タイトル: | 公表特許公報(A)_精神医学的状態のための神経変性マーカー |
出願番号: | 2008504669 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 33/68 |
マイイント アイエ ミュ シャバラー マンフレート ベルケルク ロバート シュバルツ マルクス ジェイ. ハムペル ハーラルト ミュラー ノルベルト JP 2008537111 公表特許公報(A) 20080911 2008504669 20060330 精神医学的状態のための神経変性マーカー ジアメッド−ユーロゲン エヌ.ヴェー. 507329583 ユニバーシティー オブ マーストリヒト 507329608 ユニバーシティー オブ アントワープ 507329594 スティフング フュア ディアノスティシュ フォルシュング 503217082 Stiftung fur Diagnostische Forschung クリーニク ウント ポリクリーニク フュア サイヒアトリー ウント サイコテラピー 507329619 三枝 英二 100065215 斎藤 健治 100099988 中野 睦子 100108084 林 雅仁 100115484 マイイント アイエ ミュ シャバラー マンフレート ベルケルク ロバート シュバルツ マルクス ジェイ. ハムペル ハーラルト ミュラー ノルベルト EP EP05007558.9 20050406 G01N 33/68 20060101AFI20080815BHJP JPG01N33/68 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2006002907 20060330 WO2006105907 20061012 30 20071003 1.ウィンドウズ 2G045 2G045CA25 2G045CA26 2G045CB03 2G045CB07 2G045DA35 2G045FB06 2G045FB12 本発明は、トリプトファンの少なくとも1つの生体内分解産物の濃度を測定するステップを含み、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための方法に関する。さらに、本発明は、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための予測マーカーとしての前記値の使用と、前記値を検出するための手段を含むキットとに関する。 うつ病は、欧州において女性で14.1%、男性で8.6%、全体として12.3%の発生率を有する主な精神障害である(Copeland JR,Beekman AT,Dewey ME,Hooijer C,1999,Depression in Europe.Geographical distribution among older people.Br.J.Psychiatry;174:312−321)。地域社会においてそして従業員の間で、診断されていないうつ病の症例がある。アメリカでは、20人の従業員のうち1人がうつ病をいつ経験してもおかしくない。うつ病は、未治療のまま放置すると、結果として、生産性の低下および病気欠勤日の増加につながる。国立精神衛生協会によれば、アメリカの従業員たちは未処置のうつ病が原因で毎年およそ300万日間欠勤していた。これは、糖尿病、高血圧、および関節炎のような他の身体的疾患の従業員を超えている(Burns H,Charleston Regional Business Journal,April,2004)。 地域社会における診断されていないまたは診断不十分なうつ病に関する課題を解決するために、訪問看護師たちにPRIME−MD検査またはPDI−29検査等の箇条書き形式を用いて問診を行うよう命じた。PRIME−MD検査およびPDI−29検査のどちらも人の心理状態を評価するために作成されたものである。PRIME−MDの感度が41.7%、特異度が83%であるのに対して、より優れた検査であると考えられているPDI−29検査では感度が73.6%に、特異度が59%に達する(Preville M,Cote G,Boyer R,Hebert R(2004).Detection of depression and anxiety disorders by home care nurses.Aging Ment.Health;8(5):400−409)。 うつ病における神経化学物質の役割に関する説がある。うつ病の病態生理学において重要であると分かった神経化学物質のグループがモノアミンであり、1960年代以来提唱されていた(Coppen A,1969,Defects in monoamine metabolism and their possible importance in the pathogenesis of depressive syndrome.Psychiatr.Neural Neurochir;72(2):173−180)。さらに、トリプトファンがモノアミンオキシダーゼ阻害薬つまり抗うつ薬の効果を増加させることが分かった(Coppen A and Noguera R,1970,L−tryptophan in depression.Lancet;1(7656):1111)。数年後、セロトニン(5HT)の役割が情動障害における病因論で提唱された(Coppen A and Wook K,1982,5−Hydroxytryptamine in the pathogenesis of effective disorders.Adv.Biochem.Psychopharmacol.34:249−258)。 アルツハイマー病(AD)は最もよくあるヒト脳の神経変性疾患である。特に、ADの初期において、自覚的認知障害を伴ううつ病(いわゆるうつ病による仮性認知症または認知症症候群)とADとを区別することが重要であるが困難とされる(Tekin,S.and Cummings,J.L.(2001).Depression in dementia.Neurologist 7,252−259)。AD患者においてうつ病の有病率が15〜50%であり(Rovner,B.W.,Broadhead,J.,Spencer,M.,Carson,K.,and Folstein,M.F.(1989).Depression and Alzheimer’s disease.Am.J.Psychiatry 146,350−353.;Migliorelli,R.,Teson,A.,Sabe,L.,Petracchi,M.,Leiguarda,R.,and Starkstein,S.E.(1995).Prevalence and correlates of dysthymia and major depression among patients with Alzheimer’s disease.Am.J.Psychiatry 152,37−44)、数人の著者により、うつ症状がADの症状発現前段階の一部であると提言された(Berger,A.K.,Fratiglioni,L.,Forsell,Y.,Winblad,B.,and Backman,L.