生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_カルニチン含有製剤
出願番号:2008223559
年次:2010
IPC分類:A61K 31/205,A61K 9/14,A61K 47/36,A61P 5/14,A61P 13/12,A23L 1/30


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大濱 寧之 遠藤幸子 JP 2010059060 公開特許公報(A) 20100318 2008223559 20080901 カルニチン含有製剤 株式会社ファンケル 593106918 児玉 喜博 100105061 佐藤 荘助 100150681 長谷部 善太郎 100122954 大濱 寧之 遠藤幸子 A61K 31/205 20060101AFI20100219BHJP A61K 9/14 20060101ALI20100219BHJP A61K 47/36 20060101ALI20100219BHJP A61P 5/14 20060101ALN20100219BHJP A61P 13/12 20060101ALN20100219BHJP A23L 1/30 20060101ALN20100219BHJP JPA61K31/205A61K9/14A61K47/36A61P5/14A61P13/12A23L1/30 Z 6 OL 9 4B018 4C076 4C206 4B018LB10 4B018MD18 4B018ME14 4C076AA29 4C076AA54 4C076BB01 4C076CC17 4C076CC30 4C076EE38 4C076FF02 4C076FF41 4C076FF65 4C206AA10 4C206FA59 4C206KA15 4C206MA02 4C206MA05 4C206MA57 4C206MA63 4C206MA72 4C206NA03 4C206ZA81 4C206ZC06 本発明は、カルニチン含有製剤に関する。 L-カルニチンは、リジンとメチオニンと言う2つのアミノ酸から肝臓や腎臓で作られる生体微量成分で、20代をピークに年齢とともにその生成量は低下することが知られている。L-カルニチンは、筋肉細胞へ長鎖脂肪酸の受け渡しなど栄養成分の代謝に重要な働きをしており、日本では医薬品として用いられていたが、2002年12月より食品としての利用が認められたことから、体内で脂肪酸燃焼に重要な関わりを持つL-カルニチンの生理機能に着目した「いわゆる健康食品」が、体脂肪燃焼効果を期待するダイエット食品として注目されている。厚生労働省は、1日あたりの摂取上限の目安量を約1000mgとしている。人におけるL-カルニチンの生理的有効性は、腎機能改善効果、甲状腺機能改善効果、 抗けいれん薬(抗てんかん薬)であるバルプロ酸によるカルニチン欠乏の軽減効果、先天性代謝異常によるカルニチン欠乏症に対する有効性など、臨床的なL-カルニチンの利用の多くは、欠乏症を補うために投与する事例が多い。L-カルニチンは薬として使用されてきた経験が長く、また生体成分でもあることから、安全性上大きな問題は生じないと考えられている。 近頃、L-カルニチンを適切に摂取することを目的として、栄養補助食品、食事療法用製品、健康食品等の飲食品又は飲食品用組成物に使用されている。カルニチンを配合したサプリメントは、一日の摂取量として500〜600mgを目安としているものが多い。一方、カルニチンは吸湿性が高い物質であるので、安定を確保するために賦形剤などの他の成分の配合率が高く、目安の量を摂取するには、カルニチン配合剤を多量に経口摂取することとなるのが、実情である。 カルニチンなどの吸湿性の高い物質は、吸湿が製造中に発生すると、流動特性の変化、粘着性の増加、凝集の発生、離型性の低下という問題が生じ、取扱いが困難になるばかりか、化学的安定性が低下して原料や製品の組成が変動することもある。また、吸湿が貯蔵中に発生すると、外観の劣化だけでなく、含有活性成分の化学的安定性の低下や結晶形態の変化による溶解特性の変化等の問題が生じることがあるので、吸湿性を改善する工夫がなされている。 有機酸又は無機酸の塩類、無機塩類及び薬剤等に用いられる化合物原料等製造時や使用時の取扱いが難しい吸湿性粉末原料について、その吸湿性や潮解性を解決するための方法が種々提案されている。 例えば、粉状物に粉末状の油脂及び炭酸カルシウムを添加して潮解や固結を防止する方法(特許文献1)、ショ糖脂肪酸エステルを添加して固結を防止する方法(特許文献2)、吸着性物質に潮解性物質を吸着させ潮解を防止する方法(特許文献3)、吸湿性を有する粉末原料を腸溶性皮膜剤で被覆した粉末改良品(特許文献4)、結晶形態を変化させることにより潮解性を遅くさせる方法(特許文献5)等が開示されている。 