タイトル: | 公開特許公報(A)_アルキレンオキサイド付加物の製造方法及びそれにより得られるアルキレンオキサイド付加物 |
出願番号: | 2008133942 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 41/03,C07C 43/11,C07B 61/00 |
竹田 勝紀 大橋 宏範 JP 2009001559 公開特許公報(A) 20090108 2008133942 20080522 アルキレンオキサイド付加物の製造方法及びそれにより得られるアルキレンオキサイド付加物 第一工業製薬株式会社 000003506 蔦田 璋子 100059225 蔦田 正人 100076314 中村 哲士 100112612 富田 克幸 100112623 夫 世進 100124707 竹田 勝紀 大橋 宏範 JP 2007135217 20070522 C07C 41/03 20060101AFI20081205BHJP C07C 43/11 20060101ALI20081205BHJP C07B 61/00 20060101ALN20081205BHJP JPC07C41/03C07C43/11C07B61/00 300 2 OL 8 4H006 4H039 4H006AA01 4H006AA02 4H006AB68 4H006AB84 4H006AC41 4H006AC43 4H006BA11 4H006BA31 4H006BA37 4H006BA51 4H006BA67 4H006BA69 4H006BD60 4H006GN06 4H006GP01 4H006GP10 4H039CA60 4H039CA61 4H039CF90 本発明は、活性水素含有化合物に対し触媒を利用してアルキレンオキサイドを付加重合させることからなるアルキレンオキサイド付加物の製造方法及びそれにより得られるアルキレンオキサイド付加物に関する。 アルキレンオキサイド付加物は、工業的に広範囲に用いられている重要な材料の一種である。アルキレンオキサイド付加物は、一般に一種以上の触媒存在下、活性水素含有化合物とエチレンオキサイドを代表とする種々のアルキレンオキサイド化合物との反応によって製造されている。その製造技術に関しては従来から多くの知見が見出され、様々なものが報告されている。 しかしながら、フッ素アルコールのようなフッ素原子を含有する活性水素含有化合物の場合、一般にアルキレンオキサイド付加物を製造する際に使用するアレニウス塩基を触媒に用いると、フッ素原子を含むアルコールが分解し、酸が副生される。そのため、触媒が失活してしまい、期待通りに反応が進まず、反応が停止してしまうという問題が生じる。 これらの問題に対し、上記のようなフッ素原子を含有する活性水素含有化合物はルイス酸を始めとする酸性触媒を用いた製法にて合成している。しかしながら、この製法ではポリエチレングリコールやジオキサン等の副生物が多く生成してしまい、さらに未反応物が多く残ってしまうという問題点がある。 その改善方法としては、例えばアルカリ金属ヨウ化物、アルカリ土類金属ヨウ化物、ヨウ素元素及びこれらの混合物から選ばれるヨウ素供給源の存在下で反応を行うことが提案されている。 しかしこれらの方法は、ヨウ素などの有害物質が系内に残ってしまうという問題点や工場等で製造するにはそれに見合った分子蒸留設備などの設備が必要であるなどの問題点を抱えている(特許文献1,2、非特許文献1,2)。特表平10−501810号公報特表平11−501933号公報日本化学会誌、1974(9)、p1731〜1735油化学、第12巻、第12号(1963)、p653〜662 本発明は上記に鑑みてなされたものであり、疎水基部位にフッ素原子を含む活性水素含有化合物のアルキレンオキサイド付加物の製造方法であって、未反応物の残存量が少ないために分子蒸留などの操作が不要なアルキレンオキサイド付加物の製造方法及びそれにより得られるアルキレンオキサイド付加物を提供することを目的とする。 本発明のアルキレンオキサイド付加物の製造方法は、フッ素原子を含有する活性水素含有化合物に対し、触媒を用いてアルキレンオキサイドを付加重合させることからなるアルキレンオキサイド付加物の製造方法であって、上記の課題を解決するために、フッ素原子を含有する活性水素化合物に先ず1種又は2種以上のルイス塩基である塩基性触媒を用いてアルキレンオキサイドを付加重合させ、得られたアルキレンオキサイド付加物に1種又は2種以上のルイス酸である酸性触媒を用いてさらにアルキレンオキサイドを付加重合させるものとする。 