(1999).The occurrence of depressive symptoms in the preclinical phase of AD:a population−based study.Neurology 53,1998−2002.;Visser,P.J.,Verhey,F.R.,Ponds,R.W.,Kester,A.,and Jolles,J.(2000).Distinction between preclinical Alzheimer’s disease and depression.J.Am.Geriatr.Soc.48,479−484.)。 セロトニンは、気分を良好とするために脳に必要であり、脳のための増殖因子であり、トリプトファンから合成される神経化学物質である。トリプトファンは、食物からのそして体内のアミノ酸プールからのアミノ酸である。トリプトファンは、肺、白血球、胎盤、および脳中に存在している酵素であるインドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼにより部分的に分解され(Heyes MP,Satio K,Markey SP,1992,Human macrophages convert L−tryptophan into the neurotoxin quinolinic acid.Biochem.J.;283(3):633−635;Mellor AL and Munn DH,1999,Tryptophan catabolism and T−cell tolerance:immunosuppression by starvation.Immunol.Today;20(10):469−473)、また、トリプトファンは、トリプトファンジオキシゲナーゼにより肝臓で部分的に分解される。インドールアミン−2,3−ジゴキシゲナーゼを介したトリプトファン異化経路またはキヌレニン経路が血液中および脳中の両方に存在し、脳キヌレニンの60%は末梢血から生じる(Gal EM,Sherman AD,1980,L−Kynurenine:synthesis and possible regulatory function in brain.Neurochem Res;5(3):223−239)。 トリプトファンがキヌレニン経路を介して分解されるとき、次の産物となるのは、トリプトファンの最初の代謝産物であるキヌレニンである(Bender DA,1989,The kynurenine pathway of tryptophan metabolism:In TW Stone(ed).Quinolinic acid and kynurenines.Boca Raton FL:CRC Press:3−38)。このキヌレニンはさらに2つの経路:(1)神経を保護するキヌレン酸および(2)神経を変性させる3−ヒドロキシキヌレニン(3−HK)、ヒドロキシアントラニル酸、およびキノリン酸に分解される(Chiarugi A,Calvani M,Meli E,Traggiai E,Moroni F,2001,Synthesis and release of neurotoxic kynurenine metabolites by human monocyte derived macrophages.J Neuroimmunol;120(1−2):190−198)。通常は、キノリン酸の形成の方が速く、キヌレン酸はキノリン酸に対して反作用的な保護的な役割を有する(Perkins MN and Stone TW,1982,An iontophoretic investigation of the action of convulsant kynurenines and their interaction with the endogenous excitant quinolinic acid.Brain Res.;247(1):184−187)。上記の証拠に基づき、神経変性経路、神経保護経路の不均衡により人が慢性的にうつ状態になるという仮説が提唱された(Myint AM and Kim YK,2003,Cytokine−serotonin interaction through IDO:a neurodegeneration hypothesis of depression.Medical Hypothesis;61(5−6):519−525)。 神経科学の分野の科学者たちが大うつ病の病因論的要因を見つけ出そうとしたが、単一の要因は見つからず、うつ病は、遺伝的または先天的要因と精神的ストレスおよび癌等のある種の慢性疾患等の環境要因との両方により引き起こされる疾患と考えられている。さらに、生化学的診断マーカーについて調査されたが、効率的なバイオマーカーは見つからなかった。 したがって、本発明の基礎となる課題は、低分子量の生化学的マーカーを使用して精神医学的状態を検出する新規な方法を提供することである。 上記技術的課題の解決は請求項に特徴付けられた実施形態により達成される。 特に、本発明は、検査されている個人から得られた血漿試料中の、トリプトファンの少なくとも1つの生体内分解産物、好ましくは、3−ヒドロキシキヌレニン、キノリン酸、メラトニン、セロトニン、5−ヒドロキシインドール酢酸、キヌレン酸、および/またはキヌレニンの濃度を測定するステップと、精神医学的状態を評価するステップとを含む、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための方法に関する。 本明細書で用いられる用語「トリプトファンの分解産物」にはトリプトファンもまた含まれる。この血漿試料は、当技術分野において知られる任意の方法により得ることができる。本発明の好ましい実施形態では、終夜絶食した患者の早朝の血液試料をヘパリン処理済チューブ中に採取する。血漿は、前記ヘパリン処理済チューブを遠心分離し、上清となる血漿画分を分離することにより得られる。さらに好ましい実施形態において、トリプトファンの少なくとも1つの生体内分解産物の濃度を測定する前に、血漿は、最も好ましくは−70℃で凍結される。血漿の代わりに、全血、血清、尿、唾液、および脳脊髄液(CSF)等の任意の他の体液源を本発明に用いることができる。これらの体液は、当技術分野において知られる方法により得ることができる。 本発明の好ましい実施形態において、上記方法は、血漿試料中のキヌレニン濃度を測定するステップをさらに含む。 本発明の他の好ましい実施形態において、上記方法は、血漿試料中の3−ヒドロキシキヌレニン濃度を測定するステップをさらに含む。 血漿試料等の体液中のトリプトファンならびに/または3−ヒドロキシキヌレニンおよび/もしくはキヌレン酸および/もしくはキヌレニン等の分解産物の濃度の測定は当技術分野において知られる任意の方法により実施することができる。本発明の好ましい実施形態において、分析物、特にトリプトファンの分解産物の濃度の測定は高速液体クロマトグラフィーを用いて、さらに好ましい実施形態においてはUV検出器および/または蛍光検出器および/または免疫アッセイおよび/またはリガンド結合アッセイを用いて実施する。本発明の好ましい実施形態において、分析物は、リガンド結合アッセイ、たとえば抗体に基づく免疫アッセイまたは受容体結合アッセイまたは酵素結合アッセイまたはそれらのアッセイの1つまたは複数の拮抗的なタイプのものにより決定する。 