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タイトル:特許公報(B2)_新規な低分子ヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物および食品組成物
出願番号:2008502722
年次:2013
IPC分類:C08B 37/08,A61K 8/73,A61K 31/728,A61Q 19/00,A61Q 19/10,A61Q 1/00,A61Q 5/12,A61P 17/16,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

吉田 拓史 瀧澤 佳津枝 JP 5289936 特許公報(B2) 20130614 2008502722 20070221 新規な低分子ヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物および食品組成物 キユーピー株式会社 000001421 特許業務法人はるか国際特許事務所 110000154 都築 美奈 100121278 吉田 拓史 瀧澤 佳津枝 JP 2006048876 20060224 20130911 C08B 37/08 20060101AFI20130822BHJP A61K 8/73 20060101ALI20130822BHJP A61K 31/728 20060101ALI20130822BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130822BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20130822BHJP A61Q 1/00 20060101ALI20130822BHJP A61Q 5/12 20060101ALI20130822BHJP A61P 17/16 20060101ALI20130822BHJP A23L 1/30 20060101ALI20130822BHJP JPC08B37/08 ZA61K8/73A61K31/728A61Q19/00A61Q19/10A61Q1/00A61Q5/12A61P17/16A23L1/30 A C08B 37/08 A23L 1/30 A61K 8/73 A61K 31/728 CAplus(STN) 韓国公開特許第2000−0072318(KR,A) 特開2006−036666(JP,A) 国際公開第2004/084912(WO,A1) 特開2004−043645(JP,A) 国際公開第02/004471(WO,A1) 特開2001−270829(JP,A) 特開2001−081103(JP,A) 特表2000−502141(JP,A) 特開平06−157322(JP,A) 特開昭63−301826(JP,A) 特開昭63−150209(JP,A) 特開昭62−292710(JP,A) 特許第4576583(JP,B2) 8 JP2007053183 20070221 WO2007099830 20070907 29 20090819 關 政立 本発明は、生体内への吸収性に優れた新規な低分子ヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物および食品組成物に関する。 ヒアルロン酸(平均分子量:50万〜200万)は生体内の多くの組織(例えば皮下組織、眼球、関節)に多く存在するムコ多糖類であり、その高い保湿機能により、例えば化粧料の成分として広く利用されてきた(例えば、特開2000−095660号公報)。また、ヒアルロン酸を経口摂取することにより、生体本来の持つヒアルロン酸含量の低下を補い、皮膚の保湿、弾力性、および柔軟性を改善する効果が認められているため、ヒアルロン酸およびその塩は様々な食品に添加されている。 しかしながら、ヒアルロン酸は高分子の多糖類であるため、一般に、生体内に吸収されにくい。例えば、ヒアルロン酸を皮膚に塗布することにより、皮膚からの水分の蒸散を防ぐことはできるが、ヒアルロン酸は高分子であるため皮膚組織へ浸透しにくく、大部分が皮膚の表面に留まるのみである。したがって、洗顔や入浴等により皮膚表面のヒアルロン酸が洗い流されると、皮膚の保湿効果が持続しにくい。 本発明の目的は、生体内への吸収性に優れた新規な低分子ヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物および食品組成物を提供することである。 本発明の第1の態様の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、 平均分子量が5,000〜20,000であり、かつ、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が5重量%以下である。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩において、前記分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上であり、かつ、分子量5万以上の成分の割合が1重量%以下であることができる。この場合、前記分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が50重量%以上であることができる。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩において、酸性含水媒体中にヒアルロン酸および/またはその塩を分散させることにより得ることができる。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩において、pH2以下の含水媒体中にヒアルロン酸および/またはその塩を加熱下で分散させた後、前記含水媒体を除去して得られた残留物を加熱乾燥することにより得ることができる。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩において、1重量%水溶液の動粘度が2mm2/s以下であることができる。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の0.1g/mL水溶液(10mL)に、0.5g/mLの塩化セチルピリジニウム水溶液(0.05g)を添加して得られた液の吸光度(A660)が0.4Abs以上であることができる。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、塩化ナトリウムの含量が0.5%以下であることができる。 本発明の第2の態様の化粧料は、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。 本発明の第3の態様の医薬組成物は、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。 本発明の第4の態様の食品組成物は、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。 本発明において、「ヒアルロン酸」とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類をいう。また、「ヒアルロン酸の塩」としては、特に限定されないが、薬学上許容しうる塩であることが好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩によれば、生体内への吸収性(例えば経皮吸収性)に優れている。よって、肌改善効果等が期待できる。これにより、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、例えば化粧料、医薬組成物、および食品組成物の成分として有用である。図1は、実施例2で得られた低分子ヒアルロン酸のクロマトグラムを示す。図2は、実施例2で得られた低分子ヒアルロン酸(サンプルC)を含有する液にCPC溶液を添加して得られた液の吸光度の測定結果を示す。図3は、サンプルA〜Cをそれぞれ含有する液にCPC溶液を添加して得られた液の外観を示す写真である。図4は、試験例1において、試料を5時間貼付した試験群1〜3の分析サンプルのHPLC分析チャートを示す。図5は、試験例1において、試験群1の試料の貼付時間と、試験群1の分析サンプルにおける皮膚1g当たりのヒアルロン酸増加量との関係を示すグラフである。図6は、試験例1で確認試験として行なわれた低分子カラムクロマトグラフィー分析における試験群1〜3の各分析サンプルならびに実施例2で得られた低分子ヒアルロン酸のHPLC分析チャートを示す。 以下、本発明の一実施形態に係る低分子ヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物および食品組成物について詳細に説明する。なお、本実施形態および後述する実施例において、「%」は「質量%」を意味する。 1.低分子ヒアルロン酸および/またはその塩 本発明の一実施形態に係る低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が5,000〜20,000であり、かつ、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が5重量%以下である。