生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_イブプロフェン、トラネキサム酸及びケイ酸カルシウムを含有する固形製剤
出願番号:2008165187
年次:2010
IPC分類:A61K 31/192,A61K 31/195,A61K 9/14,A61K 9/20,A61K 9/48


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薄井 俊樹 JP 2010030903 公開特許公報(A) 20100212 2008165187 20080625 イブプロフェン、トラネキサム酸及びケイ酸カルシウムを含有する固形製剤 興和株式会社 000163006 佐伯 憲生 100102668 小板橋 浩之 100127133 薄井 俊樹 JP 2007165869 20070625 JP 2008163942 20080624 A61K 31/192 20060101AFI20100115BHJP A61K 31/195 20060101ALI20100115BHJP A61K 9/14 20060101ALI20100115BHJP A61K 9/20 20060101ALI20100115BHJP A61K 9/48 20060101ALI20100115BHJP JPA61K31/192A61K31/195A61K9/14A61K9/20A61K9/48 2 OL 10 4C076 4C206 4C076AA29 4C076AA36 4C076AA53 4C076BB01 4C076CC04 4C076DD27Q 4C076DD41C 4C076EE31A 4C076EE32B 4C076FF04 4C076FF05 4C076FF06 4C076FF09 4C076FF36 4C076GG11 4C076GG12 4C076GG14 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA24 4C206FA44 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA54 4C206MA55 4C206MA57 4C206MA61 4C206MA63 4C206MA72 4C206NA03 本発明は、高温保存条件下における膨張が抑制された、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤に関する。 イブプロフェン(ibuprofen)は、慢性関節リウマチ、関節痛及び関節炎、神経痛及び神経炎、脊腰痛等の疾患、症状の消炎、鎮痛に有効なほか、風邪症侯群、急性気管支炎、慢性気管支炎の急性増悪期の消炎、解熱などにも有効な非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)として広く使用されている薬物である。しかしながら、イブプロフェンには胃腸障害などの副作用があることや、鎮痛効果が比較的弱いことから、種々の薬物との配合製剤が検討されてきている。 例えば、イブプロフェンとブセチンなどのアニリン誘導体系解熱鎮痛剤とを配合した解熱鎮痛剤(特許文献1参照)、イブプロフェンとカフェインとを配合した製剤(特許文献2参照)、イブプロフェンとコデインとを配合した鎮痛組成物(特許文献3及び4参照)、イブプロフェンとアセトアミノフェンとを配合した解熱鎮痛剤(特許文献5及び6参照)、イブプロフェンとアセトアミノフェンとアリルイソプロピルアセチル尿素またはブロムワレリル尿素を配合する解熱鎮痛剤(特許文献7参照)、イブプロフェンと塩化リゾチームとを配合した感冒薬(特許文献8参照)、イブプロフェンとトラネキサム酸とを含む解熱鎮痛剤(特許文献9参照)などが報告されている。とりわけトラネキサム酸は、抗プラスミン作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用などを有する薬物として広く使用されているものであり、イブプロフェンとトラネキサム酸とを組み合わせた配合が多数開発されてきている。例えば、イブプロフェンとトラネキサム酸にさらにカフェインを配合した解熱鎮痛剤(特許文献10参照)、アスコルビン酸を配合した解熱鎮痛組成物(特許文献11参照)、アセトアミノフェンなどの非ピリン系解熱鎮痛薬と組み合わせた医薬製剤(特許文献12参照)、プソイドエフェドリン及び/又はフェニレフリンを配合した鼻炎用医薬組成物(特許文献13参照)、フェニルプロパノールアミンやプソイドエフェドリンなどのα受容体刺激剤及びフラボノイドとをさらに配合してなる感冒用医薬組成物(特許文献14参照)、クレマスチン及び/又はブロムヘキシンを配合した医薬組成物(特許文献15参照)などが報告されている。特公昭64−8602号公報特公平1−24131号公報特開平3−7218号公報特開平5−194227号公報特開平5−148139号公報特開平11−158066号公報特開平5−246845号公報特開平7−188004号公報特開平9−48728号公報特許第3667381号公報特開2006−1920号公報特開2005−187328号公報特開2005−232128号公報特開2005−194269号公報特開2006−124380号公報 本発明者らは、イブプロフェンとトラネキサム酸を含む固形製剤の研究開発を鋭意行ってきた。そしてこれらの保存性と安定性について検討してきたところ、これらの固形製剤は1〜25℃で保存すれば長期間に亘り安定に保存することが十分可能であるが、高温保存条件下では膨張が生起して、製剤にひび割れなどが発生することを見出した。 そして、本発明者らは、イブプロフェンとトラネキサム酸を含む固形製剤における高温保存条件下での膨張の問題を解決するために、この原因(膨張メカニズム)を探求してきた。イブプロフェンとトラネキサム酸を含む固形製剤は、高温保存条件下で膨張するが、このような膨張は、成分の分解などによるものではなく、吸湿によるものでもなく、従来の知識から想定されるいかなる膨張メカニズムにも当てはめて理解することができず、その原因(膨張メカニズム)を充分に解明することは非常に困難であった。 