生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_疾患の特徴付けのための抗体−リガンド結合の使用
出願番号:2008510475
年次:2008
IPC分類:G01N 33/53,G01N 33/50,G01N 33/15


特許情報キャッシュ

ピーター・ロイド フィル・ロウ スティーブ・パスコー JP 2008541072 公表特許公報(A) 20081120 2008510475 20060508 疾患の特徴付けのための抗体−リガンド結合の使用 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト 597011463 田中 光雄 100081422 山田 卓二 100101454 岩崎 光隆 100067035 青山 葆 100062144 ピーター・ロイド フィル・ロウ スティーブ・パスコー GB 0509512.0 20050510 G01N 33/53 20060101AFI20081024BHJP G01N 33/50 20060101ALI20081024BHJP G01N 33/15 20060101ALI20081024BHJP JPG01N33/53 QG01N33/50 ZG01N33/15 Z AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2006004275 20060508 WO2006119942 20061116 18 20080108 2G045 2G045FB03 本発明は、一般にインビボ試験またはインビボ診断のための化合物または組成物の使用方法に、そして具体的には疾患の特徴付けのための抗体−リガンド結合の使用に関する。 対象への抗体投与後、標的リガンドのレベルが増加することは知られている。例えば、Charles P et al., J. Immunol. 163: 1521-1528 (1999)参照。 しかしながら、抗体投与後の総リガンドの増加と、リガンドの代謝率の関係に関して、さらなる情報が、当分野で必要とされている。また、疾患層化とリガンド代謝率の何らかの関係に関する情報も必要とされている。発明の要約 我々は、抗体が、その特異的リガンドに結合した(すなわち、捕捉された)とき、抗体−リガンド複合体の排出経路が対応して指示され、それは抗体に結合していない特異的リガンドについて、天然に起こるものとは異なることを発見した。その結果、血中の抗体結合リガンドの量は経時的に増加する。この血中の抗体結合リガンド量の増加は、抗体の特性であるだけではない。総リガンド濃度の増加は、抗体を投与した患者に特異的な特性であり、例えば標的リガンドの産生または放出の速度を示すか、または処置もしくは標的リガンドの制御に関与する疾患のような他の因子のための産生または放出速度の何らかの変化を示す。個々の患者は、リガンドの産生/放出の異なる速度を反映する異なる量の総リガンドを産生する。 したがって、本発明は、対象における疾患の診断方法を提供する。本発明の方法において、プローブ量の抗体を該対象に投与する。次いで、形成された抗体−リガンド複合体の量を、この抗体結合複合体の変化の速度および程度を決定し、そのようにして、該対象の身体部位でのリガンドの産生またはそこからの放出の速度を測定するために、計測する。次いで、抗体捕捉リガンド、プローブ抗体および/または遊離リガンドの測定した濃度を使用して、疾患状態の診断を助けるための該天然リガンドの産生および排出速度を導きだす。さらに言えば、この抗体が誘発する系の動揺により測定して、リガンドの産生または放出の速度を、疾患のマーカーまたは指標として使用できる。例えば、より多いリガンドを、故により多い抗体−リガンド複合体を産生する患者は、そのリガンドにより主に誘発される疾患を有するより高い可能性を有する。疾病は、健常な生理および/または生化学であると考えられるものからの阻害としての臨床的に意味のある何らかの計測結果であり得る。臨床採点システムの機能的生理学的指標の総体的な健康の問診に基づくが、これは、特異的生化学的マーカーを含み得る。本発明の方法は、非抗体結合標的リガンドの循環レベルが、急速な異化または不活性化のために慣用の手段で容易に測定できないとき、特に有用である。 総リガンドの対時間減少相における用量の影響を決定できるため、総リガンドに対する中和抗体の効果を、高用量においてさえ、検出できる。 本発明はまた、特定の患者のための最適な処置の同定方法も提供する。本発明の方法において、プローブ量の抗体または抗体のカクテルを該対象に投与する。