生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_希土類錯体およびこれを用いた発光材料
出願番号:2008206854
年次:2009
IPC分類:C07C 49/92,C09K 11/06,H01L 51/50,H05B 33/12,C07D 401/04,C07F 5/00


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山元 一浩 JP 2009084267 公開特許公報(A) 20090423 2008206854 20080811 希土類錯体およびこれを用いた発光材料 石原産業株式会社 000000354 山元 一浩 JP 2007212256 20070816 C07C 49/92 20060101AFI20090327BHJP C09K 11/06 20060101ALI20090327BHJP H01L 51/50 20060101ALI20090327BHJP H05B 33/12 20060101ALI20090327BHJP C07D 401/04 20060101ALI20090327BHJP C07F 5/00 20060101ALN20090327BHJP JPC07C49/92C09K11/06 660H05B33/14 BH05B33/12 EC07D401/04C07F5/00 D 9 1 OL 8 3K107 4C063 4H006 4H048 3K107AA01 3K107BB01 3K107BB02 3K107CC04 3K107DD64 3K107EE25 4C063AA01 4C063BB01 4C063CC44 4C063DD12 4C063EE10 4H006AA01 4H006AB92 4H048AA01 4H048AB92 4H048BA08 4H048VB10 本発明は、高い発光効率を有する希土類錯体およびこれを用いた発光材料に関する。 ディスプレイや照明など幅広い分野における新しい光源として希土類錯体からなる発光材料に関心が持たれており、高発光効率、高耐久性の化合物を得るべく研究が続けられている。発光効率を高める方法として最も注目されているのは、三重項励起状態から生じるリン光の利用である。リン光発光素子の場合、一重項励起状態が生成しても、安定な三重項励起状態への転換が起こりうるので、原理的に100%の発光効率が可能となる。 また、リン光発光型素子は、発光ドーパントとホスト材料を組み合わせて発光層を形成しており、希土類錯体は発光ドーパントとして用いられるが、その希土類原子の種類や配位子の構造を変更することにより、発光波長を変化させることもできる。従って、希土類原子の種類や配位子の構造を最適化し、高性能な発光材料が見出されることが期待されている。 非特許文献1には、3個のβ-ジケトン配位子及び1個の中性配位子から構成されるユーロピウム錯体が、発光ダイオード用の材料として有用であることが記載されている。このものの中性配位子としては、5,6−ジフェニル−3−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアジンなどが使用されている。しかしながら、このものの発光特性は十分満足できるレベルにあるとはいえない。Thin Solid Films 496(2006)489-493 本発明の目的は、高い発光効率を有する希土類錯体を提供することである。 本発明者は、前述したユーロピウム錯体の発光効率を高めるため鋭意研究を重ねた結果、中性配位子のピリジン環部位に電子吸引性基であるトリフルオロメチル基を導入した式(I)で表される希土類錯体が、前述の課題を解決できるとの知見を得て、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、式(I):〔式中、Lnは希土類原子を表し;R1およびR2は、各々独立にアルキル、ペルフルオロアルキル、置換されてもよいアリールまたは置換されてもよいヘテロアリールであり;R3はハロゲン原子、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロまたはアルコキシカルボニルであり;Arは置換されてもよいアリールまたは置換されてもよいヘテロアリールであり;mは1または2であり;nは0、1または2である〕で表される希土類錯体、該錯体からなる発光材料、該錯体からなる発光材料、および該発光材料を用いた発光素子に関する。 本発明に係る希土類錯体は、高い発光効率を有し、表示デバイス分野や照明用の発光材料として期待できる。また、分析用などの特殊光源や偽造防止印刷用などに用いられるセキュリティーインキ、装飾や芸術分野などに使用されるインキ等、幅広い分野にも応用が可能である。 式(I)中のLnとしては、ユーロピウムまたはテルビウムなどが挙げられる。 式(I)中のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられる。式(I)中のアルキル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アルキルチオまたはアルコキシカルボニル中のアルキル部分としては、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルのようなC1−6のものなどが挙げられる。ペルフルオロアルキルとしては、例えば、トリフルオロメチル、テトラフルオロエチルなどが挙げられる。 