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、生体内への吸収性に優れている。例えば、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は経皮吸収性に優れており、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を皮膚に塗布した場合、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩が皮膚表面に留まるのみならず、皮膚組織内部に浸透する。すなわち、皮膚の水分量を保持することができるため、皮膚を瑞々しい状態に保つことができる。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、経口摂取してもよいし、生体内に経皮吸収させてもよいし、あるいは、注射等により生体内に注入してもよい。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は、生体内への吸収性の高さの点で、5,000〜15,000であるのがより好ましく、5,000〜12,000であるのがさらに好ましい。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩において、生体内への吸収性の点で、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ平均分子量5万以上の成分の割合が1重量%以下であるのが好ましく、分子量1万以下の成分の割合が50重量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が1重量%以下であるのがより好ましい。 次に、本発明で規定される平均分子量および分子量分布の測定方法について説明する。 1.1.平均分子量の測定方法 本発明で規定される平均分子量は、試料の極限粘度から算出された分子量である。本発明においては、動粘度から極限粘度を求め、この極限粘度を分子量に換算する方法により、低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量を求める。より具体的には、この方法においては、後に説明するウベローデ粘度計を用いて動粘度を測定し、この動粘度の値から極限粘度を求め、この極限粘度を平均分子量に換算する。 一般に、試料の極限粘度を求めるには、まず、複数の試料溶液を調製し、ウベローデ粘度計における試料溶液の流下秒数および溶媒の流下秒数から、下記式(1)および式(2)に基づいて比粘度および還元粘度を算出する。 (式1) (式2) 次いで、各試料溶液について、得られた還元粘度を縦軸に、乾燥物換算の試料濃度を横軸にプロットして検量線を作成し、前記試料濃度を0に外挿することにより、試料の極限粘度を得る。試料がヒアルロン酸および/またはその塩である場合、下記式(3)に基づいて、試料の極限粘度から平均分子量Mを求めることができる。 (式3) 極限粘度(cm3/g)=k’Mα ・・・・・(3) (上記式(3)において、k’=0.036,α=0.78である。) 次に、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量を求める際の指標となる動粘度の測定方法について説明する。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の動粘度は、ウベローデ粘度計(柴田科学器械工業株式会社製)を用いて測定することができる。この際、流下秒数が200〜1000秒になるような係数のウベローデ粘度計を選択する。また、測定は30℃の恒温水槽中で行ない、温度変化のないようにする。 ウベローデ粘度計により測定された前記水溶液の流下秒数と、ウベローデ粘度計の係数との積により、動粘度(単位:mm2/s)を求めることができる。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、1質量%水溶液の動粘度が2mm2/s以下であることが好ましく、1.8mm2/s以下であることがより好ましく、1.5mm2/s以下であることがさらに好ましい。上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩において、1質量%水溶液の動粘度が2mm2/sを超えると、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の添加量が所定量を超える場合、粘度が高くなりすぎて調製が困難であったり、あるいは、得られる化粧料、医薬組成物、および食品組成物の粘度に影響を与えてしまい、使用感が低下したり、食感を阻害したりする場合がある。 1.2.分子量分布 分子量分布は、本発明の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の特性を規定する値である。 本発明で規定される分子量分布は、ゲル濾過カラムを用いて試料を液体クロマトグラフィー分析することにより得られる。上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、反復構造単位(N−アセチル−D−グルコサミンおよびD−グルクロン酸)の数によって異なる分子量を有する複数の成分の混合物である。したがって、ゲル濾過カラムを用いて試料について液体クロマトグラフィー分析を行なうことにより、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を構成する成分を分子サイズにより分離することができる。 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩について、ゲル濾過カラムを用いて液体クロマトグラフィー分析を行なうと、保持時間の長い順に、N−アセチルグルコサミン、D−グルクロン酸、ヒアルロン酸(二糖:繰り返し構造単位1つ)、ヒアルロン酸(四糖:繰り返し構造単位2つ)、ヒアルロン酸(六糖:繰り返し構造単位3つ)、ヒアルロン酸(八糖:繰り返し構造単位4つ)…のピークが得られる。この結果に基づいて、ヒアルロン酸の保持時間対分子量の検量線を求め、この検量線から、所定の分子量に対応する保持時間を算出し、その保持時間によりピークを分割することにより、所定の分子量範囲にある成分の割合を求めることができる。 例えば、分子量1万以下の成分の割合は、上述の検量線から分子量1万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以下の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めることができる。同様に、分子量5万以上の成分の割合は、上述の検量線から分子量5万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以上の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めた。 1.3.CPC沈殿法で得られた液の吸光度の測定 CPC沈殿法は、ムコ多糖類の確認試験として用いられている試験方法である。ヒアルロン酸に代表されるムコ多糖類は、CPC(塩化セチルピリジニウム)等の四級アンモニウム塩と結合して沈殿を起こすことが知られている。 本発明においては、CPC沈殿法で得られた液の吸光度の値を、本発明の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の存在を判定するための指標の一つとして用いることができる。 本実施形態に係る低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の0.1g/mL水溶液(10mL)に、0.5g/mLの塩化セチルピリジニウム水溶液(CPC水溶液)(0.05g)を添加して得られた液の吸光度(A660)が0.4Abs以上であることが好ましい。すなわち、吸光度(A660)は、波長660nmの光に対する吸光度であり、液の「濁り」を同定するための指標として広く用いられている。 ここで、本実施形態に係る低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、その分子量および分子量分布の特性により、上記混合液を調製した場合、沈殿を形成しにくく、液が白濁する傾向を有する。すなわち、上記吸光度の値は、本実施形態に係る低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の存在を示す指標となる。 1.4.製造 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、酸性含水媒体中にヒアルロン酸および/またはその塩を分散させることにより製造するのが好ましい。この方法によれば、公知の方法(例えば酵素等を用いてヒアルロン酸を低分子化する方法やアルカリ条件下で低分子化する方法)と比較して、得られた上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の分離精製が容易であるため、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を低コストで収率良く製造することができる。 