生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_−O−ベンジル基のベンジル位の重水素化方法
出願番号:2008502858
年次:2012
IPC分類:C07B 59/00,C07C 41/18,C07C 43/164,C07C 43/18,C07C 269/06,C07C 271/22,C07H 15/18,C07J 9/00


特許情報キャッシュ

佐治木 弘尚 前川 智弘 栗田 貴教 JP 5040910 特許公報(B2) 20120720 2008502858 20070302 −O−ベンジル基のベンジル位の重水素化方法 和光純薬工業株式会社 000252300 佐治木 弘尚 前川 智弘 栗田 貴教 JP 2006058201 20060303 20121003 C07B 59/00 20060101AFI20120913BHJP C07C 41/18 20060101ALI20120913BHJP C07C 43/164 20060101ALI20120913BHJP C07C 43/18 20060101ALI20120913BHJP C07C 269/06 20060101ALI20120913BHJP C07C 271/22 20060101ALI20120913BHJP C07H 15/18 20060101ALI20120913BHJP C07J 9/00 20060101ALI20120913BHJP JPC07B59/00C07C41/18C07C43/164C07C43/18C07C269/06C07C271/22C07H15/18C07J9/00 C07B 59/00 C07C 41/18、43/164、43/18、269/06 271/22 JSTPlus(JDreamII) 国際公開第2003/104166(WO,A1) The Journal of Organic Chemistry,1998年,63,pp.7990-7992 Synlett,2005年,(5),pp.845-847 ファルマシア,2006年,42(2),pp.140-144 The Journal of Organic Chemistry,2006年,71,pp.4024-4027 Tetrahedron,1998年,54,pp.12389-12398 Synlett,2002年,(7),pp.1149-1151 6 JP2007054010 20070302 WO2007100080 20070907 17 20091009 神野 将志 本発明は、-O-ベンジル基を有する化合物の-O-ベンジル-基のベンジル位を重水素化する方法に関する。 重水素化(ジュウテリウム化及びトリチウム化)された化合物は、種々の目的に有用であるとされている。例えば、ジュウテリウム化された化合物は、反応機構及び物質代謝などの解明に非常に有用であり、標識化合物として広く利用されており、更に該化合物は、その同位体効果によって化合物自体の安定性や性質が変化することから、医薬品、農薬品、有機EL材料等としても有用であるとされている。また、トリチウム化された化合物は、医薬品等の吸収、分布、血中濃度、排泄、代謝等を動物実験等で調査する際の標識化合物として有用であるとされている。そのため、近年、これらの分野に於いても重水素化(ジュウテリウム化及びトリチウム化)された化合物を用いた研究が盛んに行われている。 一方、ベンジル基は、例えば糖化合物等の水酸基の保護基として汎用されており、水酸基をベンジル基で保護した-O-ベンジル基のベンジル位を選択的に重水素化できれば、標識体の合成のみならず反応機構の解明等の広範な分野で極めて有用性が高いことから-O-ベンジル基のベンジル位を選択的に重水素化する方法の開発が望まれている。 本発明者等は、パラジウムカーボン(Pd/C)を触媒として重水中、少量の水素ガス共存下、常温常圧でベンジル位が選択的に重水素標識化されることを報告している(非特許文献1)。しかしながら、この反応を、還元性官能基である-O-ベンジル基が導入された化合物(-O-ベンジル基を有する化合物)に用いて当該-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化に利用した場合、Pd/Cの高い水素化触媒活性により、-O-ベンジル基の水素化分解が併発するため、目的の重水素化化合物を効率よく得ることはできなかった。 また、本発明者等は、官能基選択性を有するパラジウムカーボン・エチレンジアミン複合体[Pd/C(en)]を開発し、この触媒が、例えば水酸基がベンジル基で保護された-O-ベンジル基を有する化合物の-O-ベンジル基を還元せずに、例えばオレフィン、ニトロ基、臭素等の他の還元性官能基を選択的に水素化する触媒として適用できることを明らかにした(非特許文献2)。 このような状況下、-O-ベンジル基を有する化合物の当該-O-ベンジル基のベンジル位を効率的に重水素化する方法の開発が望まれている現状にある。Synlett 2002,1149-1151J. Org. Chem. 1998, 63, 7990-7992 本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、例えばベンジル基、ベンジルオキシメチル基等を水酸基の保護基として導入した-O-ベンジル基を有する化合物の-O-ベンジル基のベンジル位を効率的且つ工業的に重水素化する方法を提供する。 