タイトル: | 特許公報(B2)_コレステロールアミン導入ポリ−γ−グルタミン酸誘導体 |
出願番号: | 2008514520 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C08G 69/48,A61K 47/42 |
宇山 浩 小山内 靖 成 文喜 JP 5331967 特許公報(B2) 20130809 2008514520 20070509 コレステロールアミン導入ポリ−γ−グルタミン酸誘導体 国立大学法人大阪大学 504176911 株式会社バイオリーダース 505352769 山本 秀策 100078282 森下 夏樹 100113413 安村 高明 100062409 宇山 浩 小山内 靖 成 文喜 JP 2006130885 20060509 20131030 C08G 69/48 20060101AFI20131010BHJP A61K 47/42 20060101ALI20131010BHJP JPC08G69/48A61K47/42 C08G69/00−69/50 A61K8/00−8/99 A61Q1/00−90/00 国際公開第2006/001567(WO,A1) 特開2004−527585(JP,A) 国際公開第2005/033181(WO,A1) 特開昭63−174937(JP,A) 特開平06−256220(JP,A) 8 JP2007059625 20070509 WO2007129746 20071115 22 20100510 井上 政志 本発明は、ポリ−γ−グルタミン酸の誘導体に関する。より具体的には、コレステロール類が導入されたポリ−γ−グルタミン酸誘導体に関する。 生分解性、生体適合性に優れ、かつ保湿性を有するポリ−γ−グルタミン酸は、化粧品、食品等の材料として注目されている。以下、本明細書中において、ポリ−γ−グルタミン酸を「PGA」とも記載する。 特開2002−233391号公報(特許文献1)は、高分子量のPGAを生産するバチルス属菌株を開示する。 国際公開WO2004−7593号公報(特許文献2)は、平均分子量が5,000kDa以上のPGAを開示する。 PGAは、グルタミン酸から構成されているという特徴から、生体適合性が高く、バイオテクノロジーの様々な材料として使用する可能性を有している。このため、バイオテクノロジーの様々な用途において、様々な生物学的材料(例えば、医薬品)と混合して使用することが望まれる。また、PGAを微粒子の形態に加工できれば、近年研究されているナノテクノロジーの分野の様々な用途においてもPGAの応用が可能になる。 しかし、PGAは、その分子構造中にカルボシキシル基を多数有するために、極めて親水性が高いという特徴を有する。この高すぎる親水性のために、微粒子の形態に加工できないという欠点を有する。疎水性の材料と混合することが難しい。これらの欠点のために、PGAを医薬品のキャリアとして使うことが困難であった。また、ナノテクノロジーの分野における様々な用途への応用も困難であった。 また、Ishi−iら(非特許文献1)は、ポルフィリン−コレステロール誘導体を合成する方法を開示し、コレステロールクロロホルメートにジアミンを反応させることで、1級アミンをコレステロールに導入する方法を開示する。 PGAに疎水性分子としてフェニルアラニンを導入したPGA誘導体がAkagiらにより開示されている(非特許文献2)。しかし、フェニルアラニンは疎水性がさほど強くないために、モノマーユニット比で50%以上のフェニルアラニンを導入しなければPGAを微粒子化させることができない。多量の疎水性分子を親水性高分子であるPGAに導入して得られた微粒子は、PGAがもともと有する性能を充分に発揮することが困難であり、また、導入された多量の疎水性基どうしの相互作用のために、密にパッキングされすぎる可能性がある。 また、創薬分野においては、高い薬効性を示すものの疎水性が高すぎるために水溶化が困難な薬剤を水溶化する技術が求められている。この際も前述の適度な疎水性置換基を有する生態適合性に優れる親水性高分子が求められているが、PGAは上述したとおり親水性が高すぎるためにこの用途に使用できない場合が多い。 疎水性の薬剤のための担体については、例えば、界面活性剤を用いる技術などが知られている(特許文献3)。特開2002−233391号公報国際公開WO2004−7593号公報特表平10−503750号公報Langmuir,2001,17,pp.5825−5833,[60]Fullerene Can Reinforce the Organogel Structure of Porphyrin−Appended Cholesterol Derivatives: Novel Odd−Even Effect of the (CH2)n Spacer on the Organogel Stability、Ishi−iらBiomacromolecules,2006,7,pp.297−303,Hydrolytic and Enzymatic Degradation of Nanoparticles Based on Amphiphilic Poly(γ−glutamic acid)−graft−L−Phenylalanine Copoly mers,Akagiら 本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、生体適合性が高く、ペプチド骨格を有するPGAの親水性を制御して微粒子形成能を有するPGA誘導体を提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、誘導体前駆体として得た一級アミノ基を有するコレステロールアミンなどのコレステロール類の誘導体をPGAに微量導入することにより適度な親水性・疎水性のバランスを有し、微粒子形成能を有するPGA誘導体を提供することを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。 具体的には、本発明によれば、以下のPGA誘導体などが提供される。 (1) PGAにリンカーを介してコレステロール類が結合したPGA誘導体。 (2) 以下の式1で表される、上記項1のPGA誘導体: 式1: R1−NH−R3−NHC(=O)−O−R2ここで、R1は、PGAの残基を示し、−O−R2は、コレステロール類の残基を示し、R3は、アルキレンを示す。 (3) 前記PGAの重量平均分子量が、100万以上である、上記項1に記載のPGA誘導体。 (4) 前記PGAの側鎖カルボシキシル基のうち、0.1%〜10%にコレステロール類が結合している、上記項1に記載のPGA誘導体。 (5) 上記項1のPGA誘導体からなる平均粒径50nm〜1000nmの微粒子。 (6) PGAにコレステロール類を導入する工程を包含する、上記項5に記載の微粒子の製造方法。 (7) 上記項1に記載のPGA誘導体からなる、変性状態のタンパク質をリフォールディングするための分子シャペロン。 (8) 上記項1に記載のPGA誘導体からなる、凝集状態の変性タンパク質をリフォールディングするための分子シャペロン。 (9) 上記項1に記載のPGA誘導体からなる、徐放性担体。 本発明によれば、PGAを微粒子の形態に加工することが可能になる。具体的には、僅かな量のコレステロール類が導入されたPGA誘導体から、ナノテクノロジーに応用可能な微粒子が提供される。このため、バイオテクノロジーの様々な用途において、様々な生物学的材料(例えば、医薬品)と混合して使用することが可能になる。