次いで、形成された抗体−リガンド複合体の量を、適当なアッセイで測定する。抗体捕捉リガンドの総レベルの測定により、処置の臨床結果を予測できる。例えば、より多いリガンドを、故により多い抗体−リガンド複合体を産生する患者は、そのリガンドにより主に誘発される疾患を有するより高い可能性がある。これらの患者は、そのリガンドを標的とした治療に、良好に応答するはずである。本発明の方法により提供される、健常時および病態での自然リガンドの産生の速度に関する病態生物学の基礎的多機能性のよりよい理解が、特異的な生物学的異常を扱う適当な処置の、論理的および目標指向の選択を提供する。 本発明の方法は、確立された臨床的エンドポイントを組み合わせて使用できる。例えば、米国リウマチ学会(ACR)は、リウマチ性関節炎の処置を改善するための基準を確立している。本発明の方法はまた実験室法と組み合わせて使用できる。例えば、赤血球沈降速度(ESR)およびC反応性タンパク質の測定(CRP)は、喘息またはリウマチ性応答中の炎症の決定に有用な炎症性マーカーとして、当業者に認識されている。 一つの態様において、投与した抗体はXolair(登録商標)(オマリズマブ)であり、ここで、免疫グロブリンE(IgE)のレベルおよび産生速度が、喘息の重症度と相関する。抗体オマリズマブは、喘息およびアレルギー性鼻炎の処置に対してIgEを捕捉することにより作用する。 他の態様において、投与した抗体はACZ885(抗IL−1β抗体)であり、IL−1βの産生または放出を投与および/または処置後にモニターする。抗体ACZ885は、呼吸器疾患およびリウマチ性関節炎の処置についてインターロイキン−1−β(IL−1β)を捕捉することにより作用する。本発明の方法において、処置への応答を、IL−1βの産生/放出速度に対してモニターする。抗IL−1β治療への応答者を、こうして、IL−1βの産生または放出速度のモニターにより同定する。他の態様において、投与した抗体はABN912(抗単球化学誘引物質タンパク質)、抗IL−4、抗IL−13または抗胸腺間質リンホポエチン(抗TSLP)である。図面の簡単な説明 図面は、限定の目的ではなく、例示の目的で好ましい態様を記載する。 図1は、オマリズマブ、遊離および総IgEの間の関係を示す一組のグラフである。3名の患者からの例を示す:左パネル、プラセボ患者は、試験期間中、一定レベルのIgEを示す。この場合の総および遊離IgEは、オマリズマブが存在しないため、同じである。中央および右パネルは、オマリズマブの多回投与(中央)および1回投与(右)の効果を示す。上位の線はオマリズマブの濃度であり;中位の線は総IgE(遊離+抗体捕捉複合体)であり、下位の線は遊離の複合体を形成していないIgEである。 図2は、ACZ885、遊離および総IL−1βの関係を示す。一定量の抗体を0時に投与するまで、総および遊離IL−1βは同じである。末梢IL−1βは、その場所でそれが放出されるため、高い濃度で始まる。抗体を血中に投与したとき、間質液内で平衡化するために最大7日間かかる。上位の線および記号(x)は、末梢間質性および中心血液成分における抗体の濃度を;点線および記号(o)は総IL−1β(遊離+抗体捕捉複合体)を、下位の線は、遊離の複合体形成していないIL−1βを示す。 図3は、総IL−1βへの暴露と、関節炎疾患活動スコアの重要な要素であるC反応性タンパク質の改善率の関係を示す。総IL−1βへの暴露は、最初にACZ885の2用量を投与したときから、最後に測定したサンプルまでの血漿濃度曲線下面積として測定する。C反応性タンパク質(CRP)の改善率は、薬剤投与後のCRP濃度の減少率である。これは、相反の時間の単位による速度定数として表される。CRPは、以下の式:DAS=0.36*Loge(CRP+1)+0.014*GH+0.56*SQRT(T28)+0.28*SQRT(S28)+0.96(ここで、GHは100mmの視覚的なアナログの総体的な健康スコアであり、T28は圧痛であると計数される(28の)関節の数であり、そしてS28は腫脹関節の数である)として示される、リウマチ性関節炎疾患活動スコア(DAS)の要素である。図中の記号は、ACZ885のmg/kg用量であり、その全てが、CRPの減少においてプラセボより良好である。 図4は、喘息患者(青色)と比較した健常者(緑色)の総IL−1βのグラフであり;喘息患者は、平均して、高いレベルの捕捉リガンド(平均で)を有するように見える。 図5は、0.3mg/kg ABN912の投与に続くチャートを示す。S3に相当する線は、MCP−1の非常に急速な回転により説明できる総単球化学誘引物質タンパク質(MCP−1)の増加を示す。