本発明の他の実施形態において、トリプトファンの少なくとも1つの生体内分解産物、好ましくは3−ヒドロキシキヌレニン、キヌレン酸、および/またはキヌレニンの濃度を測定する前に、試料からたとえば実質的にタンパク質を除去する(すべてのタンパク質を除去する)。 血液試料中のキヌレン酸およびキヌレニンの濃度を測定した後、前記血漿試料中のキヌレン酸の濃度の値をキヌレニンの濃度の値で割ることにより神経保護比を決定してもよい(キヌレン酸値/キヌレニン値)。 本発明の好ましい実施形態において、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を有する個人は、約0から約18まで、より好ましくは約3から約17まで、最も好ましくは約6から約16.3までの血漿中の神経保護比により特徴付けられる。 さらに、血液試料中のキヌレン酸およびキヌレニンの濃度を測定した後、前記血漿試料中のキヌレン酸の濃度の二乗値をキヌレニンの濃度の値で割ることにより神経保護指数を決定してもよい(キヌレン酸値2/キヌレニン値)。 本発明の好ましい実施形態において、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を有する個人は、約0から約700まで、より好ましくは約100から約600まで、最も好ましくは約200から約473までの血漿中の神経保護指数により特徴付けられる。 本発明の他の実施形態において、血液試料中のキヌレン酸および3−ヒドロキシキヌレニンの濃度を測定した後、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸またはトリプトファンの濃度の値で割ることにより比(「神経変性比」)を決定してもよい(3−ヒドロキシキヌレニン値/キヌレン酸値または3−ヒドロキシキヌレニン値/トリプトファン値)。 本発明の好ましい実施形態において、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸の濃度の値で割ることにより決定された比は健康な個人と比較すると著しく増加し、うつ病を伴うことのある精神医学的状態は好ましくはアルツハイマー病(AD)である。 本発明の他の好ましい実施形態において、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を有する個人は、血漿中の3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸またはトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比により特徴付けられる。たとえばこの比が約2またはそれより大きい場合、分析物が同一ユニットにおいて提供されたものであれば、これはアルツハイマー病の徴候と考えられる。分析物が同一ユニットにおいて提供されたものであれば、血漿中の係数1000を掛けた3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値、すなわち、3−HKに1000を掛ける、をトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比にも同じことが当てはまる(3−HK×1000/TRP)。 本発明によれば、たとえばトリプトファン、3−ヒドロキシキヌレニン、キヌレニン、およびキヌレン酸を入力値として使用し、解釈上同様の結果をもたらす当技術分野で知られている任意の数式を使用してもよい。 本発明は、さらに、前記精神医学的状態を検出する特異度および/または感度を改善するために、キヌレン酸の濃度と、神経保護比と、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸の濃度の値で割ることにより決定された比と、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比と、血漿試料の神経保護指数とから成る群から選択された少なくとも2つの値を組み合わせるステップを含む、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出する方法に関する。 トリプトファンの少なくとも1つの生体内分解産物の濃度の測定と組み合わせて、少なくとも他の1つの神経変性、神経保護、または神経栄養性マーカー(複数可)の測定を含む、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための方法もまた本発明の一部である。 さらに、本発明は、(i)うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するために予測マーカーとしてキヌレン酸を使用することならびに/または(ii)血漿試料中のキヌレン酸の濃度の値をキヌレニンの濃度の値で割ることにより決定された神経保護比をうつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するために予測マーカーとして使用することならびに/または(iii)うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するために3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸の濃度の値で割ることにより決定された比および/もしくは(iv)3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比を使用することならびに/または(v)血漿試料中のキヌレン酸の濃度の二乗値をキヌレニンの濃度の値で割ることにより決定された神経保護指数をうつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するために予測マーカーとして使用することに関する。 本発明はまた、キヌレン酸の濃度と、神経保護比と、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸の濃度の値で割ることにより決定された比と、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比と、血漿の神経保護指数とから成る群から選択された少なくとも2つの値をうつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための予測マーカーとして組み合わせて使用することに関する。 本発明はまた、キヌレン酸の濃度、神経保護比、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸の濃度の値で割ることにより決定された比、血漿の神経保護指数、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比、および/または少なくとも他の1つの神経保護、神経変性、もしくは神経栄養性マーカー(複数可)を組み合わせてうつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための予測マーカーとして使用することにも関する。 