本発明のアルキレンオキサイド付加物は、上記した本発明の製造方法により得られるものであって、フッ素原子を含有する活性水素含有化合物の含有量が3重量%未満であるものとする。 本発明の製造方法によれば、疎水基部位にフッ素原子を含む活性水素含有化合物のアルキレンオキサイド付加物を得るに際して、未反応物の残存が少ない目的物が得られるため、蒸留設備等の大型設備なしに水に溶解しやすい目的物が製造可能である。また、分解反応が進まないために副生物の生成を抑制することができ、触媒の失活も確認されないため、目的とする化合物を容易に調製することが可能となる。 本発明の製造方法は、上記のように所定の活性水素含有化合物に対し、先ずルイス塩基を利用してアルキレンオキサイドを付加重合させ、得られたアルキレンオキサイド付加物にルイス酸を利用してアルキレンオキサイドを付加重合させる方法である。 本発明で用いる活性水素含有化合物はフッ素原子を含有する化合物である。すなわち、アルキレンオキサイドを付加重合する際に、一般に使用するアルカリ触媒では疎水基の分解が促進されてしまうフッ素原子を含有するアルコール類を活性水素含有化合物として使用する場合に、本発明は有効である。活性水素含有化合物中には、芳香環及び不飽和二重結合を含んでいても構わない。具体例としてはペルフルオロアルキルアルコールが挙げられるが、これに限定されない。活性水素含有化合物は分子量が単一のものを用いてもよく、分子量が異なるものの混合物を用いてもよい。 本発明で用いるアルキレンオキサイドは、上記活性水素含有化合物と反応して付加物を生成し得るものであればよく、特に限定されない。好ましい例としては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキシラン環を持つものが挙げられ、特に好ましいのはエチレンオキサイドである。 本発明で触媒として用いるルイス酸とは、少なくとも一つの電子対を受け取ることのできる空の軌道をもった電子対受容体であり、水素イオンを発生させない酸である。その具体例としては、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムクロライド、塩化第二スズ(IV)、塩化アルミニウム、塩化チタン(IV)、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素アミンコンプレックス、三フッ化ホウ素エチルエーテルコンプレックス、三フッ化ホウ素フェノールコンプレックス、三フッ化ホウ素酢酸コンプレックス、三フッ化ホウ素メチルアルコールコンプレックス、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化第一錫、ホウフッ化銅、ホウフッ化鉛、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化第一鉄、ホウフッ化アンチモン、ホウフッ化インジウム、ホウフッ化カリウム、ホウフッ化アンモニウム、ホウフッ化ソーダ及びホウフッ化マグネシウム等が挙げられる。中でも、塩化第二スズ(IV)、三フッ化ホウ素アミンコンプレックス、三フッ化ホウ素エチルエーテルコンプレックス、三フッ化ホウ素フェノールコンプレックス、三フッ化ホウ素酢酸コンプレックスが取扱いが容易な点から好ましい。これらルイス酸は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。 また、ルイス塩基とは、共有されていない少なくとも一つの電子対を有する電子対供与体であり、水酸化物イオンを発生させない塩基である。その具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、カテコールアミン、フェネチルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、アマンタジン、スペルミジン、スペルミン、トリメチルアミン−N−オキシドジヒドラート、ジメチル(プロパン−2−イル)アミン等が挙げられる。中でも、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンが取扱いが容易な点から好ましい。