タイトル: | 公開特許公報(A)_トビウオ類の特異的検出法 |
出願番号: | 2008151908 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12Q 1/68,C12N 15/09 |
永瀬 光俊 杉中 克昭 會見 忠則 JP 2009296901 公開特許公報(A) 20091224 2008151908 20080610 トビウオ類の特異的検出法 島根県 591282205 永瀬 光俊 杉中 克昭 會見 忠則 C12Q 1/68 20060101AFI20091127BHJP C12N 15/09 20060101ALI20091127BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 A 5 2 OL 12 4B024 4B063 4B024AA11 4B024CA20 4B024DA02 4B024HA12 4B063QA13 4B063QA18 4B063QQ08 4B063QQ52 4B063QR08 4B063QR32 4B063QR62 4B063QS25 4B063QS32この発明は、トビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むDNA、該DNAを特異的かつ迅速に検出および同定するためのプライマーセット、トビウオ類の検出方法、並びにトビウオ類の検出用キットに関する。食品は、その品質について、原材料名、原料原産地、賞味期限などの表示により、消費者に情報提供を行っている。表示内容は価格に反映されるが、表示内容の真偽については、基本的に生産者もしくは製造者と消費者との信頼関係に基づいていた。しかしながら、1990年代半ば頃より、食品表示に関する詐欺事件が増加したことから、表示内容について様々な角度から検証する手法の確立が望まれている。従来において魚類もしくは加工食品等に含まれる魚類の鑑別は、原形がある場合は形態学的手法、原形が無い場合はたんぱく質およびアイソザイムの電気泳動法が用いられていたが、サンプルの形態が非常に似ていたり、加熱等によりたんぱく質の変性が著しいと鑑定が困難になる場合も多い。一方、近年の遺伝子工学の発達によって、感度の高いDNA解析技術が注目されており、様々なサンプルの鑑定に利用され始めている。DNA解析技術によれば、形態の有無に関係なく、また、サンプルの状態が悪くても鑑定でき、今までマグロ(非特許文献1)、スズキ(非特許文献2)、ウナギ(特許文献1)、サバ(非特許文献3)などに応用例が見られる。しかしながら、今まで、トビウオ類に関してDNA解析による鑑定が試みられた文献等は見当たらない。また、トビウオの複数種をまとめて、類として検出できる技術もなかった。J.L.Ram,M.L.Ram,F.F.Baidoun.J.Agric.Food.Chem,44,1996,2460−2467槙智之他、食工誌、51、2004、471−476特許第3950546号K.Sezaki,Y.Kuboshima,I.Mitani,A.Fukui,S.Watabe.Nippon Suisan Gakkaishi,67,2001,17−22本発明は、トビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むDNA、該DNAを特異的かつ迅速に検出および同定するためのプライマーセット、トビウオ類の検出方法、並びにトビウオ類の検出用キットを提供することを課題とする。本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、トビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むDNAを単離し、さらにトビウオ類を迅速、高感度に検出し得るプライマーを作製することに成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、配列番号1〜6で表されるいずれかの塩基配列を含むDNAである。さらに、本発明は、配列番号1〜6で表されるいずれかの塩基配列からなるDNAの少なくとも一部とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドである。さらに、本発明は、配列番号1〜6で表されるいずれかの塩基配列の少なくとも一部とハイブリダイスすることができる5´側プライマーと、配列番号1〜6で表されるいずれかの塩基配列の少なくとも一部とハイブリダイズすることができる3´側プライマーとの組み合わせからなるプライマーセットA、B、Cである。プライマーセットAは、5´側プライマーとして配列番号7で表されるものが挙げられ、3´側プライマーとして配列番号8で表されるものが挙げられる。プライマーセットBは、5´側プライマーとして配列番号9で表されるものが挙げられ、3´側プライマーとして配列番号10で表されるものが挙げられる。プライマーセットCは、5´側プライマーとして配列番号11で表されるものが挙げられ、3´側プライマーとして配列番号12で表されるものが挙げられる。