| タイトル: | 公開特許公報(A)_連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価装置及び評価方法 |
| 出願番号: | 2008238764 |
| 年次: | 2010 |
| IPC分類: | B22D 11/124,B22D 11/16,G01N 25/18 |
伊藤 陽一 久保田 淳 鍋島 誠司 JP 2010069500 公開特許公報(A) 20100402 2008238764 20080918 連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価装置及び評価方法 JFEスチール株式会社 000001258 落合 憲一郎 100105968 森 和弘 100130834 伊藤 陽一 久保田 淳 鍋島 誠司 B22D 11/124 20060101AFI20100305BHJP B22D 11/16 20060101ALI20100305BHJP G01N 25/18 20060101ALI20100305BHJP JPB22D11/124 GB22D11/124 RB22D11/16 104PG01N25/18 D 6 1 OL 10 2G040 4E004 2G040AB09 2G040BA08 2G040BA25 2G040CA02 2G040CA13 2G040CA22 2G040CB12 2G040DA02 2G040DA12 2G040EA02 4E004KA07 4E004KA17 本発明は、鋳造中の鋳片を冷却するために、連続鋳造機の二次冷却帯に設置されるスプレーノズルの冷却能評価装置及び評価方法に関するものである。 連続鋳造機には、鋳造される鋳片の外殻を形成するための鋳型の直下に複数対の鋳片支持ロールが配置され、そして、鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロールの間隙には多数のスプレーノズルが配置されており、鋳型によって冷却されてその外殻が形成された鋳片は、鋳型から引き抜かれた後、鋳片支持ロールで支持されながら引き抜かれ、その間、スプレーノズルから噴霧される冷却水によって冷却され、やがて鋳片中心部までの凝固を完了する。この連続鋳造機において、鋳片を冷却するためのスプレーノズルの配置された領域は二次冷却帯と呼ばれており、スプレーノズルとしては、一般的に、冷却水のみを噴霧する水スプレーノズルまたは冷却水と空気との混合体を噴霧するエアーミストスプレーノズルが使用されている。本発明においては、水スプレーノズル及びエアーミストスプレーノズルをまとめてスプレーノズルと称する。 近年、生産性向上の観点から、鋳片の引き抜き速度が増速される傾向であり、それに伴ってスプレーノズルの冷却能を高くすることが必要となっている。一方、連続鋳造機で鋳造する鋼種が多岐にわたり、高合金鋼や亜包晶鋼などは冷却強度が高すぎると、熱応力による表面割れを起したり、冷却し過ぎて曲げ及び矯正時の応力によって表面割れを起したりすることから、均一で且つ緩冷却が可能であることも要求されている。 従来、スプレーノズルの冷却能を測定する方法は、予め所定の位置に熱電対を埋め込んだ鋼片(20〜100kg程度)を加熱炉中で加熱し、炉内で所定の温度(1000℃程度)まで昇温した後、加熱炉から鋼片を取り出し、スプレーノズルで鋼片表面を冷却し、前記熱電対のそのときの温度変化から熱伝達率を算出する方法が一般的であった(例えば、非特許文献1〜3を参照)。 図7は、従来のスプレーノズルの冷却能を測定する方法を示す斜視図であり、加熱した鋼片14の上方所定位置にスプレーノズル1を配置し、スプレーノズル1からスプレー水或いはエアーミスト(水と空気との混合体)を鋼片14の表面に噴霧し、鋼片14の噴霧面3とは反対側の熱電対埋め込み位置15に設置した熱電対(図示せず)によって鋼片14の温度変化を測定し、この温度変化測定値からスプレーノズルで冷却したときの熱伝達率を算出するという方法である。 しかしながら、このような方法を用いる場合には、以下のようなデメリットがあることも知られている。 