タイトル: | 公開特許公報(A)_網膜色素線条症の原因変異を判定するための方法及びこれに使用されるオリゴヌクレオチド |
出願番号: | 2008313092 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12Q 1/68,C12N 15/09,C12M 1/00,G01N 37/00,G01N 33/53 |
中山 智祥 水谷 吉宏 湯澤 美都子 佐藤 直之 JP 2009159954 公開特許公報(A) 20090723 2008313092 20081209 網膜色素線条症の原因変異を判定するための方法及びこれに使用されるオリゴヌクレオチド 学校法人日本大学 899000057 特許業務法人 もえぎ特許事務所 110000774 中山 智祥 水谷 吉宏 湯澤 美都子 佐藤 直之 JP 2007321333 20071212 C12Q 1/68 20060101AFI20090626BHJP C12N 15/09 20060101ALI20090626BHJP C12M 1/00 20060101ALI20090626BHJP G01N 37/00 20060101ALI20090626BHJP G01N 33/53 20060101ALI20090626BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 AC12N15/00 FC12M1/00 AG01N37/00 102G01N33/53 M 14 OL 19 4B024 4B029 4B063 4B024AA01 4B024AA11 4B024CA01 4B024CA09 4B024HA14 4B029AA07 4B029FA15 4B063QA08 4B063QA19 4B063QQ08 4B063QQ28 4B063QQ42 4B063QR08 4B063QR32 4B063QR55 4B063QR62 4B063QR77 4B063QS25 4B063QS34 4B063QX01 本発明は網膜色素線条症(Angioid streaks;以下ASとする)の判定方法に関する。さらに詳しくは、ABCC6遺伝子のバリアントを調べることによるASの判定方法に関する。また、この判定方法に用いられる網膜色素線条症判定キットやこれに用いられるオリゴヌクレオチドに関する。 ASは色素線条と呼ばれるブルッフ膜の弾力線維の断裂を生じる疾患であり、ASの症状の進行によって脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization;CNV)が発生すると、高度の視力低下を起こすことが知られている。この発生を避けるべく、ASの早期発見、早期治療が望まれているが、ASは原因不明であるため、従来は発症後に眼底検査や造影検査で判定することしかできず、患者の負担が重いという問題があった。また、軽症のASは無症状であることが多く、通常は眼底検査を受けることがないため、早期発見は困難であった。 AS患者は皮膚疾患である弾力線維性仮性黄色腫(Pseudoxanthoma elasticum;以下PXEとする)を高頻度で合併することが知られている(例えば、非特許文献1、参照)。そして、PXEの原因遺伝子として、染色体16p13.1に存在するABCC6遺伝子が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。 そこで、本発明者らはAS患者とABCC6遺伝子変異の関係をCase−control studyによって調べたところ、rs2239324、rs212620、rs2238470、rs2238472、rs212097と名付けた5個の一塩基多型(single nucleotide polymorphism:以下、SNPとする)において、顕著な有意差を示すことを確認した。 さらに、rs2238472を除くこれらのSNPについてのハプロタイプを用いたCase−control studyにおいても全体の有意差がp<0.0001と有意であったことから、ABCC6遺伝子がAS原因遺伝子であるとの予測を発表している。 このうち、最も頻度の多いハプロタイプを含めて、この4つのハプロタイプがAS群に占める割合は88.9%であり、Control群に占める割合は44%であったことから、この4つのハプロタイプを持つASサンプルについて塩基配列決定法にて変異検索をすることで、AS群のかなりの量の変異が予測できると考えられた(例えば、非特許文献3参照)。 しかし、このようなSNPやハプロタイプを用いた関連解析(case−control study)において単にそれらの頻度分布を統計的に処理し、有意差を出す作業のみでは確定的な判定ができない。すなわち、常染色体劣性遺伝形式の疾患を確定診断するためには、少なくとも変異をホモ接合体で持つ者がControl群には存在しないことを確認するという作業が必要であり、実際、前記SNPやハプロタイプを用いた関連解析では原因SNP等の特定は不可能であった。 従って、現段階において、発症前を含むASの確定的な判定を高い確率で行う方法は得られておらず、臨床において有用なASの判定方法の提供が望まれていた。Clarkson JG,Altman RD.Angioid streaks. Surv Ophthalmol.1982;26:235−246.Struk B,Cai L,Zach S,et al.J Mol Med.2000;78:282−286.水谷吉宏、中山智祥、浅井聰、湯沢美都子、島田宏之、日大医学雑誌、61:314−318,2002.9 本発明は、ASの判定方法の提供を課題とする。さらに詳しくは、ABCC6遺伝子のバリアントを調べることによるASの判定方法の提供を課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ABCC6遺伝子においてアミノ酸配列の変換又はフレームシフトを伴う複数のバリアント(p.R419Q、p.E422K、c.2542delG、エキソン23の欠落、c.3774−3775insC又はp.E1427K)を調べることで、ASの判定を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。 