タイトル: | 公開特許公報(A)_有機物成分の抽出方法と抽出装置 |
出願番号: | 2008210572 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | B09B 3/00,C07H 3/02,C07H 3/06 |
唐澤 幸彦 JP 2010046565 公開特許公報(A) 20100304 2008210572 20080819 有機物成分の抽出方法と抽出装置 株式会社カラサワ ファイン 594058827 株式会社唐澤水熱研究所 508251405 嶋 宣之 100076163 唐澤 幸彦 B09B 3/00 20060101AFI20100205BHJP C07H 3/02 20060101ALN20100205BHJP C07H 3/06 20060101ALN20100205BHJP JPB09B3/00 304ZB09B3/00 303ZC07H3/02C07H3/06 6 1 OL 6 4C057 4D004 4C057AA02 4C057BB02 4C057BB04 4D004AA12 4D004BA06 4D004CA13 4D004CA22 4D004CA34 4D004CB31 4D004CB50 4D004CC03 4D004DA06 4D004DA07 この発明は、例えば木質系バイオマスからキシロオリゴ糖、リグニンおよびグルコースなどを抽出する有機物成分の抽出方法および抽出装置に関する。 例えば、特許文献1に記載された木質系バイオマスからグルコースを生成する方法が従来から知られている。 この従来の方法は、予めリグニンを選択的に分解してえられた木質セルロースからグルコースを生成するものである。つまり、リグニンを選択的に分解する工程と、グルコースを生成する工程とを別々にするいわゆるバッチ処理が基本になっている。特開2006−149343号公報 上記のように従来の方法では、リグニンを選択的に分解する工程と、グルコースを生成する工程とを別々にするいわゆるバッチ処理をしているので、その生成効率が悪いという問題があった。 この発明の目的は、有機物からその成分を連続的に抽出できる方法および装置を提供することである。 第1の発明は、ポンプから吐出させた有機物スラリーを加熱するとともに飽和水蒸気圧以上の圧力を保って所定の長さを有する流路に供給し、その流路過程で有機物成分が分解したところで、当該分解成分を抽出する点に特徴を有する。 第2の発明は、有機物スラリーを吐出するポンプと、このポンプから吐出された有機物スラリーを、飽和水蒸気圧以上の圧力下で加熱して連続的に加水分解させる流路と、この流路過程に設けるとともに、有機物スラリーの流れ方向に多数のろ過孔を形成した抽出器とを備え、上記ろ過孔は目的成分の粒子径に相当する大きさを有し、このろ過孔から目的の成分を流出させる点に特徴を有する。 第3の発明は、上記ろ過孔から流出する流れに対して、ろ過孔よりも下流側になる位置に流路抵抗を調整する圧力調整手段を設けた点に特徴を有する。 第4の発明は、上記流路過程に複数の抽出器を設けた点に特徴を有する。 第5の発明は、上記抽出器と圧力調整手段との間に蒸発濃縮手段を設けた点に特徴を有する。 第6の発明は、上記ポンプの上流側に有機物生成機構を設けるとともに、この有機物生成機構は、有機物と水とを混合する混合槽と、この混合槽で混合された混合液を圧縮して水分を搾取するとともにそれを過熱するスラリー生成槽と、このスラリー生成槽で生成されたスラリーを貯留するスラリータンクとを備え、このスラリータンクのスラリーを上記ポンプから吐出する構成にした点に特徴を有する。 第1〜4の発明によれば、有機物成分を連続的に生成できるので、高い生成効率を維持することができる。 特に、第3の発明によれば、抽出器の下流側にオリフィスなどからなる圧力調整手段を設けたので、抽出器から所定の成分を的確にかつほぼ100%近く回収することができる。 第4の発明によれば、複数の有機物成分を連続的の生成することができる。 第5の発明によれば、有機物成分の濃度を高めて質の高い成分を生成することができる。 第6の発明によれば、有機物スラリーを効率よく生成できる。 図示の実施形態は、木質バイオマスからキシロオリゴ糖、リグニンおよびグルコースを生成するための装置である。 この装置の混合槽1では、水とおが屑状にした木粉とを混合するが、このときの木粉の比率をほぼ3〜5%としている。このようにおが屑状の木粉の比率を極端に少なくしたのは、次の理由からである。すなわち、おが屑状の木粉の嵩比重が非常に小さいので、水が木粉の粒子の周囲になかなか付着しない。