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タイトル:特許公報(B2)_ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法
出願番号:2008513245
年次:2012
IPC分類:C07C 17/23,C07C 21/20,C07C 17/10,C07C 19/10,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

大野 博基 大井 敏夫 JP 5005681 特許公報(B2) 20120601 2008513245 20070425 ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法 昭和電工株式会社 000002004 特許業務法人SSINPAT 110001070 牧村 浩次 100103218 高畑 ちより 100107043 大野 博基 大井 敏夫 JP 2006126977 20060428 20120822 C07C 17/23 20060101AFI20120802BHJP C07C 21/20 20060101ALI20120802BHJP C07C 17/10 20060101ALI20120802BHJP C07C 19/10 20060101ALI20120802BHJP C07B 61/00 20060101ALN20120802BHJP JPC07C17/23C07C21/20C07C17/10C07C19/10C07B61/00 300 C07C 17/23 C07C 17/383 C07C 21/20 CAplus/REGISTRY(STN) 国際公開第2005/023734(WO,A1) 国際公開第2006/077727(WO,A1) ADCOCK, J. L. et al.,Industrial & Engineering Chemistry Research,1989年,28(10),p.1547-1549 KARIMOVA, M. et al.,Russian Chemical Bulletin, International Edition,2004年,53(10),p.2336-2337 19 JP2007058980 20070425 WO2007125972 20071108 14 20081022 品川 陽子 本発明は、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、半導体用エッチングガス等として有用なヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法に関する。 ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(本明細書において、「C4F6」または「HFBD」ともいう。)は、例えば半導体用の微細エッチングガスとして注目されている。 ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法としては、従来から次のような方法が知られている。 (1)特許文献1では、約−60℃〜200℃で、パーフッ化アルキルハロゲン化物とグリニャ−ル試剤とを反応させてパ−フッ化オレフィン類を製造している。 (2)特許文献2では、炭化水素類の非プロトン系溶媒、またはエーテル、環状エーテル類等の非プロトン系極性溶媒中、−80〜150℃で、ICF2CF2CF2CF2Iを、Mg、Zn、CdまたはLiの有機金属化合物によって脱ヨウ素フッ素化して製造している。 (3)特許文献3では、炭化水素類の中性溶媒、あるいはエーテル、環状エーテル、またはこれらの混合物類等の中性溶媒中、−80℃〜150℃で、BrCF2CF2CF2CF2IまたはBrCF2CF2CF2CF2Brを、MgまたはLiの有機金属化合物によって脱ヨウ素フッ素化して製造している。 (4)特許文献4では、金属亜鉛、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種の含窒素化合物の存在下で、ICF2CF2CF2CF2Iを脱IFして製造している。 (5)特許文献5では、有機溶媒中で、Mg、Zn、Cd、Al、Cu、NaおよびLiから選ばれる少なくとも1種の金属、ならびにRX(x=Cl、Br,I)および/またはI2を共存させて、ICF2CF2CF2CF2IまたはBrCF2CF2CF2CF2Brを原料として製造している。ここで、RXは、上記α、ω−ジハロゲン化ペルフルオロアルカンに対して0.05〜0.5当量の量で添加されている。 (6)特許文献6では、有機溶媒中、Mg、Zn、Cd、Al、Cu、NaおよびLiから選ばれる少なくとも一種の金属およびハロゲン化アルキルRX(x=Cl、Br、I)と共に、XCF2CFXCFYCF2X(X=Cl、Br、I、Y=Cl、Br、I、F)を、加熱または沸騰環流して製造している。ここで、触媒であるRXは、上記テトラハロゲン化ペルフルオロブタンに対して0.05〜0.5当量の量で添加されている。特公昭49−39648号公報特開昭62−26340号公報特許第2589108号公報特開2001−192345号公報特開2001−192346号公報特開2001−192347号公報 しかしながら、上記の方法は、次のような問題を有している。(1)〜(5)の方法では、工業的に有機金属化合物を使用するときは、この有機金属化合物を製造する場合に危険が伴う。例えばグリニャ−ル試薬は合成時に危険が伴う。また、原料のハロゲンがヨウ素や臭素等であり、これらは高価であるため工業化には問題があった。さらに、(6)の方法は、触媒として、例えば臭素化合物を添加する必要があるため工業化には問題があった。 上述したような背景技術に鑑み、本発明の目的は、半導体用の微細加工用エッチングガスとして使用できるHFBDを工業的に安全、安価で経済的に製造する方法を提供することにある。 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、気相中で、臭素原子、ヨウ素原子および塩素原子からなる群より選ばれる原子を各炭素原子に一つ含む炭素原子数4個の化合物と、フッ素ガスとを反応させて、生成物(A)を含む混合物を得る工程と、溶媒の存在下で、生成物(A)を金属によりフッ素原子を除くハロゲンを脱離させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程により、工業的に収率よく安価で経済的にヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明によれば、気相中で、臭素原子、ヨウ素原子および塩素原子からなる群より選ばれる原子を各炭素原子に一つ含む炭素原子数4個の化合物と、フッ素ガスとを反応させて、生成物(A)を含む混合物を得る工程と、溶媒の存在下で、生成物(A)を金属によりフッ素原子を除くハロゲンを脱離させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程により、工業的かつ安全で経済的に有利なHFBDの製造方法を提供できる。 以下、本発明の好ましい実施の態様について詳しく説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものでなく、本発明の思想と実施の範囲内において様々な変形が可能であることを理解されたい。 