生物学的マーカーまたは予測マーカーとして用いられる因子、好ましくは血漿中のキヌレン酸の濃度、神経保護比、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸の濃度の値で割ることにより決定された比、神経保護指数、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比、またはこれらの組合せがうつ病を伴うことのある精神医学的状態を個人が有するかどうかという問題に関する指標であるということをここに用いられる用語「予測マーカー」または「生物学的マーカー」は意味する。 本発明はまた、全血、血清、血漿、尿、唾液等の体液中のトリプトファン変性産物の濃度を検出するための手段を含む、精神医学的状態を検出するためのキットに関し、CSFもまた本発明で用いることができる。 本発明の好ましい実施形態において、前記血漿試料中のキヌレン酸および/またはキヌレニンおよび/または3−ヒドロキシキヌレニンおよび/またはトリプトファンの濃度を検出するための手段をキットは含む。 本発明はまた、前記バイオマーカーのうち任意のものを変更する治療的介入に関する。 表1は、実施例1の結果を示す。(性別;M=男性、F=女性;年齢(歳);TYR(チロシン、マイクロモル/リットル);VAL(バリン、マイクロモル/リットル);TRP(トリプトファン、マイクロモル/リットル);PHE(フェニルアラニン、マイクロモル/リットル);ILE(イソロイシン、マイクロモル/リットル);LEU(ロイシン、マイクロモル/リットル);Kyn(キヌレニン、マイクロモル/リットル);KA(キヌレン酸、ナノモル/リットル);TRPi;(トリプトファン指数=100×トリプトファン/{TYR+VAL+PHE+ILE+LEU});KYN/TRP(トリプトファン分解指数=キヌレニン値/トリプトファン値);KAKYN(神経保護比=1000×キヌレン酸値(マイクロモル/リットル)/キヌレニン値(マイクロモル/リットル));PROi(神経保護指数=1,000,000キヌレン酸値(マイクロモル/リットル)×キヌレン酸値(マイクロモル/リットル)/キヌレニン値(マイクロモル/リットル))) 表2は、患者と対照被験者の群特性を示す。AD=アルツハイマー病を有する患者;MD=大うつ病を有する患者;SCI:自覚的認知障害を有する健康な人;MMSE=ミニメンタルステート検査。 表3は移動相およびグラジエント条件を示す。溶媒A:50mMの酢酸ナトリウム、pH4.8;溶媒B:50mMの酢酸ナトリウム、pH3.56;溶媒C:100%のアセトニトリル;溶媒D:100%のメタノール。 表4は、アルツハイマー病(AD)を有する患者、大うつ病(MD)を有する患者、および自覚的認知障害(SCI)を有する健康な人におけるトリプトファン(TRP)、キヌレニン(KYN)、キヌレン酸(KYNA)、および3−ヒドロキシキヌレニン(3−HK)の血清レベルを示す。調査した3つの群間の差異を試験するためにノンパラメトリッククラスカルウォリスの検定を用いた。3−HKレベルおよび3−HK/TRP比に関する有意差についてマンホイットニーの検定により確認した。 以下の実施例により、実施例に限定されることなく本発明をさらに説明することとする。 実施例実施例1:ヒト血漿中の神経保護指数、神経保護比、および血漿キヌレニン濃度の測定被験者 一般病院の精神科への入院時において薬剤の投薬を受けたことがない合計48人のうつ病患者(年齢44.277±11.42歳)を採用した。同期間に定期検査のために同じ一般病院に来院した合計95人の正常な健康な人(年齢31.63±8.5歳)を対照として採用した。インフォームドコンセントをすべての被験者から得た。 すべての患者が有資格精神科医による問診を受け、DSM−IV基準に従い大うつ病と診断された(American Psychiatric Association,1994,Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders−Fourth Edition(DSM IV).Am.Psy.Asso.Washington DC)。アルコール中毒と他の急性疾患または慢性疾患とを含む他の精神障害の併存疾患を有するすべての患者を除外した。他の疾患の存在について臨床的および生化学的に確認した。 すべての対照について、患者と同じ方法で慢性疾患および急性疾患がないことを確認した。精神障害および関連障害がないかどうかについて確認するために有資格精神科医が問診を行った。試料収集 終夜絶食した早朝の血液試料をヘパリン処理済チューブに合計10ml採取し、血漿試料を収集し、後日の分析のために−70℃で保存した。患者については、退院時に再度採取を行った。試料とデータ分析 UV検出器および蛍光検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーを用い、(1)トリプトファン(μmol/l)、(2)競合アミノ酸:チロシン、バリン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、タウリン、a−アミノ−n−酪酸、およびメチオニン(μmol/l)、(3)キヌレニン(μmol/l)、ヒドロキシ−アントラニル酸(nmol/l)、ならびに(4)キレン(kyrenic)酸(nmol/l)について試料を分析した(Herve C,Beyne P,Jamault H,Delacoux E,1996,Determination of tryptophan and its kynurenine pathway metabolites in human serum by high−performance liquid chromatography.J.Chromatography B:Biomedical applications;(675):157−161.)。 血液中のトリプトファンのアベイラビリティを表わすトリプトファン指数(TRPi)(100×トリプトファン値/競合アミノ酸値の和)、トリプトファン分解を表わすトリプトファン分解指数(KYN/TRP)(キヌレニン値/トリプトファン値)、神経保護比(KAKYN)(キヌレン酸値/キヌレニン値)、およびキノリン酸の興奮毒性作用に対する神経保護の強度を表わす神経保護指数(PROi)(キヌレン酸値2/キヌレニン値)について算出した(表1)。 SPSS第11.0版を用いて統計分析を行った。結果(1)入院時、患者のトリプトファン指数は、正常対照より有意に低かったが、著しく低くはなかった(9.99±0.26対10.88±0.14)(p<0.05)。(2)入院時、患者のトリプトファン分解指数は、正常対照より有意に低かったが、著しく低くはなかった(0.03±0.002対0.05±0.02)(p<0.04)。(3)入院時、ニューロンに対する毒作用を示すヒドロキシアントラニル酸(異化におけるキノリン酸形成前のステップ)は、患者(25.265±2.437)および正常対照(25.182+0.768)間において差異(p=0.1)がなかった。(4)入院時、患者の血漿キヌレン酸濃度は、正常対照より有意にかつ著しく低かった(p<0.0001)(24.29±1.18対35.96±1.37)(図1)。(5)ROC曲線分析により、キヌレン酸値29.3nmol/lがうつ病と正常との間のカットオフポイントであり、感度が80.9%、特異度が75%であることが示された(図4)。(6)入院時、患者の神経保護比は、正常対照より有意にかつ著しく低かった(p<0.0001)(14.08±0.64対19.36±0.61)(図2)。