)およびTEOSNP(b,d)を、GFP(a,b)またはフィコエリトリン結合体化ストレプトアビジン(PCS)(c,d)で改変したものを分析した。図15は、GFPで改変されたMPSNPの蛍光顕微鏡画像をしめす。GFPで改変されたMPSNPは、蛍光顕微鏡において検出され得る。この粒子は、蛍光発光性であり、分散性であった。図16は、短時間でFITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液が濃度依存的に粒子に結合していることを示し、上段のグラフは、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液の濃度とその結合により粒子より検出された蛍光強度の相関であって、その縦軸は、蛍光強度であり、横軸は、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液の濃度である。また、下段のグラフは、チャートであり、抗体濃度により各ピークが濃度依存的に変化していることを示す。測定対象溶液が5μlと微量の資料に対して数十ng/mlから数μg/mlまで濃度依存的に迅速に測定することができた。図17は、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液が濃度依存的に粒子に結合していること、特にng/ml以下の濃度においてもその結合が検出できていることを示し、上段のグラフは、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液の濃度とその結合により粒子より検出された蛍光強度の相関であって、その縦軸は、蛍光強度であり、横軸は、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液の濃度である。また、下段のグラフは、チャートであり、抗体濃度により各ピークが濃度依存的に変化しているであることを示す。図18は、短時間でFITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液が抗原であるヒツジ抗グルタチオン−S−トランスフェラーゼ抗体溶液の濃度依存的に粒子に結合していることを示し、上段のグラフは、ヒツジ抗グルタチオン−S−トランスフェラーゼ抗体溶液の濃度とその結合により粒子より検出された蛍光強度の相関であって、その縦軸は、蛍光強度であり、横軸は、ヒツジ抗グルタチオン−S−トランスフェラーゼ抗体溶液の濃度である。また、下段のグラフは、チャートであり、抗体濃度により各ピークが濃度依存的に変化しているであることを示す。この実験結果は粒子上にて多段階の結合反応が量依存的に起こり、検出できたことを示している。図19おける最下段の表にて、(Polyscience社Fluoresbriteについて、フローサイトメトリーによる測定結果(平均値FCM−GeoMean,変動係数FCM−CV)の電子顕微鏡所見(粒子直径の最小値EM−minと最大値EM−max、平均値EM−mean、サイズ収率EM−%,サイズ幅size)の結果をまとめた。また、上段は、フローサイトメトリーの結果を示す。この結果は、粒子のSSCがそれぞれ検出されシグナルの分布がピークとして確認できること示す。(図19;緑;YG1,ピンク:YG−0.75,水色;YG−0.5,橙色;YG−0.2)。さらに、中段は、各粒子の電子顕微鏡像を示す。(図19;左上;YG1,右上:YG−0.75,左下;YG−0.5,右下;YG−0.2。図20;左上;33−2894−6,右上:33−2899−1,左下;33−2899−2,右下;33−2909−3。)。この顕微鏡像から、各粒子ともサイズが良好に制御されているであることがわかる。図20における最下段の表にて、本発明の粒子を用いたフローサイトメトリーによる測定結果(平均値FCM−GeoMean,変動係数FCM−CV)の電子顕微鏡所見(粒子直径の最小値EM−minと最大値EM−max、平均値EM−mean、サイズ収率EM−%,サイズ幅size)の結果をまとめた。また、上段は、フローサイトメトリーの結果を示す。この結果は、粒子のSSCがそれぞれ検出されシグナルの分布がピークとして確認できること示す。(図20;緑;33−2894−6,ピンク:33−2899−1,水色;33−2899−2,橙色;33−2909−3。)さらに、中段は、各粒子の電子顕微鏡像を示す。(図20;左上;33−2894−6,右上:33−2899−1,左下;33−2899−2,右下;33−2909−3。)。この顕微鏡像から、各粒子ともサイズが良好に制御されているであることがわかる。図21は、0.25μmから6μmのビーズの直径とFSC並びにSSCの値をプロット(図21左)すると3μm以上ではFSC、SSC共サイズと相関するのに対して2μm以下(図21右)ではFSCよりむしろSSCがサイズがよく相関することを示すグラフである。実施例25で得られたフローサイトメトリー像(色素あり)である。実施例25で得られたフローサイトメトリー像(色素なし)である。図24は、実施例28の電子顕微鏡像である。図25は、実施例29の電子顕微鏡像である。図26は、実施例30の電子顕微鏡像である。図27は、実施例31に記載の蛍光顕微鏡像(a)および電子顕微鏡像(b)である。 (用語の定義) 「ナノ材料」、「ナノスケール物質」または「ナノ物質」とは、ナノメートルスケールでの超微細な物質をいい、一般的には、外部刺激(熱・光・電圧など)に対する反応などにおいてバルク性を示す物質とは異なる特徴的な性質を示す。このナノスケール物質の形態は、一般的には、0次元構造(球状)、1次元構造(針状、線状)、2次元構造(膜状、板状)、3次元構造(バルク状)が挙げられる。この0次元構造として、例えば、クラスター、超微粒子、量子ドット、デンドリマーなどが挙げられる。1次元構造としては、ナノチューブ、ナノワイヤ、量子細線が挙げられる。2次元構造としては、ナノシート、ナノベルト、ナノ薄膜、ヘテロ接合、量子井戸が挙げられる。3次元構造として、ナノセラミックス、ナノメタル、ナノ構造フィルターなどが挙げられる。ナノ材料の微粒子の形態として「ナノ粒子」がある。 「ナノ粒子」とは、直径が数ナノメートルオーダーの粒子であり、これの粒子は、原子・分子が集合・反応・成長して、安定化・配列した結果、クラスターとなり、そのクラスターがさらに成長した結果得られる。本明細書において、「シリカ粒子」、「シリカ球」、「ナノシリカ粒子」または「NP」との用語は、交換可能に使用され、「シリカ化合物」から生成される粒子状物質をいう。本明細書で使用される場合に、「シリカ化合物」、「シラン化合物」、「シラン誘導体」、「ケイ素化合物」は、交換可能に使用され、ケイ素Siを原子その中心とする化合物を指し、ナノ粒子を生成するに当たり、ケイ素をその粒子に提供する供給源としての役割を果たすものを意図するものであり、例えば、SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4は、それぞれ、任意の有機基)などの形態で提供される化合物であり、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)などならびにこれらの物理的・化学的特性と等価な特性を有する化合物をいう。本願明細書で使用される場合、「チオールシリカ粒子」とは、MPSナノ粒子、MPESナノ粒子またはMPDMSナノ粒子をいう。 ナノスケール物質の創製方法は、一般に、ボトムアップ法およびトップダウン法に分類される。この前者、すなわち、ボトムアップ法は、原子または分子を物理的または化学的な方法で相互作用させ反応させながらそのスケールを大きくする方法である。原子・分子オーダーでの制御が可能である。このボトムアップ法としては、例えば、レーザー照射法(薄膜成長法)、自己組織化法、化学気相蒸着法、ゾルゲル法、凝集沈殿法、コンビナトリアルケミストリー法など挙げられる。トップダウン法は、バルクの物質を破壊すること、または加工することにより微細化していく方法であり、そのリソグラフィー法、エッチング法などが挙げられる。ナノ粒子合成では、ゾルゲル法、気相法、噴霧法などが行われている。このうち、ゾルゲル法は、ゾル状の液体を乾燥させてゲル化して固体を合成する方法である(Stober,W.;Fink,A.;Bohn,E.J.Colloid Interface Sci.1968,26,62〜69)。本発明のナノ粒子を合成するために、ゾルゲル法(ストーバー法;Stober法)を利用する。このゾルゲル法においては、その粒子製造過程においては、従来技術においては、室温にて製造される。本発明のシリカ粒子またはシリカ粒子群の生成方法における、「高温条件」とは、70〜100℃の温度範囲の反応条件をいい、好ましくは、80℃〜100℃、さらに好ましくは、90℃〜100℃である。 本発明のシリカ粒子またはシリカ粒子群の生成方法における、「高アンモニア条件」とは、調製したアンモニア水溶液の濃度が、最終濃度にして最終濃度20%以上をいい、好ましくは、20%〜30%、25%〜30%、26%〜28%、また、より好ましい濃度条件としては、27%である。また、上記方法において、中アンモニア濃度とは、調製したアンモニア水溶液の濃度が、最終濃度10%以上20%未満をいう。低アンモニア濃度とは、調製したアンモニア水溶液の濃度が、最終濃度2%以上5%未満をいう。「高アンモニア条件」については、ゾルゲル法においてアンモニアが使用される場合、従来の方法は、数パーセントのアンモニア濃度が利用されており、上述のような本発明において使用される「高アンモニア条件」は利用されない。これは、ナノ粒子を生成するのにこれまで使用されてきたTEOSが、粒子形成においてTEOSは高アンモニアを嫌う傾向があることが1つの原因であると理解される。実際、発明者らの自身の検証結果からも、粒子形成においてTEOSは高アンモニアを嫌う傾向があるものと判断され、粒子が完全に形成しない、もしくは凝集が起こる、などの不良な結果を得ている(未発表)。したがって、本発明のシリカ粒子の製造方法において、これらの条件を使用して、これまでにない優れた特性のナノ粒子を迅速に合成し得たことは、技術常識からは驚くべき結果である。 本明細書において使用される場合、本発明のナノ粒子における「格子」および「シリカネットワーク」は、交換可能に使用され、その粒子の格子は一次粒子としての内部構造を示すものであり、Si−O−、Si−C−等に代表される化学結合を介した網目状の立体的な構造を意図するものである。 1つの局面において、本発明は、「無孔性」シリカ粒子または「細孔(ポア)の無い」シリカ粒子である。1つの実施形態において、この「無孔性」または「ポアの無い」との特徴は、例えば、「マクロポア」がないことであり、20μm以上の細孔(ポア)が存在しないことであり、また、別の実施形態においては、本発明の無孔性シリカ粒子は、例えば、平均粒径が約900nmの粒子においてその粒子の比表面積が、4.816(m2/g)であり、細孔容積が、0.0159(m3/g)である。「細孔」とは、多孔性構造を示す語であり、その細孔は、ミクロ細孔(マイクロポア)、メソ細孔(メソポア)およびマクロ細孔(マクロポア)に大別される。「マイクロ細孔」または「マイクロポア」とは、直径2ナノメートル(nm)以下の細孔をいう。「メソ細孔」または「メソポア」とは、直径2〜50ナノメートル(nm)の細孔をいう。また、「マクロ細孔」または「マクロポア」とは、直径50ナノメートル(nm)の細孔をいう。 粒子について、「実質的に球状である」は、ポアがないことにより、不規則な構造をとることなく、球状である粒子についていう。 「気体吸着法(ガス吸着法)」とは、細孔分布および比表面積などを求めるための最も一般的な手法の一つである。ベックマン・コールタ社製比表面積細孔分布測定装置などにより、実施される。本方法は、BET理論に基づき、細孔分布および比表面積を測定し得る。 本明細書中で使用される場合、「粒径」は、測定対象としている粒子の大きさを示す指標であって、その粒子の直径により表現され得る。