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タイトル:公開特許公報(A)_NMR測定方法
出願番号:2008240398
年次:2010
IPC分類:G01N 24/08,G01R 33/30,G01R 33/32,G01N 24/12


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西山裕介 JP 2010071839 公開特許公報(A) 20100402 2008240398 20080919 NMR測定方法 日本電子株式会社 000004271 西山裕介 G01N 24/08 20060101AFI20100305BHJP G01R 33/30 20060101ALI20100305BHJP G01R 33/32 20060101ALI20100305BHJP G01N 24/12 20060101ALI20100305BHJP JPG01N24/08 510SG01N24/08 510LG01N24/02 510CG01N24/02 530ZG01N24/12 510L 9 14 OL 17 本発明は、複数の成分がそれぞれ微結晶を成して混在している固体試料や、単一の分子であっても複数の結晶系が混在している固体試料や、結晶成分と非結晶成分が混在している固体試料など、複数のドメインを有する試料のNMRスペクトルをドメインごとに分離して測定する際に使用されるNMR測定方法に関する。 混合物を成分ごとに分離して観測するNMR測定手法、および逆ラプラス変換を解析に利用する手法の一例として、DOSY法を以下に説明する。DOSY法は、近年のNMR装置の精度向上および処理ソフトの改良により、広い分野で利用されるようになってきたNMR測定方法であり、もともとは、1965年、スタッカーとターナーによって提唱されたNMR測定方法の1つである(非特許文献1)。 DOSY法の実験においては、複数種類の分子の混合物である試料であっても、分子の拡散係数の違いを利用することによって、成分分子ごとに分離してNMRスペクトルを測定することができる。 混合物のNMRスペクトルは、通常、図1に示すように、各成分のスペクトルの和として観測される。一方、分子の拡散係数は、各分子種に固有の値を持っている。そのため、混合物のNMRスペクトルを分子の拡散係数により分類すると、結果としてNMRスペクトルを分子種ごとに分離して観測することができるのである。 拡散係数の測定は、拡散計測時間を変化させながらNMRスペクトルを複数回観測することにより行なわれる。通常のDOSY法では、図2に示すように、拡散計測時間が長くなるほど、また拡散速度が速くなるほど、NMRスペクトルの信号強度は大きく減衰するので、拡散速度の速いものほど信号強度の減衰が速く、拡散速度の遅いものほど信号強度の減衰が遅い。 この変化を解析することにより、拡散係数が求まる。拡散係数の違いによるNMRスペクトルの分離には、逆ラプラス変換が用いられる。逆ラプラス変換を用いることにより、拡散係数の値の位置に先鋭化したピークが現れ、スペクトルの解析が容易になる。図3は、1つのピーク強度に注目して逆ラプラス変換を行なった例である。 信号強度が拡散によって同じような減衰挙動を示すピークを逆ラプラス変換によってグループ分けすると、図4に示すように、拡散の遅い成分Aのスペクトルと、拡散の速い成分Bのスペクトルとの2つの群に分離することができる。 DOSY法においては、逆ラプラス変換を用いて拡散係数の違いによりスペクトルを分離することで、スペクトルを成分ごとに分離して観測することができる。これは、各分子が固有の拡散係数を持つことを利用した分離法である。 次に、DOSY法の他に、緩和時間の違いを利用して複数の成分を分離する測定法が知られているので、それを以下に3つほど紹介・列挙する。 (1)13C炭素核の縦磁化緩和時間の違いを利用して複数の成分を分離する測定法。 13C炭素核の縦磁化緩和時間の違いを指標にしてNMR信号を分離する方法である。緩和計測時間を変化させながら13C-NMRスペクトルを観測すると、信号強度の変化は緩和時間の違いを反映する。 図5にポリエチレンの実測データ(非特許文献2より引用)を示す。この測定では反転復活法を用いており、反転させた信号がどのぐらいの時間で復活するかを観測することにより13C炭素核の縦磁化緩和時間を測定している。 0.025sの緩和計測時間(τ)の時には35ppmの信号および31ppmの信号はともに反転されている。次に、緩和計測時間が10sになると、どちらの信号も正の強度になるが、その間の挙動は異なる。 31ppmの信号は、0.1sの緩和計測時間ですでに正の強度に復活しているにも関わらず、35ppmの信号は、1sの緩和計測時間まで待たないと正の強度に復活しない。この測定を通じて、31ppmの信号と35ppmの信号が異なる緩和時間を持つ信号として分類することができる。 13C炭素核の縦磁化緩和時間は、分子の局所的な運動モードにより強く影響を受ける。そのため、13C炭素核の縦磁化緩和時間による信号の分離は、分子の局所的な運動性の違いを反映した分離法ということになる。 (2)1H水素核の横磁化緩和時間の違い、および1H水素核から13C炭素核への磁化移動を利用して信号を分離する測定法。 この方法では、横磁化緩和時間の計測時間を変化させながらスペクトルを観測する。観測するときには1H水素核から13C炭素核への磁化移動を行ない、13C炭素核でスペクトルを観測する。1H-NMRスペクトルは線幅が広い信号が重なり合ってしまうため、分離がよくない。それに対して13C-NMRスペクトルは線幅が細く、さまざまな信号を分離して観測することができる。 したがって、信号分離という観点で、1H水素核から13C炭素核への磁化移動、および磁化移動に引き続く13C炭素核での信号観測は有用である。1H水素核の横磁化緩和時間の測定データはFourier変換を行ない、スペクトルとして観測する。 Fourier変換を行なうことにより、横磁化緩和の速い成分は線幅の広いピークとして現れ、遅い成分は線幅の狭いピークとして現れる。時間領域の信号をFourier変換してスペクトルとして表示するのはNMRの慣習に従った処理であり、この処理により信号の分離が良くなるといった効果はない。 図6に、この測定法(a)および実測データ(b)を示す(ともに非特許文献3より引用)。(a)に“CP”と記述がある部分が磁化移動である。(b)をみると、13C軸方向には3本のピークが分離して観測されていることがわかる。 この分離は、1H水素核から13C炭素核への磁化移動、および13C炭素核でのNMRスペクトルの観測により実現された。一方、PDMSとラベルされている信号の1H軸方向のスペクトルは非常に細いのに対して、PSとラベルされている信号のスペクトルは幅広いものとなっている。このように、1H軸側のスペクトルの線幅から信号を分類することができる。 1H水素核の横磁化緩和時間は、13C炭素核の縦磁化緩和時間と同様に分子の局所的な運動モードにより強く影響を受ける。そのため、1H水素核の横磁化緩和時間による信号の分離は、分子の局所的な運動性の違いを反映した分離法ということになる。 (3)1H水素核の縦磁化緩和時間を13C炭素核へと磁化移動することにより、13C炭素核のNMRスペクトルとして測定する手法。 この方法は、図7に示すように、1H水素核の縦磁化緩和時間の観測を行なった後、1H水素核から13C炭素核への磁化移動を行ない、13C炭素核のNMRスペクトルとして観測を行なう手法であり、1H水素核の縦磁化緩和時間測定の結果は、13C-NMRスペクトルの強度変化として現れる(非特許文献4)。 尚、1H水素核の縦磁化緩和時間は、1H水素核と1H水素核の間の同種核間スピン拡散により、分子内では均一になっている。このような事実、および上記(1)〜(3)の測定手法については、非特許文献5に詳しくまとめられている。E. O. Stejskal, J. E. Tanner, Journal of Chemical Physics, vol.42, No.1, p.288 (1965).W.L. Earl and D.L. VanderHart, Macromolecules, vol.12, pp.762-767 (1979).K. Schmidt-Rhor, J. Clauss, and H.W. Spiess, Macromolecules, vol.25, pp.3273-3227 (1992).M.J. Sullivan and G.E. Maciel, Anal. Chem., vol.54, pp.1615-1623 (1982).K. Schmidt-Rohr and H.W. Spiess in ”Multidimensional solid state NMR and polymers”, Academic press (1994). 混合物から成る溶液試料のNMRスペクトルを観測するにあたっては、前述のようにDOSY法が最も広く用いられている。DOSY法を用いることにより、成分ごとにNMRスペクトルを分離することができるからである。DOSY法は溶液中における分子の並進拡散係数の違いを利用してスペクトルの分離を実行する。