本発明者らは、膨張現象の再現条件として、高温保存条件下での膨張は、イブプロフェンとトラネキサム酸を同時に配合したときだけに起こり、それぞれを単一成分としたときには起こらないことを既に見いだしている。そのため、例えば、両方の成分を別々にした多層錠や有核錠にしてイブプロフェンとトラネキサム酸の接触を少なくするという解決手段も一応は考えられる。しかし、多層錠や有核錠は製造が煩雑になり、それによるコスト増加、生産効率の低下が生じるだけでなく、各層の界面における膨張の問題が残るために必ずしも好ましい解決手段ということはできなかった。 一方、本発明者らは、メカニズムの解明から離れた直接的な解決手段として、糖衣やフィルムコーティング等の被覆により製剤の膨張を押え込むことを試みた。しかし、固形製剤の膨張の程度が大きく、糖衣やフィルムコーティングだけで防止することは困難であった。 また、従来から行われているように、イブプロフェンとトラネキサム酸を含む固形製剤を常に1〜25℃で保存することにより膨張を抑制するということもできるが、流通上や保管上や、さらに使用上の不便は大きい。 したがって、本発明は、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、高温保存条件下における膨張が抑制された固形製剤を提供することを課題とする。 本発明者らは、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含む固形製剤を製造するに当たり、ケイ酸カルシウムを添加して使用することにより、高温保存条件下で急激に膨張する問題が生じない安定な固形製剤を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、ケイ酸カルシウムを含有する固形製剤に関する。 従って、本発明は、次の[1]〜[3]に関する。[1] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、 ケイ酸カルシウムを含有することを特徴とする固形製剤。[2] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、 膨張抑制成分として、ケイ酸カルシウムを含有することを特徴とする固形製剤。[3] ケイ酸カルシウムを含有してなる、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤のための膨張抑制剤。 また、本発明は、次の[4]〜[9]にも関する。[4] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤を製造する方法であって、 ケイ酸カルシウムを添加する工程、を含むことを特徴とする製造方法。[5] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤を製造する方法であって、 膨張抑制成分として、ケイ酸カルシウムを添加する工程、を含むことを特徴とする製造方法。[6] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤を製造するための、ケイ酸カルシウムの使用(use)。[7] 膨張抑制された、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤を製造するための、ケイ酸カルシウムの使用(use)。[8] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤の膨張を抑制するための、ケイ酸カルシウムの使用(use)。[9] ケイ酸カルシウムを添加することによって、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤の膨張を抑制する方法(method)。 本発明によれば、高温保存条件下においてもイブプロフェン及びトラネキサム酸を含む固形製剤の膨張が抑制された安定な固形製剤を得ることができる。 本発明によるイブプロフェン及びトラネキサム酸を含む固形製剤は、もし輸送及び保管時に高温保存条件下を経てしまったとしても、急激な膨張が生起することがなく、製剤にひび割れなどが生じることもない。従って、固形製剤の製品としての価値は、様々な流通や保管の条件下でも維持され、さらに使用上も便利なものとなっている。 本発明は、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、ケイ酸カルシウムを含有する固形製剤に関する。 本発明の固形製剤に含まれるイブプロフェンは、イブプロフェンのみならず、イブプロフェンの製薬上許容される塩をも使用することができ、これらは市販のものを使用することができる。本発明の固形製剤中に含まれるイブプロフェンの割合は、固形製剤全体に対してイブプロフェンとして1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、7〜50質量%が特に好ましい。 本発明の固形製剤に含まれるトラネキサム酸は、トラネキサム酸のみならず、トラネキサム酸の製薬上許容される塩をも使用することができ、これらは市販のものを使用することができる。本発明の固形製剤中に含まれるトラネキサム酸の割合は、固形製剤全体に対してトラネキサム酸として1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、7〜50質量%が特に好ましい。 本発明におけるケイ酸カルシウムの割合は、固形製剤全体に対して0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%が更に好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。 本発明の固形製剤は、イブプロフェンとトラネキサム酸以外の薬物、例えば、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、生薬類、漢方処方、カフェイン類等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいても良い。 