タイトル: | 公表特許公報(A)_ジフェニルアラニン誘導体作製のための不斉水素化 |
出願番号: | 2008512351 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 231/18,C07C 235/12,C07B 53/00,C07B 61/00 |
ボールトン,リー,ティー. JP 2008540650 公表特許公報(A) 20081120 2008512351 20060509 ジフェニルアラニン誘導体作製のための不斉水素化 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 502141050 小林 浩 100092783 片山 英二 100095360 大森 規雄 100120134 鈴木 康仁 100104282 ボールトン,リー,ティー. US 60/683,150 20050520 C07C 231/18 20060101AFI20081024BHJP C07C 235/12 20060101ALI20081024BHJP C07B 53/00 20060101ALN20081024BHJP C07B 61/00 20060101ALN20081024BHJP JPC07C231/18C07C235/12C07B53/00 BC07B61/00 300 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2006017978 20060509 WO2006127273 20061130 10 20080115 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC11 4H006AC81 4H006BA24 4H006BA48 4H006BJ50 4H006BT12 4H006BV22 4H039CA19 4H039CB10 本発明は、不斉水素化プロセスに関し、より詳細には、そうした不斉水素化プロセスにおいて改善された触媒負荷量およびより短い反応時間を達成するためのキラル−ジホスフィンロジウム均一系水素化触媒の使用に関する。 非天然α−アミノ酸は、医薬原体(API)合成のための構築用ブロックの重要な類を構成する。例えば、ペプチドおよびペプチド様APIの代謝安定性、そしてそれ故にバイオアベイラビリティは、1つまたはそれ以上のこうしたアミノ酸を組み込むことによって改善することができる。非天然α−アミノ酸は、2つのアリール置換基が一般には同じである3,3−ジアリールアラニン(I)を含む幾つかの構造サブタイプに、さらに類別することができる。これらの化合物の幾つかの応用が報告されている。例えば、3,3−ジフェニルアラニン残基は、トロンビン阻害剤(Cody et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1999, 9, 2497-2502)、第IIa因子拮抗薬(WO2004073747)およびHIVアスパルチルプロテアーゼ阻害剤(WO2004056764)に組み込まれている。 新規APIにおける3,3−ジアリールアラニンの使用は、単一のエナンチオマーを生じさせる効率的で規模の拡大縮小が可能な経済的合成経路に対する要求を駆り立てている。文献に報告されている既存の経路は、様々な短所を有する。Josienら(Tetrahedron Lett., 1991, 32, 6547-6550)によって報告された(S)−ジフェニルアラニンへの経路は、化学量論的キラル助剤および低温アルキル化工程の使用を必要とする。Beylinら(米国特許第5198548号)によって報告された3,3−ジフェニルアラニンおよび置換類似体への古典的分割アプローチは、望ましくないエナンチオマーの廃棄または再加工を必要とし、工業規模では欠点が悪化するので、本質的に非効率的である。従って、API合成での使用を可能にする適切な保護基および/または活性化基を有する(S)−または(R)−3,3−ジアリールアラニンおよび誘導体を得るためのさらに有効な方法が必要とされている。 不斉触媒は、これらの欠点を克服するための魅力的な代替合成アプローチを提供するが、工業的に実行可能なプロセスのために十分な選択性および活性を有する適当なキラル触媒系を見つけるという課題を呈する。当業者は、可能性のあるプロセスの解決策としてエナミド前駆体(II)の触媒的不斉水素化を考えるかもしれないが、このタイプの経路の成功例は報告されていない。四置換オレフィンの場合のエナミド(II)は、水素化基質として、式(III)の標準的な三置換エナミドと比較してはるかに低い活性を有する。DuPhosのロジウム錯体および他のキラルジホスフィン配位子によって触媒される、後述の類の化合物の不斉水素化は、広範な3−アリールアラニン誘導体を製造するための好ましい方法としてよく知られている(代表的な参考文献には、Burkら, J. Am. Chem. Soc., 1993, 115, 10125-10138;Pyeら, J. Am. Chem. Soc., 1997, 119, 6207-6208 参照)。