タイトル: | 公開特許公報(A)_深部体温低下抑制剤 |
出願番号: | 2008303014 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/195,A61P 9/02,A61P 1/10,A61P 1/12,A61P 37/04,A61P 9/00,A61P 21/00,A61P 29/00,A61P 21/02,A61P 25/20,A61P 3/04,A61P 25/24,A61P 43/00 |
御子柴 茂郎 竹中 玄 廣島 俊輔 JP 2009149628 公開特許公報(A) 20090709 2008303014 20081127 深部体温低下抑制剤 ライオン株式会社 000006769 酒井 宏明 100089118 御子柴 茂郎 竹中 玄 廣島 俊輔 JP 2007308578 20071129 A61K 31/195 20060101AFI20090612BHJP A61P 9/02 20060101ALI20090612BHJP A61P 1/10 20060101ALI20090612BHJP A61P 1/12 20060101ALI20090612BHJP A61P 37/04 20060101ALI20090612BHJP A61P 9/00 20060101ALI20090612BHJP A61P 21/00 20060101ALI20090612BHJP A61P 29/00 20060101ALI20090612BHJP A61P 21/02 20060101ALI20090612BHJP A61P 25/20 20060101ALI20090612BHJP A61P 3/04 20060101ALI20090612BHJP A61P 25/24 20060101ALI20090612BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090612BHJP JPA61K31/195A61P9/02A61P1/10A61P1/12A61P37/04A61P9/00A61P21/00A61P29/00A61P21/02A61P25/20A61P3/04A61P25/24A61P43/00 111 2 OL 8 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206GA07 4C206GA28 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA05 4C206ZA08 4C206ZA12 4C206ZA36 4C206ZA43 4C206ZA70 4C206ZA72 4C206ZA73 4C206ZA94 4C206ZA96 4C206ZB09 4C206ZC02 本発明は、深部体温低下抑制効果を有するベザフィブレートを有効成分として含有する深部体温低下抑制剤、および該深部体温低下抑制剤を含有する深部体温低下抑制組成物に関するものである。ここでいう、深部体温低下抑制組成物とは、本発明の深部体温低下抑制剤を有効成分として含む飲食品、飼料または医薬品を意味する。これら組成物の形態で、摂取することにより、低血圧、内臓機能低下(便秘・下痢)、免疫力低下、血行不良(冷え・肩こり・腰痛・関節痛)、睡眠障害、新陳代謝低下(肥満)、うつ等の予防又は治療効果が期待できる。 ヒトを始めとした恒温生物の体温は、例えば、朝食をとらない、夜型の生活、睡眠時間の不規則や日中の身体活動不活発等の生活リズムの変調が原因となり低下する。ヒトを含む恒温動物において、体温の低下は、例えば、悪寒・不快感、創部感染、創傷治癒遅延、免疫力低下等の生理機能の低下を生じ、極端な体温の低下により死に至ることもある。従って、体温が種の正常な活動状態で決められている範囲を超えて低下した場合、体温を適正な範囲に回復させる必要があり、そのため、これまでに様々な体温上昇手段が開発されている。 冷えた身体を温める手段としては、酢酸トコフェロール、高麗人参、ショウガ等の血流促進剤の摂取や手足のマッサージ等により血行を促進したり、温かい飲食物の摂取等の方法が挙げられる。しかしながら、かかる方法では、血流促進剤では体表面温度を上昇させることはできるが、深部体温を上昇させることはできず、体温低下の根本解決には至らない。また、暖かい飲食物の摂取は一過性の作用であり、持続性の面で問題がある。 