タイトル: | 公開特許公報(A)_ポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法 |
出願番号: | 2008266315 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 27/62,G01N 30/34,G01N 30/88,G01N 30/72 |
本山 晃 上野 多代 大村 孝之 福原 忠雄 木村 朋子 JP 2010096577 公開特許公報(A) 20100430 2008266315 20081015 ポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法 株式会社資生堂 000001959 伊東 忠彦 100070150 本山 晃 上野 多代 大村 孝之 福原 忠雄 木村 朋子 G01N 27/62 20060101AFI20100402BHJP G01N 30/34 20060101ALI20100402BHJP G01N 30/88 20060101ALI20100402BHJP G01N 30/72 20060101ALI20100402BHJP JPG01N27/62 VG01N30/34 EG01N30/88 CG01N30/72 AG01N27/62 X 5 OL 12 特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年5月1日 日本質量分析学会発行の「第56回質量分析総合討論会(2008)講演要旨集」に発表 2G041 2G041CA01 2G041DA04 2G041DA05 2G041DA09 2G041DA18 2G041EA04 2G041FA09 2G041GA06 2G041HA01 2G041JA07 2G041LA07 本発明は、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を分析する方法に関する。 従来、安全性の高い乳化剤として、ポリエチレングリコールのモノラウリン酸エステル、モノステアリン酸エステル等のポリオキシエチレン基を有する界面活性剤が化粧料等の様々な分野で用いられている。 このような界面活性剤の指標としては、1H NMRを用いて、ポリオキシエチレン基由来のピークと、メチル基由来のピークの面積比から求められるポリオキシエチレン基の平均重合度が用いられている。しかしながら、界面活性剤が未反応原料、副生成物等の不純物を含む場合、不純物由来のピークが上記のピークと重なるため、平均重合度の精度が低下するという問題がある。さらに、不純物が定量されていないため、界面活性能が不明であるという問題がある。 一方、蛋白質、核酸等の生体高分子、合成高分子等を質量分析する方法として、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI MS)が知られている。 また、複数の成分を含む試料中の各成分の含有量を分析する方法として、液体クロマトグラフィー(LC)/大気圧イオン化質量分析法(API MS)が知られている。なお、API MSとしては、イオン性・高極性化合物に有効なエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI MS)及び低・中極性の化合物に有効な大気圧化学イオン化質量分析法(APCI MS)が知られている。このとき、LC/ESI MSを用いて、蛋白質、核酸等の生体高分子を分析する方法として、多価イオンを生成させる方法が知られている。 本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、ポリオキシアルキレン基を有する化合物に含まれる成分及びその組成を精度よく評価することが可能なポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法を提供することを目的とする。 請求項1に記載の発明は、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を分析する方法であって、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI MS)を用いて、該化合物を分析する工程と、液体クロマトグラフィー(LC)/大気圧イオン化質量分析法(API MS)を用いて、該化合物を分析する工程を有することを特徴とする。 なお、ポリオキシアルキレン基を有する化合物とは、ポリアルキレングリコールを除く化合物を意味する。 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法において、前記液体クロマトグラフィー(LC)は、グラジエント溶出法が用いられている逆相クロマトグラフィーであることを特徴とする。 請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法において、前記大気圧イオン化質量分析法(API MS)は、エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI MS)であることを特徴とする。 請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法において、前記化合物は、界面活性剤であることを特徴とする。 請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法において、前記化合物は、ポリオキシアルキレンエステルことを特徴とする。 本発明によれば、ポリオキシアルキレン基を有する化合物に含まれる成分及びその組成を精度よく評価することが可能なポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法を提供することができる。 次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。 本発明のポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法は、MALDI MSを用いて、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を分析する工程と、LC/API MSを用いて、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を分析する工程を有する。