しかしながら、固体試料においては並進拡散が存在しない。そのため、固体試料に対しては、DOSY法は適用できないという問題があった。 一方、上記(1)に示した手法を用いれば、13C炭素核の縦磁化緩和時間の違いを利用して、混合物の信号を分離することができる。ところが、13C炭素核の縦磁化緩和時間は、分子の局所的な運動性を反映しているので、この測定法による分離は、分子の局所的な運動性の違いによる分離となる。そのため、分子種による分類とは必ずしもならない。 具体的には、分子にメチル基が含まれているような場合、メチル基の運動性は非常に高いので、同じ分子からの他の信号とメチル基の信号は、別々に分離されて観測されてしまうという問題があった。 また、上記(2)に示した手法を用いれば、1H水素核の横磁化緩和時間の違いを利用して、混合物の信号を分離することができる。ところが、13C炭素核の縦磁化緩和時間による分離と同様に、この方法もまた分子の局所的な運動性の違いによる分離となる。そのため、分子種による分離とは必ずしもならない。 具体的には、分子にメチル基が含まれているような場合、メチル基の運動性は非常に高いので、同じ分子からの他の信号とメチル基の信号は、別々に分離されて観測されてしまうという問題があった。 また、上記(3)に示した手法を用いれば、1H水素核の縦磁化緩和測定、および1H水素核から13C炭素核への磁化移動の実験により、1H水素核の縦磁化緩和時間を、その1H水素核が所属している分子の13C-NMRの信号強度変化として取り出すことができる。通常、この測定法は、純品の試料に対してのみ適用されるが、もし混合物にこの測定法を適用することができれば、効果は大きい。 スピン拡散によりスピンI(通常は1H水素核)が分子内において均一な縦磁化緩和時間を持つとき、スピンIのスペクトルをスピンIの縦磁化緩和時間で分類することができれば、スピンIのスペクトルは分子種ごとに分離することができる。 しかしながら、スピンIのスペクトルは、スピン拡散のために幅の広い特徴のないスペクトルとなる。そのため、スピンIの縦磁化緩和時間でスピンIのスペクトルを分離することは困難である。 また、仮に分離が可能であっても、得られるスペクトルは幅の広い特徴のないスピンIのスペクトルであり、情報量が少ないスペクトルである。情報量の多いスペクトルを得るためには高分解能スペクトルの観測が必須である。 本発明の目的は、上述した点に鑑み、スピンI(通常は1H水素核)の縦緩和時間の違いに基づき、スピンIに由来するNMRスペクトル、またはスピンIと結合したスピンS(通常は13C炭素核)に由来するNMRスペクトルを、比較的簡単な方法で分子種ごとに分離して観測することのできる、混合物の固体試料に用いて好適なNMR測定方法を提供することにある。 この目的を達成するため、本発明にかかるNMR測定方法は、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核のスピン拡散を切断して高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類する第4の工程とを備えたことを特徴としている。 また、前記縦磁化緩和時間の測定は、反転回復法、飽和回復法、またはスピンロックによる回転系縦磁化緩和時間測定法であることを特徴としている。 また、前記スピン拡散の切断は、同種核間相互作用を切断するためのRF照射、または試料の高速回転、またはその両方により行なうことを特徴としている。 また、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核は1H核、または19F核であることを特徴としている。 また、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している第1の核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記第1の核の励起エネルギーを高分解能でNMRスペクトルを測定可能な第2の核に磁化移動させて、第2の核の高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類する第4の工程とを備えたことを特徴としている。 また、前記縦磁化緩和時間の測定は、反転回復法、飽和回復法、またはスピンロックによる回転系縦磁化緩和時間測定法であることを特徴としている。 また、前記第1の核は1H核、または19F核であることを特徴としている。 また、前記第2の核は1H核以外の高分解能NMRスペクトルを取得可能な核であることを特徴としている。 また、前記第2の核は13C核、15N核、29Si核、または31P核であることを特徴としている。 本発明のNMR測定方法によれば、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核のスピン拡散を切断して高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類する第4の工程とを備えたので、スピンI(通常は1H水素核)の縦緩和時間の違いに基づき、スピンIに由来するNMRスペクトルを、比較的簡単な方法で分子種ごとに分離して観測することのできる固体試料に用いて好適なNMR測定方法を提供することが可能になった。 また、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している第1の核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記第1の核の励起エネルギーを高分解能でNMRスペクトルを測定可能な第2の核に磁化移動させて、第2の核の高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類する第4の工程とを備えたので、スピンI(通常は1H水素核)の縦緩和時間の違いに基づき、スピンIと結合したスピンS(通常は13C炭素核)に由来するNMRスペクトルを、比較的簡単な方法で分子種ごとに分離して観測することのできる固体試料に用いて好適なNMR測定方法を提供することが可能になった。 以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。本発明においては、スピンI(通常は1H水素核)の縦磁化緩和時間に基づいて、高分解能NMRスペクトルを分類する。スピンIの縦磁化緩和時間は、多成分の混合物系においても、同一成分で構成された各微粒子内では、均一な緩和時間を持っているものと仮定する。 すなわち、同一成分で構成された粒子内では、スピン拡散により1H水素核は均一な縦磁化緩和時間T1を持つが、異なる成分で構成された粒子間ではスピン拡散が起きないので、1H水素核は成分ごと(粒子ごと)にそれぞれ異なる縦磁化緩和時間T1を持つという性質があるためである。 このような均一な縦磁化緩和時間の粒子(ドメイン)を持つ系は、核スピンを有する同種核原子が密に存在しているときに、同種核間のスピン拡散によって実現される。このときのNMRスペクトルは、スピン拡散により幅の広い特徴のないスペクトルとなる。 本発明においては、スピン拡散により各成分が成分ごとに均一な縦磁化緩和時間を持った状態で緩和時間測定を行なうことにより、縦磁化緩和時間を指標として複数の成分から成る混合物を成分ごとに分類する。縦磁化緩和時間による分類は、逆ラプラス変換を用いて、先鋭化したピークとして得るものとする。 本発明においては、(1)核スピンのスピン拡散を抑制することにより高分解能NMRスペクトルを実現する、または、(2)高分解能NMRスペクトルが観測できる核へと磁化を移動することにより高分解能NMRスペクトルを実現する、という手法を取ることにより、前記目標を達成する。 最初に、スピンIの縦磁化緩和時間によりスピンIの高分解能NMRスペクトルを分離する手法を説明する。この分離を実行するために、図8のフローチャートに示すNMR測定を行なう。このNMR測定により、スピンIの縦磁化緩和時間の測定結果を、スピンIのスペクトルを通じて測定することができる。 複数の成分から成る混合物のNMRスペクトルを測定すると、スピンIの高分解能NMRスペクトルは、各成分のNMRスペクトルの和となる。本測定で得られるスピンIの高分解能NMRスペクトルは、スピンIの縦磁化緩和時間により分類することができる。 すなわち、通常のNMR測定では、熱平衡の時に最も強いNMR信号を与えることが知られている。その理由は、2つの準位間において、ボルツマン分布の占拠数の差が熱平衡状態の時に最も大きくなるためである。 従って、縦磁化緩和時間の測定を行なうと、スピンIの縦磁化緩和時間が短いものほど熱平衡状態に戻る時間が短く、その結果、スピンIのNMRスペクトル強度の回復が速い。逆に、スピンIの縦磁化緩和時間が長いものほど熱平衡状態に戻る時間が長く、その結果、スピンIのNMRスペクトル強度の回復が遅い。 従って、スピンIの高分解能NMRスペクトルを測定するのと並行させて、スピンIの縦磁化緩和時間測定を実行し、このスピンIの縦磁化緩和時間の違いに由来するNMR信号強度の回復速度の違いに逆ラプラス変換を適用すれば、異なる縦磁化緩和時間ごとに分離したスピンIのNMRスペクトルを得ることができる。 