これに対して、本発明者らは、後述のように、様々な実験、検討の結果、ベザフィブレートに深部体温低下抑制効果があることを知見するに至ったのだが、従来、ベザフィブレートに深部体温低下抑制効果があることは、知られていなかった。 ベザフィブレートに関する従来の知見としては、ベザフィブレートにフィブレート剤としての効果が知見され、高脂血症薬として利用可能である(特許文献1)ことと、PPAR(Peroxisome Proliferators-Activated Receptor)を活性化してUCP(UnCoupling Protein)の発現を促すことにより身体の熱産生を促進すること(非特許文献)とを挙げることができる。後者の知見において、身体の熱産生の促進により深部体温の低下が抑制可能であることは確認されていない。同じくPPARを活性化する物質としてカプサイシンについての報告(非特許文献2)があるが、このカプサイシンに深部体温低下抑制効果は見られず、PPAR活性化因子が必ず体温を上昇させるとの確認もされていない。米国特許第3781328号明細書N Pedraza et al., Biochem. J., 2001, 355, p105-111Kim CS et al., J Med Food, 2004, 7(3), p267-73 従来、恒温動物の生体に摂取することにより生体の深部体温の低下を抑制する効果を有する物質の存在の可能性についての示唆はあるものの、その物質の特定はなされていなかった。 本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたもので、その課題は、深部体温の低下抑制効果(深部体温の上昇効果)を有し、深部体温低下抑制剤の有効成分として有用な物質を含有する深部体温低下抑制剤および該剤を含む深部体温低下抑制組成物を提供することにある。 本発明者らは、恒温動物の生体に摂取することにより生体の深部体温の低下を抑制する効果を有する物質を求めて、多くの実験、検討を重ねたところ、ベザフィブレートが顕著な深部体温低下抑制効果を有することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。 本発明は以下の〔1〕〜〔2〕を提供するものである。〔1〕 ベザフィブレートを有効成分として含む深部体温低下抑制剤。〔2〕 〔1〕の深部体温低下抑制剤を含む深部体温低下抑制組成物。 本発明の深部体温低下抑制剤は、顕著な深部体温低下抑制効果を有するので、深部体温低下を原因とする低血圧、内臓機能低下(便秘・下痢)、免疫力低下、血行不良(冷え・肩こり・腰痛・関節痛)、睡眠障害、新陳代謝低下(肥満)、うつ等の疾患の治療や予防に用いることができる。 本発明の深部体温低下抑制剤は、ベザフィブレート(Bezafibrate、2−(4−(2−((4−chlorobenzoyl)−amino)ethyl)phenoxy)−2−methylpropanoic acid)を有効成分として含む。ベザフィブレートは、下記構造式により示される化合物である。 本化合物は、薬理学的に許容可能な塩として用いることができる。かかる塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、塩基性アミノ酸との塩、および有機アミンとの塩等(これらに限定されない)の塩基性塩などが挙げられる。 本発明のベザフィブレートの製造方法、由来は特に限定されず、化学合成のものであってもよいし、植物由来のものでも使用できる。 本発明の深部体温低下抑制剤は、ベザフィブレートの深部体温低下抑制効果を利用したものである。ここで、深部体温とは、体の深部(例えば、直腸、食道、心臓、脳など)の温度を意味し、通常は直腸温である。深部体温の測定は、例えばラットの場合、直腸温を熱電対プローブ(「PowerLab 8/30 システム」(バイオリサーチセンター株式会社))により行うことができる。また、ヒトの場合の測定は、腋下温、口腔(舌下)温、直腸温によることができる。 低下とは、通常の深部体温よりも低下することを意味する。具体的な低下温度については、種差や個体差があるため数値範囲で特定することは難しいが、一般にラット等の実験動物の場合には1〜3℃程度であり、ヒトの場合にも1〜3℃程度(一般に、平常体温36.5に対して33.5〜35.5℃)である。 