本発明の製造方法は、(1)希釈ガスの存在下、気相中で、臭素原子、ヨウ素原子および塩素原子からなる群より選ばれる原子を各炭素原子に一つ含む炭素原子数4個の化合物と、フッ素ガスとを反応させて、生成物(A)を含む混合物を得る工程と、(2)溶媒の存在下で、工程(1)で得られた生成物(A)を金属によりフッ素原子を除くハロゲンを脱離させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程とを含む。 工程(1)(直接フッ素化工程)では、希釈ガスの存在下、気相中で、臭素原子、ヨウ素原子および塩素原子からなる群より選ばれる原子を各炭素原子に一つ含む炭素原子数4個の化合物と、フッ素ガスとを反応させるが、触媒を存在させずに反応させることが好ましい。前記希釈ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンおよびフッ化水素からなる群より選ばれる少なくとも一種のガスであることが好ましい。なお、本明細書において、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンをまとめて不活性ガスともいう。 前記炭素原子数4個の化合物は、臭素原子、ヨウ素原子および塩素原子からなる群より選ばれる原子を各炭素原子に一つ含み、好ましくは各炭素原子に塩素原子を一つ含む。すなわち、前記炭素原子数4個の化合物では、臭素原子、ヨウ素原子および塩素原子からなる群より選ばれる原子、好ましくは塩素原子が、各炭素原子に一つずつ結合している。臭素原子やヨウ素原子を含む化合物は高価で、また腐食性に富む物質であり、経済的にコスト高となる場合がある。前記炭素原子数4個の化合物としては、具体的には、1,2,3,4−テトラクロロブタンが挙げられる。この1,2,3,4−テトラクロロブタンは、1,3−ブタジエンを原料として工業的に生産されているクロロプレンゴムの製造段階(式(1)は目的反応を示し、式(2)は副生反応を示す。)で副生成物として生成し、現状は他の副生塩素化合物とともに焼却処理等により無害化されている。CH2=CH・CH=CH2+Cl2 → CH2=CH・CHCl・CH2Cl(1)CH2=CH・CH=CH2+2Cl2 → CH2Cl・CHCl・CHCl・CH2Cl(2) したがって、経済的観点から、この副生成物である1,2,3,4−テトラクロロブタンが原料として好適に用いられる。すなわち、本発明の製造方法では、1,3−ブタジエンをハロゲン化(臭素化、ヨウ素化または塩素化)して前記炭素原子数4個の化合物を得る工程(3)をさらに含み、工程(1)が、工程(3)で得られた炭素原子数4個の化合物と、フッ素ガスとを反応させて、生成物(A)を含む混合物を得る工程であることが好ましい。 さらに、本発明の製造方法は、工程(1)が、希釈ガスの存在下、気相中で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であり、工程(2)が、溶媒の存在下で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程であることが好ましい。以下、この場合について説明する。 工程(1)は、触媒を存在させずに反応させることが好ましく、前記1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物には、生成した1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン、生成したフッ化水素、未反応の1,2,3,4−テトラクロロブタン、工程(1)の反応の中間体(例えば、1,2,3,4−テトラクロロテトラフルオロブタン、1,2,3,4−テトラクロロペンタフルオロブタンが挙げられる。)、希釈ガスが含まれる。 この場合、工程(1)の反応は、以下の式(3)で表される。CH2Cl・CHCl・CHCl・CH2Cl+6F2 → CF2Cl・CFCl・CFCl・CF2Cl+6HF(3) この工程では、極めて反応性に富むフッ素ガスを用いるため、基質である有機化合物とフッ素ガスとの反応によって爆発や腐食する場合がある。さらに、発熱による炭素結合の切断や重合、また、炭素の生成、堆積等による急激な反応や爆発等の副反応が起こる場合もある。また、C−H結合1個をC−F結合に置換すると、約−110kcal/molの反応熱が発生する。例えば、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させる直接フッ素化工程では約−660kcal/molの反応熱が発生する。このように、反応熱は使用するフッ素ガスのモル数に比例し、フッ素ガス量が多いほど反応熱が大きくなるため、上述のように炭素結合の切断や爆発が起こりやすく、さらに収率の低下等をもたらし、工業的製造、操業上の問題となる場合がある。 このため、直接フッ素化工程における反応熱の急激な発生を抑えるため、例えば、フッ素ガスを前記不活性ガス(例えば、窒素やヘリウム等)で希釈する方法、基質である有機化合物も前記不活性ガスやフッ化水素で希釈する方法が好適に用いられる。また、反応を低温領域で行う方法、さらに、反応を気相で行うときは、基質である有機化合物にフッ素ガスが少しずつ接触するように、フッ素ガスを分割供給する方法が好適に用いられる。 すなわち、工程(1)は、少なくとも二つの供給口を有する反応器(A)に、1,2,3,4−テトラクロロブタンおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(A)を少なくとも一つの供給口から供給し、かつ、フッ素ガスおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(B)を他の少なくとも一つの供給口から供給し、該反応器(A)内で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であって、混合ガス(A)および(B)全量に対して、1,2,3,4−テトラクロロブタンの濃度が0.5〜4モル%であることが好ましい。前記濃度が4モル%以上では、上述したように、基質である有機化合物がフッ素にさらされたときに、燃焼または爆発する場合がある。また、工程(1)は、少なくとも二つの供給口を有する反応器(A)に、1,2,3,4−テトラクロロブタンおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(A)を少なくとも一つの供給口から供給し、かつ、フッ素ガスおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(B)を他の少なくとも一つの供給口から供給し、該反応器(A)内で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であって、混合ガス(A)および(B)全量に対して、フッ素ガスの濃度が好ましくは0.5〜10モル%、より好ましくは0.5〜6モル%であることが望ましい。前記希釈ガスは、反応器に供給されるガスの全量(混合ガス(A)および(B)の合計量)に対して、86〜99モル%の濃度で前記反応器に供給されることが好ましい。 