そこで、上記のように水に対して木粉を3〜5%にしてそれを攪拌し、木粉の粒子に水が付着しやすいようにしたものである。なお、上記の混合槽1には、コンプレッサー2から圧縮空気を供給して攪拌するようにしている。 上記のように混合槽1で水に混合した木粉をスラリー生成槽3に供給するとともに、このスラリー生成槽3にコンプレッサー2からの圧縮空気を供給して、木粉に付着した水を搾り取る。なお、コンプレッサー2でスラリー生成槽3を加圧するときには、飽和水蒸気圧以上の最低圧力と600MPa前後の最高圧を交互に作用させるようにしている。 上記のようにして水を搾り取ることによって、スラリー生成槽3において、最大固形分濃度を65%にまであげることができる。なお、この段階で搾り取られた水はタンク4に導かれる。 固形分濃度を65%程度にしたら、スラリー生成槽3の周囲に設けた加熱手段5で当該生成槽3を加熱し、木粉を加水分解して流動性を保ったスラリーを生成するとともに、この流動性を保ったスラリーをスラリータンク6に貯留する。このスラリータンク6に貯留されるスラリーは、ヘミセルロース、リグニンおよびセルロースが含まれているが、その構成比は、大体、ヘミセルロースが25%、リグニンが25%、セルロースが50%である。 上記のようにスラリータンク6に貯留されたスラリーは、ポンプPを介して流路7に供給されるが、この流路7の最上流には加熱器8が設けられるとともに、その下流側には蒸発濃縮手段9の放出熱を導く熱交換手段10を設けている。さらに、この熱交換手段10の下流側に第1抽出器11を設けている。 上記第1抽出器11は、その周囲にほぼ10μm程度のろ過孔を多数形成したろ過膜を備えたもので、そのろ過孔を通過した流体は上記した蒸発濃縮手段9を経由してキシロオリゴ糖を貯留するタンク12に導かれる。また、このタンク12と上記蒸発濃縮手段9との間にはオリフィス13を設けている。 上記第1抽出器11の下流には加熱器14を設けるとともに、この加熱器14の下流側には蒸発濃縮手段15の放出熱を導く熱交換手段16を設けている。さらに、この熱交換手段16の下流側に第2抽出器17を設けている。 上記第2抽出器17は、その周囲にほぼ10μm程度のろ過孔を多数形成したろ過膜を備えたもので、そのろ過孔を通過した流体は上記した蒸発濃縮手段15を経由してグルコースを貯留するタンク18に導かれる。また、このタンク18と上記蒸発濃縮手段15との間にはオリフィス19を設けている。 そして、上記第2抽出器17の下流にはオリフィス20を介してリグニンを回収するタンク21を設けている。 また、上記ポンプPからスラリーが流路7に吐出されるときには、第1抽出器11の上流側が5MPaに維持され、最終段階のオリフィス20の上流側が4MPaに維持されるようにしている。つまり、第1抽出器11の上流側とオリフィス20の上流側との差圧が1MPaに保たれるようにしている。 上記のような圧力関係を維持してポンプPから流路7に吐出されたスラリーは、加熱器8でほぼ150度に加熱されるが、スラリー中の25%のヘミセルロース成分は、150度で所定時間加熱されると、キシロオリゴ糖に分解される。この所定時間とは、結局加熱器8から第1抽出器11までの長さに比例するが、この流路の長さを決める第1抽出器11の位置は、ヘミセルロースがキシロオリゴ糖に分解される流路長さを保った位置ということになる。 そして、第1抽出器11のろ過膜のろ過孔は、上記キシロオリゴ糖を通過させるだけの孔径を保っているが、それが上記したほぼ10μmということになる。したがって、第1抽出器11を通過する過程でキシロオリゴ糖が抽出されることになる。 また、上記オリフィス13の孔径は、上記した差圧1MPaに対して25%減圧した4.75MPaに保たれるようにしている。このように第1抽出器11の上流側とオリフィス13の上流側との差圧を0.25MPaとしたのは、構成比が25%のヘミセルロースを分解してなるキシロオリゴ糖の粒子に付着している水分量も全体の25%に相当するものとして、その25%の水分量を第1抽出器11で抽出しながら、キシロオリゴ糖をタンク12に導くようにするためである。 このようにして第1抽出器11で、25%の水分量とともに抽出されたキシロオリゴ糖の水溶液は、蒸発濃縮手段9で水分を蒸発させてその成分濃度をあげてからタンク12に導かれる。 なお、蒸発濃縮手段9はそこに導かれたキシロオリゴ糖の水溶液を減圧して、水分を蒸発させるようにしているが、このときに放出される熱を、熱交換手段10に導いて再利用している。