さらに、本発明は、上記のいずれかのプライマーセットを用いて、トビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むDNAを含む遺伝子を増幅することを特徴とする、トビウオ類の検出方法である。さらに、本発明は、上記のいずれかのプライマーセットを含む、トビウオ類の検出用キットである。本発明により、トビウオ類の特異的かつ迅速な検出および同定するための遺伝子、プライマー、検出方法が提供される。以下、本発明を詳細に説明する。本発明の遺伝子は、トビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードするDNAを含むものであり、以下のようにして得ることができる。1.ミトコンドリア16SリボソームRNA遺伝子及びその隣接領域の単離(1)ゲノムDNAの調製ゲノムDNAの供給源としては、ホソトビウオ(Cypselurus hiraii)、ツクシトビウオ(Cypselurus heterurus)、トビウオ(Cypselurus agoo)、ハマトビウオ(Cypselurus pinnatibarbatus)、アヤトビウオ(Cypselurus poecilopterus)、カラストビウオ(Cypselurus cyanopterus)、オオメナツトビ(Cypselurus antoncichi)その他のトビウオ類が挙げられる。例えば、上記魚体筋肉を、界面活性剤を用いる方法や、熱処理を行う方法などの通常公知の方法でゲノムDNAを抽出・精製することができる。また、市販のDNAの抽出・精製キット(QIAGEN社のDNeasy Tissue Kit等)を用いることも可能である。ゲノムDNAの採取対象は、特に限定されるものではなく、どのような生育段階のものや干物等の低次加工品、かまぼこ等の他原料と混合し調理した高次加工品からも抽出・調製することができる。(2)ユニバーサルプライマーの合成一般にトビウオ類を含む真核生物のミトコンドリアDNAは、図1のような構造であることが知られている。発明者は、ホソトビウオ(Cypselurus hiraii,AB182653)についてミトコンドリアDNAの全塩基配列を明らかにした。(非特許文献4)これを、同様に明らかにされているスケトウダラ(Theragra chalcogramma,AB182300)、マアジ(Trachurus japonicus,AP003091)、イダテントビウオ(Exocoetus volitans,AP002933)の塩基配列と比較することにより、ミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする領域の一部をユニバーサルに増幅することができ、特定の制限酵素反応部位を持つプライマーセットB、すなわち配列番号9及び配列番号10を発明した。これを用いて、上記(1)で得られたゲノムDNAを鋳型として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRともいう)を行うことにより本発明のDNAを得ることができる。Nagase M,Aimi T,Suginaka K,Kitamoto Y,Morinaga T.Fisheriers Science、71、2005、914−923(3)塩基配列の決定得られたPCR断片を、適切なベクターにサブクローニング後、塩基配列の決定を行う。又は、PCR断片を用いてダイレクトシークエンシングを行う。塩基配列の決定は、自動塩基配列決定機(例えばABI社製3100DNAシークエンサー等)を用いて行う。一旦本発明の遺伝子の塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又は本遺伝子のゲノムDNAを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることにより、本発明のDNAを得ることができる。(4)トビウオ類検出用プライマーの合成配列番号1から配列番号6にトビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNA遺伝子の塩基配列を例示する。そしてこれらの塩基配列及び既に明らかにしたホソトビウオを比較し、トビウオ類に特徴的な配列を見出し、その配列を有する合成オリゴヌクレオチドをトビウオ類検出用プライマーとして用いることができる。また、これらの塩基配列とスケトウダラ(Theragra chalcogramma,AB182300)、マアジ(Trachurus japonicus,AP003091)、イダテントビウオ(Exocoetus volitans,AP002933)などを比較し、魚類全般に特徴的な配列を見出し、その配列を有する合成オリゴヌクレオチドを検出反応確認用プライマーとして用いることができる。例えば、トビウオ類検出に用いることができる5´側プライマー及び3´側プライマーとしては、配列番号1又は配列番号2で表される塩基配列の領域から選択することができる。但し、GC含量の多い領域を含まず、プライマー同志でハイブリダイズしないような領域が好ましい。例えば、5´側プライマーとしては、配列番号1又は配列番号2において、種間で違いが見られず、他魚種との違いが見られる第171〜197番目及び第198〜235番目などの、少なくとも10〜50塩基、より好ましくは15〜25塩基からなる領域が好ましい。