さらに、工程(1)は、少なくとも三つの供給口を有する反応器に、1,2,3,4−テトラクロロブタンおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(A)を少なくとも一つの供給口から供給し、かつ、フッ素ガスおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(B)を他の少なくとも二つの供給口から供給し、該反応器内で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であることが好ましい。また、上述の燃焼または爆発を防ぐ観点から、工程(1)は、少なくとも三つの供給口を有する反応器に、1,2,3,4−テトラクロロブタンおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(A)を少なくとも二つの供給口から供給し、かつ、フッ素ガスおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(B)を他の少なくとも一つの供給口から供給し、該反応器内で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であることが好ましい。 工程(1)は、0.05〜1MPaの圧力下で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であることが好ましい。圧力が高くなればなるほど爆発範囲は一般に広くなるため、反応は低圧で行うことが望ましい。また、工程(1)は、好ましくは50〜500℃で、より好ましくは150〜450℃で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であることが望ましい。 前記反応器の材質としては、腐食性ガスに耐性を有するものが好ましく、例えばニッケル、インコネル、ハステロイ等のニッケルを主成分とする合金が挙げられる。 工程(1)の後に、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物の少なくとも一部を抜き出して、例えば冷却して液液分離してもよい。すなわち、フッ化水素に富む相と1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相とに分離してもよい。フッ化水素に富む相には、フッ化水素の他、工程(1)の中間体、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン等の有機物が少量含まれ、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相には、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンの他、フッ化水素、工程(1)の中間体が少量含まれる。この液液分離工程で、フッ化水素以外の希釈ガス(不活性ガス)は除去される。また、フッ化水素に富む相は希釈ガスとして前記直接フッ素化工程に循環してもよい。 また、本発明の製造方法は、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を液液分離して、得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相とアルカリとを接触させて、粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程(4)をさらに含むことが好ましく、工程(4)(アルカリ接触工程1)では、前記1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相中に含まれるフッ化水素が、例えばアルカリ水溶液で洗滌される。 前記アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。また、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物と、炭素質固体材料、アルミナやゼオライト等とからなる精製剤と接触させてもよい。また、フッ化水素を水溶液により回収してもよい。前記アルカリ接触工程は−10〜70℃で行うことが好ましい。 本発明の製造方法は、工程(4)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを脱水させて、粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程(5)をさらに含むことが好ましい。 前記脱水にはゼオライトが好適に用いられ、具体的には、例えばモレキュラーシーブス−3A、4A、5A等が挙げられる。前記脱水工程は、−10〜70℃で行うことが好ましい。 特に、アルカリ接触工程を経た粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン中には水分が含まれるため、引き続き、工程(5)(脱水工程)で脱水することが望ましい。すなわち、本発明の製造方法は、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を液液分離して、得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相とアルカリとを接触させて、粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程(4)と、工程(4)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを脱水させて、粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程(5)をさらに含み、工程(2)が、工程(5)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程であることが好ましい。 工程(5)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンの少なくとも一部は、例えばポンプや圧縮機により、少なくとも一つの蒸留塔に導入されてもよい。前記蒸留塔では中間体等と目的物である1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンとに分離される。前記中間体の少なくとも一部は工程(1)に循環してもよい。すなわち、本発明の製造方法は、工程(5)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを少なくとも一つの蒸留塔に供給し、工程(1)の中間体を分離して、未反応物の少なくとも一部を前記反応器(A)に供給する工程(6)をさらに含むことが好ましい。ここで、工程(5)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンからは、前記中間体の他、低沸成分(例えば、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素等が挙げられる。)が除去される。 工程(2)は、溶媒の存在下で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程である。 工程(2)には、例えば、上述したように中間体を分離した1,2,3,4−ヘキサフルオロブタン(精製品)が好適に用いられる。具体的には、このような1,2,3,4−ヘキサフルオロブタンは、まず、ポンプ等により攪拌器、ジャケット付きのSUS反応容器に導入され、これに溶媒が添加される。