高い吸湿性を有し、極めて安定性が低いL-カルニチンについても、吸湿性を押さえ、安定化する工夫が各種提案されている。 特許文献6には、L-カルニチンに代わってL-カルニチンL-酒石酸塩による吸湿抑制方法が提示されている。L-カルニチンL-酒石酸塩はカルニチン(化1)を68%含む白色の結晶であり、L-カルニチンよりも安定性は良いとされる。 しかし、依然として非常に高い吸湿性・潮解性を有していて、25℃湿度63%以上の環境下で吸湿・潮解し、その吸湿速度は非常に高い。またカルニチン若しくはその塩又はその誘導体は、潮解や温度による劣化、アルカリ下における分解によってトリメチルアミンを発生し、少量で強烈な悪臭を発生する。L-カルニチンL-酒石酸塩も吸湿により同様の悪臭を発生する。 L-カルニチンL-酒石酸塩のような粉末吸湿活性成分を高含有させた製剤を製造する場合、その吸湿性の高さから、上記のように得られた製剤が変色・変性したりすることが問題視されている。このような問題は、賦形剤を増量することで解決することがあるが、賦形剤を増量すると、一日当たりに摂取する量は非常に多くなることから、賦形剤のような活性成分以外の配合量を極力少なくすることが望ましい。 特許文献7(特開2007-244270号公報)には、錠剤・顆粒剤にセサミンを加えることでL-カルニチンL-酒石酸塩の吸湿性を抑える提案がなされている。しかし、具体的には、セサミン類のほかに必要な賦形剤量が多く、高配合化を可能にするものではない。 特許文献8(特開2004−135515号公報)には、酢酸カルシウム添加法による吸湿抑制効果が開示されているが、添加量10〜95重量%において有効であり、10重量%以下では効果が低くなるとされ、高配合化には適さない。 特許文献9(特開2006−111550号公報)には、カルニチン含有製剤(錠剤)をシェラックコーティングし、更にイーストラップで被覆して防湿する方法も提案されているが、簡便さに欠けるのが難点である。 特許文献10(再公表2006-28068号公報)には、粗結晶L-カルニチンを低級アルキルアルコールと水との混合溶媒に溶解させた後、再結晶させるにより、粒径が大きく吸湿性を低下させたL-カルニチンが開示されている。特開2001−224319号公報特開2004−121175号公報特開2003−95980号公報特開2004−35505号公報特開2000−342902号公報特許第2546068号公報特開2007−244270号公報特開2004−135515号公報特開2006−111550号公報再公表2006-28068号公報 本発明は、吸湿性が高く潮解性を有し、高温多湿下において容易に吸湿・液状になってしまうカルニチン若しくはその塩又はその誘導体を、賦形剤を多量に配合することなく安定化したカルニチン高含有製剤を提供することを課題とする。 本発明の主な構成は次のとおりである。(1)カルニチン若しくはその塩又はその誘導体、及び、多孔質デンプンを含む、カルニチン含有製剤。(2)カルニチン若しくはその塩又はその誘導体、及び、多孔質デンプンからなる、カルニチン含有製剤。(3)多孔質デンプンが、多孔質性デキストリンであることを特徴とする(1)又は(2)記載のカルニチン含有製剤。(4)含有比率を重量比率においてカルニチン若しくはその塩又はその誘導体:多孔質デンプン=80〜95:20〜5であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のカルニチン含有製剤。(5)吸湿性が改善された粉末状であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のカルニチン含有製剤。(6)カルニチン若しくはその塩又はその誘導体が、L-カルニチンL-酒石酸塩であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のカルニチン含有製剤。 本発明においては、多孔質デンプンを、配合することによりカルニチン若しくはその塩又はその誘導体の安定性を大幅に改善し、90%以上の高配合を実現できる。多孔質デンプンとして多孔質性デキストリンが好ましい。カルニチンの塩として、L-カルニチンL-酒石酸塩が好ましい。多孔質デンプンは、5〜6重量%加えるのみであり、非常に簡便かつ安価な方法であることが特徴である。 カルニチンを安定化した粉末として扱うことができるので、原材料としての保存性、製造過程のハンドリングの向上、製剤や食品製品としての保存性が向上する。吸湿性が押さえられて安定化しているので、他の剤との混合操作が容易であり均一した配合剤を得ることができる。