これらルイス塩基は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。 本発明の製造方法によるアルキレンオキサイド付加物の製造は、オートクレーブ等の圧力反応器で、従来の操作手順および反応条件に準じて行うことができる。反応の際、温度は0〜150℃であることが好ましく、より好ましくは50〜100℃とする。また、圧力は−0.1〜5.0MPaであることが好ましく、より好ましくは−0.1〜1.0MPaとする。 触媒の使用量は、特に限定されないが、上記各触媒につき活性水素含有化合物に対して0.01〜5.0重量%であることが好ましい。 本発明のアルキレンオキシド付加物は、上記本発明の製造方法により得られるものであり、未反応のフッ素原子を含有する活性水素含有化合物の含有量が3重量%未満であることが好ましい。これらの要件を満たす場合、疎水性と親水性のバランスが崩れることなく、界面活性剤としての性能低下などが生じないという利点を有する。 以下、本発明を実施例によってさらに具体的に示すが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。 なお、以下におけるアルキレンオキサイド付加モル数の測定及び分子量分布の測定はGC(ガスクロマトグラフィー)で行った。測定条件は次の通りである。〈GC測定条件〉a.ガスクロマトグラフ:HP−5890シリーズII(ヒューレットパッカード社製)b.カラム:DB−1、0.53mmφ×15m、膜圧0.15μm(J&W社製)c.検出器:FID検出器、300℃d.キャリアーガス:ヘリウム、0.2bar(at.100℃)constant.flow.on[実施例1] ガラス製オートクレーブに、ペルフルオロヘキシルエタノール364gと、トリブチルアミン9.0gを添加後、オートクレーブ内を窒素で置換した。次に、温度を70℃、圧力を0.3MPaに維持しながら、エチレンオキサイド110g(2.5モル)を導入し、6時間熟成反応を行った。引き続き、塩化第二スズ16.4gを添加し、温度を60℃、圧力を0.1MPaに維持しながらエチレンオキサイド110g(2.5モル)を導入し、1時間熟成反応を行った。 得られたアルキレンオキサイド付加物をGCで測定した結果、平均エチレンオキサイド(EO)付加モル数が4.9モルであり、副生ポリエチレングリコール(PEG)量は2重量%であり、原料であるペルフルオロアルキルエタノール残存量は1重量%以下であることが確認された。EO付加モル数分布を図1に示す。[実施例2] ガラス製オートクレーブに、ペルフルオロオクチルエタノール464gと、トリエチルアミン4.9gを添加後、オートクレーブ内を窒素で置換した。次に、温度を70℃、圧力を0.3MPaに維持しながらエチレンオキサイド181g(2.5モル)を導入し、6時間熟成反応を行った。引き続き、三フッ化ホウ素エチルエーテルコンプレックス8.9gを添加し、温度を70℃、圧力を0.1MPaに維持しながらエチレンオキサイド181g(2.5モル)を導入し、1時間熟成反応を行った。 得られたアルキレンオキサイド付加物をGCで測定した結果、平均EO付加モル数が4.9モルであり、副生PEG量は2重量%であり、原料であるペルフルオロアルキルエタノール残存量は1重量%以下であることが確認された。EO付加モル数分布を図2に示す。[実施例3] ガラス製オートクレーブに、ペルフルオロオクチルエタノール464gと、トリブチルアミン9.0gを添加後、オートクレーブ内を窒素で置換した。次に、温度を70℃、圧力を0.3MPaに維持しながらエチレンオキサイド110g(2.5モル)を導入し、6時間熟成反応を行った。引き続き、三フッ化ホウ素エチルエーテルコンプレックス8.9gを添加し、温度を70℃、圧力を0.1MPaに維持しながらエチレンオキサイド181g(2.5モル)を導入し、1時間熟成反応を行った。 得られたアルキレンオキサイド付加物をGCで測定した結果、平均EO付加モル数が4.9モルであり、副生PEG量は2重量%であり、原料であるペルフルオロアルキルエタノール残存量は1重量%以下であることが確認された。EO付加モル数分布を図3に示す。[実施例4] ガラス製オートクレーブに、ペルフルオロヘキシルエタノール364gと、トリエチルアミン4.9gを添加後、オートクレーブ内を窒素で置換した。