本発明は、置換基を有していてもよい-O-ベンジル基を有する化合物を、パラジウムカーボン・エチレンジアミン複合体及び水素の共存下、重水素源と反応させることを特徴とする、当該化合物の-O-ベンジル基のベンジル位を重水素化する方法の発明である。 本発明の重水素化方法を利用して、還元性官能基である-O-ベンジル基が導入された化合物に於ける当該-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化を行えば、触媒としてPd/Cを用いる従来法が有していた問題点、即ち、Pd/Cの高い水素化触媒活性による-O-ベンジル基の水素化分解を併発するという問題点を有することなく、当該-O-ベンジル基のベンジル位を選択的に重水素化した目的の重水素化化合物を効率よく得ることができる。 本発明に於いて、重水素原子とはジュウテリウム(D)原子又はトリチウム(T)原子のことを意味し、重水素化とはジュウテリウム化及びトリチウム化のことを意味する。また、本明細書に於いて重水素化率とは、化合物中のベンジル位の全水素原子のうち重水素原子に置換された比率のことを意味する。 本発明の重水素化方法に於いて、置換基を有していてもよい-O-ベンジル基を有する化合物とは、水酸基を有する化合物の水酸基を一般式[1](式中、n個のR1はそれぞれ独立して軽水素原子、重水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、nは0又は1〜3の整数を表し、mは0又は1を表す。)で示される基で保護することにより得られるものであり、例えば一般式[2](式中、R1、n及びmは前記に同じ。)で示される基を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば一般式[3](式中、R2は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロ環基、又は水酸基を有する化合物に由来する基であり、当該水酸基の水素原子が結合手で置換された一価の基を表し、R1、n及びmは前記に同じ。)で示される化合物が挙げられる。 一般式[1]〜[3]に於いて、R1で示されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよく、通常炭素数1〜3、好ましくは1のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基等が挙げられる。 R1で示されるアルコキシ基としては、直鎖状或いは分枝状でもよく、通常炭素数1〜3、好ましくは1のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。 nは、通常0又は1〜3の整数、好ましくは0又は1である。 mは、通常0又は1である。 置換基を有していてもよい-O-ベンジル基(好ましくは一般式[1]で示される基)の代表的なものの一例としては、例えばベンジルオキシ基、p-メチルベンジルオキシ基、o-メトキシベンジルオキシ基、m-メトキシベンジルオキシ基、p-メトキシベンジルオキシ基、3,4-ジメトキシベンジルオキシ基、3,5-ジメトキシベンジルオキシ基、2,3-ジメトキシベンジルオキシ基、2,5-ジメトキシベンジルオキシ基、2,6-ジメトキシベンジルオキシ基、2,3,4-トリメトキシベンジルオキシ基、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシ基等のベンジルオキシ基類、例えばベンジルオキシメチルオキシ基、p-メトキシベンジルオキシメチルオキシ基、3,4,-ジメトキシベンジルオキシメチルオキシ基等のベンジルオキシメチルオキシ基類等が挙げられ、中でも、例えばベンジルオキシ基、p-メトキシベンジルオキシ基、3,4-ジメトキシベンジルオキシ基等のベンジルオキシ基類、例えばベンジルオキシメチルオキシ基、p-メトキシベンジルオキシメチルオキシ基等のベンジルオキシメチルオキシ基類等が好ましく、特にベンジルオキシ基、p-メトキシベンジルオキシ基又はベンジルオキシメチルオキシ基がより好ましい。 一般式[3]に於いて、R2で示される置換基を有していてもよいアルキル基のアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよく、通常炭素数1〜30のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-シクロヘキシル基、tert-シクロヘキシル基、ネオシクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネオヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、n-ウンデシル基、イソウンデシル基、sec-ウンデシル基、tert-ウンデシル基、ネオウンデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、sec-ドデシル基、tert-ドデシル基、ネオドデシル基、n-トリデシル基、イソトリデシル基、sec-トリデシル基、tert-トリデシル基、ネオトリデシル基、n-テトラデシル基、イソテトラデシル基、sec-テトラデシル基、tert-テトラデシル基、ネオテトラデシル基、n-ペンタデシル基、イソペンタデシル基、sec-ペンタデシル基、tert-ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、sec-ヘキサデシル基、tert-ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、sec-ヘプタデシル基、tert-ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、n-オクタデシル基、イソオクタデシル基、sec-オクタデシル基、tert-オクタデシル基、ネオオクタデシル基、n-ノナデシル基、イソノナデシル基、sec-ノナデシル基、tert-ノナデシル基、ネオノナデシル基、n-イコシル基、イソイコシル基、sec-イコシル基、tert-イコシル基、ネオイコシル基、n-ヘンイコシル基、イソヘンイコシル基、sec-ヘンイコシル基、tert-ヘンイコシル基、ネオヘンイコシル基、n-ドコシル基、イソドコシル基、sec-ドコシル基、tert-ドコシル基、ネオドコシル基、n-トリコシル基、イソトリコシル基、sec-トリコシル基、tert-トリコシル基、ネオトリコシル基、n-テトラコシル基、イソテトラコシル基、sec-テトラコシル基、tert-テトラコシル基、ネオテトラコシル基、n-ペンタコシル基、イソペンタコシル基、sec-ペンタコシル基、tert-ペンタコシル基、ネオペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、イソヘキサコシル基、sec-ヘキサコシル基、tert-ヘキサコシル基、ネオヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、イソヘプタコシル基、sec-ヘプタコシル基、tert-ヘプタコシル基、ネオヘプタコシル基、n-オクタコシル基、イソオクタコシル基、sec-オクタコシル基、tert-オクタコシル基、ネオオクタコシル基、n-ノナコシル基、イソノナコシル基、sec-ノナコシル基、tert-ノナコシル基、ネオノナコシル基、n-トリアコンチル基、イソトリアコンチル基、sec-トリアコンチル基、tert-トリアコンチル基、ネオトリアコンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロイコシル基等が挙げられる。 R2で示される置換基を有していてもよいアリール基のアリール基としては、通常炭素数6〜14のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。 R2で示される置換基を有していてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、通常炭素数7〜15のものが挙げられ、具体的には、例えばベンジル基、フェネチル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルプロピル基、3-フェニルプロピル基、フェニルブチル基、1-メチル-3-フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、ナフチルブチル基等が挙げられる。 R2で示される置換基を有していてもよいヘテロ環基のヘテロ環基としては、例えば5員環又は6員環であり、異性原子として、通常窒素原子、酸素原子又は硫黄原子、好ましくは窒素原子又は酸素原子を、1〜3個含んでいるもの等が好ましく、具体的には、例えばピラニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、キヌクリジニル基、ピロリジル-2-オン基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基等の脂肪族ヘテロ環基、例えばフリル基、ピロリル基、インドリル基、プリニル基、キノリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、オキサゾリル基等の芳香族へテロ環基が挙げられる。 R2で示される置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基及びヘテロ環基の置換基としては、例えば低級アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。 置換基として挙げられる低級アルコキシ基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよく、通常炭素数1〜3のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。 R2で示される、水酸基を有する化合物に由来する基であり、当該水酸基の水素原子が結合手で置換された一価の基の水酸基を有する化合物としては、水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、代表的なものとしては、例えばアルコール類、糖構造を含有する化合物、水酸基を有するステロイド、水酸基を有するアルカロイド、水酸基を有するアミノ酸、水酸基を有するアミノ酸残基を含むペプチド、水酸基を有するテルペン類、水酸基を有する核酸類等が挙げられる。 水酸基を有する化合物として挙げられるアルコール類の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール等の脂肪族アルコール類、例えばベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、ナフトール、テトラヒドロナフトール等の芳香族アルコール類、例えばグリセリン、エチレングリコール等の多価アルコール類等が挙げられる。 