この場合、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンと溶媒との仕込み重量比(1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン/溶媒)は、0.4〜1.8の範囲であることが好ましい。 次に、この重量比の範囲に調製された溶液を攪拌するとともに、温度を通常20〜150℃、好ましくは30〜95℃の範囲、圧力を通常0.05〜1MPaに保ちながら、顆粒状または粉末状の金属を少しずつ投入することが望ましい。用いる金属の重量比(1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン/金属)は1〜12の範囲であることが好ましい。 前記溶媒は、有機溶媒および/または水であることが好ましい。これらの有機溶媒と水とは任意の割合で使用することができ、また水を単独で使用することもできる。 前記有機溶媒は、アルコール類であることが好ましく、該アルコール類は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびオクタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。 前記金属は、Mg、Zn、Al、Cu、NaおよびLiからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。 さらに、工程(2)で得られたヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物の少なくとも一部を蒸留塔に導入し、主として溶媒を含む相と主としてヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む相とに分離してもよい。 また、本発明の製造方法では、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物に含まれるフッ化水素を除去するため、工程(2)で得られたヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物とアルカリとを接触させて、粗ヘキサフロオロ−1,3−ブタジエンを得る工程(7)をさらに含むことが好ましい(アルカリ接触工程2)。ここで、前記混合物を蒸留塔に導入した後、前記主としてヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む相とアルカリとを接触させることが好ましい。 前記アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。また、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物と、炭素質固体材料、アルミナやゼオライト等とからなる精製剤;一般に使用されるソーダライム等と接触させてもよい。前記アルカリ接触工程は−15〜60℃で行うことが好ましい。 本発明の製造方法は、工程(7)で得られた粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを脱水させて、粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを得る工程(8)をさらに含むことが好ましい。 前記脱水にはゼオライトが好適に用いられ、具体的には、例えばモレキュラーシーブス−3A、4A、5A等が挙げられる。前記脱水工程は−15〜60℃で行うことが好ましい。気相状態で行っても液相状態で行ってもよいが、好ましくは液相状態で行うことが望ましい。また、前記脱水工程は2系列以上を設け、切り替え方式を採用するのが望ましい。 特に、アルカリ接触工程を経た粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン中には水分が含まれるため、引き続き、工程(8)(脱水工程)で脱水することが望ましい。すなわち、本発明の製造方法は、工程(2)で得られたヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物とアルカリとを接触させて、粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを得る工程(7)と、工程(7)で得られた粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを脱水させて、粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを得る工程(8)をさらに含むことが好ましい。 また、本発明の製造方法は、工程(8)で得られた粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを、少なくとも2つの蒸留塔に供給し、精製する工程(9)をさらに含むことが好ましい。具体的には、まず、前記粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを例えば、ポンプや圧縮機等を用いて第一蒸留塔に導入する。第一蒸留塔では、塔頂留出分として低沸成分、例えば空気、一酸化炭素や二酸化炭素等が抜き出される。塔底留出成分としては、主としてヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンからなる成分が抜き出され、これは第二蒸留塔に導かれる。 次に、第二蒸留塔では、塔頂留出成分として目的物である精製されたヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンが抜き出され製品として回収される。一方、第二蒸留塔の塔底留出成分としては、高沸成分、たとえば少量の溶媒、工程(2)の反応の中間体等が抜き出され、この成分の少なくとも一部は工程(2)に循環してもよい。 また、もう一つの方法としては、まず、前記粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを第一蒸留塔に導入し、塔頂留出分として主として粗ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む低沸成分を抜き出す。また、塔底留出分として前記の少量の高沸成分を抜き出し、この成分は工程(2)に循環してもよい。 次に、塔頂より抜き出された主としてヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む低沸成分は第二蒸留塔に導入され、塔頂より低沸成分、例えば空気、一酸化炭素や二酸化炭素等が抜き出される。塔底より精製されたヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンが抜き出され、製品として回収される。 上述したように、本発明の製造方法において、工程(2)が、反応器(B)内で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属によりフッ素原子を除くハロゲンを脱離させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程であって、前記蒸留塔の塔底部より抜き出された高沸成分の少なくとも一部を前記反応器(B)に供給することが好ましい。 