解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、サリチル酸ナトリウム等が挙げられる。 抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、イソチペンジル塩酸塩、クレマスチンフマル酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェテロール塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェネタジン塩酸塩、メトジラジン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸、アリメマジン酒石酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、 dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、メキタジン、ジフェテロールリン酸塩等が挙げられる。 鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、クロペラスチン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、チペピジンクエン酸塩、ジブナートナトリウム、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、デキストロメトルファン・フェノールフタリン塩、チペピジンヒベンズ酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩等が挙げられる。 ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。 気管支拡張剤としては、例えば、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、 dl−メチルエフェドリンサッカリン塩等が挙げられる。 去痰剤としては、例えば、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩、カルボシステイン等が挙げられる。 催眠鎮静剤としては、ブロムワレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素等が挙げられる。 ビタミン類としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等が挙げられる。 抗炎症剤としては、塩化リゾチーム、セラプターゼ、グリチルリチン酸及びその類縁物質等が挙げられる。 胃粘膜保護剤としては、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる. 生薬類としては、ニンニク(大蒜)、マオウ(麻黄)、ナンテンジツ(南天実)、オウヒ(桜皮)、オンジ(遠志)、カンゾウ(甘草)、キキョウ(桔梗)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、セキサン(石蒜)、セネガ、バイモ(貝母)、ウイキョウ(茴香)、オウバク(黄柏)、オウレン(黄連)、ガジュツ、カミツレ、ケイヒ(桂皮)、ゲンチアナ、ゴオウ(牛黄)、獣胆(ユウタンを含む)、シャジン(沙参)、ショウキョウ(生姜)、ソウジュツ(蒼朮)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮)、ビャクジュツ(白朮)、ジリュウ(地竜)、チクセツニンジン(竹節人参)、ニンジン(人参)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。 漢方処方としては、葛根湯、桂枝湯、香蘇散、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、小青竜湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯、麻黄湯等が挙げられる。 カフェイン類としては、例えば、無水カフェインや、カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等が挙げられる。 本発明の固形製剤は、添加物として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等をさらに含んでいても良い。 賦形剤としては、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、蔗糖、糖アルコール、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。結合剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン等が挙げられる。崩壊剤としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。滑沢剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。 本発明の固形製剤の剤形としては例えば、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、錠剤、散剤等が挙げられ、特に錠剤が好ましい。固形製剤は糖衣やフィルムコーティング等により被覆されていても良い。 本発明の固形製剤は、イブプロフェン、トラネキサム酸及びケイ酸カルシウムを含有し、所望により添加物を含有させて、常法に従って製造することができる。すなわち、例えば剤形が錠剤である場合、イブプロフェン、トラネキサム酸、ケイ酸カルシウム及び通常用いられる各種添加物、所望により各種薬物を含有させて、日本薬局方製剤総則等の常法に従って、混合又は造粒し、得られた混合物又は造粒物に所望により滑沢剤を混合した後に打錠することで本発明の固形製剤を製造することができる。