S1(遊離血漿MCP−1)に相当する線に関して、本発明のモデルは、ベースラインへの復帰の後の、遊離MCP−1の一過性の低下を予測する。発明の詳細な説明定義。ここで使用する用語“抗体”は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化またはキメラ抗体および、抗体フラグメントのタンパク質への結合に十分な生物学的に機能的な抗体フラグメントを含むが、これらに限定されない。Harlow & Lane, Antibodies: Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1988)参照。抗体への“特異的リガンド”は、抗体が高い親和性で結合する、例えば、対象の血中の構成要素(composition of matter)である。用語特異的リガンドの多くの記載が、当分野で利用可能である。例えば、van Oss CJ, “Nature of specific ligand-receptor bonds, in particular the antigen-antibody bond.” J. Immunoassay 21(2-3):109-42(May-August 2000)参照。 ここで使用する用語“臨床応答”は、以下のいずれかまたは全てを意味する:応答の定量的測定、応答なし、および有害応答(すなわち、副作用)。 アレルゲン暴露はアレルギー性応答を引き起こし得る。この応答中、T細胞(免疫系中の一つの細胞型)がシグナルをB細胞(Bリンパ球)に送り、IgE抗体 − アレルギー性カスケードのキー・タンパク質 − の産生を刺激する。Allergy Principles and Practice. 3rd Edition, Vol. 1, Elliot Middleton, ed. (Moseby Publishers, 1988); The Merck Manual of Medical Information Home Edition (Merck Research Laboratories 1997)。本アレルゲンに特異的なIgE抗体は、暴露後数週間以内に産生され、血流に放出される。これらのIgE抗体は、肥満細胞のような炎症性細胞上の受容体に結合し得る。未結合IgE抗体は、血中を流れ続ける。Taber's Cyclopedic Medical Dictionary, 16th Edition (F.A. Davis Company, 1989); Mayo Clinic Family Health Book. David E. Larson, ed. (William Morrow & Company, 1996)。アレルギーの個体がアレルゲンに再暴露されたとき、肥満細胞に結合したIgEへの交差架橋が起こり得る。 Xolair(登録商標)は、喘息の処置への最初のヒト化治療的抗体であり、アレルギー関連喘息の症状の根底の原因である抗体IgEを標的として設計され、初めて承認された治療である。米国特許4,816,567および6,329,509参照。食品医薬品局(FDA)は、2003年6月にXolairを承認した。米国での承認に加えて、Xolairはオーストラリアの保健機関から販売承認を受けている。Xolair(登録商標)は、循環しているヒト免疫グロブリンE(IgE)に高親和性IgE結合受容体(FcεRI)と同じ部位で結合し、それによりIgEが肥満細胞および他のエフェクター細胞に結合するのを妨げる。Xolair(登録商標)により、少ないIgE抗体しか肥満細胞にできず、IgEの交差架橋の可能性を低くし、肥満細胞が、身体の炎症性応答の原因となり得る種々の化学物質を放出するのを阻止する。 ACZ885(ヒト抗IL−1β IgG1κ抗体)は、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置のためにフェーズI試験中である、IL−1β仲介好酸球増多および肺マクロファージ蓄積の阻害剤である。公開PCT特許出願WO02/16436および公開米国特許出願2004−0063913参照。ACZ885の使用はまたリウマチ性関節炎の治療のための機構も提供する。Tolchin E, Reed Life Science News(January 20, 2005)。 ABN912は、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置のためにフェーズI試験中である、単球化学誘引物質タンパク質−1(MCP−1)に対する完全なヒトモノクローナル抗体である。