すなわち、医薬品のキャリアなどとして使用することが可能となる。また、近年研究されているナノテクノロジーの分野の様々な用途においてもPGAの応用が可能になる。粒径測定結果を示す。凡例はCHAmの導入率を表す。粒径安定性の測定結果を示す。微粒子が長期間にわたって安定に存在することが示されている。誘導体水溶液の粘度測定結果を示す。高粘度領域はゲル化していることが示されている。得られた粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)の画像を示す。数百nmの大きさの粒子が確認されている。左の画像の下に示されている直線は5μmを示す。右の画像の下に示されている直線は2μmを示す。本発明のPGA誘導体の徐放性評価結果を示す。四角は塩化カルシウムを添加しない実験の結果を示す。丸は3.2mMの塩化カルシウムを3時間の時点で添加した実験の結果を示す。三角は20mMの塩化カルシウムを3時間の時点で添加した実験の結果を示す。本発明のPGA誘導体の変性した酵素に対するリフォールディング能を示す。四角はPGANaを用いた実験の結果を示す。丸は実施例5の誘導体を用いた実験(実施例14)の結果を示す。三角は実施例8の誘導体を用いた実験(実施例15)の結果を示す。本発明のPGA誘導体の凝集した酵素に対するリフォールディング能を示す。白い四角は実施例8の誘導体を用いた実験(実施例16)の結果を示す。三角は比較のために、凝集していない酵素を用いた実験(実施例15)の結果を示す。 以下、本発明を詳細に説明する。 (PGA) ポリ−γ−グルタミン酸(PGA)は、D,L−グルタミン酸のアミノ基およびγ位のカルボシキシル基が重合反応して得られる化合物をいう。PGAは、また、その塩として本発明に用いることもできる。例えば、PGAのナトリウム塩が好適に使用可能である。 PGAの分子量は、特に限定されない。ただし、物性などの点から、重量平均分子量1万以上であることが好ましく、3万以上であることがより好ましい。さらに好ましくは、5万以上である。高分子量のPGAが所望される実施態様では重量平均分子量10万以上、100万以上、または200万以上の高分子量のPGAも使用可能である。また、合成の困難性などの点で、重量平均分子量1300万以下であることが好ましく、1000万以下であることがより好ましい。 例えば、上記特許文献1(特開2002−233391号公報)には、重量平均分子量約1300万のPGAが記載されており、このPGAを好適に本発明に使用することができる。 また、上記特許文献1の従来の技術欄に記載されているように、従来から、分子量10万〜200万のPGAが汎用されており、この分子量範囲のPGAを本発明に用いることも可能である。 本発明に用いるPGAは、任意の公知の製造方法で製造され得る。例えば、上記特許文献1に記載された方法などが使用可能である。 (コレステロール類) 本発明においてコレステロール類とは、無置換のコレステロールの他に、コレステロール分子中のいずれかの炭素に結合している水素(すなわち、水酸基以外の水素)が置換基により置換された化合物を含む。この置換基としては、例えば、炭素数1〜5程度のアルキル基などが挙げられる。また、コレステロールの不飽和結合に水素添加されたものもコレステロール類に含まれる。 また、コレステロールに類似した化学構造を有し、コレステロールに類似した化合物として知られる化合物も本発明におけるコレステロール類に含まれる。このような置換された化合物としては、例えば、植物ステロール、植物スタノール、ビタミンD群、プロビタミンなどが挙げられる。 植物ステロールの例としては、例えば、βシトステロールが挙げられる。 植物スタノールの例としては、例えば、βシトスタノールが挙げられる。 ビタミンD群の例としては、例えば、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール(活性化ビタミンD)が挙げられる。 プロビタミンの例としては、例えば、エルゴステロール、7−デヒドロコレステロールが挙げられる。 コレステロールはヒトの体内にも存在する生体適合性が極めて高い疎水性分子であるが、PGAの有するカルボキシル基と高い反応性を示す一級求核置換基を持たないという特徴を有する。上述した置換基を有するコレステロール類も、PGAの有するカルボキシル基と高い反応性を示す一級求核置換基を持たないという特徴を有する。 (リンカー) 本発明において、コレステロール類は、リンカーを介してPGAの側鎖カルボシキシル基に結合する。 すなわち、PGA誘導体は、以下の式2で示される。 式2: R1−L−R2 ここで、R1は、PGAの残基を示し、Lはリンカーを示し、R2は、コレステロール類の残基を示す。 リンカーLは、PGA誘導体中のPGAとコレステロール類とを連結する2価の基である。Lの分子量は、好ましくは500以下であり、より好ましくは300以下である。また、好ましくは50以上である。Lは、その一端がPGAの側鎖カルボシキシル基の残基と結合しており、他方の端がコレステロールの水酸基の残基と結合している。 リンカーLは、好ましくは、以下の式3の構造をとり得る。この場合、PGA誘導体は、式4で示される。 式3: −NH−R3−NHC(=O)− 式4: R1−NH−R3−NHC(=O)−O−R2 ここで、R3は、好ましくは、アルキレンであり、このアルキレンにおいて炭素数は好ましくは1から10以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは3以下である。 上記式3の「C(=O)−O−」の部分については、例えば、コレステロールクロロホルメートをPGA誘導体を製造するための原料として使用すれば、そのクロロホルメートの部分から当該「C(=O)−O−」の部分が形成される。 上記式3で示されるリンカーの「−NH−R3−NH」の部分を形成するために使用される原料としては、好ましくは、例えば、ジアミノ化合物が使用可能である。 本願明細書において、ジアミノ化合物とは、アミノ基を2つ有する化合物を言う。アミノ基は1級アミノ基(−NH2)であってもよく、2級アミノ基(−NH−)であってもよい。1級アミノ基が好ましい。 好ましくは、ジアミノ化合物は、アルキレンジアミンである。 アルキレンジアミンにおける炭素数は特に限定されない。好ましくは、2以上である。また、好ましくは10以下であり、より好ましくは、8以下であり、さらに好ましくは、6以下である。またアルキレンジアミン中のアルキレン基は、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。直鎖であることが好ましい。 具体的には、好ましいアルキレンジアミンとしては、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ヘプタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。 また、アルキレンジアミン以外のジアミノ化合物として、例えば、芳香族ジアミンが使用可能である。例えば、1,2−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)エーテルなどが使用可能である。 (合成方法) 本発明の化合物の合成方法は、特に限定されないが、好ましい実施態様においては、まず、公知の方法により、コレステロール類のクロロホルメートを得る。