1.4.1.原料 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の原料であるヒアルロン酸およびその塩(以下、「原料ヒアルロン酸およびその塩」ともいう)は一般に、鶏冠、臍の緒、眼球、皮膚、軟骨等の生物組織、あるいはストレプトコッカス属の微生物等のヒアルロン酸生産微生物を培養して得られる培養液等を原料として、これらの原料から抽出(さらに必要に応じて精製)して得られるものである。例えば、鶏冠より抽出されるヒアルロン酸および/またはその塩の分子量は通常200万から800万である。 原料ヒアルロン酸およびその塩としては、当該粗抽出物および精製物のいずれを用いてもよいが、精製物、具体的にはヒアルロン酸および/またはその塩の純度が90%(質量比)以上のものが好ましい。純度が90%以上の原料ヒアルロン酸およびその塩を原料として用いた場合、保存中に色調や風味の変化の原因となり難いため、安定な化粧料、医薬組成物、および食品組成物が得られる。 なお、低分子ヒアルロン酸から低分子ヒアルロン酸の塩へと変換する方法、ならびに低分子ヒアルロン酸の塩から低分子ヒアルロン酸へと変換する方法は、特に限定されるわけではなく、公知の方法を用いて行なうことができる。 低分子ヒアルロン酸から低分子ヒアルロン酸の塩へと変換する方法としては、例えば、アルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム等の水溶液)を用いて処理する方法が挙げられる。また、低分子ヒアルロン酸の塩から低分子ヒアルロン酸へと変換する方法としては、例えば、酸水溶液(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の水溶液)を用いて処理する方法や、酸性陽イオン交換樹脂を用いる方法が挙げられる。 1.4.2.製造方法 1.4.2−1.分散させる工程 上述したように、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、酸性含水媒体中にヒアルロン酸および/またはその塩を分散させることにより製造することができる。 分散させる工程においては、例えば、粉末状の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体に添加して攪拌させることにより行なうことができる。ここで、粉末状のヒアルロン酸および/またはその塩はほとんど溶解することなく、含水媒体中に分散される。したがって、この場合、攪拌を停止することにより当該粉末は沈殿する。 ここで、攪拌速度や攪拌時間を調整することにより、低分子化の度合いを調整することができる。また、ヒアルロン酸および/またはその塩を含水媒体中に分散させる時間は、含水媒体のpHや温度に応じて適宜決定することができる。 原料ヒアルロン酸および/またはその塩を含水媒体中に分散させることにより、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を褐変がほとんどない状態で得ることができる。これにより、脱色のための新たな精製工程を必要としないため、生産工程の省力化を図ることができる。 また、上述の分散させる工程を加熱下で行なうことができる。より具体的には、粉末状の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を、酸性含水媒体中に攪拌しながら添加して得られた分散媒を加熱することができる。あるいは、酸性含水媒体を予め加熱し、これに原料ヒアルロン酸および/またはその塩を添加し、温度を保持してもよい。 ここで、酸性含水媒体の加熱温度は30〜70℃であるのが好ましい。酸性含水媒体をこの温度範囲内に加熱することにより、1時間以内の加熱により、目的の分子量まで安定に低分子化することができる。上述の分散させる工程をあえて加熱下で行なわずに、常温(30℃未満)で行なうことにより、原料ヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化することも可能である。しかしながら、この場合、加熱下で行なう場合に比べて非常に長い時間を要する。一方、上述の分散させる工程における加熱温度を70℃より高くすることも可能である。しかしながら、この場合、長時間加熱すると低分子化が進行しすぎて、目的の分子量に安定して調整することが困難となる場合がある。 1.4.2−2.加熱乾燥する工程 上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法において、上述した、酸性含水媒体中にヒアルロン酸および/またはその塩を分散させる工程の後に、前記含水媒体を除去して得られた残留物を加熱乾燥する工程を含むことができる。 ここで、加熱乾燥する工程においては、例えば、上述の分散させる工程によって、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩から含水媒体を除去して得られた残留物を加熱乾燥する。含水媒体の除去は、例えば、ストレーナーでの濾過や遠心処理等の物理的手段や、ロータリーエバポレータ等を使用した蒸留留去が挙げられる。また、加熱乾燥する工程においては、例えば熱蔵庫や熱風乾燥機等を用いて、得られた残留物から、残留する含水媒体および水分を除去することが好ましい。 加熱乾燥する工程における温度および時間は特に定めるものではないが、温度は60〜95℃が好ましく、70〜90℃がより好ましく、70〜80℃がさらに好ましい。加熱乾燥する工程における温度が60℃未満である場合、乾燥効率が低下する場合があり、一方、加熱乾燥する工程における温度が95℃を超えると、褐変が生じる場合がある。また、加熱乾燥する工程における時間は6〜48時間が好ましく、12〜36時間がさらに好ましい。加熱乾燥する工程における時間が6時間未満であると、乾燥効率が低下する場合があり、一方、加熱乾燥する工程における温度が48時間を超えると、褐変が生じる場合がある。 加熱乾燥する工程により、上述の分散させる工程によって低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩をさらに低分子化することができるため、低分子化工程の効率向上に寄与することができる。また、加熱乾燥する工程により、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を容易に得ることができる。 1.4.2−3.含水媒体 上記製造方法において、含水媒体は、水を含む、ヒアルロン酸および/またはその塩の分散媒のことをいう。含水媒体に使用できる媒体は、ヒアルロン酸および/またはその塩の溶解性が低いことが好ましい。含水媒体に使用できる媒体は特に限定されないが、例えば液体であって、水に溶解する性質を有し、かつ、化粧料または食品の製造工程において使用できるものが好ましい。含水媒体に使用できる媒体としては、例えば、アルコール系媒体(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノールなど)、ケトン系媒体(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等を挙げることができ、これらを単独でまたは組み合わせて使用することができる。このうち、沸点の低さおよび価格の点で、エタノール、メタノール、およびアセトンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。 含水媒体における含水量は特に規定されないが、含水量が多いと、ヒアルロン酸および/またはその塩が分散状態を維持できず、含水媒体に溶解するため、収率低下を招くおそれがある。したがって、含水媒体の全量に対する水の割合は40容量%以下が好ましく、30容量%以下がさらに好ましい。 また、上記製造方法において、含水媒体を酸性にするために使用するものとしては、例えば、酸や酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。 酸としては、特に限定されないが、化粧料、医薬品または食品の製造において使用できるものが好ましい。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸、氷酢酸等の有機酸を例として挙げることができる。酸の添加量は特に定めるものではないが、酸の添加量が少ないと、ヒアルロン酸および/またはその塩の低分子化が進まず、製造効率が低下する。一方、酸の添加量が多過ぎると、ヒアルロン酸および/またはその塩の低分子化が促進されるため、目的の分子量に安定して調整することが困難となる。例えば、酸として塩酸を使用する場合、0.2容量%以上4容量%以下であることが好ましく、酸として硫酸を使用する場合、0.1容量%以上3容量%以下であることが好ましい。 酸性陽イオン交換樹脂としては、特に限定されないが、例えば、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂等が挙げられ、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。 上記製造方法において、含水媒体のpHは2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。