Burkのグループ(J. Am. Chem. Soc., 1995, 117, 9375-76)およびTurnerのグループ(J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 4098-4099)により、ロジウム−DuPhosおよびロジウム−BPE系触媒での式(IV)のエナミドの不斉水素化を用いて、β−メチルフェニルアラニン誘導体も作製された。有用であるが、これらのプロセスは、高い触媒負荷量、高い反応圧および長い反応時間の使用に依存する。 本発明者らは、DuPhosおよびBPE配位子から誘導される触媒を使用するプロセスに勝る高いエナンチオ選択性と改善された活性の両方を達成する、式IIの嵩高い3,3−ジアリールエナミドの不斉水素化プロセスを発見した。これは、高い活性および選択性によるものであるので、必要とされる触媒負荷量はより低くなり、加工時間はより短くなり、これらの両方によって実質的な経費節約をもたらすことができる。 本発明は、エナンチオマー的に富化された式(1)の3,3−ジアリールアラニン誘導体またはその反対のエナンチオマーの製造方法を含み、この方法は、キラル−ジホスフィンロジウム均一系水素化触媒の存在下での式(2)の対応するエナミドの不斉水素化を含み、前記触媒中のジホスフィンは、式(3)に示す構造を有するPhanePhos配位子(Pyeら, J. Am. Chem. Soc., 1997, 119, 6207-6208)である。本出願において用いる場合、用語「式に示す構造を有する」は、その式の構造は存在するが、追加の置換基も存在し得ることを意味する。(1)および(2)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、C6-30アリール基またはC4-30ヘテロアリール基であり、非置換である場合もありまたは置換されている場合もあり、R1は、H、アルキル(好ましくは1から10個、より好ましくは1〜3個、さらにいっそう好ましくは1または2個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(好ましくは1から10個、より好ましくは1〜3個、さらにいっそう好ましくは1または2個の炭素原子を有するもの)またはアリール(好ましくは6〜10個、より好ましくは6個の炭素原子を有するもの)であり、ならびにR2は、Hまたはアルキル(好ましくは1から10個、より好ましくは1〜3個、さらにいっそう好ましくは1または2個の炭素原子を有するもの)である。配位子(3)において、Arは、フェニル基であるか、1つまたはそれ以上のアルキル基またはアルコキシ基(好ましくは、これらのアルキル基またはアルコキシ基は、1〜10個、より好ましくは1〜3個、さらにいっそう好ましくは1〜2個、最も好ましくは1個の炭素原子を有する)を有する置換フェニル基である。配位子(3)が置換されている場合、その置換は、好ましくは、[2.2]パラシクロファン骨格での置換である。この置換基は、好ましくは、1から36個の炭素原子を有する置換または非置換のアリールまたはアリールオキシまたはアリールアルキルまたはアルキルアリールまたはオブアリールアルキルオキシ(ofarylalkyloxy)またはアルキルアリールオキシまたはアルキルまたはアルコキシである。例えば、PAr2基のうちの1つに対してパラ位でのトリチルオキシメチル基によるもの(例えば、HemsらのWO2004111065参照)。得られるジアリールアラニン誘導体(1)は、様々な用途、特に、代謝安定性が強化された合成ペプチドの作製、における医薬中間体としての使用に適する。こうした誘導体は、キラルファインケミカルを必要とする他の産業部門、例えば農業および芳香剤化学物質部門、においても利用することができる。 本発明の不斉水素化は、式(2)の水素化基質を供給する工程、およびロジウムと錯体を形成している式(3)のPhanePhos配位子の存在下で水素ガスと反応させる工程を含む。本発明の好ましい実施形態において、Ar1=Ar2、より好ましくは、各々が、フェニルまたは置換フェニルであり、R1は、アルキルであり、より好ましくはメチルであり、R2は、メチルまたはエチルである。好ましい配位子は、PhanePhosそれ自体(Ar=フェニル)、Tol−PhanePhos(Ar=4−メチルフェニル)およびXyl−PhanePhos(Ar=3,5−ジメチルフェニル)であり、より好ましくは、配位子は、PhanePhosである。 本発明の方法の操作のために、基質(2)は、適切な溶媒、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびトリフルオロエタノールまたはそれらの混合物を含む群から選択されるアルコール溶媒、に溶解する。より好ましくは、前記溶媒は、メタノールである。この反応は、2〜30barの範囲内またはそれより高い水素圧で実施することができ、好ましくは、5〜15barの範囲内の水素圧で実施する。この反応は、10〜100℃の範囲内またはそれより高い温度で実施することができ、好ましくは、20〜60℃の範囲内の温度で実施する。 好ましくは、得られる3,3−ジアリールアラニン誘導体(1)は、少なくとも80%のエナンチオマー過剰率、より好ましくはエナンチオマー過剰率約90%またはそれ以上で形成される。