これらのバリアントを用いる本発明の判定方法は、59.3%という高い確率で発症前のASの確定的な判定が可能であり、臨床における価値が極めて大きく有用である。また、判定対象において、AS患者のみ両染色体に変異が見られている「p.R419Q」、「p.E422K」、「p.E1427K」のバリアントのいずれかにおいて変異がホモでみつかれば、100%に近い確率でASの発症前判定が可能である。 さらに本発明者らはこれらのバリアントを認識するオリゴヌクレオチドを得て、これを有するAS判定キットを得た。このキットを用いることにより、ASの確定的な判定を容易に行うことができる。 すなわち、本発明は次の(1)〜(14)の網膜色素線条症の判定方法、網膜色素線条症判定キット等に関する。(1)判定対象におけるABCC6遺伝子のバリアントを調べる網膜色素線条症の判定方法。(2)ABCC6遺伝子のバリアントが、p.R419Q、p.E422K、c.2542delG、DEL_エキソン23、c.3774−3775insC又はp.E1427Kの1以上である上記(1)に記載の網膜色素線条症の判定方法。(3)ABCC6遺伝子のバリアントが、次の1)〜6)のいずれかである上記(1)又は(2)に記載の網膜色素線条症の判定方法、1)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する419番目のアミノ酸がR(アルギニン)からQ(グルタミン)に変わる変異又はエキソン10に位置する1256番目(以下、いずれもスタートコドンのATGのAを1番目とした)の塩基がGからAに変わる変異、2)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する422番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リジン)に変わる変異又はエキソン10に位置する1264番目の塩基がGからAに変わる変異、3)ABCC6遺伝子のエキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失し、フレームシフトが起こる変異、4)ABCC6遺伝子のイントロン22の5’端から620番目の塩基対からイントロン23の493番目の塩基対までの3897塩基対が欠失する変異、5)ABCC6遺伝子のエキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入(インサーション)されてフレームシフトが起こる変異、6)ABCC6遺伝子のエキソン30に位置する1427番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リジン)に変わる変異又はエキソン30に位置する4279番目の塩基がGからAに変わる変異。(4)ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド。(5)ABCC6遺伝子のバリアントが、p.R419Q、p.E422K、c.2542delG、DEL_エキソン23、c.3774−3775insC又はp.E1427Kのいずれかである上記(4)に記載のオリゴヌクレオチド。(6)オリゴヌクレオチドが、次の1)〜5)のいずれかである上記(4)又は(5)に記載のオリゴヌクレオチド、1)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1256番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、2)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1264番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、3)ABCC6遺伝子のエキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失した塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、4)ABCC6遺伝子のエキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入された塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、5)ABCC6遺伝子のエキソン30に位置する4279番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド。(7)オリゴヌクレオチドが、次の1)〜5)のいずれかである上記(4)〜(6)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド、1)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1256番目の塩基がAである塩基配列に結合する配列表配列番号11に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド、2)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1264番目の塩基がAである塩基配列に結合する配列表配列番号12に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド、3)ABCC6遺伝子のエキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失した塩基配列に結合する配列表配列番号13に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド、4)ABCC6遺伝子のエキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入された塩基配列に結合する配列表配列番号14に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド、5)ABCC6遺伝子のエキソン30に位置する4279番目の塩基がAである塩基配列に結合する配列表配列番号15に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド。(8)上記(4)〜(7)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドをプローブとして有するマイクロアレイ。(9)上記(8)に記載のマイクロアレイを用いて判定対象におけるABCC6遺伝子のバリアントを調べる網膜色素線条症の判定方法。(10)ABCC6遺伝子のバリアントが、エキソン23の欠落である上記(4)に記載のオリゴヌクレオチド。(11)オリゴヌクレオチドが、次の1)〜3)のいずれかである上記(10)に記載のABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド、1)配列表配列番号16に記載のオリゴヌクレオチド、2)配列表配列番号17に記載のオリゴヌクレオチド、3)配列表配列番号18に記載のオリゴヌクレオチド。(12)上記(10)又は(11)に記載のオリゴヌクレオチドをWT_エキソン23検出用プライマー又はDEL_エキソン23検出用プライマーとして用いて、判定対象におけるABCC6遺伝子のバリアントを調べる網膜色素線条症の判定方法。(13)判定対象がアジア人である上記(1)〜(3)、(9)又は(12)のいずれかに記載の網膜色素線条症の判定方法。(14)上記(4)〜(7)、(10)又は(11)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドを含む網膜色素線条症判定キット。 本発明のASの判定方法により、ASに対する早期発見ができる。臨床においては臨床像からASの判定をさらに確かにすることができ、確診率が高められる。さらに判定後の治療として定期的に診断を受けるという方針を立てることができる。 また、本発明の判定方法に用いられるAS判定キット、AS発症予測キット、AS診療指導キット等の提供により、簡便にASに対する早期発見を行うことが可能となる。 本発明の「ASの判定方法」とは、判定対象においてABCC6遺伝子のバリアントを調べることによってASの判定を行うことをいう。 ABCC6遺伝子のバリアントとしては、ASの判定を行うことができるバリアントであればいずれのものでも良いが、p.R419Q、p.E422K、c.2542delG、DEL_エキソン23、c.3774−3775insC又はp.E1427Kのいずれかであることが好ましく、これらの1以上又はこれらを組み合わせて調べることが好ましい。判定対象において、これらのバリアントを調べることにより、ASの早期発見を行うことができる。 本発明のABCC6遺伝子のバリアントを図1に示した。このうち、「p.R419Q」とは、ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する419番目のアミノ酸がR(アルギニン)からQ(グルタミン)に変わる変異である。これはエキソン10に位置する1256番目の塩基がGからAに変わることによる変異である。 「p.E422K」とは、エキソン10に位置する422番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リジン)に変わる変異である。これはエキソン10に位置する1264番目の塩基がGからAに変わることによる変異である。 「c. 2542delG」とは、エキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失し、フレームシフトが起こる変異である。 「DEL_エキソン23」とは、イントロン22の一部からエキソン23を含み、イントロン23の一部までを含む一続きの塩基配列が欠失する変異である。具体的にはイントロン22の5’端から620番目の塩基対からイントロン23の493番目の塩基対までの3897塩基対の欠失という変異である。 「c.3774−3775insC」とは、エキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入されてフレームシフトが起こる変異である。 「p.E1427K」とは、エキソン30に位置する1427番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リジン)に変わる変異である。これはエキソン30に位置する4279番目の塩基がGからAに変わることによる変異である。 これらのバリアントはNational Center for Biotechnology of Information(NCBI)を始めとするOnline databaseには見当たらない新たなバリアントである。 本発明の「ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド」としては、ABCC6遺伝子のバリアントを認識できるオリゴヌクレオチドであればいずれのものも含まれる。 このABCC6遺伝子のバリアントとしては、p.R419Q、p.E422K、c.2542delG、c.3774−3775insC又はp.E1427K等が挙げられる。これらのバリアントを認識するオリゴヌクレオチドとしては、1)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1256番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、2)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1264番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、3)ABCC6遺伝子のエキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失した塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド又は4)ABCC6遺伝子のエキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入された塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又は5)ABCC6遺伝子のエキソン30に位置する4279番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド等が挙げられる。 