打錠するための造粒物はイブプロフェンとトラネキサム酸を分けて造粒してもよく、例えばイブプロフェン、トラネキサム酸及び通常用いられる各種添加物、所望により各種薬物を含有させて、日本薬局方製剤総則等の常法に従って、イブプロフェンとトラネキサム酸を分けて造粒し、これら造粒物と、所望により滑沢剤を混合した後に打錠することで、本発明の固形製剤を製造することができる。ケイ酸カルシウムは、イブプロフェンとトラネキサム酸を分けて造粒した場合、いずれか一方の造粒物中に含まれていてもよいし、また打錠に際して、混合することも可能である。例えば固形製剤が錠剤である場合、より具体的には、イブプロフェン、トラネキサム酸、ケイ酸カルシウム及び各種薬物や錠剤の製造に通常用いられる各種添加物を用いて湿式造粒し、得られた顆粒と滑沢剤を混合した後に打錠することで、本発明の固形製剤を製造することができる。また、イブプロフェン、トラネキサム酸、ケイ酸カルシウム及び各種薬物や錠剤の製造に通常用いられる各種添加物を用いて日本薬局方製剤総則等の常法により顆粒化し、この顆粒と滑沢剤を混合した後に打錠することによっても、本発明の固形製剤を製造することができる。[実施例] 以下に、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 イブプロフェン900g(米沢浜理製:商品名 日本薬局方イブプロフェン)、トラネキサム酸1499.4g(第一三共プロファーマ製:商品名 日本薬局方トラネキサム酸)、ケイ酸カルシウム549g(エーザイフードケミカル製:商品名 フローライトRE)、ヒドロキシプロピルセルロース106.2g、結晶セルロース1348.2g、クロスカルメロースナトリウム360gを高速攪拌造粒機(深江工業製:FS−10型)に投入して混合後、精製水466gを添加して練合した。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業製:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工製:ND−10型)を用いて整粒した。この整粒物4762.8g及びステアリン酸マグネシウム97.2gを混合機(コトブキ製:PM50型)に投入して混合した後、直径8.5mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所製:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の質量が270mgの錠剤18000錠を得た。[比較例1] 実施例1のケイ酸カルシウムを配合しない代わりに結晶セルロース549gを追加で配合し、その他は実施例1と同様にして錠剤を得た。[試験例1]膨張の評価 実施例1、並びに比較例1で製造した錠剤を1錠ずつガラス瓶(2K規格)に入れ、密栓をした後、40℃の恒温容器に1ヶ月間〜6ヶ月間、又は50℃の恒温容器に1週間〜1ヶ月間保存した。デジタルマイクロメーターで測定した製造直後の錠剤の厚みと保存後の錠剤の厚みから、以下の式(1)で定義される膨張率(%)を算出した。 膨張率(%) = (D−D0)/D0 × 100 (1) 式中、Dは保存後の錠剤の厚みであり、D0は製造直後の錠剤の厚みである。 実施例1、並びに比較例1で得られた錠剤1錠あたりの処方と、試験結果を次の表1に示す。 表1から明らかなように、ケイ酸カルシウムを含まない製剤(比較例1)では、40℃1ヶ月の保存後の膨張率(%)は7.5%、50℃1週間の保存後の膨張率(%)は11.6%と高温保存条件下において、急激な高い膨張率を認めた。その一方で、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有し、かつケイ酸カルシウムを含有する本発明の固形製剤(実施例1)では、40℃1ヶ月の保存後の膨張率(%)は1.9%、50℃1週間の保存後の膨張率(%)は3.9%へと顕著に低減されていた。 また、ケイ酸カルシウムを含まない製剤(比較例1)では、40℃6ヶ月の保存後の膨張率(%)は12.5%、50℃1ヶ月の保存後の膨張率(%)は14.6%と高温保存条件下において、高い膨張率を認めた。その一方で、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有し、かつケイ酸カルシウムを含有する本発明の固形製剤(実施例1)では、40℃6ヶ月の保存後の膨張率(%)は6.1%、50℃1ヶ月の保存後の膨張率(%)は8.1%へと顕著に低減されていた。40℃及び50℃での全期間にわたって、本発明の固形製剤の膨張率は、本発明にかかるケイ酸カルシウムを含まない比較例1の固形製剤の膨張率と比較して、顕著に低減されていた。 また、比較例1は膨張率が高いため、脆くなり、錠剤の割れや欠けが生じやすかったが、本発明の固形製剤(実施例1)は、上記のような苛酷な高温条件での保存後でも錠剤の割れや欠けが認められず、安定な錠剤であることがわかった。 本発明は、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有し、高温条件下で保存しても急激な膨張が生じない安定な固形製剤を提供するものである。イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する製剤は、これらの成分が有する薬効のみではなく、薬効増強や副作用低減といった付加的な効果を得られることも知られており、本発明はこのような有用な医薬製剤を安定に提供することを可能とする。本発明で得られた固形製剤を使用すれば、長期間の保存や高温条件下での使用が可能となり、製薬産業において極めて有用である。 イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、 ケイ酸カルシウムを含有することを特徴とする固形製剤。 ケイ酸カルシウムを添加することによって、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤の膨張を抑制する方法。 【課題】 イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、高温保存条件下における膨張が抑制された固形製剤を提供すること。【解決手段】 イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、ケイ酸カルシウムを含有することを特徴とする固形製剤。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_イブプロフェン、トラネキサム酸及びケイ酸カルシウムを含有する固形製剤