混合物の各成分の中で、スピンIが均一な縦磁化緩和時間を持っているとき、縦磁化緩和時間による分離は、成分ごとによる分離と同じ意味を持つ。すなわち、縦磁化緩和時間で分離することにより、高分解能NMRスペクトルを成分ごとに分離することができる。 スピンIの具体的な例としては、有機物中の1H核や19F核が挙げられる。これらの核を含む化合物中では、同種核間相互作用により、1H核や19F核の縦磁化緩和時間は、化合物の中では均一になる。観測は、この同種核間相互作用を切断することにより行なわれる。これにより、高分解能NMRスペクトルの観測が可能となる。 図9に示すように、複数の成分から成る混合物の1H核もしくは19F核の高分解能NMRスペクトルは、各成分の1H核もしくは19F核の高分解能NMRスペクトルとして観測することができる。 図10は、本測定に用いられるパルスシーケンスのタイムチャートを模式的に示したものである。上段がスピンIの縦磁化緩和時間の測定に反転回復法を用いた例、下段がスピンIの縦磁化緩和時間の測定に飽和回復法を用いた例である。 反転パルスまたは飽和パルスを混合物試料に印加した後、所定の待ち時間t(縦磁化緩和測定時間)を置いてスピンIの高分解能NMRスペクトルを測定する。この待ち時間tを徐々に変えながら、スピンIの高分解能NMRスペクトルを繰り返し測定することで、スピンIの縦磁化緩和時間に依存してスピンIの高分解能NMRスペクトルの信号強度が回復していく様子を観測することができる。尚、測定法の詳細は次の通りである。 〈スピンIの縦磁化緩和時間測定〉スペクトルの分離にスピンIのスピン-格子緩和時間(T1)を用いる場合(単純に縦磁化緩和時間と言う場合には、こちらを指すことがほとんどである)。 反転回復法を用いてスピンIの縦磁化緩和時間測定を行なう。 飽和回復法を用いてスピンIの縦磁化緩和時間測定を行なう。スペクトルの分離にスピンIの回転系縦磁化緩和時間(T1ρ)を用いる場合。 スピンロックによりスピンIの回転系縦磁化緩和時間測定を行なう。いずれの測定法を用いても、緩和時間測定終了時におけるスピンIの磁化の大きさが、緩和時間計測パラメーターに応じて変化する。この測定法は、NMR測定において広く行なわれている測定法である。 〈スピンIの高分解能NMRスペクトル測定〉前述した同種核間相互作用を切断することにより、スピンIの高分解能NMRスペクトルを実現できる。同種核間相互作用の切断は、RF磁場の適切な照射、もしくは試料の高速回転、もしくはRF磁場と試料の高速回転を同時に適用することにより実現される。 〈逆ラプラス変換〉通常は、緩和時間の解析は、線形のフィッティングを用いて行なう。そのため、複数の成分が存在するときには、解析が困難なことがあった。拡散係数の解析に関しても状況は同様であり、解析はやや面倒であった。 しかしながら、拡散係数に関しては逆ラプラス変換を適用することにより、拡散係数の位置にピークをもつスペクトルとして変換できることがDOSY法により示された。逆ラプラス変換は、同様にして緩和時間解析にも適用することができ、緩和時間の位置にピークを示すスペクトルを得ることができる。 次に、スピンS(例としては、13C核、15N核、29Si核、31P核など、NMRで高分解能スペクトルを取得可能な、1H核以外のさまざまな核種が考えられる。ここでは13C核を取り上げる)の高分解能NMRスペクトルをスピンI(主に1H)の縦磁化緩和時間により分類する手法を説明する。 この分類を実行するために、図11のフローチャートに示すNMR測定を行なう。すなわち、スピンIの縦磁化緩和時間を測定しながら、スピンIの励起されたエネルギーをスピンIと結合したスピンSに移動させ(磁化移動)、スピンSの高分解能NMRスペクトルを通じて、スピンIの縦磁化緩和時間を測定する。 複数の成分から成る混合物のNMRスペクトルを測定すると、スピンSの高分解能NMRスペクトルは、各成分のNMRスペクトルの和となる。本測定で得られるスピンSのNMRスペクトルは、スピンIの縦磁化緩和時間により分類することができる。 すなわち、通常のNMR測定では、熱平衡の時に最も強いNMR信号を与えることが知られている。その理由は、2つの準位間において、ボルツマン分布の占拠数の差が熱平衡状態の時に最も大きくなるためである。 従って、縦磁化緩和時間の測定を行なうと、スピンIの縦磁化緩和時間が短いものほど熱平衡状態に戻る時間が短く、その結果、スピンIに結合しているスピンSのNMRスペクトル強度の回復は速い。逆にスピンIの縦磁化緩和時間が長いものほど熱平衡状態に戻る時間が長く、その結果、スピンIに結合しているスピンSのNMRスペクトル強度の回復は遅い。 従って、このスピンIに由来するスピンSのNMR信号強度の回復速度の違いに逆ラプラス変換を適用すれば、異なる縦磁化緩和時間ごとに分離したスピンSの高分解能NMRスペクトルを得ることができる。 混合物の各成分の中で、スピンIが均一な縦磁化緩和時間を持っているとき、縦磁化緩和時間による分離は、成分ごとによる分離と同じ意味を持つ。すなわち、スピンIの縦磁化緩和時間で分離することにより、スピンSのNMRスペクトルを成分ごとに分離することができる。 スピンIの具体的な例としては、有機物中の1H核や19F核が挙げられる。これらの核を含む化合物中では、同種核間相互作用により、1H核や19F核の縦磁化緩和時間は、化合物の中では均一になる。 観測は、1H核もしくは19F核の縦磁化緩和時間測定を行ないながら、磁化を13C核などのスピンSに移動させる。これにより、13C核などの高分解能NMRスペクトルを通じて、1H核もしくは19F核の縦磁化緩和時間を測定することができる。 この計測結果に逆ラプラス変換を適用することにより、1H核もしくは19F核の縦磁化緩和時間に基づいて、13C核などの高分解能NMRスペクトルを分離することができる。 以上のようにして、図12に示すように、複数の成分から成る混合物の13C核の高分解能NMRスペクトルは、各成分の13C核の高分解能NMRスペクトルとして分離して観測することができる。 図13は、本測定に用いられるパルスシーケンスのタイムチャートを模式的に示したものである。上段がスピンI(1H核)の縦磁化緩和時間の測定に反転回復法を用いた様子、下段がスピンIと結合しているスピンS(13C核)の高分解能NMRスペクトルを磁化移動法により測定した様子である。尚、図示しないが、スピンI(1H核)の縦磁化緩和時間の測定には、飽和回復法を用いても良い。 1H核用のチャンネルから反転パルスを混合物試料に印加した後、所定の待ち時間t(縦磁化緩和測定時間)を置いてスピンIの磁化をスピンSに移動させる。この磁化移動後のスピンSの高分解能NMRスペクトルを13C核用のチャンネルで観測する。観測時には1H核用のチャンネルから混合物試料にスピンIをデカップリングするための高周波を照射する。これにより、スピンIの結合に由来する信号の広幅化がなくなり、スピンSの高分解能NMRスペクトルを観測することができる。 実際の測定では、縦磁化緩和を起こさせるための待ち時間tを徐々に変えながら、スピンSの高分解能NMRスペクトルを繰り返し測定することで、スピンIの縦磁化緩和時間に依存してスピンSの高分解能NMRスペクトルの信号強度が回復していく様子を観測することができる。尚、測定法の詳細は次の通りである。 〈スピンIの縦磁化緩和時間測定〉スペクトルの分離にスピンIのスピン-格子緩和時間(T1)を用いる場合(単純に縦磁化緩和時間と言う場合には、こちらを指すことがほとんどである)。 反転回復法を用いてスピンIの縦磁化緩和時間測定を行なう。 飽和回復法を用いてスピンIの縦磁化緩和時間測定を行なう。スペクトルの分離にスピンIの回転系縦磁化緩和時間(T1ρ)を用いる場合。 スピンロックによりスピンIの回転系縦磁化緩和時間測定を行なう。いずれの測定法を用いても、緩和時間測定終了時におけるスピンIの磁化の大きさが、緩和時間計測パラメーターに応じて変化する。この測定はNMR測定において広く行われている測定法である。 〈スピンIからスピンSへの磁化移動〉スピンIの縦磁化緩和時間測定終了時に残っているスピンIの磁化をスピンSへと移す。この手法は異種核間磁化移動手法と呼ばれ、NMR測定において広く用いられている。この磁化移動により、緩和時間パラメーターにより変調を受けるスピンIの磁化の大きさは、スピンSの磁化の大きさとして観測されるようになる。 すなわちスピンSの磁化の大きさの変化を解析することにより、間接的にスピンIの緩和時間を解析する事ができる。 〈スピンSの高分解能NMRスペクトルの測定〉スピンIから磁化移動によりスピンSへと移された磁化の時間発展を、スピンSの高分解能NMRスペクトルとして観測する。 〈逆ラプラス変換〉通常は、緩和時間の解析は、線形のフィッティングを用いて行なう。そのため、複数の成分が存在するときには、解析が困難なことがあった。拡散係数の解析に関しても状況は同様であり、解析はやや面倒であった。 しかしながら、拡散係数に関しては逆ラプラス変換を適用することにより、拡散係数の位置にピークをもつスペクトルとして変換できることがDOSY法により示された。