タイトル: | 特許公報(B2)_口腔内速崩壊性錠剤 |
出願番号: | 2008507527 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 35/74,A61K 47/38,A61K 47/04,A61K 47/36,A61K 47/26,A61K 9/20,A61P 1/14,A61P 1/00 |
野崎 正嗣 茂木 幸応 松本 加奈 JP 5100634 特許公報(B2) 20121005 2008507527 20070323 口腔内速崩壊性錠剤 興和株式会社 000163006 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 中村 和広 100108903 渡辺 陽一 100117019 武居 良太郎 100150810 野崎 正嗣 茂木 幸応 松本 加奈 JP 2006083857 20060324 20121219 A61K 35/74 20060101AFI20121129BHJP A61K 47/38 20060101ALI20121129BHJP A61K 47/04 20060101ALI20121129BHJP A61K 47/36 20060101ALI20121129BHJP A61K 47/26 20060101ALI20121129BHJP A61K 9/20 20060101ALI20121129BHJP A61P 1/14 20060101ALI20121129BHJP A61P 1/00 20060101ALI20121129BHJP JPA61K35/74 AA61K47/38A61K47/04A61K47/36A61K47/26A61K9/20A61P1/14A61P1/00 A61K 35/74 A61K 9/20 A61K 47/04 A61K 47/26 A61K 47/36 A61K 47/38 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平11−012161(JP,A) 特開2005−162613(JP,A) 特開2000−026292(JP,A) 特表2005−528324(JP,A) 特開2000−063289(JP,A) 特開平11−199496(JP,A) 特開平05−004926(JP,A) 特開平04−041434(JP,A) 特表平10−500426(JP,A) 木村貞勝他,結晶セルロ-ス・軽質無水ケイ酸(商品名プロソルブ)の製剤への応用 (1) ,日本薬学会年会要旨集,2004年 3月 5日,Vol.124th No.4,p.96,30【P2】III-343 木村貞勝他,結晶セルロ-ス・軽質無水ケイ酸(商品名プロソルブ)の製剤への応用(2),日本薬学会年会要旨集,2005年 3月 5日,Vol.125th, No.2 ,p.134,29-0672 5 JP2007057007 20070323 WO2007111375 20071004 10 20091117 遠藤 広介 本発明は、口腔内の唾液の存在下又は少量の水の存在下において速やかに崩壊する口腔内速崩壊性錠剤に関し、更に詳しくは、有用菌を含有し、長期間の保存安定性にも優れた口腔内速崩壊性錠剤に関する。 ヒトの腸内には腸内細菌が存在しており、最近では腸管全体には100兆個もの腸内細菌がいると言われ、腸内細菌叢を形成している。腸内細菌にはビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌又は善玉菌と大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌とがあり、これらの細菌のバランスが保たれてヒトに有用な働きをもたらしている。このバランスが乱れると栄養成分の分解、消化、吸収、免疫、感染防御、老化などに影響を与え、腸内細菌叢のバランス維持がヒトの健康に深く関わっていることが近年知られてきている。腸内細菌叢の乱れは、ストレスや食生活の乱れ、疲労、睡眠不足などの現代人がよく陥る状況が原因となるだけではなく、加齢も腸内細菌叢が乱れる原因となる等、誰にでも起こりうる症状である。 腸内細菌叢のバランスを改善するために、ビフィズス菌等の生菌製剤が医療用医薬品、一般医薬品又はサプリメントとして散剤、錠剤、カプセル剤などの形で患者に提供されている。 口腔内崩壊性錠剤は、高齢者、小児など嚥下能力が低い患者又は一般の成人でも、服用場所を選ばず、水無しで服用可能な製剤としてその開発が望まれており、既にそのような製剤は幾つか開発されている。このような製剤を開示する公知文献として、(1)薬物、糖類、糖類の粒子表面が湿る程度の水分を含む混合物を打錠し、乾燥させる方法(特開平5−271054号公報参照)により製造される錠剤、(2)薬物、水溶性賦形剤及び非晶質糖類を圧縮成型後、エージングさせる方法(特開平11−12161号公報参照)により製造される錠剤、(3)薬物、乳糖、結晶セルロース及び軽質無水ケイ酸を一定の比率で含有し、更にクロスポピドン等の崩壊剤を含有することを特徴とする錠剤(特開2000−273038号公報参照)が知られている。 