公開PCT特許出願WO02/02640および公開米国特許出願2004−0047860参照。 Cuchacovich M et al., Scand. J. Rheumatol. 33:228-232(2004)は、−308腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−アルファ)プロモーター多型と、循環しているTNF−アルファレベルの、リウマチ性関節炎(RA)患者におけるインフリキシマブ処置に対する臨床応答への影響を試験した。インフリキシマブは、TNF−アルファに結合するキメラマウス/ヒト抗体である。 いくつかの一塩基多型が、ヒトTNFα遺伝子プロモーターで同定されている。これらの中で、−308多型はG/GおよびG/A遺伝子型を生成する。G/A遺伝子型は、患者における高いTNF−α産生と関連しており、リウマチ性関節炎(RA)への感受性および重症度と関連する。−308 TNFα遺伝子プロモーター遺伝子型G/AまたはG/G遺伝子型を有する患者を選択し、3mg/kgのインフリキシマブを投与した。著者らは、抗TNFα治療に付されたRA患者において、米国リウマチ学会(ACR)の改善基準と、増加した循環TNF−アルファレベルの間の関係を検出した。興味深いことに、総平均TNFαレベルは、処置後にほとんどの患者で規定レベルに関連して増加しているが、G/Aからの患者のみが、ACR50とTNFαレベルの増加の間の統計学的に有意な相関を示した。(ACR50はACR基準に従い症状の50%改善である。)。G/A遺伝子型において、平均総TNFαは試験上昇し続ける;一方G/G遺伝子型群において、平均TNFαは6週目まで増加し、次いでベースラインに向かい減少する。著者らは、これらを併せて、これらの結果は、TNFαレベルの持続した増加を、G/A群で、すなわち、遺伝的にTNFαの高い産生速度の素因がある患者において、インフリキシマブに良好な応答を示す患者の同定に使用できることを示すと示唆する。著者らは、抗体治療後に増加したTNFαレベルがないのは、この処置に低い応答を示すRA患者のサブグループを定義することを助け得ると示唆する。本発明者らはまた、患者、キメラモノクローナル抗体において、ACR基準改善と、増加した循環TNFαレベル間の有意な相関を示唆する。 Cuchacovich M et al. は、TNF−αレベルを測定するために酵素免疫測定法(ELISA)を使用し、これは遊離および複合体形成TNFαの両方の検出を可能にする。したがって、著者らは、遊離および循環TNF−αの両方および抗TNFαモノクローナル抗体に結合したTNFαの免疫複合体を含むTNF−αレベルを検出した。対照的に、本発明の方法は、遊離および複合体形成リガンドを分ける特異的アッセイの工程を含む。 以下の実施例は、より完全に本発明の好ましい態様を説明するために提供する。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲により定義された本発明の範囲をいかなる目的でも限定するものと解釈してはならない。実施例Iアレルギー性鼻炎および喘息の処置において、IgEを捕捉するオマリズマブ オマリズマブのIgEへの結合は、化学的に可逆反応:により示すことができる。 増加した量のオマリズマブは、複合体形成反応を右に進め、より多くの薬剤−リガンド複合体(オマリズマブ−IgE)を形成する。そうするために、そして質量バランスを維持するために、複合体形成していない遊離IgEの濃度は減少する。 しかしながら、この単純な反応は、抗体(オマリズマブ)、リガンド(IgE)および抗体捕捉IgE複合体の間の平衡を述べているが、全ての3つの物がそれら自体の出現および消失速度を有するという事実を説明していない。故に、より完全なモデルはである。ここで、垂直の矢印は、3つの物の導入および排出を示す。したがって、IgEの半減期(1−3日間)がIgGの半減期(23日間)より短いことを考えると、遊離および複合体の合計である総IgEの動力学は、オマリズマブおよびIgEの供給および消失速度、ならびに複合体の形成および解離の速度の両方依存することを見ることができる。故に、総リガンド(IgE)の測定は、薬剤およびリガンドの両方に関する情報を簡明に捕捉する。 IgGおよびIgEの半減期は、Brambellにより発見された(そしてそのために彼にちなんで名付けられた)、IgGのFc部分についてFcRnまたは新生児受容体と呼ばれる体内の“レスキュー”受容体の存在のために、異なる。