例えば、コレステロール類に大過剰のホスゲンを反応させるなどの方法により、コレステロール類のクロロホルメートを得ることができる。また、コレステロールクロロホルメートなどは試薬として市販されているので、その市販されている試薬を用いてもよい。次いで、コレステロール類のクロロホルメートとジアミノ化合物とを混合して、コレステロール類のクロロホルメートにジアミノ化合物の一つのアミノ基を反応させて、脱塩酸反応を行い、コレステロールアミンを形成する。次いでコレステロールアミンと、PGAとを反応させて、PGAのカルボシキシル基にコレステロールアミンを結合させることにより、コレステロール類が導入されたPGAが得られる。以下にその反応スキームを示す。 上記コレステロール誘導体の構造式において、xが2の場合には、そのPGAに結合する部分の構造が1,2−エチレンジアミン由来の構造となり、xが6の場合、そのPGAに結合する部分の構造が1,6−ヘキサンジアミン由来の構造となる。 (コレステロール類のクロロホルメートとジアミンとの反応) コレステロール類のクロロホルメートとジアミンとを反応させてコレステロールアミンを製造する方法としては、コレステロール類のクロロホルメートと、アミンとを結合させる方法として公知の方法を使用することができる。例えば、Langmuir 2001,17,5825−5833に記載されている方法を用いることができる。この方法では、コレステロール類からコレステロールクロロホルメートを調製しておき、これにジアミンを反応させてコレステロールアミンを得ることが可能である。 ここで、ポリアミンの使用量は、おおよそ、コレステロール類1モルに対してポリアミン1モルとなるように配合されることが好ましい。コレステロール類1モルに対して、用いるポリアミンが0.5モル以上配合されることが好ましく、0.8モル以上がより好ましい。また、コレステロール類1モルに対して、用いるポリアミンが2モル以下となることが好ましく、1.5モル以下がより好ましく、1.2モル以下がさらに好ましい。 コレステロール類のクロロホルメートとジアミンとの反応には、特に触媒を必要としないが、必要に応じて、クロロホルメートとアミンとの反応に使用できることが知られている触媒を用いることが可能である。 なお、本願明細書においてコレステロール類のクロロホルメートとジアミンとの反応により得られる、コレステロール類とジアミンとが結合した化合物をコレステロールアミンともいう。 (コレステロールアミンとPGAとの反応) コレステロールアミンとPGAとの反応の際の溶媒としては、例えば、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフランなどが使用可能である。1つの好ましい実施態様では、PGAをジメチルスルフォキシドに分散または溶解し、コレステロールアミンをテトラヒドロフランに分散または溶解して用いることが可能である。PGAの分子量が高い場合には、溶媒に溶け難い傾向があるが、溶媒に完全に溶解していない状態、すなわち、部分的に溶解している状態またはPGAが分散している状態でも反応を行うことは可能である。 コレステロールアミンとPGAとの反応には、必要に応じて、カルボン酸とアミンとの反応に使用できることが知られている脱水剤を用いることが可能である。具体的には例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などが好ましく使用可能である。また、水溶性カルボジイミドも好ましく使用可能である。水溶性カルボジイミドの具体例としては、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)などが挙げられる。 CDIの使用量としては、コレステロールアミン1モルに対して、1モル以上とすることが好ましく、2モル以上とすることが好ましく、3モル以上とすることがより好ましい。また、コレステロールアミン1モルに対して、10モル以下とすることが好ましく、8モル以下とすることがより好ましく、6モル以下とすることがさらに好ましい。 また、コレステロールアミンとPGAとの反応の際の触媒としては、必要に応じて、カルボン酸とアミンとの反応に使用できることが知られている触媒を用いることが可能である。 反応時の温度は特に限定されない。室温でもよく、加温してもよい。ただし、温度が低すぎる場合には、反応に極めて長時間を要するので、室温または室温以上で行うことが好ましい。具体的には、好ましくは、10℃以上であり、より好ましくは、15℃以上であり、さらに好ましくは、20℃以上である。また、好ましくは、100℃以下であり、より好ましくは、50℃以下である。高すぎる場合には、PGAが分解しやすい。従って室温付近で行うことが好ましい。 反応時間は、好ましくは、30分間以上であり、より好ましくは、1時間以上であり、さらに好ましくは、2時間以上であり、いっそう好ましくは、6時間以上であり、特に好ましくは、12時間以上である。ただし、プロセス全体の長さを短縮するためには、好ましくは、7日以下であり、より好ましくは、4日以下であり、さらに好ましくは、2日以下である。 反応が完了した後、必要に応じて溶媒の除去および精製を行うことにより、本発明のPGA誘導体が得られる。 (生成物) 上述した方法により得られたPGA誘導体は、PGAのカルボシキル基のうちの一部にコレステロールアミンが共有結合した構造を有する。PGAのカルボシキル基のすべてにコレステロールアミンを結合させることも可能であるが、一部のみに結合させることが、PGAの性能を損なわないという点で有効である。導入するコレステロールアミンのモル数は、コレステロールアミンとPGAとを反応させる際の配合量および反応時間などを調整することにより、制御することができる。導入するコレステロールアミンのモル数は、その用途に応じて適宜設計され得る。反応前のPGAの側鎖カルボシキシル基のモル数に対して、0.001%以上が好ましく、0.01%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましく、1%以上が特に好ましい。また、20%以下とすることが好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下がいっそう好ましく、3%以下が特に好ましい。導入される量が少なすぎる場合には、得られるPGA誘導体が微粒子を形成しにくい。導入される量が多すぎる場合には、得られるPGA誘導体におけるPGAとしての性能が失われやすい。 (微粒子) 上記反応により得られる生成物を水中に入れ、必要に応じて超音波をあてるなどの処理により分散すれば微粒子が得られる。 微粒子の粒径は、以下の実施例で説明するとおり、動的光散乱検出器(DLS)などによって測定できる。例えば、超音波をかけながら動的光散乱検出器による測定を行えば、約2分程度で測定データがほぼ定常状態となるので、その時間での値を粒径のデータとすることができる。粒径としては、平均粒径が、10000nm以下であることが好ましく、5000nm以下であることがより好ましく、1000nm以下であることがさらに好ましい。比較的小さい粒径が所望される実施態様では、700nm以下または500nm以下であってもよい。また、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。比較的大きい粒径が所望される実施態様では、100nm以上または200nm以上とすることも可能である。