すなわち、本発明は以下のとおりに要約される。 本発明のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法は、(1)希釈ガスの存在下、気相中で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程と、(2)溶媒の存在下で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを得る工程とを含むことを特徴とする。 また、工程(1)が、少なくとも二つの供給口を有する反応器(A)に、1,2,3,4−テトラクロロブタンおよび上記希釈ガスからなる混合ガス(A)を少なくとも一つの供給口から供給し、かつ、フッ素ガスおよび上記希釈ガスからなる混合ガス(B)を他の少なくとも一つの供給口から供給し、該反応器(A)内で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程であって、混合ガス(A)および(B)全量に対して、1,2,3,4−テトラクロロブタンの濃度が0.5〜4モル%であることが好ましい。 また、工程(1)が、少なくとも二つの供給口を有する反応器(A)に、1,2,3,4−テトラクロロブタンおよび上記希釈ガスからなる混合ガス(A)を少なくとも一つの供給口から供給し、かつ、フッ素ガスおよび上記希釈ガスからなる混合ガス(B)を他の少なくとも一つの供給口から供給し、該反応器(A)内で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程であって、混合ガス(A)および(B)全量に対して、フッ素ガスの濃度が0.5〜10モル%であることが好ましい。 また、工程(1)は、0.05〜1MPaの圧力下で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程であることが好ましい。 また、工程(1)は、50〜500℃で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程であることが好ましい。 また、工程(2)は、20〜150℃で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを得る工程であることが好ましい。 また、本発明のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法は、(1)希釈ガスの存在下、気相中で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程と、(2)溶媒の存在下で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程とを含む製造方法であって、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を液液分離して、得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相とアルカリとを接触させて、粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン(A)を得る工程(4)と、工程(4)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン(A)を脱水させて、粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン(B)を得る工程(5)をさらに含み、工程(2)が、工程(5)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン(B)を金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程であることを特徴とする。 なお、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物には、生成したヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン、未反応の1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン、希釈ガスが含まれ得る。工程(4)で1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相からフッ化水素が除去された粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン(A)には、水、工程(1)の反応の中間体が含まれ得る。工程(5)で水が除去された粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン(B)には、工程(1)の反応の中間体が含まれ得る。 また、工程(5)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン(B)を少なくとも一つの蒸留塔に供給し、工程(1)の中間体を分離して、該中間体の少なくとも一部を上記反応器(A)に供給する工程(6)をさらに含むことが好ましい。 また、工程(2)で得られたヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物とアルカリとを接触させて、粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(A)を得る工程(7)と、工程(7)で得られた粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(A)を脱水させて、粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(B)を得る工程(8)をさらに含むことが好ましい。 なお、工程(7)でヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物からフッ化水素が除去された粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(A)には、水、工程(2)の反応の中間体が含まれ得る。工程(8)で水が除去された粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(B)には、工程(2)の反応の中間体が含まれ得る。 また、工程(8)で得られた粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(B)を、少なくとも2つの蒸留塔を用い、精製する工程(9)をさらに含むことが好ましい。 また、工程(2)は、反応器(B)内で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程であって、上記蒸留塔の塔底部より抜き出された高沸成分の少なくとも一部を上記反応器(B)に供給することが好ましい。 [実施例] 以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。 [製造例] 工業的に製造されている1,3−ブタジエンを塩素化し、ジクロロブテンを生成した。この際、3,4−ジクロロブテン−1および1,4−ジクロロブテン−2の混合物が生成された。