糖構造を含有する化合物の具体例としては、例えばグルコース、アラビノース、フコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、フルクトース、リキソース、アロース、アリノース、リボース、タロース、グロース、イドース、アルトロース、ソルビトール、マンニトール、グルコサミン、D-グルコピラノース、D-ガラクトピラノース、メチル α-D-グルコピラノシド、β-マンノピラノース、α-D-グルコピラノシル フルオライド、β-D-グルコピラノシル フルオライド、1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノシド、1,2;5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-アロフラノース、1,2:3,4-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトピラノース、2,3:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-マンノフラノース等の単糖類、例えばマルトース、イソマルトース、ツラノース、ゲンチオビオース、メリビオース、プランテオビオース、プリメレロース、ビシアノース、ニゲロース、ラミナリビオース、ルチノース、セロビオース、キシロビオース、マルトトリオース、ゲンチアノース、メレチトース、プランテオース、ケトース、トレハロース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、キシロトリオース等のオリゴ糖類、例えばアミロース、フィコール、デキストリン、デンプン、デキストラン、ポリデキストロース、プルラン、シクロデキストリン、グルコマンノグリカン、グルコマンナン、グアガム、アラビアゴム、グリコサミノグリカン等の多糖類、例えば糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン等の複合糖質類等が挙げられる。また、これらの糖構造を含有する化合物の水酸基の一部が、例えばアセチル基、アセチルエチルカルボニル基、ベンゾイル基等のアシル基、例えばベンジル基、メトキシベンジル基等のアラルキル基、イソプロピリデン基、ベンジリデン基等で保護されたもの、或いはデオキシ化されたものも本発明に係る糖構造を含有する化合物に含まれる。更に、これら糖構造を含有する化合物には、リンカーを介して、例えば樹脂やポリマー等に結合している糖構造を含有する化合物も含まれる。 水酸基を有するステロイドとしては、例えばβ-コレスタノール、コレステロール、ジギトニン、コルチゾン、エストラジオール、アンドロステロン、スタノロン、ヒドロキシコール酸メチル、スチグマステロール等が挙げられる。 水酸基を有するアルカロイドとしては、例えばトロピン等が挙げられる。 水酸基を有するアミノ酸としては、例えばセリン、トレオニン、チロシン等が挙げられる。また、これら水酸基を有するアミノ酸中の−NH基が例えばtert-ブトキシカルボニル(Boc)基等で保護されたものも本発明に係る水酸基を有するアミノ酸に含まれる。 水酸基を有するアミノ酸残基を有するペプチドとしては、例えばセリン残基、トレオニン残基、チロシン残基等のアミノ酸残基を有するペプチドが挙げられ、当該ペプチドのアミノ酸残基数としては通常2〜10である。 水酸基を有するテルペン類としては、例えばメントール、ボルネオール、イソメントール、メントール、イソボルネオール、テトラヒドロラバンデュロール等が挙げられる。 水酸基を有する核酸類としては、例えばアデノシン、シチジン、チミヂン、ウリジン、2',3'-O-イソプロピリデンウリジン等が挙げられる。また、これらの水酸基を有する核酸類の水酸基の一部が、例えばアセチル基、アセチルエチルカルボニル基、ベンゾイル基等のアシル基、例えばベンジル基、メトキシベンジル基等のアラルキル基、イソプロピリデン基、ベンジリデン基等で保護されたもの、或いはデオキシ化されたものも本発明に係る水酸基を有する核酸類に含まれる。更に、これら核酸類には、リンカーを介して、例えば樹脂やポリマー等に結合しているものも含まれる。 一般式[2]で示される化合物は、市販品を用いても常法により適宜合成されたものを用いてもよい。また、上記の如き水酸基を有する化合物の水酸基を、置換基を有していてもよいベンジル基で保護することにより得られるものを使用してもよい。 本発明の重水素化方法に於いて、使用される重水素源としては、例えば重水素化された溶媒等が挙げられ、具体的には、重水素がジュウテリウムである場合には、例えば重水(D2O)、例えば重メタノール、重エタノール、重イソプロパノール、重ブタノール、重tert-ブタノール、重ペンタノール、重ヘキサノール、重ヘプタノール、重オクタノール、重ノナノール、重デカノール、重ウンデカノール、重ドデカノール等の重アルコール類、例えば重ギ酸、重酢酸、重プロピオン酸、重酪酸、重イソ酪酸、重吉草酸、重イソ吉草酸、重ピバル酸等の重カルボン酸類、例えば重アセトン、重メチルエチルケトン、重メチルイソブチルケトン、重ジエチルケトン、重ジプロピルケトン、重ジイソプロピルケトン、重ジブチルケトン等の重ケトン類、重ジメチルスルホキシド等の有機溶媒等が挙げられ、中でも重水、重アルコール類が好ましく、具体的には、重水、重メタノールが特に好ましいものとして挙げられる。尚、環境面や作業性を考慮すれば重水が好ましい。また、重水素がトリチウムの場合の重水素化された溶媒としては、例えばトリチウム水(T2O)等が挙げられる。