また、3´プライマーとしては、同様に種間で違いが見られず、他魚種との違いが見られる第278〜319番目及び第308〜358番目などの、少なくとも10〜50塩基、より好ましくは15〜25塩基からなる領域が好ましい。またこれらのプライマーは、あらゆる任意の組み合わせで用いることができる。例えば、ポジティブコントロールとして検出反応確認に用いることができる5´側プライマー及び3´側プライマーとしては、配列番号1又は配列番号2で表される塩基配列の領域から選択することができる。但し、GC含量の多い領域を含まず、プライマー同志でハイブリダイズしないような領域が好ましい。例えば、5´側プライマーとしては、配列番号1又は配列番号2において、他魚種との違いが全く見られない第9番目〜25番目、第137番目〜156番目及び第374〜402番目などの、少なくとも10〜50塩基、より好ましくは15〜25塩基からなる領域が好ましい。また、3´プライマーとしては、同様に他魚種との違いが全く見られない第427〜480番目の、少なくとも10〜50塩基、より好ましくは15〜25塩基からなる領域が好ましい。またこれらのプライマーは、あらゆる任意の組み合わせで用いることができる。本発明のプライマーの塩基配列を、配列番号7及び配列番号8(プライマーセットA)、配列番号11及び配列番号12(プライマーセットC)に例示するが、配列番号1〜6で表されるいずれかの塩基配列からなるDNAを含む遺伝子の少なくとも一部とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドも本発明のプライマーに含まれる。また、本発明において用いられるプライマーは、これらに限定されるものではない。2.本発明のプライマーを用いたトビウオ類の検出(1)被検体サンプル溶液の調製トビウオ類を含むと思われる被検体サンプル溶液の調製は、魚肉、血液、内臓、鱗、鰭、刺身、干物、燻製、煮干、だし、魚卵、だし入り醤油、かまぼこなどから、界面活性剤を用いる方法や、熱処理を行う方法などの通常公知の方法でゲノムDNAを抽出・精製して被検体サンプル溶液とする。(2)PCRによるトビウオ類の検出トビウオ類の検出は、上記1.に記載のトビウオ類特異的プライマーを用いてミトコンドリア16SリボソームRNA遺伝子を増幅させ、増幅断片をアガロースゲル電気泳動法やポリアクリミドゲル電気泳動法などにより分画後、ゲルをエチジウムブロマイドなどを用いて染色し、UVランプ下で増幅断片の有無を確認することにより行うことができる。増幅は、標準的なプロトコルに従ったPCRによって行うことができ、少量のサンプルから目的のDNA断片を特異的に増幅させることができる。すなわち、DNAサンプルを変性して一本鎖にする。次いで、目的のDNA配列の一方の鎖の5´側に相補的な5´側プライマー、及び他方の鎖の3´側に相補的な3´側プライマー、鋳型として用いるDNA配列、4種のデオキシヌクレオシド三リン酸(dATP,dCTP,dGTP,およびdTTPもしくはdUTP)及びDNAポリメラーゼを含有する反応系を用い、鋳型DNAと上記2種のプライマーをアニーリングさせる。次いでDNAポリメラーゼと4種のデオキシヌクレオシド三リン酸とから各鋳型上に相補鎖を合成させる。そして生成した二本鎖を熱変性によって一本鎖にした後、それぞれの鎖を鋳型として上記と同じアニーリング、相補鎖の合成の手順を繰り返すことにより、プライマーに挟まれた部分のみを指数関数的に増やすことができる。なお、PCR法等に用いるDNAポリメラーゼとしてはDNAの開裂温度において耐熱性であるポリメラーゼ、例えば、Taqポリメラーゼなどを用いることが好ましい。本発明において、増幅されるDNA断片は、トビウオ類が保有するミトコンドリア16SリボソームRNA遺伝子を含むDNA断片である。PCR法等においてはプライマーに挟まれる部分のDNA配列が増幅されるため、そのDNA断片の大きさは、用いるプライマーの種類に依存する。本発明の1例では、上記プライマーセットAおよびCを用いるとそれぞれ約100bpのDNA断片が増幅される。次に、増幅されたDNA断片は、アガロースゲルやアクリルアミドゲルを用いて電気泳動に供し、その後エチジウムブロマイドなどを用いて染色し、UVランプ下で増幅断片の有無を確認することができる。また、本発明の方法を使用することにより、フィレーや刺身など原型が無く、形態学的に判別不能なトビウオ類や、干物、燻製などの加工されたトビウオ類、さらに、かまぼこなどトビウオ類の他に他魚種や複数の食品添加物が含まれた高次加工品も正確に同定することができる。さらに、本発明のプライマーは、全部あるいは組み合わせにより、トビウオ類を検出するためのキットとして使用することができる。以下に、本発明の実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。