更に、(4)日本薬学会第124年会において「結晶セルロース・軽質無水ケイ酸(商品名プロソルブ)の製剤への応用(2)」において、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸の生菌製剤への応用処方が示されており、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸は低い打錠圧での製剤化が可能であり、打錠時の生菌数のロスを減らすことが可能であったこと及びこのときの錠剤の崩壊時間は約1.5〜2分であったことが示されている。 しかしながら、これらの公知文献には有用菌を含有する口腔内崩壊性錠剤は明示されていない。即ち、(1)の錠剤は湿潤した混合物を打錠するため、水分に不安定な有用菌には適用することが難しく、(2)の錠剤は一定の温度、湿度の条件下で裸錠をエージングさせる必要があり、これは錠剤の乾燥減量を増大させ、有用菌の保存安定性が低下するという欠点がある。(3)の錠剤は本発明とは錠剤の組成が異なるうえ、本発明で用いられる結晶セルロース・軽質無水ケイ酸は使用されていないうえ、有用菌製剤及びその保存安定性に関しては何ら記載されていない。また、(4)には、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸をビフィズス菌等有用菌に応用した例が示されており、打錠時の生菌数のロスを減らすことが可能であることも示されている。しかしながら、(4)には、得られた生菌製剤の保存安定性や速崩壊性の記載はない。 従って、本発明の目的は、有用菌については、口腔内で速やかに崩壊し、適度な強度を有し、通常の圧縮成型機を用いて非常に簡便な方法で製造でき、かつ含有する有用菌の長期間の保存安定性にも優れた口腔内速崩壊性錠剤を開発することにある。 本発明に従えば、有用菌、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸及びデンプン含有糖類を含有し、水分含量が3.2重量%以下である口腔内速崩壊性錠剤が提供される。 以下に本発明の態様を記載する。(1)有用菌がビフィズス菌又は乳酸菌である前記口腔内速崩壊性錠剤。(2)有用菌がビフィズス菌である前記口腔内速崩壊性錠剤。(3)結晶セルロース・軽質無水ケイ酸を、錠剤100重量部に対して、35〜70重量部含有する前記口腔内速崩壊性錠剤。(4)デンプン含有糖類を、錠剤100重量部に対して、25〜60重量部含有する前記口腔内速崩壊性錠剤。(5)錠剤100重量部に対して、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸を40〜70重量部含有し、デンプン含有糖類を30〜60重量部含有する前記口腔内速崩壊性錠剤。(6)錠剤硬度が30N〜60Nである前記口腔内速崩壊性錠剤。(7)有用菌、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸及びデンプン含有糖類の混合末を乾燥状態で圧縮成形し、水分が3.2重量%以下の錠剤を得る口腔内速崩壊性錠剤の製造方法。 本発明者等は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、有用菌に結晶セルロース・軽質無水ケイ酸及びデンプン含有糖類を配合したものは、通常の打錠機により比較的低い打錠圧で打錠することにより、口腔内で速やかに崩壊し、適度な強度を有し、かつ有用菌の打錠時の死滅率が少なく、しかも長期間の保存安定性にも優れた口腔内速崩壊性錠剤が得られることを見出した。本発明は、この様な知見に基づき更に研究を重ねることにより完成された。 本発明で用いられる有用菌はヒトの消化活動に有用なものであればいずれでも良い。ビフィズス菌類(Bifidobacterium longum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breveなど)、乳酸菌類(Lactobacillus casei、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus acidophilus、Streptococcus faecalis、Streptococcus thermophilusなど)を挙げることができる。好ましくは、ビフィズス菌、特にビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)やビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)などのビフィズス菌を挙げることができる。有用菌は、適宜、2種又はそれ以上を配合して使用することもできる。 本発明で用いる有用菌は、例えば生菌粉末、凍結乾燥品等の形態のものを用いることができる。その配合量は錠剤100重量部に対して、0.03〜30重量部とすることができ、より良好な成形性を得るためには0.1〜20重量部、とりわけ0.5〜10重量部とすることが好ましい。