タイトル: | 公開特許公報(A)_近接電場で共鳴励起された水銀の蛍光を用いた水銀検出装置 |
出願番号: | 2008292790 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 21/64 |
鈴木 範人 JP 2010096736 公開特許公報(A) 20100430 2008292790 20081020 近接電場で共鳴励起された水銀の蛍光を用いた水銀検出装置 鈴木 範人 591231568 鈴木 範人 G01N 21/64 20060101AFI20100402BHJP JPG01N21/64 Z 3 1 書面 6 2G043 2G043AA01 2G043BA04 2G043CA01 2G043DA05 2G043EA01 2G043GA01 2G043HA01 2G043HA15 2G043MA01 地表対流圏の炭酸ガスを、地下および海底深く炭酸ガスを液体に溶解した溶解液を、地下の高温の岩石に固着させる法が開発されつつあると聞く。地下の深部熱水領域近傍あるいはマグマ近傍の高温の岩石等は深部熱水等とかかわりを持ち、マグマ、深部熱水は硫黄と関連をもつ。また、硫黄と水銀は親和性が良いので、マグマ、深部熱水には水銀が存在すると考えられている。水銀は常温で原子の形で存在しうる唯一の金属であり、かつ、岩石等の透過率は高い。 従って、地表あるいは、海底面における水銀原子の分布は地下の深部熱水領域、マグマの構造と相関があるので、海底面の水銀量の分布から、地下の深部熱水領域、マグマの構図を知ることができる、ただし、地上に永く存在する辰砂HgSとの区別は必要であろう。 水銀の定量分析は、固体、液体、気体等総ての物質を対象とし、定量分析の目的も多岐に亘っている。しかし、定量分析の対象、目的によっては、感度の向上や、精度、定量分析特性の均一性が望まれている。本発明は、金属表面プラズモンや金属ナノ粒子の電場増強作用を用いて水銀原子の検知部の感度増強により、水銀の検出感度の向上を行い、空気から土壌にいたる試料における、測定場所や場所によっては常に変動するであろう測定時点による水銀の含有率を知ることの出来る装置を提供するものである。 現在までの、微量水銀の定量分析は試料に含まれた水銀と金のアマルガム(以下水銀アマルガムと呼ぶ)を作る手段と、該アマルガムから加熱により水銀のみを取り出す手段と、取り出した水銀の濃度を測定する濃度測定手段から構成されていた。そして、水銀の濃度を測定する手段としては原子蛍光法あるいは原子吸光法が用いられていた。 一方、全反射においては、全反射面に金属を蒸着してエバネッセント光の分散とフォノンの分散とを一致させると、蒸着した金属薄膜に表面プラズモン(フォノン)ポラリトン共鳴がおこり、表面プラズモン共鳴がおこると。共鳴した表面プラズモンは、エバネッセント光に比し数桁高い電場強度をもつ縦波のみであることがしられている。 発明が解決しようとする課題 水銀原子の濃度の測定には、原子吸光法と原子共鳴蛍光法が使われているが、ここでは、原子共鳴蛍光法を取り上げる。共鳴原子蛍光法においてS/N比を高くするには光源である水銀の共鳴スペクトル、即ち、水銀の三重項、一重項の共鳴スペクトル線の強度を増加させれば良いのであるが。強度の増加にスペクトル幅の拡がりの増加が伴うと強度の増加は意味を成さない。つまり、光源の電子温度、原子密度を高くすればスペクトル線の強度は高くなるが、電子温度の上昇は原子温度の上昇に、さらにスペクトル線のドップラー拡がりの増加を招き、原子密度の増加はローレンツ拡がりの増加やバックグランド光の増加を招く。要するに、発光スペクトルの拡がりや、バックグランドの光量を大きくすることなしに、強度の高い光源を得ることが、本発明の課題である。 現在の原子蛍光法では入射光の透明光学部品の面反射や散乱によるバックグランド光の量が強く、高いS/N比が得られなかった。以下、水銀の一重項の共鳴光は極紫外域にあるので、除外する。 課題を解決するための手段 全反射での全反射光を完全にトラップすれば、バックグランド光は少なくなる。さらに、全反射面に金属薄膜を蒸着し該金属の自由電子の表面プラズモン共鳴をおこすことが出来、共鳴した表面プラズモンにおいては大きい電場増強がおこなわれる。この近接電場で水銀原子を励起すれば、バックグランドが少なく高い電場による水銀原子の励起がおこなわれ、効率がよく信号/バックグランド比の高い共鳴蛍光測定ができる。 また、金属ナノ粒子に通常光を入射すると、エバネッセント光、表面プラズモンができ、金属ナノ粒子の種類や大きさ、粒子の間隔等の条件によっては自由電子の表面プラズモン共鳴がおきその周波数を原子の共鳴周波数の近くに決めることが出来、鳴周波数の近くにおける電場増強がおこなわれる。 試料の水銀原子が、プリズムの金属薄膜をもつ全反射面に衝突、反発する時点で、水銀アマルガムを作る場合があるがこれは望ましくない現象である。この現象は、(1)該金属蒸着薄膜上に水銀アマルガムを作らない鉄族の金属、例えばニッケルの薄膜をつくる。(2)非導電の無機、有機物の薄膜を該金属蒸着薄膜上につくる。(3)プリズムを加熱して面の原子と水銀原子間の核間距離ポテンシヤルニミマム点から振動で水銀原子を追い出す。などの方法で解決する。 