| タイトル: | 公開特許公報(A)_酸化反応用触媒 |
| 出願番号: | 2008141590 |
| 年次: | 2009 |
| IPC分類: | B01J 31/22,B01J 31/26,C07B 61/00,C07D 301/12,C07D 301/06 |
櫻井 陽子 田代 貴之 JP 2009285583 公開特許公報(A) 20091210 2008141590 20080529 酸化反応用触媒 三洋化成工業株式会社 000002288 櫻井 陽子 田代 貴之 B01J 31/22 20060101AFI20091113BHJP B01J 31/26 20060101ALI20091113BHJP C07B 61/00 20060101ALI20091113BHJP C07D 301/12 20060101ALI20091113BHJP C07D 301/06 20060101ALI20091113BHJP JPB01J31/22 ZB01J31/26 ZC07B61/00 300C07D301/12C07D301/06 5 OL 16 4G169 4H039 4G169AA03 4G169AA06 4G169BA02B 4G169BA21A 4G169BA21B 4G169BA28A 4G169BA28B 4G169BB07A 4G169BB07B 4G169BB20A 4G169BC01A 4G169BC08A 4G169BC17A 4G169BC31A 4G169BC33A 4G169BC54A 4G169BC59A 4G169BC59B 4G169BC60A 4G169BC60B 4G169BD01A 4G169BD05A 4G169BD05B 4G169BD07A 4G169BD07B 4G169BE08A 4G169BE16A 4G169BE16B 4G169BE25A 4G169BE25B 4G169BE35A 4G169CB07 4G169CB73 4G169DA05 4G169FA02 4G169FB14 4G169FB17 4G169FB31 4H039CA63 4H039CC40 本発明は酸化反応用触媒に関する。詳しくはヘテロポリ酸系の酸化反応用触媒、その酸化反応触媒を用いた有機化合物の酸化方法に関するものである。ヘテロポリ酸またはその塩は、水酸基含有化合物とカルボキシル基含有化合物のエステル化、オレフィン化合物のエポキシ化反応、水和反応、メタクリロレインの酸化反応などに有効な触媒として工業的に広く使用されている。しかしながらヘテロポリ酸またはその塩のほとんどが、水やアルコールなどの極性溶媒に可溶であり、極性溶剤を含む媒体中で触媒として用いたときには溶出が起こり、長期にわたって連続的に使用できないという問題を有していた。 これに対して、ヘテロポリ酸またはその塩をシリカ等の無機微粒子に担持させた触媒の調製法(特許文献1参照)、フッ素含有4級アンモニウム塩とヘテロポリ酸で処理する方法(特許文献2参照)が開示されている。特開2002−79088号公報特開2004−868号公報 しかしながら、いずれも反応活性が低く、工業的に使用するには問題があった。また、脱離及び溶出により触媒の耐久性が不十分であった。 本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、長期にわたり反応活性を維持し、安定的に使用可能である触媒の提供、及び該触媒の製造方法の提供することを目的とする。 本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明に到達した。 すなわち本発明は、ヘテロポリ酸及び/又はその塩(A)、並びにカチオン成分がイミダゾリニウムイオン、イミダゾリウムイオンおよびピリミジニウムイオンからなる群から選ばれる1種以上であり、アニオン成分がリン酸アニオン、アルキルリン酸アニオン、カルボキシルアニオン、ホウ酸アニオンおよびアルキルホウ酸アニオンから選ばれる1種以上の組合せである塩(B)を含む必須成分とする酸化反応用触媒;その酸化反応触媒を用いた有機化合物の酸化方法である。 本発明の酸化反応用触媒は、長期にわたり反応活性を維持し、安定的に使用可能である。 本発明の触媒に用いるヘテロポリ酸(A0)とは、中心元素と酸素が結合した周辺元素からなるものである。中心元素は好ましくは珪素又はリンであるが、これに限定されるものではなく、周期律表の1族〜17族の元素から選ばれた任意の一つからなることができる。 中心元素としては二価のベリリウム、亜鉛、コバルト又はニッケルイオン;三価のホウ素、アルミニウム、ガリウム、鉄、セリウム、ヒ素、アンチモン、燐、ビスマス、クロム又はロジウムイオン;四価の珪素、ゲルマニウム、錫、チタン、ジルコニウム、バナジウム、硫黄、テルル、マンガン、ニッケル、白金、トリウム、ハフニウム、セリウムイオン及び他の希土類イオン;五価の燐、ヒ素、バナジウム、アンチモンイオン;六価のテルルイオン;及び七価のヨウ素イオン等を挙げることができる。これらのうち好ましいのは珪素、リンである。 酸素が結合した周辺元素としては、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニオブ及びタンタル等の酸化物を挙げることができる。これらのうち好ましいのはタングステン、モリブデンの酸化物である。化学式としてはMxOy(Mは周辺元素、Oは酸素を表す)で示すことができ、好ましくはx=5〜15、y=30〜50である。 中心元素と酸素が結合し12元素からなるヘテロポリ酸(A0)は、「ポリオキソアニオン」、「ポリオキソ金属塩」または「酸化金属クラスター」として知られている。