(7)ROC曲線分析により、神経保護指数16.3がうつ病と正常との間のカットオフポイントであり、感度が75.5%、特異度が65%であることが示された(図5)。(8)入院時、患者の神経保護指数は正常対照より有意に低かった(p<0.04)(358.77±52.93対757.7±86.22)(図3)。(9)ROC曲線分析により、神経保護指数473がうつ病と正常との間のカットオフポイントであり、感度が78.7%、特異度が77.6%であることが示された(図6)。(10)単変量解析により、上記の3つのマーカーは年齢または性別による影響を受けないことが示された。結論 神経保護指数、神経保護比、および血漿キヌレン酸濃度は、正常な人とうつ病の人とを区別するために用いられる生物学的マーカーである。実施例2:高速液体クロマトグラフィーを用いたキヌレニンおよびキヌレン酸の決定1.概要: 外部標準化を用いるHPLCによるキヌレニンおよびキヌレン酸の結合測定。キヌレニンはUVで検出し、キヌレン酸はZn含有溶離溶媒中での高い蛍光により検出する。2.試料調製: 試料(血清、全血、血漿)はタンパク質除去の必要がある。 180μlの試料に20μlの過塩素酸を加える。 10分間そのままにしておき、次いで、14000gで5分間遠心分離する。100μlの上清をギルソン注入バイアルに移し、キャップし、6000gで5分間、遠心分離する。3.計測装置:構成システム23.1 ギルソン305HPLCポンプ3.2 ギルソン231オートインジェクター:ダイリュータリザーバを確認する:20%ACN/ADプログラムファイル1分析時間=4分間試料数=注入数注入体積=40μl3.3 蛍光検出器 島津社製10A(xl):励起:334nm発光:388nmSENS:1GAIN:33.4 ギルソン117検知器波長:365nm感度1:0.01感度2:0.1最小ピーク幅:8秒3.5 ギルソンユニポイントソフトウェア:メソッドファイル:KYNS2.GCTストップファイル:STOPKA2.GCT分析ファイル:KAS2.GANおよびKYNS2.G4.クロマトグラフィー: カラム:クロモリスガードカートリッジを有するクロモリスパフォーマンス4.6×100mm。緩衝液:AD中250mMのZnアセテート(500ml中27.4g)。pHを酢酸で5.8にし、メスシリンダー中、水で455mlの容量にする。これに45mlのACN(グラジエントクロマトグラフィー用)を加える。 溶媒を20分間超音波により脱気する。5.標準物質の調製:5.1 キヌレニンストック標準物質は、20mgのキヌレニン(MW208.2)を量り取り、100mlのメスフラスコ中で水に溶解させることにより調製する。標準物質をエッペンドルフカップ中1mlのアリコートとして−20℃で保存する。5.2 キヌレン酸ストック標準物質は、20mgのキヌレン酸(MW189.2)を量り取り、100mlのメスフラスコ中で1mlの12N HClとともにEtOHに溶解させることにより調製する。標準物質を−20℃で保存する。5.3 使用標準物質: キヌレニン(500μl)は5μMの濃度まで、キヌレン酸(10.0μl)は100nMの濃度まで、AD(100mlまで)中でストック標準物質を希釈する。室温で1日間安定である。6.試薬:過塩素酸(2.4M):7mlの過塩素酸+13mlのAD7.品質の調整:薬剤を含まない市販の血漿(TRP、KYN、KA)8.手順:−溶媒、試薬を調製し、使用標準物質溶液および対照血漿を解凍する。−カラムを安定化させる。−配管の確認をする。−蛍光検出器。−試料調製−標準物質の注入数、試料数、および対照数にオペレーションファイルを適合させる。−オートインジェクターをプログラムし、−スタートを実施する。−システムをシャットダウンする。9.正常値:9.1 Clin Chem 44:4,858−62(1992):KYN:1.98(中央値)範囲1.86〜2.10μM n=729.2 J Chrom B,675(1996),157−61:KYN:1.35 0.7−3.0μM n=35KA:23 6−54nM9.3 Anal Bioch 172,518−25(1988):KYN:2.21 1.30−3.32μM n=20M+20F9.4 Roseneck studie(project 11/01)KYN:1.66 1.04−2.28μM n=36実施例3:高速液体クロマトグラフィーを用いたトリプトファンおよび競合アミノ酸の決定1.概要:チロシン(TYR)、バリン(VAL)、トリプトファン(TRY)、フェニルアラニン(PHE)、イソロイシン(ILE)、ロイシン(LEU)の同時測定溶離させる他のアミノ酸:タウリン(TAU)、a−アミノ−n−酪酸(ABA)、エタノールアミン、メチオニン(MET)2.試料調製: ギルソン試料バイアル中で25μlの試料を25μlの内部標準物質溶液(IS)で希釈する。3.計測装置:3.1 ギルソンシステム13.2 ASTED: 20μl注入ループおよびダイアライザブロックを取り付ける。ダイリュータ0にプライム(Prime)溶液を、ダイリュータ1にダイアライザ溶液を使用する。ラック50のバイアル位置AおよびBにホウ酸緩衝液を置く。位置CにOPA誘導化試薬を置く。3.3 島津RF−A蛍光検出器:励起:330発光:450SENS:1GAIN:23.4 ギルソンユニポイントソフトウェア:コントロールメソッド:AZP分析メソッド:AZP4.クロマトグラフィー:カラム:Econospher C18、3μm、4.7×50mm溶媒A:57.2gのNa2HPO4.12H2Oまたは22.6 9 Na2HPO4.anhを400mlの水中で撹拌し、徐々に加熱することにより溶解させる。pHをリン酸で6.5にし、メスシリンダー中に水で1840mlの容量にする。これに、クロマトグラフィー用の160mlのアセトニトリルを加える。溶媒B:420 水/280 ACN/320 MeOH(すべてSpectrograde)。 両溶媒を20分間超音波により脱気する。5.標準物質の調製:−各化合物を100mg量り取り、100mlのメスフラスコ中で水に溶解させることにより個々のアミノ酸標準物質を調製する。−使用標準物質溶液:以下の個々の5mlのアミノ酸標準物質をメスフラスコ中で250mlの水に溶解させる:TYR、VAL、TRY、PHE、ILE、LEU。−標準物質溶液の確認:使用標準物質溶液と同様であるが、以下の化合物を追加する:TAU、ABA、MET。この溶液は標準化ではなくクロマトグラムを確認するのに使用する。−両標準物質をエッペンドルフカップ中に1mlのアリコートとして−20℃で保存する。−実用溶液の実際の濃度(マイクロM):ピーク表を参照。6.試薬:6.1 プライム溶媒(1週間):8.6gのNaClを水1l中に溶解させる。500μlのトリトンX100を加える。十分に混合し、10分間超音波にかける。6.2 透析液(1週間):NaN3と0.2MのKH2PO4(さじの先端)6.3 内部標準物質ストック溶液:100mgのノルバリンを100mlの水中に溶解させる。1.5mlのアリコートをエッペンドルフカップ中で−20℃で保存する(2年間)。6.4 内部標準物質(IS):1mlの内部標準物質ストック溶液を、シンチレーションバイアル中で2g/lのNa2−EDTA(Kestranal 2S)20mlで希釈する(1ヶ月間)。