カルニチンの摂取目安量を満足する経口摂取用の剤形を小型化することができ、摂取が容易となる。特に、嚥下力が弱っている高齢者などには適している。 本発明のカルニチン含有製剤は、カルニチン若しくはその塩又はその誘導体、及び、多孔質デンプンからなることにより、吸湿性を抑制し安定化した粉末状態を提供することができる。この安定化した粉末状態を利用して、更に他の剤との均一混合や製剤化の工程管理を容易に行うことができ、少量且つ小型化した剤形を提供する。 カルニチン若しくはその塩又はその誘導体とは、カルニチン[(CH3)3N+CH2CH(OH)CH2COO-、γ-トリメチルアンモニウム-β-ヒドロキシ酪酸]、その異性体、その塩、並びにカルニチン、その異性体及びその塩の誘導体(例えば生体内でカルニチンに変換される誘導体)も含む。例えば、カルニチン、L-カルニチン、塩化カルニチン(DL-体、L-体)、L-カルニチン酒石酸塩、L-カルニチンL-酒石酸塩、L-カルニチンマレイン酸塩、L-カルニチンフマル酸塩、L-カルニチン硫酸塩、L-カルニチンシュウ酸塩、L-カルニチンマグネシウム塩、アシル-L-カルニチン、アセチル-L-カルニチン、プロピオニル-L-カルニチン、オロチン酸カルニチン、等が含まれる。これらはその製造方法になんら限定されず、天然抽出品、微生物発酵品、合成品のいずれでもよいが、好ましくは、天然に存在するL-カルニチン若しくはその塩又はその誘導体であり、例えば、次式:(式中、RはH又はC1〜C5の低級アルカノイルである。)で表される。なお、本明細書中のカルニチンについての説明は、カルニチンの塩、カルニチン又はその塩の誘導体についてもあてはまる。 多孔質デンプンは、とうもろこし、馬鈴薯、タピオカ、小麦等のデンプンの粒子表面に無数の微細孔を形成させた形状的な特徴を有する。 特に、多孔質性デキストリンが適している。「多孔質性デキストリン」とは、とうもろこし、馬鈴薯、タピオカ、小麦等のデンプンの粒子に酵素を作用させることにより、該粒子の表面に無数の微細孔を形成させた形状的な特徴を有する。 デキストリンとは、デンプンを酸又はアミラーゼで分解して得られる分解生成物の総称であり、アミロデキストリン、マルトデキストリン、エリトロデキストリンなどがある。また、多孔質デキストリンは、強力に加熱したローラー上にデキストリン溶液を乗せ、瞬時に溶媒を蒸発させることにより得ることができる。本発明に用いる多孔質デキストリンの市販品としては、パインフロー、パインフローS(共に、松谷化学社製)等が挙げられる。 カルニチンに多孔質若しくはその塩又はその誘導体、及び、多孔質デンプンからなる、カルニチン含有製剤は、含有比率を重量比率においてカルニチン若しくはその塩又はその誘導体:多孔質デンプン=80〜95:20〜5とすることができる。 本発明は吸湿性が改善された安定した粉末状として提供することができ、これを必要に応じて他の剤を添加するなどして、製剤化することができる。本発明は、従来から用いられている医薬用、あるいは、栄養補助食品、食事療法用製品、健康食品等の飲食品又は飲食品用組成物に使用することができる。 小型化したハードカプセルとして経口摂取するタイプに適している。L-カルニチンL-酒石酸塩を高配合92%しながらも安定なハードカプセル製剤を作製することができる。例えば、本発明品は2号ハードカプセル×3粒で目安の600mg以上のL-カルニチンを十分に摂取できる。2号ハードカプセルには、320mg程度封入することができるので、L-カルニチンを68%含んでいるL-カルニチンL-酒石酸塩を92重量%配合したカルニチン含有製剤を詰めることにより、L-カルニチン換算量を200mg/2号ハードカプセル1粒とすることができる。 尚、従来品においては、耐湿性を確保するため賦形剤を多く配合する必要があり、L-カルニチンL-酒石酸塩の配合量は多くとも70重量%程度、カプセルが大きい(1号)あるいは、粒数が多い(4粒以上)のが現状である。L-カルニチンL-酒石酸塩等のカルニチンは、非常に吸湿性が高く潮解性を有し、高温多湿下において容易に吸湿・液状になってしまうため、多量の賦形剤を配合することで耐湿性を付与する必要があり、多量の賦形剤を配合することで、錠剤やカプセルのサイズが大きくなる、あるいは数が増え、飲み易さという点において大きなマイナスであった。本発明では、小型カプセルで且つ摂取粒数を少なくすることができる。 本明細書中において、「吸湿性」とは、対象物が空気中にさらされている場合に大気中の水蒸気を捉える性質をいい、特に、潮解性と呼ばれる、大気中の水蒸気を取り込んで水溶液になる性質も、本明細書中における「吸湿性」に含まれる。 吸湿性は、例えば、後述の実施例に記載のような、当業者に公知の手法を用いて、測定及び/又は評価することができる。