即ち、(1):鋼片のスプレーノズルによる冷却以外の温度低下を避ける必要があることから、鋼片が大きくなり、それに伴って装置が大掛かりになるために、電動式或いは機械式の鋼片搬送装置が必要になること、(2):幅方向や鋳造方向の温度分布を詳細に測定するためには、多数の熱電対を鋼片の所定の深さ位置に制度良く設置する手間が必要であること、(3):強冷却の条件や冷却ムラが生じるような条件では鋼片に反りや変形が発生し、連続した使用が困難になること、(4):スケールの生成が顕著な鋼種を加熱用鋼片とした場合には、加熱中に生成したスケールの剥離の有無によって温度測定値にばらつきが発生すること、(5):実際の連続鋳造時には鋳片内部に未凝固部分が存在するので、常に内部からの熱供給が伴う状態での冷却であるのに対し、冷却される鋼片は加熱されただけであって発熱源はなく、ただ冷却されるだけの非定常状態の冷却現象であること、などである。 このようなことから、現状では、スプレーノズルの冷却能を測定によって求めることは一般的ではなく、スプレーノズルのメーカーがオフラインで測定した水量密度や衝突水圧のデータに則って、連続鋳造機での実際の設置条件(ノズル高さ、水量密度、空気量、背圧など)から経験的な冷却条件推算式を求め、求めた冷却条件推算式を凝固伝熱計算に採用して凝固厚みを算出し、この計算結果からスプレーノズルの冷却能を求めることが行われている。 尚、伝熱計算に採用する熱伝達率の推算式として、前記非特許文献3は下記の(1)式を提案している。h=a1×P0.2673×W0.3738×10-0.0016To…(1) 但し、(1)式において、hは熱伝達率(kcal/m2・hr・℃)、a1は定数、Pは衝突圧(kg/m2)、Wは水量密度(m3/m2・秒)、Toは鋳片表面温度(℃:適用温度範囲500〜800℃)である。 前述したように、連続鋳造におけるスプレーノズルに要求される特性は多様化しているが、スプレーノズルの冷却能を実験により求めることは手間隙を費やし、コスト上昇となることから十分な対応はできず、特に、新しい型式のスプレーノズルを開発するとき以外には、スプレーノズルのメーカーがオフラインで測定した水量密度や衝突水圧のデータを、ユーザーとの間で取り決めた仕様と照らし合わせ、仕様を満足していることで連続鋳造機に設置されるのが一般的であった。佐々木等、鉄と鋼、vol.65(1979)No.1,p.90三塚、鉄と鋼、vol.54(1968)No.14,p.1457手嶋等、鉄と鋼、vol.74(1988)No.7,p.1282 本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、加熱炉で加熱された鋼片を使用することなく、連続鋳造機の二次冷却帯に設置されるスプレーノズルの冷却能を実測するための評価装置及び評価方法を提供することである。 上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価装置は、スプレー水またはエアーミストを噴霧するスプレーノズルと、該スプレーノズルから所定距離隔てた位置に配置され、前記スプレーノズルからのスプレー水またはエアーミストが噴霧される発熱抵抗体と、該発熱抵抗体に電力を供給する電源と、前記発熱抵抗体の両端部間での電圧及び前記発熱抵抗体に流れる電流を測定する測定手段と、該測定手段によって測定される電圧及び電流に基づいて前記スプレーノズルの熱伝達率を算出する演算手段と、を具備することを特徴とするものである。 第2の発明に係る連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価装置は、第1の発明において、更に、前記スプレーノズルからの噴霧面と同等以上の面積の平坦部を有し、該平坦部の表面に前記発熱抵抗体を組み込んだ支持部材を、具備することを特徴とするものである。 第3の発明に係る連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価装置は、第1または第2の発明において、前記発熱抵抗体は、白金または白金系合金であることを特徴とするものである。 