これらの「ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド」をプローブとして有するマイクロアレイを得て、本発明のASの判定方法に用いることができる。 さらに、これらのバリアントを認識するオリゴヌクレオチドとして、1)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1256番目の塩基がAである塩基配列に結合する配列表配列番号11に記載のオリゴヌクレオチド、2)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1264番目の塩基がAである塩基配列に結合する配列表配列番号12に記載のオリゴヌクレオチド、3)ABCC6遺伝子のエキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失した塩基配列に結合する配列表配列番号13に記載のオリゴヌクレオチド、4)ABCC6遺伝子のエキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入された塩基配列に結合する配列表配列番号14に記載のオリゴヌクレオチド、5)ABCC6遺伝子のエキソン30に位置する4279番目の塩基がAである塩基配列に結合する配列表配列番号15に記載のオリゴヌクレオチド等も挙げられる。これらの「ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド」の全部又は一部をプローブとして有するマイクロアレイを得て、本発明のASの判定方法に用いることができる。このオリゴヌクレオチドの「一部」として、例えば、各変異部分の塩基とその前後6−15塩基程度の配列を含むオリゴヌクレオチド等が挙げられる。 また、本発明の「ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド」の対象とするバリアントとしては、エキソン23の欠落が挙げられる。このバリアントを認識するオリゴヌクレオチドとしては、1)配列表配列番号16に記載のオリゴヌクレオチド、2)配列表配列番号17に記載のオリゴヌクレオチド、3)配列表配列番号18に記載のオリゴヌクレオチド等が挙げられる。 これらの「ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド」をWT_エキソン23検出用プライマー又はDEL_エキソン23検出用プライマーとして用いることで、本発明のASの判定方法に用いることができる。ここで、WT_エキソン23検出用プライマーとは、これを用いてPCRを行うことで、エキソン23の欠落が起きていないWild TypeにおいてはPCRによる増幅が起こるが、エキソン23の欠落が起きているDeletion TypeではPCRによる増幅が起こらないように設定されたプライマーのことをいう。また、DEL_エキソン23検出用プライマーとはエキソン23の欠落が起きていないWild TypeにおいてはPCRによる増幅が起こらず、エキソン23の欠落が起きているDeletion TypeではPCRによる増幅が起こるように設定されたプライマーのことをいう。 本発明の判定方法として、判定対象よりDNAを得て、塩基配列決定法、TaqMan(登録商標) PCR法、Invader法やOligo−specific PCR法等の一般に用いられている方法を用いる事でABCC6遺伝子のバリアントを調べ、ASの判定を行うことができる。このうち特に塩基配列決定法は、各エキソンについて別々に行うことによって、エキソン内に存在する未知の変異を見出せるために有用である。さらにその変異が既知となった後も各患者がその変異を持つか否かの確認(Genotyping)にも利用できる。 また、TaqMan(登録商標) PCR法によるGenotypingは既知となった変異のみをターゲットとしているが、塩基配列決定法と比べて大量の患者を同時に解析することができるため、時間的、経済的に有用である。 塩基配列決定法を用いる検出法としては、ジデオキシ法に基づく塩基配列決定法により本発明のバリアントを検出することが好ましい。塩基配列決定に用いるシークエンサースキットには、市販のABIシリーズやGEヘルスケアバイオサイエンス社製等を用いることができる。 TaqMan(登録商標) PCR法を用いる検出法としては、蛍光標識したアレル特異的オリゴ(TaqMan(登録商標)プローブ)とTaq DNAポリメラーゼによるPCR反応とを利用した方法を用いることが好ましい。まず、TaqMan(登録商標)プローブが鋳型DNAとハイブリダイゼーションし、その後、PCRプライマーからの伸長反応が起こる。これによってTaq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性により蛍光色素結合部分が切断されて、蛍光色素が遊離する。この蛍光を検出することで特定のバリアントを同定し、ゲノムタイプを判定することができる。TaqMan(登録商標) PCR法で用いるアレル特異的オリゴ(TaqMan(登録商標)プローブという)は、対象とするバリアントの遺伝子情報に基づいて設定できる。 PCR法を用いる検出法としては、Fidelityの高いDNAポリメラーゼ、例えば、Ex Taq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社)、KOD Dashポリメラーゼ(TOYOBO社)等を用いて判定対象者のゲノムDNAを増幅することが好ましい。用いるプライマーは、対象とするバリアントを増幅できるようにプライマーの任意の位置にそのバリアントの塩基配列が含まれるように設定し合成することが好ましい。