粒径が大きすぎる場合には、分散安定性が悪く、更にナノ粒子としての特性が得られにくい。また、粒径が小さすぎるものについては、製造条件の制御が容易でなくなる傾向がある。 具体的には、例えば、PGAの側鎖カルボシキシル基の1モルのうちにコレステロール類を0.01〜0.03モル(すなわち、1〜3%)導入したPGA誘導体において、平均粒径が約300〜400nmの粒子が得られる。 (用途) 本発明のPGA誘導体は、幅広い分野における応用が期待される。すなわち、PGAの生体適合性が維持されたまま親水性が制御されるので、様々な医薬品のキャリアとして使用することが可能となる。また、微粒子を形成することができるので、ナノテクノロジーの分野における様々な用途(例えば、DDS担体や細胞の足場材料)への応用も可能になる。 (徐放性担体) 本発明のPGA誘導体は、薬剤の徐放性担体(例えば、DDS担体)として使用することができる。この担体は、薬学的に有効な成分と混合されて徐放性薬剤組成物を形成できる。 両親媒性分子からなるナノ粒子は内部に疎水性薬剤を内包することが可能である。このため、両親媒性分子からなるナノ粒子はDDS担体への利用が期待されている。本発明のPGA誘導体も薬剤の徐放性担体として有効である。すなわち、本発明のPGA誘導体を薬学的に有効な成分と組み合わせることにより、徐放性薬学的組成物を得ることができる。本発明のPGA誘導体は、例えば、ステロイドを出発物質とした生合成経路より得られるビタミンD3(以下、「VD」と略す)の徐放性単体として有効である。その他、本発明のPGA誘導体を徐放性担体として用いる場合、その担体と組み合わせる薬剤としては、疎水性薬剤が好ましい。 疎水性薬剤とは、水に溶解しないか、わずかに溶解するだけである薬剤をいう。例えば、溶解度が5mg/ml以下の薬剤に本発明は有用であり、さらには溶解度が1mg/ml以下の薬剤にも本発明は有用である。溶解度に下限はないが、例えば、溶解度が0.01mg/ml以上であってもよい。 従来公知の任意の疎水性薬剤を本発明に使用することができる。例えば、特表平10−503750に例示されている疎水性薬剤を使用することができる。具体的には、以下の薬剤を挙げることができる。 鎮痛薬ならびに抗炎症薬:アロキシプリン、オーラノフイン、アザプロパゾン、ベノリレート、ジフルニサール、エトドラック、フェンブフェン、フェノプロフェンカルシム、フルールビプロフェン、イブプロフェン、インドメサシン、ケトプロフェン、メクロフェナミン酸、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダック。駆虫薬:アルベンダゾール、ジフェニウムハイドロナトエート、カムベンダゾール、ジクロロフェン、イバーメクチン、メベンダゾール、オキサムニキン、オクスフェンダゾール、オキサンタールエムボネート、プラジクワンテル、ピランテルエムボネート、チアベンダゾール。抗不整脈剤:ミオダロン塩酸塩、ジソピラミド、フレカイニドアセテート、キニジンスルフェート。抗菌剤:ベネタミンペニシリン、シノキサシン、シプロフロキサシン研鑽塩、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、イミペネム、ナリジキシン酸、ニトロフラントイン、リファンピシン、スピラマイシン、スルファベンザミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメタキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、トリメトプリム。抗凝固剤:ジクマロール、ジピリダモール、ニクマロン、フェニンジオン。抗うつ薬:アモキサピン、マプロチリン塩酸塩、ミアンセリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、トラゾドン塩酸塩、トリミプラミンマレエート。抗糖尿病薬:アセトヘキアミド、クロロプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、トラザミド、トルブタミド。抗てんかん剤:ベクラミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトトイン、メトイン、メトスキシミド、メチルフェノバルビトン、オキシカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスキシミド、プリモドン、スルチアム、ヴァルプロン酸。抗真菌剤:アンフォテリシン、ブトコナゾールナイトレート、クロトリマゾール、エコナゾールナイトレート、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ニスタチン、スルコナゾールナイトレート、テルビナフイン塩酸塩、テルコナゾール、チオコナゾール、ウンデシレン酸。抗通風薬:アロプリノール、プロベネシド、スルフインピラゾン。抗高血圧剤:アムロジピン、ベニジピン、ダロジピン、ジリタゼム塩酸塩、ジアゾキシド、フェロジピン、グアナベンズアセテート、イスラジピン、ミノキシジル、ニカルジピン塩酸塩、ニフェジピン、ニモジピン、フェノキシベンザミン塩酸塩、プラゾシン塩酸塩、レセルピン、テラゾシン塩酸塩。抗マラリア薬:アモジアキン、クロロキン、クロルプロガニル塩酸塩、ハロファントリン塩酸塩、メフロキン塩酸塩、プロガニル塩酸塩、ピリメタミン、キニン硫酸塩。抗偏頭痛薬:ジヒドロエルゴタミンメシレート、エルゴタミンタートレート、メチセルギドマレエート、ピゾチフェンマレエート、スマトリプタンサクシネート。抗ムスカリン薬:アトロピン、ベンズヘキソール塩酸塩、ビペリデン、エトプロパジン塩酸塩、ヒオスシアミン、メペンゾレートブロマイド、オキシフェンシルシミン塩酸塩、トロピカミド。抗腫瘍薬および免疫抑制剤:アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ブスルファン、クロアムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトテーン、ミトザントローン、プロカルバジン塩酸塩、タモキシフェンサイトレート、テストラクトン、パクリタキセル。抗原虫剤:ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキネート、ジヨードヒドロキシキノロン、ジロキサニドフロエート、ジニトルミド、フルゾリドン、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾール、チニダゾール。抗甲状腺薬:カルビマゾール、プロピルチオウラシル。不安寛解剤、鎮静剤、催眠薬および神経弛緩剤:アルプラゾラム、アミロバルビトン、バルビトン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロムペリドール、ブロチゾラム、ブトバルビトン、カルブロマール、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、クロルプロマジン、クロバザム、クロチアゼパム、クロザピン、ジアゼパム、ドロペリドール、エチナメート、フルナミソン、フルニトラゼパム、フルオプロマジン、フルペンチキソールデカノエート、フルフェナジンデカノエート、フルラゼパム、ハロペリドール、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メプロバメート、メタクワロン、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、ペントバルビトン、ペルフェナジンピモジド、プロクロルペラジン、スルピリド、テマゼパム、チオリダジン、トリアゾラム、ゾピクロン。