タイトル: | 公開特許公報(A)_イオンクロマトグラフィによる陰イオン分析装置 |
出願番号: | 2008158633 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 30/88,G01N 30/26 |
後藤 武 永田 淳 JP 2010002185 公開特許公報(A) 20100107 2008158633 20080618 イオンクロマトグラフィによる陰イオン分析装置 株式会社島津製作所 000001993 喜多 俊文 100098671 江口 裕之 100102037 後藤 武 永田 淳 G01N 30/88 20060101AFI20091204BHJP G01N 30/26 20060101ALI20091204BHJP JPG01N30/88 HG01N30/26 H 1 1 OL 4 本発明はイオンクロマトグラフィに関する。 サプレッサ方式イオンクロマトグラフは、特許文献1において従来技術として説明されているように、溶離液中のイオンをイオン交換反応によって除去するサプレッサがカラムの後段に設けられており、これにより溶離液の電気伝導度のバックグラウンドレベルを低下させ、S/N比を向上させることにより高感度の分析を可能にしたイオンクロマトグラフである。 図3に従来のサプレッサ方式イオンクロマトグラフの装置構成の一例を示す。 同図において、溶離液容器7から供給される溶離液は、送液ポンプ1で加圧され、試料導入部2で注入された試料と合流してカラム3を通過する間に試料は各成分に分離され、サプレッサ4、検出器5を順に通過して廃液容器8に排出される。サプレッサ4は、前述したように、溶離液中のイオンをイオン交換反応によって除去するものである。検出器5としては、溶離液の電気伝導度を測定することで溶離液中のイオン濃度を検出する電気伝導度検出器が主として用いられる。 一般に溶離液は送液前に溶存するガスを除去する必要があり、このため脱気装置(図3では図示しない)が用いられる。代表的な脱気装置として気液分離膜を利用した装置が知られている。これは、減圧下に置かれた気液分離膜で作られたチューブ内に溶離液を通し、溶存ガスをチューブの壁を透過させて排出する装置である(例えば、特許文献2参照)。特開2002−228645号公報特開2000−107510号公報 サプレッサ方式のイオンクロマトグラフでは炭酸系溶離液が一般に用いられているが、この場合、溶離液中の炭酸イオン自体に由来するピークが必ずクロマトグラム上にベースライン変動の形で出現する。通常はそのピークが測定に影響が出ないところに溶出するカラムを選んで用いるかまたは溶離液組成を変更する等の分離条件の変更で対応している。しかし、所要の分離を維持しながら炭酸イオンの影響を回避することは常に可能であるとは限らず、適切な分離が得られないこともしばしばあった。 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、イオンクロマトグラフィによる陰イオン分析において、炭酸イオン由来のベースライン変動を抑えることのできる分析装置を提供することを目的とする。 本発明は、上記課題を解決するために、サプレッサの後段に脱気装置を配置したイオンクロマトグラフ装置を用いて、サプレッサを通過した後の溶離液中の二酸化炭素ガスを除去する分析装置である。これにより、分析の妨害となる炭酸由来のピーク(ベースライン変動)を抑制することができる。 炭酸の影響を回避するために分離条件を変更すると分析時間が延びたり、他の成分の分離が犠牲になることがあるが、本発明によれば、分離条件を変更することなく炭酸の影響を小さくすることが可能となる。また、その結果として、近接して溶出する成分の分析精度が向上する。 本発明は、カラムの後段に設けたサプレッサを通過した後の溶離液中の二酸化炭素ガスを除去する過程を有するイオンクロマトグラフィによる陰イオン分析装置である。 図1に本発明を実施するためのイオンクロマトグラフの装置構成の一例を示す。同図において図3と同符号を付したものは図3と同一物であるから再度の説明を省く。図1に示す構成が従来と異なる点は、サプレッサ4と検出器5との間に脱気装置6を配置したことである。脱気装置6としては、前述の気液分離膜方式の装置が適当である。 図1に示す構成において、溶離液容器7からサプレッサ4に至るまでの間の溶離液および試料の挙動は、図3に示す従来例の場合と同様であるが、サプレッサ4を通過した後、脱気装置6において溶離液中の炭酸が二酸化炭素ガスとして除去される。これにより、検出器5から出力されるクロマトグラム上には炭酸由来のピーク(ベースライン変動)が殆ど見られなくなり、分析の妨げとなることが防がれる。 図2に本発明による実際の分析結果を、従来方法による同一試料の分析結果と対比して示す。 同図において、上段クロマトグラムは本発明方法、即ち図1に示す装置を用いて分析した結果を、また、下段クロマトグラムは従来方法、即ち図3に示す装置を用いて分析した結果を示す。図中のA、BおよびB'は溶離液中の炭酸に由来するピークであり、本発明方法によれば、従来方法に比べて炭酸由来のピークが著しく小さくなることがよくわかる。 上記分析結果を得る際のイオンクロマトグラフィの分離条件は下記の通りである。 カラム:Shim−packIC−SA3 250mmL×4.0mmID 溶離液:3.6mmol/L炭酸水素ナトリウム 流量:0.8mL/min カラム温度:45°C 試料導入量:50μL 検出器:島津CDD−10A なお、脱気装置6としては、上記の気液分離膜方式のものに限らず、オンストリーム形であれば他の原理による脱気方式のものでも使用できる。 本発明はイオンクロマトグラフィに利用できる。本発明を実施するための装置構成例を示す図である。本発明による分析実例を示す図である。従来の装置構成を示す図である。符号の説明 1 送液ポンプ 2 試料導入部 3 カラム 4 サプレッサ 5 検出器 6 脱気装置 7 溶離液容器 8 廃液容器 溶離液と共に試料をカラムおよびサプレッサを通過させた後、検出器により試料中の陰イオンを検出するイオンクロマトグラフィによる陰イオン分析装置において、前記サプレッサと前記検出器との中間位置に溶離液中の二酸化炭素ガスを除去する脱気装置を備えたことを特徴とするイオンクロマトグラフィによる陰イオン分析装置。 【課題】イオンクロマトグラフィによる陰イオン分析において、炭酸由来のベースライン変動を抑えることのできる分析装置を提供する。【解決手段】溶離液と共に試料をカラム3に通しさらにサプレッサ4を通過させた後、検出器5により試料中の陰イオンを検出するイオンクロマトグラフにおいて、サプレッサ4の後段に脱気装置6を配置することでサプレッサ4を通過した後の溶離液中の二酸化炭素ガスを除去する。これにより、分析の妨害となる炭酸由来のピーク(ベースライン変動)を抑制することができる。【選択図】 図1