よく知られているアニオン類のいくつかの構造は、例えばケギン、ウエルス−ドーソン及びアンダーソン−エバンス−ペアロフ構造として知られている。 ヘテロポリ酸は、通常は700〜8,500の範囲の分子量を有し、また、その単量体だけではなく二量体錯体を含む。 ヘテロポリ酸(A0)の例としては、ケイタングステン酸(H4[SiW12O40].xH2O)、リンタングステン酸 (H3[PW12O40].xH2O)、 リンモリブデン酸(H3[PMo12O40].xH2O)、ケイモリブデン酸(H4[SiMo12O40].xH2O)、ケイバナドタングステン酸(H4+n[SiVnW12-nO40].xH2O)、リンバナドタングステン酸(H3+n[PVnW12-nO40].xH2O)、リンバナドモリブデン酸(H3+n[PVnMo12-nO40].xH2O)、ケイバナドモリブデン酸(H4+n[SiVnMo12-nO40].xH2O)、ケイモリブドタングステン酸(H4[SiMonW12-nO40].xH2O)、リンモリブドタングステン酸(H3[PMonW12-nO40].xH2O)(ただし、nは1〜11の整数を、xは1以上の整数を示す。)等が挙げられる。 これらのうち好ましいのはケイタングステン酸(H4[SiW12O40].xH2O)、リンタングステン酸(H3[PW12O40].xH2O)、リンモリブデン酸(H3[PMo12O40].xH2O)、ケイモリブデン酸(H4[SiMo12O40].xH2O)である。 このようなヘテロポリ酸(A0)の合成方法としては特に制限はなく、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウムをケイ酸、リン酸及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩と混合する方法や、タングステン酸、モリブデン酸としたものをケイ酸、リン酸及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩と混合する方法などがある。 ケイ酸、リン酸及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩と混合する場合は、金属元素(タングステン、モリブデン及びバナジウム)とケイ素、リン原子のモル比を12対1〜13対1になるように仕込み、pH1〜pH2程度の水溶液で、5℃〜60℃で混合する。生成したヘテロポリ酸水分散液はそのまま酸化反応に使用できるが、ヘテロポリ酸触媒を一旦水溶液から単離してもよい。水溶液からヘテロポリ酸(A0)を単離するには、晶析分離する方法などがある。 それらの具体例は、「新実験化学講座8無機化合物の合成(III)」(社団法人日本化学会編、丸善株式会社発行、昭和59年8月20日、第3版)の1413頁に記載されているがこれに限定するわけではない。また、合成したヘテロポリ酸のケギン構造の確認には、化学分析のほか、X線回折、UV、IRの測定で行うことができる。 ヘテロポリ酸塩(A1)としては、上記ヘテロポリ酸(A0)のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、銅塩、金塩、ガリウム塩及びアンモニウム塩が挙げられる。 アルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム塩が挙げられる。その他の塩としては、銅、金、ガリウム及びアンモニウム塩が挙げられる。 これらのヘテロポリ酸塩(A1)の合成方法としては特に制限はなく、例えば、上記金属を含む酸塩、上記金属を含む水酸化物などとヘテロポリ酸(A0)を混合する方法や、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウムと上記金属を含む酸塩を混合する方法などがある。 上記金属を含む酸塩としては、硝酸、硫酸、酢酸、炭酸、塩酸、炭酸水素、リン酸二水素、炭酸水素及びクエン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、銅、金、ガリウム及びアンモニウム塩が挙げられる。 上記金属を含む水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化銅及び水酸化ガリウム等が挙げられる。 ヘテロポリ酸(A0)と上記酸塩または水酸化物を、pH1〜pH2程度の水溶液で、5℃〜60℃で混合する。生成したヘテロポリ酸塩(A1)の水溶液はそのまま酸化反応に使用できるが、ヘテロポリ酸塩(A1)を一旦水分散液から単離してもよい。水溶液からヘテロポリ酸塩(A1)を単離するには、晶析分離する方法などがある。 それらの具体例は、「新実験化学講座8無機化合物の合成(III)」(社団法人日本化学会編、丸善株式会社発行、昭和59年8月20日、第3版)の1413頁に記載されているがこれに限定するわけではない。また、合成したヘテロポリ酸塩(A1)のケギン構造の確認には、化学分析のほか、X線回折、UV、IRの測定で行うことができる。 ヘテロポリ酸塩(A1)の好ましい例としては、上記の好ましいヘテロポリ酸(A0)のナトリウム塩、カリウム塩、バリウム塩、セシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。特に好ましくはケイタングステン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リンタングステン酸のナトリウム塩、カリウム塩である。 本発明の酸化反応用触媒においては、これらのヘテロポリ酸(A0)、その塩(A1)を単独使用してもいいし、併用してもよい。 