含水媒体のpHが2を超えると、原料ヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化するのに長時間を要するため、効率が低下する。 1.5.製造方法の違いと塩化ナトリウム含量の違いについて 本発明においては、ヒアルロン酸の塩化ナトリウム含量の値を、本発明の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の存在を判定するための指標の一つとして用いることが出来る。 本実施形態に係る低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、塩化ナトリウムの含量が0.5%以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.3%以下である。 一般的に流通しているヒアルロン酸は、その工業的製造方法により、ある程度の塩化ナトリウムを含有する。その割合は通常1%以上である。一般的なヒアルロン酸の工業的製造方法としては、エタノール沈殿、4級アンモニウム塩による精製方法が挙げられる(FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号No.15 1996 別刷)。 エタノール沈殿による精製方法は、通常以下の手順にて進行する。ヒアルロン酸の抽出液に塩化ナトリウムを加え、エタノールを抽出液の2〜3倍量添加する。エタノールを添加すると、ヒアルロン酸が沈殿し、不純物は溶解した状態でヒアルロン酸と分離される。この工程を数回繰り返し、ヒアルロン酸の純度を高める。最後に含水エタノールにて数回洗浄し、塩化ナトリウムの除去を行なう。 一方、4級アンモニウム塩による精製は以下の手順にて進行する。ヒアルロン酸は4級アンモニウム塩と複合体を形成し、沈殿する性質を持っている。よって、ヒアルロン酸の抽出液に4級アンモニウム塩を添加し、沈殿を生成させる。得られた沈殿を、塩化ナトリウム含有アルコールにて洗浄する。数回繰り返しヒアルロン酸の純度を高めた後、塩化ナトリウムの除去を行なうため、含水エタノールによる洗浄を数回繰り返す。 いずれの方法でも、精製の下流で大量の塩化ナトリウムを使用するため、塩化ナトリウムの除去を実施しても、ある程度の量の塩化ナトリウムが残存する。 一方、本実施形態に係る製造方法は、詳しくは後述するが、ヒアルロン酸粉末を塩酸含有含水エタノール中で溶解せずに粉末の状態で加熱処理し、その後、含水エタノールにて数回洗浄し、塩酸を除去する。本実施形態に係る製造方法によれば、粉末化の必要が無いため、塩化ナトリウムを添加する必要も無く、使用した塩酸も中和せずに洗浄、乾燥にて除去されるため、塩化ナトリウム・塩素イオンの含量は極端に低レベルに抑えられる。これにより、得られたヒアルロン酸および/またはその塩の塩化ナトリウム含量が0.5%以下、さらには0.3%以下となり得る。 後に実施例に示す通り、本実施形態に係る製造方法によれば、塩化ナトリウム含量の下限は0.05%程度まで低減できるが、さらに低減するには脱塩やイオン交換処理工程等を組み入れることも可能である。このように、本実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩の塩化ナトリウム含量は、一般的なヒアルロン酸の塩化ナトリウム含量より1/100以下に低減することが可能となる。 本実施形態に係る低分子ヒアルロン酸および/またはその塩は、後に試験例で示すように、化粧料をはじめ、医薬組成物、食品組成物に使用される。その際、塩化ナトリウムをはじめとする塩類は、系の安定性を損なう可能性がある。特に乳化系においては、解乳化の要因となりうる。また、これらは肌や毛髪に直接塗布する、または摂食するものであるため、いずれの理由によっても、塩化ナトリウム等の残留する塩類は極力低減されたものであることが望まれる。 2.化粧料 本発明の一実施形態に係る化粧料は、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。上記化粧料の態様は特に限定されないが、例えば、皮膚に使用する洗浄料、化粧水(例えば、美白化粧水)、クリーム(例えば、バニシングクリーム、コールドクリーム)、乳液、美容液、パック、ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、頬紅、ネイルトリートメント、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、クレンジング、洗顔料、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング、ヘアパック、ヘアトニック、養毛剤、シェービングローション、アフターシェーブローション、アフターサンローション、デオドラントローション、ボディローション(ハンドケアローション、フットケアローションを含む)、ボディオイル、パーマネント液、カラーリング液、石鹸、ボディ洗浄料、入浴剤等を挙げることができる。 本実施形態に係る化粧料によれば、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩が皮膚組織内部に浸透して保水性を発揮するため、皮膚の水分量が保持されて、皮膚を瑞々しい状態に保つことができる。 3.医薬組成物 本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。上記医薬組成物の態様は特に限定されないが、外用剤および内服剤が挙げられる。外用剤としては、例えば、軟膏剤、外用液剤(例えば、点眼剤、含嗽用液剤)、点鼻薬、点耳剤、貼付剤(例えば、パップ剤、プラスター剤)、坐剤、ローション剤、リニメント剤、エアゾール剤等が挙げられる。また、内服剤としては、例えば、トローチ剤、内服液剤、チュアブル剤等が挙げられる。 本実施形態に係る医薬組成物によれば、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、生体内への吸収性に優れている。例えば、上記医薬組成物が外用剤の場合、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩が皮膚組織内部に浸透して保水性を発揮するため、皮膚の水分量が保持されて、皮膚を瑞々しい状態に保つことができる。また、例えば、上記医薬組成物が内服剤の場合、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩が口腔組織に浸透して保水性を発揮するため、口腔保湿効果を発揮することができる。 4.食品組成物 本発明の一実施形態に係る食品組成物は、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。上記食品組成物の態様は特に限定されないが、例えば、ガム、キャンディー、グミキャンディー、トローチ様食品、ゼリー飲料等の口腔保湿効果を期待できる食品組成物のほか、主食である米飯加工食品、製パン類等、副食であるレトルト缶詰、冷凍食品、惣菜、乾燥食品等、マヨネーズ等調味料、飲料、菓子、デザート類、液状,ゲル状またはソフトカプセル状等のサプリメント類等の一般食品全般、生理機能を表現することを許可された特定保健用食品全般を挙げることができる。 本実施形態に係る食品組成物によれば、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、上記低分子ヒアルロン酸および/またはその塩が口腔組織に浸透して保水性を発揮するため、口腔保湿効果を発揮することができる。 5.実施例 次に、本発明を以下の実施例、比較例および試験例に基づき、さらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、動粘度の測定および極限粘度の算出は、上述した方法により行なわれた。 5.1.評価方法 後述する実施例1〜3で得られた低分子ヒアルロン酸について、分子量分布およびCPC沈殿法で得られた液の吸光度の測定を以下の方法にて測定した。 5.1.1.分子量分布 本実施例において、低分子ヒアルロン酸の分子量分布は、HPLC分析装置(商品名「アライアンスPDAシステム」,日本ウォーターズ株式会社製)にゲル濾過カラム(商品名「Diol−120」,株式会社ワイエムシイ製)を接続して、低分子ヒアルロン酸の0.1%(w/v)水溶液を分析サンプルとして、この分析サンプルを液体クロマトグラフィー分析することにより測定された。一例として、実施例2で得られた低分子ヒアルロン酸のクロマトグラムを図1に示す。 また、液体クロマトグラフィー分析の条件は以下の通りであった。 カラム温度:40℃ 流速:1mL/分 低分子ヒアルロン酸の0.1%(w/v)水溶液の注入量:20μL 移動相:0.003M リン酸バッファー(0.15M NaCl含有,pH7.0) 本実施例に係るゲル濾過カラムを用いた液体クロマトグラフィーでは、保持時間が遅いものほど低分子である。図1に示されるように、右側から保持時間の長い順に、N−アセチルグルコサミン、D−グルクロン酸、ヒアルロン酸(二糖:繰り返し構造単位1つ)、ヒアルロン酸(四糖:繰り返し構造単位2つ)、ヒアルロン酸(六糖:繰り返し構造単位3つ)、ヒアルロン酸(八糖:繰り返し構造単位4つ)…のピークが得られた。各ピークにおける保持時間および分子量を算出し、この保持時間対分子量の検量線を求めた(式5)。 