逆ラプラス変換は、同様にして緩和時間解析にも適用することができ、緩和時間の位置にピークを示すスペクトルを得ることができる。 本発明のポイントは、スピン拡散により各成分内では均一な縦磁化緩和時間を持っている状態でスピンIの縦磁化緩和時間測定を行ない、測定は高分解能NMRスペクトルとして測定することである。 実施例1〜2においては、スピンIが密に存在しておりスピン拡散により均一な縦磁化緩和時間が自動的に達成される状況での測定を示した。一方、スピンIが疎であってもスピン拡散を人工的に促進できることが報告されている(例:13C-13C間の距離相関が得られるDARR(Dipolar Assisted Rotational Resonance)法など)。 従って、スピンIの縦磁化緩和時間測定時にスピン拡散を人工的に促進させ、均一な縦磁化緩和時間を人工的に達成し、その後スピンIの高分解能NMRスペクトルを観測する実施方法が考えられる。 また、スピンIの縦磁化緩和時間測定時にスピン拡散を人工的に促進させ、均一な緩和時間を人工的に達成し、その後スピンIからスピンSへと磁化を移動させスピンSの高分解能NMRスペクトルを観測する実施方法も考えられる。 結局、本発明の効果は次の通りである。 (1)複数の成分からなる混合物のNMRスペクトルを成分ごとに分離して測定できるようになるために、混合物を精製する必要がなく、成分別に測定を行なえる。 (2)緩和時間解析に逆ラプラス変換を用いることにより、線形のフィッティングなどの複雑な操作が不要になり、複数の成分が重なり合っている場合にも容易に緩和時間解析が可能になる。 (3)混合物の精製が不要になるので、合成途中の反応物を副生成物や反応中間体が混ざったままで測定できる。反応の確認に有用に利用できる。 (4)同一分子であっても結晶系が異なる場合には異なる緩和時間を示す。そのため、製薬業界で注目されている複数の結晶からなる物質(結晶多系を示す物質)の解析に利用できる。 (5)結晶と非晶部分が混ざっている試料のそれぞれの成分のスペクトルを分離して観測することができる。[測定例] 実際にサントニンとコレステロールの混合物で測定した結果を示す。混合物の分離には1Hのスピン-格子緩和時間(縦磁化緩和時間)を用いた。通常の有機物と同様に、サントニンおよびコレステロールは、それぞれの分子内では均一の1Hの縦磁化緩和時間を示す。しかしながら、サントニンとコレステロールの1Hの縦磁化緩和時間は異なる。これを前提としてスペクトルの分離を行なった。 緩和時間の解析には逆ラプラス変換を用いた。高分解能NMRスペクトルの測定には13C-NMRを用いた。測定は1Hの縦磁化緩和時間測定に続いて1Hから13Cへの磁化移動を行ない、13Cの高分解能NMRスペクトルを測定することにより実行した。 通常の13C-NMRスペクトルは、図12の「混合物の13C-NMRスペクトル」に示すように、サントニンの13C-NMRスペクトルとコレステロールの13C-NMRスペクトルの重ね合わせとなる。 図14の下側に縦磁化緩和時間解析の結果を示す。逆ラプラス変換を用いることにより、縦磁化緩和時間の位置にピークを示すスペクトルとして現れる。縦軸が緩和時間を示すが、明瞭に二つの成分に分離していることがわかる。ひとつはサントニン(スペクトル下側)であり、ひとつはコレステロール(スペクトル上側)である。 それぞれの縦磁化緩和時間に対してとったスライスを、図15および図16に示す。図15の上側は、3.06秒の縦磁化緩和時間を示す部分を抜き出したスライスである。図15の下側に、純品のコレステロールのみを測定した13C-NMRスペクトルを示す。図15の上側は、混合物から得たスペクトルであるにもかかわらず、コレステロールの信号のみが観測されていることがわかる。 図16の上側は、2.2秒の縦磁化緩和時間を示す部分を抜き出したスライスである。図16の下側に、純品のサントニンのみを測定した13C-NMRスペクトルを示す。図16の上側は、混合物から得たスペクトルであるにもかかわらず、サントニンの信号のみが観測されていることがわかる。 以上のように、複数の成分からなる混合物であっても、精製することなく混合物のままで、本発明の手法を用いることにより、それぞれの成分ごとに分離してNMRスペクトルを観測できることが示された。 混合物のNMR測定に広く利用できる。混合物のNMRスペクトルを示す模式図である。混合物の縦磁化緩和時間測定を示す模式図である。逆ラプラス変換の概念を示す模式図である。逆ラプラス変換によりNMRスペクトルの分離を行なう模式図である。ポリエチレンの13C核の縦磁化緩和時間を測定した例である。横磁化緩和時間の計測時間を変えながら磁化移動を行なう測定の例である。縦磁化緩和時間測定後、磁化移動を行なう測定の例である。本発明にかかるNMR測定方法の一実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の一実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の一実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の別の実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の別の実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の別の実施例である。サントニンとコレステロールの混合物を本発明の方法で測定した例である。混合物から分離されたコレステロールの13C-NMRスペクトルである。混合物から分離されたサントニンの13C-NMRスペクトルである。複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核のスピン拡散を切断して高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類する第4の工程とを備えたことを特徴とするNMR測定方法。前記縦磁化緩和時間の測定は、反転回復法、飽和回復法、またはスピンロックによる回転系縦磁化緩和時間測定法であることを特徴とする請求項1記載のNMR測定方法。前記スピン拡散の切断は、同種核間相互作用を切断するためのRF照射、または試料の高速回転、またはその両方により行なうことを特徴とする請求項1記載のNMR測定方法。前記均一な縦磁化緩和時間を有している核は1H核、または19F核であることを特徴とする請求項1記載のNMR測定方法。複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している第1の核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記第1の核の励起エネルギーを高分解能でNMRスペクトルを測定可能な第2の核に磁化移動させて、第2の核の高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類する第4の工程とを備えたことを特徴とするNMR測定方法。前記縦磁化緩和時間の測定は、反転回復法、飽和回復法、またはスピンロックによる回転系縦磁化緩和時間測定法であることを特徴とする請求項5記載のNMR測定方法。前記第1の核は1H核、または19F核であることを特徴とする請求項5記載のNMR測定方法。前記第2の核は1H核以外の高分解能NMRスペクトルを取得可能な核であることを特徴とする請求項5記載のNMR測定方法。前記第2の核は13C核、15N核、29Si核、または31P核であることを特徴とする請求項8記載のNMR測定方法。 【課題】混合物の固体試料の測定に用いて好適なNMR測定方法を提供する。【解決手段】前記均一な縦磁化緩和時間を有している核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核のスピン拡散を切断して高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類する第4の工程とを備えた。【選択図】図14


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特許公報(B2)_NMR測定方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_NMR測定方法
出願番号:2008240398
年次:2013
IPC分類:G01R 33/32,G01N 24/08,G01R 33/30,G01N 24/12


特許情報キャッシュ

