タイトル: | 特許公報(B2)_カゼインナノ粒子 |
出願番号: | 2008508615 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 9/51,A61K 8/64,A61K 47/42,A61K 8/11,A61K 31/19,A61K 31/704,A61K 31/122,A61K 31/355,A61K 31/465,A61K 47/36,A61K 47/40,A61K 9/127,A61P 17/14,A61Q 7/00,A61Q 19/00 |
相見 牧子 根守 良一 荻原 一隆 JP 5118019 特許公報(B2) 20121026 2008508615 20070329 カゼインナノ粒子 富士フイルム株式会社 306037311 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 相見 牧子 根守 良一 荻原 一隆 JP 2006090205 20060329 20130116 A61K 9/51 20060101AFI20121220BHJP A61K 8/64 20060101ALI20121220BHJP A61K 47/42 20060101ALI20121220BHJP A61K 8/11 20060101ALI20121220BHJP A61K 31/19 20060101ALI20121220BHJP A61K 31/704 20060101ALI20121220BHJP A61K 31/122 20060101ALI20121220BHJP A61K 31/355 20060101ALI20121220BHJP A61K 31/465 20060101ALI20121220BHJP A61K 47/36 20060101ALI20121220BHJP A61K 47/40 20060101ALI20121220BHJP A61K 9/127 20060101ALI20121220BHJP A61P 17/14 20060101ALI20121220BHJP A61Q 7/00 20060101ALI20121220BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20121220BHJP JPA61K9/51A61K8/64A61K47/42A61K8/11A61K31/19A61K31/704A61K31/122A61K31/355A61K31/465A61K47/36A61K47/40A61K9/127A61P17/14A61Q7/00A61Q19/00 A61K 9/00- 9/72 A61K 47/00-47/48 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2002−255931(JP,A) 特開平07−145044(JP,A) 特表昭63−501290(JP,A) 特開平11−221028(JP,A) 国際公開第2003/080034(WO,A1) 国際公開第2003/066019(WO,A1) 特開2000−103733(JP,A) 22 JP2007056893 20070329 WO2007114262 20071011 15 20090708 高橋 樹理 本発明は、ライフサイエンス又は医療診断などの分野において使用するためのナノ粒子に関する。より詳細には、本発明は、活性物質を含有するカゼインナノ粒子に関する。 微粒子材料は、バイオテクノロジーにおいて幅広い利用が期待されている。特に近年、ナノテクノロジーの進展によって生み出されたナノ微粒子材料をバイオテクノロジーや医療に応用することが活発に検討され、研究成果も数多く報告されている。 薬剤送達システム(DDS)の分野では早くからナノ粒子への期待が強く、薬剤や遺伝子のキャリアーとしてナノ粒子が極めて有望である。中でも、高分子ミセルを用いた研究は盛んに行われているが、ほとんどの場合、AB型かABA型のブロックコポリマーがその構造の単純さから用いられている。高分子ミセルの特徴として、大きな薬物容量、高い水溶性、高い構造安定性、非蓄積性、小さな粒経(100nm以下)、機能分離性がある。このことから、標的部位へのターゲティングや、疎水性薬物の可溶化を目的とした研究が行われている。 近年、化粧品においては、ナノテクノロジーをはじめ様々な新しい技術を取り入れることにより、機能性・使用性の向上、他社品との差別化が計られており、より明確な肌効果が求められるようになってきている。肌は一般的に、角質層がバリアーとして存在するために薬物の皮膚への浸透性が低い。肌効果を十分に発揮させるためには、有効成分の皮膚透過性の改善が不可欠である。また、皮膚に対して高い有効性を持っていても、保存安定性が悪かったり、皮膚に刺激を起こしやすかったりするために製剤化が困難な成分も多い。これらを解決すべく、経皮吸収性の改善および保存安定性の向上、皮膚刺激性の低減など目的とした、様々なカプセルの開発が進められている。現在、超微細乳化やリポソームなど各種素材が研究されている(例えば、非特許文献1)。しかし、乳化に用いられる界面活性剤は安全性に懸念があり、またイオンコンプレックスによる構造形成は共有結合に比べて安定性も劣る。 高分子材料を用いれば、保存安定性や生体内における粒子の安定性の点で、大きく改善されることが予想される。しかし、ほとんどの研究は乳化重合をはじめとする合成高分子を用いたものであり、低分子に比べれば毒性は軽減されるものの、ある程度の毒性は覚悟しなければならず、より安全なキャリアーが求められている。 天然高分子は合成高分子と同様に高い構造安定性を示しながら、合成高分子よりも格段に安全性が高く、DDSキャリアーとしての利点を兼ね備えている。しかし、合成高分子に比べて天然高分子キャリアーの困難な点は、粒子作製方法である。天然高分子の粒子作製方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥およびジェットミルが利用できるが、ほとんどの場合、粒子サイズはミクロンサイズであり、大きさの制御が困難である。 特許文献1では、活性化合物を含むマルチコア構造の固体調製物を提案しているが、粒子サイズは5〜3000μmである。