生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ミクロトーム替刃及びその製造方法
出願番号:2008137304
年次:2009
IPC分類:G01N 1/06


特許情報キャッシュ

吉田 英樹 武藤 勇之助 JP 2009281995 公開特許公報(A) 20091203 2008137304 20080526 ミクロトーム替刃及びその製造方法 武藤化学株式会社 390021212 特許業務法人はるか国際特許事務所 110000154 吉田 英樹 武藤 勇之助 G01N 1/06 20060101AFI20091106BHJP JPG01N1/06 D 5 1 OL 8 2G052 2G052AA28 2G052AD32 2G052BA16 2G052EC04 2G052GA32 本発明は、ミクロトームに用いられる替刃であるミクロトーム替刃及びその製造方法に関する。特に、刃先部の処理に関する。 ミクロトーム替刃は、顕微鏡スライドグラスに載置される観察用試料を極薄の切片にするための装置であるミクロトームに用いられる替刃である。ミクロトームには、滑走式ミクロトームと回転式ミクロトームとが、現状用いられている。刃が固定されておりハンドルの回転に連動して試料が連続して繰り返し上下方向に動くのが回転式、試料が固定され刃が前後方向に動くのが滑走式と呼ばれ、小さな面積の連続切片を作るには前者、広い面積の切片を作るには後者が用いられる。しかし、切り出し時の、替刃歯部と試料切片の相対移動原理は同じである。 従来ミクロトーム替刃の刃先部は、すくい面と逃げ面の間に刃先角度22度乃至35度を形成している。しかし、刃付け工程において、太鼓状に膨らむ刃先の発生を抑制できること、薄片を形成する際にビビリや逃げがないことなどが、さらに追求され、すくい面と逃げ面を対称でなくしたミクロトーム替刃の技術などが開示されている(例えば、特許文献1)。この開示技術では、すくい面が、刃先先端から刃幅方向へ最大0.7mmの範囲内で形成され、逃げ面が、すくい面と同じ又はすくい面よりも小さな範囲で形成されている。 また、さらに、一般に、刃尖の傷の発生を抑えるため刃先部のすくい面と逃げ面の両面にフッソ樹脂などのコーティングがされてきた。通常このフッ素樹脂の厚さは、2μm以上である。 しかし、ミクロトーム替刃は、より薄切りができること、より永切れできること、より切片試料に傷が発生しないこと、が、常に求められ追及されてきた。特開2006−90977号公報(要約書 図2) 本発明の課題は、より薄切りができる、より永切れできる、より切片試料に傷が発生しない、ミクロトーム替刃を提供することである。 上記課題を解決するため、ミクロトーム用のミクロトーム替刃において、該替刃の刃先部は刃先角度を形成するすくい面と逃げ面とを有し、前記すくい面には樹脂コーティングが施され、前記逃げ面には樹脂コーティングなし或は先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティングが施されているミクロトーム替刃とする。これによって、刃先部のすくい面と逃げ面の両面へ樹脂コーティングを施したものに比べ、より薄切りができる、より永切れできる、より切片試料に傷が発生しない、ミクロトーム替刃を提供することができる。 また、前記樹脂コーティングが、フッ素樹脂コーティングであるミクロトーム替刃とすれば、刃尖の傷の発生を抑え、永切れできる。 また、ミクロトーム用のミクロトーム替刃の製造方法において、該替刃の刃先部の刃先角度を形成するすくい面と逃げ面とを作成後、前記すくい面に樹脂コーティングを行い、前記逃げ面には樹脂コーティングなし或は先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティングを行うミクロトーム替刃の製造方法とする。これによって、刃先部のすくい面と逃げ面の両面へ樹脂コーティングを施すのに比べ、この製造方法により、より薄切りができる、より永切れできる、より切片試料に傷が発生しない、ミクロトーム替刃を得ることができる。 また、前記樹脂コーティングが、フッ素樹脂コーティングであるミクロトーム替刃の製造方法とすれば、刃尖の傷の発生を抑え、永切れできるミクロトーム替刃を得ることができる。 