本発明の酸化反応用触媒のもう1つの必須成分である塩(B)は、カチオン成分とアニオン成分の組合せの塩であるが、そのカチオン成分は、イミダゾリニウムイオン、イミダゾリウムイオン及びピリミジニウムイオンからなる群から選ばれる1種以上である。 このイミダゾリニウムイオンとしては、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム,4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシ−1,2−ジメチルイミダゾリニウム,4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム及び3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。 イミダゾリウムイオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−カルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、N,N’−ジメチルベンゾイミダゾゾリム、N,N’−ジエチルベンゾイミダゾゾリム及びN−メチル−N’−エチルベンゾイミダゾリウム等が挙げられる。 ピリミジニウムイオンとしては、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム及び1−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5等が挙げられる。 塩(B)のアニオン成分としては、リン酸アニオン、アルキルリン酸アニオン、カルボキシルアニオン、ホウ酸アニオン及びアルキルホウ酸アニオンが挙げられる。 アルキルリン酸のアニオンとしては、アルキル基が炭素数1〜18の炭化水素基であるアルキルリン酸のアニオンが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、10−ウンデセニル基、2−エチル−ヘキシル基、イソノニル基、イソデシル基、2−メチル−ウンデシル基、5−メチル−テトラデシル基、シクロヘキシル基等をアルキル基とするアルキルリン酸のアニオンが挙げられる。 カルボキシルアニオンとしては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、芳香族カルボン酸のアニオンが挙げられる。 モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸及び乳酸のアニオンが挙げられる。 ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、フタマル酸、マレイン酸及びリンゴ酸等が挙げられる。 トリカルボン酸としては、クエン酸、アコニット酸が挙げられる。 芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、メリト酸及び桂皮酸等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、リン酸、モノカルボン酸のアニオンである。 アルキルホウ酸アニオンとしては、アルキル基が炭素数1〜18の炭化水素基であるアルキルホウ酸のアニオンが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、10−ウンデセニル基、2−エチル−ヘキシル基、イソノニル基、イソデシル基、2−メチル−ウンデシル基、5−メチル−テトラデシル基、シクロヘキシル基等をアルキル基とするアルキルホウ酸のアニオンが挙げられる。これらのアニオン成分のうち、リン酸アニオン、カルボキシルアニオン、ホウ酸アニオンが好ましい。また、これらの併用でもよい。 本発明の酸化反応用触媒は、酸化反応系中に(A)と(B)が存在していれば、あらかじめ(A)と(B)を混合した後に単離したものを触媒として用いてもかまわないし、(A)の水溶液又は水分散液に(B)を溶解した水溶液を用いてもよい。また、酸化反応原料の仕込み時に(A)と(B)を下記の所定の比率になるように仕込むだけでもかまわない。 (A)と(B)の混合比率は、ヘテロポリ酸又はその塩(A)1当量に対し、(B)の合計が0.1〜1.5当量であり、反応活性の観点から、0.3当量以上が好ましく、耐久性の観点から、1.2当量以下が好ましい。 (A)の水溶液又は水分散液を調整する場合は、ヘテロポリ酸(A0)、ヘテロポリ酸塩(A1)を投入して溶解、分散する方法、ヘテロポリ酸(A0)の水溶液に酸塩を投入し、反応させることでヘテロポリ酸塩(A1)の水溶液又は水分散体を得る方法等が挙げられる。水溶液又は水分散液の固形分濃度は通常10〜60重量%であり、好ましくは30〜50重量%である。 本発明の酸化反応用触媒は通常の酸化反応に使用できる。 酸化反応の例としては、(1)反応基質としてオレフィンを用いた場合のエポキシ化、ジヒドロキシル化、ワッカー酸化、(2)反応基質としてアルコールを用いた場合のアルデヒド化あるいはケトン化、(3)反応基質としてケトンを用いた場合のエステル化、(4)反応基質としてスルフィドを用いた場合のスルホン化あるいはスルホキシド化等の酸化反応が挙げられるが、これに限定されない。 本発明の触媒は、高選択性の観点から、オレフィンのエポキシ化に特に好ましく使用できる。 反応基質であるオレフィンとしては、アルケン、シクロアルケンが挙げられる。