タイトル: | 公開特許公報(A)_ゴムの引張試験方法およびそれに用いる試験片 |
出願番号: | 2008176623 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 3/08,G01N 3/00 |
山田 力 JP 2010014641 公開特許公報(A) 20100121 2008176623 20080707 ゴムの引張試験方法およびそれに用いる試験片 株式会社ブリヂストン 000005278 杉村 憲司 100147485 来間 清志 100114292 澤田 達也 100134005 冨田 和幸 100119530 山田 力 G01N 3/08 20060101AFI20091218BHJP G01N 3/00 20060101ALI20091218BHJP JPG01N3/08G01N3/00 A 3 1 OL 5 2G061 2G061AA01 2G061AB01 2G061BA04 2G061BA20 2G061CA10 2G061CB06 2G061CC01 2G061DA01 2G061EA02 2G061EA03 この発明は、各種の加硫ゴムに対する引張試験方法および、その方法の実施に用いる試験片に関するものであり、とくには、リング状試験片用の試験装置を用いて、ゴムの列理の影響を顕在化させることができる技術を提案するものである。 加硫ゴムの引張試験方法としては、JIS K6251に規定されているように、原則としてゴムの列理の方向と平行に採ったダンベル状試験片を用いる方法が広く一般に行われているが、たとえば、提供されたサンプルから、ダンベル状試験片を採取し難い場合や、より多数の試験片を採取したい場合等には、同規格にあるようなリング状試験片を採取して引張試験を行うこともまた行われている。 しかるに、円環形状をなして方向性をもたないリング状試験片を用いた従来の引張試験では、とくに、配向性の大きい配合ゴムに関し、たとえばカレンダー列理等の影響による異方性を明確にすることが困難であった。 この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、リング状試験片用の試験装置を用いてなお、加硫ゴムの、カレンダー列理等の影響による、引張試験における異方性を明確にすることができる、ゴムの引張試験方法および、それに用いる試験片を提供するにある。 この発明のゴムの引張試験方法は、一対の半円状部分と、これらの両半円状部分を繋ぐ一対の直線状部分とからなるレーストラック形状、いいかえれば長円形状の試験片を、それぞれの半円状部分で、ローラ等とすることができるそれぞれの掛止部に巻き掛けた状態で、一方の掛止部を他方の掛止部に対して、たとえば、試験片の長軸方向へ直線状に離隔変位させるにある。 このような引張試験方法に用いるこの発明の試験片は、ともに同一の曲率半径をもって相互に対向する一対の半円状部分のそれぞれを、一対の、相互に平行な直線状部分で相互連結してなる。 かかる試験片においてより好ましくは、各直線状部分を、それぞれの半円状部分に、接線の如くに滑らかに連続させてなる。 この発明の引張試験方法では、試験片の、それぞれの半円状部分を、ローラ等とすることができるそれぞれの掛止部に巻き掛けるとともに、一方の掛止部を他方の掛止部に対して離隔変位させることで、とくに、試験片の一対の直線状部分に作用する引張力に基いて、各種の引張応力、破断時強度、破断時伸び等についての所要の引張試験を行うことができる。 かくしてここでは、従来のリング状試験片用の、たとえば、実開昭53−19827号公報等に開示されているような試験装置をそのまま用いて引張試験を行うことができ、また、試験片の材料取りに当って、サンプル内での直線状部分の延在方向を所要に応じて選択することで、カレンダー列理、押出機列理等に起因する、ゴムの列理による異方性の影響を明確に求めることができる。 またこの発明の試験片では、ともに同一の曲率半径をもつ、相互に対向する一対の半円状部分のそれぞれを、一対の、相互に平行な直線状部分で相互連結することにより、相互に異なる曲率半径の一対の半円状部分を、両半円状部分間で長軸に対して傾いて延在する一対の直線状部分で連結する場合に比し、ゴムの異方性の影響をより正確に求めることができる。 