低下抑制とは、低下している深部体温を上昇させることの他、深部体温が平常である場合に低下を防ぎ、その体温を維持することを意味する。 本発明の深部体温低下抑制剤におけるベザフィブレートの配合量は、一般的に、深部体温低下抑制剤全量に対して、0.1〜5質量%に配合するのがよく、好ましくは、0.2〜2質量%である。 本発明の深部体温低下抑制剤において、有効成分の投与量は、患者の年齢、体重及び疾患の程度等により適宜決定することができる。深部体温低下抑制剤によるベザフィブレートの投与量は、成人の体重(50kg)を基準として、通常2〜20mg/kg、好ましくは4〜12mg/kgの範囲である。 本発明の深部体温低下抑制剤は、一定の深部体温を持つ動物(恒温動物)に用いられ、特に哺乳類(例えば、ヒト、ラット、マウス、モルモット、イヌ、ネコ、サル、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ等)に用いることができる。 本発明の深部体温低下抑制剤はそのままで用いることもできるが、担体と組み合わせて用いることもできる。担体としては、その使用形態に応じて、適当な充填剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、表面活性剤、防湿剤、賦形剤、希釈剤などの中から選択して1種類または2種類以上を使用することができる。 また、本発明の深部体温低下抑制剤は、深部体温低下抑制効果を得ることを目的に、各種用途の組成物に有効成分として配合して用いることもできる。かかる深部体温低下抑制組成物としては、医薬品、飲食品、飼料などを挙げることができる。 深部体温低下抑制組成物を医薬品とする場合の製剤形態は、その使用目的に応じて決定することができ、特に限定されないが、例えば錠剤、顆粒剤、粉末剤、カプセルなどの固剤や液剤とすることができる。また、経口剤、外用剤のいずれであってもよく、必要に応じて、通常経口剤または外用剤に用いられる原料を適宜配合することができる。 本発明の深部体温低下抑制剤は、優れた深部体温低下抑制効果を発揮する。したがって、本発明の深部体温低下抑制剤を有効成分として含む医薬品(深部体温低下抑制組成物)は、深部体温低下により引き起こされる疾病、例えば低血圧、内臓機能低下(便秘・下痢)、免疫力低下、血行不良(冷え・肩こり・腰痛・関節痛)、睡眠障害、新陳代謝低下(肥満)、うつなどの各種疾患の予防又は治療の目的で、動物、特にヒトを対象として用いることにより、優れた医療効果を期待できる。 また、他の形態の深部体温低下抑制組成物としては、上述のように、飲食品、飼料などを挙げることができるが、これらの場合、通常の栄養摂取に加えて、深部体温低下抑制効果を得ることができ、体力の回復などの効果を期待できる。 本発明の内容を以下に実施例及び比較例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。(実施例1、比較例1、2) ベザフィブレートはPPAR(peroxisome proliferators−activated receptor)αとPPARγのアゴニストであることが報告されている(例えばBiochem.J.,2001,355,105−111)。そこで、PPARと同様にUCP(uncoupling protein)を活性化するとされるRXR(retinoid X receptor)のリガンドであるレチノイン酸、及びTRPV1(transient receptor potential ion channel of the vanilloid type 1)のアゴニストでありPPARを活性化するとされるカプサイシン(Kim CS et al,J Med Food,2004,7(3),267−73)との間で深部体温低下抑制効果を比較した。 投与方法は図1に模式的に示すとおりである。ラット(SD系、雄、16週齢;日本SLC株式会社)へ、標準餌CE−2(日本クレア株式会社製)に0.225質量%の割合でベザフィブレート(和光純薬工業株式会社製)を添加した飼料を、1日25gずつ12日間摂取させた(実施例1)。 また、比較例の群として、実施例1のベザフィブレートの代わりに、0.225%の割合でレチノイン酸(和光純薬工業株式会社製)を添加したもの(比較例1)、0.014%の割合でカプサイシン(和光純薬工業株式会社製)を添加したもの(比較例2)を飼料として、実施例1と同様に摂取させた。 