また、特許文献2では、高分子材料を用いたナノ粒子経皮吸収剤を提案しているが、これは界面活性剤を使用した乳化物であり、前述のように安全性および安定性に懸念がある。さらに特許文献3には、球状タンパク質粒子が記載されているが、薬物を含有する組成物としての粒子サイズは1μm以上である。上記のものを含め、これまで知られている高分子ナノ粒子は、合成高分子は言うに及ばず、天然高分子であっても、粒子形成過程で、界面活性剤や重合性モノマー、化学架橋剤などを使用しており、安全性に懸念がある。 ところで、カゼインは、ミルクに含まれる水に不溶性のタンパク質である。疎水性部分が外に面しているため、集合体を作りやすく、10-100個のカゼインが集まり、20nm程のサブミセルを形成し、更には100-1000個のカゼインが集まって90-150nmのカゼインミセルを形成する。カゼインミセルがさらに集まって、500nm程のミセル会合体を形成する。したがって、カゼインミセルのサイズは分布が広く、ナトリウムやマグネシウムなどの塩の添加や、pHを酸性にすると凝集が起こる。西田 光広、フレグランスジャーナル、11月、17(2005)特開2002−204673公報特開2002−308728公報特表2005−500304号公報 本発明は、上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とする。即ち、本発明は、界面活性剤や合成高分子を使用することなく製造でき、サイズをコントロールできて、かつ酸性で安定であり、さらに活性物質を内包したナノ粒子、並びにその製造方法を提供することを解決すべき課題とした。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カゼインをpH8以上pH11未満の塩基性水性媒体に混合させ、少なくとも1種の活性物質を添加し、その溶液を pH3.5〜7.5の酸性水性媒体に注入することによって、あるいはその溶液を等電点からpH1以上離れたpHまで降下させることによって、活性物質を内包したナノ粒子を作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明によれば、下記の工程(a)から(c)によって作製される、活性物質を内包した平均粒経10nm以上300nm未満のカゼインナノ粒子が提供される。(a)カゼインをpH8以上pH11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の活性物質を添加する工程;及び(c)工程(b)で得た溶液を pH3.5〜7.5の酸性水性媒体に注入する工程: 本発明の別の側面によれば、下記の工程(a)から(c)によって作製される、活性物質を内包した平均粒経10nm以上50nm未満のカゼインナノ粒子が提供される。(a)カゼインをpH8以上pH11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の活性物質を添加する工程;及び(c)工程(b)で得た溶液を攪拌しながら、該溶液のpH を等電点からpH1以上離れたpHまで下降させる工程: 好ましくは、活性物質は、イオン性物質または脂溶性物質である。 好ましくは、活性物質は、化粧品用成分、機能性食品用成分、又は医薬品成分である。 好ましくは、化粧品用成分としては、保湿剤、美白剤、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗白髪剤、アンチエイジング剤、抗酸化剤、コラーゲン合成促進剤、抗しわ剤、抗にきび剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、香料、色素剤、制汗剤、冷感剤、温感剤、メラニン生成抑制剤、メラノサイト活性化剤、クレンジング剤、痩身剤を挙げることができ、機能性食品用成分としてはビタミン、ミネラル、抗酸化剤、抗ストレス剤、栄養補助剤、アミノ酸類、カロテノイド、果実および植物の抽出物を挙げることができ、医薬品成分としては、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗生剤、制癌剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、ホルモン剤、抗血栓剤、免疫抑制剤、皮膚疾患治療薬、抗真菌薬、核酸医薬、麻酔薬、解熱剤、鎮痛剤、鎮痒剤、抗浮腫剤、鎮咳裾痰剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン剤、催眠鎮静剤、抗不安剤、興奮剤、精神神経用剤、筋弛緩剤、抗鬱剤、総合感冒薬剤、自律神経系剤、鎮けい剤、発汗剤、止汗剤、強心剤、不整脈用剤、抗不整脈剤、血管収縮剤、血管拡張剤、抗不整脈剤、血圧降下剤、糖尿治療剤、高脂血漿剤、呼吸促進剤、鎮咳剤、ビタミン剤、寄生性皮膚疾患用剤、恒常性剤、ポリペプチド、ホルモン、不全角化抑制剤、ワクチン、又は皮膚軟化剤などを挙げることができる。 好ましくは、本発明のカゼインナノ粒子は、カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%の活性物質を含有する。 好ましくは、工程(b)において、水または水と少なくとも10重量%混和性である有機溶剤に溶解した活性物質の溶液を添加する。 好ましくは、塩基性水性媒体の重量に対して、0.1〜100重量%の水と少なくとも10重量%混和性である有機溶剤が添加されている。 好ましくは、工程(b)において、活性物質を内包したリポソーム水分散液を添加する。 好ましくは、カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%の活性物質を内包したリポソームが添加されている。 好ましくは、工程(b)において、活性物質のシクロデキストリン溶液を添加する。 好ましくは、カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%のシクロデキストリンが添加されている。 好ましくは、カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%の脂質が添加されている。 好ましくは、カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%の別種のタンパク質が添加されている。 