1,4−ジクロロブテン−2は3,4−ジクロロブテン−1に異性化した。3,4−ジクロロブテン−1から脱塩酸によりクロロプレンを製造する工程で、他の塩素化合物は副生成物として蒸留分離され、燃焼処理等により、無害化、廃棄されていた。 ここでは、前記副生成物の塩素化合物を蒸留塔によって分離精製し、1,2,3,4−テトラクロロブタンを得た。なお、他の副生成物は燃焼処理により無害化した。得られた1,2,3,4−テトラクロロブタンをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純分は98.2モル%であった。 [実施例1] <工程(1)> 2つのガス供給口を有する内径20.6mmФ、長さ600mmのインコネル600製反応器(電気ヒーター加熱方式:この反応器には、予め、フッ素ガスにより温度550℃で不動態化処理を実施した。)に、2つのガス供給口から窒素ガスを25NL/h(合計50NL/h)流し、反応器を250℃に昇温した。さらに、それぞれのガス供給口からフッ化水素を15NL/h(合計30NL/h)流した。このように、窒素ガスおよびフッ化水素の混合ガスを希釈ガスとした。 次いで、分岐した希釈ガス流の一方(40NL/h)と、[製造例]で得られた1,2,3,4−テトラクロロブタン1.0NL/hとを併せて反応器に供給した。その後、他方の分岐した希釈ガス流(40NL/h)と、フッ素ガス6.1NL/hとを併せて反応器に供給して反応を開始した。 以下のようにして工程(1)の反応成績を評価した。反応開始から3時間後、反応器出口から得られる反応生成ガス(工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物)を、水酸化カリウムおよびヨウ化カリウム水溶液で処理し、反応生成ガスに含まれるフッ化水素、未反応フッ素ガスおよび窒素ガスを除去した。次いで、有機溶媒で抽出し、抽出液中の組成をガスクロマトグラフィーにより求めた。この結果は以下のとおりであった。 1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン 92.2% その他 7.8% (単位:vol%) また、反応を開始してから約5時間後、反応器出口ガス(工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物)を冷却しながら捕集し、冷却して、主としてフッ化水素に富む相と主として1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相とに分離した。ここで、窒素ガスも除去された。主として1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相を抜き出し、アルカリ洗滌後、モレキュラーシーブスにより脱水処理を行って、粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得た。次いで、蒸留精製を行い、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタン精製品を得た。これをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、純分は99.0モル%であった。 <工程(2)> 内容積500mLのSUS316製オートクレーブ(ジャケット加熱方式;このオートクレーブには、上部に冷却構造を有するジャケットおよび攪拌機が付いていた。)に溶媒としてイソプロピルアルコールを119g、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを149g、顆粒状の金属亜鉛20gを仕込んだ。 攪拌しながら温度70℃に昇温し、温度を保持しながら顆粒状の金属亜鉛62.4gをさらに加えた。このとき、金属亜鉛は3回に分けて加えた。これにより、金属亜鉛は合計82.4g加えられた。その後16時間反応させた。 16時間の反応後、加熱し、溶媒および有機生成物を冷却しながら捕集し、公知の蒸留分離により溶媒を除去した。生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果は以下のとおりであった。 ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン 94.5% その他 5.5% (単位:vol%) 前記生成物をモレキュラーシーブスで脱水処理後、蒸留塔2本を用いて高沸カットおよび低沸カットを行い、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(精製品1)を得た。ガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、精製品1では、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの純度は99.995vol%以上であった。さらに、もう1本の蒸留塔を用いて、低沸カットを行ってヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(精製品2)を得た。精製品2では、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの純度は99.999%以上であった。 (1)希釈ガスの存在下、気相中で、臭素原子、ヨウ素原子および塩素原子からなる群より選ばれる原子を各炭素原子に一つ含む炭素原子数4個の化合物と、フッ素ガスとを反応させて、臭素原子、ヨウ素原子および塩素原子からなる群より選ばれる原子を各炭素原子に一つ含み、かつ前記化合物が有していたすべての水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数4個の生成化合物(A)を含む混合物を得る工程と、 (2)溶媒の存在下で、工程(1)で得られた生成化合物(A)を金属によりフッ素原子を除くハロゲンを脱離させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程と、を含むことを特徴とするヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(1)が、触媒を存在させずに、前記炭素原子数4個の化合物と、フッ素ガスとを反応させて、生成化合物(A)を含む混合物を得る工程であることを特徴とする請求項1に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 1,3−ブタジエンをハロゲン化して前記炭素原子数4個の化合物を得る工程(3)をさらに含み、 工程(1)が、工程(3)で得られた炭素原子数4個の化合物と、フッ素ガスとを反応させて、生成化合物(A)を含む混合物を得る工程であることを特徴とする請求項1に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 前記希釈ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンおよびフッ化水素からなる群より選ばれる少なくとも一種のガスであることを特徴とする請求項1に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(1)が、希釈ガスの存在下、気相中で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であり、 