β−ブロッカー:アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オキシプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール。強心変力剤:アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、エノキシモン、ラナトシド、メデイゴキシン。副腎皮質ステロイド:ベクロメタソン、ベタメタソン、ブデソニド、コルチソンアセテート、デソキシメタソン、デキサメタソン、フルドロコルチソンアセテート、フルニソリド、フルコルトロン、フルチカソンプロピオネート、ヒドロコルチソン、メチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニソン、トリアムシノロン。利尿剤:アセタゾラミド、アミロリド、ベンドロフルアジド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルサリドン、エタクリン酸、フルセミド、メトラゾン、スピロノラクトン、トリアムテレン。抗パーキンソン病薬:ブロモクリプチンメシレート、リスリドマレエート。胃腸薬:ビサコヂル、シメチヂン、シサプリド、ジフェノキシレート塩酸塩、ドムペリドン、ファモチヂン、ロペラミド、メサラジン、ニザチヂン、オメプラゾール、オンダンセトロン塩酸塩、ラニチヂン塩酸塩、スルファサラジン。ヒスタミンHレセプター拮抗剤:アクリヴァスチン、アステミゾール、シンナリジン、サイクリジン、シプロヘプタジン塩酸塩、ジメンヒドリネート、フルナリジン塩酸塩、ロランタジン、メクロジン塩酸塩、オキサトミド、テルフェナジン。脂質調節剤:ベザフィブレート、クロフィブレート、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、プロブコル。硝酸塩および抗狭心剤:硝酸アミル、グリセリルトリナイトレート、イソソルビドジナイトレート、イソソルビドモノナイトレート、ペンタエリスリトールテトラナイトレート。栄養剤:ベータカロチン。脂溶性ビタミン:ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK。オピオイド鎮痛剤:コデイン、デキストロプロピオキシフェン、ジアモルフィン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、メサドン、モルフィネ、ナルブフィン、ペンタゾシン。性ホルモン剤:クロミフェンサイトレート、ダナゾール、エチニロエストラジオール、メドロキシプロゲステロンアセテート、メストラノール、メチルテストステロン、ノレシステロン、ノルゲストレル、エストラジオール、共役エストロゲン、プロゲステロン、スタノゾロール、スチボエストロール、テストステロン、チボロン。興奮剤:アンフェタミン、デキサムフェタミン、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、メジンドール。 薬学的組成物中において、薬学的に有効な成分の配合量は、1つの実施形態では、0.0001重量%以上であり、好ましくは0.001重量%以上であり、より好ましくは、0.01重量%以上であり、さらに好ましくは、0.1重量%以上であり、大量に配合されることが望まれる実施形態では、例えば、1重量%以上である。また、1つの実施形態では、50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは、10重量%以下であり、少量を配合することが望まれる実施形態では、例えば、5重量%以下である。必要に応じて、1重量%以下としてもよい。 薬学的組成物中において、本発明のPGA誘導体の配合量は、1つの実施形態では、1重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは、30重量%以上であり、さらに好ましくは、50重量%以上であり、大量に配合されることが望まれる実施形態では、例えば、70重量%以上とすることも可能であり、80重量%以上とすることも可能であり、さらには90重量%以上とすることも可能である。また、1つの実施形態では、99重量%以下であり、好ましくは95重量%以下であり、より好ましくは、90重量%以下であり、比較的少量を配合することが望まれる実施形態では、例えば、80重量%以下とすることも可能であり、70重量%以下とすることも可能であり、60重量%以下とすることも可能であり、50重量%以下とすることも可能である。必要に応じて、1%以下としてもよい。 薬学的組成物は、本発明のPGA誘導体および薬学的に有効な成分のみから構成されてもよく、必要に応じて、他の添加剤等をさらに含んでも良い。薬学的組成物に添加され得る他の添加剤としては、本発明のPGA誘導体以外の担体、着色剤等が挙げられる。 薬学的組成物の投与形態としては、任意の形態とすることができる。固体の形態が好ましい。例えば、錠剤、カプセル、粉末等の形態が可能である。また、液体の形態として用いることも可能である。 (分子シャペロン) 本発明のPGA誘導体は、変性したタンパク質を正しい立体構造にフォールディングさせる分子シャペロンとして使用することができる。ここで、「変性」とは、熱などの物理的要因による変性および変性剤などの化学的要因による変性を含む。また、正しい立体構造にフォールディングさせることをリフォールディングともいう。 本発明のPGA誘導体は、凝集していない状態(溶液状態)の変性タンパク質をリフォールディングさせる分子シャペロンとして使用することも可能であり、凝集状態の変性タンパク質をリフォールディングさせる分子シャペロンとして使用することも可能である。すなわち、本発明のPGA誘導体は、変性状態のタンパク質のリフォールディング剤として作用することも可能であり、そして、凝集状態の変性タンパク質のリフォールディング剤として作用することも可能である。 本発明のPGA誘導体を分子シャペロンとして使用する場合、タンパク質の種類は特に限定されない。生物学的な機能を発揮するタンパク質に対して本発明は有用である。特に、所定の立体構造において所定の機能を発揮するが、その立体構造が変化した場合にその機能を発揮できなくなるタンパク質に対して、本発明のPGA誘導体は有効である。このようなタンパク質の種類としては、酵素、タンパク質医薬(サイトカイン、各種成長因子、抗原タンパク質など)などが好ましい。 タンパク質の分子量は、分子量として1000以上であることが好ましく、3000以上であることがより好ましい。1つの実施形態では、1万以上とすることもできる。また、1000万以下であることが好ましく、500万以下であることがより好ましい。1つの実施形態では、100万以下とすることもできる。 上記酵素としては、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素などが挙げられる。酸化還元酵素としては、グルコースオキシダーゼ、カタラーゼ、リポキシゲナーゼなどが挙げられる。転移酵素としては、アミノ基転移酵素、糖転移酵素、DNAポリメラーゼ、ホスホリラーゼなどが挙げられる。