6.5 ホウ酸緩衝液:3.1gのホウ酸を400mlの水中で溶解させ、NaOH conc.でpH 9.5にし、500mlまで希釈する(1ヶ月間)。6.6 OPA:500mgのオルトフタルジアルデヒド(OPA)を100mlの三角フラスコ中で10mlのメタノールのスペクトルグレード(spectrograde)に超音波を短時間かけて溶解させる。90mlのホウ酸緩衝液および500μlのメルカプトエタノールを加える。この試薬は1か月間安定しているが、50μlのメルカプトエタノールを2日おきに加える。7.品質管理: EDTA血漿プールをエッペンドルフ社製チューブに−20℃で保存する。8.システムのシャットダウン:−溶媒Bでカラムをすすぐ−ASTEDに水をつぐ9.手順:−溶媒、試薬、ISを調製し、使用標準物質溶液および対照血漿を解凍させる。−グラジエントを3回実施することによりカラムを安定化させる:最初にポンプ1、ポンプ2(最終的に、カラムを外した状態でポンプを準備する)、Qata Master、ダイリュータ、ASTED、プリンタ、コンピュータ画面、およびコンピュータの電源を入れる。メソッドAZP2を選択し、3回実施する(「継続」をクリックする)。試料調製ありおよび試料調製なしでグラジエントを少なくとも1回確認する。−透析するためにASTEDを準備する(構成を変更する場合、最初にファイル181を実施する):試薬および溶媒を置き、プライム(prime)する。ファイル150を実施(溶離時間=50)−蛍光検出器−カラムの安定化を開始−配管を確認−確認試料(使用標準物質)のためにASTEDを設定−確認試料がOKでない場合は、改善し、再度開始する。 不確かな場合には調整用標準物質および/または品質調整用血漿をかける。−試料調製−標準物質注入数、試料数、および対照数に従いギルソンプログラムを適合させる。−ASTEDを設定する。−実施を開始する。−システムをシャットダウンする。実施例4:高速液体クロマトグラフィーを使用したヒドロキシアントラニル酸の決定1.概要: KYNをUVおよびHAAの蛍光発光により検出してもよい。2.試料調製: 試料(血清、EDTA全血、EDTA血漿、ヘパリン処理血漿、またはクエン酸血漿)を最初に4000gで遠心分離し微粒子を除去する。この試料からタンパク質を除去する必要がある。 180μlの試料に20μlの過塩素酸(6.3)を加える。 5分間そのままにし、次いで5分間14000gで遠心分離する。次いで、100μlの上清をギルソン注入バイアルに移し、キャップし、6000gで5分間遠心分離する。3.計測装置:構成システム23.1 ギルソン305HPLCポンプ3.2 ギルソン234オートインジェクター:ダイリュータリザーバを確認:20%ACN/ADプログラムファイル3分析時間=12分間試料数=注入数注入体積=45μl3.3 蛍光検出器 島津10A(xl):励起:316nm発光:420nmSENS:1GAIN:33.5 ギルソンユニポイントソフトウェア:メソッドファイル:HAAS2.GCTストップファイル:STOPSYS2.GCT分析ファイル:HAAS2.GANおよびHAAS2.GAN4.クロマトグラフィー:カラム:Prevail select C18 3μ 4.6×100mm(オルテック社99302)緩衝液:20mMの酢酸(900ml中1.2ml)をKOHでpH 5.8にし、メスシリンダー中に水で1000mlの容量にする。これに20mlのMeOH(グラジエントクロマトグラフィー用)を加える。溶媒を10分間超音波により脱気する。5.標準物質の調製:5.2 20mgのアントラニル酸(MW)を量り取り、100mlのメスフラスコ中で40mM、pH4.5のアセテートシトレートで溶解させることによりヒドロキシアントラニル酸ストック標準物質を調製する。標準物質を−80で保存する。5.3 使用標準物質:AD(100mlまで)中でヒドロキシアントラニル酸(10.0μl)の濃度が100nMになるまでストック標準物質を希釈する。6.試薬:6.3 過塩素酸(2.4M):7mlの過塩素酸+13mlのAD6.4 内部標準物質実用溶液:6.3中6.4の5倍希釈液7.手順:−溶媒、試薬を調製、使用標準物質溶液および対照血漿を解凍−カラムを安定化−配管を確認−蛍光検出器−試料調製−標準物質注入数、試料数、および対照数にオペレーションファイルを適合させ、−オートインジェクターを設定−実施を開始−システムをシャットダウン8.正常値:8.1 J Chrom B,675(1996),157−61:血清KYN:1.35 0.7−3.0μM n=35HAA:79 15−209nM実施例5:アルツハイマー病での上昇した3−ヒドロキシキヌレニン血清レベルの測定方法患者および対照被験者 臨床的にアルツハイマー病(AD)である可能性が高いと診断された20人の患者、遅発性大うつ病(MD)の20人の患者、および健康診断および神経心理学的検査により神経変性疾患が除外された記憶愁訴(SCI)を有する20人の健康な高齢の被験者におけるTRP、KYN、KYNA、ならびに3−HKの血清レベルについて調査した。 被験者の特徴については、表2を参照されたい。国立神経疾患伝達障害研究所および脳卒中/アルツハイマー疾患関連疾病協会の基準に従い、ADの可能性についての臨床診断がなされる(McKhann,G.,Drachman,D.,Folstein,M.,Katzman,R.,Price,D.,and Stadlan,E.M.(1984).Clinical diagnosis of Alzheimer’s disease:report of the NINCDS−ADRDA Work Group under the auspices of Department of Health and Human Services Task Force on Alzheimer’s Disease.Neurology 34,939−944.)。ICD−10およびDSM−IVの基準に従い、大うつ病の診断がなされる(American Psychiatric Association(1994).Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fourth Edition Text Revision.(Washington,DC:American Psychiatric Association))。AD群の疾患の平均期間は2.20年間(0〜5年間)である。すべてのAD患者は抗認知症の治療を受けておらず、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)を用いた治療を実際に受けていない。AD患者のうちの1人が緩解再発性の大うつ病の既往歴を有したが、いかなるうつ症状もない状態で病院に入院し、抗うつの薬物治療を受けていない。入院時、MD患者のうちの3人は選択的セロトニン再取り込み阻害薬で治療しており、血液試料採取時、1人は三環系抗うつ薬で、1人は抗うつ薬の併用で治療しており、残りのMD患者は抗うつ薬による薬物治療を受けていない。1人のSCI被験者は軽度のうつ病エピソードを患い、レボキセチンで治療しており、もう一人のSCI被験者が強直性脊椎炎のために単発的にNSAIDを服用している。 年齢(クラスカルウォリスの検定X2=18.223、p<0.001)、性別(X2=6.667、p=0.036)、およびミニメンタルステート検査(MMSE)のスコア(X2=31.944、p<0.001、表2参照)において群間に有意差がある。