アルケンとして、例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン、1−トリアコンテンなどの直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜30程度(好ましくは2〜20程度)のアルケンなどが挙げられる。 アルケンには、アルカポリエン類(例えば、ブタジエンなどのアルカジエン等)も含まれる。 シクロアルケンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、シクロオクタデセンなどの炭素数3〜30程度のシクロアルケンなどが挙げられる。 シクロアルケンには、シクロアルカジエンなどのシクロアルカポリエン類も含まれる。 これらのアルケン、シクロアルケンは、分子内に種々の置換基を有していてもよい。 このような置換基として、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シリルオキシ基など)、アルキレンエーテル基、メルカプト基、置換チオ基(例えば、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(例えば、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環基などが挙げられる。 置換基を有するアルケンの具体例として、例えば、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン誘導体;アクリル酸エチルなどのα,β−不飽和エステル;アクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクロレインなどのα,β−不飽和アルデヒド;アクロレインジエチルアセタールなどのα,β−不飽和アセタール;ビニルメチルケトンなどのα,β−不飽和ケトン、ポリエチレンポリオールの末端アリルエーテル化物、ポリプロピレンポリオールの末端アリルエーテル化物、ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、ビスフェノールFのジアリルエーテル化物、水添ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、水添ビスフェノールFのジアリルエール化物、トリアリルイソシアヌレートなどのアリル化合物;ポリエチレンポリオールの末端ビニルエーテル化物、ポリプロピレンポリオールの両末端ジビニルエーテル化物、ビスフェノールAのジビニルエーテル化物、ビスフェノールFのジビニルエーテル化物、水添ビスフェノールAのジビニルエーテル化物、水添ビスフェノールFのジビニルエーテル化物、トリビニルイソシアヌレートなどのビニル化合物;ポリエチレンポリオールの両末端ジプロペニルエーテル化物、ポリプロピレンポリオールの両末端ジプロペニルエーテル化物、ビスフェノールAのジプロペニルエーテル化物、ビスフェノールFのジプロペニルエーテル化物、水添ビスフェノールAのジプロペニルエーテル化物、水添ビスフェノールFのジプロペニルエーテル化物、トリプロペニルイソシアヌレートなどのプロペニルエーテル化合物;5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン、1−メチル−5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン、3a、4,7,7a−テトラヒドロインデン、4−ビニル−1−シクロヘキセンなどの環状化合物及びこれらの変性物(例えば、エチレングリコールやメチルハイドロジェンシロキサンで2量化したものなど)が挙げられる。好ましい有機基質には、シクロペンテン等のシクロアルケン、水添ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、トリアリルイソシアヌレート、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンのエチレングリコール変性物、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンのメチルハイドロジェンシロキサン変性物が挙げられる。 反応基質のアルコールとしては、1級アルコールまたは2級アルコールが用いられる。 1級アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−エイコサノール、3−メチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−ペンタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、3−クロロ−1−プロパノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール及び2−(p−クロロフェニル)エタノール等のモノアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール及びシクロヘキシレングリコールなどの2価アルコール等が挙げられる。 