対照例1の群には標準餌のみを摂取させた。 なお、実施例1,比較例1、比較例2、および対照例1の各群のラット数(サンプル数)は、各2匹であった。 試験開始12日目にメラトニン(和光純薬工業株式会社製)をラット腹腔内に投与(90mg/kg)し、体温の低下を誘導した。メラトニン投与から120分後のラットの直腸温を熱電対プローブ(「PowerLab 8/30 システム」(バイオリサーチセンター株式会社))により測定した。そして、対照群の体温に対する実施例1、比較例1,2の各評価サンプルの体温の差(各群2サンプルの平均値)を求めた。 表1にメラトニン投与から120分後の「対照群の直腸温に対する実施例1及び比較例1,2の各評価サンプルの直腸温の温度差(℃)」を示す。 上記の結果に示すように、ベザフィブレートを投与した個体にはメラトニン腹腔投与により誘導される体温の低下を抑制する効果が認められたが、レチノイン酸とカプサイシンを投与した個体は体温が低下したままであった。 このことから、ベザフィブレートは優れた深部体温低下抑制効果を有することが明らかとなった。そして、ベザフィブレートの深部体温低下抑制効果は、UCPやPPARの発現に関与するレチノイン酸、カプサイシンといった他の因子には見られない特有の効果であることも明らかとなった。(比較例3) ベザフィブレートの代わりに、表2に示す量のショウガを用いた他は、実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。なお、ショウガは、松浦薬業株式会社製のショウガ粉末を用い、予備検討で血流改善効果の見られた濃度(2.25質量%)で利用した。 表2から明らかなように、ショウガを投与した個体には、ベザフィブレートを投与した個体のようなメラトニン腹腔投与により誘導される体温の低下を抑制する効果がほとんどみられず、体温は、対照群をも下回っていた。 このことから、従来から体温の上昇効果があるとされているショウガには深部体温低下抑制効果はみられず、ベザフィブレートのみが顕著な深部体温低下抑制効果を有することが明らかとなった。(実施例2、比較例4) 本実施例では、不規則な生活習慣を反映した低体温状態のラットを被験体として、本発明にかかる深部体温低下抑制剤の効果を確認した。 ラット(SD系、♂、14週齢;日本SLC株式会社)6匹に、休息期にあたる「明」期にのみ標準餌CE−2(日本クレア株式会社製)を供給し、「暗」期の食餌供給を中止するというサイクルにて6週間飼育し、低体温状態のモデル動物を作成した。 上述の低体温モデル動物6匹を各2匹ずつの3つの群(実施例2、比較例4、対照例2)に分けた。 また、ラット2匹を「暗」期の食餌供給制限を行わない自由摂取状態で6週間飼育し、対照例3とした。 実施例2の群には、標準餌に0.225質量%の割合でベザフィブレート(和光純薬工業株式会社製)を添加し、比較例4の群には2.25質量%の割合でショウガ(松浦薬業株式会社製)を添加し、それぞれ1日20gずつ2週間摂取させた。 対照例2の群は標準餌のみを摂取させた低体温モデル群であり、対照例3の群は上述のように「暗」期の食餌供給制限を行わない自由摂取群である。 餌投与開始2週間後に、「暗」期間の各ラットの直腸温を熱電対プローブ(「PowerLab 8/30 システム」(バイオリサーチセンター株式会社))により測定した。測定結果を下記表3に示した。測定値は、各群2匹の平均値である。上記の結果に示すように、ベザフィブレートには不規則な生活習慣を反映した低体温状態のモデル動物の体温を上昇させる効果が認められた。実施例における投与方法を模式的に示す図である。 ベザフィブレートを有効成分として含む深部体温低下抑制剤。 請求項1の深部体温低下抑制剤を含む深部体温低下抑制組成物。 【課題】従来冷えた身体を温める手段としては血流促進剤の摂取や手足のマッサージ等により血行を促進したり、温かい飲食物の摂取する等の方法が取られていたが、深部体温の低下抑制効果を有する物質は知られていなかった。このような従来の状況に鑑みて、深部体温の低下抑制効果(深部体温の上昇効果)を有し深部体温低下抑制剤の有効成分として有用な物質を提供する。【解決手段】ベザフィブレートを有効成分として含む深部体温低下抑制剤、及び前記深部体温低下抑制剤を含む深部体温低下抑制組成物(飲食品、飼料または医薬品など)。【選択図】なし