西山裕介 JP 5364954 特許公報(B2) 20130920 2008240398 20080919 NMR測定方法 株式会社 JEOL RESONANCE 511132029 西山裕介 20131211 G01R 33/32 20060101AFI20131121BHJP G01N 24/08 20060101ALI20131121BHJP G01R 33/30 20060101ALI20131121BHJP G01N 24/12 20060101ALI20131121BHJP JPG01N24/02 530JG01N24/08 510SG01N24/08 510LG01N24/02 510CG01N24/12 510L G01N 24/00−24/14 G01R 33/20−33/64 JSTPlus(JDreamIII) JMEDPlus(JDreamIII) 特開2007−132752(JP,A) 特公昭62−026706(JP,B2) 特表2009−524830(JP,A) Michal Leskes et al.,Supercycled homonuclear dipolar decoupling in solid-state NMR: Toward cleaner 1H spectrum and higher spinning rates,THE JOURNAL OF CHEMICAL PHYSICS,2008年 2月,Vol.128,pp.052309-1〜052309-11 9 2010071839 20100402 17 20110506 田中 洋介 本発明は、複数の成分がそれぞれ微結晶を成して混在している固体試料や、単一の分子であっても複数の結晶系が混在している固体試料や、結晶成分と非結晶成分が混在している固体試料など、複数のドメインを有する試料のNMRスペクトルをドメインごとに分離して測定する際に使用されるNMR測定方法に関する。 混合物を成分ごとに分離して観測するNMR測定手法、および逆ラプラス変換を解析に利用する手法の一例として、DOSY法を以下に説明する。DOSY法は、近年のNMR装置の精度向上および処理ソフトの改良により、広い分野で利用されるようになってきたNMR測定方法であり、もともとは、1965年、スタッカーとターナーによって提唱されたNMR測定方法の1つである(非特許文献1)。 DOSY法の実験においては、複数種類の分子の混合物である試料であっても、分子の拡散係数の違いを利用することによって、成分分子ごとに分離してNMRスペクトルを測定することができる。 混合物のNMRスペクトルは、通常、図1に示すように、各成分のスペクトルの和として観測される。一方、分子の拡散係数は、各分子種に固有の値を持っている。そのため、混合物のNMRスペクトルを分子の拡散係数により分類すると、結果としてNMRスペクトルを分子種ごとに分離して観測することができるのである。 拡散係数の測定は、拡散計測時間を変化させながらNMRスペクトルを複数回観測することにより行なわれる。通常のDOSY法では、図2に示すように、拡散計測時間が長くなるほど、また拡散速度が速くなるほど、NMRスペクトルの信号強度は大きく減衰するので、拡散速度の速いものほど信号強度の減衰が速く、拡散速度の遅いものほど信号強度の減衰が遅い。 この変化を解析することにより、拡散係数が求まる。拡散係数の違いによるNMRスペクトルの分離には、逆ラプラス変換が用いられる。逆ラプラス変換を用いることにより、拡散係数の値の位置に先鋭化したピークが現れ、スペクトルの解析が容易になる。図3は、1つのピーク強度に注目して逆ラプラス変換を行なった例である。 信号強度が拡散によって同じような減衰挙動を示すピークを逆ラプラス変換によってグループ分けすると、図4に示すように、拡散の遅い成分Aのスペクトルと、拡散の速い成分Bのスペクトルとの2つの群に分離することができる。 DOSY法においては、逆ラプラス変換を用いて拡散係数の違いによりスペクトルを分離することで、スペクトルを成分ごとに分離して観測することができる。これは、各分子が固有の拡散係数を持つことを利用した分離法である。 次に、DOSY法の他に、緩和時間の違いを利用して複数の成分を分離する測定法が知られているので、それを以下に3つほど紹介・列挙する。 (1)13C炭素核の縦磁化緩和時間の違いを利用して複数の成分を分離する測定法。 13C炭素核の縦磁化緩和時間の違いを指標にしてNMR信号を分離する方法である。緩和計測時間を変化させながら13C-NMRスペクトルを観測すると、信号強度の変化は緩和時間の違いを反映する。 図5にポリエチレンの実測データ(非特許文献2より引用)を示す。この測定では反転復活法を用いており、反転させた信号がどのぐらいの時間で復活するかを観測することにより13C炭素核の縦磁化緩和時間を測定している。 0.025sの緩和計測時間(τ)の時には35ppmの信号および31ppmの信号はともに反転されている。次に、緩和計測時間が10sになると、どちらの信号も正の強度になるが、その間の挙動は異なる。 31ppmの信号は、0.1sの緩和計測時間ですでに正の強度に復活しているにも関わらず、35ppmの信号は、1sの緩和計測時間まで待たないと正の強度に復活しない。この測定を通じて、31ppmの信号と35ppmの信号が異なる緩和時間を持つ信号として分類することができる。 13C炭素核の縦磁化緩和時間は、分子の局所的な運動モードにより強く影響を受ける。そのため、13C炭素核の縦磁化緩和時間による信号の分離は、分子の局所的な運動性の違いを反映した分離法ということになる。 (2)1H水素核の横磁化緩和時間の違い、および1H水素核から13C炭素核への磁化移動を利用して信号を分離する測定法。 この方法では、横磁化緩和時間の計測時間を変化させながらスペクトルを観測する。観測するときには1H水素核から13C炭素核への磁化移動を行ない、13C炭素核でスペクトルを観測する。1H-NMRスペクトルは線幅が広い信号が重なり合ってしまうため、分離がよくない。それに対して13C-NMRスペクトルは線幅が細く、さまざまな信号を分離して観測することができる。 したがって、信号分離という観点で、1H水素核から13C炭素核への磁化移動、および磁化移動に引き続く13C炭素核での信号観測は有用である。1H水素核の横磁化緩和時間の測定データはFourier変換を行ない、スペクトルとして観測する。 Fourier変換を行なうことにより、横磁化緩和の速い成分は線幅の広いピークとして現れ、遅い成分は線幅の狭いピークとして現れる。時間領域の信号をFourier変換してスペクトルとして表示するのはNMRの慣習に従った処理であり、この処理により信号の分離が良くなるといった効果はない。 図6に、この測定法(a)および実測データ(b)を示す(ともに非特許文献3より引用)。(a)に“CP”と記述がある部分が磁化移動である。(b)をみると、13C軸方向には3本のピークが分離して観測されていることがわかる。 この分離は、1H水素核から13C炭素核への磁化移動、および13C炭素核でのNMRスペクトルの観測により実現された。一方、PDMSとラベルされている信号の1H軸方向のスペクトルは非常に細いのに対して、PSとラベルされている信号のスペクトルは幅広いものとなっている。このように、1H軸側のスペクトルの線幅から信号を分類することができる。 1H水素核の横磁化緩和時間は、13C炭素核の縦磁化緩和時間と同様に分子の局所的な運動モードにより強く影響を受ける。そのため、1H水素核の横磁化緩和時間による信号の分離は、分子の局所的な運動性の違いを反映した分離法ということになる。 (3)1H水素核の縦磁化緩和時間を13C炭素核へと磁化移動することにより、13C炭素核のNMRスペクトルとして測定する手法。 この方法は、図7に示すように、1H水素核の縦磁化緩和時間の観測を行なった後、1H水素核から13C炭素核への磁化移動を行ない、13C炭素核のNMRスペクトルとして観測を行なう手法であり、1H水素核の縦磁化緩和時間測定の結果は、13C-NMRスペクトルの強度変化として現れる(非特許文献4)。 尚、1H水素核の縦磁化緩和時間は、1H水素核と1H水素核の間の同種核間スピン拡散により、分子内では均一になっている。このような事実、および上記(1)〜(3)の測定手法については、非特許文献5に詳しくまとめられている。E. O. Stejskal, J. E. Tanner, Journal of Chemical Physics, vol.42, No.1, p.288 (1965).W.L. Earl and D.L. VanderHart, Macromolecules, vol.12, pp.762-767 (1979).K. Schmidt-Rhor, J. Clauss, and H.W. Spiess, Macromolecules, vol.25, pp.3273-3227 (1992).M.J. Sullivan and G.E. Maciel, Anal. Chem., vol.54, pp.1615-1623 (1982).K. Schmidt-Rohr and H.W. Spiess in ”Multidimensional solid state NMR and polymers”, Academic press (1994). 混合物から成る溶液試料のNMRスペクトルを観測するにあたっては、前述のようにDOSY法が最も広く用いられている。DOSY法を用いることにより、成分ごとにNMRスペクトルを分離することができるからである。DOSY法は溶液中における分子の並進拡散係数の違いを利用してスペクトルの分離を実行する。しかしながら、固体試料においては並進拡散が存在しない。そのため、固体試料に対しては、DOSY法は適用できないという問題があった。 一方、上記(1)に示した手法を用いれば、13C炭素核の縦磁化緩和時間の違いを利用して、混合物の信号を分離することができる。