2級アルコールとしては、2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−デカノール、2−エイコサノール、3−ペンタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−デカノール、3−エイコサノール、4−ヘプタノール、4−デカノール、4−エイコサノール、3−メチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、2,2−ジメチル−3−ペンタノール、5−メチル−3−ヘキサノール、1−クロロ−2−プロパノール、1−ブロモ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、1−アセトキシ−2−プロパノール、1−フェニルエタノール、ベンズヒドロール、1−(p−トリル)エタノール、1−(p−クロロフェニル)エタノール、1−(p−ブロモフェニル)エタノール、1−(p−メトキシフェニル)エタノール、1−(p−フェノキシフェニル)エタノール、1−(p−アセトキシフェニル)エタノール、1−フェニル−2−プロパノール、1−(p−トリル)−2−プロパノール、1−(p−クロロフェニル)−2−プロパノール、1−(p−ブロモフェニル)−2−プロパノール、1−(p−メトキシフェニル)−2−プロパノール、1−(p−フェノキシフェニル)−2−プロパノール、1−(p−アセトキシフェニル)−2−プロパノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、exo−ノルボルネオール、endo−ノルボルネオール、1−インダノール、1−テトラロール、9−フルオレノール等が挙げられる。 さらに、上記アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合したものもアルコールとして使用してもよい。アルキレンオキサイドとしては例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−または1,4−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、およびこれらの2種以上の併用(ブロック付加でもランダム付加でもよい)が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加モル数は、通常2〜500である。好ましいアルコールとしては、2級アルコールである。 反応基質であるケトンとしては、芳香族ケトン、脂肪族ケトン、アリールアルキルケトン、環状ケトン等が挙げられる。 ケトンの具体例としては、ベンゾフェノン、ジナフチルケトン及びベンゾピナコロン等の芳香族ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、メチルtert−ブチルケトン、メチルビニルケトン及びジエチルケトン等の脂肪族ケトン;メチルフェニルケトン、ブチロフェノン、イソブチロフェノン、バレロフェノン及びベンゾイルアセトン等のアリールアルキルケトン;シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びシクロオクタノン等の環状ケトンが挙げられる。 <細かい話で申し訳ありませんが、[0033]ではスルホン化、スルホキシド化反応基質であるスルフィドとしては、芳香族スルフィド、脂肪族スルフィド、アリールアルキルスルフィド、環状スルフィドが挙げられる。 ジフェニルスルフィド及びフェニル−1−メチルフェニルスルフィド等の芳香族スルフィド;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジシクロヘキシルスルフィド、エチルブチルスルフィド、1-クロロ-2-(エチルスルファニル)エタン及びテトラヒドロチオフェン等の脂肪族スルフィド等;フェニルメチルスルフィド及びフェニルエチルスルフィド等のアリールアルキルチオエーテル等が挙げられる。 本発明の酸化反応用触媒を用いた酸化反応は、酸化剤として過酸化水素、分子状酸素、有機過酸化物、無機過酸化物などいずれを用いてもよい。安全性の面から、過酸化水素、分子状酸素が好ましく、特に好ましくは過酸化水素水である。 通常過酸化水素は35%以下の濃度で水に希釈したものが使用される。酸化剤の使用量は、有機基質の種類などに応じて選択でき、通常、有機基質1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル程度である。 酸化反応は、これら酸化剤と酸化反応用触媒であるヘテロポリ酸及び/又はその塩(A)をあらかじめ混合しておいてもよいし、酸化反応用触媒水溶液と本発明の(B)及び酸化反応基質の溶液からなる均一混合溶液又は分散溶液に、これら酸化剤を滴下してもよい。 酸化反応は、溶媒の存在下または非存在下のいずれで行ってもよい。 溶媒は、有機基質及び目的生成物の種類等により適当に選択できる。 溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの鎖状または環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−エチルヘキシルアルコールなどのアルコールなどが挙げられる。これらの溶媒は一種で、又は二種以上混合して用いられる。 反応温度は、反応基質や反応の種類などに応じ、反応速度及び反応選択性を考慮して適宜選択できるが、例えば、0〜200℃、好ましくは10〜150℃程度である。反応は常圧で行ってもよく、加圧下に行ってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよい。 酸化反応によって得られた化合物は、抽出、分液、ろ過、遠心分離、蒸留などの通常の方法によって精製分離される。本発明の酸化反応用触媒は、水に対する溶解性が高く、疎水性の有機溶媒への溶解性が低いため、抽出、分液による方法が好ましい。 本発明における酸化反応用触媒は、長期にわたって反応活性を維持し、安定的に使用可能である。