具体的には、計量した原料を、室温や高温高湿度下等の一定条件下、適当な時間放置した後、変化を目視観察(原料表面の水分の確認、固体の消失の確認、粉末の流動性や固結化の程度の確認、変色の確認等)や、重量増加分(吸湿水量)の計量により検討する等の手法を用いることができる。 本明細書中において、「安定化」とは、単に吸湿による潮解及び/又は固結が防止されるということだけではなく、変色・異臭(悪臭)の発生が認められず、品質的に経口・外用剤としての使用に問題が認められないことをいう。 L-カルニチンL-酒石酸塩(LONZA社製)微粉砕物92.0重量%、滑沢剤としてリョートーシュガーエステルS-370FUを2.0重量%、実施例として2種の、比較例として9種の賦形剤を6.0重量%秤量・篩過し、V型混合器にて10分間混合した後、混合末を透明2号NPハードカプセル(カプスゲル社製)に充填した。 充填カプセル5粒をポリエチレン製チャック袋に入れて高温高湿度下(40℃相対湿度75%)に保たれたインキュベーターに保管し、吸湿・潮解・劣化によって商品としての価値が失われるまでの日数を比較した。 ここに述べる「商品としての価値が失われるまでの日数」とは、吸湿による潮解及び/又は固結の発生、あるいは変色・異臭(悪臭)の発生によって、品質的に経口・外用剤としての使用に問題が認められることをいう。 また、充填カプセルをアルミ袋に密閉し、60℃のインキュベーターに保管し、1週間後の外観、臭いについて比較した。 さらに、各賦形剤のpH、嵩、比表面積、でんぷん分解物に関しては平均分子量を測定した。 実施例として、多孔質でんぷん分解物を、比較例として、多孔質の賦形剤あるいはでんぷん分解物、でんぷん、製剤化において頻繁に用いられる賦形剤を用い、カルニチンの吸湿性改善について評価した。 各試験例及び評価結果を表1に示す。(結果) ホタテ末や卵殻カルシウムは高い防湿性を付与するが、L-カルニチンL-酒石酸塩との反応によって気体を発生し、カプセルが外れてしまい、安定性が大きく損なわれた。 尚、油脂コートとしたカルニチンや、賦形剤と共に流動層造粒を実施したものについても検討したが、防湿効果はほとんど見られなかった。また、L-カルニチンL-酒石酸塩を粉砕せず結晶のまま用いても、微粉砕物と比べて潮解性・吸湿性にほとんど違いは見られなかった。 でんぷん、でんぷん分解物について種々検討したが、pHや嵩などの物性によって結果は大きく異なった。ほとんど効果の出ないもの、高い効果を示すものと様々であったが、検討の結果、pHが酸性付近、嵩0.3g/mL以下の多孔質デキストリン(製品名:パインフロー、パインフローS)が 最も安定性・防湿性を付与し、L-カルニチンL-酒石酸塩の高配合化と品質の向上を可能にすることを見出した。 尚、試験条件である40℃相対湿度75%、ポリエチレンチャック袋の条件は非常に苛酷であり、日本国内であれば年間通してこのような温湿度状態になることは考えにくい。実際、一般的な賦形剤であるセルロースでは本試験条件下における保存可能日数は3日であったが、この日数は、アルミチャック袋であれば、日本において高温多湿となる梅雨から夏場にかけての3〜4ヶ月間、商品価値を保てる日数に相当する。しかし、チャックの閉め忘れ、濡れた手での使用、アルミ包材の破損など、その使用条件によっては、数週間から1ヶ月くらいでくっつきや溶け・悪臭などが発生する恐れがある。従って、本試験条件のような苛酷な環境下において6日間の保存を可能にすることで、耐湿性の付与・安定性の向上など、より高い品質を担保できると考えられる。 カルニチン若しくはその塩又はその誘導体、及び、多孔質デンプンを含む、カルニチン含有製剤。 カルニチン若しくはその塩又はその誘導体、及び、多孔質デンプンからなる、カルニチン含有製剤。 多孔質デンプンが、多孔質性デキストリンであることを特徴とする請求項1又は2記載のカルニチン含有製剤。 含有比率を重量比率においてカルニチン若しくはその塩又はその誘導体:多孔質デンプン=80〜95:20〜5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカルニチン含有製剤。 吸湿性が改善された粉末状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカルニチン含有製剤。 カルニチン若しくはその塩又はその誘導体が、L-カルニチンL-酒石酸塩であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカルニチン含有製剤。 【課題】カルニチン若しくはその塩又はその誘導体は、潮解や温度による劣化、アルカリ下における分解によってトリメチルアミンを発生し、少量で強烈な悪臭を発生するため、吸湿性を改善し、安定化したカルニチン含有製剤の提供。【解決手段】カルニチン若しくはその塩又はその誘導体に、多孔質デンプンを5〜6重量%加えると、吸湿性が押さえられて安定化した粉末となり、製剤や食品製品としての保存性が向上したカルニチン含有製剤。【選択図】なし