また、前記樹脂コーティングが、スプレー塗装によるコーティングであるミクロトーム替刃の製造方法とすれば、より均質のコーティングが可能となり、より切片試料に傷が発生しない製造方法とできる。 以上説明したように、ミクロトーム用のミクロトーム替刃のすくい面には樹脂コーティングを施し、その逃げ面には樹脂コーティングなし或は先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティングが施されているミクロトーム替刃とすることによって、刃先部のすくい面と逃げ面の両面へ樹脂コーティングを施したものに比べ、より薄切りができる、より永切れできる、より切片試料に傷が発生しない、ミクロトーム替刃を提供することができる。また、ミクロトーム用のミクロトーム替刃の製造方法において、替刃の刃先部の刃先角度を形成するすくい面と逃げ面とを作成後、すくい面に樹脂コーティングを行い、逃げ面には樹脂コーティングなし或は先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティングを行うことで、刃先部のすくい面と逃げ面の両面へ樹脂コーティングを施すのに比べ、この製造方法により、より薄切りができる、より永切れできる、より切片試料に傷が発生しない、ミクロトーム替刃を得ることができる。 以下、本発明の実施の形態を図示例を伴い説明する。 図1は、この発明の一実施の形態としてのミクロトーム替刃の例を示す斜視図である。図2は、図1のミクロトーム替刃の刃先部の拡大断面を模式的に示す断面図である。 この例でのミクロトーム替刃10は、ミクロトームに装着する本体20、試料切片を切出す刃先部30、この刃先部30の刃先角度Dを形成する、試料切片を切出し時のすくい面40と、逃げ面50を有している。ここでの刃先角度Dは、35度を成すが、20度から40度の範囲が望ましい。本体20と刃先部30とは、ここでは、一体にステンレス鋼材で形成されている。すくい面40には、樹脂コーティング40aが施され、逃げ面には樹脂コーティングなし或は先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティング50aが施されている。すなわち、逃げ面には樹脂コーティングは殆ど施されない。 次に、ミクロトーム替刃の刃先部でパラフィンブロック(これは、試料切片を切出す試料ブロックである。)から試料切片を切り取る状況を説明する。 図3は、図2のミクロトーム替刃10の刃先部30でパラフィンブロック70から試料切片を切り取っている状態を示す断面図である。図4は、図3の刃先部30の先端付近の拡大断面図である。 この状況の説明の前に、図5乃至図7に示した、従来のミクロトーム替刃100の概要を説明する。図5は、従来のミクロトーム替刃100の刃先部130の拡大断面を模式的に示す断面図で、本発明における上記実施の形態の図2に対応する。図6は、ミクロトーム替刃100の刃先部130でパラフィンブロック170から試料切片を切り取っている状態を示す断面図で、本発明における上記実施の形態の図3に対応する。図7は、図6の刃先部130の先端付近の拡大断面図で、本発明における上記実施の形態の図4に対応する。従来のミクロトーム替刃100では、本発明における上記実施の形態で示した各対応する構成要素の符号に、100を加えた符号を便宜上付して示し、詳細な説明に代える。ここで、上記実施の形態と異なる特徴的な点は、従来のミクロトーム替刃100の刃先部130のすくい面140と逃げ面150の両面とも樹脂コーティング(例えば、フッ素樹脂コーティング)140a、150aが施されていることである。 ミクロトームに取り付けられた従来のミクロトーム替刃100は、図6、また、その刃先部130の先端付近の拡大断面図の図7に示すように、パラフィンブロック170の表面から、刃先部130の先端が、選定された深さ方向d、例えば、0.5μm〜3μmの位置にセットされて、斜めにパラフィンブロック170に当たる。刃先部130は、パラフィンブロック170に対し、図6、図7の手前方向に引かれながら、左方向に移動し、パラフィンブロック170から試料切片を切り取る。図6、図7に示すように、逃げ面150側の樹脂コーティング150aがパラフィンブロック170にくい込む状態となり、パラフィンブロック170が逃げたり逃げなかったりして、チャタリング動作が起きやすくなり、切れ味が悪くなり、また、コート傷も発生する。 