IgGおよびIgEの両方は、飲作用により内皮細胞に取りこまれる。しかしながら、次いで、エンドソームの酸性条件下で遊離IgGはBrambell受容体に取りこまれ、次いで、細胞表面に戻り、その上で、それは中性pHへの逆戻りのためにBrambell受容体から放出される。FcRnおよびIgEに結合しない全てのIgGは、リソソーム中で分解される。 この関係を図1に視覚化する。対照(プラセボ)条件下、IgE濃度は一定のままである。オマリズマブを、1回または複数回のいずれかで投与したとき、遊離IgEの濃度が減少し、一方総IgEが増加する。このおよび上記の式から見られる通り、遊離リガンド濃度が減少するときはいつでも、総抗体捕捉リガンドが増加する。逆に、遊離リガンドが増加するときは、総リガンドは減少する。 遊離IgEの濃度がオマリズマブでの鼻炎の処置の臨床効果に関連することを表1から見ることができる。さらに、遊離IgEの減少は、表2に見ることができる通り、喘息増悪に関連する。故に、総IgEおよび遊離IgEが逆比例しているため(上記に示す通り)、臨床成績は、主として抗体捕捉リガンドから成る総IgEの測定に基づき予測可能である。IgEがアレルギー性鼻炎に重要であることは、Poole & Rosenwasser, Curr. Allergy Asthma Rep. 5(3):252-8 (May 2005)から見ることができ、彼らは“細胞上のその受容体に結合するIgEの多価アレルゲンによる交差架橋が、アレルギー性免疫応答に至る事象の連鎖を開始する。肥満細胞および好塩基球は、初期の即時応答に関与し、それは細胞脱顆粒およびヒスタミンを含む炎症促進性メディエーターの放出により示される。”と述べている。IgEがアレルギー性喘息に関与することは、Guilbert TW et al., J. Allergy Clin. Immunol. 114(6):1282-7 (2004),から見ることができ、彼らは、総血清IgEレベルが空気アレルゲン感作と最も強い相関を有することを記している。a p<0.05。p値は、投与スケジュールおよびベースラインIgEに関するANCOVAから。概算されるオッズ比={Prob(Y<j|遊離IgE群i)/[1-Prob(Y<j|遊離IgE群i)]}/{Prob(Y<j|遊離IgE群4)/[1-Prob(Y<j|遊離IgE群4)]}ここで、Yは喘息増悪エピソード数である。実施例II関節炎の処置において、IL−1βを捕捉するACZ885 ACZ885のIL−1βへの結合は、化学的に反応:により示すことができる。 故に、増加した量の薬剤ACZ885は、複合体形成反応を右に進め、薬剤−リガンド複合体を形成する。そうするために、そして質量バランスを維持するために、複合体形成していないIL−1βの濃度は減少する。 しかしながら、この単純な反応は、抗体、リガンド(IL−1β)および抗体捕捉IL−1β複合体の間の平衡を述べているが、全ての3つの物がそれら自体の出現および消失速度を有し、そして、抗体およびリガンドの両方が、抗体が投与される中枢血漿、およびリガンドが放出される末梢間質液の間の分布が存在するという事実を述べていない。故に、より完全なモデルはである。ここで、垂直の矢印は、3つの物の投入、分布平衡および排出を示す。したがって、遊離IL−1βの消失速度がIgGまたは複合体より遙かに速いため、総IL−1βの濃度(遊離および複合体の合計である)は、抗体(ACZ885)およびリガンド(IL−1β)の供給および消失速度、ならびに複合体の形成および解離速度の両方に依存して、劇的に増加することを見ることができる。 この関係を図2視覚化する。対照(プラセボ)条件下、IL−1β濃度は一定のままである。ACZ885を投与したとき、遊離IL−1βは減少し、一方(測定する)総IL−1βは増加することが予測される。このおよび上記の式から見られる通り、遊離リガンド濃度が減少するときはいつでも、総抗体捕捉リガンドが増加する。 この実施例は、ここで、遊離リガンド(IL−1β)の濃度が、アッセイ感受性がないために測定できない点で、さらに本発明の力を更に説明する。しかしながら、抗体とリガンドの間の結合関係から、遊離リガンドの濃度は抗体および総リガンドの利用可能な測定から、容易に推定できる。 図3から、総IL−1βの測定が、リウマチ性関節炎の処置の臨床効果の定量に使用する臨床スコアの主要素と関連することを見ることができる。故に、主として抗体捕捉リガンドを構成する総IL−1βのようなサイトカインが、喘息およびリウマチ性関節炎のような炎症性障害に対する臨床応答の予測を可能とする。 