この「粒径」は、種々の技術により測定・決定され得る。例えば、透過型電子顕微鏡を使用することによっても粒径は決定され得る。 本明細書中で使用される場合、「サイズ分布」または「粒度分布」は、交換可能に使用され、この「サイズ分布」とは、測定対象とする粒子群における「粒径」の分布の様式を示す。「サイズ分布」は、種々技術によって測定されるが、フローサイトメトリーなどを用いて粒子のサイズ分布を評価することが可能である。 本明細書において、「粒径分布幅」とは、「サイズ分布」における「粒径」の分散性の程度を示す指標であり、対象としている粒子の粒径が存在している幅を示す。本発明において、その1つの実施形態において、その粒径分布幅は、対象粒子群においける粒径分布幅が平均粒径の±25%以内にある狭域分布性であることことを1つの特徴とする。 「フローサイトメトリー」は、微細な粒子(例えば、浮遊細胞をシース液中での単一細胞)を流体中に分散させ、その流体を細く流して、個々の粒子を光学的に分析する手法である。一定波長の光線(通常はレーザー光)を流体に当て、通常は光線に沿った方向の前方散乱(Forward Scatter=FSC)と、光線と直角の方向の側方散乱SSC(Side Scatter)を検出する。一般には、この前方散乱光は、その強度は測定対象とする粒子の表面積に比例することからその微粒子の大記載を示す指標として使用され、側方散乱光は、測定対象の屈折や散乱により生じるので内部構造の複雑さなどの指標として使用され得る。本発明おいては、用いた粒子系の粒径と側方散乱光が正の相関がすることが見出された場合においては、側方散乱光を利用した。 本明細書において使用される場合、「サイズマーカー」は、測定対象系に対してのそのサイズの定量のための指標を与える役割を果たす物質をいう。 本明細書において使用される場合、電子顕微鏡におけるサイズ制御評価法において、「サイズ収率」または「サイズ制御率」は、交換可能に使用され、これは、以下の式で定義される。すなわち、「サイズ収率」={(最大粒径)−(最小粒径)}/{2×(平均粒径)}×100(%)ここで、「平均粒径」={(最大粒径)+(最小粒径)}/2である。これら値は、例えば、透過型電子顕微鏡によって測定され、またはその測定値に基づいて計算される。 本明細書において、「アクセプター基」とは、シリカ粒子またはシリカ球上に導入される官能基をいう。シリカ粒子を形成するために使用されるシリカ化合物と、導入されるアクセプター基との関係は、例えば、以下の表に記載される対応関係がある。 本明細書で使用される場合に、「機能性物質」とは、物理的、化学的、または生物学的な作用を担う物質をいい、作用する対象と相互作用する部位を有する物質であればその形態は任意である。機能性物質としては、薬剤、蛍光性物質、蛋白質、ペプチド、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドアナログ、糖鎖などが挙げられるがこれらに限定されない。 本明細書で使用される場合に、「蛍光性物質」は、電磁波(例えば、紫外線、X線、電子線など)等の外部刺激によって励起したときに、蛍光を発する物質をいう。この「蛍光性物質」としては、例えば、ローダミンレッド、フルオロセイン、ヘキサン酸−6−(テトラメチルローダミン-5-カルボキサミド)、ヘキサン酸−5−(テトラメチルローダミン-5-カルボキサミド)、Alexa Fluor 647、DY 635、DY 485、DY 495、DY 505、トリスジクロロツテニウム(II)ヘキサハイドレート(Tris dichlororuthenium (II) hexahydrate)が挙げられるが、これらに限定されない。この蛍光性物質は、例えば、以下(1)〜(4)のような態様でシリカ粒子中に存在するが、これらの態様に限定されない。すなわち、(1)単独で内部に含まれる;(2)蛍光性物質とN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、イソチオシアネート(ITC)から選択される化合物と結合したものと3−(アミノプロピル)トリエトキシシラン[3−(aminopropyl)triethoxysilane]との反応産物がシリカネットワークに結合する形態で内部に含まれるかまたは表層に存在する;(3)またはマレイミドと結合したものとMPSとの反応産物がシリカネットワークに結合する形態で内部に含まれるかまたは表層に存在する;(4)または蛍光性物質とマレイミドと結合したものがチオールを持つシリカ化合物を含むシリカ粒子との反応により表層に存在する。 本明細書で使用される場合、「表層機能化」とは、本発明のシリカ粒子の表層に機能製物質を配置しかつ安定化させることをいう。また、この表層機能化を行うことができる対象粒子の性質を、内部機能化能と表現する。本明細書において、「安定化」させるとは、例えば、シリカ粒子中において、その機能性物質がその使用環境下で所望する機能を再現性をもって実現するのに必要な物理的・化学的な安定化状態を提供することである。 本明細書で使用される場合に、「内部機能化」とは、本発明のシリカ粒子の内部に機能性物質を含みかつ安定化させることをいう。また、この内部機能化を行うことができる対象粒子の性質を、内部機能化能と表現する。 本明細書において使用される用語「蛋白質」、「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーおよびその改変体をいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされ得るものを包含する。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。本発明の組成物において使用される場合は、「タンパク質」は、その組成物が使用されるべき宿主において適合性のあるタンパク質であることが好ましいが、その宿主において適合するように処置され得る限り、どのようなタンパク質を用いてもよい。あるタンパク質が宿主に適合性があるかどうか、または宿主において適合するように処置され得るかどうかは、そのタンパク質をその宿主に移植して、必要に応じて免疫拒絶反応などの副反応を抑制することによりその宿主に定着するかどうかを観察することによって、判定することができる。代表的には、上述の適合性があるようなタンパク質としては、その宿主に由来するタンパク質を挙げることができるがそれに限定されない。 本明細書において「ヌクレオチド」は、糖部分がリン酸エステルになっているヌクレオシドをいい、DNA、RNAなどを含み、天然のものでも非天然のものでもよい。ここで、ヌクレオシドは、塩基と糖とがN−グリコシド結合をした化合物をいう。「ヌクレオチド誘導体」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNAを含む。 本明細書において、「支持体」は、対象とする物質を固定することができる材料(material)をいう。支持体の材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用される生体分子のような物質に結合する特性を有するかまたはそのような特性を有するように誘導体化され得る、任意の固体材料である。本発明のシリカ粒子は、この支持体として利用することが可能である。 この発明の実施の形態に関し、以下、詳述する。先ず、MPS粒子の生成あるいは作製につき説明する。 (MPS粒子)(a)MPSとアンモニアとを用いるMPS粒子の作製:MPSと28重量%アンモニア水溶液とを混合した後、温度80〜100℃、好ましくは95±5℃にて、1〜12時間、好ましくは7±5時間、攪拌・保温し、反応させ、MPS粒子を生成させる。生成MPS粒子は、高速遠心によるペレットのかたちで採取し、これを70%エタノール水溶液と蒸留水とで交互に計4〜8回、遠心により洗浄する。採取したペレット(MPS粒子)は高速ホモジナイザーや超音波処理等により分散させた後、使用に供する。MPS粒子の粒径はナノサイズからミクロンサイズまで、生成に用いるMPS濃度の変量により、調整・調節できる。例えば、28重量%アンモニア水溶液(一定量)に対するMPSの添加量を、所望の粒径が得られるよう調節し、適宜、変量できる。28重量%アンモニア水溶液675μl(一定量)に対するMPS濃度、平均粒径、及びサイズ収率(%)の3者の相互関係は、後述の実施例3の表1に例示されている。(b)MPS、イソプロパノール、及びアンモニアによるMPS粒子の生成:MPS、イソプロパノール、及び28重量%アンモニア水溶液を混合した後、温度80〜100℃、好ましくは95±5℃にて、1〜12時間、好ましくは7±5時間、攪拌・保温し、反応させることにより、MPS粒子を生成させることができる。生成PMS粒子の採取、洗浄、分散は、上述(a)の通りである。MPS粒子の粒径は、生成に用いるMPS濃度の変量と、I/N容量比[イソプロパノール溶液の容量(I):28重量%アンモニア水溶液の容量(N)]の変更により、調整・調節できる。28重量%アンモニア水溶液(一定量)に対するMPS濃度及びI/N比は、所望の粒径が得られるよう調整し、適宜、変更できる。28重量%アンモニア水溶液337.5μl(一定量)に対するMPS濃度、I/N比、及び平均粒径の3者の相互関係は、後述の実施例5の表2に例示されている。 (c)標識分子を含有のMPS粒子の生成:チオール基と反応する物質、例えば、マレイミド化合物と、標識分子、例えば、ローダミンとの結合物と、MPSのチオール基とを反応させることによりMPS−標識分子共役体を事前に調製する。次いで、該共役体、MPS及びアンモニア水溶液を混合の後、又は該共役体、MPS、アンモニア水溶液及びイソプロパノールを混合の後、上記(a)と同様にして、攪拌・保温することにより、標識分子含有MPS粒子を生成させる。尚、標識分子は一種以上を含有させることができる。また、MPSに限らず、他種のシリカ化合物を用い、他種のシリカ化合物−標識分子共役体を調製することも可能である。粒径は上述の通りMPS濃度により調節できる。生成MPS粒子は、採取、洗浄、及び分散の後、使用に供する。具体例は後述する実施例7に記載されている。 次いで、本発明のシリカ粒子の用途につき説明する。(d)定性試験、定量試験及び診断用の標識体:ここでいう標識体とは、MPS粒子あるいは本明細書中で記載されるその他のシリカ粒子内、表層、表面等に標識物質を包埋、包接、含有、吸着、あるいは結合させた状態のシリカ粒子を意味する。標識物質としては、定性試験、定量試験、診断、バイオアッセイ等での検出や反応のマーカーとして使用される物質、例えば、蛍光物質、発光物質、生理活性物質、機能物質、免疫学的反応物質、遺伝子等々、公知の物質を用いることができる。更に具体的には、FITC、酵素、ホルモン、TNF、抗原、抗体、サイトカイン、リガンド、レセプター、毒素、TLR、DNA、RNA等々を挙げることができる。尚、単一物質で標識されたMPS粒子はモノ標識体、また、複数物質で標識されたMPS粒子はポリ標識体あるいはバーコード体として用いることができる。(e)定性試験、定量試験及び診断用の用具:ここでいう用具とは、その基板の表面が、固定化されたMPS粒子からなるスライドガラス、マイクロチップ、トレイ等を意味し、使用に際しては、固定化MPS粒子を介して上記(d)に例示の種々の標識物質で標識することができる。(f)タンパク質、核酸、酵素の合成・修飾の支持体:この発明でいう支持体とは、ペプチド鎖、DNAやRNAの断片、酵素の活性中心、エピトープ等をMPS粒子表面に吸着あるいは結合させた状態で、これ等の修飾、伸長、合成、PCR等を行なうこと(MPS粒子を支持体として用いること)ができる。(g)精製用の混合物質の吸着及び/又は溶出の媒体:この発明でいう媒体とは、例えば、MPS粒子表面のチオール基を介して不純物を結合あるいは吸着させ除去する精製用手段を意味する。また、例えば、MPS粒子表面に抗原を結合させれば、抗体精製用の媒体として用いることができる。