他方、ミクロトームに取り付けられた本発明の実施の形態によるミクロトーム替刃10は、図3、また、その刃先部30の先端付近の拡大断面図の図4に示すように、パラフィンブロック70の表面から、刃先部30の先端は、選定された深さ方向d、例えば、0.5μm〜3μmの位置にセットされ、斜めにパラフィンブロック70に当る。刃先部30は、パラフィンブロック70に対し、図3、図4の手前方向に引かれながら、左方向に移動し、パラフィンブロック70から試料を切り取る。図3、図4に示すように、逃げ面50側の樹脂コーティング50aは、まったくないか、或は、あっても先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティング50aが施されているにすぎないため、樹脂コーティング50aがパラフィンブロック70にくい込みパラフィンブロック70が逃げたり逃げなかったりして、チャタリング動作を起こすことはなく、刃先部30の切れ味も良く、また、コート傷の発生もまずない。試料ブロックに食い込みチャタリング動作を起さないためには、逃げ面50側の樹脂コーティング50aが、先端部の厚さ1μm以下が効果的である。特に、0.5μm以下であれば、いっそう望ましい。 次に、本発明の実施の形態におけるミクロトーム替刃の製造方法に付き説明する。 ステンレス製のミクロトーム替刃用ブランク材に刃先部30の刃先角度を形成するすくい面40と逃げ面50とを作成する。その後、すくい面40にフッ素樹脂などによる樹脂コーティング40aをスプレー塗装などにより行い。逃げ面50には樹脂コーティングをしないか、或は先端部の厚さ1μm以下の薄いフッ素樹脂などによる樹脂コーティングをスプレー塗装などにより行う。これによって、刃先部のすくい面と逃げ面の両面へ樹脂コーティングを施すのに比べ、より薄切りができる、より永切れできる、より切片試料に傷が発生しない、ミクロトーム替刃を製造できる。 樹脂コーティングが、フッ素樹脂コーティングである場合、刃尖の傷の発生を抑え、永切れできるミクロトーム替刃を得ることができる。 また、樹脂コーティングが、スプレー塗装によるコーティングである場合、より均質のコーティングが可能となり、より試料切片に傷が発生しない。 次に、本発明における一実施の形態の効果を確かめるための、比較実験に付き説明する。本発明のよる上記実施の形態としての刃先部片面コーティングサンプルA1、A2(ここでは、逃げ面側の樹脂コーティングのないサンプルです。)と従来の刃先部両面コーティングサンプルB1,B2とに付き比較実験を行った。 替刃サンプルA1とB1は、滑走式ミクロトームを用いて、比較し、替刃サンプルA2とB2は、回転式ミクロトームを用いて、比較した。それぞれは、「パラフィンブロック」にされた試料ブロックを、定時間氷で冷やし、各1回冷やすごとに、どの位の枚数がスライドグラス用試料切片として適切に切りだせる(切れ味)か、を出した。一枚は、それぞれ3μm(マイクロメータ)厚に切り出すよう、ミクロトームをセットして行った。各切出された試料切片につき、コート傷(コーティング材からの傷と考えられるもの)、メス傷(替刃の刃先部による傷と思われるもの)を顕微鏡により観察した。 その結果は、下の表1、表2のようであった。 特に表2は、永切れを確認のため、各種試料ブロックを順にその都度氷で冷やしながら、巡回して、切出し結果である。また、表2の最右欄には、PAM(過ヨウ素酸メセナミン銀)染色用の試料片として耐えうる良片枚数を示している。例えば、3/5とは、5枚切った内良片が、3枚だったことを示している。 上記の表1と表2とから言えることは、滑走式ミクロトームによる場合も、回転式ミクロトームによる場合も、片面コーティングサンプルA1、A2の方が、両面コーティングサンプルB1,B2に比べ、切れ味、永切れともに、より良好であった。両者に明らかな差が出た。 また、パラフィンブロックにコート傷(コーティング材からの傷と考えられるもの)が、片面コーティングサンプルA1、A2の場合は出ないのに、両面コーティングサンプルB1,B2の場合は見られた。 さらに、滑走式ミクロトームによる場合ですが、子宮や骨などの堅い臓器場合に片面コーティングサンプルA1がより切れ味は良好であった。