加水分解酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、リゾチームなどが挙げられる。脱離酵素としては、アルギン酸リアーゼ、炭酸脱水素酵素、クエン酸シンターゼなどが挙げられる。異性化酵素としては、キシロースイソメラーゼ、ホスホグルコムターゼなどが挙げられる。合成酵素としては、DNAリガーゼ、グルタミン合成酵素などが挙げられる。 上記サイトカインとしては、インターロイキン、インターフェロン、リンホトキシン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子などが挙げられる。 上記成長因子としては、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、血小板由来成長因子(PDGF)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFまたはFGF2)、肝細胞増殖因子(HGF)などが挙げられる。 上記抗原タンパク質としては、各種腫瘍関連タンパク質、各種感染症抗原タンパク質(インフルエンザ、鳥インフルエンザ、エイズ、腸チフス、赤痢、コレラなど)などが挙げられる。 本発明のPGA誘導体を分子シャペロンとして用いる場合、そのリフォールディングの方法は、例えば、以下のように行うことができる。 変性されたタンパク質(例えば、酵素)をPGA誘導体に接触させる。例えば、PGA誘導体の溶液を調製する。別途、変性されたタンパク質の溶液を調製する。PGA誘導体溶液と、変性タンパク質溶液とを混合して、PGA誘導体とタンパク質との複合体を調製する。PGA誘導体とタンパク質との複合体が形成すると、タンパク質の凝集を抑制することができる。 変性されたタンパク質が凝集体の状態であってその溶液を調製することが困難である場合には、溶液を調製することなく、その凝集体にPGA誘導体溶液を添加しても良い。 PGA誘導体とタンパク質との複合体からPGA誘導体を除去することにより、リフォールディングされたタンパク質が得られる。PGA誘導体とタンパク質との複合体からPGA誘導体を除去する方法としては、例えば、シクロデキストリン(例えば、α−CD、β−CD、γ−CD)をPGA誘導体とタンパク質との複合体に添加する方法を用いれば、コレステロール基のパッキングが解消され、リフォールディングされたタンパク質が放出される。 以下に、コレステロール誘導体をPGAに導入する実施例を説明する。 (コレステロール誘導体の調製) コレステロール誘導体は、以下の一般式1で示される。(一般式1) 上記一般式1においてコレステロール誘導体の調製は、Langmuir 2001,17,5825−5833に記載の方法に従って、以下のとおりに行った。 100℃で1時間乾燥させたモレキュラーシーブ3A(50g)をトルエン(500mL)に加え、一晩放置することで脱水トルエンを作製した。エチレンジアミン(16.7mL,250mmol)を脱水トルエン(250mL)に溶かして三口フラスコに入れ、容器を窒素雰囲気下氷浴で0℃に保った。コレステロールクロロホルメート(2.25g,5mmol)を脱水トルエン(50mL)に溶かし、滴下漏斗に入れ、三口フラスコの上に設置した上で、反応容器を0℃窒素雰囲気下に保ったまま撹拌し、コレステロールクロロホルメート溶液を10分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま室温に戻して16時間反応させた。反応終了後、溶液を分液漏斗に移し、脱イオン水を用いて原料のエチレンジアミンを十分に抽出した上で、有機(トルエン)層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。得られた有機層をエバポレーターで減圧濃縮することで固体状の粗生成物を得た後、ジクロロメタン(20mL)とメタノール(20mL)の混合溶媒で洗浄した。生じた懸濁液をろ過することで不溶のジカルバメート(二置換)を除去し、ろ液を再びエバポレーターにより減圧濃縮することで目的生成物(一置換)である白色固体を得た(収率70%)。 (PGAの調製) 国際公開WO2004−7593号公報に記載の方法に従い、分子量約5万のPGAを得た。これを以下の実験に用いた。 (実施例1) 10mLのジメチルスルフォキシド(DMSO)にグルタミン酸モノマーとして3mmol相当の上記PGAを溶解させた。 また、10mLのテトラヒドロフラン(THF)に上記コレステロールアミン(CHAm)0.03mmolを溶解させた。 次いで、上記PGA溶液およびコレステロールアミン溶液を混合した。その後N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)0.12mmolを添加し、室温で24時間撹拌した。反応終了後、減圧濃縮装置(エバポレーター)により反応物からTHFを除去した上で、トルエンを用いた再沈殿操作により粗精製を行った。粗精製物からトルエンを除去した後、重炭酸水素ナトリウムを用いて粗精製物を中和した。その水溶液を分子量分画2000の透析膜を用いて2日間の透析による精製を行った(水を4回交換)。その後、内容物を凍結乾燥することで生成物を得た。使用したPGAおよびコレステロールアミン誘導体の量に(仕込んだCHAmが全て仕込んだPGAに導入されたと仮定して算出される理論収量に)基づく収率は91%であった。 核磁気共鳴スペクトルより合成確認を行った。その結果、コレステロール骨格中、不飽和部位の水素のピーク(5.38ppm)が、PGAに結合する前に比べて、顕著にブロード化されていたと同時にピーク位置が若干低磁場側へシフトし5.44ppm付近に現れたので、コレステロールアミンがPGAの側鎖に結合したことが確認された。また、0.65ppmから1.48ppm付近に確認されるコレステロール残基由来のピークにも顕著なブロード化が確認されたため、コレステロールアミンがPGAの側鎖に結合したことが確認された。 コレステロール導入率について、得られたPGA誘導体のNMRを調べた結果、PGA残基中のβ位炭素に結合している水素のピーク(4.1ppm)の積分値と、コレステロール骨格中、不飽和部位の水素のピーク(5.4ppm)の積分値との比から、PGAの側鎖のカルボシキシル基のうちの約1.1%にコレステロールが導入されたことが確認された。 得られたPGA誘導体の0.05wt%水溶液を調製し、ホモジナイザーで一定時間処理した上で、動的光散乱検出器(DLS)を用いて、形成された微粒子の粒径測定を行った。およそ2分間の超音波処理によりデータは安定し、平均約330nmの粒径が測定された。図1にその結果を示す。 また、得られたPGA誘導体の水溶液について、粘度測定を行うことにより、粘度の濃度依存を確認した。濃度を8%まで上昇させても粘度は上昇しなかった(図3)。 その後、上記粒径測定を行った水溶液を乾燥して得られた粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)を撮影したところ、数百nmの大きさの粒子が確認された。得られた画像を図4に示す。 (実施例2) 上記コレステロールアミン誘導体(CHAm)0.075mmolを用い、また、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)0.3mmolを用いた以外は、上記実施例1と同様に実験を行った。その結果、使用したPGAおよびコレステロールアミン誘導体の量に(仕込んだCHAmが全て仕込んだPGAに導入されたと仮定して算出される理論収量に)基づく収率は68%であった。