ところが、13C炭素核の縦磁化緩和時間は、分子の局所的な運動性を反映しているので、この測定法による分離は、分子の局所的な運動性の違いによる分離となる。そのため、分子種による分類とは必ずしもならない。 具体的には、分子にメチル基が含まれているような場合、メチル基の運動性は非常に高いので、同じ分子からの他の信号とメチル基の信号は、別々に分離されて観測されてしまうという問題があった。 また、上記(2)に示した手法を用いれば、1H水素核の横磁化緩和時間の違いを利用して、混合物の信号を分離することができる。ところが、13C炭素核の縦磁化緩和時間による分離と同様に、この方法もまた分子の局所的な運動性の違いによる分離となる。そのため、分子種による分離とは必ずしもならない。 具体的には、分子にメチル基が含まれているような場合、メチル基の運動性は非常に高いので、同じ分子からの他の信号とメチル基の信号は、別々に分離されて観測されてしまうという問題があった。 また、上記(3)に示した手法を用いれば、1H水素核の縦磁化緩和測定、および1H水素核から13C炭素核への磁化移動の実験により、1H水素核の縦磁化緩和時間を、その1H水素核が所属している分子の13C-NMRの信号強度変化として取り出すことができる。通常、この測定法は、純品の試料に対してのみ適用されるが、もし混合物にこの測定法を適用することができれば、効果は大きい。 スピン拡散によりスピンI(通常は1H水素核)が分子内において均一な縦磁化緩和時間を持つとき、スピンIのスペクトルをスピンIの縦磁化緩和時間で分類することができれば、スピンIのスペクトルは分子種ごとに分離することができる。 しかしながら、スピンIのスペクトルは、スピン拡散のために幅の広い特徴のないスペクトルとなる。そのため、スピンIの縦磁化緩和時間でスピンIのスペクトルを分離することは困難である。 また、仮に分離が可能であっても、得られるスペクトルは幅の広い特徴のないスピンIのスペクトルであり、情報量が少ないスペクトルである。情報量の多いスペクトルを得るためには高分解能スペクトルの観測が必須である。 本発明の目的は、上述した点に鑑み、スピンI(通常は1H水素核)の縦緩和時間の違いに基づき、スピンIに由来するNMRスペクトル、またはスピンIと結合したスピンS(通常は13C炭素核)に由来するNMRスペクトルを、比較的簡単な方法で分子種ごとに分離して観測することのできる、混合物の固体試料に用いて好適なNMR測定方法を提供することにある。 この目的を達成するため、本発明にかかるNMR測定方法は、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核のスピン拡散を切断して高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類することにより、スペクトルの展開軸を横軸とし縦磁化緩和時間を縦軸とする2次元に展開されたNMRスペクトルを得て、この2次元に展開されたNMRスペクトルの特定の縦磁化緩和時間を示す部分のスライスを求めることにより、前記複数成分のうちの特定の成分のNMRスペクトルを分離して取得する第4の工程とを備えたことを特徴としている。 本発明の別のNMR測定方法は、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している第1の核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記第1の核の励起エネルギーを高分解能でNMRスペクトルを測定可能な第2の核に磁化移動させて、第2の核の高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類することにより、スペクトルの展開軸を横軸とし縦磁化緩和時間を縦軸とする第2の核の2次元に展開されたNMRスペクトルを得て、この2次元に展開されたNMRスペクトルの特定の縦磁化緩和時間を示す部分のスライスを求めることにより、前記複数成分のうちの特定の成分のNMRスペクトルを分離して取得する第4の工程とを備えたことを特徴としている。 本発明のNMR測定方法によれば、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核のスピン拡散を切断して高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類することにより、スペクトルの展開軸を横軸とし縦磁化緩和時間を縦軸とする2次元に展開されたNMRスペクトルを得て、この2次元に展開されたNMRスペクトルの特定の縦磁化緩和時間を示す部分のスライスを求めることにより、前記複数成分のうちの特定の成分のNMRスペクトルを分離して取得する第4の工程とを備えたので、スピンI(通常は1H水素核)の縦緩和時間の違いに基づき、スピンIに由来するNMRスペクトルを、比較的簡単な方法で分子種ごとに分離して観測することのできる固体試料に用いて好適なNMR測定方法を提供することが可能になった。 また、第2の本発明のNMR測定方法によれば、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有しているときに、各成分のNMRスペクトルを分離して測定するNMR測定方法であって、前記均一な縦磁化緩和時間を有している第1の核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記第1の核の励起エネルギーを高分解能でNMRスペクトルを測定可能な第2の核に磁化移動させて、第2の核の高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類することにより、スペクトルの展開軸を横軸とし縦磁化緩和時間を縦軸とする第2の核の2次元に展開されたNMRスペクトルを得て、この2次元に展開されたNMRスペクトルの特定の縦磁化緩和時間を示す部分のスライスを求めることにより、前記複数成分のうちの特定の成分のNMRスペクトルを分離して取得する第4の工程とを備えたので、スピンI(通常は1H水素核)の縦緩和時間の違いに基づき、スピンIと結合したスピンS(通常は13C炭素核)に由来するNMRスペクトルを、比較的簡単な方法で分子種ごとに分離して観測することのできる固体試料に用いて好適なNMR測定方法を提供することが可能になった。 以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。本発明においては、スピンI(通常は1H水素核)の縦磁化緩和時間に基づいて、高分解能NMRスペクトルを分類する。スピンIの縦磁化緩和時間は、多成分の混合物系においても、同一成分で構成された各微粒子内では、均一な緩和時間を持っているものと仮定する。 すなわち、同一成分で構成された粒子内では、スピン拡散により1H水素核は均一な縦磁化緩和時間T1を持つが、異なる成分で構成された粒子間ではスピン拡散が起きないので、1H水素核は成分ごと(粒子ごと)にそれぞれ異なる縦磁化緩和時間T1を持つという性質があるためである。 このような均一な縦磁化緩和時間の粒子(ドメイン)を持つ系は、核スピンを有する同種核原子が密に存在しているときに、同種核間のスピン拡散によって実現される。このときのNMRスペクトルは、スピン拡散により幅の広い特徴のないスペクトルとなる。 本発明においては、スピン拡散により各成分が成分ごとに均一な縦磁化緩和時間を持った状態で緩和時間測定を行なうことにより、縦磁化緩和時間を指標として複数の成分から成る混合物を成分ごとに分類する。縦磁化緩和時間による分類は、逆ラプラス変換を用いて、先鋭化したピークとして得るものとする。 本発明においては、(1)核スピンのスピン拡散を抑制することにより高分解能NMRスペクトルを実現する、または、(2)高分解能NMRスペクトルが観測できる核へと磁化を移動することにより高分解能NMRスペクトルを実現する、という手法を取ることにより、前記目標を達成する。 最初に、スピンIの縦磁化緩和時間によりスピンIの高分解能NMRスペクトルを分離する手法を説明する。この分離を実行するために、図8のフローチャートに示すNMR測定を行なう。このNMR測定により、スピンIの縦磁化緩和時間の測定結果を、スピンIのスペクトルを通じて測定することができる。 複数の成分から成る混合物のNMRスペクトルを測定すると、スピンIの高分解能NMRスペクトルは、各成分のNMRスペクトルの和となる。本測定で得られるスピンIの高分解能NMRスペクトルは、スピンIの縦磁化緩和時間により分類することができる。 すなわち、通常のNMR測定では、熱平衡の時に最も強いNMR信号を与えることが知られている。その理由は、2つの準位間において、ボルツマン分布の占拠数の差が熱平衡状態の時に最も大きくなるためである。 従って、縦磁化緩和時間の測定を行なうと、スピンIの縦磁化緩和時間が短いものほど熱平衡状態に戻る時間が短く、その結果、スピンIのNMRスペクトル強度の回復が速い。逆に、スピンIの縦磁化緩和時間が長いものほど熱平衡状態に戻る時間が長く、その結果、スピンIのNMRスペクトル強度の回復が遅い。 