トビウオ類ミトコンドリアDNAの鑑定各種魚類からのDNAの調製ホソトビウオ、ツクシトビウオ、トビウオ、ハマトビウオ、アヤトビウオ、カラストビウオ、オオメナツトビ、スケトウダラ、ミナミダラ、マアジ、クラカケトラギスのそれぞれ1個体の筋肉組織から、Genomic Prep Cells and Tissue DNA Isolation Kit(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いて全DNAの抽出を行った。全DNAは、分光光度計で260nmの吸光度を測定することにより、DNA濃度を決定した。調製した全DNA10ngを鋳型とし、サーマルサイクラーパーソナル(タカラバイオ)を用いてPCRを行った。PCRは、配列番号7及び配列番号8(プライマーセットA)と配列番号11及び配列番号12(プライマーセットC)を使用し、反応液の総量は100μLとし、94℃2分の前加熱後、94℃30秒の変性工程、55℃30秒のアニーリング工程、及び72℃30秒の伸長工程を30サイクルの条件で行われた。PCR終了後、PCR産物を10μLとり、3%アガロースゲル電気泳動にかけた。結果を図2および3に示す。トビウオ類検出用プライマーであるプライマーセットAにより、7種類のトビウオは全て約100bpのPCR産物が確認されたが、その他4魚種のスケトウダラ、ミナミダラ、マアジ、クラカケトラギスは確認されなかった。一方、検出反応確認用プライマーであるプライマーセットCにより、11種類のサンプル全てについて約100bpのPCR産物が確認された。このことから、トビウオ類とその他の魚を識別することが可能であることが明らかとなった。RFLP解析によるトビウオ類ミトコンドリアDNAの鑑定トビウオ類の鑑定について、RFLPに応用可能かどうかを検討するため、各種トビウオの塩基配列情報(配列番号1〜6)と既に公知の塩基配列情報であるホソトビウオ(Cypselurus hiraii,AB182653)、スケトウダラ(Theragra chalcogramma,AB182300)、マアジ(Trachurus japonicus,AP003091)を用いてRFLPの検討を行った。9種類のそれぞれの塩基配列において、制限酵素認識部位を市販の解析ソフトウェアであるGENETYX(ゼネティックス社)を用いて探索したところ、トビウオ類のみに共通するAfaI認識部位およびMfeI認識部位が確認された。各種魚類からのDNAの調製ホソトビウオ、ツクシトビウオ、トビウオ、ハマトビウオ、アヤトビウオ、カラストビウオ、オオメナツトビ、スケトウダラ、ミナミダラ、マアジ、クラカケトラギスのそれぞれ1個体の筋肉組織から、Genomic Prep Cells and Tissue DNA Isolation Kit(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いて全DNAの抽出を行った。全DNAは、分光光度計で260nmの吸光度を測定することにより、DNA濃度を決定した。調製した全DNA10ngを鋳型とし、サーマルサイクラーパーソナル(タカラバイオ)を用いてPCRを行った。PCRは、配列番号9及び配列番号10(プライマーセットB)を使用し、反応液の総量は100μLとし、94℃2分の前加熱後、94℃30秒の変性工程、60℃30秒のアニーリング工程、及び72℃30秒の伸長工程を30サイクルの条件で行われた。PCR終了後、QIAquick PCR Purification Kit(キアゲン社)を用いてPCR産物を精製し、分光光度計で260nmの吸光度を測定することにより、DNA濃度を決定した。PCR産物50ngに対して、制限酵素AfaIおよびMfeIを用いて37℃、1時間インキュベートすることにより消化を行った。次いで、各消化物を4%アガロースゲル電気泳動にかけた。結果を図4および5に示す。2種類の制限酵素とも、7種類のトビウオは全て約300bp及び約200bpのバンドが確認され、PCR産物は消化されていた。それに対し、その他4魚種のスケトウダラ、ミナミダラ、マアジ、クラカケトラギスは500bpのバンドが確認され、PCR産物は消化されていなかった。このことから、トビウオ類とその他の魚を識別することが可能であることが明らかとなった。トビウオ類を使用した加工食品の鑑定島根県内で市販され、トビウオ使用の表示がある、かまぼこの一種であるあご野焼17種類から、Genomic Prep Cells and Tissue DNA Isolation Kit(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いて全DNAの抽出を行った。全DNAは、分光光度計で260nmの吸光度を測定することにより、DNA濃度を決定した。調製した全DNA10ngを鋳型とし、サーマルサイクラーパーソナル(タカラバイオ)を用いてPCRを行った。PCRは、配列番号7及び配列番号8(プライマーセットA)と配列番号11及び配列番号12(プライマーセットC)を使用し、反応液の総量は100μLとし、94℃2分の前加熱後、94℃30秒の変性工程、55℃30秒のアニーリング工程、及び72℃30秒の伸長工程を30サイクルの条件で行われた。PCR終了後、PCR産物を10μLとり、3%アガロースゲル電気泳動にかけた。結果を図6および7に示す。トビウオ類検出用プライマーであるプライマーセットA及び反応確認用プライマーであるプライマーセットCにより、17種類のサンプル全てについて約100bpのPCR産物が確認された。