第4の発明に係る連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価方法は、連続鋳造二次冷却用のスプレーノズルからスプレー水またはエアーミストを、通電により加熱された発熱抵抗体に噴霧し、そのときの前記発熱抵抗体の両端部間での電圧及び前記発熱抵抗体に流れる電流を測定し、測定した電圧及び電流に基づいて前記スプレーノズルの熱伝達率を求めることを特徴とするものである。 第5の発明に係る連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価方法は、第4の発明において、前記発熱抵抗体は、一定電圧または一定電流のうちの何れか一方の条件で加熱されていることを特徴とするものである。 第6の発明に係る連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価方法は、第4または第5の発明において、前記発熱抵抗体は、前記スプレーノズルからの噴霧面と同等以上の面積を有する平坦な支持部材の表面に組み込まれていることを特徴とするものである。 本発明によれば、加熱した発熱抵抗体をスプレーノズルからの冷却水によって冷却し、そのときの発熱抵抗体の温度による電気抵抗値の変化に起因して生じる、発熱抵抗体の両端部間での電圧及び発熱抵抗体に流れる電流を測定し、測定した電圧及び電流に基づいてスプレーノズルの熱伝達率を求めるので、従来の鋼片を加熱する方法に比較して極めて簡便にスプレーノズルの冷却能を評価することができ、これにより、実際の鋳造時での冷却強度を精度良く予測することが可能となり、表面割れを発生させることなく、鋳造速度の高速化が達成されるなど、工業上有益な効果がもたらされる。 以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明に係るスプレーノズルの冷却能評価装置の構成を示す概略図である。 図1において、スプレーノズル1が支持台9で保持されて所定の位置に配置されており、このスプレーノズル1の先端から所定の距離Zだけ離れた位置に、発熱抵抗体4が設置されている。距離Zは、スプレーノズル1を連続鋳造機に設置したときの鋳片表面とスプレーノズル1の先端との距離に一致させる。つまり、スプレーノズル1を連続鋳造機に設置し、このスプレーノズル1から鋳片表面に向けてスプレー水またはエアーミスト(水と空気との混合体)を噴霧したときに鋳片表面に形成される噴霧面3に相当する位置に、発熱抵抗体4を設置する。スプレーノズル1に供給される冷却水は、その温度(Tw)が例えば供給管(図示せず)に配置した測温素子などよって測定されている。 尚、図1では、スプレーノズル1が1個だけ設置されているが、連続鋳造機に配置される場合と同様に複数のスプレーノズル1を所定の間隔で設置することも可能である。また、スプレーノズル1が水スプレーノズルの場合には、スプレー水が噴霧され、スプレーノズル1がエアーミストスプレーの場合には、エアーミストが噴霧されるが、ここでは、噴霧されるスプレー水及びエアーミストをまとめて噴霧体2と称し、区別する場合には、スプレー水或いはエアーミストと記すものとする。 発熱抵抗体4の両端部にはそれぞれケーブル5が接続され、それぞれのケーブル5はデジタルマルチメーター6を経由して電源7に接続されている。デジタルマルチメーター6は、発熱抵抗体4の両端部間の電圧を測定するとともに発熱抵抗体4を流れる電流を測定するための測定手段である。つまり、電源7から電力が発熱抵抗体4に供給され、発熱抵抗体4は供給される電力によって加熱され、そのときの発熱抵抗体4の両端部間での電圧及び発熱抵抗体4に流れる電流をデジタルマルチメーター6で測定するように構成されている。 本発明に係る冷却能評価装置は、発熱抵抗体4を、電源7から供給する電力によって加熱し、この加熱された発熱抵抗体4をスプレーノズル1から噴霧するスプレー水またはエアーミストによって冷却し、発熱抵抗体4が冷却されたときの発熱抵抗体4の電気抵抗率の変化(実際には電圧や電流の変化して測定する)から、スプレーノズル1を噴霧したときの熱伝達率を求めるという装置であり、この熱伝達率を演算するための演算手段として演算装置8が、デジタルマルチメーター6と接続して設けられている。