(h)ドラツグデリバリーシステム(DDS)の徐放体・担体例えば、MPS粒子内に薬物を含有させれば薬物徐放体として機能し、更に該徐放体MPS粒子の表面に臓器特異抗体を結合させれば、臓器特異的な(ミサイル療法用)薬物徐放体として用いることができる。(i)非感染粒子 トレーサー シンチレーター例えば、MPS粒子表面に感染因子の抗原を結合させれば、核酸を有しない非感染因子として研究に供することができる。また、MPS粒子内部に蛍光色素やRI化合物等を含有させれば、トレーサーやシンチレーターとして使用できる。更に、これに前述のDDSの除放体・担体機能を付加させることにより、デリバリーの評価・確認と治療を同時に行うことのできる治療剤、或いは診断治療両用剤として用いることができる。(j)フローサイトメトリーの蛍光標準マーカー例えば、MPS粒子内部への蛍光物質の取り込み、粒子表面への発光物質の結合等により、フローサイトメトリーのビーズアッセイ用粒子又は蛍光標準マーカーとして供することができる。(k)細胞の浮遊培養の支持体 例えば、MPS粒子は、浮遊細胞培養において細胞がアンカレッジするための支持体として使用することができる。上述のように、本発明のメルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)粒子は、有用な特性を有し、その特徴ゆえに従来のシリカ粒子に比して顕著な効果を有するものであるが、このような本発明の特徴を有するシリカ粒子は、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)からなる群より選択される1種または数種のシリカ化合物からも作製され得る。 以下、比較例及び実施例を挙げ、この発明の構成と効果を具体的に説明する。但し、この発明は、これ等の参考例及び実施例にのみに制限される分けではない。 (比較例1) (TEOS粒子の作製)水125μlに、エタノール500μl、TEOS 7.5μl、及び27重量%アンモニア水溶液50μlを添加混合して、室温で24時間、攪拌・反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000×g、5分間)にかけ、そのペレットを採取した。得られたペレットは、70容量%エタノールと蒸留水とを用い、それぞれ交互に3回、合計6回、遠心による洗浄を繰返した。次に、洗浄済みペレット(生成シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌の後、分散性TEOS粒子を得た。 参考例1 (MPSによるシリカ粒子の作製)水125μlに、エタノール500μl、MPS7.5μl及び28重量%アンモニア水溶液50μlをそれぞれ添加混合し、室温で48時間反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000×g、5分間)にかけ、そのペレットを採取した。得られたペレットは、70容量%エタノールと蒸留水とを用い、それぞれ交互に3回、合計6回、遠心による洗浄を繰返した。次に、洗浄済みペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌の後、サンプリングし電子顕微鏡で観察した。その結果、ナノシリカ粒子の形成が確認された。 (平均粒径が500nm以下(サイズ制御率±20%以下)のシリカ粒子の作製)MPS7.5μlに、28重量%アンモニア水溶液675μlを添加混合し、90℃で9時間反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000xg、5分間)にかけ、そのペレットを採取した。得られたペレットは、70容量%エタノールと蒸留水とを用い、それぞれ交互に3回、合計6回、遠心による洗浄を繰返した。次に、洗浄済みペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌の後、サンプリングし、電子顕微鏡で観察した。その結果、シリカ粒子の平均粒径は360nm、そのサイズ制御率は約19%であり、良好なサイズ制御下でのシリカ粒子の作製が確認された。 (MPS変量によるシリカ粒子の粒径の調節)28重量%アンモニア水溶液675μl(一定量)に対し、用いるMPS量を変量させることにより、シリカ粒子の粒径の調整・調節を行った。尚、上記のMPS量の変量以外は、実施例2の記載と全く同様にして、シリカ粒子(MPS粒子)を生成させた。その結果を表1に示す。MPS濃度の増加に伴い、粒径が増大した。即ち、MPS濃度と粒径との間には、正の相関があった。 (平均粒径が400nm以上(サイズ制御率±20%以下)のシリカ粒子の作製) MPS15μlに、イソプロパノール溶液337.5μl及び28重量%アンモニア水溶液337.5μlを添加混合し、95℃で3.5時間反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000xg、5分間)にかけ、そのペレットを採取した。得られたペレットは、70容量%エタノールと蒸留水とを用い、それぞれ交互に3回、合計6回、遠心による洗浄を繰返した。次に、洗浄済みペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌の後、サンプリングし、電子顕微鏡で観察した。その結果、シリカ粒子の平均粒径は750nm、そのサイズ制御率は約16%であり、良好なサイズ制御下でのシリカ粒子の作製が確認された。 MPS変量とI/N比の変化によるシリカ粒子の粒径の調節アンモニア水溶液(一定量)に対し、用いたMPS量の変量と、I/N容量比[イソプロパノール溶液の容量(I):28重量%アンモニア水溶液の容量(N)]変更以外は、実施例4の記載と全く同様にしてシリカ粒子を作製した。その結果を表2に示す。アンモニア水溶液(一定量)に対し、用いたMPS量(濃度)と粒径との間には、正の相関があった。尚、I/N比と粒径との間には、明確な相関が見られなかった。(実施例6−1) (ローダミン含有シリカ粒子の調製)次の通り、(a)ローダミン(標識分子)含有シリカ化合物を事前に調製し、得られた該シリカ化合物を用いて(b)ローダミン(標識分子)含有シリカ球を調製した。((a)ローダミン(標識分子)含有シリカ化合物の調製)マレイミド化合物として、Rhodamine RedTM C2 maleimide(約5mg)を50μlのDMSO溶液に溶解した後、チオール基を有する(3−メルカプトプロピル)−トリメトキシシラン((3−Mercaptopropyl)−trimethoxysilan)を、上記Rhodamine RedTM C2 maleimideと等モルになるように添加混合し、2時間、チューブミキサーを用いて遮光下にて攪拌し反応させることにより、ローダミン(標識分子)含有シリカ化合物を調製し、次((b)のシリカ球の調製に供した。) (b)ローダミン標識分子含有シリカ球の調製 上記(a)で得たローダミン(標識分子)含有シリカ化合物を含む反応溶液に7μlに、MPS 7.5μl、及び27重量%のアンモニア水溶液を約675μlを添加混合の後、100℃で約11時間、反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000×g、5分間)かけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察し、粒子がローダミンの蛍光を発していることを確認した。 この確認は従来技術と比較して非常に有益な特性を本発明が有することを意味する。すなわち、アミノ基と反応するN−ヒドロキシスクシンイミドエステルと蛍光色素が結合したものとAPSのアミノ基を反応させることによりAPS−蛍光色素共役体を形成させ、それとTEOSなどを用いたシリカ粒子作成の際に混ぜ込むことにより蛍光色素を含有したシリカ粒子などの場合には、未反応のAPSのアミノ基(正電荷)がシリカのSi−O−(負電荷)と中和してしまい粒子の表面電荷の低下により粒子凝集が起っていたが、本実施例においては、チオール基と反応するマレイミドと蛍光色素が結合したものとMPSのチオール基を反応させることによりMPS−蛍光色素共役体を形成させ、それとMPSを用いたシリカ粒子作製の際に混ぜ込むことにより蛍光色素を含有したMPSシリカ粒子を凝集を引き起こすことなく作製することできた。(実施例6−2) (一段階反応による色素を含有するシリカ粒子を作製方法) 3.4Mの3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(3−Mercaptopropyltriethoxysilane)10μl、10mM Rhodamine RedTM C2 maleimide 5μl、イソプロパノール溶液 245μl、および28重量%アンモニア水溶液 245μlと混合して、100℃で3時間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察し、粒子がローダミンの蛍光を発していることを確認した。 (MPS粒子の蛍光色素標識による表層機能化)(1)MPS粒子の作製 MPS10μlに、イソプロパノール溶液405μl、及び28重量%アンモニア水溶液290μlを添加混合し、95℃で2時間、反応させた。次いで、反応終了液を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にかけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察したところ、平均粒径690nm、サイズ制御率約15%であり、良好なサイズ制御下での粒子の作製が確認された。(2)ローダミン(標識分子)の表層標識による機能化マレイミド化合物として、Rhodamine RedTM C2 maleimide(5mg)を、73.5μlのDMSO溶液に溶解の後、上記(1)で作成のMPS粒子溶液3μl加え、約2時間、チューブミキサーを用いて遮光下にて攪拌し反応させた。次いで、反応終了液を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にかけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察し、粒子がローダミンの蛍光を発していることを確認した。即ち、ローダミン(標識分子)表層標識による表層機能化MPS粒子の作製に成功した。<目的>MPSナノシリカ粒子のガラス基板上での蛋白吸着能を評価する。<方法>(a)ガラス基板上にMPSシリカ粒子、及びTEOSシリカ粒子をそれぞれ0.2μl、スポットし乾燥させた;(b)7.5μg/ml Cy3標識抗ヤギ抗体IgG(Jackson社製)を2μl滴下し、モイストチャンバー内で室温にて5分間、反応させた後、洗浄を行った;(c)蛍光イメージアナライザー(TAKARA FM BIO II)にて各スポットの蛍光強度を測定した。<結果>粒子スポットなし(−)、MPSナノシリカ粒子、及びTEOSナノシリカ粒子の蛍光強度はそれぞれ、8,871、32,473、及び12,751であり、MPSナノシリカ粒子は蛋白を吸着、保持し、有意に蛋白を固定できることが証明された。<目的>ナノシリカ粒子仲介法を用いてガラス板上でのバイオアッセイを行う。<方法>(a)ガラス基板上にMPSシリカ粒子0.2μlをスポットし乾燥させた;(b)シリカ粒子のスポットに種々の濃度(10ng/ml〜30μg/ml)のヤギ抗GST抗体(Amersham社製)を2μl滴下し、モイストチャンバー内で室温にて5分間反応させた後、洗浄した;(c)1%BSAを含むPBS溶液を用い、モイストチャンバー内で室温にて10分間、ブロッキング反応を行った後、洗浄した;(d)7.5μg/ml Cy3標識抗ヤギ抗体IgG(Jakson社製)を用い、モイストチャンバー内で室温にて1時間、反応を行った後、洗浄した;(e)蛍光イメージアナライザー(TAKARA FM BIO II)にて各スポットの蛍光強度を測定した。<結果>ヤギ抗GST抗体、30ng/ml〜30μg/mlにおいて蛍光強度の濃度依存性が確認できた。