なお、式5において、xは保持時間を示し、yは分子量を示す。次いで、式5に示される検量線から、所定の分子量(1万または5万)に対応する保持時間を算出し、これらの保持時間によりピークを分割することにより、所定の分子量範囲にある成分の割合を求めた。また、各ピークが示す分子量は、分子量が既知のヒアルロン酸の最小構成単位(二糖)について同様の方法で液体クロマトグラフィー分析して得られたクロマトグラム中のピークと照会することにより同定された。 例えば、分子量1万以下の成分の割合は、式5に示される検量線から分子量1万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以下の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めた。同様に、分子量5万以上の成分の割合は、式5に示される検量線から分子量5万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以上の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めた。 一例として、図1に示すクロマトグラムから得られた各分子量成分の繰り返し単位数および保持時間の関係を表1に示す。 (式5) y=−21.4x3+1296.2x2−26747.1x+189427.1 ・・・・・(5) 5.1.2.CPC沈殿法で得られた液の吸光度の測定 本実施例において、CPC沈殿法で得られた液の吸光度の測定は、以下の方法により行なった。 本実施例に係る低分子ヒアルロン酸0.01gを蒸留水10mLに溶解して、0.1(g/mL)ヒアルロン酸水溶液を調製した。また、CPC1gを蒸留水20mLに溶解させて、0.05(g/mL)CPC水溶液を調製した。この0.05(g/mL)CPC水溶液52μL(0.05g)を0.1(g/mL)ヒアルロン酸水溶液10mLに加えてよく攪拌した後、5分後に660nm(濁り)の吸光度を測定した。 図2に、実施例2で得られた低分子ヒアルロン酸(サンプルC)について、上述の方法による測定で得られた吸光度の測定結果を示す。ここでは、対照として、分子量が既知のヒアルロン酸(サンプルA,B)を用いて同様の試験を行なった なお、使用したサンプルAは、商品名「ヒアルロンサンHA−L510」(キユーピー株式会社製)であり、サンプルBは、商品名「ヒアルロン酸FCH FCH−A」(紀文フードケミファ株式会社製)である。また、図3は、吸光度測定を行なったサンプルA〜Cの外観を示す写真である。 図2に示されるように、異なる波長の光に対する吸光度測定の結果によれば、サンプルA,BとサンプルCとで明らかに異なる挙動を示した。また、図3に示されるように、サンプルA,BとサンプルCとを目視にて比較したところ、明らかな濁りの違いが見られた。具体的には、サンプルC(実施例2で得られた低分子ヒアルロン酸の水溶液)を用いた場合、その分子量および分子量分布の特性により、CPC水溶液を添加しても液は沈殿を形成せず、白濁するに留まった。これに対して、サンプルA,Bを用いて上記操作を行なった結果、CPC水溶液を添加すると沈殿が生じたため、液の透明度はサンプルCを用いた場合と比較して高かった。 これらの結果より、CPC沈殿法で得られた液の吸光度の測定は、本発明の低分子ヒアルロン酸と、より高分子のヒアルロン酸との特性の違いを示す指標の一つであることが理解できる。 なお、後述する実施例1,3で得られた低分子ヒアルロン酸についても、CPC沈殿法で得られた液の吸光度の測定を行なった。その結果は後述する各実施例に記載されている。 5.1.3.塩化ナトリウム含量の測定 本実施例においては、低分子ヒアルロン酸の塩化ナトリウム含量を、以下に記す通り、モール法により測定した。 (測定方法) 実施例1で得られた低分子ヒアルロン酸2.5gを蒸留水100mLに溶解した。また、10%クロム酸カリウム溶液1mLを低分子ヒアルロン酸水溶液に加えてよく攪拌した後、硝酸銀溶液にて微褐色になるまで滴定した。次いで、以下の式(4)により、低分子ヒアルロン酸の食塩含量を算出した。 (式4) 食塩(%)=(X×滴定量(mL))/(サンプル量(g)×1000)×100 ・・・・・(4) (式(4)中、Xは硝酸銀溶液のファクターであり、本試験ではX=13.345であった。) (測定結果) 上述の方法による測定で得られた、実施例1で得られた低分子ヒアルロン酸(サンプルA)の塩化ナトリウム含量の測定結果を表3に示す。ここでは対照として、エタノール沈殿等の従来法により製造されたヒアルロン酸(サンプルB、C)を用いて同様の試験を行ない、塩化ナトリウム含量を求めた。なお、使用したサンプルBは、商品名「ヒアルロンサンHA−LF」(キユーピー株式会社製、平均分子量30万)であり、サンプルCは、商品名「ヒアルロン酸FCH FCH−A」(紀文フードケミファ株式会社製、平均分子量3万)である。 表3に示されるように、サンプルAとサンプルB、Cとは、塩化ナトリウム含量が明らかに異なっていることが確認された。 塩化ナトリウム含量の測定は、本発明の低分子ヒアルロン酸と、従来法によって製造されたヒアルロンサンとの特性の違いを示す指標の一つであることが理解できる。 なお、後述する実施例2、3で得られた低分子ヒアルロン酸についても、同様の方法にて塩化ナトリウム含量の測定を行った。その結果は後述する各実施例に記載されている。 5.2.実施例1 本実施例では、原料として、鶏冠より抽出、精製したヒアルロン酸ナトリウム(以下、「HANa」ともいう)微粉末を準備した。この原料HANaの平均分子量は約210万、純度97%であった。 まず、攪拌機およびジャケットを装備した300L容タンクに、0.5%硫酸含有80%含水アセトン(酸性含水媒体)110Lを満たし、攪拌しながら液温が60℃となるよう加熱した。この処理液のpHは1.08であった。ここで、80%含水アセトンは、アセトンを80(W/W)%含有し、水を20(W/W)%含有するものであり、0.5%硫酸含有80%含水アセトンは、硫酸を0.5(W/W)%含有し、80%含水アセトンを99.5(W/W)%含有するものである。60℃に達温後、攪拌しながら,準備した原料HANa微粉末6kgをタンクに投入した。硫酸含有含水アセトンの温度を60℃に維持するよう加熱を行ないながら、原料HANa微粉末が分散状態となるように攪拌した。 次に、15分間攪拌してから静置した後、上澄みの硫酸含有含水アセトンをデカンテーションにより除去することにより、沈殿物を得た。得られた沈殿物に、予め60℃に加熱した0.5%硫酸含有80%含水アセトン110Lを加え、同様に60℃に加熱しながら攪拌を15分間行ない、この操作を合計3回繰り返した。 次いで、硫酸含有含水アセトンを除去した後に得られた沈殿物に80%含水アセトン110Lを加え、硫酸除去の目的で攪拌を15分間行なった。硫酸の残留がなくなるまでこの操作を繰り返した。 さらに、含水アセトンをデカンテーションにより除去して残留物を得た。この残留物について遠心分離処理を行なうことにより含水アセトンをさらに除去した後、真空乾燥機を用いて70℃にて減圧で12時間加熱乾燥した。 以上の工程により、白色微粉末の低分子ヒアルロン酸5.3kg(収率約88%)を得た。この低分子ヒアルロン酸は、ウベローデ粘度計を用いて測定された1%水溶液の動粘度が1.5mm2/sであり、極限粘度より換算した平均分子量が9,000であり、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が49重量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が0.5重量%であった。また、得られた低分子ヒアルロン酸の0.1g/mL水溶液(10mL)に、0.5g/mLの塩化セチルピリジニウム水溶液(0.05g)を添加して得られた液の吸光度(A660)は0.57Absであった。 5.3.実施例2 本実施例では、原料として、実施例1で用いたHANa微粉末を準備した。 まず、攪拌機およびジャケットを装備した300L容タンクに、2%塩酸含有73%含水エタノール(酸性含水媒体)110Lを満たし、攪拌しながら液温が50℃となるよう加熱した。この処理液のpHは0.70であった。ここで、73%含水エタノールは、エタノールを73(W/W)%含有し、水を27(W/W)%含有するものであり、2%塩酸含有73%含水エタノールは、塩酸を2(W/W)%含有し、73%含水エタノールを98(W/W)%含有するものである。50℃に達温後、攪拌しながら、準備した原料HANa微粉末6kgをタンクに投入した。塩酸含有含水エタノールの温度を60℃に維持するように加熱を行ないながら、原料HANa微粉末が分散状態となるように攪拌した。 次に、15分間攪拌してから静置した後、上澄みの塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去することにより、沈殿物を得た。得られた沈殿物に、予め50℃に加熱した2%塩酸含有73%含水エタノール110Lを加え、同様に50℃に加熱しながら攪拌を15分間行ない、この操作を合計3回繰り返した。 次いで、塩酸含有含水エタノールを除去した後に得られた沈殿物に73%含水エタノール110Lを加え、塩酸除去の目的で15分間の攪拌を行なった。塩酸の残留がなくなるまでこの操作を繰り返した。 