好ましくは、カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%のカチオン性またはアニオン性多糖が添加されている。 好ましくは、カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%のカチオン性タンパク質またはアニオン性タンパク質が添加されている。 本発明の別の側面によれば、上記した本発明のカゼインナノ粒子を含む、薬物送達剤が提供される。 好ましくは、薬物送達剤が、経皮吸収剤、局所治療剤、経口治療剤、化粧品、機能性食品、又はサプリメントとして使用される。 好ましくは、薬物送達剤に含まれるエタノールが20%以下である。 好ましくは、薬物送達剤に、添加物が含まれている。 好ましくは、添加物は、保湿剤、柔軟剤、経皮吸収促進剤、防腐剤、色素剤、香料、又はpH調整剤から選択される1種以上のものである。 本発明のさらに別の側面によれば、下記の工程(a)から(c)を含む、活性物質を内包した平均粒経10nm以上300nm未満のカゼインナノ粒子の製造方法が提供される。(a)カゼインをpH8以上pH11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の活性物質を添加する工程;及び(c)工程(b)で得た溶液を pH3.5〜7.5の酸性水性媒体に注入する工程: 本発明のさらに別の側面によれば、下記の工程(a)から(c)を含む、活性物質を内包した平均粒経10nm以上50nm未満のカゼインナノ粒子の製造方法が提供される。(a)カゼインをpH8以上pH11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の活性物質を添加する工程;及び(c)工程(b)で得た溶液を攪拌しながら、該溶液のpH を等電点からpH1以上離れたpHまで下降させる工程: 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 本発明は、活性物質を内包した平均粒経10nm以上300nm未満のカゼインナノ粒子であって、下記の工程(a)から(c)によって作製されるものである。(a)カゼインをpH8以上pH11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の活性物質を添加する工程;及び(c)工程(b)で得た溶液を pH3.5〜7.5の酸性水性媒体に注入する工程、あるいは工程(b)で得た溶液を攪拌しながら、該溶液のpH をカゼインの等電点からpH1以上離れたpHまで下降させる工程: 本発明においては、所望のサイズのカゼインナノ粒子を作製できることが見出された。また、脂溶性の活性物質とカゼイン疎水性部分の相互作用を利用して、カゼインナノ粒子内に活性物質を内包できることが見出された。さらに、これらの粒子は水溶液中で安定に存在することが見出された。 脂溶性の物質としては、好ましくはClogPが0より大きく、より好ましくはClogPが1以上であり、さらに好ましくはCLogPが3以上である。 また、カゼインとイオン性多糖または別種のイオン性タンパク質との混合粒子により、イオン性活性物質を内包することも見出された。 すなわち、本発明によれば、界面活性剤や合成高分子を使用することなく、安全性の高い活性物質を内包したナノ粒子を作製することができる。 本発明のカゼインナノ粒子の平均粒子サイズは、通常は10nm以上300nm未満であり、好ましくは10〜100nmであり、さらに好ましくは、10〜50nmである。 本発明のカゼインナノ粒子は、少なくとも1種の活性物質を含む。活性物質の量は特に限定されないが、一般的には、カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%の活性物質を含有する。 本発明で用いるカゼインの由来は特に限定されず、乳由来であっても、豆由来であってもよく、α-カゼイン、β-カゼイン、γ-カゼイン、κ-カゼインおよびそれらの混合物を使用することができる。遺伝子組み換え体を使用することもできる。好ましくは、カゼインナトリウムの形態で用いることができる。カゼインは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。 本発明のカゼインナノ粒子の作製方法は、カゼインを塩基性水性媒体液に混合し、酸性水性媒体中に注入する方法と、カゼインを塩基性水性媒体液に混合し、攪拌しながら、pHを下降させる方法が挙げられる。 カゼインを塩基性水性媒体液に混合し、酸性水性媒体中に注入する方法としては、シリンジによるのが簡便で好ましいが、注入速度、溶解性、温度、撹拌状態を満足する方法であれば特に限定しない。一般的には、注入速度は、1mL/minから100mL/minで注入することができる。塩基性水性媒体の温度は、適宜設定することができるが、標準的には、0℃から80℃にすることができ、好ましくは、25℃から70℃にすることができる。水性媒体の温度は、適宜設定することができるが、標準的には、0℃から80℃にすることができ、好ましくは、25℃から60℃ですることができる。攪拌速度は、適宜設定することができるが、標準的には、100rpmから3000rpmにすることができ、好ましくは、200rpmから2000rpmである。 カゼインを塩基性水性媒体液に混合し、攪拌しながら、pHを下降させる方法としては、酸を滴下するのが簡便で好ましいが、溶解性、温度、撹拌状態を満足する方法であれば特に限定しない。塩基性水性媒体の温度は、適宜設定することができるが、標準的には、0℃から80℃にすることができ、好ましくは、25℃から70℃にすることができる。攪拌速度は、適宜設定することができるが、標準的には、100rpmから3000rpmにすることができ、好ましくは、200rpmから2000rpmである。 本発明に用いる水性媒体は、有機酸または塩基、無機酸または無機塩基の水溶液、又は緩衝液を用いることができる。 