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タイトル:特許公報(B2)_イブプロフェン、トラネキサム酸及びケイ酸カルシウムを含有する固形製剤
出願番号:2008165187
年次:2014
IPC分類:A61K 31/192,A61K 31/195,A61K 9/20,A61K 47/04


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薄井 俊樹 JP 5475254 特許公報(B2) 20140214 2008165187 20080625 イブプロフェン、トラネキサム酸及びケイ酸カルシウムを含有する固形製剤 興和株式会社 000163006 佐伯 憲生 100102668 中村 正展 100182486 佐伯 拓郎 100189131 佐伯 裕子 100147289 牛山 直子 100158872 薄井 俊樹 JP 2007165869 20070625 JP 2008163942 20080624 20140416 A61K 31/192 20060101AFI20140327BHJP A61K 31/195 20060101ALI20140327BHJP A61K 9/20 20060101ALI20140327BHJP A61K 47/04 20060101ALI20140327BHJP JPA61K31/192A61K31/195A61K9/20A61K47/04 A61K 9/00− 9/72 A61K31/00−33/40 A61K47/00−47/48 CAplus/REGISTRY(STN) 特開2006−131575(JP,A) 特開平04−253922(JP,A) 特開平09−048728(JP,A) 2 2010030903 20100212 9 20110217 辰己 雅夫 本発明は、高温保存条件下における膨張が抑制された、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤に関する。 イブプロフェン(ibuprofen)は、慢性関節リウマチ、関節痛及び関節炎、神経痛及び神経炎、脊腰痛等の疾患、症状の消炎、鎮痛に有効なほか、風邪症侯群、急性気管支炎、慢性気管支炎の急性増悪期の消炎、解熱などにも有効な非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)として広く使用されている薬物である。しかしながら、イブプロフェンには胃腸障害などの副作用があることや、鎮痛効果が比較的弱いことから、種々の薬物との配合製剤が検討されてきている。 例えば、イブプロフェンとブセチンなどのアニリン誘導体系解熱鎮痛剤とを配合した解熱鎮痛剤(特許文献1参照)、イブプロフェンとカフェインとを配合した製剤(特許文献2参照)、イブプロフェンとコデインとを配合した鎮痛組成物(特許文献3及び4参照)、イブプロフェンとアセトアミノフェンとを配合した解熱鎮痛剤(特許文献5及び6参照)、イブプロフェンとアセトアミノフェンとアリルイソプロピルアセチル尿素またはブロムワレリル尿素を配合する解熱鎮痛剤(特許文献7参照)、イブプロフェンと塩化リゾチームとを配合した感冒薬(特許文献8参照)、イブプロフェンとトラネキサム酸とを含む解熱鎮痛剤(特許文献9参照)などが報告されている。とりわけトラネキサム酸は、抗プラスミン作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用などを有する薬物として広く使用されているものであり、イブプロフェンとトラネキサム酸とを組み合わせた配合が多数開発されてきている。例えば、イブプロフェンとトラネキサム酸にさらにカフェインを配合した解熱鎮痛剤(特許文献10参照)、アスコルビン酸を配合した解熱鎮痛組成物(特許文献11参照)、アセトアミノフェンなどの非ピリン系解熱鎮痛薬と組み合わせた医薬製剤(特許文献12参照)、プソイドエフェドリン及び/又はフェニレフリンを配合した鼻炎用医薬組成物(特許文献13参照)、フェニルプロパノールアミンやプソイドエフェドリンなどのα受容体刺激剤及びフラボノイドとをさらに配合してなる感冒用医薬組成物(特許文献14参照)、クレマスチン及び/又はブロムヘキシンを配合した医薬組成物(特許文献15参照)などが報告されている。特公昭64−8602号公報特公平1−24131号公報特開平3−7218号公報特開平5−194227号公報特開平5−148139号公報特開平11−158066号公報特開平5−246845号公報特開平7−188004号公報特開平9−48728号公報特許第3667381号公報特開2006−1920号公報特開2005−187328号公報特開2005−232128号公報特開2005−194269号公報特開2006−124380号公報 本発明者らは、イブプロフェンとトラネキサム酸を含む固形製剤の研究開発を鋭意行ってきた。そしてこれらの保存性と安定性について検討してきたところ、これらの固形製剤は1〜25℃で保存すれば長期間に亘り安定に保存することが十分可能であるが、高温保存条件下では膨張が生起して、製剤にひび割れなどが発生することを見出した。 そして、本発明者らは、イブプロフェンとトラネキサム酸を含む固形製剤における高温保存条件下での膨張の問題を解決するために、この原因(膨張メカニズム)を探求してきた。イブプロフェンとトラネキサム酸を含む固形製剤は、高温保存条件下で膨張するが、このような膨張は、成分の分解などによるものではなく、吸湿によるものでもなく、従来の知識から想定されるいかなる膨張メカニズムにも当てはめて理解することができず、その原因(膨張メカニズム)を充分に解明することは非常に困難であった。 