しかし、水銀原子の三重項における共鳴スペクトルの波長は253.7nm即ち約5eVである。Drudeの式から表面プラズモンの共鳴が起こるには、取り扱う光の周波数ωが蒸着薄膜金属の自由電子のプラズマ周波数ωpよりも低くなければならないので、金属の選択は困難である。 発明の効果 炭酸ガスを地下の高温の岩石に固着させる場合、試料は空気から土壌に及ぶ。空気中の水銀濃度は希薄であるが、環境により、時間的に変化する。この時間的な変化は意味が無いので、最小の濃度を知る必要がある。つまり、多くの時間的サンプリングを高精度でおこなうことが必要になる。本発明の法で、原子共鳴蛍光のS/Nを高くして測定の精確度を上げることにより、地下高温帯から直上する水銀原子の値を正確に知ることが出来、正確な地下の高温地図を得、炭酸ガス溶液の注入点を正確に知ることが出来る。 以上は炭酸ガスの処理を対象としたが、本発明の装置は、地熱発電の場所捜しに適応できる。 発明を実施するための最良の形態については、本発明の実施例に係る図面を用いて説明する。 図1は全反射面にアルミニューム(Al)を蒸着した場合の実施例である。Alのプラズマ周波数ωpは約9eVである。蒸着したAlは酸素があれば、すぐ酸化して、Al2O3の薄膜をつくるので水銀アマルガムは出来ない。水銀光源2から輻射される水銀の共鳴スペクトル線10はコリメータレンズ3でコリメートされ、プリズム1で全反射される。水銀原子を含む気流6を該全反射面で衝突、反発をおこない通過させる。水銀原子は表面プラズモンの共鳴により増強された近接電場で励起され、共鳴蛍光12を輻射する。該蛍光12は集光レンズ4で検知器5に導かれる。プリズム1は水銀原子を確実に追い返すため、加熱器8で加熱される。全反射光11は光トラップ7で吸収される。輻射された共鳴蛍光は集光レンズ4で検知器6に導かれる。表面プラズモンは縦波で、全反射面への入射光のp成分のみが寄与する。s成分は散乱で光のバックグランドをあげるので、入射光はp成分のみとする。 プラズマ周波数ωPが水銀の共鳴スペクトルより高い金属は幾つかあるが、前記の通りAlもその一つである。Drudeの式の複素誘電率ε=1−ωP/(ω+iγ)はω<ωPで実数部は負となり表面プラズモン共鳴を起こる条件を満足する。γは振動の減衰常数である。 空気と金属の界面に近接した電場E(t)は界面に沿って伝播する縦波である。水銀原子の価電子をrでラベルをし、双極子モーメントμ=−eΣrqrとすると相互作用のハミルトニアンHi(t)は、電場のベクトルが反射面内(縦波)でも、そうでなくても(横波)ベクトル積、 Hi(t)= −eΣrqrE(t)であることに変わりなく、光波12となり光検知器5で検知される。4は水銀原子の流れで また、図2は本発明に係る他の実施例である。Alの表面はすぐ酸化してAl2O3の薄膜ができるが、該薄膜の膜厚の制御は不可能でしかも、年月と共に変化する。この現象を回避するため蒸着面を蒸着装置から取り出す前に、膜厚の制御が可能なSiO2の薄膜を蒸着するものである。 反射面上のAl薄膜の上にSiO2その他の薄膜をつける場合に対し、アマルガムを作らない鉄族、例えばニッケッル薄膜を付けてもよい。 図3は全反射面における金属薄膜除去し、石英板に金属ナノ粒子を分布させて、全反射面に対して平行に置き、該金属ナノ粒子にエバネッセント光による水銀の共鳴蛍光を入射させ該金属ナノ粒子の表面プラズモン共振で電場増強をおこない、水銀の共鳴励起をおこなう場合の実施例である。 は本発明のアルミニウム薄膜を用いた実施例である。は本発明のアルミニウム薄膜にSiO2薄膜を加えた実施例である。は金属ナノ粒子を用いた実施例である。 符号の説明 1 全反射プリズム2 水銀光源3 コリメータレンズ4 集光レンズ5 光検知器(P.M)6 水銀原子の流れ7 光トラップ8 加熱器9 アルミニウム蒸着薄膜10 入射光11 反射光12 共鳴蛍光13 Sio2薄膜14 石英板15 金属ナノ粒子 プリズムその他の全反射面に、自由電子のプラズマ周波数が水銀の共鳴スペクトル線の周波数より高く、かつ酸化等により水銀アマルガムを作らない薄膜を生成する性質をもつ金属薄膜を作成し、該全反射面で水銀の共鳴スペクトル線の光を全反射させると共に、全反射とは反対の面で、かつ前記の全反射に正対向する点の近傍に高純度化した水銀原子を含む気体あるいは液体を衝突、反発させ、該衝突、反発時において該水銀原子の輻射する共鳴蛍光の光量を測定することを特徴とする水銀検出装置 請求項1における金属薄膜をもつプリズムその他の全反射面に膜厚制御が可能であり、かつ水銀アマルガムを作らない薄膜を作成することを特徴とする水銀検出装置 水銀定量測定装置 請求項1における金属薄膜を除去すると共に、プリズムその他の全反射面におけるエバネッセント光側の全反射面から離れた領域をも含む領域に金属ナノ粒子群を分布させることを特徴とする水銀検出装置 【課題】 空気と純化された微量の水銀からなる試料中の水銀量を高い感度で測定する手段を提供する。【解決手段】 水銀の三重項共鳴スペクトルのエバネッセント光による、金属表面プラズモンの共鳴により電場強化された近接場に水銀の原子群を置いて水銀原子の共鳴励起をおこない、共鳴蛍光を輻射させ、該蛍光の強度を測定する。【選択図】図1 20081104A16331全図3