以下、本発明の酸化反応用触媒の使用例として更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。以下に本発明の触媒の製造例を記載する。[触媒1の製造法]ケイモリブデン酸(H3SiMo12O40)(A−1)182gを500gの水に溶解させヘテロポリ酸水溶液を調製した。これに1−エチル−3−メチルイミダゾリウム酢酸塩(B−1)51gを投入し、本発明の触媒1であるケイモリブデン酸の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩の水分散液を得た。[触媒2の製造法] リンタングステン酸(H3PW12O40)(A−2)288gを1000gの水に溶解させヘテロポリ酸水溶液を調製した。これにリン酸メチルと1,8−ジアザビシクロ「5.4.0」ウンデセン−7から得られたリン酸・1−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7塩(B−2)68g投入し、リンタングステン酸の1−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7塩水溶液を得た。 次いで本水溶液を120℃の循風乾燥機にて8時間乾燥させ、本発明の触媒2であるリンタングステン酸の1−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7塩を得た。[触媒3の製造法]リンタングステン酸(H3PW12O40)(A−2)288gと1−エチル−3−メチルイミダゾリウムリン酸塩(B−3)60gを10%過酸化水素水500gに溶解させ、本発明の触媒3であるリンタングステン酸の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムリン酸塩の過酸化水素水溶液を得た。[触媒4:リンタングステン酸(H3PW12O40)(A−20)のシリカ担持物の製造法] 担体として、合成シリカゲル(富士シリシア化学(株)社製CARiACT Q−10)(比表面積219.8m2/g、細孔容積0.660cm3/g)300部を110℃に調節した熱風式乾燥機で4hr乾燥した。 リンタングステン酸300部秤量し、純水500mlを加えた水溶液に乾燥した合成シリカゲルを全量入れよくかき混ぜた。この水溶液を含浸した担体を、1Hr風乾後、150℃に調節した乾燥機で、5Hr乾燥し、比較のための触媒4であるリンタングステン酸のシリカ担持触媒とした。[触媒5:リンタングステン酸(H3PW12O40)(A−2)とフッ素含有アンモニウムの反応生成物の製造法] 以下に、(B)成分としてフッ素含有アンモニウムと組み合わせた、比較のための触媒である触媒5の製造法を記載する。 先ず、以下の方法でフッ素含有アンモニウム化合物である1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルトリメチルアンモニウムクロライドを合成した。 窒素雰囲気下、撹拌装置、温度計、滴下ロート二つを付した1Lの4つ口フラスコに、2−ニトロベンゼンスルホニルクロライド42g、塩化メチレン278gを仕込み、次いで、滴下ロートにトリエチルアミン20g、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール66gをそれぞれ仕込んだ。 撹拌しながら反応液温度が0℃になるようにフラスコを冷却し、温度を0℃に保持したまま、約10分かけてトリエチルアミンを滴下した。次いで、温度を0℃に保持したまま、約40分かけて1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノールを滴下し、4時間撹拌した。反応終了後、フラスコ温度を室温に戻し、水300mlを添加し、加水分解した。1Lの分液ロートへ移し、反応液を分液後、水層に塩化メチレン40ml加え、水層を洗浄する操作を3回行った。得られた塩化メチレン層と有機層とを合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により無水硫酸マグネシウムを除去し、エバポレートすることにより塩化メチレンを除去し、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル−2−ニトロベンゼンスルホナートを淡黄色固体として98g(収率95%)得た。 次に、窒素雰囲気下、磁気撹拌子、温度計、ジムロート冷却器を付した300mlの4つ口フラスコに、合成した1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル 2−ニトロベンゼンスルホナート95g、ジメチルベンジルアミン77gを仕込んだ。撹拌しながら反応液温度が還流温度(150〜160℃)になるようにフラスコを加熱し、温度を150〜160℃に保持したまま、45時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を放冷すると固体が析出した。これを瀘別した後、母液の蒸留により、目的物である含フッ素3級アミンを含む低沸点化合物群とジメチルベンジルアミン(沸点183℃)とを分留した。得られた留去液にエーテルを加え、3%塩酸水で洗うことにより微量に含まれるジメチルベンジルアミンを塩酸塩化して水相を除去した。塩酸水層をエーテル20mlで3回洗浄し、エーテル層に加えた。次いで、エーテル層に10%塩酸水を加えふりまぜ、今度は含フッ素3級アミンを塩酸塩化して、反応副生物を含む有機層を除去した。この塩酸水層に水酸化ナトリウムを少しずつ加えてアルカリ性にしていくと油状物質が現れてきた。これをエーテルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過により無水硫酸マグネシウムを除去し、エバポレートすることによりエーテルを除去し、ジメチル1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアミンを無色液体として37g(収率56%)得た。 次に、磁気撹拌子、温度計、ジムロート冷却器を付した200mlの二口フラスコに、上記のジメチル1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアミン30g、ヨウ化メチル67gを仕込んだ。撹拌しながら反応液温度が還流温度(45℃)になるようにフラスコを加熱し、温度を45℃に保持したまま、10時間撹拌した。反応終了後、フラスコ温度を室温に戻し、析出した固体を瀘別した後、ジエチルエーテル5mlで5回洗浄した。洗浄した固体を乾燥し、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルトリメチルアンモニウムアイオダイドを白色固体として40g(収率94%)得た。 磁気撹拌子を備えた500mlのナスフラスコに、上記の1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルトリメチルアンモニウムアイオダイド5.01g、イオン交換樹脂アンバーライト(Amberlite)IRA−400(米国ローム・アンド・ハース社製)50ml、蒸留水250mlを仕込んだ。反応液温度を室温(20〜25℃)に保持したまま、16時間撹拌した。反応終了後、濾過によりイオン交換樹脂を除去し、イオン交換樹脂は蒸留水25mlで5回洗浄した。 エバポレートすることにより水を除去した後、真空乾燥して、(A−2)と組み合わせるためのフッ素含有アンモニウム化合物である1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルトリメチルアンモニウムクロライドを白色固体として4.01g得た。 別途、ジムロート冷却器、撹拌装置を備えた50mlのナスフラスコに、タングステン酸(H2WO4 )1.250gと35%過酸化水素水 3.00 mLを加え、60℃で3時間攪拌した。生じた白色懸濁液を室温まで冷却した後、85%リン酸(H3PO4 )0.114g(0.4mmol)と水15mLを加えた。 この溶液に、上記の1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルトリメチルアンモニウムクロライド1.02g(2.50mmol)の塩化メチレン(20mL)溶液を2分間かけて滴下した。さらに15分間攪拌した後に、50℃で塩化メチレンを蒸去し、残存固体を濾取した。この固体を水洗したのち、乾燥することで、比較例用の触媒5である、リンタングステン酸と1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルトリメチルアンモニウムクロライドの混合物を淡黄色固体として1.71g(90.3%)得た。[製造例1]<酸化反応基質であるオレフィンの製造例1> 撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、メチルエチルケトン(丸善石油社製)を200部、水添ビスフェノールA(新日本理化社製)を234部(1モル部)を仕込み、300rpmで撹拌しながら、50℃に加熱した。そこにアリルクロライド(昭和電工社製)を161部(2.1モル部)滴下した。滴下終了後、50℃で3時間熟成し、水500gを加えた後、室温で静置した。分液後メチルエチルケトンを50℃1Torrで減圧除去し、水添ビスフェノールAのジアリルエーテル(c−1)を得た。[製造例2]<酸化反応基質であるオレフィンの製造例2>撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、エチレングリコール(三菱ガス化学社製)を62部(1モル部)仕込み、300rpmで撹拌しながら、60℃に加熱した。5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(サンペトロケミカル社製)を240部(2モル部)を滴下した。滴下終了後、60℃で3時間熟成後、180℃1Torrで未反応物及びエチレングリコールを減圧除去し、エチレングリコール−ビス(5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン)エーテル(c−2)を得た。[実施例1〜7] 本発明の触媒1〜3を用いて、以下の方法でエポキシ樹脂を製造した。 攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、表1に記載した仕込量(重量)の酸化反応用触媒1〜3、85%リン酸水溶液、酸化剤、相間移動触媒を仕込み、300rpmで撹拌しながら、60℃に温調した。 表1に記載した量の溶媒と酸化反応基質の混合溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、温度を60℃に保ちながら、20時間反応させた。室温まで冷却、静置した。2相に分離した反応混合物から上層(有機相)を分液した。[比較例1〜7] 表2に従って、実施例1〜7と同様に反応槽に仕込み、反応させた。比較例3と6は触媒相を含む3相に分離するため、下層(水相)と触媒相(中間相)をそれぞれ分離した。 実施例1〜7と比較例1〜7の酸化反応収率、触媒回収率、触媒の活性保持率を以下の方法で測定した。その結果を表3に示す。 <酸化反応収率の算出方法> 上記の実施例、比較例とで得られた上層(有機相)中の酸化反応生成物は、ガスクロマトグラフィ(GC)における、酸化反応基質と酸化反応生成物のピークの比より収率を求めた。その結果を表3に記載した。 酸化反応収率(%)=酸化反応生成物×100/酸化反応基質<GCによる酸化反応生成物の分析条件>なお、下記のGC装置と分析条件により酸化反応生成物を分析した。 機器:島津製作所製 GC−1700 検出器:FID カラム:キャピラリカラム Rtx−5(長さ30m、内径0.25mm ID、液相 の膜厚:0.25μM、Restek社製) サンプル注入量:1.0μL INJ温度:300℃ キャリアーガスHe圧力:129kPa キャリアーガスHe全流量:23.0mL/min キャリアーガスHeカラム流量:1.8mL/min 線速度:37.8cm/sec スプリット比:10.0 DET温度:300℃ メイクアップガスHe圧力:10.0kPa H2圧力:60kPa Air圧力:50kPa カラム温度:50℃〜10℃/min昇温;最高到達温度280℃、保持時間5分<金属元素含有量の測定法> ICP発光分析装置(ICP−OES)を用いて測定した。 測定試料2.00gをプラスチック製試料管に秤量し、18.00gのジメチルホルムアミドを加え10倍に希釈する。検量線は、標準物質としてSPEC社製ICP発光分析用標準溶液XSTC−622を用い、10ppb、50ppb、100ppbで行い、通常の条件でICP−OES測定を行う。 XTSC−622で測定できる元素は35種であり、Li、B、Na、Mg、Al、Si、P、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Zr、Mo、Ag、Cd、Sn、Sb、Cs、Ba、W及びPbである。したがって、金属元素とは、このうちB、Si、P、Ge、As、Se及びSbを除いた28種をいう。<触媒の回収率> 触媒ヘテロポリ酸中の金属であるタングステン又はモリブデンをICP発光分析により分配分析を行った。下記式にて触媒の回収率を求め、表3に記載した。 触媒の回収率(%)=[(a)−(b)]100/(a) 但し、(a)は仕込み金属含量(ppm)、(b)は分液後の有機相中の金属含量(ppm)を表す。 ここで、金属とは、ヘテロポリ酸中のタングステン又はモリブデンをさす。仕込み金属含量は、構造式から求めた計算値を用いた。<触媒の活性保持率> 上記の実施例、比較例とで得られた水相(又は水相と触媒相)に、それぞれ使用した酸化剤を加えて再び撹拌、加熱し、60℃まで昇温された時点で、それぞれ使用した有機溶媒に酸化反応基質を溶解した溶液を1時間かけて滴下後、20時間反応した。この方法により、触媒を回収することができた。これを10回繰り返し再利用後、下記式により計算された活性保持率を求めた。表3に記載した。 活性保持率(%)=10サイクル後の酸化反応収率/1回目の酸化反応収率 表3の結果より明らかなように、実施例1〜7で用いた酸化反応用触媒は、いずれも酸化反応収率(触媒の活性)が高く、触媒の回収率及び活性保持率が高いため、比較例の酸化反応用触媒よりも優れていることがわかる。 本発明の酸化反応用触媒は、長期にわたり反応活性を維持し、安定的に使用可能であるため、高価なヘテロポリ酸触媒又はその塩を廃棄せずに繰り返し利用することができ、酸化反応を安価に行うことができる。 ヘテロポリ酸及び/又はその塩(A)、並びにカチオン成分がイミダゾリニウムイオン、イミダゾリウムイオンおよびピリミジニウムイオンからなる群から選ばれる1種以上であり、アニオン成分がリン酸アニオン、アルキルリン酸アニオン、カルボキシルアニオン、ホウ酸アニオンおよびアルキルホウ酸アニオンから選ばれる1種以上の組合せである塩(B)を必須成分とする酸化反応用触媒。 該ヘテロポリ酸が、H4[SiW12O40].xH2O、 H3[PW12O40].xH2O、 H3[PMo12O40].xH2O、H4[SiMo12O40].xH2O、H4+n[SiVnW12-nO40].xH2O、H3+n[PVnW12-nO40].xH2O、H3+n[PVnMo12-nO40].xH2O、H4+n[SiVnMo12-nO40].xH2O、H4[SiMonW12-nO40].xH2O、およびH3[PMonW12-nO40].xH2O(ただし、nは1〜11の整数を、xは1以上の整数を示す。)からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の酸化反応用触媒。 該へテロポリ酸の塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、銅塩、金塩、ガリウム塩およびアンモニウム塩からなる群から選ばれる1種以上の塩である請求項1記載の酸化反応用触媒。 請求項1〜3いずれか記載の酸化反応用触媒を用い、酸化剤として過酸化水素または分子状酸素を用いることを特徴とする有機化合物の酸化反応方法。 該有機化合物がオレフィンであって、酸化反応がエポキシ化である請求項4記載の酸化反応方法。 【課題】 長期にわたり反応活性を維持し、安定的に使用可能である触媒を提供する。【解決手段】 ヘテロポリ酸又はその塩(A)、並びにイミダゾリウムイオン、イミダゾリウム及びピリミジニウムイオンをカチオンとし、リン酸アニオン、アルキルリン酸アニオン、カルボキシルアニオン、ホウ酸アニオン及びアルキルホウ酸アニオンから選ばれる少なくとも1種類のアニオンからなる塩(B)からなる酸化反応用触媒を用いる。【選択図】なし