本発明者らは、膨張現象の再現条件として、高温保存条件下での膨張は、イブプロフェンとトラネキサム酸を同時に配合したときだけに起こり、それぞれを単一成分としたときには起こらないことを既に見いだしている。そのため、例えば、両方の成分を別々にした多層錠や有核錠にしてイブプロフェンとトラネキサム酸の接触を少なくするという解決手段も一応は考えられる。しかし、多層錠や有核錠は製造が煩雑になり、それによるコスト増加、生産効率の低下が生じるだけでなく、各層の界面における膨張の問題が残るために必ずしも好ましい解決手段ということはできなかった。 一方、本発明者らは、メカニズムの解明から離れた直接的な解決手段として、糖衣やフィルムコーティング等の被覆により製剤の膨張を押え込むことを試みた。しかし、固形製剤の膨張の程度が大きく、糖衣やフィルムコーティングだけで防止することは困難であった。 また、従来から行われているように、イブプロフェンとトラネキサム酸を含む固形製剤を常に1〜25℃で保存することにより膨張を抑制するということもできるが、流通上や保管上や、さらに使用上の不便は大きい。 したがって、本発明は、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、高温保存条件下における膨張が抑制された固形製剤を提供することを課題とする。 本発明者らは、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含む固形製剤を製造するに当たり、ケイ酸カルシウムを添加して使用することにより、高温保存条件下で急激に膨張する問題が生じない安定な固形製剤を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、ケイ酸カルシウムを含有する固形製剤に関する。 従って、本発明は、次の[1]〜[3]に関する。[1] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、 ケイ酸カルシウムを含有することを特徴とする固形製剤。[2] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、 膨張抑制成分として、ケイ酸カルシウムを含有することを特徴とする固形製剤。[3] ケイ酸カルシウムを含有してなる、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤のための膨張抑制剤。 また、本発明は、次の[4]〜[9]にも関する。[4] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤を製造する方法であって、 ケイ酸カルシウムを添加する工程、を含むことを特徴とする製造方法。[5] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤を製造する方法であって、 膨張抑制成分として、ケイ酸カルシウムを添加する工程、を含むことを特徴とする製造方法。[6] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤を製造するための、ケイ酸カルシウムの使用(use)。[7] 膨張抑制された、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤を製造するための、ケイ酸カルシウムの使用(use)。[8] イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤の膨張を抑制するための、ケイ酸カルシウムの使用(use)。[9] ケイ酸カルシウムを添加することによって、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤の膨張を抑制する方法(method)。 本発明によれば、高温保存条件下においてもイブプロフェン及びトラネキサム酸を含む固形製剤の膨張が抑制された安定な固形製剤を得ることができる。 本発明によるイブプロフェン及びトラネキサム酸を含む固形製剤は、もし輸送及び保管時に高温保存条件下を経てしまったとしても、急激な膨張が生起することがなく、製剤にひび割れなどが生じることもない。従って、固形製剤の製品としての価値は、様々な流通や保管の条件下でも維持され、さらに使用上も便利なものとなっている。 本発明は、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、ケイ酸カルシウムを含有する固形製剤に関する。 本発明の固形製剤に含まれるイブプロフェンは、イブプロフェンのみならず、イブプロフェンの製薬上許容される塩をも使用することができ、これらは市販のものを使用することができる。本発明の固形製剤中に含まれるイブプロフェンの割合は、固形製剤全体に対してイブプロフェンとして1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、7〜50質量%が特に好ましい。 本発明の固形製剤に含まれるトラネキサム酸は、トラネキサム酸のみならず、トラネキサム酸の製薬上許容される塩をも使用することができ、これらは市販のものを使用することができる。本発明の固形製剤中に含まれるトラネキサム酸の割合は、固形製剤全体に対してトラネキサム酸として1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、7〜50質量%が特に好ましい。 本発明におけるケイ酸カルシウムの割合は、固形製剤全体に対して0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%が更に好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。 本発明の固形製剤は、イブプロフェンとトラネキサム酸以外の薬物、例えば、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、生薬類、漢方処方、カフェイン類等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいても良い。 