コレステロール導入率は1.6%であった。 得られた誘導体の0.05wt%水溶液を調製し、ホモジナイザーで一定時間処理した上で、動的光散乱検出器(DLS)を用いて、形成された微粒子の粒径測定を行った。およそ2分間の超音波処理によりデータは安定し、平均約460nmの粒径が測定された。図1にその結果を示す。 さらに、その水溶液を6日間放置し、その間の微粒子の粒径変化を測定した(図2)。 また、得られた誘導体の水溶液について、粘度測定を行った。その結果、5%以上の濃度において粘度が上昇することを確認した(図3)。 さらに、得られた誘導体の8%水溶液1mLにβシクロデキストリン(βCD)を10mg添加して、粘度測定を行った。その結果、粘度は顕著に低下し、約10Pa・sとなった。この粘度低下は、βCDがコレステロール残基を包接したことにより、コレステロール残基同士の疎水性相互作用が低下したためであると考えられる。 (実施例3) 上記コレステロールアミン誘導体(CHAm)0.15mmolを用い、また、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)0.6mmolを用いた以外は、上記実施例1と同様に実験を行った。その結果、コレステロール導入率は2.9%であった。 得られた誘導体の0.05wt%水溶液を調製し、ホモジナイザーで一定時間処理した上で、動的光散乱検出器(DLS)を用いて、形成された微粒子の粒径測定を行った。およそ2分間の超音波処理によりデータは安定し、平均約340nmの粒径が測定された。図1にその結果を示す。 また、得られたPGA誘導体の水溶液について、粘度測定を行った。その結果、5%以上の濃度において粘度が上昇した(図3)。 以下の表に、実施例1〜3の条件および結果をまとめて示す。 (実施例4) 分子量約200万のPGAを用い、トルエンを用いた再沈殿操作による粗精製の代わりに、水を用いた再沈殿操作により粗精製を行った以外は、上記実施例2と同様に実験を行った。その結果、使用したPGAおよびコレステロールアミン誘導体の量に(仕込んだCHAmが全て仕込んだPGAに導入されたと仮定して算出される理論収量に)基づく収率は6.1%であった。コレステロール導入率は2.7%であった。 (実施例5) 上記コレステロール誘導体(CHAm)0.06mmolを用い、またN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)0.24mmolを用いた以外は、上記実施例1と同様に実験を行った。その結果、使用したPGAおよびコレステロール誘導体の量に(仕込んだCHAmが全て仕込んだPGAに導入されたと仮定して算出される理論の収量)に基づく収率は85%であった。コレステロール導入率は1.3%であった。 (実施例6〜7) 以下の表2に示す通りに条件を変更した以外は、実施例5と同様に実験を行った。 (実施例8) 上記コレステロール誘導体の調製に際し、エチレンジアミンの代わりに1,6−ヘキサンジアミンを用いた。コレステロール誘導体(化学式1,X=6)を0.051mmol用い、またCDIを0.24mmol用いた以外は上記実施例1と同様に実験を行った。その結果、使用したPGAおよびコレステロール誘導体の量に(仕込んだCHAmが全て仕込んだPGAに導入されたと仮定して算出される理論の収量)に基づく収率は72%であった。コレステロール導入率は0.84%であった。 (実施例9〜10) 以下の表2に示す通りに条件を変更した以外は、実施例8と同様に実験を行った。 実施例5〜10の結果を以下の表2に示す。表中、コレステロール誘導体の「X」は,上記一般式のXを示す。 (実施例11:薬物徐放能評価) ステロイドを出発物質とした生合成経路より得られるビタミンD3(以下、「VD」と略す)を用いて、本発明の誘導体の薬剤徐放能を評価した。 上記実施例1で得られたCHH1(10mg)をリン酸緩衝生理食塩水(10mL)に溶解させた。また、VD(10mg)をエタノール(10mL)に溶解させた。2液を混合し、エバポレーションでエタノールを留去した。この際、水が一部蒸発したため、溶液の全量が10gになるように脱イオン水を添加した。得られた溶液を12,000rpmで30分間遠心分離し、上澄み溶液(1mL)を取り出した。その溶液をエバポレーションし、水を蒸発させた。エタノールにより得られた固体からVDを抽出し、そのUVスペクトルを測定した。得られたUVスペクトルのピーク強度を、既知量のVDを含むサンプルのUVスペクトルのピーク強度と比較することにより、上澄み中のVD量を測定した。この測定より得られたVDの量を初期のVD内包量とした。残りの溶液を37℃で一定時間(1時間、3時間、4時間または6時間)振とうさせ、同様の操作を行い、それぞれの時点における放出VD量を測定した。その結果を図5のグラフに四角の記号で示す。図5のグラフにおいて、横軸は上記「初期」のサンプルを取り出した時間からの経過時間であり、縦軸は、放出されたVD(%)である。放出されたVDの割合は以下の計算式に従い、計算した: Released VD (%) = Wt/W0 ×100W0:初期のVDの重量Wt:時間tにおけるVDの重量 グラフに示されるとおり、1時間の時点における放出VD量は約16%であり、3時間後の時点における放出VD量は約20%であり、4時間後の時点における放出VD量は約24%であり、6時間後における放出VD量は約36%であった。すなわち、VDが長時間にわたって徐々に放出されることが確認され、徐放性担体として優れた性能があることが確認された。従って、得られたナノ粒子はステロイド骨格を有する薬剤のDDS担体としての有効に利用できる。 (実施例12:薬物徐放能評価) 実施例11と同様の実験を行った。ただし、3時間後の時点で、3.2mMのCaCl2を添加した。結果を図5のグラフに丸の記号で示す。 その結果、4時間後の時点における放出VD量は約40%であり、6時間後における放出VD量は約68%であった。すなわち、塩化カルシウムを添加した後に、急激にVDが放出されたことが確認された。 (実施例13:薬物徐放能評価) 実施例12と同様の実験を行った。ただし、3時間後の時点で、20mMのCaCl2を添加した。結果を図5のグラフに三角の記号で示す。 その結果、4時間後の時点における放出VD量は約82%であり、6時間後における放出VD量は約90%であった。すなわち、塩化カルシウムを添加した後に、極めて急激にVDが放出されたことが確認された。 実施例12および13の結果に示されたカルシウムイオン応答性は、従来の徐放性担体には極めて珍しい性能である。本発明の誘導体は、カルシウム量を制御することにより薬物の放出速度を制御することができる。従って、本発明の誘導体は徐放性担体として極めて有用である。 (実施例14) 本発明の誘導体は分子シャペロンに応用することができる。本実施例では、本発明の誘導体のリフォールディング剤としての性能を確認した。 炭酸脱水酵素Bovine carbonic anhydrase(BCA)(SIGMAから購入(製品番号:C3934))(3mg)と尿素(60mg)を50mM Tris−sulfate buffer(pH7.5、100mL)に溶かし、25℃で16時間放置することによりBCAの水素結合を切断し、変性した酵素を得た。 緩衝液(50mM Tris−sulfate buffer(pH7.5))に上記実施例5で得られたPGA誘導体を溶解させた(5.0mg/mL)。