これらは単独で用いても、2つ以上を適宜組み合わせて用いてもよい。 重水素化された溶媒は、分子中の一つ以上の水素原子が重水素化されているものであればよく、例えば重アルコール類ではヒドロキシル基の水素原子、重カルボン酸類ではカルボキシル基の水素原子が重水素化されていれば本発明の重水素化方法に使用し得るが、分子中の水素原子全てが重水素化されたものが特に好ましい。 重水素源の使用量は、多い程本発明の重水素化が進みやすくなるが、経済的な面を考慮すると、重水素源に含まれる重水素原子の量が、置換基を有していてもよい-O-ベンジル基を有する化合物の重水素化可能なベンジル位の水素原子に対して、下限として順に好ましく、等モル、10倍モル、20倍モル、30倍モル、40倍モル、上限として順に好ましく、250倍モル、150倍モルとなるような量である。 本発明の重水素化方法に於いては、必要に応じて反応溶媒を使用してもよく、当該反応溶媒としては、本発明の重水素化が反応系に於いて懸濁状態でもよいことから、基質を溶解し難いものも使用可能であるが、基質を溶解し易いものがより好ましい。 必要に応じて用いられる反応溶媒の具体例としては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、オキシラン、1,4-ジオキサン、ジヒドロピラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール等のアルコール類、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸等のカルボン酸類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、中でも、例えばテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトン等が好ましく、特にテトラヒドロフランが好ましい。これらは単独で用いても、2つ以上を適宜組み合わせて用いてもよい。 本発明の重水素化方法を実施する際、重水素化の反応容器の気層部分は、反応に必要な水素ガス(軽水素ガスでも重水素ガスでも何れも可能。以下同じ。)で置換することが望ましいが、水素ガスと例えば窒素、アルゴン等の不活性ガスとの混合気体で置換されていてもよい。 本発明の重水素化方法に於いて用いられる水素ガスの使用量は、反応の基質として用いられる置換基を有していてもよい-O-ベンジル基を有する化合物に対して、下限として順に好ましく、等モル、10倍モル、20倍モル、30倍モル、上限として順に好ましく、100倍モル、40倍モルとなるような量である。 尚、本発明の重水素化方法に於いては、反応容器を水素ガスが散逸しないように密封状態或いはそれに近い状態となるようにすることが好ましい。密封に近い状態とは、例えば所謂連続反応のように、反応基質が連続的に反応容器に投入され、連続的に生成物が取り出されるような場合等を含む。 本発明の重水素化方法に於いて、触媒として使用されるパラジウムカーボン・エチレンジアミン複合体(以下、「Pd/C(en)」と略記する場合がある。)の使用量は、多い場合は目的物を高い重水素化率で得ることができるが、同時に副生成物の副生率も高くなるため、高い重水素化率を有し且つ副生成物の副成を抑制しうる量を適宜選択すればよく、基質の種類或いは基質中の置換基を有していてもよい-O-ベンジル基の種類によって異なるが、置換基を有していてもよい-O-ベンジル基を有する化合物(基質)に対して、通常所謂触媒量、次いで順に好ましく0.01〜200重量%、0.01〜150重量%、0.01〜100重量%、0.01〜50重量%、0.01〜20重量%、0.1〜20重量%、1〜20重量%、10〜20重量%となる量であり、また、該触媒全体に含まれる触媒金属量の上限が、順に好ましく20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、2重量%であり、下限が、順に好ましく0.0005重量%、0.005重量%、0.05重量%、0.5重量%となる量である。 当該パラジウムカーボン・エチレンジアミン複合体は、本発明者等が開発したものであり、公知の方法(J. Org. Chem. 1998, 63, 7990-7992)により合成したものを用いてもよいし、市販されているもの(例えば和光純薬工業(株)製)を適宜用いてもよい。 本発明の重水素化方法に於いて、反応系に、更に本発明に係るパラジウムカーボン・エチレンジアミン複合体(Pd/C(en))の触媒作用に対する被毒化剤(一般的に触媒毒物質ともいう。)を添加してもよく、添加すれば副生成物の生成を抑制できる場合もある。 被毒化剤としては、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等の硫黄含有化合物、例えば水銀イオン、ヒ素イオン、鉛イオン、ビスマスイオン、アンチモンイオン等の重金属イオン、例えばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のハロゲン化物、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピリジン、モルホリン等のアミン類、例えばトリフェニルホスフィン、ジフェニル(tert-ブチル)ホスフィノメタン、ジフェニル(tert-ブチル)ホスフィノエタン、ジフェニル(tert-ブチル)ホスフィノプロパン等のホスフィン類、例えば一酸化炭素、二酸化炭素等が挙げられ、中でもアミン類が好ましく、特にトリエチルアミンがより好ましい。 