解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、サリチル酸ナトリウム等が挙げられる。 抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、イソチペンジル塩酸塩、クレマスチンフマル酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェテロール塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェネタジン塩酸塩、メトジラジン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸、アリメマジン酒石酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、 dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、メキタジン、ジフェテロールリン酸塩等が挙げられる。 鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、クロペラスチン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、チペピジンクエン酸塩、ジブナートナトリウム、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、デキストロメトルファン・フェノールフタリン塩、チペピジンヒベンズ酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩等が挙げられる。 ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。 気管支拡張剤としては、例えば、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、 dl−メチルエフェドリンサッカリン塩等が挙げられる。 去痰剤としては、例えば、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩、カルボシステイン等が挙げられる。 催眠鎮静剤としては、ブロムワレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素等が挙げられる。 ビタミン類としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等が挙げられる。 抗炎症剤としては、塩化リゾチーム、セラプターゼ、グリチルリチン酸及びその類縁物質等が挙げられる。 胃粘膜保護剤としては、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる. 生薬類としては、ニンニク(大蒜)、マオウ(麻黄)、ナンテンジツ(南天実)、オウヒ(桜皮)、オンジ(遠志)、カンゾウ(甘草)、キキョウ(桔梗)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、セキサン(石蒜)、セネガ、バイモ(貝母)、ウイキョウ(茴香)、オウバク(黄柏)、オウレン(黄連)、ガジュツ、カミツレ、ケイヒ(桂皮)、ゲンチアナ、ゴオウ(牛黄)、獣胆(ユウタンを含む)、シャジン(沙参)、ショウキョウ(生姜)、ソウジュツ(蒼朮)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮)、ビャクジュツ(白朮)、ジリュウ(地竜)、チクセツニンジン(竹節人参)、ニンジン(人参)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。 漢方処方としては、葛根湯、桂枝湯、香蘇散、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、小青竜湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯、麻黄湯等が挙げられる。 カフェイン類としては、例えば、無水カフェインや、カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等が挙げられる。 本発明の固形製剤は、添加物として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等をさらに含んでいても良い。 賦形剤としては、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、蔗糖、糖アルコール、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。結合剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン等が挙げられる。崩壊剤としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。滑沢剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。 本発明の固形製剤の剤形としては例えば、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、錠剤、散剤等が挙げられ、特に錠剤が好ましい。固形製剤は糖衣やフィルムコーティング等により被覆されていても良い。 本発明の固形製剤は、イブプロフェン、トラネキサム酸及びケイ酸カルシウムを含有し、所望により添加物を含有させて、常法に従って製造することができる。すなわち、例えば剤形が錠剤である場合、イブプロフェン、トラネキサム酸、ケイ酸カルシウム及び通常用いられる各種添加物、所望により各種薬物を含有させて、日本薬局方製剤総則等の常法に従って、混合又は造粒し、得られた混合物又は造粒物に所望により滑沢剤を混合した後に打錠することで本発明の固形製剤を製造することができる。