配合菌数は特に限定しないが、その有効性から考えて生菌が105〜1010個/錠であり、好ましくは106〜109個/錠である。 本発明で用いる有用菌は、有用菌に悪影響を及ぼさない医薬品、健康食品等の他の有効成分と組み合わせて使用することもできる。 本発明で用いる結晶セルロース・軽質無水ケイ酸は結晶セルロースと少量の軽質無水ケイ酸をスラリー状で混合後、噴霧乾燥法にて製造される賦形剤であり、特許第3300364号にその製造方法が示されている。このものは、JRS PHARMA社より「プロソルブ(PROSOLV)」(登録商標)として市販されているものを使用することができる。結晶セルロース・軽質無水ケイ酸は、錠剤100重量部に対して、約35〜70重量部、好ましくは40〜70重量部使用される。 本発明で用いるデンプン含有糖類は、少なくともデンプンを含有するものであればよく、デンプンのみでもよいし、デンプンと1種類又はそれ以上の他の糖類を適宜の割合で単に混合したものでも良いし、それらを造粒したものでもよい。本発明ではデンプン含有糖類として、通常、デンプンを40重量部以上、好ましくは70重量部以上含むものが使用される。デンプン含有糖類の造粒方法としては特に制限はないが、噴霧乾燥、攪拌造粒、流動層造粒、押し出し造粒等が挙げられる。デンプンは特に由来を問わない。例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、馬鈴薯デンプンなどが挙げられる。また他の糖類としては、例えば乳糖、ラクツロース、白糖、麦芽糖、粉飴、ブドウ糖、果糖、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどが挙げられる。 デンプン含有糖類の使用量は、デンプン含有糖類に含まれるデンプンの含有量等により異なるが、通常、錠剤100重量部に対して25〜60重量部使用される。例えば、デンプン含有糖類としてデンプンと乳糖を約7:3の割合で含有するデンプン・乳糖造粒混合物を用いた場合は、錠剤100重量部に対して、約25〜60重量部、好ましくは30〜60重量部使用される。 本発明の錠剤は、所望により、錠剤の製造に一般的に使用されている種々の添加剤を配合しても良い。そのような添加剤は、単独又は適宜の割合で混合して使用しても良い。添加剤としては、例えば崩壊剤、結合剤、酸味剤、発泡剤、人工甘味料、矯味剤、香料、流動化剤、滑沢剤、着色剤、安定化剤、賦形剤などが挙げられる。 一般に、口腔内速崩壊性錠剤では所望の崩壊性を持たせるために、通常、崩壊剤を配合する。これらの崩壊剤として、例えばクロスポピドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。なかでもクロスポピドンが汎用されている。しかし、本発明の口腔内速崩壊性錠剤は崩壊剤を配合しなくとも、口腔内で速やかに崩壊する。 本発明の口腔内速崩壊性錠剤の製造は、有用菌、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸及びデンプン含有糖類に所望により他の添加剤を加えたものを乾燥状態で圧縮成形し、水分が3.2重量%以下の錠剤を得ることにより行われる。本発明において有用菌等の添加物の粒子径は特に限定されないが、粒子が小さいものを用いた方が服用感に優れたものが得られる。また、所望により有用菌を除く他の添加物は、湿式造粒工程を経た後乾燥したものを用いてもよい。この場合、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸、デンプン含有糖類等を常法により混合した後、噴霧乾燥、攪拌造粒、流動層造粒、押し出し造粒等の処理が行われる。圧縮成形は一般に錠剤の成形に使用される装置が利用され、例えばロータリー式打錠機などを用いることができる。 本発明では、打錠時に有用菌が死滅するのを避けるため、打錠圧は比較的低めに設定し、しかも錠剤が破損することがない硬度が得られるように打錠することが好ましい。打錠圧は、通常、約1トン以下が好ましい。 かくして得られる本発明の口腔内速崩壊性錠剤は口腔内で崩壊性があり、適度な錠剤硬度を示す。口腔内での崩壊時間は通常5〜50秒、好ましくは5〜40秒、更に好ましくは5〜30秒である。また、錠剤硬度は、流通過程において錠剤が破損することのない強度で、かつ崩壊時間が短い錠剤が得られるようにするため、好ましくは、約30N〜60N、更に好ましくは、約30N〜50Nの硬度を有する。 錠剤中の水分含量は有用菌の長期間の保存安定性に著しく影響を与える。このため、本発明では口腔内速崩壊性錠剤の水分含量はできるだけ少なくする必要がある。本発明では、水分含量は3.2重量%以下、好ましくは2.5重量%以下に保たれる。また、錠剤の保管は、通常、乾燥剤を入れたガラス瓶に錠剤を入れて保存する、アルミ包材で錠剤を完全に密閉するSP包装等が好ましい。 