式(I)中の、置換されてもよいアリール中のアリールとしては、フェニルまたはナフチルなどが挙げられる。 式(I)中の、置換されてもよいヘテロアリール中のヘテロアリールとしては、フリルまたはチエニルなどが挙げられる。 式(I)中の、置換されてもよいアリールまたは置換されてもよいヘテロアリールの置換基としては、前述のR3に定義された置換基が挙げられ、その数は1または2以上であってもよく、2以上の場合、各置換基は同一であっても相異なっていてもよい。 式(I)中で、nが2の場合、R3は同一であっても相異なっていてもよい。 式(I)中で、2つ存在するArは同一であっても相異なっていてもよい。 前記式(I)で表される希土類錯体は、例えば以下のフローに示した方法により、製造できる。フロー中、Ln、R1、R2、R3、Ar、m及びnは前述の通りであり、xは0または任意の整数である。(1)前記フロー中、式(II)で表される化合物は、エタノールなどの溶媒の存在下で、式(III)のヒドラジン一水和物と反応させて、式(IV)の化合物とすることができる。この反応は、後記合成例(1)の反応に準じて行うことができる。(2)(1)で得られた式(IV)の化合物と、式(V)で表されるジアリールエタンジオン系化合物とを、エタノールなどの溶媒の存在下で反応させて式(VI)の化合物を得ることができる。この反応は、後記合成例(2)の反応に準じて行うことができる。(3)(2)で得られた式(VI)の化合物を、式(VII)で表される化合物及び式(VIII)で表されるアセチルアセトナート系化合物と反応させることにより、前記式(I)で表される希土類錯体を得ることができる。この反応は、後記合成例(3)の反応に準じて行うことができる。 また、後記フローに示したように、前記式(VI)の化合物と、式(IX)の化合物を等モル使用し、適当な溶媒中で反応させることにより、前記式(I)で表される希土類錯体を得ることもできる。 本発明の希土類錯体の望ましい態様を以下に列記するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(1)前記式(I)で表される希土類錯体。(2)Lnがユーロピウムまたはテルビウムである前記(1)に記載の希土類錯体。(3)Lnがユーロピウムである前記(1)に記載の希土類錯体。(4)Lnがテルビウムである前記(1)に記載の希土類錯体。(5)R1およびR2が、各々独立にアルキルまたはペルフルオロアルキルである前記(1)に記載の希土類錯体。(6)ArがR3で置換されてもよいアリールまたはR3で置換されてもよいヘテロアリールである前記(1)〜(5)に記載の希土類錯体。(7)ヘテロアリールがフリルまたはチエニルである前記(6)に記載の希土類錯体。(8)3−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン−トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム錯体、3−(4−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン−トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム錯体、3−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン−トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム錯体または3−(6−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン−トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム錯体。 本発明の希土類錯体は、発光材料として用いることができる。また、本発明の希土類錯体は、発光素子(LED)用の発光材料として使用することができる。その際、これに紫外線を照射させて発光させることができる。また、電圧を印加させて発光させることもできる。例えば、前記(3)の希土類錯体は赤色の発光材料として用いることができる。 以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。合成例 3−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン−トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム錯体の合成(1) 5−トリフルオロメチル−2−シアノピリジン5.0gを27mLのエタノールに溶解し、ヒドラジン一水和物27mLを加え室温で約2時間攪拌した。反応終了後、飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出して、粗製の5−トリフルオロメチルピリジン−2−カルボキシイミドヒドラジド5.5gを得た。(2) 5−トリフルオロメチルピリジン−2−カルボキシイミドヒドラジド1.5g、ベンジル1.55g、45mLエタノールの混合物を加熱還流下に一夜攪拌して、放冷した。減圧下にエタノールを留去し、得られた粗結晶をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、融点153−154℃の3−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン3.0gを得た。