特定の用途に必要とされる場合には、結晶化、塩誘導体の結晶化またはエナンチオ選択的生体触媒の存在下での選択的加水分解による結晶化からなる群より選択される更なる工程の追加によって、その得られる3,3−ジアリールアラニン誘導体(1)のエナンチオマー過剰率を増して、エナンチオマー過剰率約80〜90%からエナンチオマー過剰率95%またはそれ以上のものを形成することができる。 好ましい触媒は、2−アセチルアミノ−3,3−ジフェニルアクリル酸メチルの不斉水素化についての実施例1の表1にまとめた結果によって証明されるように、ビス(リン含有環)(bis(phosphacycles))などの代替配位子に基づく先行技術触媒と比較して高い選択性と高い活性の両方を明示した。 本発明を以下の実施例によってさらに説明する。 Burkらの方法(Tetrahedron Letters 1997, 38, 1309-1312)およびDengらの方法(Synthesis, 2003, 337-339)の併用によって得ることができる2−アセチルアミノ−3,3−ジフェニルアクリル酸メチルの水素化を、一定の範囲のキラルジホスフィン配位子を使用する以下の標準的な手順に従って調べた。調べた配位子の構造を図1に示す。 標準的な手順 適切なキラルジホスフィン−ロジウム水素化触媒(0.006mmol)および2−アセチルアミノ−3,3−ジフェニルアクリル酸メチル(0.45g、1.52mmol)をArgonaut Endeavorマルチウエル水素化容器の中のガラスライナーに入れ、その容器を組み立てた。その容器を窒素で10barに加圧し、その後、そのガスを開放した。このプロセスをさらに3回繰り返した。最終ガス抜き後、メタノール(6ml)をそのボンベに導入した。その後、その容器に窒素を負荷して10barにしガス抜きし、これを3回行った。その容器を適切な温度に加熱した後、水素を負荷して10barにした。18時間攪拌した後、容器を冷却し、水素圧を開放し、その容器を分解した。反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製残渣を得、それを、転化率については1H NMR分光分析法およびエナンチオ選択性についてはSFCにより分析した。 表1にまとめた結果は、PhanePhos配位子系に基づく触媒をこの基質タイプ(エントリー2、4および9)に使用したとき、速度および選択性の向上が観察されたことを明示している。匹敵する活性が、エントリー5および6で示すフェロセン配位子で観察されるが、こうした配位子は、エナンチオ選択性が不十分である。Ph−BPE配位子(エントリー7)は、高いエナンチオ選択性をもたらすが、t1/2によって判定すると、活性は、許容できないほど低い。PhanPhosは、活性およびエナンチオ選択性の最適な組み合わせをもたらす。 エナンチオマー的に富化された式(1)の3,3−ジアリールアラニン誘導体またはそれらの反対のエナンチオマー(式中、Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、C6-30アリール基またはC4-30ヘテロアリール基であり、非置換である場合もありまたは置換されている場合もあり、R1は、H、アルキル、アルコキシまたはアリールであり、ならびにR2は、Hまたはアルキルである。)の製造方法であって、 ジホスフィンが、式(3)(式中、Arは、フェニル基であるか、1つまたはそれ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有する置換フェニル基である。)に示す構造を有する配位子である、キラル−ジホスフィンロジウム均一系水素化触媒の存在下、式(2)の対応するエナミドの不斉水素化を含む方法。 Ar1=Ar2である、請求項1に記載の方法。 Ar1およびAr2が、それぞれ、フェニルまたは置換フェニルである、請求項2に記載の方法。 R1が、アルキルである、請求項1に記載の方法。 R1が、メチルである、請求項4に記載の方法。 R2が、アルキルである、請求項1に記載の方法。 R2が、メチルまたはエチルである、請求項6に記載の方法。 前記配位子(3)中のArが、フェニル、4−メチルフェニルおよび3,5−ジメチルフェニルから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。 前記配位子(3)中のArが、フェニルである、請求項8に記載の方法。 前記生成物(1)が、少なくとも80%のエナンチオマー過剰率で形成される、請求項1に記載の方法。 前記生成物(1)が、少なくとも90%のエナンチオマー過剰率で形成される、請求項1に記載の方法。 前記配位子(3)が追加の置換基を有さない、請求項1に記載の方法。 前記配位子(3)の[2.2]パラシクロファン骨格が置換されている、請求項1に記載の方法。 生成物(1)またはその誘導体のエナンチオマー過剰率を増大させるために、結晶化、塩誘導体の結晶化またはエナンチオ選択的生体触媒存在下での選択的加水分解による結晶化から成る群より選択される更なる工程を含む、請求項1に記載の方法。 本発明は、キラル−ジホスフィンロジウム均一系水素化触媒を利用する不斉水素化を含む、ジフェニルアラニン誘導体の製造方法を含む。