服用方法としては、(1)本錠剤を口に含み、水なしで唾液により口腔内で錠剤を崩壊させて、そのまま服用する方法、(2)本錠剤を口に含み、更に少量の水も含み、口腔内で崩壊させて服用する方法、(3)水と共に本錠剤を口に含み、そのまま服用する方法、あるいは(4)本錠剤を水で崩壊させた後で服用する方法が挙げられる。本発明の口腔内速崩壊性錠剤は(a)水なしで服用する機会が多い場合、(b)錠剤を飲み込むことが困難な患者が服用する場合、(c)同時に多くの薬剤を服用する必要の多い場合、又は(d)通常の錠剤では喉に詰まらせてしまう恐れのある高齢者や子供が服用する場合、などに特に有効に利用できる。 以下に実施例、比較例を示し、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。錠剤の物性(硬度、崩壊時間及び有用菌安定性試験)は下記試験法により測定した。 尚、以下の実施例、比較例で使用したビフィズス菌粉末は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)とビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)を培養した後、凍結乾燥処理を施して得られた粉末で、約1×1010個/gの生菌を有するものである。(1)硬度試験 錠剤硬度計(FUJIWARA)を用いて測定した。試験は10回行い、その平均値を示した。(2)崩壊試験 日本薬局方による崩壊試験により評価した。試験は崩壊試験器(富山産業(株))を用い、補助板なしで測定した。試験液は水(37℃)を用いた。試験は6錠について行い、その平均値を示した。(3)口腔内崩壊時間測定 口腔内の唾液のみで錠剤が崩壊するまでの時間を測定した。試験は3回行い、その平均値を示した。(4)保存安定性試験 各錠剤をアルミ包装後、温度40℃、75%相対湿度下に1週間又は2週間保存した。その間の菌数の減少はビフィドバクテリウム鑑別用培地(馬脱繊維血液添加)を用いて平板塗抹法により測定した。保存前の生菌数と保存後の生菌数よりビフィズス菌の生存率を求めた。実施例1〜3 ビフィズス菌粉末、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸(プロソルブ90、JRS PHARMA製)、デンプン含有糖類(トウモロコシデンプン、トウモロコシデンプン造粒品、トウモロコシデンプン・乳糖造粒混合物(トウモロコシデンプン:乳糖(重量比)=70:29)のいずれか1種)を混合後、ステアリン酸Mgを添加、再混合し、打錠用末とした。ロータリー式打錠機(PICCORA、RIVA.S.A製)を用いて、糖衣型の杵で1錠280mg、9mmφ、硬度が約40Nとなるように打錠した。得られた錠剤について崩壊試験及び口腔内崩壊時間の測定を行った。その結果を表1に示した。 表1の結果より本発明の口腔内速崩壊性錠剤は適度な強度を有し、かつ崩壊試験および口腔内崩壊試験で優れた崩壊性を示すことが分かる。実施例4及び比較例1 ビフィズス菌粉末、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸(プロソルブ90、JRS PHARMA製)、トウモロコシデンプン・乳糖造粒混合物を混合後、ステアリン酸Mgを添加、再混合し、打錠用末とした。ロータリー式打錠機(PICCORA、RIVA.S.A製)を用いて、糖衣型の杵で1錠280mg、9mmφ、硬度が約40Nとなるように打錠した。得られた錠剤について保存安定性試験(保存期間2週間)を行った。その結果を表2に示した。 表2の結果より本発明の口腔内速崩壊性錠剤は崩壊試験で優れた崩壊性を示し、更にビフィズス菌の生存率も優れていることが分かる。これに対し、デンプン含有糖類(トウモロコシデンプン・乳糖造粒混合物)を含有していない錠剤は、バスケット内に錠剤の小片が残り続けるため崩壊時間が長くなり、生存率が低くなることが分かる。比較例2及び3 ビフィズス菌粉末、結晶セルロース(アビセルPH101、旭化成(株))、マンニトール、乳糖、軽質無水ケイ酸、クロスポピドン(コリドンCL、BASF社製)を混合後、ステアリン酸Mgを添加、再混合し打錠用末とした。ロータリー式打錠機(PICCORA、RIVA.S.A製)を用いて、糖衣型の杵で1錠280mg、9mmφ、硬度が約40Nとなるように打錠した。得られた錠剤について崩壊試験、口腔内崩壊時間測定および保存安定性試験(保存期間1週間)を行った。その結果を表3に示した。 表3の結果より本発明の口腔内速崩壊性錠剤は適度な強度を有しつつ、口腔内で優れた崩壊性を示し、更にビフィズス菌の生存率も優れていることが分かる。これに対し、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸及びデンプンを配合することなく製造した錠剤は、保存安定性が著しく低くなることが分かる。実施例5並びに比較例4及び5 ビフィズス菌粉末、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸(プロソルブ90、JRS PHARMA製)、トウモロコシデンプン、トウモロコシデンプン・乳糖造粒混合物を混合後、ステアリン酸Mgを添加、再混合し、打錠用末とした。