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特許公報(B2)_カルニチン含有製剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_カルニチン含有製剤
出願番号:2008223559
年次:2013
IPC分類:A61K 31/205,A61K 9/48,A61K 47/40,A61P 5/14,A61P 13/12


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大濱 寧之 遠藤幸子 JP 5367328 特許公報(B2) 20130920 2008223559 20080901 カルニチン含有製剤 株式会社ファンケル 593106918 児玉 喜博 100105061 佐藤 荘助 100150681 長谷部 善太郎 100122954 大濱 寧之 遠藤幸子 20131211 A61K 31/205 20060101AFI20131121BHJP A61K 9/48 20060101ALI20131121BHJP A61K 47/40 20060101ALI20131121BHJP A61P 5/14 20060101ALI20131121BHJP A61P 13/12 20060101ALI20131121BHJP JPA61K31/205A61K9/48A61K47/40A61P5/14A61P13/12 A61K 31/205 A61K 9/48 A61K 47/40 A61P 5/14 A61P 13/12 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特開平04−128223(JP,A) 国際公開第2006/028068(WO,A1) 国際公開第2007/105757(WO,A1) 特開平11−313657(JP,A) 特開2002−287307(JP,A) 特開昭61−130219(JP,A) 特開昭64−027461(JP,A) 特開昭61−195200(JP,A) 2 2010059060 20100318 9 20110513 加藤 文彦 本発明は、カルニチン含有製剤に関する。 L-カルニチンは、リジンとメチオニンと言う2つのアミノ酸から肝臓や腎臓で作られる生体微量成分で、20代をピークに年齢とともにその生成量は低下することが知られている。L-カルニチンは、筋肉細胞へ長鎖脂肪酸の受け渡しなど栄養成分の代謝に重要な働きをしており、日本では医薬品として用いられていたが、2002年12月より食品としての利用が認められたことから、体内で脂肪酸燃焼に重要な関わりを持つL-カルニチンの生理機能に着目した「いわゆる健康食品」が、体脂肪燃焼効果を期待するダイエット食品として注目されている。厚生労働省は、1日あたりの摂取上限の目安量を約1000mgとしている。人におけるL-カルニチンの生理的有効性は、腎機能改善効果、甲状腺機能改善効果、 抗けいれん薬(抗てんかん薬)であるバルプロ酸によるカルニチン欠乏の軽減効果、先天性代謝異常によるカルニチン欠乏症に対する有効性など、臨床的なL-カルニチンの利用の多くは、欠乏症を補うために投与する事例が多い。L-カルニチンは薬として使用されてきた経験が長く、また生体成分でもあることから、安全性上大きな問題は生じないと考えられている。 近頃、L-カルニチンを適切に摂取することを目的として、栄養補助食品、食事療法用製品、健康食品等の飲食品又は飲食品用組成物に使用されている。カルニチンを配合したサプリメントは、一日の摂取量として500〜600mgを目安としているものが多い。一方、カルニチンは吸湿性が高い物質であるので、安定を確保するために賦形剤などの他の成分の配合率が高く、目安の量を摂取するには、カルニチン配合剤を多量に経口摂取することとなるのが、実情である。 カルニチンなどの吸湿性の高い物質は、吸湿が製造中に発生すると、流動特性の変化、粘着性の増加、凝集の発生、離型性の低下という問題が生じ、取扱いが困難になるばかりか、化学的安定性が低下して原料や製品の組成が変動することもある。また、吸湿が貯蔵中に発生すると、外観の劣化だけでなく、含有活性成分の化学的安定性の低下や結晶形態の変化による溶解特性の変化等の問題が生じることがあるので、吸湿性を改善する工夫がなされている。 有機酸又は無機酸の塩類、無機塩類及び薬剤等に用いられる化合物原料等製造時や使用時の取扱いが難しい吸湿性粉末原料について、その吸湿性や潮解性を解決するための方法が種々提案されている。 