これにより、ポリオキシアルキレン基を有する化合物に含まれる成分及びその組成を精度よく評価することができる。 なお、LCとしては、特に限定されないが、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等が挙げられる。このとき、生成物の溶出法は、アイソクラティック溶出法及びグラジエント溶出法のいずれであってもよい。また、API MSは、ESI MS及びAPCI MSのいずれであってもよい。 ポリオキシアルキレン基を有する化合物としては、特に限定されないが、ポリアルキレングリコールと、ヒドロキシル基と縮合し得る官能基を有する化合物の縮合物、その誘導体等が挙げられる。 アルキレングリコールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等が挙げられる。 ポリアルキレングリコールの重合度は、通常、2〜300であり、二種以上の構成単位を有してもよく、この場合、ブロック共重合体、ランダム共重合体等であってもよい。 ヒドロキシル基と縮合し得る官能基としては、特に限定されないが、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。 ポリオキシアルキレン基を有する化合物としては、特に限定されないが、ポリアルキレングリコールとカルボン酸を縮合させることにより得られるエステル、ポリアルキレングリコールとアルコールを縮合させることにより得られるエーテル、ポリアルキレングリコールとアミンを縮合させることにより得られるアミン、ポリアルキレングリコールとアミドを縮合させることにより得られるアミド等が挙げられる。 カルボン酸としては、特に限定されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族カルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸等;アクリル酸、メタクリル酸等の重合体等のポリカルボン酸が挙げられる。 アルコールとしては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エルシルアルコール、リシノリルアルコール、アラキジルアルコール、カプリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の飽和脂肪族モノアルコール;オレイルアルコール、リノリルアルコール、エライジルアルコール、リノレニルアルコール等の不飽和脂肪族モノアルコール;ソルビット、ソルビトール等のポリアルコール等が挙げられる。 アミンとしては、特に限定されないが、エタノールアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン等の1級モノアミン;ジエタノールアミン等の2級モノアミン等が挙げられる。 アミドとしては、特に限定されないが、上記モノアミンと上記モノカルボン酸のモノアミド等が挙げられる。 これらのヒドロキシル基と縮合し得る官能基を有する化合物は、他の化合物と反応させて誘導体にして用いてもよい。 なお、ポリオキシアルキレン基を有する化合物は、ポリアルキレングリコールと、複数のヒドロキシル基と縮合し得る官能基を有する化合物の縮合物であってもよい。また、ポリオキシアルキレン基を有する化合物は、二種以上のポリオキシアルキレン基を有してもよい。 ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等の2鎖型ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド等の多鎖型ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル等のエーテル型;ポリオキシエチレンエステル、POEアルキレンジエステル等の2鎖型ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルエステル等の2鎖型ポリオキシアルキレンエステル;ポリオキシアルキレン脂肪酸グリセリル、脂肪酸ポリオキシアルキレントリメチロールプロパン、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド等のポリオキシアルキレンアルキルアミドが挙げられる。 以下、ポリオキシアルキレンエステルの分析方法について説明する。このとき、ポリオキシアルキレンエステルには、主生成物(モノエステル)の他に、未反応原料(ポリアルキレングリコール、モノカルボン酸)と副生成物(ジエステル)が含まれる。 まず、MALDI MSを用いて、ポリオキシアルキレンエステルを分析することにより、主生成物のポリオキシアルキレン基の重合度が得られる。このとき、マトリックスとして、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)を用いることにより、主生成物のポリオキシアルキレン基の重合度を精度よく測定することができる。 次に、LC/ESI MSを用いて、ポリオキシアルキレンエステルを分析することにより、未反応原料と副生成物の含有量が得られる。このとき、LCとして、グラジエント溶出法が用いられている逆相クロマトグラフィー又はアイソクラティック溶出法が用いられている順相クロマトグラフィーを用いることにより、主生成物、未反応原料、副生成物のピークの面積を精度よく測定することができる。移動相としては、特に限定されないが、水、メタノール、2−プロパノール等のアルコールが挙げられる。また、移動相に酢酸アンモニウムを添加して、多価イオンを生成させることにより、主生成物、未反応原料、副生成物が装置の測定質量範囲を超える分子量であっても同定することができる。 [実施例1] 試料として、ポリオキシエチレン基の平均重合度が40と表示されているポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステル(市販品)を用いた。 まず、MALDI−TOF MSのAutoflex III(ブルカー・ダルトニクス社製)を用いて、試料を分析した。具体的には、CHCA10mgを50質量%アセトニトリル・水混液990μlに溶解させた溶液50μl、塩化ナトリウム58.5mgを水10mlに溶解させた溶液25μl、試料10mgをアセトニトリル990μlに溶解させた溶液10μlを混合した混合液1mLをサンプルプレートに滴下し、乾燥させたものを測定した。