被毒化剤の使用量は、触媒として使用されるPd/C(en)に含まれる触媒金属量に対して、通常0〜100当量、次いで順に好ましく0〜50当量、0〜20当量、0〜10当量、0〜5当量となる量である。 本発明の重水素化方法の反応温度は、下限が通常10℃から、順により好ましく20℃、40℃、50℃であり、上限が通常180℃から、順により好ましく100℃、60℃である。 本発明の重水素化方法の反応時間は、通常30分〜120時間、好ましくは1〜108時間、より好ましくは3〜96時間、更に好ましくは12〜72時間である。 本発明の重水素化方法について、以下に詳細に説明する。 即ち、例えば、置換基を有していてもよい-O-ベンジル基を有する化合物(基質)1モル及び該基質に対して0.01〜200重量%のPd/C(en)を、該基質の重水素化可能な水素原子に対して10〜150倍モルの重水素原子が含まれるような量の重水素化された溶媒(例えば重水)に加え、密封した反応容器の気層部分を、基質に対して1〜10倍モル含有するよう水素ガスで置換した後、室温〜50℃で約12〜72時間撹拌反応させることにより当該-O-ベンジル基のベンジル位が重水素化された化合物が得られる。 反応終了後、得られた生成物が重水素化された溶媒に可溶な場合は、反応液を濾過して触媒を除き、濾液を濃縮後、生成物を単離して1H-NMR、2H-NMR及びMassスペクトル測定して構造解析を行う。また、生成物が重水素化された溶媒に難溶である場合は、反応液から生成物を単離してから1H-NMR、2H-NMR及びMassスペクトルを測定して構造解析を行う。 尚、生成物の反応液からの単離が困難な場合は、適当な内標準物質を用いて濾液をそのまま1H-NMRで測定し、生成物の構造解析を行えばよい。生成物が重水素化された溶媒に難溶な場合に、反応液から生成物を単離するには、例えば生成物が溶解する有機溶媒等により反応液から生成物を抽出し、更に濾過により触媒を除くといった公知の精製方法に従って精製を行えばよい。 本発明の重水素化方法によれば、置換基を有していてもよい-O-ベンジル基を有する化合物中の当該-O-ベンジル基が水素化分解されることなく、当該-O-ベンジル基のベンジル位が重水素化された目的化合物を高い重水素化率で生成することができる。 本発明の重水素化方法を用いれば、-O-ベンジル基を有する化合物中の当該-O-ベンジル基のベンジル位を選択的に重水素化し得るので、標識体の合成のみならず反応機構の解明等の広範な分野に用いることができる。 以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。 以下の実施例で用いたPd/C(en)は、市販品(和光純薬工業(株)製;Pd含量5w/w%、エチレンジアミン含量5w/w%)であり、Pd/Cは、市販品(アルドリッチ社製;Pd含量5%)のものである。 また、以下の実施例及び比較例に於ける重水素化率は以下のようにして求めている。 即ち、所定の反応終了後、反応液をエーテルで抽出して触媒を濾過し、濾液を減圧濃縮した後、1H-NMR、2H-NMR及びMassスペクトルを測定して構造解析を行い、反応基質が有する水素原子の重水素化率を求めた。尚、各表に於いて、各重水素化率は、各反応基質の構造式に付記された数字の位置にある水素原子の重水素化率を示す。 また、以下の実施例及び比較例で得られた化合物中に含有される芳香環上の水素原子の重水素化は進行しなかった。実施例1〜3.-C-ベンジル基のベンジル位と-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化率の検討 下記式で示される化合物(1)(基質)0.5mmol及びこれに対して20wt%のPd/C(en)(本発明に係るパラジウム触媒)を重水 1mLに懸濁させ、系内を脱気した後バルーンを用いて反応液に軽水素ガス17mLを接触させ、反応液を表1に示す所定の温度及び時間で撹拌反応させた。反応終了後、得られた反応液にエーテル 10mLを添加し、メンブランフィルターを用いて触媒を濾去し、濾液を水 3mL及びエーテル 40mLで抽出した。得られたエーテル層を飽和食塩水 20mLで洗浄し、乾燥、減圧濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/エーテル=10/1)で生成し、これを1H-NMR及びMassスペクトル測定に用いて生成物の構造解析を行ったところ、目的とした重水素化化合物(2)が得られた。その結果を表1に示す。比較例1及び2. パラジウム触媒としてPd/Cを用いた以外は、実施例1と同様の反応を同様の操作で行った。その際の反応条件及び結果を表1に併せて示す。※ND=不検出、Trace=微量 表1の結果から明らかな如く、実施例1〜3で用いた本発明に係るPd触媒であるPd/C(en)と比較例1〜2で用いたPd/Cとを比較すると、両触媒とも-C-ベンジル基のベンジル位(C1)よりも-O-ベンジル基のベンジル位(C2)の方が重水素化率が高く、H-D交換反応が効率的に進行することが判る。 また、実施例1と比較例1及び実施例2と比較例2の比較から明らかなように、触媒としてPd/Cを用いる(比較例1及び2)方が、Pd/C(en)を用いる(実施例1〜3)よりも触媒活性が高いが、Pd/Cを用いた場合は、更に-O-ベンジル基のベンジル位が脱ベンジル化され副生成物(3)が多量に生成し、主生成物(2)の収率が低下することが判る。 