AD患者は、MD患者(マンホイットニーの検定Z=−2.654、p=0,008)およびSCI被験者(Z=−3.998、p<0.001)より高齢であり、MD患者はSCI被験者(Z=−2.072、p=0.038)より高齢である。 他に添加剤を加えずに、血清試料を真空容器中に採取する。0.5時間凝固させた後、試料を遠心分離し、上清をエッペンドルフカップ(エッペンドルフ社、ハンブルグ、ドイツ)に等分し、直ちに−80℃で凍結させる。実験室での分析 紫外線(UV)および蛍光検出を用いたグラジエント高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を我々は確立した。化学物質 固相抽出およびクロマトグラフィーのための試薬について、純度がグラジエントグレードで液体クロマトグラフィー用のものをメルク社(ダルムシュタット、ドイツ)から購入する。ミリポア社Milli−Qシステム(ミリポア社、ミルフォード、MS)により超純水を作成する。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)カプセル(シグマ社、セントルイス、MO)を0.05MのPBSを生成するために用いる。トリプトファン、キヌレニン、キヌレン酸、および3−ヒドロキシキヌレニンについて、シグマ社製(セントルイス、MO)の高純度のものを購入する。 0.05MのPBS溶液に濃度が確定した分析物を加えることによりキャリブレータおよび対照を作る。以下の濃度を5ポイントキャリブレーションに用いる:TRP:0.313、0.625、1.25、2.5、5.0、10.0、20.0μg/ml;KYN:12.5、25.0、50.0、100、200、400、800ng/ml;KYNA:4.688、9.375、18.75、37.5、75.0、150、300ng/ml;3−HK:1.563、3.125、6.25、12.5、25.0、50.0、100ng/ml。試料抽出 ウォーターズ社製オアシスMCX1cc(30mg)抽出カートリッジ(ウォーターズ社、ミルフォード、MS)を用い、試料およびキャリブレータ/対照から分析物を以下のとおり抽出する(抽出はすべて手動式真空マニフォールドシステムにより行う)。(1)カートリッジを1mlのメタノールで、次に1mlの水ですすぐことにより前処理する。(2)1mlの試料および100μlの1M H3PO4をカートリッジにかけ、軽度の真空下で引いて通過させる(2分間)。(3)カートリッジを1mlの0.1M HClで、次に1mlの100%メタノールで洗浄する。最後に、(4)6%のNaOHを含む1.5mlのアセトニトリルでカートリッジをすすぐことにより分析物を溶離させる。次いで、溶離液を窒素下で蒸発させて乾燥させ、150μlの0.1M PBSで再構成する。次いで、再構成した試料/キャリブレータ/対照を微量注入バイアル(ウォーターズ社)に移す。HPLC装置およびクロマトグラフィー条件 ウォーターズモデル2487デュアルλ UV検出器および2475型蛍光検出器に接続されたウォーターズ2695クロマトグラフで分析を実施する。 KYN、KYNA、および3−HKを決定するために、100μlの試料を250mm×4mm Supersphere60RP−selectB,C8カラムに装填する(メルク社、ダルムシュタット、ドイツ)。比較的、濃度が高いため、10μlの容量で2番目に注入を行いTRPを測定する。クロマトグラムにおいて最適なピーク分解能を確実にし、その結果、適度に短時間(30分間)で効率的に分析物を分離するために、異なる割合の0.050Mの酢酸ナトリウム(溶媒A:pH4.80;溶媒B:pH3.65)と、アセトニトリル(溶媒C)と、メタノール(溶媒D)との混合物から成る移動相を用い、グラジエントモードで溶離を実施する(表3参照)。 流量を0.80ml/分に設定し、カラム温度を35.0℃に設定し、一方、試料を4.0℃に冷却する。TRPを蛍光検出により測定し(λex:300nm;λem:350nm)、KYN(365nm)、KYNA(330nm)、および3−HK(365nm)をUV検出により測定する。注入後、化合物検出までのおよその実施時間はTRPで約20.4分間、KYNで13.4分間、KYNAで22.5分間、3−HKで7.0分間である。 ウインドウズ2000ソフトウェア向けのEMPOWER(ウォーターズ社)を用いデータを処理する。それぞれのキャリブレーションカーブのピーク高さと単一の分析物のピーク高さを比較することにより濃度を確定する。統計 SPSS(第12.0.1版;SPSS、シカゴ、イリノイ州)を用いノンパラメトリック法で統計分析を行う(クラスカルウォリスの検定、マンホイットニーの検定、スピアマンの順位相関)。有意水準をp<0.050に設定する。年齢の差異により群間において有意な結果となることを調整するために、診断を独立因子とし年齢を共変量として線形モデルを用いる。回帰残差およびコルモゴロフスミルノフの検定(p<0.05)を視覚的に判断しても結果変数が正規分布しないので、分布非依存の有意性検定のために診断および年齢を独立予測変数とした重回帰モデルに適用されたブートストラップ法を用いる。特に、999個の試料に基づく診断の各ペアに対する重回帰モデルについて繰り返し算出する。AD群および対照群間で有意差を示すマーカーが潜在的な診断検査として有用でありうるかどうかを評価するために、特異度>80%のときのマーカーの感度および感度>80%のときの特異度についてROC分析を用いて決定する。合意基準に基づきADにおける臨床的に有用なバイオマーカーとして80%のレベルが選ばれる(The Ronald and Nancy Reagan Research Institute of the Alzheimer’s Association and the National Institute on Aging Working Group(1998).Consensus report of the Working Group on:“Molecular and Biochemical Markers of Alzheimer’s Disease”.The Ronald and Nancy Reagan Research Institute of the Alzheimer’s Association and the National Institute on Aging Working Group.Neuroblol.Aging 19,109−116.)。結果 アルツハイマー病(AD)を有する患者、大うつ病(MD)を有する患者、および自覚的認知障害(SCI)を有する健康な人におけるトリプトファン(TRP)、キヌレニン(KYN)、キヌレン酸(KYNA)、ならびに3−ヒドロキシキヌレニン(3−HK)の平均血清レベルを表4に示す。3群間でTRPレベルに有意な差異はなく(クラスカルウォリス:X2=5.507;p=0.064)、AD患者は対照の健康な人よりTRPレベルが低い(マンホイットニーZ=−2.288;p=0.022)。この群間で、KYN(X2=1.536;p=0.464)およびKYNA(X2=0.033;p=0.984)の血清レベルに差異がない。