従って、スピンIの高分解能NMRスペクトルを測定するのと並行させて、スピンIの縦磁化緩和時間測定を実行し、このスピンIの縦磁化緩和時間の違いに由来するNMR信号強度の回復速度の違いに逆ラプラス変換を適用すれば、異なる縦磁化緩和時間ごとに分離したスピンIのNMRスペクトルを得ることができる。 混合物の各成分の中で、スピンIが均一な縦磁化緩和時間を持っているとき、縦磁化緩和時間による分離は、成分ごとによる分離と同じ意味を持つ。すなわち、縦磁化緩和時間で分離することにより、高分解能NMRスペクトルを成分ごとに分離することができる。 スピンIの具体的な例としては、有機物中の1H核や19F核が挙げられる。これらの核を含む化合物中では、同種核間相互作用により、1H核や19F核の縦磁化緩和時間は、化合物の中では均一になる。観測は、この同種核間相互作用を切断することにより行なわれる。これにより、高分解能NMRスペクトルの観測が可能となる。 図9に示すように、複数の成分から成る混合物の1H核もしくは19F核の高分解能NMRスペクトルは、各成分の1H核もしくは19F核の高分解能NMRスペクトルとして観測することができる。 図10は、本測定に用いられるパルスシーケンスのタイムチャートを模式的に示したものである。上段がスピンIの縦磁化緩和時間の測定に反転回復法を用いた例、下段がスピンIの縦磁化緩和時間の測定に飽和回復法を用いた例である。 反転パルスまたは飽和パルスを混合物試料に印加した後、所定の待ち時間t(縦磁化緩和測定時間)を置いてスピンIの高分解能NMRスペクトルを測定する。この待ち時間tを徐々に変えながら、スピンIの高分解能NMRスペクトルを繰り返し測定することで、スピンIの縦磁化緩和時間に依存してスピンIの高分解能NMRスペクトルの信号強度が回復していく様子を観測することができる。尚、測定法の詳細は次の通りである。 〈スピンIの縦磁化緩和時間測定〉スペクトルの分離にスピンIのスピン-格子緩和時間(T1)を用いる場合(単純に縦磁化緩和時間と言う場合には、こちらを指すことがほとんどである)。 反転回復法を用いてスピンIの縦磁化緩和時間測定を行なう。 飽和回復法を用いてスピンIの縦磁化緩和時間測定を行なう。スペクトルの分離にスピンIの回転系縦磁化緩和時間(T1ρ)を用いる場合。 スピンロックによりスピンIの回転系縦磁化緩和時間測定を行なう。いずれの測定法を用いても、緩和時間測定終了時におけるスピンIの磁化の大きさが、緩和時間計測パラメーターに応じて変化する。この測定法は、NMR測定において広く行なわれている測定法である。 〈スピンIの高分解能NMRスペクトル測定〉前述した同種核間相互作用を切断することにより、スピンIの高分解能NMRスペクトルを実現できる。同種核間相互作用の切断は、RF磁場の適切な照射、もしくは試料の高速回転、もしくはRF磁場と試料の高速回転を同時に適用することにより実現される。 〈逆ラプラス変換〉通常は、緩和時間の解析は、線形のフィッティングを用いて行なう。そのため、複数の成分が存在するときには、解析が困難なことがあった。拡散係数の解析に関しても状況は同様であり、解析はやや面倒であった。 しかしながら、拡散係数に関しては逆ラプラス変換を適用することにより、拡散係数の位置にピークをもつスペクトルとして変換できることがDOSY法により示された。逆ラプラス変換は、同様にして緩和時間解析にも適用することができ、緩和時間の位置にピークを示すスペクトルを得ることができる。 次に、スピンS(例としては、13C核、15N核、29Si核、31P核など、NMRで高分解能スペクトルを取得可能な、1H核以外のさまざまな核種が考えられる。ここでは13C核を取り上げる)の高分解能NMRスペクトルをスピンI(主に1H)の縦磁化緩和時間により分類する手法を説明する。 この分類を実行するために、図11のフローチャートに示すNMR測定を行なう。すなわち、スピンIの縦磁化緩和時間を測定しながら、スピンIの励起されたエネルギーをスピンIと結合したスピンSに移動させ(磁化移動)、スピンSの高分解能NMRスペクトルを通じて、スピンIの縦磁化緩和時間を測定する。 複数の成分から成る混合物のNMRスペクトルを測定すると、スピンSの高分解能NMRスペクトルは、各成分のNMRスペクトルの和となる。本測定で得られるスピンSのNMRスペクトルは、スピンIの縦磁化緩和時間により分類することができる。 すなわち、通常のNMR測定では、熱平衡の時に最も強いNMR信号を与えることが知られている。その理由は、2つの準位間において、ボルツマン分布の占拠数の差が熱平衡状態の時に最も大きくなるためである。 従って、縦磁化緩和時間の測定を行なうと、スピンIの縦磁化緩和時間が短いものほど熱平衡状態に戻る時間が短く、その結果、スピンIに結合しているスピンSのNMRスペクトル強度の回復は速い。逆にスピンIの縦磁化緩和時間が長いものほど熱平衡状態に戻る時間が長く、その結果、スピンIに結合しているスピンSのNMRスペクトル強度の回復は遅い。 従って、このスピンIに由来するスピンSのNMR信号強度の回復速度の違いに逆ラプラス変換を適用すれば、異なる縦磁化緩和時間ごとに分離したスピンSの高分解能NMRスペクトルを得ることができる。 混合物の各成分の中で、スピンIが均一な縦磁化緩和時間を持っているとき、縦磁化緩和時間による分離は、成分ごとによる分離と同じ意味を持つ。すなわち、スピンIの縦磁化緩和時間で分離することにより、スピンSのNMRスペクトルを成分ごとに分離することができる。 スピンIの具体的な例としては、有機物中の1H核や19F核が挙げられる。これらの核を含む化合物中では、同種核間相互作用により、1H核や19F核の縦磁化緩和時間は、化合物の中では均一になる。 観測は、1H核もしくは19F核の縦磁化緩和時間測定を行ないながら、磁化を13C核などのスピンSに移動させる。これにより、13C核などの高分解能NMRスペクトルを通じて、1H核もしくは19F核の縦磁化緩和時間を測定することができる。 この計測結果に逆ラプラス変換を適用することにより、1H核もしくは19F核の縦磁化緩和時間に基づいて、13C核などの高分解能NMRスペクトルを分離することができる。 以上のようにして、図12に示すように、複数の成分から成る混合物の13C核の高分解能NMRスペクトルは、各成分の13C核の高分解能NMRスペクトルとして分離して観測することができる。 図13は、本測定に用いられるパルスシーケンスのタイムチャートを模式的に示したものである。上段がスピンI(1H核)の縦磁化緩和時間の測定に反転回復法を用いた様子、下段がスピンIと結合しているスピンS(13C核)の高分解能NMRスペクトルを磁化移動法により測定した様子である。尚、図示しないが、スピンI(1H核)の縦磁化緩和時間の測定には、飽和回復法を用いても良い。 1H核用のチャンネルから反転パルスを混合物試料に印加した後、所定の待ち時間t(縦磁化緩和測定時間)を置いてスピンIの磁化をスピンSに移動させる。この磁化移動後のスピンSの高分解能NMRスペクトルを13C核用のチャンネルで観測する。観測時には1H核用のチャンネルから混合物試料にスピンIをデカップリングするための高周波を照射する。これにより、スピンIの結合に由来する信号の広幅化がなくなり、スピンSの高分解能NMRスペクトルを観測することができる。 実際の測定では、縦磁化緩和を起こさせるための待ち時間tを徐々に変えながら、スピンSの高分解能NMRスペクトルを繰り返し測定することで、スピンIの縦磁化緩和時間に依存してスピンSの高分解能NMRスペクトルの信号強度が回復していく様子を観測することができる。尚、測定法の詳細は次の通りである。 〈スピンIの縦磁化緩和時間測定〉スペクトルの分離にスピンIのスピン-格子緩和時間(T1)を用いる場合(単純に縦磁化緩和時間と言う場合には、こちらを指すことがほとんどである)。 反転回復法を用いてスピンIの縦磁化緩和時間測定を行なう。 飽和回復法を用いてスピンIの縦磁化緩和時間測定を行なう。スペクトルの分離にスピンIの回転系縦磁化緩和時間(T1ρ)を用いる場合。 スピンロックによりスピンIの回転系縦磁化緩和時間測定を行なう。いずれの測定法を用いても、緩和時間測定終了時におけるスピンIの磁化の大きさが、緩和時間計測パラメーターに応じて変化する。この測定はNMR測定において広く行われている測定法である。 〈スピンIからスピンSへの磁化移動〉スピンIの縦磁化緩和時間測定終了時に残っているスピンIの磁化をスピンSへと移す。この手法は異種核間磁化移動手法と呼ばれ、NMR測定において広く用いられている。この磁化移動により、緩和時間パラメーターにより変調を受けるスピンIの磁化の大きさは、スピンSの磁化の大きさとして観測されるようになる。 すなわちスピンSの磁化の大きさの変化を解析することにより、間接的にスピンIの緩和時間を解析する事ができる。 〈スピンSの高分解能NMRスペクトルの測定〉スピンIから磁化移動によりスピンSへと移された磁化の時間発展を、スピンSの高分解能NMRスペクトルとして観測する。 〈逆ラプラス変換〉通常は、緩和時間の解析は、線形のフィッティングを用いて行なう。そのため、複数の成分が存在するときには、解析が困難なことがあった。拡散係数の解析に関しても状況は同様であり、解析はやや面倒であった。 