具体的には、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸、トリフルオロ酢酸、モルホリノエタンスルホン酸、2-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスルホン酸のような有機酸;トリス(ヒドロキシメチル)、アミノメタン、アンモニアのような有機塩基;塩酸、過塩素酸、炭酸のような無機酸;燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムのような無機塩基を用いた水溶液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 本発明に用いる水性媒体の濃度は、約10mMから約500mMが好ましい。より好ましくは、約10mMから約200mMである。 本発明に用いる塩基性水性媒体のpHは、8以上11未満が好ましく、9以上から11未満がより好ましい。さらに好ましくはpH9.5から10.5である。pHが高すぎると加水分解の懸念や取り扱い上の危険性があるため、上述の範囲が好ましい。 本発明において、カゼインをpH8以上の塩基性水性媒体に混合させる温度は、0〜80℃が好ましく、10〜60℃が好ましい。より好ましくは、20〜40℃である。 本発明に用いる酸性水性媒体のpHは、好ましいpHは3.5〜7.5である。より好ましくはpHは4〜6である。さらに好ましくは、5〜6である。pHが3以下では粒子サイズが大きくなる傾向が見られる。カゼインを塩基性水性媒体液に混合し、攪拌しながら、pHを下降させる方法においては、下降した後の好ましいpHは等電点から1以上離れたpHから8である。 本発明で用いる活性物質の種類は、例えば、化粧品用成分又は医薬品成分から選ぶことができる。化粧品用成分としては、例えば、保湿剤、美白剤、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗白髪剤、アンチエイジング剤、抗酸化剤、コラーゲン合成促進剤、抗しわ剤、抗にきび剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、香料、色素剤、制汗剤、冷感剤、温感剤、メラニン生成抑制剤、メラノサイト活性化剤、クレンジング剤、痩身剤などを挙げることができる。機能性食品用成分としてはビタミン、ミネラル、抗酸化剤、抗ストレス剤、栄養補助剤、アミノ酸類、カロテノイド、果実および植物の抽出物を挙げることができる。また、医薬品成分としては、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗生剤、制癌剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、ホルモン剤、抗血栓剤、免疫抑制剤、皮膚疾患治療薬、抗真菌薬、核酸医薬、麻酔薬、解熱剤、鎮痛剤、鎮痒剤、抗浮腫剤、鎮咳裾痰剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン剤、催眠鎮静剤、抗不安剤、興奮剤、精神神経用剤、筋弛緩剤、抗鬱剤、総合感冒薬剤、自律神経系剤、鎮けい剤、発汗剤、止汗剤、強心剤、不整脈用剤、抗不整脈剤、血管収縮剤、血管拡張剤、抗不整脈剤、血圧降下剤、糖尿治療剤、高脂血漿剤、呼吸促進剤、鎮咳剤、ビタミン剤、寄生性皮膚疾患用剤、恒常性剤、ポリペプチド、ホルモン、不全角化抑制剤、ワクチン、又は皮膚軟化剤などを挙げることができる。上記した活性物質は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 本発明に用いられる保湿剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ヒアルロン酸、セラミド、リピジュア、イソフラボン、アミノ酸、コラーゲンなどが挙げられる。上記した保湿は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 本発明に用いられる美白剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ビタミンC誘導体、ハイドロキノン類、アルブチン、ルシノール、エラグ酸などが挙げられる。上記した美白成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 本発明に用いられるアンチエイジング剤・抗酸化剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。カロテン類、レチノイン酸、レチノール、ビタミンC誘導体、カイネチン、アスタキサンチン、トレチノイン、ビタミンEおよびその誘導体、セサミン、α−リポ酸、コエンザイムQ10、フラボノイド類、など。上記したアンチエイジング剤・抗酸化剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 本発明に用いられる抗にきび剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。サリチル酸、レゾルシン、レチノイン酸、ナジフロキサシン、アミノグリコシド系の抗生物質、テトラサイクリン系の抗生物質、リンコマイシン系の抗生物質など。上記した抗にきび剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 本発明に用いられる制癌剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。フッ化ピリミジン系代謝拮抗薬(5-フルオロウラシル(5FU)やテガフール、ドキシフルリジン、カペシタビンなど);抗生物質(マイトマイシン(MMC)やアドリアシン(DXR)など);プリン代謝拮抗薬(メソトレキサートなどの葉酸代謝拮抗薬、メルカプトプリンなど);ビタミンAの活性代謝物(ヒドロキシカルバミドなどの代謝拮抗薬、トレチノインやタミバロテンなど);分子標的薬(ハーセプチンやメシル酸イマチニブなど);白金製剤(ブリプラチンやランダ(CDDP)、パラプラチン(CBDC)、エルプラット(Oxa)、アクプラなど);植物アルカロイド薬(トポテシンやカンプト(CPT)、タキソール(PTX)、タキソテール(DTX)、エトポシドなど);アルキル化剤(ブスルファンやシクロホスファミド、イホマイドなど);抗男性ホルモン薬(ビカルタミドやフルタミドなど);女性ホルモン薬(ホスフェストロールや酢酸クロルマジノン、リン酸エストラムスチンなど);LH-RH薬(リュープリンやゾラデックスなど);抗エストロゲン薬(クエン酸タモキシフェンやクエン酸トレミフェンなど);アロマターゼ阻害薬(塩酸ファドロゾールやアナストロゾール、エキセメスタンなど);黄体ホルモン薬(酢酸メドロキシプロゲステロンなど);BCGなどが挙げられるが、これに限定されない。