焼きかまぼこであるあご野焼は、水晒し、塩ずり、本ずり、成型、加熱、冷却など様々な製造工程を経るため、DNAが分解、消失するリスクが大きい。本発明は、かまぼこのような高次加工品に対しても、感度よくトビウオ類を検出できることが明らかとなった。スケトウダラ冷凍すり身(日水製2級)とトビウオすり身(島根県産)を別々に塩ずりし、あらかじめ決めた割合で合わせ、あご野焼を作成した。そこから、Genomic Prep Cells and Tissue DNA Isolation Kit(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いて全DNAの抽出を行った。全DNAは、分光光度計で260nmの吸光度を測定することにより、DNA濃度を決定した。調製した全DNA20ngを鋳型とし、リアルタイムPCR装置(PRISM7000、アプライドバイオサイエンス社)を用いてPCRを行った。DNA結合色素は、SYBRグリーンを用いた。PCRは、配列番号7及び配列番号8(プライマーセットA)と配列番号11及び配列番号12(プライマーセットC)を使用し、反応液の総量は50μLとし、94℃10秒の前加熱後、95℃5秒の変性工程、57℃10秒のアニーリング工程、及び72℃31秒の伸長工程を30サイクルの条件で行われた。PCR終了後、専用ソフトで定量を試みた。結果を図8に示す。トビウオすり身含量を0%、30%、70%、100%としたときのプライマーセットAによるPCR産物の増加曲線を表しており、図9の検量線を引くことができた。また、プライマーセットCによるPCR産物の増加曲線は、どのサンプルとも大差なく、反応が正常に行われていることを確認した。本発明は、かまぼこに含まれるトビウオ類の定量に応用できることを明らかにした。真核生物がもつ一般的なミトコンドリアDNAの模式図である。ホソトビウオ、ツクシトビウオ、トビウオ、ハマトビウオ、アヤトビウオ、カラストビウオ、オオメナツトビ、スケトウダラ、ミナミダラ、マアジ及びクラカケトラギスの全DNAから、プライマーセットAで増幅したPCR産物をAfaIで消化した場合のRFLPの結果を示した写真である。上記11種類の魚種の全DNAから、プライマーセットBで増幅したPCR産物をMfeIで消化した場合のRFLPの結果を示した写真である。上記11種類の魚種の全DNAから、プライマーセットAで増幅したPCR産物を示した写真である。上記11種類の魚種の全DNAから、プライマーセットCで増幅したPCR産物を示した写真である。商品の原材料表示欄にトビウオの表示があるあご野焼の全DNAから、プライマーセットAで増幅したPCR産物を示した写真である。商品の原材料表示欄にトビウオの表示があるあご野焼の全DNAから、プライマーセットCで増幅したPCR産物を示した写真である。異なるトビウオ含量のあご野焼の全DNAから、プライマーセットAで増幅したPCR産物の増幅曲線を示した図面である。図8より、トビウオ含量とサイクル数の関係から求めた検量線を示した図面である。 配列番号7で表わされる5´側プライマーと配列番号8で表わされる3´側プライマーを含むプライマーセットA。 請求項1に示すプライマーセットAを用いて、トビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むDNAを増幅することを特徴とするトビウオ類の検出方法。 請求項2に示すトビウオ類の検出方法において、更に配列番号9で表わされる5´側プライマーと配列番号10で表わされる3´側プライマーを含むプライマーセットBを用いて、トビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むDNAを増幅することを特徴とするトビウオ類の検出方法。 請求項3に示すトビウオ類の検出方法において、更に配列番号11で表わされる5´側プライマーと配列番号12で表わされる3´側プライマーを含むプライマーセットCを用いて、トビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むDNAを増幅することを特徴とするトビウオ類の検出方法。 配列番号7で表わされる5´側プライマーと配列番号8で表わされる3´側プライマーを含むプライマーセットA及び配列番号9で表わされる5´側プライマーと配列番号10で表わされる3´側プライマーを含むプライマーセットB及び配列番号11で表わされる5´側プライマーと配列番号12で表わされる3´側プライマーを含むプライマーセットCを含むトビウオ類の検出キット。 【課題】トビウオ類あるいは加工食品等に含まれるトビウオ類の特異的検出法の提供。【解決手段】トビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むDNA、トビウオ類に特異的な配列を有するDNAプライマー、該プライマーを用いて、トビウオ類あるいは加工食品等に含まれるトビウオ類のミトコンドリア16SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むDNAを増幅するトビウオ類の検出方法。【選択図】図2配列表