そしてこのことは、試験片の各直線状部分を、それぞれの半円状部分に、接線の如く滑らかに連続させて、試験片を、長軸に対して線対称に構成された場合にとくに顕著である。 図1は、この発明に係る方法の実施形態を模式的に示す正面図であり、図中1はレーストラック形状をなす試験片を示す。この試験片1は、ともに同一の曲率半径で形成されて相互に対向する一対の半円状部分2を有するとともに、それらのそれぞれの半円状部分2に、接線の如くに滑らかに連続させて設けた一対の直線状部分3を有してなる。 このような試験片1の各半円状部分2の内周面は、たとえば25/2mmの半径を有するものとし、また、試験片1の全周にわたる厚みは、半円状部分と直線状部分3との別なく2mmとすることができる。 そして、各直線状部分3の長さは、たとえば、2〜35mmとすることができる。 ここでは、レーストラック形状のこのような試験片1の、それぞれの半円状部分2を、ローラとすることができる一対の掛止部4a,4bのそれぞれに巻き掛け、かかる状態で、図では下方側に位置する一方の掛止部4bを、上方に位置する他方の掛止部4aに対して、試験片1の長軸方向へ直線状に離隔変位させる。 ところで、一方の掛止部4bの上述したような離隔変位の下では、主には、試験片1のつかみ具としての掛止部4a,4bへの巻き掛け部である半円状部分2を除く、一対の直線状部分3に引張力が作用することになるので、その離隔変位に伴う引張力の変化等を測定することで、所要の引張試験結果を算出等することができ、このことを、直線状部分3の、サインプル内での延在方向の異なる複数の試験片1について行い、得られたデータを相互に対比することで、カレンダー列理、押出機列理等による配向に起因する、ゴム列理による異方性の影響を十分に顕在化させることができる。 縦横ともに150mm、厚さ2mm寸法の平板状加硫ゴムサンプルシートから、内外径がそれぞれ25фおよび29фのリング状試験片を切り出すとともに、半円状部分の内径が25/2mmで、厚さが2mm(サンプルシートの厚さ2mmは、切り出された試験片の幅に相当する)、直線状部分の長さが10.7mmの実施例試験片を切り出し、この実施例試験片では、直線状部分が、ゴムの配向(列理)方向に延在するものと、その配向方向と直交する方向に延在するものとの二種類を作成した。 これらの各試験片を、ストログラフT((株)東洋精機製作所製)を用いて、25℃の温度下で、300mm/minの引張速度で引張って引張試験を行い、n=4個の試験片につき、引張応力、破断時強度および破断時伸びを求めた。 これらの結果を、引張強さおよび伸びについてはJIS平均で、引張応力については算術平均値で整理したところ、表1に示す結果を得た。表1に示されるデータによれば、加硫ゴムの異方性の影響を明確に認識することができる。この発生に係る方法の実施形態を模式的に示す正面図である。符号の説明1 試験片2 半円状部分3 直線状部分4a,4b 掛止部 一対の半円状部分と、これらの両半円状部分を繋ぐ一対の直線状部分とからなるレーストラック形状の試験片を、それぞれの半円状部分でそれぞれの掛止部に巻き掛けた状態で、一方の掛止部を他方の掛止部に対して直線状に離隔変位させるゴムの引張試験方法。 請求項1に記載の引張試験方法に用いる試験片であって、 ともに同一の曲率半径をもつ一対の半円状部分のそれぞれを、一対の、相互に平行な直線状部分で相互連結してなる引張試験用試験片。 各直線状部分を、それぞれの半円状部分に滑らかに連続させてなる請求項2に記載の引張試験用試験片。 【課題】 リング状試験片用の試験装置を用いてなお、加硫ゴムの、カレンダー列理等の影響による、引張試験における異方性を明確にすることができる、ゴムの引張試験方法を提供する。【解決手段】 一対の半円状部分2と、これらの両半円状部分2を繋ぐ一対の直線状部分3とからなるレーストラック形状の試験片1を、それぞれの半円状部分3でそれぞれの掛止部4a,4bに巻き掛けた状態で、一方の掛止部4bを他方の掛止部4aに対して直線状に離隔変位させる。【選択図】図1