熱伝達率を演算する際には冷却水温度Twも必要であり、従って、演算装置8には冷却水温度Twも入力されるようになっている。 発熱抵抗体4は、加熱した状態でスプレーノズル1から噴霧される噴霧体2によって直接冷却されるので、酸化しにくい物質が望ましく、この観点から、高温におけても耐酸化性に優れた白金或いは白金系合金(白金−ロジウム合金など)が好ましい。 図1に示す冷却能評価装置では、発熱抵抗体4が1基であり、一方、スプレーノズル1の噴霧面3のそれぞれの部位における熱伝達率を測定する必要があり、従って、噴霧面3のそれぞれの部位における熱伝達率を測定するために、本発明に係る冷却能評価装置では、スプレーノズル1或いは発熱抵抗体4を二次元の任意の位置に移動可能なように構成されている。図1に示す冷却能評価装置では、スプレーノズル1を保持する支持台9が図1に示すX方向及びこれに直交するY方向に移動可能に構成されている。発熱抵抗体4を複数設置することも可能であるが、測定点が多いことから、発熱抵抗体4を複数設置したとしても、一度の測定のみで全ての測定点の測定が完了することはなく、従って、本発明に係る冷却能評価装置において移動装置は必要である。 また、図1に示す冷却能評価装置では、噴霧面3に相当する位置に発熱抵抗体4のみが存在し、実際の連続鋳造機における鋳片冷却の場合に生じている冷却面上を流れる水や鋳片衝突後の冷却水の影響(跳ね返りや溜り水など)を評価できないという問題がある。これに対しては、図2に示すように、発熱抵抗体4を絶縁性のある断熱材11の表面に組み込み、更に、この断熱材11をステンレス鋼などからなる支持部材10に段差のない平面として設置することで、対処可能である。断熱材11としては、アルミナ、マグネシア、シリカなどの耐火物が最適である。尚、図2は、本発明に係るスプレーノズルの冷却能評価装置の他の構成を示す概略図であり、(A)はスプレーノズルと支持部材との位置関係を示す図、(B)は支持部材の詳細を示す断面図である。 測定の手順は、例えば以下の方法で行なうことができる。1)スプレーノズル1を所定の条件に設定し、所定の噴霧体2を噴霧しながら、電源7から発熱抵抗体4に電力を供給する。2)電圧を徐々に上昇させていき、そのときのデジタルマルチメーター6による電圧値及び電流値を記録する。この場合に、供給する電圧を設定した電圧と一致させるようにするために、電源7としては、定電圧電源または定電流電源が好ましい。3)スプレーノズル1を図1に示すX方向またはY方向に所定の量移動させ、そこで同様に上記の2)を実施する。4)必要とする測定範囲の測定が終了したなら、冷却水量、空気量などを変化させ、上記の2)及び3)の測定を繰り返し実施する。 記録した測定結果に基づき、以下の評価方法で熱伝達率を推算する。 それぞれの測定時期における発熱抵抗体4の表面温度Tsを、表面温度Tsが下記の(2)式に示すように電気抵抗値Rの関数であることを用いて算出する。Ts=f(R)…(2) 但し、(2)式において、Rは発熱抵抗体の電気抵抗値(Ω)である。 発熱抵抗体の電気抵抗値Rは、測定された電圧値及び電流値から下記の(3)式によって算出される。R=E/I…(3) 但し、(3)式において、Eは電圧値(V)、Iは電流値(A)である。 発熱抵抗体4の電気抵抗値Rと温度との関係については、伝熱物性表などの過去の測定結果を使用する。例えば、白金の場合には、下記の(4)式が知られている(出典:伝熱工学資料 改訂第4版(日本機械学会)315頁)。ρe=3×10-9T3−10-5T2+0.0412T+9.2791…(4) 但し、(4)式において、ρeは白金の電気抵抗率(μΩ・cm)、Tは温度(℃)である。また、図3に、(4)式に示す白金の電気抵抗率(ρe)と温度(℃)との関係を図示する。 