増幅反応終了後増幅産物の検出を行い、多型の有無を判定する。 数キロ塩基対の長い領域を増幅するにはLong PCR法(タカラバイオ社等)を用いることが好ましい。対象とするバリアントを増幅できるように設定したプライマーを用いて増幅したPCR産物や、Long PCR法で増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動することで、多型の有無を判定することもできる。対象とするバリアントを増幅できるように設定したプライマーとしては、WT_エキソン23検出用プライマーやDEL_エキソン23検出用プライマーを挙げることができる。 マイクロアレイを用いる検出法としては、支持体上にヌクレオチドプローブが固定されたDNAマイクロアレイを用いることが好ましい。このマイクロアレイには、DNAチップ、Gene チップ、マイクロチップ、ビーズアレイなどを含む。 マイクロアレイを用いる検出法として、まず、判定対象者の染色体DNAのオリゴヌクレオチドを単離し、PCRにより増幅し、蛍光レポーター基により標識する。続いて、標識化DNA/mRNA,total RNAをアレイと共にインキュベートする。次にこのアレイをスキャナーに差し込み、ハイブリダイゼーションパターンを検出する。ハイブリダイゼーションのデータは、プローブアレイに結合した(すなわち標的配列に取り込まれた)蛍光レポーター基からの発光として採集する。標的配列と完全に一致したプローブは、標的配列と一致していない部分を有するものよりも強いシグナルを生じる。アレイ上の各プローブの配列及び位置は分かっているため、相補性によって、プローブアレイと反応させた標的オリゴヌクレオチドの配列を決定することができる。 インベーダー法を用いる検出法としては、アレル特異的オリゴと鋳型とをハイブリダイゼーションすることによりバリアントを検出することが好ましい。インベーダー・オリゴがターゲットDNAとプローブ間の二重鎖に少なくとも1塩基の浸入(インベージョン)を起こして部分的な三重鎖構造を形成すると、構造特異的な5’−ヌクレアーゼがプローブ5’末端部分を切断する。そして、対象とするバリアントの塩基配列に対応してインベージョンを発生させるインベーダー・オリゴを利用することで特定のバリアントを同定し、ゲノムタイプを判定することができる。インベーダー法を行うためのキットは市販されており、この方法により容易にバリアントを検出することが可能である。 本発明の「判定対象」は、ABCC6遺伝子のバリアントを調べることによってASの判定を行うことができるものであればいずれのものでも良いが、アジア人であることが好ましく、日本人であることが特に好ましい。 本発明の「AS判定キット」は、本発明の判定方法に用いられることで判定対象におけるASの判定を行うことができるものであれば、いずれのものも含むことができる。例えば、ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチドと、本発明を実施するために必要な1種以上の成分を含むもの等を組み合わせてキットとして用いることもできる。 ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチドとしては、ABCC6遺伝子のバリアントを認識できるオリゴヌクレオチドであればいずれのものも含まれるが、上記のようなオリゴヌクレオチドを用いることができる。 また、本発明を実施するために必要な1種以上の成分としては、例えば、酵素を保存若しくは供給するためのもの、及び/又はバリアントの検出を実施するために必要な反応成分が挙げられる。具体的には、酵素緩衝液、dNTP、コントロール用試薬(例えば、組織サンプル、ポジティブ及びネガティブコントロール用標的オリゴヌクレオチドなど)、標識用及び/又は検出用試薬、固相支持体、説明書などが挙げられる。また本発明のキットは、必要な成分のうちの一部のみを含む部分的キットであってもよく、その場合には、ユーザーが他の成分を用意することができる。 本発明のキットは、上記のABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチドを支持体に固定したマイクロアレイを含むこともできる。マイクロアレイは、支持体上に本発明のオリゴヌクレオチドが固定されたものであればよく、DNAチップ、Geneチップ、マイクロチップ、ビーズアレイなどが含まれる。 本発明のABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチドを有するキットを用いることにより、治療用の薬物を患者等に使用する前、又は使用後の段階で、判定対象から得たABCC6遺伝子をキット中のオリゴヌクレオチドと反応させることができる。この反応の結果より判定対象の遺伝子型を同定し、同定された遺伝子型によってASの確定的な判定をすることができる。 本発明の「AS判定キット」には、ASが疑われるような患者に対して本発明のABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド等を用いて確定診断の判定に用いる「AS判定キット」、ASを発症していない者に対して行う「AS発症予測キット」、ASを発症した後に遺伝学的な確定診断の判定に用いる「AS診療指導キット」等を含むこともできる。 以下、試験例、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 ASの判定方法1.DNAの抽出 判定対象者から採血を行った。各対象者においての末梢血全血を用いてゲノムDNAを標準的なフェノール・クロロホルム法で抽出した(例えば、参考文献1参照)。 これらの判定対象者は駿河台日本大学病院眼科を受診した日本人であり、片眼あるいは両眼にCNVを有するAS患者(AS群)54人及びボランティア(コントロール群)150人でインフォームドコンセントを得た者であった。 AS患者(AS群)の年齢は19〜78歳、60.9±10.0歳(平均±標準偏差)、男性34人、女性20人であった。全ての患者に視力測定、倒像鏡による眼底検査、フルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography;以下FA)を行った。