このように熱交換手段10を介して蒸発濃縮手段9の放出熱を再利用することによって、加熱器8の負担を軽くし、エネルギー消費を節約するようにしている。 上記のようにして初期の状態から25%の水分量が抽出されたスラリーは、加熱器14で250度に再び加熱されて流路7を流通していくが、このときのスラリーの圧力は、先に減圧された分だけ低くなるので、4.75MPaとなる。また、このときのスラリーの成分は、初期のスラリー量における25%のリグニンと、50%のセルロースということになる。 そして、上記50%のセルロース成分は、250度で所定時間加熱されると、グルコースに分解される。この所定時間とは、結局加熱器14から第2抽出器17までの長さに比例するが、この流路の長さを決める第2抽出器17の位置は、セルロースがグルコースに分解される流路長さを保った位置ということになる。 そして、第2抽出器17のろ過膜のろ過孔は、上記グルコースを通過させるだけの孔径を保っているが、それがほぼ10μmである。したがって、第2抽出器17を通過する過程でグルコースが抽出されることになる。 また、上記オリフィス19の孔径は、上記した差圧1MPaに対して50%分を減圧した4.25MPaに保たれるようにしている。このように第2抽出器17の上流側とオリフィス19の上流側との差圧を0.50MPaとしたのは、構成比が50%のセルロースを分解してなるグルコースの粒子に付着している水分量も全体の50%に相当するものとして、その50%の水分量を第2抽出器17で抽出しながら、グルコースをタンク18に導くようにするためである。 このようにして第2抽出器17で、50%の水分量とともに抽出されたグルコースの水溶液は、蒸発濃縮手段15で水分を蒸発させてその成分濃度をあげてからタンク18に導かれる。 なお、蒸発濃縮手段15は、蒸発濃縮手段9と同様に、そこに導かれたグルコースの水溶液を減圧して、水分を蒸発させるようにしたもので、このときに放出される熱を、熱交換手段16に導いて再利用している。したがって、熱交換手段10の場合と同様に、加熱器8の負担を軽くできる。 第2抽出器17でグルコースを抽出されたスラリー中にはリグニンだけが残り、それがオリフィス20を経由してタンク21に導かれる。 なお、この実施形態におけるオリフィス13,19,20のそれぞれは、この発明の圧力調整手段を構成するものである。 ただし、この発明における圧力調整手段を、上記オリフィス13,19,20に限定されるものではなく、減圧弁等の圧力制御弁も含まれる概念である。この発明の実施形態を示す回路図である。符号の説明 1 混合槽 3 スラリー生成槽 6 スラリータンク P ポンプ 7 流路8,14 加熱器9,15 蒸発濃縮手段11 第1抽出器13,19,20 圧力調整手段としてのオリフィス17 第2抽出器 ポンプから吐出させた有機物スラリーを加熱するとともに飽和水蒸気圧以上の圧力を保って所定の長さを有する流路に供給し、その流路過程で有機物成分が分解したところで、当該分解成分を抽出する有機物成分の抽出方法。 有機物スラリーを吐出するポンプと、このポンプから吐出された有機物スラリーを、飽和水蒸気圧以上の圧力下で加熱して連続的に加水分解させる流路と、この流路過程に設けるとともに、有機物スラリーの流れ方向に多数のろ過孔を形成した抽出器とを備え、上記ろ過孔は目的成分の粒子径に相当する大きさを有し、このろ過孔から目的の成分を流出させる有機物成分の抽出装置。 上記ろ過孔から流出する流れに対して、ろ過孔よりも下流側になる位置に流路抵抗を調整する圧力調整手段を設けた請求項2記載の有機物成分の抽出装置。 上記流路過程に複数の抽出器を設けた請求項2または3記載の有機物成分の抽出装置。 上記抽出器と圧力調整手段との間に蒸発濃縮手段を設けた請求項3または4記載の有機物成分の抽出装置。 有機物と水とを混合する混合槽と、この混合槽で混合された混合液を圧縮して水分を搾取するとともにそれを過熱するスラリー生成槽と、このスラリー生成槽で生成されたスラリーを貯留するスラリータンクとを備え、このスラリータンクのスラリーを上記ポンプから吐出する構成にした請求項2〜5のいずれかに記載の有機物成分の抽出装置。 【課題】 有機物スラリーからその成分を連続的に生成することを目的にする。【解決手段】 有機物スラリーを吐出するポンプPと、このポンプPから吐出された有機物スラリーを、飽和水蒸気圧以上の圧力下で加熱して連続的に加水分解させる流路7と、この流路過程に設けるとともに、有機物スラリーの流れ方向に多数のろ過孔を形成した抽出器11,17とを備え、上記ろ過孔は目的成分の粒子径に相当する大きさを有し、このろ過孔から目的の成分を流出させる。【選択図】 図1