上記した制癌剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 本発明に用いられる抗アレルギー剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。クロモグリク酸ナトリウムやトラニラストなどのメディエーター遊離抑制薬、フマル酸ケトチフェンや塩酸アゼラスチンなどのヒスタミンH1-措抗薬、塩酸オザグレルなどのトロンボキサン阻害薬、プランルカストなどのロイコトリエン拮抗薬、トシル酸スプラタストなどが挙げられる。上記した抗アレルギー剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 本発明に用いられる免疫抑制剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ラパマイシン、タクロリムス、シクロスポリン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、ミゾリビンなどが挙げられる。上記した免疫抑制剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 本発明で用いる育毛成分の種類は、特に限定されないが、例えば、化粧品用成分又は医薬品成分から選ぶことができる。本発明において、タンパク質ナノ粒子に内包される育毛成分の具体例としては、グリチルレチン酸又はその誘導体、グリチルリチン酸又はその誘導体、ヒノキチオール、ビタミンE又はその誘導体、ビタミンC誘導体、6-ベンジルアミノプリン、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β-ブトキシエステル、イソプロピルメチルフェノール、ペンタデカン酸又はその誘導体、セファラチン、フィナステリド、t-フラバノン、カロテノイドやキネチンなどの抗酸化剤、エチニルエストラジオール、パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、ミノキシジルまたはその類縁体、塩化カルプロニウム、アデノシンなどを挙げることができる。上記した育毛成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 本発明に用いられる水と少なくとも10重量%混和性である有機溶剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、THFなどの水溶性有機溶媒が好ましい。 本発明において、活性物質は、活性物質を内包したリポソーム水分散液として添加することができる。本発明に用いられるリポソームを形成するための脂質として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。卵黄レシチン、大豆レシチン、卵黄ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、などが挙げられる。これらの他にホスファチジルセリン類、ホスファチジルエタノールアミン類、コレステロールなどを含んでいてもよい。 本発明に用いられるシクロデキストリンとして具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2,6-ジ-O-メチル-α-シクロデキストリン、2,6-ジ-O-メチル-β-シクロデキストリン、グルクロニルグルコシル-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、6-O-α-マルトシル-α-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、2,3,6-トリ-O-メチル-β-シクロデキストリン、6-O-α-D-グルコシル-α-シクロデキストリン、などが挙げられる。 本発明に用いられる脂質として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴシン類、セラミド、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、大豆油、オリーブ油、スクワラン、などが挙げられる。 本発明で用いる別種のタンパク質の種類は特に限定されないが、分子量1万から100万程度のタンパク質を用いることが好ましい。タンパク質の由来は特に限定されないが、ヒト由来のタンパク質を用いることが好ましい。タンパク質として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、トランスフェリン、フィブリン、フィブリノーゲン、グロブリン、フィブロイン、ラミニン、フィブロネクチン、又はビトロネクチンなどを使用することができる。また、タンパク質の由来は特に限定するものではなく、牛、豚、魚、および遺伝子組み換え体のいずれも用いることができる。その中で好ましいものは、ゼラチン、アルブミンである。 本発明に用いられるアニオン性多糖とはカルボキシル基、硫酸基又はリン酸基等の酸性極性基を有する多糖類である。以下に具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸、カルボキシメチルデキストラン、アルギン酸、ペクチン、カラギーナン、フコイダン、アガロペクチン、ポルフィラン、カラヤガム、ジェランガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸類等が挙げられる。 本発明に用いられるカチオン性多糖とは、アミノ基等の塩基性極性基を有する多糖類である。以下に具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。キチン、キトサンなどのグルコサミンやガラクトサミンを構成単糖として含むものなどが挙げられる。 本発明に用いられるアニオン性タンパク質とは等電点が生理的pHよりも塩基性側にあるタンパク質およびリポタンパク質である。