例えば、粉状物に粉末状の油脂及び炭酸カルシウムを添加して潮解や固結を防止する方法(特許文献1)、ショ糖脂肪酸エステルを添加して固結を防止する方法(特許文献2)、吸着性物質に潮解性物質を吸着させ潮解を防止する方法(特許文献3)、吸湿性を有する粉末原料を腸溶性皮膜剤で被覆した粉末改良品(特許文献4)、結晶形態を変化させることにより潮解性を遅くさせる方法(特許文献5)等が開示されている。 高い吸湿性を有し、極めて安定性が低いL-カルニチンについても、吸湿性を押さえ、安定化する工夫が各種提案されている。 特許文献6には、L-カルニチンに代わってL-カルニチンL-酒石酸塩による吸湿抑制方法が提示されている。L-カルニチンL-酒石酸塩はカルニチン(化1)を68%含む白色の結晶であり、L-カルニチンよりも安定性は良いとされる。 しかし、依然として非常に高い吸湿性・潮解性を有していて、25℃湿度63%以上の環境下で吸湿・潮解し、その吸湿速度は非常に高い。またカルニチン若しくはその塩又はその誘導体は、潮解や温度による劣化、アルカリ下における分解によってトリメチルアミンを発生し、少量で強烈な悪臭を発生する。L-カルニチンL-酒石酸塩も吸湿により同様の悪臭を発生する。 L-カルニチンL-酒石酸塩のような粉末吸湿活性成分を高含有させた製剤を製造する場合、その吸湿性の高さから、上記のように得られた製剤が変色・変性したりすることが問題視されている。このような問題は、賦形剤を増量することで解決することがあるが、賦形剤を増量すると、一日当たりに摂取する量は非常に多くなることから、賦形剤のような活性成分以外の配合量を極力少なくすることが望ましい。 特許文献7(特開2007-244270号公報)には、錠剤・顆粒剤にセサミンを加えることでL-カルニチンL-酒石酸塩の吸湿性を抑える提案がなされている。しかし、具体的には、セサミン類のほかに必要な賦形剤量が多く、高配合化を可能にするものではない。 特許文献8(特開2004−135515号公報)には、酢酸カルシウム添加法による吸湿抑制効果が開示されているが、添加量10〜95重量%において有効であり、10重量%以下では効果が低くなるとされ、高配合化には適さない。 特許文献9(特開2006−111550号公報)には、カルニチン含有製剤(錠剤)をシェラックコーティングし、更にイーストラップで被覆して防湿する方法も提案されているが、簡便さに欠けるのが難点である。 特許文献10(再公表2006-28068号公報)には、粗結晶L-カルニチンを低級アルキルアルコールと水との混合溶媒に溶解させた後、再結晶させるにより、粒径が大きく吸湿性を低下させたL-カルニチンが開示されている。特開2001−224319号公報特開2004−121175号公報特開2003−95980号公報特開2004−35505号公報特開2000−342902号公報特許第2546068号公報特開2007−244270号公報特開2004−135515号公報特開2006−111550号公報再公表2006-28068号公報 本発明は、吸湿性が高く潮解性を有し、高温多湿下において容易に吸湿・液状になってしまうカルニチン若しくはその塩又はその誘導体を、賦形剤を多量に配合することなく安定化したカルニチン高含有製剤を提供することを課題とする。 本発明者の主な構成は次のとおりである。(1)L−カルニチン若しくはL−カルニチンL−酒石酸塩及び、多孔質デキストリンを含み、重量比率においてL−カルニチン若しくはL−カルニチンL−酒石酸塩:多孔質デキストリン=80〜95:20〜5であって、前記多孔質デキストリンがデキストリンの粒子表面に微細孔を形成させた形状的な特徴を有するものであることを特徴とするカルニチン含有カプセル製剤。 (2)L−カルニチン若しくはL−カルニチンL−酒石酸塩及び、多孔質デキストリンを含み、重量比率においてL−カルニチン若しくはL−カルニチンL−酒石酸塩:多孔質デキストリン=80〜95:20〜5であって、前記多孔質デキストリンがデンプンを酸又はアミラーゼで分解して得られる分解生成物を加熱したローラー上に乗せ、溶媒を蒸発させることにより得ることができるものであることを特徴とするカルニチン含有カプセル製剤。 本発明においては、多孔質デンプンを、配合することによりカルニチン若しくはその塩又はその誘導体の安定性を大幅に改善し、90%以上の高配合を実現できる。多孔質デンプンとして多孔質性デキストリンが好ましい。カルニチンの塩として、L-カルニチンL-酒石酸塩が好ましい。多孔質デンプンは、5〜6重量%加えるのみであり、非常に簡便かつ安価な方法であることが特徴である。 