しかしながら、拡散係数に関しては逆ラプラス変換を適用することにより、拡散係数の位置にピークをもつスペクトルとして変換できることがDOSY法により示された。逆ラプラス変換は、同様にして緩和時間解析にも適用することができ、緩和時間の位置にピークを示すスペクトルを得ることができる。 本発明のポイントは、スピン拡散により各成分内では均一な縦磁化緩和時間を持っている状態でスピンIの縦磁化緩和時間測定を行ない、測定は高分解能NMRスペクトルとして測定することである。 実施例1〜2においては、スピンIが密に存在しておりスピン拡散により均一な縦磁化緩和時間が自動的に達成される状況での測定を示した。一方、スピンIが疎であってもスピン拡散を人工的に促進できることが報告されている(例:13C-13C間の距離相関が得られるDARR(Dipolar Assisted Rotational Resonance)法など)。 従って、スピンIの縦磁化緩和時間測定時にスピン拡散を人工的に促進させ、均一な縦磁化緩和時間を人工的に達成し、その後スピンIの高分解能NMRスペクトルを観測する実施方法が考えられる。 また、スピンIの縦磁化緩和時間測定時にスピン拡散を人工的に促進させ、均一な緩和時間を人工的に達成し、その後スピンIからスピンSへと磁化を移動させスピンSの高分解能NMRスペクトルを観測する実施方法も考えられる。 結局、本発明の効果は次の通りである。 (1)複数の成分からなる混合物のNMRスペクトルを成分ごとに分離して測定できるようになるために、混合物を精製する必要がなく、成分別に測定を行なえる。 (2)緩和時間解析に逆ラプラス変換を用いることにより、線形のフィッティングなどの複雑な操作が不要になり、複数の成分が重なり合っている場合にも容易に緩和時間解析が可能になる。 (3)混合物の精製が不要になるので、合成途中の反応物を副生成物や反応中間体が混ざったままで測定できる。反応の確認に有用に利用できる。 (4)同一分子であっても結晶系が異なる場合には異なる緩和時間を示す。そのため、製薬業界で注目されている複数の結晶からなる物質(結晶多系を示す物質)の解析に利用できる。 (5)結晶と非晶部分が混ざっている試料のそれぞれの成分のスペクトルを分離して観測することができる。[測定例] 実際にサントニンとコレステロールの混合物で測定した結果を示す。混合物の分離には1Hのスピン-格子緩和時間(縦磁化緩和時間)を用いた。通常の有機物と同様に、サントニンおよびコレステロールは、それぞれの分子内では均一の1Hの縦磁化緩和時間を示す。しかしながら、サントニンとコレステロールの1Hの縦磁化緩和時間は異なる。これを前提としてスペクトルの分離を行なった。 緩和時間の解析には逆ラプラス変換を用いた。高分解能NMRスペクトルの測定には13C-NMRを用いた。測定は1Hの縦磁化緩和時間測定に続いて1Hから13Cへの磁化移動を行ない、13Cの高分解能NMRスペクトルを測定することにより実行した。 通常の13C-NMRスペクトルは、図12の「混合物の13C-NMRスペクトル」に示すように、サントニンの13C-NMRスペクトルとコレステロールの13C-NMRスペクトルの重ね合わせとなる。 図14の下側に縦磁化緩和時間解析の結果を示す。逆ラプラス変換を用いることにより、縦磁化緩和時間の位置にピークを示すスペクトルとして現れる。縦軸が緩和時間を示すが、明瞭に二つの成分に分離していることがわかる。ひとつはサントニン(スペクトル下側)であり、ひとつはコレステロール(スペクトル上側)である。 それぞれの縦磁化緩和時間に対してとったスライスを、図15および図16に示す。図15の上側は、3.06秒の縦磁化緩和時間を示す部分を抜き出したスライスである。図15の下側に、純品のコレステロールのみを測定した13C-NMRスペクトルを示す。図15の上側は、混合物から得たスペクトルであるにもかかわらず、コレステロールの信号のみが観測されていることがわかる。 図16の上側は、2.2秒の縦磁化緩和時間を示す部分を抜き出したスライスである。図16の下側に、純品のサントニンのみを測定した13C-NMRスペクトルを示す。図16の上側は、混合物から得たスペクトルであるにもかかわらず、サントニンの信号のみが観測されていることがわかる。 以上のように、複数の成分からなる混合物であっても、精製することなく混合物のままで、本発明の手法を用いることにより、それぞれの成分ごとに分離してNMRスペクトルを観測できることが示された。 混合物のNMR測定に広く利用できる。混合物のNMRスペクトルを示す模式図である。混合物の縦磁化緩和時間測定を示す模式図である。逆ラプラス変換の概念を示す模式図である。逆ラプラス変換によりNMRスペクトルの分離を行なう模式図である。ポリエチレンの13C核の縦磁化緩和時間を測定した例である。横磁化緩和時間の計測時間を変えながら磁化移動を行なう測定の例である。縦磁化緩和時間測定後、磁化移動を行なう測定の例である。本発明にかかるNMR測定方法の一実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の一実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の一実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の別の実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の別の実施例である。本発明にかかるNMR測定方法の別の実施例である。サントニンとコレステロールの混合物を本発明の方法で測定した例である。混合物から分離されたコレステロールの13C-NMRスペクトルである。混合物から分離されたサントニンの13C-NMRスペクトルである。複数のドメインを有する固体試料であって、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有している試料を測定対象とし、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記均一な縦磁化緩和時間を有している核のスピン拡散を切断して高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類することにより、スペクトルの展開軸を横軸とし縦磁化緩和時間を縦軸とする2次元に展開されたNMRスペクトルを得て、この2次元に展開されたNMRスペクトルの特定の縦磁化緩和時間を示す部分のスライスを求めることにより、前記複数成分のうちの特定の成分のNMRスペクトルを分離して取得する第4の工程とを備えたことを特徴とするNMR測定方法。前記第1及び第2の工程における測定は、反転回復法、飽和回復法、またはスピンロックによる回転系縦磁化緩和時間測定法を行うパルスシーケンスを用いて行われることを特徴とする請求項1記載のNMR測定方法。前記スピン拡散の切断は、同種核間相互作用を切断するためのRF照射、または試料の高速回転、またはその両方により行なうことを特徴とする請求項1記載のNMR測定方法。前記均一な縦磁化緩和時間を有している核は1H核、または19F核であることを特徴とする請求項1記載のNMR測定方法。複数のドメインを有する固体試料であって、複数の成分がそれぞれのドメイン内でスピン拡散によりそれぞれ均一な縦磁化緩和時間を有している試料を測定対象とし、前記均一な縦磁化緩和時間を有している第1の核に縦磁化緩和を起こさせるパルスを照射する第1の工程と、所定時間tを置いて、前記第1の核の励起エネルギーを高分解能でNMRスペクトルを測定可能な第2の核に磁化移動させて、第2の核の高分解能NMRスペクトルを測定する第2の工程と、tを変えて第1の工程と第2の工程を繰り返して、複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを取得する第3の工程と、第3の工程により得られた複数の第2の核の高分解能NMRスペクトルを、縦磁化緩和時間に依存して回復するNMR信号強度の回復速度の違いに基づいて、逆ラプラス変換法により縦磁化緩和時間の値ごとに分類することにより、スペクトルの展開軸を横軸とし縦磁化緩和時間を縦軸とする第2の核の2次元に展開されたNMRスペクトルを得て、この2次元に展開されたNMRスペクトルの特定の縦磁化緩和時間を示す部分のスライスを求めることにより、前記複数成分のうちの特定の成分のNMRスペクトルを分離して取得する第4の工程とを備えたことを特徴とするNMR測定方法。前記第1及び第2の工程における測定は、反転回復法、飽和回復法、またはスピンロックによる回転系縦磁化緩和時間測定法を行うパルスシーケンスを用いて行われることを特徴とする請求項5記載のNMR測定方法。前記第1の核は1H核、または19F核であることを特徴とする請求項5記載のNMR測定方法。前記第2の核は1H核以外の高分解能NMRスペクトルを取得可能な核であることを特徴とする請求項5記載のNMR測定方法。前記第2の核は13C核、15N核、29Si核、または31P核であることを特徴とする請求項8記載のNMR測定方法。


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