言い換えれば、本発明に係るパラジウム触媒であるPd/C(en)は、これを用いて-O-ベンジル基を有する化合物を重水素化する場合、当該-O-ベンジル基が脱ベンジル化されることなく、ベンジル位を選択的に重水素化し得る有効な触媒であることが判る。実施例4〜11.ベンジルイソアミルエーテルのベンジル位の重水素化反応 ベンジルイソアミルエーテル(基質) 0.5mmol及びこれに対して20wt%のPd/C(en)(本発明に係るパラジウム触媒)を重水素溶媒 1mLに懸濁させ、系内を脱気した後バルーンを用いて反応液に軽水素ガス 17mlを接触させた。反応液を表2に示す所定の温度及び時間で反応させた後、反応液をメンブランフィルターで濾過し、濾液をそのまま1H-NMR及びMassスペクトル測定に用いて生成物の構造解析を行ったところ、目的とした重水素化化合物が得られた。その結果を表2に示す。 実施例4〜8の結果から明らかなように、本発明の重水素化方法によれば、室温下でも反応時間24時間でほぼ定量的な重水素化率を有する化合物を得ることができる。また、50℃に加熱した場合には、12時間で反応が完結することも判る(実施例9及び10の結果)。更に、重メタノールでも目的の重水素化化合物が得られることが判る(実施例11の結果)。 これまでのベンジル位の重水素化で行っていたPd/C-D2O-H2の組み合わせによる従来法(Synlett 2002, 1149-1151)では、定量的な重水素化合物を得るには室温下、72時間反応させていたが、本発明に於ける-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化では、Pd/C(en)-D2O-H2の組み合わせによって、室温下でもわずか24時間で反応が完結しており、本発明の重水素化方法がより効率的であることは明らかである。実施例12〜19.ベンジルイソアミルエーテルのベンジル位の重水素化反応(混合溶媒の使用) 下記表3に示す各種重水素溶媒を所定量、また各種反応溶媒を所定量用いて、50℃で12時間反応させること以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより、目的物のベンジル位の重水素化を行った。その結果を表3に併せて示す。実施例20〜22.ベンジルイソアミルエーテルのベンジル位の重水素化反応(被毒化剤の添加) 下記表3に示す各種重水素溶媒を所定量、また各種反応溶媒を所定量用い、また添加剤として、表3に示す各種被毒化剤を本発明に係るパラジウム触媒(Pd/C(en))中のPd量に対して2当量用いて、50℃で12時間反応させること以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより、目的物のベンジル位の重水素化を行った。その結果を表3に併せて示す。 表2の実施例9と表3の実施例12〜19の結果から明らかなように、重水素溶媒の混合溶媒、又は重水素溶媒と反応溶媒の混合溶媒を用いた方が目的物を高収率で得られることが判る。 また、重水とTHFの混合比の異なる混合溶媒を用いても、高い重水素化率で目的物を高収率で得られることが判る(実施例14〜18の結果)。 更に、被毒化剤の存在下に目的物の重水素化を行うと収率の向上が認められることが判る。特にトリエチルアミンを用いた場合は重水素化率も高く且つ収率も高いことが判る(実施例20〜22の結果)。実施例23〜28.ベンジル 1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフチル エーテルの重水素化反応 ベンジル 1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフチル エーテル(基質)を0.5mmol、また重水或いはこれとテトラヒドロフラン(THF)の混合溶媒を表4に示す所定量用いた以外は、実施例1〜3と同様の操作を行い、表4に示す条件で反応を行い、目的物のベンジル位の重水素化を行った。その結果を表4に併せて示す。 実施例25〜28の結果から明らかなように、-O-ベンジル基のベンジル位(C1)はほぼ定量的に重水素化が進行し、他のベンジル位(C2及びC3)よりも重水素化率が高く、Pd/C(en)触媒は-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化に対して高活性を有していることが判る。 また、実施例23〜24と実施例25〜26の結果を比較すると、室温よりも50℃で反応を行った方が、ベンジル位(C1)水素を定量的に重水素化できることが判る。実施例29〜30.アミノ酸を用いた-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化反応 N-Boc-O-ベンジル-L-セリン-メチル エステル(基質)を0.25mmol用いること、また表5に示す所定時間、50℃で反応させること以外は、実施例1〜3と同様の操作を行い、目的物のベンジル位の重水素化を行った。その結果、表5に併せて示す。※BOC=tert-ブトキシカルボニル基 実施例29〜30の結果から明らかなように、セリン誘導体(アミノ酸)の-O-ベンジル基のベンジル位は、高い重水素化率を示すことが判る。実施例31〜50.糖類を用いた-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化反応 表6に示す各種基質 0.25mmol用いること、また重水或いはこれとTHFの混合溶媒を表6に示す所定量用いること以外は、実施例1〜3と同様の操作を行い、表6に示す条件で、目的物のベンジル位水素の重水素化を行った。