さらに、含水エタノールをデカンテーションにより除去して残留物を得た。この残留物について遠心分離処理を行なうことにより含水エタノールをさらに除去した後、真空乾燥機を用いて80℃にて減圧で24時間加熱乾燥した。 以上の工程により、白色微粉末の低分子ヒアルロン酸5.5kg(収率約92%)を得た。この低分子ヒアルロン酸は、ウベローデ粘度計を用いて測定された1%水溶液の動粘度が1.1mm2/sであり、極限粘度より換算した平均分子量が6,000であり、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が58重量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が0.2重量%であった。また、得られた低分子ヒアルロン酸の0.1g/mL水溶液(10mL)に、0.5g/mLの塩化セチルピリジニウム水溶液(0.05g)を添加して得られた液の吸光度(A660)は1.16Absであった。さらに、得られた低分子ヒアルロン酸の塩化ナトリウム含量は0.10%であった。 5.4.実施例3 本実施例では、原料として、ヒアルロン酸産生ストレプトコッカス属の微生物を培養することにより得られたヒアルロン酸含有発酵物より抽出、精製した原料ヒアルロン酸(以下、「HA」ともいう)微粉末を準備した。この原料HAの平均分子量は約160万であり、純度は97%であった。 まず、攪拌機を装備した300L容タンクに、2%塩酸含有80%含水エタノール(酸性含水媒体)110Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう加熱した。この処理液のpHは0.76であった。ここで、80%含水エタノールは、エタノールを80(W/W)%含有し、水を20(W/W)%含有するものであり、2%塩酸含有80%含水エタノールは、塩酸を2(W/W)%含有し、80%含水エタノールを98(W/W)%含有するものである。70℃に達温後、攪拌しながら、準備した原料HA微粉末6kgを投入した。塩酸含有含水エタノールの温度を70℃に維持するように温度を調節しながら、原料HA粉末が分散状態となるように攪拌した。 次に、60分間攪拌してから静置した後、上澄みの塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去することにより残留物を得た。この残留物について遠心分離を行なうことにより含水エタノールをさらに除去した後、真空乾燥機を用いて常温、シリカゲル存在下にて減圧で12時間乾燥した。 以上の工程により、白色微粉末の低分子ヒアルロン酸5.5kg(収率約92%)を得た。この低分子ヒアルロン酸は、ウベローデ粘度計を用いて測定された1%水溶液の動粘度が1.8mm2/sであり、極限粘度より換算した平均分子量が14,000であり、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が43重量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が2.1重量%であった。また、得られた低分子ヒアルロン酸の0.1g/mL水溶液(10mL)に、0.5g/mLの塩化セチルピリジニウム水溶液(0.05g)を添加して得られた液の吸光度(A660)は0.44Absであった。さらに、得られた低分子ヒアルロン酸の塩化ナトリウム含量は0.07%であった。 5.5.試験例1 本試験例においては、本発明の低分子ヒアルロン酸をマウスに経皮投与して、経皮吸収性の評価を行なった。 5.5.1.試験方法 5.5.1−1.動物 ヘアレスマウス(Hos:HR−1) 雄 6週齢(試験開始時) (日本エスエルシー株式会社より購入) なお、マウスは搬入後1週間馴化させてから試験に用いた。 5.5.1−2.試料 試料1:上記実施例2で得られた低分子ヒアルロン酸 試料2:ヒアルロン酸 (商品名「ヒアルロンサンHA−LQH」、キユーピー株式会社製、分子量180万) 試料3(対照):蒸留水 5.5.1−3.蛍光化試料の調製 塗布した試料と皮膚中のヒアルロン酸とを区別するため、試料1,2のヒアルロン酸を蛍光ラベル化物質(DMEQ−ヒドラジド)で蛍光化した試料を試験に用いた。具体的には、ヒアルロン酸のカルボン酸基とDMEQ−ヒドラジドとを反応させることにより蛍光化を行なった。ここで用いられたヒアルロン酸の蛍光化方法は、例えば、李梅花、上田秀雄他による「角質保湿剤ヒアルロン酸ナトリウムの皮膚吸収に及ぼす超音波照射の影響」(Drug Delivery System, 12, 415-419(1997))に記載されている。 5.5.1−4.試料群 試験群1:蛍光化した試料1の1%水溶液を貼付する群 15匹 試験群2:蛍光化した試料2の1%水溶液を貼付する群 15匹 試験群3(対照):蒸留水を皮膚に貼付する群 15匹 5.5.1−5.試験方法 まず、マウス腹部に蛍光化した試料または蒸留水を100mgずつ染み込ませた1cm2のリント布を貼付し、各試験群につき5匹ずつ1、3、5時間後にリント布を剥がし、皮膚表面に残る試料を水洗した。水洗後はよく乾かし、試料を貼付した皮膚部分を約1cm2切り取った後ハサミでほぐした。このとき、マウスの皮膚を採取した後、腹膜がきれいに現れたため、真皮まで採取されていることが確認された。 次に、切り取った皮膚を遠沈管に移し、2mL蒸留水を加えてホモジナイズした後、4℃にて3000回転で10分間遠心分離させ、上澄み液を分析サンプルとした。この分析サンプル中の蛍光物質の量を測定することにより、試料1または試料2が皮膚内部に浸透したかどうかを評価した。 なお、試験群3(対照群)と試験群1、および試験群3と試験群2のそれぞれについて、StudentのT検定を行ない、P<0.05で有意差有りとした。 5.5.1−6.HPLC分析条件および分析結果 以下の条件にて、上述の試験方法で得られた分析サンプル(上澄み液)について、HPLC分析を行なった。HPLCの分析条件は以下の通りである。 分析機器:Waters 2690+470 カラム:shodex suger KS807(ゲル濾過カラム) カラム温度:40℃ 流速:0.5mL/分 注入量:20μL 移動相:0.003mol/Lリン酸バッファー・0.15mol/L塩化ナトリウム含有 蛍光分析条件:励起波長365nm・蛍光波長447nm 図4に、試料を5時間貼付した試験群1〜3の分析サンプルのHPLC分析チャートを示す。また、表4に、各試験群においてリント布を所定時間貼付した場合に得られた分析サンプルのピーク面積の平均値を示す。 HPLC分析の結果、試験群1で得られた分析サンプルでは、皮膚中の蛍光強度が有意に増加したことが確認された。これに対して、試験群2では、有意な差は確認されなかった。 5.5.1−6.皮膚に吸収された低分子ヒアルロン酸の定量 次に、表4に示される分析サンプル中の蛍光ピーク面積から、試験群1〜3において、それぞれヒアルロン酸の経皮吸収量を算出した。ただし、対照群である試験群3からもピークが検出されているため、この影響を排除するために分析サンプルの蛍光ピーク面積から試験群3のピーク面積の平均値を差し引いた。なお、試験群3からもピークが検出されたのは、生体内に蛍光を発する物質(例えば、ビタミン類、芳香族アミノ酸、コレステロール等)がもともと含まれているからであると推測される。その際、各分析サンプルによって皮膚採取量が異なるため、それぞれ皮膚サンプルの重量で割った値を用いて以下の計算式(式6)にて、ヒアルロン酸の経皮吸収量を算出した。 (式6)・・・・・(6) なお、STD(標準)溶液については、実際に試験に使用した試料1%水溶液を100倍希釈したものをHPLCにて分析して、ピーク面積を求めた。 図5に、試験群1の試料の貼付時間と、試験群1の分析サンプルにおける皮膚1g当たりのヒアルロン酸増加量との関係を示す。図5によると、試料の貼付時間が1〜3時間にかけて、ヒアルロン酸の経皮吸収量は経時的に増大するが、試料の貼付時間が3〜5時間にかけては、ヒアルロン酸の経皮吸収がほぼ平衡に達したと考えられる。すなわち、試験群1(低分子ヒアルロン酸を投与した群)は、1時間、3時間、5時間すべてにおいて、対照群(試験群3)に比べて有意な蛍光ピークの増加を確認できた。 これに対して、試験群2では、試験群3に比べて有意な差は見られず、皮膚1g当たりのヒアルロン酸増加量はほぼゼロであった。この結果から、試験群2のヒアルロン酸はほとんど経皮吸収されなかったことが確認された。また、試験群2で得られた皮膚ホモジナイズ液からヒアルロン酸の吸収が確認されなかったことから、貼付終了後の皮膚洗浄は十分に行われたことが確認された。 以上のことから、本発明の低分子ヒアルロン酸は皮膚表面から皮膚中に取り込まれるのに対して、試験群2で使用されたヒアルロン酸は分子量が180万と大きいため、皮膚に吸収されずに皮膚上に滞留するものと推測される。 5.5.1−7.確認試験 なお、上述の試験方法で得られた分析サンプル(上澄み液)について、低分子カラムクロマトグラフィー分析を行なった結果、検出された蛍光ピークは、蛍光化されたヒアルロン酸または皮膚由来の蛍光物質であり、未反応の蛍光ラベル化用物質(DMEQ−ヒドラジド)ではないことが確認された。図6に、低分子カラムクロマトグラフィー分析における各分析サンプルのHPLC分析チャートを示す。また、低分子カラムクロマトグラフィー分析の条件を以下に示す。 