具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、チトクロムC、リボヌクレアーゼ、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、α−キモトリプシンなどが挙げられる。 本発明に用いられるカチオンタンパク質とは等電点が生理的pHよりも酸性側にあるタンパク質およびリポタンパク質である。具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ポリリジン、ポリアルギニン、ヒストン、プロタミン、オバルブミンなどが挙げられる。 本発明に用いられるイオン性タンパク質および多糖は、活性物質のチャージと反対のチャージを持つことが好ましく、添加量は、カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%であることが好ましい。 本発明のカゼインナノ粒子は、その中に活性物質を含むものであり、そのような活性物質を含むカゼインナノ粒子は、疾患部位に投与して用いることができる。即ち、本発明のカゼインナノ粒子は、薬物送達剤として有用である。 本発明においては、薬物送達剤の使用は特に限定することはないが、経皮吸収剤、局所治療剤、経口治療剤、化粧品、サプリメントなどが挙げられる。 本発明においては、薬物送達剤は0.01〜50重量%のタンパク質ナノ粒子を含有することが好ましく、0.1〜10重量%のタンパク質ナノ粒子を含有することがさらに好ましい。 好ましくは、薬物送達剤に含まれるエタノールが20%以下である。より好ましくは10%以下である。 本発明においては、薬物送達剤には添加物を含むことができる。添加物としては特に限定することはないが、保湿剤、柔軟剤、経皮吸収促進剤、防腐剤、色素剤、香料、又はpH調整剤などが挙げられる。 本発明で用いることができる保湿剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。カンテン、ジグリセリン、ジステアリルジモニウムヘクトライト、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム、へキシレングリコール、ヨクイニンエキス、ワセリンが挙げられる。 柔軟剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。グリセリン、ミネラルオイル、エモリエント成分(例えば、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ポリグリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、オレイン酸、オレイン酸グリセリル、カカオ脂、コレステロール、混合脂肪酸トリグリセリド、コハク酸ジオクチル、酢酸ステアリン酸スクロース、シクロペンタシロキサン、ジステアリン酸スクロース、パルミチン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ベヘン酸アラキル、ポリベヘン酸スクロース、ポリメチルシルセスキオキサン、ミリスチルアルコール、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル)が挙げられる。 経皮吸収促進剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。エタノール、ミリスチン酸イソプロピル、クエン酸、スクワラン、オレイン酸、メントール、N-メチル-2-ピロリドン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、尿素、植物油、動物油が挙げられる。 防腐剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。安息香酸、安息香酸ナトリウム、エチルパラベン、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、メチルパラベンが挙げあれる。 色素剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。カオリン、カルミン、グンジョウ、酸化クロム、酸化鉄が挙げられる。 pH調整剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸が挙げられる。 本発明のカゼインナノ粒子の投与方法として好ましいものは、経皮・経粘膜吸収が挙げられる。投与方法として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。外用液剤、湿布剤、塗布剤、清拭剤、浴剤、消毒剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、泥膏剤、パップ剤、硬膏剤、創面被覆剤、創面被覆剤-ガーゼ型、止血剤、接着剤、粘着テープ剤、経皮吸収型粘着テープ、創傷保護剤、エアゾール剤、ローション剤、トニック剤、リニメント剤、乳剤、懸濁剤、飽和剤、チンキ剤、粉剤、泡剤、化粧水、マッサージクリーム、栄養クリーム、パック、シート状皮膚外用剤、皮膚粘着タイプの化粧料、口紅、メークアップベース、ファンデーション、シャンプー、リンス、ボディーソープ、石鹸、浴用剤、経爪剤、鼻粘膜剤、口腔粘膜剤、直腸粘膜剤、膣粘膜剤、眼粘膜剤および肺粘膜剤などが挙げられる。 本発明のカゼインナノ粒子の投与量は、患者の体重、疾患の状態などに応じて適宜設定することができるが、一般的には、1回の投与につき、10μg〜100mg/kg程度を投与することができ、好ましくは、20μg〜50mg/kg程度を投与することができる。 以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1: カゼイン(乳由来・和光純薬製)20mg、コンドロイチン硫酸-C(和光純薬製)2mgをpH10リン、50mM酸バッファー1mLに混合させる。トコフェロール(和光純薬製)5mgをエタノール1mLに溶解させる。この2種の溶液を混合し、超音波をあてた後、外設40℃、800rpmの攪拌条件で、1mLをマイクロシリンジを用いて、pH5、200mMのリン酸バッファー水10mL中に注入したところ、カゼインナノ粒子が得られた。