対照的に、3−HKレベルにおいて、3群間で有意差があり(X2=20.281;p<.0001)、大うつ病の患者(Z=−3.571;p<0.001)およびSCI対照(Z=−4.139;p<0.0001)と比較してAD患者における血清3−HKレベルが高い。対照的に、血清3−HKレベルは、MD患者とSCI対照(Z=−.541;p=0.602)間に差異がなかった。必須アミノ酸TRPのアベイラビリティは、代謝物を生産するための限定要因となるので、3−HKレベルとTRPレベルとの比も算出する。さらに、この群間で極めて有意な差があり(X2=21.911;p<0.0001)、MD患者(Z=−3.517;p<0.001)および健全な対照(Z=−4.436;p<0.0001)においてよりもAD患者における平均値比(3−HK/TRP)が極めて高く、しかし、2つの対照群間に差異はない(Z=−0.757;p=0.449)。したがって、神経毒性の3−HKと神経を保護するKYNAとの比がAD患者において有意に増加していることになる(X2=18.016,p=0.0001;AD対MD:Z=−3.219,p=0.001;AD対SCI:Z=−4.003,p=0.00002;MD対SCI:Z=−0.649,p=0.529)。 標本分布を決定するためにブートストラップ法を用い、群間の3−HKおよび3−HK/TRPにおける有意差について年齢を調整すると、3−HKレベルは、AD患者およびSCI対照(偏相関係数−0.42,p<0.05)間ならびにAD患者およびMD患者間(偏相関係数−0.35,p<0.05)で有意差がある。3−HK対TRPの比は、AD患者およびSCI対照間で有意差がある(偏相関係数−0.47,p<0.05)が、AD患者およびMD患者間で有意差がない(偏相関係数−0.2)。 MD群およびSCI群を組み合わせたものと比較してAD群のROC分析を行うと、特異度が85%であるとき、3−HK感度が75%であるのに対して、感度が90%であるとき、特異度が70%である。特異度が82.5%であるとき3−HK対TRPの比の感度が80%であるのに対して、感度が85%であるとき、特異度が77.5%である。実施例1で得られたキヌレン酸濃度の度数をナノモル/リットルで示す。実施例1で得られた神経保護比(KAKYN)の度数を示す。実施例1で得られた神経保護指数(PROi)の度数を示す。実施例1で得られたキヌレン酸(KA)の受信者動作特性(ROC)曲線を示す。実施例1で得られた神経保護比(KAKYN)のROC曲線を示す。実施例1で得られた神経保護指数(PROi)のROC曲線を示す。アルツハイマー病(AD)を有する患者、大うつ病(MD)を有する患者、および自覚的認知障害(SCI)を有する健康な人における3−HKおよびTRPの血清レベルの比を示す。クラスカルウォリスの検定により調査した3群間の有意差が明らかになり、マンホイットニーの検定により、AD患者および2つの対照群の間の有意差が確認された。 個人から得られた全血、血清、血漿、尿、唾液、およびCSFから成る群から選択された体液中のトリプトファンおよび/またはトリプトファンの少なくとも1つの生体内分解産物の濃度を測定するステップと、精神医学的状態を評価するステップとを含む、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための方法。 トリプトファンの分解産物は、3−ヒドロキシキヌレニン、キノリン酸、メラトニン、セロトニン、5−ヒドロキシインドール酢酸、キヌレン酸、およびキヌレニンから成る群から選択される請求項1に記載の方法。 前記体液中のキヌレン酸の濃度の値をキヌレニンの濃度の値で割ることにより神経保護比を決定するステップをさらに含む請求項2に記載の方法。 うつ病を伴うことのある精神医学的状態を有する個人は、約0から約18までの体液中の神経保護比により特徴付けられる請求項3に記載の方法。 前記体液中のキヌレン酸の濃度の二乗値をキヌレニンの濃度の値で割ることにより神経保護指数を決定するステップをさらに含む請求項2に記載の方法。 うつ病を伴うことのある精神医学的状態を有する個人は、約0から約700までの神経保護指数により特徴付けられる請求項5に記載の方法。 前記体液中の3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸の濃度の値で割ることにより比を決定するステップをさらに含む請求項2に記載の方法。 前記体液中の3−ヒドロキシキヌレニンの濃度×1000の値をトリプトファンの濃度の値で割ることにより比を決定するステップをさらに含む請求項2に記載の方法。 うつ病を伴うことのある精神医学的状態を有する個人は約2またはそれより大きな比により特徴付けられる請求項7または8に記載の方法。 うつ病を伴うことのある精神医学的状態はアルツハイマー病(AD)である請求項9に記載の方法。 キヌレン酸の濃度と、神経保護比と、体液中の3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸またはトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比と、体液の神経保護指数とを含む群から選択された少なくとも2つの値を組み合わせるステップを含む、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための方法。 体液中のキヌレン酸の濃度の値をキヌレニンの濃度の値で割ることにより決定された神経保護比の、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための予測マーカーとしての使用。 体液中のキヌレン酸の濃度の二乗値をキヌレニンの濃度の値で割ることにより決定された神経保護指数の、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための予測マーカーとしての使用。 体液中の3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸またはトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比の、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための予測マーカーとしての使用。 キヌレン酸の濃度と、神経保護比と、3−ヒドロキシキヌレニンの濃度の値をキヌレン酸またはトリプトファンの濃度の値で割ることにより決定された比と、体液の神経保護指数とを含む群から選択された少なくとも2つの値の組み合わせの、うつ病を伴うことのある精神医学的状態の検出のための予測マーカーとしての使用。 請求項1から11の何れか一項に記載の方法を行うための手段を含むキット。 体液中のキヌレン酸および/またはキヌレニンおよび/または3−ヒドロキシキヌレニンおよび/またはトリプトファンの濃度を検出するための手段を含む、精神医学的状態を検出するためのキット。 本発明は、トリプトファンの少なくとも1つの生体内分解産物の濃度を測定するステップを含み、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための方法に関する。さらに、本発明は、うつ病を伴うことのある精神医学的状態を検出するための予測マーカーとしての前記値の使用と、前記値を検出するための手段を含むキットに関する。