(3) 3−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン1.0g、塩化第二ユーロピウム(III)6水和物970mg、22mLメタノールの混合物を約50℃で一夜攪拌した。トリフルオロアセチルアセトン1.23g、1規定水酸化ナトリウム8.0mL、36mLメタノールの混合溶液を滴下し加え、さらに一夜攪拌した。反応液を放冷後、不溶物をろ過除去し、ろ液に水を加えて攪拌した。析出した結晶をろ取し、乾燥して粗結晶を得た。粗結晶をクロロホルムに溶解し、微量の不溶物をろ過除去した後、減圧下に濃縮した。濃縮物に少量のクロロホルムを加え、溶解した後、徐々にヘキサンを添加し攪拌した。結晶をろ取し、乾燥して、融点169〜170℃の目的物690mgを得た。試験例1 合成例で得られた3−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン−トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム錯体の発光スペクトルおよび励起スペクトルを測定した。測定装置:日本分光製、分光蛍光光度計 FP−6500比較例1 試験例1と同様にして、非特許文献1に記載の方法にて製造した3−(2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン−トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム錯体の発光スペクトルおよび励起スペクトルを測定した。 図1に、試験例1と比較例1の発光スペクトルのグラフを示す。本発明の希土類錯体は、発光強度が強くなっており、面積比較を行うと比較例1のものより約1.4倍発光強度が増加したことがわかる。また、本発明の希土類錯体の発光極大波長は、わずかに短波長シフトしているが、621nm付近に強度の強い新たな発光ピークが出現していることから良好な色度を示す。 図2に、試験例1と比較例1の励起スペクトルのグラフを示す。本発明の希土類錯体は、比較例のものより励起強度が強くなっており、また励起波長域が広がっていることがわかる。試験例2 合成例で得られた3−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン−トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム錯体の粉体について、励起波長380nmにおける発光量子収率の絶対値を測定したところ、66.7%であった。測定装置:浜松ホトニクス製、絶対PL量子収率測定装置 C9920−02比較例2 試験例2と同様にして、非特許文献1に記載の方法にて製造した3−(2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン−トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム錯体の粉体について、励起波長380nmにおける発光量子収率の絶対値を測定したところ、44.5%であった。 試験例2と比較例2の測定結果を比較すると、本発明の希土類錯体は、発光量子収率が約22ポイント向上しており、良好な性能を有することがわかる。図1は本発明の実施例である希土類錯体と比較化合物の発光スペクトルのグラフである。図2は本発明の実施例である希土類錯体と比較化合物の励起スペクトルのグラフである。 式(I):〔式中、Lnは希土類原子を表し;R1およびR2は、各々独立にアルキル、ペルフルオロアルキル、置換されてもよいアリールまたは置換されてもよいヘテロアリールであり;R3はハロゲン原子、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロまたはアルコキシカルボニルであり;Arは置換されてもよいアリールまたは置換されてもよいヘテロアリールであり;mは1または2であり;nは0、1または2である〕で表される希土類錯体。Lnがユーロピウムである請求項1に記載の希土類錯体。R1およびR2が、各々独立にアルキルまたはペルフルオロアルキルである請求項1に記載の希土類錯体。ArがR3で置換されてもよいアリールまたはR3で置換されてもよいヘテロアリールである請求項1に記載の希土類錯体。ヘテロアリールがフリルまたはチエニルである請求項4に記載の希土類錯体。請求項1に記載の希土類錯体からなる発光材料。請求項1に記載の希土類錯体からなる発光材料を含有する発光素子。請求項7に記載の発光素子であり、これに紫外線を照射し発光させることを特徴とする発光素子。請求項7に記載の発光素子であり、これに電圧を印加し発光させることを特徴とする発光素子。 【課題】高い発光効率を有する希土類錯体およびこれを用いた発光材料を提供する。【解決手段】式(I)〔式中、Lnは希土類原子を表し;R1およびR2は、各々独立にアルキル、ペルフルオロアルキル、置換されてもよいアリールまたは置換されてもよいヘテロアリールであり;R3はハロゲン原子、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロまたはアルコキシカルボニルであり;Arは置換されてもよいアリールまたは置換されてもよいヘテロアリールであり;mは1または2であり;nは0、1または2である〕で表される希土類錯体、並びに該錯体からなる発光材料を提供する。【選択図】図1


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