次に、温度を120℃、圧力を0.3MPaに維持しながらエチレンオキサイド110g(2.5モル)を導入し、6時間熟成反応を行った。引き続き、三フッ化ホウ素エチルエーテルコンプレックス9gを添加し、温度を80℃、圧力を0.1MPaに維持しながらエチレンオキサイド181g(2.5モル)を導入し、1時間熟成反応を行った。 得られたアルキレンオキサイドをGCで測定した結果、平均EO付加モル数が4.9モルであり、副生PEGは2重量%であり、原料であるペルフルオロアルキルエタノール残存量は1%重量以下であることが確認された。EO付加モル数分布を図4に示す。[比較例1] ガラス製オートクレーブに、ペルフルオロオクチルエタノール464gと、ナトリウムメトキシド8.1gを添加後、オートクレーブ内を窒素で置換した。次に、温度を70℃、圧力0.3MPaに維持しながらエチレンオキサイド198g(4.5モル)を導入し、3時間熟成反応を行った。 得られたアルキレンオキサイドは、平均EO付加モル数が2.9モルであり、導入したEOは期待通りに反応していなかった。また、ペルフルオロオクチルエタノールエチレンオキサイド付加物が分解した物質が浮遊しているのが認められ、また添加したアルカリ量の減少も確認された。したがって、本触媒を用いた場合においては、分解反応も進んでいるため、目的とするアルキレンオキサイド付加物以外にも多くの副生物が残存していることが明白である。EO付加モル数分布を図5に示す。[比較例2] ガラス製オートクレーブに、ペルフルオロオクチルエタノール464gと、三フッ化ホウ素エーテル錯体14.1gを添加後、オートクレーブ内を窒素で置換した。次に、温度を70℃、圧力0.1MPaに維持しながらエチレンオキサイド198g(4.5モル)を導入し、1時間熟成反応を行った。 得られたアルキレンオキサイドは、平均EO付加モル数が4.1モルであったが、分子量分布は幅広いものとなり、原料であるペルフルオロアルキルエタノールが25重量%以上も残っていた。EO付加モル数分布を図6に示す。 本発明の製造方法により得られるアルキレンオキサイド付加物は、未反応のフッ素原子含有活性水素化合物が少なく、分解物も含まないので、高品質な工業用界面活性剤として、更にはアニオン・カチオン・両性界面活性剤の原料などとして広範な用途に利用することができる。実施例1で得られたアルキレンオキサイド付加体のEO付加モル数の分布を示すグラフである。実施例2で得られたアルキレンオキサイド付加体のEO付加モル数の分布を示すグラフである。実施例3で得られたアルキレンオキサイド付加体のEO付加モル数の分布を示すグラフである。実施例4で得られたアルキレンオキサイド付加体のEO付加モル数の分布を示すグラフである。比較例1で得られたアルキレンオキサイド付加体のEO付加モル数の分布を示すグラフである。比較例2で得られたアルキレンオキサイド付加体のEO付加モル数の分布を示すグラフである。 フッ素原子を含有する活性水素含有化合物に対し、触媒を用いてアルキレンオキサイドを付加重合させることからなるアルキレンオキサイド付加物の製造方法であって、 フッ素原子を含有する活性水素化合物に先ず1種又は2種以上のルイス塩基である塩基性触媒を用いてアルキレンオキサイドを付加重合させ、得られたアルキレンオキサイド付加物に1種又は2種以上のルイス酸である酸性触媒を用いてさらにアルキレンオキサイドを付加重合させることを特徴とするアルキレンオキサイド付加物の製造方法。 フッ素原子を含有する活性水素含有化合物の含有量が3重量%未満である、請求項1に記載の製造方法により得られるアルキレンオキサイド付加物。 【課題】疎水基部位にフッ素原子を含む活性水素含有化合物のアルキレンオキサイド付加物の製造方法であって、未反応物の残存が少ないために分子蒸留などの操作が不要なアルキレンオキサイド付加物の製造方法及びそれにより得られるアルキレンオキサイド付加物を提供する。【解決手段】フッ素原子を含有する活性水素含有化合物に対し、触媒を用いてアルキレンオキサイドを付加重合させることからなるアルキレンオキサイド付加物の製造方法において、フッ素原子を含有する活性水素化合物に先ず1種又は2種以上のルイス塩基である塩基性触媒を用いてアルキレンオキサイドを付加重合させ、得られたアルキレンオキサイド付加物に1種又は2種以上のルイス酸である酸性触媒を用いてさらにアルキレンオキサイドを付加重合させる。【選択図】なし