ナノシリカ粒子仲介法により、ヤギ抗体の抗原性を保持した状態でガラス板上に固定し、広範囲の濃度域において、ヤギ抗体を検出することができた。<目的>ナノシリカ粒子仲介法を用いてガラス板上でのバイオアッセイを行う。<方法>(a)ガラス基板上にMPSシリカ粒子0.2μlをスポットし乾燥させた;(b)シリカ粒子のスポットに精製酵素GSTを1μl滴下しモイストチャンバー内で室温にて5分間、反応を行った後、洗浄した;(c)1% BSAを含むPBS溶液でモイストチャンバー内で室温にて10分間、ブロッキング反応を行った後、洗浄した;(d)種々の濃度(10ng/ml〜30μg/ml)のヤギ抗GST抗体(Amersham社製)を2μl滴下し、モイストチャンバー内で室温にて1時間反応を行った後、洗浄した;(e)Cy3標識抗ヤギ抗体IgG(7.5μg/ml)でモイストチャンバー内で室温にて1時間反応を行った後、洗浄した;(f)蛍光イメージアナライザー(TAKARA FM BIO II)にて各スポットの蛍光強度を測定した。<結果>ヤギ抗GST抗体、300ng/ml〜30μg/mlにおいて蛍光強度の濃度依存性が確認できた。ナノシリカ粒子仲介法によりGSTの抗原性を保持した状態でガラス板上に固定し、種々の濃度下における抗GST抗体の結合を検出することができた。<目的>ナノシリカ粒子仲介法を用いてガラス板上でのバイオアッセイを行う。<方法>(a)ガラス基板上にMPSシリカ粒子0.2μlをスポットし乾燥させた;(b)シリカ粒子のスポットに種々の濃度(10ng/ml〜30μg/ml)のヤギ抗GST抗体(Amersham社製)を2μl滴下し、モイストチャンバー内で室温にて5分間反応を行った後、洗浄した;(c)2% Skim milkを含むPBS溶液でモイストチャンバー内で室温にて10分間、ブロッキング反応を行った後、洗浄した;(d)ローダミン標識精製酵素GSTでモイストチャンバー内で室温にて1時間反応を行った後、洗浄した;及び(e)蛍光イメージアナライザー(TAKARA FM BIO II)にて各スポットの蛍光強度を測定した。<結果>ヤギ抗GST抗体、3〜30μg/mlにおいてローダミン標識GSTによる蛍光強度の濃度依存性が確認できた。ナノシリカ粒子仲介法によりGST抗体の抗原への結合活性を保持した状態でガラス板上に固定し、抗原を検出することができた。 (MPS粒子の蛍光標準ビーズとしての利用) 5mM フルオレスセイン(標識分子)含有シリカ化合物(Fluorescein−APS)を含む反応溶液2.7μlに、MPS1μl、及び27重量%のアンモニア水溶液を約675μl添加混合の後、100℃で約10時間、反応させた。次いで、反応終了液を、高速遠心機(10,000xg、5分間)にかけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、粒子(平均粒径96nm)を得た。このシリカ球をフローサイトメトリーFACS CaliburHGにて測定・評価した。その結果、MPS粒子による蛍光は明確な集団及びピーク(紫色(左下図)と薄緑色(右下図): 図の位置はいずれも図2(b)の左を上に正した場合)として確認された。サイズマーカーとしてPolysc ence社Fluoresbriteを使用。図(右下)中M1のピークはサイズR1=6.0 μmに対応。本実施例において平均粒径約100nmという極めて小さい蛍光ナノシリカ粒子の蛍光検出に成功した。また蛍光強度に関してはピークがFluoresbriteのM4とM3の間、すなわち1.0μmと2.0μmの粒子の蛍光ピークの間に位置し、本粒子は約10倍のサイズのFluoresbriteと同等の蛍光強度を発していることを示している。この結果はポアの無い粒子にて高密度に色素が組み込まれた結果得られるものであると考えられる。 (MPES由来チオール含有粒子の作製) (A)3−メルカプト−プロピルトリエトキシシラン(3−mercapto−propyltriethoxysilane;MPES)10μ1、および28重量%アンモニア水溶液990μ1を混合して、100℃で3時間反応させた。得られ溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g;5分間)にて遠沈させ、得られたペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて攪拌して、このシリカ球を電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径515nm、サイズ制御率約16%粒子が作製されたことを確認した。 (B)3−メルカプト−プロピルトリエトキシシラン(3−mercapto−propyltriethoxysilane;MPES)10μ1、およびイソプロパノール溶液445μ1、および28重量%アンモニア水溶液445μ1を添加混合して、100℃で3時間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g;5分間)にて遠沈させ、得られたペレットに対して70%エタノールと蒸留氷を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて撹拌して、このシリカ球を電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径1130nm、サイズ制御率約13%の粒子が作製できたことを確認した。 参考例14 (MPDMS由来チオール含有粒子の作製) (A)(3−メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン(3−Mercaptopropyl)methyldimethoxysilane;MPDMS)10μ1に28重量%アンモニア水溶液を加えて1m1として混合して、25℃で3日間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を高速遠心機(10,000×g;5分間)にて遠沈させ、得られたペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて攪拌して、このシリカ球を電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径750nm、サイズ制御率約16%の粒子が作製できたことを確認した。 (EpoPSによるシリカ粒子の作製) トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン)(Trimethoxy[2−(7−oxabicyc1o[4.1.0]−hepto−3−yl)ethy1]silane;EpoPS)7.5μ1、および28重量%アンモニア水溶液675μ1と混合して、95℃で3時間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にて遠沈させて得られたペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて撹拌し、このシリカ球を電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径1160nm、サイズ制御率約10.3%の粒子が作製できたことを確認した。(TCPSによるシリカ粒子の作製)3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(3−Thiocyanatopropyltriethoxysilane;TCPS)7.5μ1、および28重量%アンモニア水溶液675μ1と混合して、99℃で3時間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にて遠沈させペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて攪拌し、このシリカ球を電子顕微鏡で観察し粒子が作製できたことを確認した。平均粒径296nm、サイズ制御率35.1%の粒子が作成できたことを確認した。 (AcPS由来チオール含有粒子の作製) 3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(3−Acryloxypropyl)trimethoxysilane;AcPS)10μ1に28重量%アンモニア水溶液を加えて1m1として混合して、25℃で3日間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にて遠沈させペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて撹拌し、このシリカ球を電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径540nm、サイズ制御率約18.5%の粒子が作製できたことを確認した。 (比較例2) (比較例−特許文献2に記載の方法の条件に従い粒子形成を試みた場合) 特許文献2のTrauらの方法の条件に従い、本願において粒子の作製に成功している6つの新規シリカ粒子の作製を試みた。酸処理(シリカ化合物(MPS、AcPSなど)100μ1、蒸留水800μ1、0.1M HClと混合して、25℃で1200rpmの攪拌下にて反応)を2日間行った後、アンモニアによる塩基処理を行った。塩基処理(酸処理を行ったシリカ溶液 90μ1に蒸留水100μ1、28重量%アンモニア水溶液0.75μ1と混合して反応)の開始後15分間、30分間、8時間経過したサンプルを電子顕微鏡で観察を行った。 以下の表は、特許文献2において記載された方法の条件により本発明の粒子(MPS、MPES、MPDMS、AcPS、EpoS、TcPS)を試みた場合の粒子作製結果である。粒子形成あり(○)、なし(×)、未成熟粒子あり(△)を示すものである。ここで示した時間は、酸処理(2日間)の後に行った、塩基処理開始後の経過時間(15分間、30分間、8時間)である。 特許文献2では酸処理の時間は1〜3日であり、かつ、塩基処理では5分もしくは直後にエタノールを加えるとなっている。加えたエタノールは塩基処理による反応を停止させるものとして使用されているものと解釈される。すなわち、特許文献2の方法は酸処理でミセル形成ならびに緩やかな粒子固化、塩基処理にて完全な粒子固化を行っていると解釈される。よって、塩基処理の時間が短く、エタノール処理を行う理由は粒子固化の反応を不均一なものとし、固化が不十分な部位はポアになると考えられる。 (スクシンイミジルエステルを用いたローダミン(標識分子)含有APSシリ力化合物の調製、およびこれを用いたシリカ球(ローダミン含有シリカ粒子))の調製) (1)スクシンイミジルエステル化合物として、Rhodamine RedTM*(約5mg)を50μlのDMSO溶液に溶解した後、アミノ基を有する3−アミノプロピル−トリメトキシシラン(APS)を上記Rhodamine RedTM C2 maleimideと等モルになるように加え、約2時間、チューブミキサーを用いて遮光下にて攪拌して反応させて、ローダミン(標識分子)含有シリカ化合物を調製した。 (2)標識含有シリカ球の調製 次いで、ローダミン(標識分子)含有シリカ化合物からローダミン(標識分子)含有シリカ球を調製した。具体的には、上記で得られたローダミン(標識分子)含有シリカ化合物を含む反応溶液から7μlとMPS7.5μl、および27重量%アンモニア水溶液を約675μl加えて、100℃で約11時間反応した。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にて遠沈させペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて攪拌し、このシリカ球を蛍光顕微鏡で観察し粒子がローダミンの蛍光を発していることを確認した。 (イソチオシアネート(ITC)を用いたローダミン(標識分子)含有APSシリカ化合物の調製、およびこれを用いたシリカ球(ローダミン含有シリカ粒子)の調製) (1)イソチオシアネートを用いたローダミン(標識分子)含有シリカ化合物の調製 イソチオシアネートとして、Rhodamine RedTM*(約5mg)を50μlのDMSO溶液に溶解した後、アミノ基を有する3−アミノプロピル−トリメトキシシラン(APS)を上記Rhodamine RedTM C2 maleimideと等モルになるように加え、約2時間、チューブミキサーを用いて遮光下にて攪拌して反応させて、ローダミン(標識分子)含有シリカ化合物を調製した。 (2)標識含有シリカ球の調製 次いで、ローダミン(標識分子)含有シリカ化合物からローダミン(標識分子)含有シリカ球を調製した。 具体的には、上記で得られたローダミン(標識分子)含有シリカ化合物を含む反応溶液から7μlとMPS7.5μl、および27重量%アンモニア水溶液を約675μl加えて、100℃で約11時間反応した。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にて遠沈させペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて攪拌し、このシリカ粒子を蛍光顕微鏡(TE 2000 (100−W mercury lamp装着)とCCD カメラ(Digital Sight DS−L1,Nikon))で観察し粒子がローダミンの蛍光を発していることを確認した。 (TAMRA含有シリカ粒子の調製)次の通り、(a) 5−カルボキシテトラメチルローダミン(5−carboxytetramethylrhodamine;TAMRA)(標識分子)含有シリカ化合物を事前に調製し、得られた該シリカ化合物を用いて(b) TAMRA(標識分子)含有シリカ球を調製した。(a)TAMRA(標識分子)含有シリカ化合物の調製スクシンイミジルエステル化合物として、5−カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル(5−carboxytetramethylrhodamine syccinimidyl ester;5−TAMRA−SE)(約1.7mg)を85μlのDMSO溶液に溶解した後、アミノ基を有するシリカ化合物として3−(アミノプロピル)トリエトキシシラン[3−(aminopropyl)triethoxysilane](APS)を、上記5−TAMRA−SEと等モルになるように添加混合し、2時間、チューブミキサーを用いて遮光下にて攪拌し反応させることにより、TAMRA(標識分子)含有シリカ化合物を調製し、次(b)のシリカ球の調製に供した。 (b)TAMRA標識分子含有シリカ球の調製 上記(a)で得たTAMRA(標識分子)含有シリカ化合物を含む反応溶液に30μlに、MPS 30μl、及び27重量%のアンモニア水溶液を約675μlを添加混合の後、95℃で約10時間、反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000×g、5分間)かけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察し、粒子がTAMRAの蛍光を発していることを確認した。(27−2487−2) (Alexa Fluor 647含有シリカ粒子の調製)次の通り、(a)Alexa Fluor 647(標識分子)含有シリカ化合物を事前に調製し、得られた該シリカ化合物を用いて(b)Alexa Fluor 647(標識分子)含有シリカ球を調製した。(a)Alexa Fluor 647(標識分子)含有シリカ化合物の調製マレイミド化合物として、 Alexa Fluor 647 C2−maleimide(約1mg)を50μlのDMSO溶液に溶解した後、チオール基を有する(3−メルカプトプロピル)−トリメトキシシラン((3−Mercaptopropyl)−trimethoxysilan)を、上記 Alexa Fluor 647 C2−maleimideと等モルになるように添加混合し、2時間、チューブミキサーを用いて遮光下にて攪拌し反応させることにより、Alexa Fluor 647(標識分子)含有シリカ化合物を調製し、次(b)のシリカ球の調製に供した。 (b)Alexa Fluor 647標識分子含有シリカ球の調製 上記(a)で得たAlexa Fluor 647(標識分子)含有シリカ化合物を含む反応溶液3μlに、MPS 10μl、2−プロパノロール 約337.5μl及び27重量%のアンモニア水溶液を約337.5μlを添加混合の後、100℃で約2時間、反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000×g、5分間)かけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察し、粒子がAlexa Fluor 647の蛍光を発していることを確認した。(32−2838−B) (DY 635含有シリカ粒子の調製)次の通り、(a) DY 635(標識分子)含有シリカ化合物を事前に調製し、得られた該シリカ化合物を用いて(b)DY 635(標識分子)含有シリカ球を調製した。(a)DY 635(標識分子)含有シリカ化合物の調製スクシンイミジルエステル化合物として、DY 635 N−hydroxysuccinimide ester(約1mg)を25μlのDMSO溶液に溶解した後、アミノ基を有するシリカ化合物として3−(アミノプロピル)トリエトキシシラン[3−(aminopropyl)triethoxysilane(APS)]を、上記DY 635と等モルになるように添加混合し、2時間、チューブミキサーを用いて遮光下にて攪拌し反応させることにより、DY 635(標識分子)含有シリカ化合物を調製し、次(b)のシリカ球の調製に供した。 (b)DY 635標識分子含有シリカ球の調製 上記(a)で得たDY 635(標識分子)含有シリカ化合物を含む反応溶液に5μlに、MPS 7.5μl、及び27重量%のアンモニア水溶液を約675μlを添加混合の後、100℃で約12時間、反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000×g、5分間)かけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察し、粒子がDY 635の蛍光を発していることを確認した。(28−2560−1) (DY 495含有シリカ粒子の調製)次の通り、(a) DY 495(標識分子)含有シリカ化合物を事前に調製し、得られた該シリカ化合物を用いて(b)DY 495(標識分子)含有シリカ球を調製した。(a)DY 495(標識分子)含有シリカ化合物の調製スクシンイミジルエステル化合物として、 DY 495−X/5−N−hydroxysuccinimide ester(約5mg)を25μlのDMSO溶液に溶解した後、アミノ基を有するシリカ化合物として3−(アミノプロピル)トリエトキシシラン[3−(aminopropyl)triethoxysilane (APS)を、上記DY 495と等モルになるように添加混合し、2時間、チューブミキサーを用いて遮光下にて攪拌し反応させることにより、DY 495(標識分子)含有シリカ化合物を調製し、次(b)のシリカ球の調製に供した。 (b)DY 495標識分子含有シリカ球の調製 上記(a)で得たDY 495(標識分子)含有シリカ化合物を含む反応溶液に10μlに、MPS 10μl、2−プロパノロール 約337.5μl及び27重量%のアンモニア水溶液を約337.5μlを約675μlを添加混合の後、100℃で約11時間、反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000×g、5分間)かけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察し、粒子がDY 495の蛍光を発していることを確認した。(29−2576−2) (DY 505含有シリカ粒子の調製)次の通り、(a) DY 505(標識分子)含有シリカ化合物を事前に調製し、得られた該シリカ化合物を用いて(b)DY 505(標識分子)含有シリカ球を調製した。(a)DY 505(標識分子)含有シリカ化合物の調製スクシンイミジルエステル化合物として、 DY 505X/5−N−hydroxysuccinimide ester(約5mg)を25μlのDMSO溶液に溶解した後、アミノ基を有するシリカ化合物として3−(アミノプロピル)トリエトキシシラン[3−(aminopropyl)triethoxysilane (APS)を、上記DY 505と等モルになるように添加混合し、2時間、チューブミキサーを用いて遮光下にて攪拌し反応させることにより、DY 505(標識分子)含有シリカ化合物を調製し、次(b)のシリカ球の調製に供した。 (b)DY 505標識分子含有シリカ球の調製 上記(a)で得たDY 505(標識分子)含有シリカ化合物を含む反応溶液に14μlに、MPS 15μl、及び27重量%のアンモニア水溶液を約675μlを添加混合の後、95℃で約12時間、反応させた。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000×g、5分間)かけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングして蛍光顕微鏡で観察し、粒子がDY 505の蛍光を発していることを確認した。(27−2488−1)(Tris dichlororuthenium(II)hexahydrate含有シリカ粒子の調製) 次の通り、粒子に色素をドープさせる方法にてTris dichlororuthenium (II) hexahydrate(標識分子)含有シリカ球を調製した。 100 mM Tris dichlororuthenium(II)hexahydrate反応溶液に20μlに、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES) 40μl、2−プロパノロール 約480μl及び27重量%のアンモニア水溶液を約480 μlを添加混合の後、100℃で約3時間、反応させた。比較例として100 mM Tris dichlororuthenium(II)hexahydrate反応溶液を加えず同条件で粒子を作製した。次いで、反応終了液を高速遠心機(10,000×g、5分間)かけ、そのペレットを採取した。該ペレットは、70%エタノールと蒸留水とを交互に使用し洗浄した。洗浄は遠心にて、合計6回、繰り返し行った。採取したペレット(シリカ粒子)を超音波破砕機にて攪拌・分散の後、サンプリングしてフローサイトメトリーで蛍光(FL2,FL3)を確認した。(35−3039−1)図22および図23において、図22は色素あり、図23は色素なし、です。図23と比較して図22ではFL2、FL3において蛍光発光により優位にピークが移動しているのが確認できた。粒子に色素が良好に取り込まれ、蛍光を発していることが確認できた。 (比較例3) (MPS NPの形成速度) MPS NPの形成速度を、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して同じ条件下のTEOS NPの形成速度と比較した。 水68μlに、エタノール325μl、TEOS 21μlまたは MPS 19μl、及び27重量%アンモニア水溶液36μlを添加混合して、室温で反応させた。 上記実験条件は通常のストーバー法(Stober)の方法であり、この方法でありますとMPSの粒子形成はTEOSに比べて遅いことが確認できる。またMPSも溶液が数時間で白濁するのですが粒子形成には至らず、すなわち、従来の方法においては、一見、MPS粒子は出来ないかの捉えられる。しかし、発明者らが見出したように、通常の方法においては用いられない条件、すなわち、高温条件および/または高アンモニア条件でのMPSの反応を行うことにより、極めて短時間に粒子を作製すること可能であることを実証した。 (従来のストーバー法による条件−高温・高アンモニア条件を用いない反応) TEOS NPは、反応開始後9時間で明確に観察可能であった(図9a〜図9c)。このTEMによる研究結果において、TEOS NPは、1日経過後2日目までに有意に変化しなかった。したがって、TEOS NPは、反応時間の最初の9時間以内で完全に形成されると判断される。これとは対照的には、MPS粒子の形成は、違った形で進行する。9時間経過後に、その生成物の界面部分は不明瞭であり、そのうちのいくつかは互いに融合しおり、また別のものは別個のものとなっていた(図9d)。ついで、70%エチルアルコール/水でその生成物を洗浄して、その後遠心分離(10,000×g5分間)にかけると、ナノ粒子は回収されなかった。2日後に、明確なMPS NPが観察された(図9eおよび図9f)。これらの結果は、同じ条件下でMPS NPの形成がTEOS NPの形成より遅いことを示している。MPSについての粒子成長過程がTEOSの粒子形成過程とは異なるものであると考えられる。ストーバー法によるTEOS NPの形成は、水酸化アンモニウムによるシリカ前駆体の加水分解で開始されて、その後、自己重合(self−polymerization)、シリカマトリクスの形成、TEOS NPの沈殿と続く。MPS NPが形成される詳細な機構は明らかになっていない。MPS反応混合物は、数時間で濁ったが、MPS粒子は、洗浄工程後に回収されなかった。まずMPSミセルが形成されて、その後、ミセル中で水酸化アンモニウムによるMPSの加水分解および重合が起こり、ナノ粒子が形成されるという、1つの過程が想定される。TEOSナノ粒子と比較した場合に、MPSナノ粒子は、反応混合物中のMPSの濃度に依存してサイズに広い分布が見られる。すなわち、TEOS NPとMPS NPのサイズ分布は異なっている。 例えば、第2日目において、TEOS NPのサイズは、250nm〜570nmの範囲であり(図9C)、MPS NPのサイズは、350nm〜1200nmである(図9f)。狭いサイズ分布を有するMPS NPが、ある種の用途においては必要とされ、このようなMPS NPを調製するための方法を発明者らは研究してきた。MPSは、MPSのチオール残基の間のジスルフィド結合の形成により脚状(dipodal)アルコキシシランを生成し得、この得られたアルコキシシランは、POMナノ粒子を生成し得ると考えられる。 (本発明の実験条件−高温度条件および高アンモニウム条件の使用) 発明者らは、以下のように蛍光色素を含むMPS NPおよびTEOS NPを合成した。 10mM MPSに10mM ローダミンレッドC2−マレイミドを等量混合し、2時間反応させMPS−ローダミンを作製した。水68μlに、エタノール325μl、TEOS 21μlまたは MPS 19μl、10mM MPS−ローダミン及び27重量%アンモニア水溶液36μlを添加混合して、室温で2日間反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、高速遠心機(10,000×g、5分間)にて遠沈させペレットに対して70%エタノールと蒸留水を使用した洗浄を数回繰り返した。遠沈させた粒子を超音波破砕機にて攪拌した。 本研究において、発明者らは、これらの粒子を特徴付けて、クオンタムドット(量子ドット)と比較した。 (表3 蛍光性なナノシリカ粒子とクオンタムドットにおける蛍光強度の比較) クオンタムドットQ−dot 605の蛍光強度を、以下の2条件において評価した。第一の条件は、ローダミンレッドを含む蛍光ナノシリカ粒子の蛍光強度を評価するために使用する条件と同じものである。具体的には、励起波長および発光波長は、それぞれ、570nmおよび590nmである;第二の条件は、Q−dot 605についての最適条件である。具体的には、励起波長および発光波長は、それぞれ、350nmおよび605nmである。表3で要約されるように、ローダミンを含むMPS NPの蛍光強度は、クオンタムドットの蛍光強度よりも高かった。これは、ナノシリカ粒子のサイズのサイズが大きいこと、および取り込まれた色素の量が多きことのためであると考えられる。次に、総蛍光強度を粒子体積で除算した比蛍光強度を計算した(表3を参照)。570nmにおける励起および590nmにおける発光で測定したMPSナノ粒子の比蛍光強度は、350nmの励起および605nmでの発光において測定したクオンタムドットの比蛍光強度の、それぞれ、7倍および4分の1倍であった。 発明者らのこれまでの研究において、蛍光色素を含むTEOS NPを同じ方法を使用して調製して、Q dot 525と比較した。蛍光色素を含むTEOS NPの比強度は、同じ条件下でそのクオンタムドットの3分の1であり、クオンタムドットの最適条件下での比蛍光強度の48分の1であった。ローダミンレッドを含むシリカ粒子ナノ粒子の場合、クオンタムドットに対する相対強度は、蛍光色素を含むナノシリカ粒子と比較して改善された。これらの結果によって、シリカネットワークに組み込むための適切な色素を選択することによって、蛍光強度を改善することが可能であることが示されている。TEOSおよびMPS NPの比強度は類似しているので、そのシリカネットワークにローダミン色素を入り込ませる効率は、その二者で有意に違いはない。さらに、蛍光MPS NPは、TEOS−NPについての報告にあるように、蛍光調節ナノシリカ粒子および2種類の蛍光色素を含む複数蛍光ナノシリカ粒子として調製し得る。MPS NPおよびTEOS NPを含む蛍光ナノ粒子は、蛍光強度が高く、ナノシリカ粒子の蛍光強度は、合成方法および蛍光色素の選択法を改善することによってクオンタムドットの蛍光強度と比較して増大される。MPS NPは、従来型のTEOS NPとさらに別の利点を有する。すなわち、MPS NPの表層は容易に改変され得るという点である。このMPS NPの反応性は、チオール残基がその表層に存在する結果であり、この存在によって、例えば、マレイミド結合体化蛍光色素を使用してその改変が可能となる。MPS NPを、マレイミドと結合体化した色素と反応させて、蛍光顕微鏡およびサイトフローメトリーを使用することによって、特徴づけ、TEOS NPと比較した。MPS NPを、マレイミドと結合体化させたローダミンレッドと反応させて、その得られた粒子は蛍光発光した。その反応後に、洗浄、遠心分離を行うと、MPS−NPのペレットは、白色から赤色へと変化した。MPS NPは、蛍光顕微鏡において明るく明らかに蛍光発光していた(図10aおよび図10b)。対照実験として、TEOS NPも、ローダミンレッド−マレイミド結合体と反応させた。TEOS NPのペレットは、洗浄後白色であったが、蛍光顕微鏡で調べても、このNPからは、MPS NPと同じ条件下でも蛍光発光されなかった(図10cおよび図10d)。これらの知見は、ローダミンレッドマレイミド結合体との表層結合が、MPS NPに特異的であることが示されており、これは、MPS NPが色素と反応するチオール残基を多く提示していることを示す。次に、蛍光強度を評価するためにフローサイトメトリー分析を使用して、表層にフロオロセインを結合させたMPS NPを調べた。MPS NP(平均直径として、約450nm;粒子の直径は、200〜600nmに分布する)を、種々の濃度のフルオロセイン−マレイミド結合体と反応させて、フローサイトメトリーにより分析した。これらのMPS NP は、種々の強度で蛍光発光した(図11)。これらの結果は、MPS NP上で蛍光色素がチオール残基を介して結合することは、ナノ粒子のフローサイトメトリーによる分析によって効率がいいことを示しており、この蛍光強度は調節可能である。発明者らは、蛍光色素で表層改変した後に、MPS NPがフローメトリー分析および顕微鏡観察に利用可能であるものであることを示した。蛍光顕微鏡を使用して、発明者が、粒子内にローダミンレッドを組み込んだTEOS NPおよびTEOS NP、ならびにその表層にローダミンを結合したMPS NPの光安定性を比較した。その粒子内にローダミンを有する、TEOS NPおよびMPS NPの単一粒子の蛍光強度の規格化した曲線は、良好な光安定性を示しており、その両方とも、連続発光250秒後において、それらの初期値の約50%以上を保っており、その両方の安定性は、ほぼ同じであった(図12)。表層上にローダミンを有するMPS NPの光安定性は、250秒後で約40%であった。ローダミンレッドを含むTEOS NP、ローダミンレッドを含むMPS NPならびにローダミンレッドを表層上に有するMPS NPは、初期値、すなわち、経過時間0秒においては、それおぞれ、175,889a.u.、120,582a.u.および403,338a.u.であり、250秒後の値は、それぞれ、111,351a.u.、66,549a.u.および147,294a.u.であって、それらの蛍光は、肉眼により確認できるものであった。表層を改変したMPS NPの蛍光強度は、試験したすべてのNPのうちで最も高かったが、光安定性は、他ものよりも良好というわけではなかった。表層上にローダミンレッドを有するMPS NPの場合、多くの蛍光色素が、その表層に結合しているが、その表層は、溶媒および溶媒が含む酸素に対して露出されていた。対照的に、蛍光色素を含むNPにおいて、その色素は、幾分、その外の環境からその粒子によって隔離されているために、酸素分子に対して曝露されている率が低い。この違いは、光安定性における観察された差異を十分説明し得る。TEOS NPおよびMPS NPのゼータ電位分析を、NPの表層電荷を特徴付け、表層機能化を確認するために実施した。 (表4) (ナノシリカ粒子のゼータ電位) (ナノ粒子) (ゼータ電位) −−−−−−−−−−−−−−−− TEOS NP −38.7 ローダミンレッド含有TEOS NP −36.0 MPS NP −52.2 ローダミンレッド含有MPS NP −52.1 ローダミンレッド表層提示MPS NP −32.2 NeutrAvidin表層提示MPS NP −19.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 表4に示されるように、MPS NPのゼータ電位は、TEOS NPのゼータ電位よりもずっと負である。TEOS粒子ではOH基、MPS粒子ではOH基に加えてSH基が表面に存在することによりゼータ電位の違いができると考えられる。構造としては、TEOS粒子と比較して、MPS粒子は多数のSH基が表面に存在していることが理解される。ローダミンレッドをその中に含む、MPS NPおよびTEOS NPのゼータ電位は、それぞれにおいて、色素がない場合のデータ電位とさほど差異はなかった。他方、ローダミンレッド−マレイミド結合体またはNeutrAvidinマイレイミド結合体で表層処理したMPS NPのゼータ電位は、実質的に低下した。これらの結果により、ローダミンレッドを粒子内に取り込んだNPは、表層における蛍光色素の存在を示さず、その結果、そのゼータ電位に影響を与えないことを示している。本明細書でこれ以降に議論するように、チオールマレイミド反応を介してMPS NPの表層にタンパク質を結合体化すると、効果があり、NPのゼータ電位を有意に変化させ得る。なんら追加手順によらなくとも、調製したままでその表層上にはチオール残基が存在することから、MPS NPは、特別な存在であるといえる。これらは、TEOS NPと比較してゼータ電位においてずっと負である。 (MPS NPの表層改変特性) 発明者らは、フローサイトメトリー、蛍光画像分析および蛍光顕微鏡を使用することで、MPS NPの表層改変特性を調べた。MPS NPの表層とTEOS NPの表層をその簡便性について比較するために、発明者らは、これらのNPを使用してドットブロッティングを実施した。等量のNPの各々を、ガラススライド上に滴下して乾燥させ、次いで、Cy3結合体加抗ヤギIgGを含む溶液と反応させて、蛍光画像分析装置で調べた。MPS NPのスポットは、TEOS NPのスポットと比べて、Cy3結合体加抗ヤギIgGに由来する強度が顕著に高いことを示した(図13a)。