工程(2)が、溶媒の存在下で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程であることを特徴とする請求項1に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(1)が、少なくとも二つの供給口を有する反応器(A)に、1,2,3,4−テトラクロロブタンおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(A)を少なくとも一つの供給口から供給し、かつ、フッ素ガスおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(B)を他の少なくとも一つの供給口から供給し、該反応器(A)内で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であって、 混合ガス(A)および(B)全量に対して、1,2,3,4−テトラクロロブタンの濃度が0.5〜4モル%であることを特徴とする請求項5に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(1)が、少なくとも二つの供給口を有する反応器(A)に、1,2,3,4−テトラクロロブタンおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(A)を少なくとも一つの供給口から供給し、かつ、フッ素ガスおよび前記希釈ガスからなる混合ガス(B)を他の少なくとも一つの供給口から供給し、該反応器(A)内で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であって、 混合ガス(A)および(B)全量に対して、フッ素ガスの濃度が0.5〜10モル%であることを特徴とする請求項5に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(1)が、0.05〜1MPaの圧力下で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であることを特徴とする請求項5に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(1)が、50〜500℃で、1,2,3,4−テトラクロロブタンとフッ素ガスとを反応させて、1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を得る工程であることを特徴とする請求項5に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 前記溶媒が、有機溶媒および/または水であることを特徴とする請求項1または5に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 前記有機溶媒が、アルコール類であることを特徴とする請求項10に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 前記アルコール類が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびオクタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項11に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 前記金属が、Mg、Zn、Al、Cu、NaおよびLiからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または5に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(2)が、20〜150℃で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程であることを特徴とする請求項5に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを含む混合物を液液分離して、得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンに富む相とアルカリとを接触させて、粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程(4)と、 工程(4)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを脱水させて、粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを得る工程(5)をさらに含み、 工程(2)が、工程(5)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程であることを特徴とする請求項5に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(5)で得られた粗1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを少なくとも一つの蒸留塔に供給し、工程(1)の中間体を分離して、該中間体の少なくとも一部を前記反応器(A)に供給する工程(6)をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(2)で得られたヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物とアルカリとを接触させて、粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを得る工程(7)と、 工程(7)で得られた粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを脱水させて、粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを得る工程(8)をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(8)で得られた粗ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを、少なくとも2つの蒸留塔を用い、精製する工程(9)をさらに含む請求項17に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。 工程(2)が、反応器(B)内で、工程(1)で得られた1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンを金属により脱塩素化させて、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンを含む混合物を得る工程であって、 前記蒸留塔の塔底部より抜き出された高沸成分の少なくとも一部を前記反応器(B)に供給することを特徴とする請求項18に記載のヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの製造方法。


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