CNVの有無は眼底検査とFAで判断した。54人中41人は当院皮膚科を受診し、PXEの有無は皮膚生検又は視診で判定された。PXEは34人(82.9%)で認められ、7人(17.1%)では認められなかった。 コントロール群の年齢50〜81歳、57.5±6.4歳(平均±標準偏差)、男性107人、女性43人で血縁関係がない日本人であり、日本大学医学部総合健診センター受診者の中からボランティアを募って行った。参考文献:Nakayama T, Soma M, Rahmutula D, et al. Med Sci Monit.2001;7:345−349.2.塩基配列の決定 各対象者におけるABCC6遺伝子の配列情報を次のような手法によって調べた。 即ち、ABCC6遺伝子の全31エキソンのそれぞれをはさむようなプライマー対をイントロン領域に設定し、対象者末梢血から抽出したゲノムDNAを鋳型にしてPCRを行い、各領域を増幅した。PCR産物を精製後、ジデオキシ法にて塩基配列決定を行った。エキソン1から、エキソン9までは偽遺伝子と重複するため、既知のアレル特異的プライマーを使用した。1)PCR法 50ngの上記ゲノムDNA1μl、濃度10pmol/μlの表1に示した配列表配列番号1〜10のFプライマー(Forwardプライマー)及びRプライマー(Reverseプライマー)の溶液各々0.2μl、ヌクレオチド三リン酸(タカラバイオ社製)各々2.5mMの混合溶液を0.8μl、10倍緩衝液(20mMのMgCl2 含有、タカラバイオ社製)1μl、Ex Taq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)5units/μlを0.05μl、そして滅菌超純水6.75μlの混合物、計10μlの系にて、PCR装置(Applied Biosystems GeneAmp9700)を用いて増幅した。PCR条件は、95−96℃で3分間、続いて95℃で30秒間(デネーチャー)、55−66℃で30秒間(アニーリング)、72℃で1分間(エクステンション)のサイクルを35サイクル、その後、72℃で10分間の後、4℃に保温とした。 エキソン23の欠落に対してはLong PCRを行い増幅した。Long PCRでは、ヌクレオチド三リン酸各々2.5mMの混合溶液を1.6μl、DNAポリメラーゼとしてLA Taq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)を用い、エクステンションを72℃で10分間とした。2)PCR産物の精製 上記1)にて得られたPCR産物内に残存する過剰なプライマー等の一本鎖DNAを大腸菌由来のエキソヌクレアーゼI(ExoI)を用いて特異的に消化した。またシュリンプ由来アルカリホスファターゼ(SAP)によって未反応dNTPsのリン酸基を除去してdNTPsを不活性化した。 この2つの酵素を同時に含むExoSAP−IT(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用い、先のPCR産物溶液10μlに2μl加え計12μlとして、ヒートブロックにて37℃で30分で反応を行った後80℃で15分にて酵素を失活させた。3)塩基配列決定法 上記2)にて精製したPCR産物のうち1μlを別のチューブにとりわけ、Applied Biosystems社製シーケンシングキット(BigDye(R) Terminators v1.1 Cycle Sequencing Kit)のMix Reaction溶液を8μl、PCR法に用いたプライマー(片側)(1pmol/μl)を3.2μl加え、さらに水を加え20μlとした。 シーケンシング条件は95℃で10秒間、55℃で5秒、60℃で2分間のサイクルを25サイクルとした。これをCentricep columns(Princeton Separations社製)で精製後、Applied Biosystems社製ジェネティックアナライザ3700にて解析した。3.Genotyping 上記3)で調べたABCC6遺伝子の配列情報についてGenotypingを行った。5個すべては塩基配列決定法で決定した。また、p.R419Q、p.E422K、c.2542delG、c.3774−3775insC及びp.E1427KのGenotypingにおいて、その変異のみをより簡便に検出する方法としてTaqMan(登録商標) PCR法に用いるプローブを設定した。 エキソン23の欠落については、その変異をより簡便に検出する方法のために設定したWild TypeとDeletion Typeとで増幅が異なるプライマー対(WT_エキソン23検出用プライマー対及びDEL_エキソン23検出用プライマー対)を用いて、得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動することで、Genotypingを行った。1)p.R419Q、p.E422K、c.2542delG、c.3774−3775insC及びp.E1427KについてTaqMan(登録商標) PCR法に用いるプローブの設定 TaqMan(登録商標) PCR法に用いるプローブは、各バリアントの遺伝子情報に基づいて、各変異部分の塩基とその前後6−15塩基程度の配列をもとに設定できる。プローブ配列を含む周辺の配列を表2(配列表配列番号11〜15)に示した。 このように設定したTaqMan(登録商標)プローブを用い、TaqMan(登録商標) PCR法を行うことができる。例えば、鋳型DNAとしてヒトゲノムDNA 50ngを用い、各プライマー 900nM、5’側に蛍光プライマーが標識されたTaqMan プローブ 200nM(TaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assays)、緩衝液とMgCl2とDNAポリメラーゼとを含んだPCRカクテル(TaqMan Universal Master Mixm)を全体量の半量(12.5・戟jを入れ、水で満たした全体量25・撃フ系にてPCRを行うことで、TaqMan(登録商標) PCR法を行うことができる(PCR条件:1.95 10分間、2.92 15秒間(デネーチャー)、3.60 1分間(アニーリング及びエクステンション)を40サイクル)。