変性BCA(10μl)をサンプル溶液(10mL)で1000倍に希釈して希釈溶液を得た。得られた希釈溶液中には、PGA誘導体とタンパク質との複合体が形成された。その希釈溶液を37℃で約2時間振とうした。その後、所定量のβ−CDを添加し、37℃で24時間放置した。 得られた酵素溶液の活性を基質であるp−ニトロフェニル アセテート(pNPA)の反応量を測定することでリフォールディング率を算出した。すなわち、得られた溶液(BCAの最終濃度0.03mg/mL)1mLとアセトニトリルに溶解させたpNPA(100mM)10μlを混合して、混合物のUV測定を行った(400nm,60s)。30sの時点の吸光度と40sの時点の吸光度との差を計算して酵素の活性を評価した。また、比較データとして、変性前の酵素について活性を評価した。以下の計算式に従い、上記リフォールディング実験後の酵素活性と、変性前の酵素の活性との比より相対酵素活性(%)を計算した。この計算により得られた値は、酵素の活性が回復した比率を示すから、この値をリフォールディング率として評価した。 その結果、リフォールディング率、すなわち相対酵素活性は、β−CDを2mM用いた場合には約52%であった。β−CDを5mM用いた場合には約50%であった。β−CDの添加量に応じて酵素活性が上昇したことから、PGA誘導体とタンパク質との複合体から、リフォールディングされた酵素が放出されたことが確認された。 (実施例15) 実施例5で得られたPGA誘導体の代わりに、実施例8で得られたPGA誘導体(5.0mg/mL)を用いた以外は、実施例14と同様に実験を行った。 その結果、リフォールディング率、すなわち相対酵素活性は、β−CDを2mM用いた場合には約32%であった。β−CDを4mM用いた場合には約62%であった。β−CDを5mM用いた場合には約60%であった。β−CDの添加量に応じて酵素活性が上昇したことから、PGA誘導体とタンパク質との複合体から、リフォールディングされた酵素が放出されたことが確認された。 (比較例1) 実施例5で得られたPGA誘導体の代わりに、PGANa(5.0mg/mL)を用いた以外は、実施例14と同様に実験を行った。その結果、希釈溶液中では酵素が凝集した。リフォールディング率、すなわち相対酵素活性は、β−CD添加量0〜8mMにおいて約20%であった。 (比較例2) 実施例5で得られたPGA誘導体を用いなかった以外は、実施例14と同様に実験を行った。その結果、希釈溶液中では酵素が凝集した。リフォールディング率、すなわち相対酵素活性はβ−CD添加量0〜8mMにおいて約20%であった。 実施例14、15および比較例1の結果を図6に示す。図6の横軸は添加したβ−CDの量(mM)であり、縦軸は酵素の相対活性(%)である。 その結果、サンプルを添加しない場合とPGAのナトリウム塩(PGANa)のリフォールディング率が約20%であったのに対し、実施例5のPGA誘導体(CHE2)または実施例8のPGA誘導体(CHH1)を用いた場合には高いリフォールディング率を示した。すなわち、本発明のPGA誘導体がタンパク質をリフォールディングする分子シャペロンとして作用することが確認された。 (実施例16) 実施例14と同様の方法で炭酸脱水酵素(3mg)の水素結合を切断して、変性酵素のサンプルを得た。得られた変性BCAサンプルを緩衝液(50mM Tris−sulfate buffer(pH7.5))を用いて希釈し、生じた沈殿物を酵素の凝集体(Inclusion bodyモデル)として用いた。実施例14と同様の方法で、実施例8で得られたPGA誘導体の溶液(5.0mg/mL)を調製した。この溶液に凝集体を添加した。容器を37℃で約2時間振とうした。その後、所定量のβ−CDを添加し、37℃で24時間放置した。実施例14と同様に、得られた酵素溶液の活性を測定した。 その結果、リフォールディング率、すなわち相対酵素活性は、β−CDを1mM用いた場合には約2%であった。β−CDを2mM用いた場合には約20%であった。β−CDを5mM用いた場合には約42%であった。β−CDの添加量に応じて酵素活性が上昇したことから、リフォールディングされた酵素が放出されたことが確認された。 結果を図7に示す。図7の横軸は添加したβ−CDの量(mM)であり、縦軸は酵素の相対活性(%)である。実施例16の結果を白い四角の記号で示す。実施例15の結果を三角の記号で示す。 その結果、タンパク質が凝集した後に、PGA誘導体を添加した場合においても、高いリフォールディング能があることが確認された。 以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載および技術常識に基づいて、特許請求の範囲に等価な範囲を理解することができる。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。 本発明によれば、親水性が適切に制御されたPGA誘導体が提供され、また、微粒子の形態に加工可能なPGA誘導体が提供される。このため、バイオテクノロジーの様々な用途において、様々な生物学的材料(例えば、医薬品)と混合して使用することが可能になる。すなわち、医薬品のキャリアなどとして使用することが可能となる。また、ナノテクノロジーの分野の様々な用途(例えば、DDS担体や細胞の足場材料)においても応用が可能になる。以下の式1で表される、ポリ−γ−グルタミン酸にリンカーを介してコレステロール類が結合したポリ−γ−グルタミン酸誘導体: 式1: R1−NH−R3−NHC(=O)−O−R2ここで、R1は、ポリ−γ−グルタミン酸の残基を示し、−O−R2は、コレステロール類の残基を示し、R3は、アルキレンを示す。 前記ポリ−γ−グルタミン酸の重量平均分子量が、1万以上である、請求項1に記載のポリ−γ−グルタミン酸誘導体。 前記ポリ−γ−グルタミン酸の側鎖カルボシキシル基のうち、0.1%〜10%にコレステロール類が結合している、請求項1に記載のポリ−γ−グルタミン酸誘導体。 ポリ−γ−グルタミン酸にリンカーを介してコレステロール類が結合したポリ−γ−グルタミン酸誘導体からなる平均粒径50nm〜1000nmの微粒子。 ポリ−γ−グルタミン酸にコレステロール類を導入する工程を包含する、請求項4に記載の微粒子の製造方法。 以下の式1で表される、ポリ−γ−グルタミン酸にリンカーを介してコレステロール類が結合したポリ−γ−グルタミン酸誘導体からなる、変性状態のタンパク質をリフォールディングするための分子シャペロン: 式1: R1−NH−R3−NHC(=O)−O−R2ここで、R1は、ポリ−γ−グルタミン酸の残基を示し、−O−R2は、コレステロール類の残基を示し、R3は、アルキレンを示す。 以下の式1で表される、ポリ−γ−グルタミン酸にリンカーを介してコレステロール類が結合したポリ−γ−グルタミン酸誘導体からなる、凝集状態の変性タンパク質をリフォールディングするための分子シャペロン: 式1: R1−NH−R3−NHC(=O)−O−R2ここで、R1は、ポリ−γ−グルタミン酸の残基を示し、−O−R2は、コレステロール類の残基を示し、R3は、アルキレンを示す。 以下の式1で表される、ポリ−γ−グルタミン酸にリンカーを介してコレステロール類が結合したポリ−γ−グルタミン酸誘導体からなる、徐放性担体: 式1: R1−NH−R3−NHC(=O)−O−R2ここで、R1は、ポリ−γ−グルタミン酸の残基を示し、−O−R2は、コレステロール類の残基を示し、R3は、アルキレンを示す。