打錠するための造粒物はイブプロフェンとトラネキサム酸を分けて造粒してもよく、例えばイブプロフェン、トラネキサム酸及び通常用いられる各種添加物、所望により各種薬物を含有させて、日本薬局方製剤総則等の常法に従って、イブプロフェンとトラネキサム酸を分けて造粒し、これら造粒物と、所望により滑沢剤を混合した後に打錠することで、本発明の固形製剤を製造することができる。ケイ酸カルシウムは、イブプロフェンとトラネキサム酸を分けて造粒した場合、いずれか一方の造粒物中に含まれていてもよいし、また打錠に際して、混合することも可能である。例えば固形製剤が錠剤である場合、より具体的には、イブプロフェン、トラネキサム酸、ケイ酸カルシウム及び各種薬物や錠剤の製造に通常用いられる各種添加物を用いて湿式造粒し、得られた顆粒と滑沢剤を混合した後に打錠することで、本発明の固形製剤を製造することができる。また、イブプロフェン、トラネキサム酸、ケイ酸カルシウム及び各種薬物や錠剤の製造に通常用いられる各種添加物を用いて日本薬局方製剤総則等の常法により顆粒化し、この顆粒と滑沢剤を混合した後に打錠することによっても、本発明の固形製剤を製造することができる。[実施例] 以下に、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 イブプロフェン900g(米沢浜理製:商品名 日本薬局方イブプロフェン)、トラネキサム酸1499.4g(第一三共プロファーマ製:商品名 日本薬局方トラネキサム酸)、ケイ酸カルシウム549g(エーザイフードケミカル製:商品名 フローライトRE)、ヒドロキシプロピルセルロース106.2g、結晶セルロース1348.2g、クロスカルメロースナトリウム360gを高速攪拌造粒機(深江工業製:FS−10型)に投入して混合後、精製水466gを添加して練合した。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業製:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工製:ND−10型)を用いて整粒した。この整粒物4762.8g及びステアリン酸マグネシウム97.2gを混合機(コトブキ製:PM50型)に投入して混合した後、直径8.5mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所製:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の質量が270mgの錠剤18000錠を得た。[比較例1] 実施例1のケイ酸カルシウムを配合しない代わりに結晶セルロース549gを追加で配合し、その他は実施例1と同様にして錠剤を得た。[試験例1]膨張の評価 実施例1、並びに比較例1で製造した錠剤を1錠ずつガラス瓶(2K規格)に入れ、密栓をした後、40℃の恒温容器に1ヶ月間〜6ヶ月間、又は50℃の恒温容器に1週間〜1ヶ月間保存した。デジタルマイクロメーターで測定した製造直後の錠剤の厚みと保存後の錠剤の厚みから、以下の式(1)で定義される膨張率(%)を算出した。 膨張率(%) = (D−D0)/D0 × 100 (1) 式中、Dは保存後の錠剤の厚みであり、D0は製造直後の錠剤の厚みである。 実施例1、並びに比較例1で得られた錠剤1錠あたりの処方と、試験結果を次の表1に示す。 表1から明らかなように、ケイ酸カルシウムを含まない製剤(比較例1)では、40℃1ヶ月の保存後の膨張率(%)は7.5%、50℃1週間の保存後の膨張率(%)は11.6%と高温保存条件下において、急激な高い膨張率を認めた。その一方で、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有し、かつケイ酸カルシウムを含有する本発明の固形製剤(実施例1)では、40℃1ヶ月の保存後の膨張率(%)は1.9%、50℃1週間の保存後の膨張率(%)は3.9%へと顕著に低減されていた。 また、ケイ酸カルシウムを含まない製剤(比較例1)では、40℃6ヶ月の保存後の膨張率(%)は12.5%、50℃1ヶ月の保存後の膨張率(%)は14.6%と高温保存条件下において、高い膨張率を認めた。その一方で、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有し、かつケイ酸カルシウムを含有する本発明の固形製剤(実施例1)では、40℃6ヶ月の保存後の膨張率(%)は6.1%、50℃1ヶ月の保存後の膨張率(%)は8.1%へと顕著に低減されていた。40℃及び50℃での全期間にわたって、本発明の固形製剤の膨張率は、本発明にかかるケイ酸カルシウムを含まない比較例1の固形製剤の膨張率と比較して、顕著に低減されていた。 また、比較例1は膨張率が高いため、脆くなり、錠剤の割れや欠けが生じやすかったが、本発明の固形製剤(実施例1)は、上記のような苛酷な高温条件での保存後でも錠剤の割れや欠けが認められず、安定な錠剤であることがわかった。 本発明は、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有し、高温条件下で保存しても急激な膨張が生じない安定な固形製剤を提供するものである。イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する製剤は、これらの成分が有する薬効のみではなく、薬効増強や副作用低減といった付加的な効果を得られることも知られており、本発明はこのような有用な医薬製剤を安定に提供することを可能とする。本発明で得られた固形製剤を使用すれば、長期間の保存や高温条件下での使用が可能となり、製薬産業において極めて有用である。 イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する錠剤であって、ケイ酸カルシウムを錠剤全体に対して0.01〜50質量%含有することを特徴とする錠剤。 イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する錠剤を製造する方法であって、ケイ酸カルシウムを錠剤全体に対して0.01〜50質量%添加する工程、を含むことを特徴とする製造方法。


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