一つの態様において、総IL−1β AUCのアレルゲン攻撃に応答する能力への相関が、効果を定量するために、単純にFEV1曲線下面積を使用して、産生される。図4は、喘息患者(青色)と比較した健常者(緑色)の総IL−1βのグラフであり;喘息患者は、平均して、高いレベルの捕捉リガンド(平均で)を有するように見える。したがって、この態様において、総IL−1βにおける変動は、アレルゲン攻撃により誘発されるFEV1における変化の軽減におけるACZ885の有効性と相関する。 他の態様において、赤血球沈降速度(ESR)のC反応性タンパク質(CRP)の測定への置換は、全体的DASをこのマーカーに従わせるために行い、これは、ACZ885処置下で顕著に改善する。CRPおよびESRの両方とも炎症性マーカーである。CRPは、急性炎症のマーカーとしてESRの変わりにDASにおいて使用されることがあり、故に、2つの測定を合理的に置き換え得る。ACZ885の作用機構において、IL−1bの結合は炎症性マーカー(CRPおよびESR)を減少させる。圧痛および腫脹関節数および疼痛スコアは直ぐには影響を受けないが、ゆっくり減少し始めるように見える。さらに別の態様において、CRPおよびESR測定は、DASスコアの決定に併合される。 要約すると、ACZ885投与(遊離リガンド)の一次バイオマーカーの影響および/または測定は、抗体の結合親和性だけでなく、リガンド濃度、回転および発現にも感受性である。実施例IIIMCP−1へのABN912結合 抗体−リガンド相互作用は、非常に複雑であり、標的リガンドの濃度および回転に依存する。プローブとして、MCP−1を効率的に結合するABN912は、MCP−1の生物学の理解を高めている。 ABN912のMCP−1への結合の平衡は、式:により示される。 平衡で:であるため、Kon.ABN912.MCP−1=koff.[複合体]である。 ABN912の投与、およびMCP−1へのABN912の結合に続き、我々は、総MCP−1(mAb−MCP−1複合体)の大きく、急速な用量依存的な増加を発見し、これは、合成速度の増加ではなく、MCP−1の急速な回転のためである。血漿MCP−1は短時間減少し、MCP−1のベースラインレベルへの回復が、MCP−1の急速回転により示される(図4参照)。投与直後に、血清MCP−1の定量レベル(LOQ)未満への減少があった。 本抗体リガンド結合モデル(薬物動態学的/薬力学(PK/PD)モデリング)は遊離MCP−1の減少を予測し、この予測は血漿で確認される。 この実施例から、(1)遊離リガンドを減少させる能力は、抗体の結合親和性、ならびに、リガンドの濃度および回転の両方に感受性であり;そして(2)前臨床モデルを(交差反応性であるならば):KD、リガンド回転、遊離および総リガンドならびに恒常性機能に対する影響の概算に使用すべきであると結論付けることができる。 遊離標的リガンドMCP−1がむしろ速く正常レベルに戻ることが予測されるため、本発明の方法は、本治療が短時間の間標的リガンドを中和することができただけと想定された(プローブ用量でさえ処置開始24時間以内に)。したがって、本発明の方法は、この実施例の負の治療結果と、実施例Iおよび実施例IIの正の治療結果の間を区別できる。等価物 本発明は、本発明の個々の局面の一例として意図される本明細書に記載の特定の態様の観点に限定すべきではない。本発明の多くの修飾および変更が、当業者には明白な通り、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、なし得る。ここに名前を挙げたものに加えて、機能的に同等な方法および装置が、異常の記載から当業者には明らかであろう。このような修飾および変更は、添付の特許請求の範囲内に入ると解釈される。本発明は、添付の請求の範囲の観点によってのみ、そのような特許請求の範囲が与えている等価物の完全な範囲と共に、限定すべきである。オマリズマブ、遊離および総IgEの間の関係を示す一組のグラフである。3名の患者からの例を示す:左パネル、プラセボ患者は、試験の間中、一定レベルのIgEを示す。この場合の総および遊離IgEは、オマリズマブが存在しないため、同じである。真ん中および右パネルは、オマリズマブの多回投与(真ん中)および1回投与(右)の効果を示す。上の線はオマリズマブの濃度であり;真ん中の線は総IgE(遊離+抗体捕捉複合体)であり、下の線は遊離の複合体形成していないIgEである。ACZ885、遊離および総IL−1βの関係を示す。一定量の抗体を0時に投与するまで、総および遊離IL−1βは同じである。末梢IL−1βは、その場所でそれが放出されるため、高い濃度で始まる。