分析機器:HPLC(waters 2690+470) カラム:YMC−Pack Diol 120(ゲル濾過カラム) カラム温度:室温 流速:1mL/分 注入量:20μL 移動相:0.003mol/L−リン酸バッファー(0.15mol/L塩化ナトリウム含有) 蛍光分析条件:励起波長365nm・蛍光波長447nm 5.6.試験例2 本試験例においては、本発明の低分子ヒアルロン酸をヒトに経皮投与して、経皮吸収性の評価を行なった。より具体的には、本発明の低分子ヒアルロン酸を滲み込ませたガーゼを被験者の前腕部に1日8時間ずつ3日間(8h/d×3d)貼付した後の皮膚の水分量を測定して、対照(蒸留水)を滲み込ませたガーゼを貼り付けた場合における皮膚の水分量との比較を行なった。 5.6.1.使用サンプルサンプルI…実施例2で得られた低分子ヒアルロン酸の1%水溶液サンプルII…分子量140万のヒアルロン酸(商品名「ヒアルロンサンHA−LQ」,キユーピー株式会社製)の1%水溶液サンプルIII…蒸留水 5.6.2.測定機器 水分量測定器:商品名「SKICON−200」,I.B.S.Co.,LTD製 5.6.3.測定方法 サンプルI〜IIIをそれぞれ1mL滲み込ませたガーゼ(面積:3×3cm2)を被験者(25〜50歳の成人15名)の前腕部に48時間貼付した後、該ガーゼを剥がし、貼付部位の皮膚の水分量を水分量測定器にて測定した。水分量の測定は、貼付直前、貼付終了直後、貼付終了後1日経過時、貼付終了後4日経過時にそれぞれ行なった。その結果を表5に示す。表5に示される数値は、被験者5名の平均の数値である。 表5によれば、サンプルIを貼付した場合、サンプルII,IIIを貼付した場合と比較して、皮膚の水分量を多くかつ持続的に保持できることが確認された。特に、サンプルIを貼付した場合、サンプルII,IIIを貼付した場合と比較して、ガーゼを剥がした後においても、皮膚の水分量を持続的に保持できることが確認された。 5.7.試験例3 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合した化粧水(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 オクタン酸セチル 0.30% メトキシ桂皮酸オクチル 0.15% 酢酸トコフェロール 0.10% EMALEX RWIS-158(イソステアリン酸PEG-58水添ヒマシ油) 2.00% Eldew PS-306(ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル /フィトステリル/ベヘニル)) 0.50% ブチルパラベン 0.10% メチルパラベン 0.20% 1,3−ブチレングリコール 5.00% 低分子ヒアルロン酸 0.02% 水 91.63% ―――――――――――――――――――――――― 計 100.00% 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる化粧水を得ることができた。 5.8.試験例4 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合した化粧水(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 ジメチコン 2.00% シクロメチコン 21.00% ホホバ油 0.10% EMALEX SS-1906EX(PEG-10ジメチコン) 4.00% ジメチルシリル化シリカ 0.20% Pemulen TR-2((アクリル酸/アクリル酸アルキル (C10−30))コポリマー) 0.05% 酢酸トコフェロール 0.10% プロピルパラベン 0.05% ブチルパラベン 0.05% メチルパラベン 0.10% 酸化鉄 0.00% 1,3−ブチレングリコール 1.00% 低分子ヒアルロン酸 0.05% グリセリン 25.00% 硫酸マグネシウム 0.20% 水 46.10% ―――――――――――――――――――――――― 計 100.00% 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる化粧水を得ることができた。 5.9.試験例5 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合した乳液(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 プロピレングリコール 7.92% トレハロース 0.03% 低分子ヒアルロン酸 0.01% ミネラルオイル 3.00% トリオクタノイン 1.50% スクワラン 1.00% ステアリン酸 0.50% セテアリルアルコール 0.50% ラノリン 0.30% パラフィン 0.20% ステアリン酸ソルビタン 1.40% テトラオレイン酸ソルベース−30 1.00% ポリソルベート60 0.80% メチルパラベン 0.20% プロピルパラベン 0.10% エタノール 0.01% フェノキシエタノール 適 量 カルボマー 0.10% 水酸化カリウム 0.10% BHT 0.02% トコフェロール 適 量 EDTA−2ナトリウム 0.02% ―――――――――――――――――――――――― 水 全量を100%とする 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる乳液を得ることができた。 5.10.試験例6 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合したクリーム(内容量50g/スクリューキャップ付プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 スクワラン 11.00% ジメチコン 1.00% ベヘニルアルコール 3.00% ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル 2.00% EMALEX GMS-50 (ステアリン酸グリセリル(SE)) 8.00% EMALEX 805(ステアリン酸PEG−5)2.00% プロピルパラベン 0.10% プロピレングリコール 5.00% メチルパラベン 0.20% 尿素 5.00% 低分子ヒアルロン酸 0.03% 水 62.67% ―――――――――――――――――――――――― 計 100.00% 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができるクリームを得ることができた。 5.11.試験例7 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合したクレンジングクリーム(内容量50g/スクリューキャップ付プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 ミネラルオイル 30.00% パラフィン 3.00% ミツロウ 2.00% オクタン酸セチル 25.00% ベヘニルアルコール 5.00% ステアリン酸グリセリル 1.00% EMALEX 600di-ISEX(ジイソステアリン酸PEG-12) 3.00% EMALEX 620(ステアレス−20) 1.00% 酢酸トコフェロール 0.10% プロピルパラベン 0.15% ステアロイルグルタミン酸Na 0.40% 1,3−ブチレングリコール 3.00% メチルパラベン 0.15% キサンタンガム 10.00% 低分子ヒアルロン酸 0.10% 水 16.10% ―――――――――――――――――――――――― 計 100.00% 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができるクレンジングクリームを得ることができた。 5.12.試験例8 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合した化粧下地(内容量30g/フタ付プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 エタノール 10.00% メントール 0.02% グリセリン 5.00% BG 3.00% 低分子ヒアルロン酸 0.01% ジメチコン 2.00% トリオクタノイン 2.00% ジメチルPABAオクチル 0.50% オキシベンゾン 0.05% カルボマー 0.30% シリカ 0.20% AMP 0.20% メチルパラベン 0.16% フェノキシエタノール 適 量 トコフェロール 0.02% EDTA−2ナトリウム 0.01% ―――――――――――――――――――――――― 水 全量を100%とする 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる化粧下地を得ることができた。 5.13.