前述の(3)式から発熱抵抗体4の電気抵抗値Rが求まり、電気抵抗値Rは(4)式に示す電気抵抗率(ρe)から定まり、従って、(4)式に示す電気抵抗率(ρe)と温度との関係から、測定時の発熱抵抗体4の表面温度Tsが、電気抵抗値Rに対応する電気抵抗率(ρe)の温度として定まる。 また、それぞれの測定時期に対応する電力値を下記の(5)式により求める。Q=E×I…(5) 但し、(5)式において、Qは電力値(W)、Eは電圧値(V)、Iは電流値(A)である。 このようにして算出した表面温度Ts、電力値Q及び冷却水温度Twについて、横軸をTs−Twとし、縦軸を、電力値Qを指標化した数値とし、これらの関係を図4に示す。図4に示す結果は、一般的に知られている横軸をTs−Tw、縦軸を熱流束とした図と類似した傾向であることが分かる。即ち、スプレーノズル1からの冷却が強い場合には発熱抵抗体4からの抜熱量が大きくなるため、供給する電力を大きくしないと表面温度Tsを高温に保持できなくなることに由来すると考えられる。 本発明においては、熱流束を、電力値Q(W)、発熱抵抗体4の直径D(m)及び発熱抵抗体4の長さL(m)から、下記の(6)式により算出する。q=Q/(πD×L)…(6) 但し、(6)式において、qは熱流束(W/m2)である。 熱伝達率h(W/m2・K)は、下記の(7)式で定義されるので、(7)式の熱流束qに(6)式を代入することで、熱伝達率h(W/m2・K)は下記の(8)式により算出される。h=q/(Ts−Tw)…(7)h=Q/[(πD×L)×(Ts−Tw)]…(8) 即ち、デジタルマルチメーター6による電圧及び電流の測定値と冷却水温度Twの測定値とから、演算装置8により熱伝達率hが算出される。ここで、発熱抵抗体4の直径D及び発熱抵抗体4の長さLは、別途演算装置8に入力される。 以上説明したように、本発明によれば、加熱した発熱抵抗体4をスプレーノズル1からの冷却水によって冷却し、そのときの発熱抵抗体4の両端部間での電圧及び発熱抵抗体4に流れる電流を測定し、測定した電圧及び電流に基づいて熱伝達率を求めるので、従来の鋼片を加熱する方法に比較して極めて簡便にスプレーノズル1の冷却能を評価することが可能となる。 尚、熱伝達率hの測定精度を更に高めたい場合には、図5に模式図を示すように、発熱抵抗体4をらせん状の形状で構成し、らせん状の発熱抵抗体4の内部に耐火物で被覆したR.T型の熱電対12などを設置し、冷却水温度Twを正確に評価することが望ましい。この場合には、サブクール沸騰の領域などをより詳細に評価することができる。図5は、本発明に係るスプレーノズルの冷却能評価装置の他の構成を示す概略図であり、図5中の符号13は、熱電対12と接続する温度測定装置である。 また、本発明に係る冷却能評価装置は、サイズが小さく、簡易な構造であるので、実機連続鋳造機のダミーバーやセグメントに設置することが可能であり、このようにすることで、実機でスプレーノズルを噴霧させて熱伝達率hを測定することも可能である。 実際の連続鋳造機における二次冷却では、普通鋼やステンレス鋼に冷却水を噴霧したときの伝熱を対象としているのに対して、本発明では電気的に加熱された白金線などの発熱抵抗体4の冷却水による伝熱を扱うこととなり、表面粗さや表面物性の違いにより本発明では実現象を評価できないことが懸念される。しかしながら、普通鋼やステンレス鋼を加熱用鋼片とした従来の評価方法においても、表面スケールや表面粗さの影響については、加熱用鋼片の使用回数や雰囲気の酸素濃度、水蒸気濃度を完全に一致させないと、排除することはできない。 逆に、本発明では白金線のような表面酸化のしにくい材料を使用しており、表面スケールの影響や表面粗さの影響をほとんど受けないので、純粋にスプレーノズルの冷却能力を評価できるという利点がある。 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。 図1に示す冷却能評価装置において、発熱抵抗体として長さ50cmの白金線を使用し、この発熱抵抗体との距離Zを250mmとして2個の水スプレーノズルを配置し、前記発熱抵抗体に定電流電源から特定の電圧を付与して測定した。