カルニチンを安定化した粉末として扱うことができるので、原材料としての保存性、製造過程のハンドリングの向上、製剤や食品製品としての保存性が向上する。吸湿性が押さえられて安定化しているので、他の剤との混合操作が容易であり均一した配合剤を得ることができる。カルニチンの摂取目安量を満足する経口摂取用の剤形を小型化することができ、摂取が容易となる。特に、嚥下力が弱っている高齢者などには適している。 本発明のカルニチン含有製剤は、カルニチン若しくはその塩又はその誘導体、及び、多孔質デンプンからなることにより、吸湿性を抑制し安定化した粉末状態を提供することができる。この安定化した粉末状態を利用して、更に他の剤との均一混合や製剤化の工程管理を容易に行うことができ、少量且つ小型化した剤形を提供する。 カルニチン若しくはその塩又はその誘導体とは、カルニチン[(CH3)3N+CH2CH(OH)CH2COO-、γ-トリメチルアンモニウム-β-ヒドロキシ酪酸]、その異性体、その塩、並びにカルニチン、その異性体及びその塩の誘導体(例えば生体内でカルニチンに変換される誘導体)も含む。例えば、カルニチン、L-カルニチン、塩化カルニチン(DL-体、L-体)、L-カルニチン酒石酸塩、L-カルニチンL-酒石酸塩、L-カルニチンマレイン酸塩、L-カルニチンフマル酸塩、L-カルニチン硫酸塩、L-カルニチンシュウ酸塩、L-カルニチンマグネシウム塩、アシル-L-カルニチン、アセチル-L-カルニチン、プロピオニル-L-カルニチン、オロチン酸カルニチン、等が含まれる。これらはその製造方法になんら限定されず、天然抽出品、微生物発酵品、合成品のいずれでもよいが、好ましくは、天然に存在するL-カルニチン若しくはその塩又はその誘導体であり、例えば、次式:(式中、RはH又はC1〜C5の低級アルカノイルである。)で表される。なお、本明細書中のカルニチンについての説明は、カルニチンの塩、カルニチン又はその塩の誘導体についてもあてはまる。 多孔質デンプンは、とうもろこし、馬鈴薯、タピオカ、小麦等のデンプンの粒子表面に無数の微細孔を形成させた形状的な特徴を有する。 特に、多孔質性デキストリンが適している。「多孔質性デキストリン」とは、とうもろこし、馬鈴薯、タピオカ、小麦等のデンプンの粒子に酵素を作用させることにより、該粒子の表面に無数の微細孔を形成させた形状的な特徴を有する。 デキストリンとは、デンプンを酸又はアミラーゼで分解して得られる分解生成物の総称であり、アミロデキストリン、マルトデキストリン、エリトロデキストリンなどがある。また、多孔質デキストリンは、強力に加熱したローラー上にデキストリン溶液を乗せ、瞬時に溶媒を蒸発させることにより得ることができる。本発明に用いる多孔質デキストリンの市販品としては、パインフロー、パインフローS(共に、松谷化学社製)等が挙げられる。 カルニチンに多孔質若しくはその塩又はその誘導体、及び、多孔質デンプンからなる、カルニチン含有製剤は、含有比率を重量比率においてカルニチン若しくはその塩又はその誘導体:多孔質デンプン=80〜95:20〜5とすることができる。 本発明は吸湿性が改善された安定した粉末状として提供することができ、これを必要に応じて他の剤を添加するなどして、製剤化することができる。本発明は、従来から用いられている医薬用、あるいは、栄養補助食品、食事療法用製品、健康食品等の飲食品又は飲食品用組成物に使用することができる。 小型化したハードカプセルとして経口摂取するタイプに適している。L-カルニチンL-酒石酸塩を高配合92%しながらも安定なハードカプセル製剤を作製することができる。例えば、本発明品は2号ハードカプセル×3粒で目安の600mg以上のL-カルニチンを十分に摂取できる。2号ハードカプセルには、320mg程度封入することができるので、L-カルニチンを68%含んでいるL-カルニチンL-酒石酸塩を92重量%配合したカルニチン含有製剤を詰めることにより、L-カルニチン換算量を200mg/2号ハードカプセル1粒とすることができる。 尚、従来品においては、耐湿性を確保するため賦形剤を多く配合する必要があり、L-カルニチンL-酒石酸塩の配合量は多くとも70重量%程度、カプセルが大きい(1号)あるいは、粒数が多い(4粒以上)のが現状である。L-カルニチンL-酒石酸塩等のカルニチンは、非常に吸湿性が高く潮解性を有し、高温多湿下において容易に吸湿・液状になってしまうため、多量の賦形剤を配合することで耐湿性を付与する必要があり、多量の賦形剤を配合することで、錠剤やカプセルのサイズが大きくなる、あるいは数が増え、飲み易さという点において大きなマイナスであった。本発明では、小型カプセルで且つ摂取粒数を少なくすることができる。 本明細書中において、「吸湿性」とは、対象物が空気中にさらされている場合に大気中の水蒸気を捉える性質をいい、特に、潮解性と呼ばれる、大気中の水蒸気を取り込んで水溶液になる性質も、本明細書中における「吸湿性」に含まれる。 