ロータリー式打錠機(PICCORA、RIVA.S.A製)を用いて、糖衣型の杵で1錠280mg、9mmφ、硬度が約30〜40Nとなるように打錠した。錠剤の乾燥減量は2.2〜7.3重量%のものを製造した。得られた錠剤について崩壊試験、口腔内崩壊時間測定および保存安定性試験(保存期間1週間)を行った。その結果を表4に示した。 表4の結果より口腔内速崩壊性錠剤が適度な強度を有しつつ、口腔内で優れた崩壊性を示し、しかも優れた生存率を得るためには錠剤の水分(乾燥減量)は3.2重量%以下が好ましいことが分かる。実施例6〜9及び比較例6 ビフィズス菌粉末、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸(プロソルブ90、JRS PHARMA製)、トウモロコシデンプン・乳糖造粒混合物を混合後、ステアリン酸Mgを添加、再混合し、打錠用末とした。ロータリー式打錠機(PICCORA、RIVA.S.A製)を用いて、糖衣型の杵で1錠280mg、9mmφ、硬度が約30、40、50、60Nとなるように打錠した。得られた錠剤について崩壊試験、口腔内崩壊時間測定を行った。その結果を表5に示した。 表5の結果より崩壊時間を約40秒以内にするためには本発明の口腔内速崩壊性錠剤の硬度は約30N以上、約60N以下であることが好ましいことが分かる。実施例10〜12及び比較例7〜9 ビフィズス菌粉末、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸(プロソルブ90、JRS PHARMA製)、トウモロコシデンプン・乳糖造粒混合物を混合後、ステアリン酸Mgを添加、再混合し、打錠用末とした。ロータリー式打錠機(PICCORA、RIVA.S.A製)を用いて、糖衣型の杵で1錠280mg、9mmφ、硬度が30〜40Nとなるように打錠した。結晶セルロース・軽質無水ケイ酸の配合量は錠剤中に約9〜87重量部、トウモロコシデンプン・乳糖造粒混合物も錠剤中に約9〜87重量部含有する錠剤を製造した。得られた錠剤について崩壊試験、口腔内崩壊時間測定、打錠安定性試験、保存安定性試験を行った。その結果を表6に示した。 表6の結果より崩壊時間及び口腔内崩壊時間を40秒以内にするためには結晶セルロース・軽質無水ケイ酸の配合量は錠剤中に約35〜70重量部、デンプン含有糖類(トウモロコシデンプン・乳糖造粒混合物)の配合量は錠剤中に約25〜60重量部が好ましいことが分かる。 また、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸が9.6重量部と少なく、デンプン含有糖類が87重量部と多い錠剤(比較例7)では崩壊性が著しく悪くなるので好ましくない。一方、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸が87重量部と多くデンプン含有糖類が9.6重量部と少ない錠剤(比較例9)では保存安定性が低くなるので好ましくない。 本発明の口腔内速崩壊性錠剤は適度な強度を有しつつ、口腔内での優れた崩壊性を示し、有用菌の優れた打錠安定性と保存安定性を有している。従って、高齢者、小児など嚥下能力が低い患者又は一般の成人でも服用場所を選ばず、水無しで服用可能な錠剤として、腸内細菌叢のバランスの乱れの改善、又は腸内細菌叢のバランスの維持を望む患者に提供することができる。 有用菌、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸及びデンプン含有糖類の混合末を乾燥状態で圧縮成形して得られる、有用菌、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸及びデンプン含有糖類を含有し、水分含量が3.2重量%以下である口腔内速崩壊性錠剤であって、ここで、前記錠剤は、錠剤100重量部に対して、35〜70重量部の結晶セルロース・軽質無水ケイ酸、及び25〜60重量部のデンプン含有糖類を含有し、錠剤硬度が30N〜60Nである口腔内速崩壊性錠剤。 有用菌がビフィズス菌又は乳酸菌である請求項1に記載の口腔内速崩壊性錠剤。 有用菌がビフィズス菌である請求項1に記載の口腔内速崩壊性錠剤。 錠剤100重量部に対して、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸を40〜70重量部含有し、デンプン含有糖類を30〜60重量部含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔内速崩壊性錠剤。 有用菌、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸及びデンプン含有糖類の混合末を乾燥状態で圧縮成形して、水分含量が3.2重量%以下の錠剤を得る口腔内速崩壊性錠剤の製造方法であって、前記錠剤は、錠剤100重量部に対して、35〜70重量部の結晶セルロース・軽質無水ケイ酸、及び25〜60重量部のデンプン含有糖類を含有し、錠剤硬度が30N〜60Nである前記製造方法。