2個の水スプレーノズルの間隔は250mm、1個の水スプレーノズルあたりの水量は25L/分とした。水スプレーノズルの噴霧角度は90度である。 図6に、測定結果の例を示す。図6の縦軸は熱伝達率を指標化して示したものである。図6に示すように、2個の水スプレーノズルの重なり位置での熱伝達率の上昇や、左右のそれぞれの水スプレーノズルの均等性について、本発明により評価できることが確認できた。本発明に係るスプレーノズルの冷却能評価装置の構成を示す概略図である。本発明に係るスプレーノズルの冷却能評価装置の他の構成を示す概略図である。白金の電気抵抗率(ρe)と温度(℃)との関係を示す図である。電力値Qと、発熱抵抗体の表面温度Tsとの関係を示す図である。本発明に係るスプレーノズルの冷却能評価装置の他の構成を示す概略図である。本発明による熱伝達率の測定結果の例を示す図である。従来のスプレーノズルの冷却能を測定する方法を示す斜視図である。符号の説明 1 スプレーノズル 2 噴霧体 3 噴霧面 4 発熱抵抗体 5 ケーブル 6 デジタルマルチメーター 7 電源 8 演算装置 9 支持台 10 支持部材 11 断熱材 12 熱電対 13 温度測定装置 14 鋼片 15 熱電対埋め込み位置 スプレー水またはエアーミストを噴霧するスプレーノズルと、該スプレーノズルから所定距離隔てた位置に配置され、前記スプレーノズルからのスプレー水またはエアーミストが噴霧される発熱抵抗体と、該発熱抵抗体に電力を供給する電源と、前記発熱抵抗体の両端部間での電圧及び前記発熱抵抗体に流れる電流を測定する測定手段と、該測定手段によって測定される電圧及び電流に基づいて前記スプレーノズルの熱伝達率を算出する演算手段と、を具備することを特徴とする、連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価装置。 更に、前記スプレーノズルからの噴霧面と同等以上の面積の平坦部を有し、該平坦部の表面に前記発熱抵抗体を組み込んだ支持部材を、具備することを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価装置。 前記発熱抵抗体は、白金または白金系合金であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価装置。 連続鋳造二次冷却用のスプレーノズルからスプレー水またはエアーミストを、通電により加熱された発熱抵抗体に噴霧し、そのときの前記発熱抵抗体の両端部間での電圧及び前記発熱抵抗体に流れる電流を測定し、測定した電圧及び電流に基づいて前記スプレーノズルの熱伝達率を求めることを特徴とする、連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価方法。 前記発熱抵抗体は、一定電圧または一定電流のうちの何れか一方の条件で加熱されていることを特徴とする、請求項4に記載の連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価方法。 前記発熱抵抗体は、前記スプレーノズルからの噴霧面と同等以上の面積を有する平坦な支持部材の表面に組み込まれていることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価方法。 【課題】 加熱炉で加熱された鋼片を使用することなく、連続鋳造機の二次冷却帯に設置されるスプレーノズルの冷却能を実測するための評価装置を提供する。【解決手段】 本発明に係る連続鋳造二次冷却用スプレーノズルの冷却能評価装置は、スプレー水またはエアーミストを噴霧するスプレーノズル1と、該スプレーノズルから所定距離隔てた位置に配置され、前記スプレーノズルからのスプレー水またはエアーミストが噴霧される発熱抵抗体4と、該発熱抵抗体に電力を供給する電源7と、前記発熱抵抗体の両端部間での電圧及び前記発熱抵抗体に流れる電流を測定する測定手段6と、該測定手段によって測定される電圧及び電流に基づいて前記スプレーノズルの熱伝達率を算出する演算手段8と、を具備することを特徴とする。【選択図】 図1