このとき、波長が355nmのNd・YAGレーザーを用いて、レーザーパワーを50〜100とし、測定モードをリフレクトロン又はリニアー(正イオン検出)モードとして、積算回数を500〜2000回とした。 得られたマススペクトルを図1に示す。図1(a)より、ポリオキシエチレン基の平均重合度が38であることがわかった。また、図1(b)より、この試料には、ポリエチレングリコールのモノパルミチン酸エステルが含まれており、さらに未反応原料(ポリエチレングリコール)、副生成物(ポリエチレングリコールのジパルミチン酸エステル)が含まれていることがわかった。さらに、同様にして、この試料には、副生成物(ポリエチレングリコールのパルミチン酸ステアリン酸ジエステル、ポリエチレングリコールのジステアリン酸エステル)が含まれていることがわかった。 次に、LC/ESI MSとして、Nanospace SI−II(資生堂社製)を接続したLTQ−Orbitrap(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、試料を分析した。具体的には、試料100μgを50質量%アセトニトリル・水混液1mlに溶解させた溶液0.5μlを注入して、測定した。このとき、カラムとして、Capcelpak C18 MG(S5)(直径2mm、長さ150mm)を用い、カラムの温度を50℃とした。また、移動相として、0.1体積%ギ酸の10mM酢酸アンモニウム水溶液及び0.1体積%ギ酸の2−プロパノール溶液の混合液を用い、後者の混合比を30体積%から85体積%に5分間で変化させ、移動相の流速を0.25mL/分とした。さらに、検出器として、FTMSを用い、測定モードを正イオン検出モードとして、分解能を60000、m/zの測定範囲を200〜2000とした。 得られたトータルイオンクロマトグラムを図2に示す。図2より、ポリエチレングリコール由来のピークA、ポリエチレングリコールのモノエステル由来のピークB、ポリエチレングリコールのジエステルのピークCが存在し、面積比が18.5:54.0:27.5であることがわかった。なお、ピークA〜Cの帰属は、マススペクトル及びマスクロマトグラムを用いて行った。このとき、ピークBは、ポリエチレングリコールのモノパルミチン酸エステル由来のピークと、ポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステル由来のピークからなることがわかった。また、ピークCには、ポリエチレングリコールのジパルミチン酸エステル、ポリエチレングリコールのパルミチン酸ステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールのジステアリン酸エステルが含まれることがわかった。 以上のことから、試料に含まれる成分及びその組成を評価できることがわかった。 [比較例1] ポリオキシエチレン基の平均重合度が40と表示されているポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステル(市販品)の1H NMRスペクトルを測定した。得られた1H NMRスペクトルを図3に示す。図3より、オキシエチレン基由来のピークA、メチル基由来のピークBが存在し、ポリオキシエチレン基の平均重合度は、式 156.641/4から39と算出された。このとき、ポリオキシエチレン基の平均重合度の値は、実施例1で得られた値と乖離していないものの、試料に含まれる成分及びその組成を評価することができない。 ここで、実施例1において、ポリエチレングリコール由来のピークA、ポリエチレングリコールのモノエステル由来のピークB、ポリエチレングリコールのジエステル由来のピークCの面積比が18.5:54.0:27.5であることから、平均重合度を補正すると、38となり、実施例1と同一の値が得られた。 [実施例2] 試料として、ポリオキシエチレン基の平均重合度が100と表示されているポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステル(市販品)を用いた以外は、実施例1と同様にして、分析した。 まず、MALDI−TOF MSを用いて得られたマススペクトルを図4に示す。図4より、ポリオキシエチレン基の平均重合度が80であることがわかった。また、実施例1と同様にして、この試料には、ポリエチレングリコールのモノパルミチン酸エステルが含まれており、さらに未反応原料(ポリエチレングリコール)、副生成物(ポリエチレングリコールのジパルミチン酸エステル、ポリエチレングリコールのパルミチン酸ステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールのジステアリン酸エステル)が含まれていることがわかった。 次に、LC/ESI MSを用いて得られたトータルイオンクロマトグラムを図5に示す。図5より、ポリエチレングリコール由来のピークA、ポリエチレングリコールのモノエステル由来のピークB、ポリエチレングリコールのジエステル由来のピークCが存在し、面積比が35.3:52.3:12.4であることがわかった。また、ピークCのマススペクトルを図6に示す。図6より、重合度79のポリエチレングリコールのジパルミチン酸エステル由来のピークD、重合度79のポリエチレングリコールのパルミチン酸ステアリン酸エステル由来のピークE、重合度79のポリエチレングリコールのジステアリン酸エステル由来のピークFが存在することがわかった。なお、ピークD〜Fは、z=4のアンモニウム付加イオンのピークである。さらに、ピークD〜Fのマスクロマトグラムを図7に示す。なお、図7(a)〜(c)は、それぞれピークD〜Fのマスクロマトグラムである。図7より、図5のピークCは、ポリエチレングリコールのジエステル由来であることがわかる。なお、ピークA、Bの帰属は、同様にして、マススペクトル及びマスクロマトグラムを用いて行った。このとき、ピークBは、ポリエチレングリコールのモノパルミチン酸エステル由来のピークと、ポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステル由来のピークからなることがわかった。 以上のことから、試料に含まれる成分及びその組成を評価できることがわかった。 [比較例2] 試料として、ポリオキシエチレン基の平均重合度が100と表示されているポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステル(市販品)を用いた以外は、比較例1と同様にして、分析したところ、ポリオキシエチレン基の平均重合度が100と算出された。このとき、ポリオキシエチレン基の平均重合度の値は、実施例2で得られた値と乖離していることに加え、試料に含まれる成分及びその組成を評価することができない。 ここで、実施例2において、ポリエチレングリコール由来のピークA、ポリエチレングリコールのモノエステル由来のピークB、ポリエチレングリコールのジエステル由来のピークCの面積比が35.3:52.3:12.4であることから、平均重合度を補正すると、84となり、実施例2と近い値が得られた。 [実施例3] 試料として、ポリオキシエチレン基の平均重合度が150と表示されているポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステル(市販品)を用いた以外は、実施例1と同様にして、分析した。 まず、MALDI−TOF MSを用いて得られたマススペクトルを図8に示す。図8(a)より、ポリオキシエチレン基の平均重合度が200であることがわかった。また、図8(b)より、この試料には、ポリエチレングリコールのモノパルミチン酸エステルが含まれており、副生成物(ポリエチレングリコールのジパルミチン酸エステル)が含まれていることがわかった。さらに、図8(c)より、この試料には、副生成物(ポリエチレングリコールのパルミチン酸ステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールのジステアリン酸エステル)が含まれていることがわかった。 次に、LC/ESI MSを用いて得られたトータルイオンクロマトグラムを図9に示す。図9より、ポリエチレングリコールのモノエステル由来のピークB、ポリエチレングリコールのジエステルのピークCが存在し、面積比が62.1:37.9であることがわかった。なお、ピークB、Cの帰属は、マススペクトル及びマスクロマトグラムを用いて行った。このとき、ピークBは、ポリエチレングリコールのモノパルミチン酸エステル由来のピークと、ポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステル由来のピークからなることがわかった。また、ピークCには、ポリエチレングリコールのジパルミチン酸エステル、ポリエチレングリコールのパルミチン酸ステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールのジステアリン酸エステルが含まれることがわかった。 以上のことから、試料に含まれる成分及びその組成を評価できることがわかった。 [比較例3] 試料として、ポリオキシエチレン基の平均重合度が150と表示されているポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステル(市販品)を用いた以外は、比較例1と同様にして、分析したところ、ポリオキシエチレン基の平均重合度が155と算出された。このとき、ポリオキシエチレン基の平均重合度の値は、実施例3で得られた値と乖離していることに加え、試料に含まれる成分及びその組成を評価することができない。 ここで、実施例3において、ポリエチレングリコール由来のピークA、ポリエチレングリコールのモノエステル由来のピークB、ポリエチレングリコールのジエステル由来のピークCの面積比が0:62.1:37.9であることから、平均重合度を補正すると、213となり、実施例3と近い値が得られた。実施例1のマススペクトルを示す図である。実施例1のトータルイオンクロマトグラムを示す図である。比較例1の1H NMRスペクトルを示す図である。実施例2のマススペクトルを示す図である。実施例2のトータルイオンクロマトグラムを示す図である。図5のピークCのマススペクトルを示す図である。図6のピークD〜Fのマスクロマトグラムを示す図である。実施例3のマススペクトルを示す図である。実施例3のトータルイオンクロマトグラムを示す図である。 ポリオキシアルキレン基を有する化合物を分析する方法であって、 マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI MS)を用いて、該化合物を分析する工程と、 液体クロマトグラフィー(LC)/大気圧イオン化質量分析法(API MS)を用いて、該化合物を分析する工程を有することを特徴とするポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法。 前記液体クロマトグラフィー(LC)は、グラジエント溶出法が用いられている逆相クロマトグラフィーであることを特徴とする請求項1に記載のポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法。 前記大気圧イオン化質量分析法(API MS)は、エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI MS)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法。 前記化合物は、界面活性剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法。 前記化合物は、ポリオキシアルキレンエステルであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法。 【課題】本発明は、ポリオキシエチレン基を有する化合物に含まれる成分及びその組成を精度よく評価することが可能なポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法を提供することを目的とする。【解決手段】ポリオキシアルキレン基を有する化合物の分析方法は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI MS)を用いて、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を分析する工程と、液体クロマトグラフィー(LC)/大気圧イオン化質量分析法(API MS)を用いて、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を分析する工程を有する。【選択図】なし