抗体を血中に投与したとき、間質液内で平衡化するために最大7日間かかる。上の線および記号(x)は、末梢間質性および中心血液成分における抗体の濃度を;点線および記号(o)は総IL−1β(遊離+抗体捕捉複合体)を、下の線は、遊離の複合体形成していないIL−1βを示す。総IL−1βへの暴露と、関節炎疾患活動スコアの重要な要素であるC反応性タンパク質の改善速度の関係を示す。総IL−1βへの暴露は、最初にACZ885の2用量を投与したときから、最後に測定したサンプルまでの血漿濃度曲線下面積として測定する。C反応性タンパク質(CRP)の改善速度は、薬剤投与後のCRP濃度の減少の速度である。これは、相反の時間の単位による速度定数として表される。CRPは、以下の式:DAS=0.36*Loge(CRP+1)+0.014*GH+0.56*SQRT(T28)+0.28*SQRT(S28)+0.96(ここで、GHは100mmの視覚的なアナログの総体的な健康スコアであり、T28は圧痛であると計数される(28の)関節の数であり、そしてS28は腫脹関節の数である)として示される、リウマチ性関節炎疾患活動スコア(DAS)の要素である。図中の記号は、ACZ885のmg/kg用量であり、その全てが、CRPの減少においてプラセボより良好である。喘息患者(青色)と比較した健常者(緑色)の総IL−1βのグラフであり;喘息患者は、平均して、高いレベルの捕捉リガンド(平均で)を有するように見える。0.3mg/kg ABN912の投与に続くチャートを示す。S3に相当する線は、MCP−1の非常に急速な回転により説明できる総単球化学誘引物質タンパク質(MCP−1)の増加を示す。S1(遊離血漿MCP−1)に相当する線に関して、本発明のモデルは、ベースラインへの復帰の後の、遊離MCP−1の一過性の低下を予測する。 対象における疾患または状態の診断方法であって:(a) 該対象に1個の抗体を投与する;(b) 該抗体を投与した対象における、投与した抗体が結合したリガンドの総リガンド濃度を決定または計算する;そして(c) 該対象によるリガンドの産生または放出の速度を計算する工程を含み、ここで、総リガンド濃度の増加の判定は、該対象が、該リガンドの産生/放出の変化が関与する疾患または状態を有することを示す、方法。 決定段階が、投与した抗体と該投与した抗体のリガンドの複合体の排出経路の決定を含み、ここで、該複合体の排出経路が、未結合リガンドについて起こる経路とは異なる、請求項1記載の方法。(d) リガンドを標的とした治療に応答する、該リガンドが原因の疾患または状態を有する対象を決定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。 投与した抗体がXolair(登録商標)である、請求項1記載の方法。 投与した抗体がACZ885である、請求項1記載の方法。 ある抗体に対するリガンドが原因の状態を有することが疑われる対象の適切な処置を同定する方法であって:(a) 該対象に1個の抗体または抗体のカクテルを投与する;(b) 該抗体を投与した対象における、投与した抗体が結合したリガンドの総リガンド濃度を決定または計算する工程を含み、ここで、総リガンド濃度の増加により、その対象を該リガンドの濃度の低下が適切な処置であると同定する、方法。 投与した抗体または抗体のカクテルがXolair(登録商標)を含む、請求項6記載の方法。 投与した抗体または抗体のカクテルがACZ885を含む、請求項6記載の方法。 我々は、抗体が、その特異的リガンドに結合した(すなわち、捕捉された)とき、抗体−リガンド複合体の排出経路が再指示され、それは抗体に結合していない特異的リガンドについて、天然に起こるものとは異なることを発見した。その結果、血中の抗体結合リガンド濃度は経時的に増加する。総リガンド濃度の増加は、抗体を投与した患者に特異的な特性である。したがって、本発明は、対象における疾患を診断する方法、および特定の患者のための最適な処置を同定する方法を提供する。より多いリガンドを、故により多い抗体−リガンド複合体を産生する患者は、そのリガンドにより主に誘発される疾患を有するより高い可能性がある。ここれらの患者は、そのリガンドを標的とした治療に、良好に応答するはずである。本発明の方法により提供される、健康および疾患での天然リガンドの産生の速度に関する疾患生物学の根底の多機能性の良好な理解が、特異的な生物学的異常を扱う適当な処置の、論理的なおよび目標とされた選択を提供する。


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