吸湿性は、例えば、後述の実施例に記載のような、当業者に公知の手法を用いて、測定及び/又は評価することができる。具体的には、計量した原料を、室温や高温高湿度下等の一定条件下、適当な時間放置した後、変化を目視観察(原料表面の水分の確認、固体の消失の確認、粉末の流動性や固結化の程度の確認、変色の確認等)や、重量増加分(吸湿水量)の計量により検討する等の手法を用いることができる。 本明細書中において、「安定化」とは、単に吸湿による潮解及び/又は固結が防止されるということだけではなく、変色・異臭(悪臭)の発生が認められず、品質的に経口・外用剤としての使用に問題が認められないことをいう。 L-カルニチンL-酒石酸塩(LONZA社製)微粉砕物92.0重量%、滑沢剤としてリョートーシュガーエステルS-370FUを2.0重量%、実施例として2種の、比較例として9種の賦形剤を6.0重量%秤量・篩過し、V型混合器にて10分間混合した後、混合末を透明2号NPハードカプセル(カプスゲル社製)に充填した。 充填カプセル5粒をポリエチレン製チャック袋に入れて高温高湿度下(40℃相対湿度75%)に保たれたインキュベーターに保管し、吸湿・潮解・劣化によって商品としての価値が失われるまでの日数を比較した。 ここに述べる「商品としての価値が失われるまでの日数」とは、吸湿による潮解及び/又は固結の発生、あるいは変色・異臭(悪臭)の発生によって、品質的に経口・外用剤としての使用に問題が認められることをいう。 また、充填カプセルをアルミ袋に密閉し、60℃のインキュベーターに保管し、1週間後の外観、臭いについて比較した。 さらに、各賦形剤のpH、嵩、比表面積、でんぷん分解物に関しては平均分子量を測定した。 実施例として、多孔質でんぷん分解物を、比較例として、多孔質の賦形剤あるいはでんぷん分解物、でんぷん、製剤化において頻繁に用いられる賦形剤を用い、カルニチンの吸湿性改善について評価した。 各試験例及び評価結果を表1に示す。(結果) ホタテ末や卵殻カルシウムは高い防湿性を付与するが、L-カルニチンL-酒石酸塩との反応によって気体を発生し、カプセルが外れてしまい、安定性が大きく損なわれた。 尚、油脂コートとしたカルニチンや、賦形剤と共に流動層造粒を実施したものについても検討したが、防湿効果はほとんど見られなかった。また、L-カルニチンL-酒石酸塩を粉砕せず結晶のまま用いても、微粉砕物と比べて潮解性・吸湿性にほとんど違いは見られなかった。 でんぷん、でんぷん分解物について種々検討したが、pHや嵩などの物性によって結果は大きく異なった。ほとんど効果の出ないもの、高い効果を示すものと様々であったが、検討の結果、pHが酸性付近、嵩0.3g/mL以下の多孔質デキストリン(製品名:パインフロー、パインフローS)が 最も安定性・防湿性を付与し、L-カルニチンL-酒石酸塩の高配合化と品質の向上を可能にすることを見出した。 尚、試験条件である40℃相対湿度75%、ポリエチレンチャック袋の条件は非常に苛酷であり、日本国内であれば年間通してこのような温湿度状態になることは考えにくい。実際、一般的な賦形剤であるセルロースでは本試験条件下における保存可能日数は3日であったが、この日数は、アルミチャック袋であれば、日本において高温多湿となる梅雨から夏場にかけての3〜4ヶ月間、商品価値を保てる日数に相当する。しかし、チャックの閉め忘れ、濡れた手での使用、アルミ包材の破損など、その使用条件によっては、数週間から1ヶ月くらいでくっつきや溶け・悪臭などが発生する恐れがある。従って、本試験条件のような苛酷な環境下において6日間の保存を可能にすることで、耐湿性の付与・安定性の向上など、より高い品質を担保できると考えられる。 L−カルニチン若しくはL−カルニチンL−酒石酸塩及び、多孔質デキストリンを含み、重量比率においてL−カルニチン若しくはL−カルニチンL−酒石酸塩:多孔質デキストリン=80〜95:20〜5であって、前記多孔質デキストリンがデキストリンの粒子表面に微細孔を形成させた形状的な特徴を有するものであることを特徴とするカルニチン含有カプセル製剤。 L−カルニチン若しくはL−カルニチンL−酒石酸塩及び、多孔質デキストリンを含み、重量比率においてL−カルニチン若しくはL−カルニチンL−酒石酸塩:多孔質デキストリン=80〜95:20〜5であって、前記多孔質デキストリンがデンプンを酸又はアミラーゼで分解して得られる分解生成物を加熱したローラー上に乗せ、溶媒を蒸発させることにより得ることができるものであることを特徴とするカルニチン含有カプセル製剤。


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