2)エキソン23の欠落についてPCR法による検出 Long PCR法を用いずに一般的なPCRで判定できるように新たなWT_エキソン23検出用プライマー、DEL_エキソン23検出用プライマーを設定してPCRを行った。PCRとして、50ngのヒトゲノムDNA1μl、濃度10pmol/μlの表3に示した配列表配列番号16〜18のFプライマー及びRプライマーの溶液各々0.2μl、ヌクレオチド三リン酸(タカラバイオ社製)各々2.5mMの混合溶液を0.8μl、25mMのMgCl2 1μl、10倍緩衝液(20mMのMgCl2 含有、タカラバイオ社製)1μl、Ex Taq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)5units/μlを0.05μl、そして滅菌超純水6.75μlの混合物、計10μlの系にて、PCR装置(Applied Biosystems GeneAmp9700)を用いて増幅した。PCR条件は、95−96℃で3分間、続いて95℃で30秒間(デネーチャー)、55−66℃で30秒間(アニーリング)、72℃で1分間(エクステンション)のサイクルを35サイクル、その後、72℃で10分間の後、4℃に保温とした。 その結果、図2で示すように、Wild Typeにおいては、WT_エキソン23検出用プライマー対によって449bpの増幅産物が得られた。また、DEL_エキソン23検出用プライマー対ではプライマー間の距離があるので72℃ 1分間の伸長条件では増幅しなかった。 一方、図3で示すように、Deletion TypeではWT_エキソン23検出用プライマー対ではイントロン22の一部からエキソン23を含み、イントロン23の一部までを含む一続きの塩基配列が欠失しているため、増幅しなかった。また、DEL_エキソン23検出用プライマー対ではこの欠失によりプライマー間の距離が縮み442bpの増幅産物が得られた。4.ASの確定的な判定 上記1〜3の工程によって得られた結果より各判定者におけるASの確定的な判定を行った。その結果、表4に示すように、p.R419Q、p.E422K、c.2542delG、DEL_エキソン23、c.3774−3775insC又はp.E1427Kの6種類のバリアントについて変異を調べたところ、これら6種類のバリアントの変異はAS54人中32人に見出され、59.3%という高い頻度でこの6種類のバリアントの変異がASの原因として関与していることが示された。32人の内訳は両染色体17人(31.5%)、片染色体15人(27.8%)であり、この結果によってAS患者の31.5%がこの5種類によって完全に説明可能となった。従って、これら5種類のバリアントの変異を示すもののうち、57.4%がAS患者として確定的な判定がされ得ることが示された。 AS判定キットの作製 ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド、酵素緩衝液、dNTP、コントロール用試薬、標識用及び/又は検出用試薬、固相支持体、説明書を組み合わせてキットとした。 ABCC6遺伝子変異部位を含むオリゴヌクレオチドとして、次の1)〜5)の1以上のオリゴヌクレオチドを用いた。1)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1256番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、2)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1264番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、3)ABCC6遺伝子のエキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失した塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、4)ABCC6遺伝子のエキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入された塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、5)ABCC6遺伝子のエキソン30に位置する4279番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド。 本発明のASの判定方法を用いることで、ASに対する早期発見、早期治療が可能となる。本発明の判定方法を用いるAS判定キット、AS発症予測キット、AS診療指導キット等の提供は、研究や臨床において有用である。ABCC6遺伝子のバリアントを示した図である。エキソン23の欠落部位をWild type(健常者)での増幅で示した図である(実施例1)。エキソン23の欠落部位をDeletion type(患者)での増幅で示した図である(実施例1)。判定対象におけるABCC6遺伝子のバリアントを調べる網膜色素線条症の判定方法。ABCC6遺伝子のバリアントが、エキソン10に位置するp.R419Q、エキソン10に位置するp.E422K、エキソン19に位置するc.2542delG、エキソン23の欠落であるDEL_エキソン23、エキソン27に位置するc.3774−3775insC、エキソン30に位置するp.E1427Kの1以上である請求項1に記載の網膜色素線条症の判定方法。