このMPSの蛍光強度は、TEOS NPの約3倍であった(図13b)。これらの結果は、スライドガラス上のMPS NPが、TEOS NPよりも多い量の蛋白質を吸着し得ることを示した。さらに、改変したMPS NPがあるガラススライドは、蛋白質吸着を有意に改善しており、これによって、MPS NPがチップベース技術にとって有益なものとなる可能性が示された。次いで、発明者らは、実施して、溶液中でのMPS NPおよびTEOS NPの表層特性を比較した。このNP溶液は、緑色蛍光蛋白質(GFP)またはフィコエリトリン結合体化ストレプトアビジンのいずれかを含む蛋白質溶液と混合した。GFPまたはフィコエリトリン結合体化ストレプトアビジンと混合した後に、MPS NPに関するフローサイトメトリーピークが、TEOS NPと比較してGFPからの蛍光のために右側に顕著にシフトした(図14)。これらの知見によって、MPS NPが、溶液中においてTEOS NPと比べてより効率的に蛋白質を吸着することが示された。顕微鏡による観察を、表層上の蛋白質により改変したMPS NPの分散を評価するために実施した。GFPを含む溶液と混合されたこれらのMPS NP溶液は、はっきりとした蛍光を示してNPが良好に分散したことを示している(図14)。これらの知見によって、TEOS NPと比較したときに、MPS NPはGFPで非常に効率的に改変され得るが、他方で、TEOS NPよりも良好な分散性を保持していることが示された。GFPで改変されたMPS NPは、フローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡により検出および観察され得た。MPS NPを用いたフローサイトメトリーを使用するビーズアッセイを含む生物学的研究でのMPS NPの潜在する有用性は、おおいに期待できる。 3−メルカプトプロピルトリメトキシシランまたはN1−[3−(トリメトキシシリル−プロピル]ジエチレントリアミンを用いたナノシリカ粒子のシリル化処理によるTEOSの改変がこれまで報告されている。このシリル化処理したシランNPは、チオール/ジスルフィド交換反応を介してジスルフィド改変されたオリゴヌクレオチドと結合体化し、また、グルタルアルデヒドを使用することでアミンとの間での架橋により酵素および抗体と結合体化された。さらに最近、ナノシリカ粒子が調製され、TEOSおよび種々の有機シラン試薬を用いた共加水分解を介して表層改変した。この方法は、アミノ改変NPの凝集を低減し得る。本研究において、MPS NPを、一段階合成(ワンポッド合成)を介して合成して、その他に追加手順を介することなく、その表層上にチオール残基を合成した。このMPS NPは、TEOS NPと比較して、非常によく分散し、ゼータ電位においてもより絶対値が大きな負の値となった。MPS NPは、表層改変に関する可能性のための種々の生物学的用途を約束するものであり、バイオアッセイおよび薬物送達系を含む局面は、その利用可能性についてさらに研究する価値のあるものである。NP上のチオール残基は、ナノ粒子の改変および機能化にとって種々の利点を有するものである。チオール残基は、種々の化学カップリング剤(例えば、アルキルハライド、およびマレイミド)と反応し得る。そして、このチオール基は、他の分子と共有結合を容易に形成し得る。ここ最近、種々のマレイミド結合体化分子(蛍光色素、ストレプトアビジン、ポリエチレングリコール、および他のものが挙げられる)が、市販されている。本願明細書において記載されるように、反応条件は単純であり、結合体化効率は非常に高い。さらに、チオール/ジスルフィド交換反応もあた、オリゴヌクレオチドおよびナノシリカ粒子との間のチオール残基を結合体化するのに有用であり、また、ある種の蛋白質と別の蛋白質との間のチオール残基を結合体化するのにも有用である。本願明細書において、発明者らは、種々の用途において利用され得るMSP NPを作製するさらに良好な方法を実証した。 (ビーズアッセイへの応用) 本発明のMPSシリカ粒子に対して蛍光標識した蛋白と直接反応させ粒子上に結合させた後、フローサイトメトリーで評価する一次反応検出、並びに抗原溶液を反応させ粒子上に結合させた後、洗浄し蛍光標識した抗体と反応させる二次反応検出を行った。 アッセイの具体的手順は、以下のとおりである。 (A)使用するチオールシリカ粒子(MPS、MPES、MPDMS)は実施例2または実施例5に記載されるように)合成した。 (B)合成したMPSシリカ粒子を、蛍光標識した蛋白と直接反応させた。 詳細な実験条件および結果は以下のとおりである。 ・実験1 種々の濃度(39.1〜10,000ng/ml)のFITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液を作製した。各濃度のFITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液5μlと粒子溶液5μlをフローサイトメーター用試験管に加え、よく混和した後、(特に反応のための時間を加えず)490μlの蒸留水で希釈しフローサイトメトリーで測定を行った。図16は、短時間でFITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液が濃度依存的に粒子に結合していることを示し、上段のグラフは、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液の濃度とその結合により粒子より検出された蛍光強度の相関であって、その縦軸は、蛍光強度であり、横軸は、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液の濃度である。また、下段のグラフは、チャートであり、抗体濃度により各ピークが濃度依存的に変化していることを示す。測定対象溶液が5μlと微量の資料に対して数十ng/mlから数μg/mlまで濃度依存的に迅速に測定することができた(下記の表に示した結果をプロットしたものが図16の上段のグラフであり、フローサイトメトリーの所見が下段である。10000 ng/mlは下図最も右の青に対応してしている)。 Ab (ng/ml) GeoMean--------------------------------------------------- 39.0625 1.59 78.125 2.09 156.25 3.59 312.5 6.43 625 20.48 1250 54.32 2500 90.31 5000 119.3810000 147.3--------------------------------------------------- ・実験2 種々の濃度(0.01〜100ng/ml)FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液を作製した。各濃度のFITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液600μlと粒子溶液5μlをフローサイトメーター用試験管に加え、よく混和した後、10分間反応させた後フローサイトメトリーで測定を行った。 図17は、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液が濃度依存的に粒子に結合していること、特にng/ml以下の濃度においてもその結合が検出できていることを示し、上段のグラフは、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液の濃度とその結合により粒子より検出された蛍光強度の相関であって、その縦軸は、蛍光強度であり、横軸は、FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液の濃度である。また、下段のグラフは、チャートであり、抗体濃度により各ピークが濃度依存的に変化しているであることを示す。(下記の表に示した結果をプロットしたものが図17の上段のグラフであり、フローサイトメトリーの所見が下段である。)Ab (ng/ml) GeoMean--------------------------------------------------- 0.01 1.81 0.03 4.16 0.1 11.71 0.3 51.59 1 178.94 3 530.67 10 1245.35 30 2033.65 100 2911.65--------------------------------------------------- ・実験3 粒子溶液5μlに抗種々の濃度(20〜10,000ng/ml)のヒツジ抗グルタチオン−S−トランスフェラーゼ抗体溶液を混合した後、5mg/mlウシ血清アルブミン水溶液 5μlを加え、ブロッキングを行った。次に25μg/ml FITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液5μlを加え、よく混和した後、(特に反応のための時間を加えず)480μlの蒸留水で希釈しフローサイトメトリーで測定を行った。 図18は、短時間でFITC標識抗ヒツジ抗体IgG溶液が抗原であるヒツジ抗グルタチオン−S−トランスフェラーゼ抗体溶液の濃度依存的に粒子に結合していることを示し、上段のグラフは、ヒツジ抗グルタチオン−S−トランスフェラーゼ抗体溶液の濃度とその結合により粒子より検出された蛍光強度の相関であって、その縦軸は、蛍光強度であり、横軸は、ヒツジ抗グルタチオン−S−トランスフェラーゼ抗体溶液の濃度である。また、下段のグラフは、チャートであり、抗体濃度により各ピークが濃度依存的に変化しているであることを示す。この実験結果は粒子上にて多段階の結合反応が量依存的に起こり、検出できたことを示している(下記の表に示した結果をプロットしたものが図18の上段のグラフであり、フローサイトメトリーの所見が下段である。)--------------------------------------------------- Ab (ng/ml) GeoMean--------------------------------------------------- 9.766 3.53 19.53125 3.75 39.0625 5.21 78.125 10.95 156.25 26.55 312.5 52.22 625 97.391250 230.322500 332.375000 393.9110000 419.14--------------------------------------------------- したがって、本発明により得られた粒子を用いて定量が可能であると解釈することができ、本発明の「ポアの無い粒子」では、有効付着表面積は単純に粒子の粒径に依存するため定量的な実験において有利であることが実証された。また、微量迅速反応系にて数十ng〜1μg/mlまでの標識抗体が検出でき、量依存性が確認できた。これまで、フローサイトメトリーでの定量はポアのある粒子を用いたものでも、未だ一般化されていない。その理由として有効付着表面積の制御の難しさのためのである。それに加えて、この従来法においては、フローサイトメトリーでの定量で必要とされる散乱光(FSC、SCC)に関して定量に適したシグナルが再現性よく得られるとの報告はこれまで行われていない。したがって、従来技術を用いた限りでは、蛍光変動のある粒子群の特定が困難であるため、正確な定量が困難であるとの欠点を解消しきれないと考えられる。フローサイトメトリーにおいてはまず散乱光で粒子群の特定を行い、その後、その粒子群の蛍光の変化を測定する、という方法が一般的である。したがって、散乱光評価が不十分なこれまでの技術では、本発明のとは対照的に、ビーズアッセイへ良好な適用が望めないことは明らかである(例えば、特許文献2においてフローサイトメトリーの従来法による結果が示されているが、粒子のシグナルは極めて広範囲に分布しており、各パラメーターの相関は認められない)。