その結果を表6に併せて示す。 実施例31〜49の結果から明らかなように、各種基質の水酸基のベンジル保護基(ベンジルオキシ基)のベンジル位水素に対して、高い重水素化率を示すことが判る。 また、実施例50の結果から明らかなように、基質の水酸基のPMB保護基(p-メトキシベンジルオキシ基)のベンジル位水素に対しても、高い重水素化率を示すことが判る。 更に、重水だけでなく、重水とTHFの混合溶媒を用いた方が、収率の向上が認められた(実施例32と33、40と42、41と43、45と47及び46と48の結果)。実施例51〜53.糖類を用いた-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化反応 表7に示す基質 0.25mmol及びこれに対して所定量の5%Pd/C(en)を重水 1mLに懸濁させ、系内を脱気した後バルーンを用いた反応液に軽水素ガス 17mLを接触させた。反応液を50℃で72時間で反応させた以外は、実施例1と同様の操作を行い、目的物のベンジル位の重水素化を行った。その結果を表7に併せて示す。 実施例51〜53の結果から明らかなように、糖類の水酸基のBOM保護基(ベンジルオキシメチルオキシ基)中の-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化に対しても、高い重水素化率を得ることができた。特に本発明に係るパラジウム触媒(Pd/C(en))の使用量が高い方が高い重水素化率を示すことも判る。実施例54〜56.ステロイド類を用いた-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化反応 O-ベンジル β-コレスタノール(基質) 0.25mmol及びこれに対して20wt%のPd/C(en)(本発明に係るパラジウム触媒)を表8に示す所定量の重水素とTHFに懸濁させ、系内を脱気した後バルーンを用いて反応液に軽水素ガス 17mlを接触させた。反応液を50℃で表6に示す所定時間で反応させること以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、目的物のベンジル位の重水素化を行った。その結果を表8に併せて示す。 実施例54〜56の結果から明らかなように、THFの割合を増加させると重水素化率及び収率の向上が認められた。 また、48時間反応させると、高い重水素化率及び高収率で目的物を得られることが判る(実施例56の結果)。実施例57.核酸類(基質)を用いた-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化反応 5'-O-ベンジル 2',3'-O-イソプロピリデンウリジン(基質) 0.25mmol及びこれに対して20wt%のPd/C(en)(本発明に係るパラジウム触媒)を重水素 0.3mLとアセトン 0.7mLに懸濁させ、系内を脱気した後バルーンを用いて反応液に軽水素ガス 17mlを接触させた。反応液を50℃で24時間で反応させた後、反応液をメンブランフィルターで濾過し、濾液をそのまま1H-NMR及びMassスペクトル測定に用いて生成物の構造解析を行ったところ、目的とした重水素化化合物が得られた。その結果、重水素化率が35%、収率が78%であった。 この結果から明らかなように、核酸の糖部の-O-ベンジル基のベンジル位も効率よく重水素化することができることが判る。 以上のことから明らかな如く、本発明の重水素化方法によれば、種々の基質の-O-ベンジル基のベンジル位のH-D交換反応を効率よく行うことができることが判る。 置換基を有していてもよい-O-ベンジル基を有する化合物を、パラジウムカーボン・エチレンジアミン複合体及び水素の共存下、重水素源と反応させることを特徴とする、当該化合物の-O-ベンジル基のベンジル位の重水素化方法。 当該化合物が、水酸基を有する化合物の水酸基を一般式[1](式中、n個のR1はそれぞれ独立して軽水素原子、重水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、nは0又は1〜3の整数を表し、mは0又は1を表す。)で示される基で保護することにより得られるものである、請求項1に記載の方法。 置換基を有していてもよい-O-ベンジル基が、一般式[2](式中、n個のR1はそれぞれ独立して軽水素原子、重水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、nは0又は1〜3の整数を表し、mは0又は1を表す。)で示される基である、請求項1に記載の方法。 置換基を有していてもよい-O-ベンジル基を有する化合物が、一般式[3](式中、n個のR1はそれぞれ独立して軽水素原子、重水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、R2は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロ環基、又は水酸基を有する化合物に由来する基であり、当該水酸基の水素原子が結合手で置換された一価の基を表し、nは0又は1〜3の整数を表し、mは0又は1を表す。)で示される化合物である、請求項1に記載の方法。 重水素源が、重水素化された溶媒である、請求項1に記載の重水素化方法。 重水素化された溶媒が、重水である、請求項5に記載の重水素化方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る