ABCC6遺伝子のバリアントが、次の1)〜6)のいずれかである請求項1又は2に記載の網膜色素線条症の判定方法、1)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する419番目のアミノ酸がR(アルギニン)からQ(グルタミン)に変わる変異又はエキソン10に位置する1256番目の塩基(以下、いずれもスタートコドンのATGのAを1番目とした)がGからAに変わる変異、2)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する422番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リジン)に変わる変異又はエキソン10に位置する1264番目の塩基がGからAに変わる変異、3)ABCC6遺伝子のエキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失し、フレームシフトが起こる変異、4)ABCC6遺伝子のイントロン22の5’端から620番目の塩基対からイントロン23の493番目の塩基対までの3897塩基対が欠失する変異、5)ABCC6遺伝子のエキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入(インサーション)されてフレームシフトが起こる変異、6)ABCC6遺伝子のエキソン30に位置する1427番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リジン)に変わる変異又はエキソン30に位置する4279番目の塩基がGからAに変わる変異。ABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド。ABCC6遺伝子のバリアントが、p.R419Q、p.E422K、c.2542delG、c.3774−3775insC又はp.E1427Kのいずれかである請求項4に記載のオリゴヌクレオチド。オリゴヌクレオチドが、次の1)〜5)のいずれかである請求項4又は5に記載のオリゴヌクレオチド、1)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1256番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、2)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1264番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、3)ABCC6遺伝子のエキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失した塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、4)ABCC6遺伝子のエキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入された塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド、5)ABCC6遺伝子のエキソン30に位置する4279番目の塩基がAである塩基配列に結合するオリゴヌクレオチド又はこれに相補的に結合するオリゴヌクレオチド。オリゴヌクレオチドが、次の1)〜5)のいずれかである請求項4〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド、1)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1256番目の塩基がAである塩基配列に結合する配列表配列番号11に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド、2)ABCC6遺伝子のエキソン10に位置する1264番目の塩基がAである塩基配列に結合する配列表配列番号12に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド、3)ABCC6遺伝子のエキソン19に位置する2542番目の塩基であるGが欠失した塩基配列に結合する配列表配列番号13に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド、4)ABCC6遺伝子のエキソン27に位置する3774番目と3775番目の塩基の間の場所に1個新たなCという塩基が挿入された塩基配列に結合する配列表配列番号14に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド、5)ABCC6遺伝子のエキソン30に位置する4279番目の塩基がAである塩基配列に結合する配列表配列番号15に記載の全部又は一部のオリゴヌクレオチド。請求項4〜7のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドをプローブとして有するマイクロアレイ。請求項8に記載のマイクロアレイを用いて判定対象におけるABCC6遺伝子のバリアントを調べる網膜色素線条症の判定方法。ABCC6遺伝子のバリアントが、エキソン23の欠落である請求項4に記載のオリゴヌクレオチド。オリゴヌクレオチドが、次の1)〜3)のいずれかである請求項10に記載のABCC6遺伝子のバリアントを認識するオリゴヌクレオチド、1)配列表配列番号16に記載のオリゴヌクレオチド、2)配列表配列番号17に記載のオリゴヌクレオチド、3)配列表配列番号18に記載のオリゴヌクレオチド。請求項10又は11に記載のオリゴヌクレオチドをWT_エキソン23検出用プライマー又はDEL_エキソン23検出用プライマーとして用いて、判定対象におけるABCC6遺伝子のバリアントを調べる網膜色素線条症の判定方法。判定対象がアジア人である請求項1〜3、9又は12のいずれかに記載の網膜色素線条症の判定方法。請求項4〜7、10又は11のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドを含む網膜色素線条症判定キット。 【課題】網膜色素線条症(AS)の判定方法を提供する。【解決手段】弾力線維性仮性黄色腫の原因遺伝子であるABCC6遺伝子のバリアントとASの関連を確認し、ABCC6遺伝子のバリアントを調べることで、59.3%という高確率で発症前のASの確定的な判定が可能な判定方法を得た。このASの判定方法を用いることで、ASに対する早期発見、早期治療が可能となる。本発明の判定方法を用いるAS判定キット、AS発症予測キット、AS診療指導キット等の提供は、研究や臨床において有用である。【選択図】なし配列表