試験例9 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合したヘアコンディショナー(内容量500mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 ジメチコン 3.00% プロピレングリコール 8.00% ミネラルオイル 2.00% グリセリン 3.00% PPG−30 0.50% ステアレス−4 1.00% セトリモニウムブロミド 2.00% セタノール 2.00% 低分子ヒアルロン酸 0.50% 加水分解コラーゲン 1.00% 加水分解シルク 1.00% ベヘントリモニウムメトサルフェート 0.80% フェノキシエタノール 0.40% セトステアリルアルコール 0.50% ステアリルアルコール 0.50% EDTA−2ナトリウム 0.10% メチルパラベン 0.10% 香料 適 量 水 73.60% ――――――――――――――――――――――――――――――― 計 100.00% 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができるヘアコンディショナーを得ることができた。 5.14.試験例10 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合したアフターサンローション(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 エタノール 11.04% BG 4.16% オウゴンエキス 適 量 低分子ヒアルロン酸 0.50% ステアリルアルコール 0.72% アボカド油 0.72% ステアリン酸 0.02% オリザノール 適 量 ポリソルベート 0.23% PPG−6デシルテトラデセス−20 0.20% オクトキシノール−3 0.08% メチルパラベン 0.14% プロピルパラベン 0.07% カルボマー 0.13% PVP 適 量 水酸化カリウム 0.04% EDTA−2ナトリウム 0.01% トコフェロール 適 量 水 75.10% ―――――――――――――――――――――――― 計 100.00% 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができるアフターサンローションを得ることができた。 5.15.試験例11 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合したアフターシェーブローション(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 エタノール 58.00% メントール 0.10% プロピレングリコール 2.00% グリチルリチン酸二カリウム 0.05% 低分子ヒアルロン酸 2.00% 香料 0.10% ―――――――――――――――――――――――― 水 全量を100%とする 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができるアフターシェーブローションを得ることができた。 5.16.試験例12 本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合した入浴剤(内容量200mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 オクタン酸セチル 43.80% オクチルドデセス−10 8.00% ブチルパラベン 0.20% メチルパラベン 0.10% グリセリン 2.00% 低分子ヒアルロン酸 1.00% 水 44.90% ―――――――――――――――――――――――― 計 100.00% 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる入浴剤を得ることができた。 5.17.試験例13 本試験例では、医薬組成物として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合した温感刺激パップ剤をそれぞれ調製した。 《処方》 ポリアクリル酸ナトリウム 4.00g カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.00g カオリン 5.00g ゼラチン 3.00g グリセリン 20.00g トウガラシエキス 0.15g 低分子ヒアルロン酸 5.00g 水 60.85g ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 計 100.00g 5.18.試験例14 本試験例では、医薬組成物として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合した冷感経皮吸収型パップ剤をそれぞれ調製した。 《処方》 低分子ヒアルロン酸 2.50g インドメタシン 0.30g L−メント−ル 0.40g ポリアクリル酸ナトリウム 6.50g カルボキシメチルセルロ−スナトリウム 1.00g ゼラチン 3.00g グリセリン 29.70g アルミニウムグリシネート 0.08g ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.50g 乳酸 1.00g 水 55.02g ―――――――――――――――――――――――――― 計 100.00g 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる冷感経皮吸収型パップ剤を得ることができた。 5.19.試験例15 本試験例では、食品組成物として、以下に記す処方にて、実施例1〜3でそれぞれ得られた低分子HAを配合したスパウトパウチ入りグレープフルーツゼリー飲料(内容量100g/透明スパウトパウチ入り)をそれぞれ調製した。 《処方》 低分子ヒアルロン酸 0.1g 5倍濃縮グレープフルーツ果汁 2.0g カラギーナン(ゲル化剤) 1.0g キサンタンガム(増粘剤) 0.5g スクラロース(甘味料) 0.1g クエン酸 1.0g クエン酸ナトリウム 0.2g グレープフルーツ香料 0.5g 精製水 94.6g ―――――――――――――――――――――――― 計 100.0g 本試験例によれば、実施例1〜3で得られた低分子HAを配合することにより、風味および食感に優れたグレープフルーツゼリー飲料を得ることができた。 塩化ナトリウムの含量が0.5質量%以下であり、平均分子量が5,000〜20,000であり、かつ、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40質量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が5質量%以下である、低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法であって、 酸性含水媒体中にヒアルロン酸および/またはその塩を分散させた後、前記含水媒体を除去する工程を含み、 前記酸性含水媒体がpH2以下である、低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法。 前記分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上であり、かつ、分子量5万以上の成分の割合が1重量%以下である、請求項1に記載の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法。 前記分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が50重量%以上である、請求項2に記載の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法。 前記分散させる工程において、前記酸性含水媒体中に前記ヒアルロン酸および/またはその塩を加熱下で分散させる、請求項1ないし3のいずれかに記載の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法。 請求項1ないし4のいずれかに記載の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の0.1g/mL水溶液(10mL)に、0.5g/mLの塩化セチルピリジニウム水溶液(0.05g)を添加して得られた液の吸光度(A660)が0.4Abs以上である、請求項1ないし4のいずれかに記載の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法。 請求項1ないし5のいずれかに記載の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法により得られた低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を用いて化粧料を製造する工程を含む、化粧料の製造方法。 請求項1ないし5のいずれかに記載の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法により得られた低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を用いて医薬組成物を製造する工程を含む、医薬組成物の製造方法。 請求項1ないし5のいずれかに記載の低分子ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法により得られた低分子ヒアルロン酸および/またはその塩を用いて食品組成物を製造する工程を含む、食品組成物の製造方法。


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