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、57nmであった。実施例2: 50mLナスフラスコに、レチノール(和光純薬製)を1mg、卵黄ホスファチジルコリン(日本油脂製)20mgを入れ、5mLのエタノールに溶かした後、ロータリーエバポレーターでエタノールを減圧除去する。これにpH9、100mMリン酸バッファー水5mLを加え、ボルテックスミキサーで振とうし、得られた懸濁液に超音波を照射することで、リポソーム分散液が得られた。得られたリポソーム分散液1mL、カゼイン(乳由来・和光純薬製)20mg、pH10、200mMリン酸バッファー水1mL混合する。前記溶液1mLを、外設40℃、800rpmの攪拌条件で、マイクロシリンジを用いて、pH5のリン酸バッファー水10mL中に注入したところ、カゼインナノ粒子が得られた。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、60nmであった。実施例3: β-カロテン(和光純薬製)5mg、エタノール0.5mL、カゼイン(乳由来・和光純薬製)20mg、シクロデキストリン(和光純薬製)5mg、pH10、50mMリン酸バッファー1mLを混合し、超音波をあてる。前記溶液1mLを、外設40℃、800rpmの攪拌条件で、マイクロシリンジを用いて、pH5、300mMのリン酸バッファー水10mL中に注入することで、カゼインナノ粒子が得られた。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、88nmであった。実施例4: カゼイン(乳由来・和光純薬製)20mg、プロタミン硫酸塩(和光純薬製)1mgをpH10、50mMリン酸バッファー1mLに混合させる。α-リポ酸1mgをイオン交換水に溶解させる。この2種の溶液を混合し、外設40℃、800rpmの攪拌条件で、1mLをマイクロシリンジを用いて、pH5、200mMのリン酸バッファー水10mL中に注入したところ、カゼインナノ粒子が得られた。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、48nmであった。*粒径測定器を変えた所、小さい値になり、電子顕微鏡写真もこの値に近い実施例5 カゼインナトリウム(乳由来・和光純薬製)100mgをpH10、100mMホウ酸バッファー10mLに混合させる。酢酸トコフェロール1mgをエタノール0.1mLに溶解させる。グリチルレチン酸5mgをエタノール1mLに溶解させる。この2種の溶液を混合し、攪拌下、塩酸を加えpHを7に調整したところ、カゼインナノ粒子が得られた。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、32nmであった。実施例6 カゼイン(乳由来・和光純薬製)100mgを、pH10、50mMリン酸バッファー10mLに混合させる。グリチルレチン酸(和光純薬製)3.4mgをエタノール0.1mLに溶解させる。この2種の溶液を混合し、攪拌下、塩酸を加えpHを7に調整したところ、カゼインナノ粒子が得られた。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、23nmであった。実施例7 カゼインナトリウム(乳由来・和光純薬製)200mgをpH10、200mMリン酸バッファー10mLに混合させる。ニコチン酸ベンジル8.5mgをエタノール0.15mLに溶解させる。この2種の溶液を混合し、攪拌下、塩酸を加えpHを7に調整したところ、カゼインナノ粒子が得られた。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、27nmであった。実施例8 カゼインナトリウム(乳由来・和光純薬製)50mgをpH10、25mMリン酸バッファー10mLに混合させる。ヒノキチオール1.7mgをエタノール0.1mLに溶解させる。この2種の溶液を混合し、攪拌下、塩酸を加えpHを7に調整したところ、カゼインナノ粒子が得られた。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、16nmであった。比較例1 カゼインナトリウム(乳由来・和光純薬製)100mgを蒸留水10mLに混合させる。グリチルレチン酸(和光純薬製)3.4mgをエタノール0.1mLに溶解させる。この2種の溶液を混合した。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、327nmであった。比較例2 カゼイン(乳由来・和光純薬製)100mgを、pH10、50mMリン酸バッファー10mLに混合させる。グリチルレチン酸(和光純薬製)3.4mgをエタノール0.1mLに溶解させる。この2種の溶液を混合し、攪拌下、塩酸を加えpHを4に調整したところ、白濁、凝集した。比較例3 カゼインナトリウム(乳由来・和光純薬製)100mgをpH12、50mMリン酸バッファー10mLに混合させた。グリチルレチン酸(和光純薬製)3.4mgをエタノール0.1mLに溶解させる。この2種の溶液を混合し、攪拌下、塩酸を加えpHを7に調整した。 上記粒子の平均粒経は、光散乱光度計、日機装(株)製ナノトラックを用い測定したところ、485nmであった。試験例1 実施例5から8のナノ粒子を、日立工機社製超遠心機CS100GXLを用いて遠心分離し、上澄み液のHPLC分析結果と添加量から粒子内に内包されている活性物質の内包率を求めた。 本発明のカゼインナノ粒子においては、界面活性剤、合成高分子を使用することなく生体適合性に問題のないカゼインを用いているので、安全性が高い。また、本発明のカゼインナノ粒子は、サイズをコントロールでき、かつ酸性で安定であるため、吸収率や使用感を改善することができる。さらに、本発明のカゼインナノ粒子においては、活性物質は内包されているため、水に不溶性または部分的にのみ可溶性な活性物質を水に安定に分散することができる。 下記の工程(a)から(c)によって作製される、活性物質を内包した平均粒経10nm以上50nm未満のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。