このような点に鑑みて、本発明のシリカ粒子は、ハイスループット解析のための粒子のサイズや蛍光の違いによるバーコード化に関しても利用できることを示している。 (比較例4) (本発明の粒子と市販標準ビーズとの比較) フローサイトメトリーを用いて粒子のサイズ分布を評価した。市販標準ビーズであるPolyscience社のFluoresbriteとの比較も行った。フローサイトメトリーのパラメーターは側方散乱(SSC)とした。その他の比較実験の手順・条件・プロトコルは、以下のとおりである。本発明のチオールシリカ粒子(MPS、MPES、MPDMS)は実施例2または実施例5に記載されるように)合成した。粒子の希釈を行いフローサイトメトリーFACS CaliburHGにて測定・評価した。 なお、前方散乱光ではなく側方散乱光を採用した理由は図21のデータによる。すなわち、0.25μmから6μmのビーズの直径とFSC並びにSSCの値をプロット(図21左)すると3μm以上ではFSC、SSC共サイズと相関するのに対して2μm以下(図21右)ではFSCよりむしろSSCがサイズがよく相関することが分かったことから側方散乱光を利用した。 図19(Polyscience社Fluoresbrite)、図20(本特許による粒子)における最下段の表にて、フローサイトメトリーによる測定結果(平均値FCM−GeoMean,変動係数FCM−CV)の電子顕微鏡所見(粒子直径の最小値EM−minと最大値EM−max、平均値EM−mean、サイズ収率EM−%,サイズ幅size)の結果をまとめた。 また、上段は、フローサイトメトリーの結果を示す。この結果は、粒子のSSCがそれぞれ検出されシグナルの分布がピークとして確認できること示す。(図19;緑;YG1,ピンク:YG−0.75,水色;YG−0.5,橙色;YG−0.2。図20;緑;33−2894−6,ピンク:33−2899−1,水色;33−2899−2,橙色;33−2909−3。) さらに、中段は、各粒子の電子顕微鏡像を示す。(図19;左上;YG1,右上:YG−0.75,左下;YG−0.5,右下;YG−0.2。図20;左上;33−2894−6,右上:33−2899−1,左下;33−2899−2,右下;33−2909−3。)。この顕微鏡像から、各粒子ともサイズが良好に制御されているであることがわかる。これらの使用したシリカ粒子は実施例2〜5、13〜17に記載されるように合成した。 (ビーズアッセイおよび市販標準ビーズとの比較についての考察) 上述の「ビーズアッセイへの応用の実施例および比較例「市販標準ビーズとの比較」の結果は、フローサイトメトリーによる評価と電子顕微鏡による評価の結果に若干の解離はあるものの、市販標準ビーズと本発明のビーズ共に良好なサイズ制御が確認できた。またフローサイトメトリーにおける評価において本発明の粒子は市販標準ビーズと比べほぼ良好な所見であった。 (BETによる細孔容積等の測定) 本発明のナノシリカ粒子(MPES)について、BET法を使用して、その細孔分布および比表面積の測定を行った。測定機器は、ベックマン・コールター社製 比表面積細孔分布測定装置SA−3100を使用した。細孔容積は、0.0159(m3/g)であった。細孔容積はポアが少ないほど低い。種々の可能性を考えたとしても、本発明のナノシリカ粒子の細孔容積は、少なくとも0.1(m3/g)以下である。細孔容積に関しては、粒子のサイズに影響されることは少なく、ポアの少ない粒子としての特徴づけが可能と考えられる。 (MPSとEpoSによるシリカ粒子の作製)MPS4.75μl、EpoS 6.25μl及び28重量%アンモニア水溶液455μlをそれぞれ添加混合し、高温(ヒートブロックにて99℃)で6時間反応させた。次いで、反応終了液を電子顕微鏡で観察した。その結果、ナノシリカ粒子の形成が確認された。 (MPSとMPDMSによるシリカ粒子の作製)MPS 0.59μl、MPDMS 0.59μl及び28重量%アンモニア水溶液462μlをそれぞれ添加混合し、25度で24時間反応させた。次いで、反応終了液を電子顕微鏡で観察した。その結果、ナノシリカ粒子の形成が確認された。 (MPESとMPDMSによるシリカ粒子の作製) MPES0.59μl、MPDMS0.94μl及び28重量%アンモニア水溶液451μlをそれぞれ添加混合し、25度で24時間反応させた。次いで、反応終了液を電子顕微鏡で観察した。その結果、ナノシリカ粒子の形成が確認された。 (ローダミン含有ナノシリカ粒子プローブによる細胞標識ならびに検出) 使用するシリカ粒子は実施例6に記載されるように合成した。ローダミン含有ナノシリカ粒子をマウス(Balbc/6J,9週齢、雄)に腹腔内投与を行った。投与の翌日、腹腔内の細胞を回収した。得られた細胞を蛍光顕微鏡で観察したところ図の様にローダミンの蛍光を認める細胞が観察できた。さらに腹腔内の細胞を電子顕微鏡にて観察を行ったところ図に示した通り、ナノシリカ粒子が細胞質に認められた。これらはマクロファージの貪食能を利用して蛍光ナノシリカ粒子をプローブとして細胞を標識できることを示している。また標識した細胞は蛍光顕微鏡にてその蛍光、電子顕微鏡にて粒子像として検出できる。 歯学・医学・獣医学分野の予防薬、治療薬、診断剤、診断治療両用剤等、また、分野を問わず定性試験や定量試験用の標識体あるいはマーカー等として提供かつ利用できる。 また、本発明のナノ粒子のこれまで記載した物理学的・化学的な特性に鑑みて、ナノ構造改質材、光機能コーティング材、蛍光材料、電子部品材料、磁気記録材料、研摩材料等の産業・工業材料、医薬品・化粧品材料などの用途においても本発明のナノ粒子を利用することが可能である。(a)シリカ化合物とアンモニア水溶液との混合物を作製する工程;および(b)所定の温度条件下で該シリカ化合物と該アンモニア水溶液を反応させる工程;を包含する、方法によって生成されるシリカ粒子であって、ここで、該シリカ化合物は、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)からなる群より選択される1種または数種のシリカ化合物であり、[A]工程(a)および(b)は、アンモニア水溶液が高アンモニア濃度(最終濃度25%以上)の条件を満たすように実施されるか、あるいは[B]粒径が5nm〜45nmの範囲にあるものである、シリカ粒子。前記アンモニア水溶液および温度条件は、(i)高温(80〜100℃の温度範囲);および(ii)高アンモニア濃度(最終濃度25%以上)の両方の条件を満たすように実施される、請求項1に記載のシリカ粒子。前記シリカ粒子は、(1)無孔性であること;(2)マクロポアを含まないこと;(3)球状であること;(4)20nm以上のポアを含まないこと;および(5)細孔容積が、0.1(m3/g)以下であることからなる群より選択される1つ以上の特徴を有する、請求項1または2に記載のシリカ粒子。請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ粒子を含む、シリカ粒子群。(a)シリカ化合物とアンモニア水溶液との混合物を作製する工程;および(b)所定の温度条件下で該シリカ化合物と該アンモニア水溶液を反応させる工程;を包含する、方法によって生成されるシリカ粒子群であって、ここで、該シリカ化合物は、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)からなる群より選択される1種または数種のシリカ化合物であり、[A]工程(a)および(b)は、アンモニア水溶液が高アンモニア濃度(最終濃度25%以上)の条件を満たすように実施されるか、あるいは[B]粒径が5nm〜45nmの範囲にあるものである、シリカ粒子群。前記アンモニア水溶液および温度条件は、(i)高温(80〜100℃の温度範囲);および(ii)高アンモニア濃度(最終濃度25%以上)の両方の条件を満たすように実施される、請求項5に記載のシリカ粒子群。前記シリカ粒子群は、粒径分布幅が平均粒径の±25%以内にある狭域分布性であることとの特徴を有する、請求項4〜6のいずれか1項に記載のシリカ粒子群。機能性物質を表層または内部に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ粒子であって、該機能性物質が、蛍光性物質、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、糖鎖およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、シリカ粒子。該機能性物質が、蛍光性物質である場合、該蛍光性物質は、ローダミンレッド、フルオロセイン、ヘキサン酸−6−(テトラメチルローダミン−5−カルボキサミド)、ヘキサン酸−5−(テトラメチルローダミン−5−カルボキサミド)およびトリスジクロロツテニウム(II)ヘキサハイドレートからなる群より選択され、該蛍光性物質は、単独、またはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、イソチオシアネート(ITC)およびマレイミドから選択される化合物と結合している形態で内部に含まれるかまたは表層に存在する、請求項8に記載のシリカ粒子。各シリカ粒子が機能性物質を表層または内部に含む、請求項4〜7のいずれか1項に記載のシリカ粒子群であって、該機能性物質が、蛍光性物質、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、糖鎖およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、シリカ粒子群。該機能性物質が、蛍光性物質である場合、該蛍光性物質は、ローダミンレッド、フルオロセイン、ヘキサン酸−6−(テトラメチルローダミン−5−カルボキサミド)、ヘキサン酸−5−(テトラメチルローダミン−5−カルボキサミド)およびトリスジクロロツテニウム(II)ヘキサハイドレートからなる群より選択され、該蛍光性物質は、単独、またはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、イソチオシアネート(ITC)およびマレイミドから選択される化合物と結合している形態で内部に含まれるかまたは表層に存在する、請求項10に記載のシリカ粒子群。フローサイトメトリー、サイズマーカー、ビーズアッセイおよびプローブに使用される、請求項1〜3、または8〜9のいずれかに記載のシリカ粒子、または請求項4〜7または10〜11に記載のシリカ粒子群を含む、標準マーカー。請求項1〜3、または8〜9のいずれかに記載のシリカ粒子、または請求項4〜7または10〜11に記載のシリカ粒子群を含む、核酸または蛋白質の合成または細胞培養の用途で使用される、支持体。シリカ粒子またはシリカ粒子群の作製方法であって、(a)シリカ化合物とアンモニア水溶液との混合物を作製する工程;および(b)所定の温度条件下で該シリカ化合物と該アンモニア水溶液を反応させる工程;を包含する、方法であり、ここで、該シリカ化合物は、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPES)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン(EpoPS)、チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(TCPS)およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(AcPS)からなる群より選択される1種または数種のシリカ化合物であり、工程(a)および(b)は、アンモニア水溶液が高アンモニア濃度(最終濃度25%以上)の条件を満たすように実施される、方法。前記アンモニア水溶液および温度条件は、(i)高温(80〜100℃の温度範囲);および(ii)高アンモニア濃度(最終濃度25%以上)の両方の条件を満たすように実施される、請求項14に記載の方法。前記工程(b)がイソプロパノール存在下で実施される、請求項14〜15のいずれか1項に記載の方法。