PAM(過ヨウ素酸メセナミン銀)染色用の試料片として耐えうる良片枚数は、片面コーティングサンプルA1の場合が、より良好であった。 このように、本発明による実施の形態では、逃げ面側の樹脂コーティングを無くすか、或は、先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティング50aを施すものとしたため、逃げ面側の樹脂コーティングによる影響がなく、初切れ(切れ味)が良くなる、硬いものが切れる、コーディングによるコート傷が出ない、超薄切れが可能となる。また、樹脂コーティングとパラフィンブロック間の抵抗が少なくなり、静電気の発生を抑え、切出されて出てくる試料切片が、まとわりつく現象が減る。また、試料切片が切出されて出てくる方であるすくい面には、しっかり樹脂コーティングがされているため、切片にカーリングが発生し、切片が拾いやすい。 上記のように、ミクロトーム用のミクロトーム替刃のすくい面には樹脂コーティングを施し、その逃げ面には樹脂コーティングなし或は先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティングが施されるミクロトーム替刃は、刃先部のすくい面と逃げ面の両面へ樹脂コーティングを施したものに比べ、より薄切りができる、より永切れできる、より切片試料に傷が発生しないなどの利点があり、この本発明によるミクロトーム替刃とその製造方法は、産業上有用であり、ミクロトーム替刃として広く利用できる。本発明のミクロトーム替刃の一実施の形態の外観斜視図を示す。図1のミクロトーム替刃の刃先部の拡大断面図を模式的に示す断面図である。図2のミクロトーム替刃の刃先部でパラフィンブロックから試料を切り取っている状態を示す断面図である。図3の刃先部の先端付近の拡大断面図である。従来のミクロトーム替刃の刃先部の拡大断面図を模式的に示す断面図である。図5のミクロトーム替刃の刃先部でパラフィンブロックから試料を切り取っている状態を示す断面図である。図6の刃先部の先端付近の拡大断面図である。符号の説明10 ミクロトーム替刃、20 本体、30 刃先部、40 すくい面、50 逃げ面、40a 樹脂コーティング、50a 樹脂コーティング、70 パラフィンブロック、D 刃先角度、d 選定された深さ方向。 ミクロトーム用のミクロトーム替刃において、該替刃の刃先部は刃先角度を形成するすくい面と逃げ面とを有し、前記すくい面には樹脂コーティングが施され、前記逃げ面には樹脂コーティングなし或は先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティングが施されていることを特徴とするミクロトーム替刃。 前記樹脂コーティングが、フッ素樹脂コーティングであることを特徴とする請求項1記載のミクロトーム替刃。 ミクロトーム用のミクロトーム替刃の製造方法において、該替刃の刃先部の刃先角度を形成するすくい面と逃げ面とを作成後、前記すくい面に樹脂コーティングを行い、前記逃げ面には樹脂コーティングなし或は先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティングを行うことを特徴とするミクロトーム替刃の製造方法。 前記樹脂コーティングが、フッ素樹脂コーティングであることを特徴とする請求項3記載のミクロトーム替刃の製造方法。 前記樹脂コーティングが、スプレー塗装によるコーティングであることを特徴とする請求項3叉は4に記載のミクロトーム替刃の製造方法。 【課題】薄切りができ、永切れでき、切片試料に傷が発生しない、ミクロトーム替刃を得る。【解決手段】ミクロトーム用のミクロトーム替刃10の刃先部30は刃先角度を形成するすくい面40と逃げ面50とを有し、すくい面40には樹脂コーティング40aが施され、前記逃げ面50には樹脂コーティングなし或は先端部の厚さ1μm以下の薄い樹脂コーティング50aが施される。また、このミクロトーム替刃10の製造方法では、替刃の刃先部30の刃先角度を形成するすくい面40と逃げ面50とを作成後、すくい面40に樹脂コーティング40aを行い、逃げ面50には樹脂コーティングなし或は前記すくい面40と比べ薄い樹脂コーティング50aを行う。【選択図】図1


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る