(a)カゼインをpH8以上pH11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の活性物質を添加する工程;及び(c)工程(b)で得た溶液を攪拌しながら、該溶液のpH をカゼインの等電点からpH1以上離れたpHまで下降させる工程: 活性物質が、イオン性物質または脂溶性物質である、請求項1に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 活性物質が、化粧品用成分、機能性食品用成分、又は医薬品成分である、請求項1又は2に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 活性物質が、保湿剤、美白剤、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗白髪剤、アンチエイジング剤、抗酸化剤、コラーゲン合成促進剤、抗しわ剤、抗にきび剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、香料、色素剤、制汗剤、冷感剤、温感剤、メラニン生成抑制剤、メラノサイト活性化剤、クレンジング剤、痩身剤であり、機能性食品用成分としてはビタミン、ミネラル、抗酸化剤、抗ストレス剤、栄養補助剤、アミノ酸類、カロテノイド、果実および植物の抽出物であり、医薬品成分としては、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗生剤、制癌剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、ホルモン剤、抗血栓剤、免疫抑制剤、皮膚疾患治療薬、抗真菌薬、核酸医薬、麻酔薬、解熱剤、鎮痛剤、鎮痒剤、抗浮腫剤、鎮咳裾痰剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン剤、催眠鎮静剤、抗不安剤、興奮剤、精神神経用剤、筋弛緩剤、抗鬱剤、総合感冒薬剤、自律神経系剤、鎮けい剤、発汗剤、止汗剤、強心剤、不整脈用剤、抗不整脈剤、血管収縮剤、血管拡張剤、抗不整脈剤、血圧降下剤、糖尿治療剤、高脂血漿剤、呼吸促進剤、鎮咳剤、ビタミン剤、寄生性皮膚疾患用剤、ポリペプチド、ホルモン、不全角化抑制剤、ワクチン、又は皮膚軟化剤である、請求項3に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 活性物質が、グリチルレチン酸又はその誘導体、グリチルリチン酸又はその誘導体、ヒノキチオール、ビタミンE又はその誘導体、ニコチン酸アミド、又はニコチン酸ベンジルから選ばれる少なくとも1種である、請求項1から4の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%の活性物質を含有する、請求項1から5の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 工程(b)において、水または水と少なくとも10重量%混和性である有機溶剤に溶解した活性物質の溶液を添加する、請求項1から6の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 塩基性水性媒体の重量に対して、0.1〜100重量%の水と少なくとも10重量%混和性である有機溶剤が添加されている、請求項7に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 工程(b)において、活性物質を内包したリポソーム水分散液を添加する、請求項1から8の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%の活性物質を内包したリポソームが添加されている、請求項9に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 工程(b)において、活性物質のシクロデキストリン溶液を添加する、請求項1から8の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%のシクロデキストリンが添加されている、請求項11に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%の脂質が添加されている、請求項1から12の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%の別種のタンパク質が添加されている、請求項1から13の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%のカチオン性またはアニオン性多糖が添加されている、請求項1から14の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 カゼインの重量に対して、0.1〜100重量%のカチオン性タンパク質またはアニオン性タンパク質が添加されている、請求項1から15の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物。 請求項1から16の何れか1項に記載のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物を含む、薬物送達剤。 経皮吸収剤、局所治療剤、経口治療剤、又はサプリメントとして使用される、請求項17に記載の薬物送達剤。 エタノール含有量が20%以下である、請求項17又は18に記載の薬物送達剤。 薬物送達剤に、添加物が含まれている、請求項17から19の何れか1項に記載の薬物送達剤。 添加物が、保湿剤、柔軟剤、経皮吸収促進剤、防腐剤、色素剤、香料、又はpH調整剤から選択される1種以上のものである、請求項20に記載の薬物送達剤。 下記の工程(a)から(c)を含む、活性物質を内包した平均粒経10nm以上50nm未満のカゼインナノ粒子を含有する水性媒体分散物の製造方法。(a)カゼインをpH8以上pH11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の活性物質を添加する工程;及び(c)工程(b)で得た溶液を攪拌しながら、該溶液のpH をカゼインの等電点からpH1以上離れたpHまで下降させる工程: