タイトル: | 公開特許公報(A)_逆転写反応用組成物 |
出願番号: | 2008129745 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12N 9/12,C07K 14/245 |
上森 隆司 向井 博之 加藤 郁之進 JP 2009273432 公開特許公報(A) 20091126 2008129745 20080516 逆転写反応用組成物 タカラバイオ株式会社 302019245 上森 隆司 向井 博之 加藤 郁之進 C12N 15/09 20060101AFI20091030BHJP C12N 9/12 20060101ALN20091030BHJP C07K 14/245 20060101ALN20091030BHJP JPC12N15/00 AC12N9/12C07K14/245 7 8 OL 14 4B024 4B050 4H045 4B024AA20 4B024BA10 4B024CA04 4B024HA08 4B050CC04 4B050DD20 4B050LL03 4B050LL10 4H045AA10 4H045AA30 4H045CA11 4H045EA60 4H045FA74 本発明は、逆転写反応に有用な組成物、該組成物を用いるcDNAの合成方法、及び逆転写反応に有用なキットに関する。 生命現象を解明するためには、様々な遺伝子のmRNA分子の解析が非常に重要である。RNA依存性DNAポリメラーゼ、即ち逆転写酵素の発見により、RNAを鋳型にcDNAを合成する逆転写反応が可能となり、mRNA分子の解析法は長足の進歩を遂げ、逆転写酵素を用いたmRNA分子の解析法は現在、遺伝子に関する研究において必須の実験法となっている。更に該方法はクローニング技術やPCR技術にも応用され、遺伝子に関する研究のみならず、生物学、医学、農業等、幅広い分野において不可欠の技術となっている。 逆転写反応の反応性を改善するための取組みも行われている。例えば、逆転写反応を高温で行う方法、逆転写酵素及び3´−5´エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を用いるcDNAの合成方法(特許文献1)、並びにNcp7、recA、SSB、及びT4gp32のような核酸結合タンパク質を利用する方法(特許文献2)等が検討されてきた。 一方、コールドショックタンパク質は、種々の微生物から見出されており、低温への生育温度シフトへの適応に関与するものと考えられている。このうち、Major Cold Shock Proteinとして知られるCspAは、その遺伝子が単離され、組換え体が製造されている(特許文献3)。しかしながら、コールドショックタンパク質の用途として提案されているものは、植物体の低温に対する感受性を低下させるための抗凍結タンパク質としての利用に限られている。日本特許第3910015号公報国際公開第00/55307号パンフレット国際公開第90/09447号パンフレット 逆転写反応は、その反応性について改善がなされてきたが、現在においても、十分な鎖長を持ったcDNAを合成できない場合や十分な量のcDNAを合成することができない場合がある。従って、逆転写反応の更なる反応性の改善が望まれている。 本発明の目的は、逆転写反応に有用な組成物、該組成物を用いるcDNAの合成方法、及び逆転写反応に有用なキットを提供することにある。 本発明の第1の発明は、コールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む逆転写反応用組成物に関する。本発明の第1の発明において、コールドショックタンパク質としてはCspA又はそのホモローグが例示され、CspAとしては大腸菌由来CspAが例示される。また、本発明の第1の発明において、逆転写酵素としては、モロニーマウス白血病ウイルス由来逆転写酵素及び/又はトリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素が挙げられる。また、本発明の第1の発明の組成物は、少なくとも1種のプライマー及び少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチドをさらに含んでいてもよい。 本発明の第2の発明は、(A)本発明の第1の発明の組成物を用いて、コールドショックタンパク質、逆転写酵素、少なくとも1種のプライマー、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド、及び鋳型となるRNAを含有する溶液を調製する工程、及び(B)(A)工程で調製した溶液をインキュベーションする工程を含む、cDNAの合成方法に関する。 本発明の第3の発明は、コールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む逆転写反応用キットに関する。 本発明により、逆転写反応に有用な組成物、該組成物を用いるcDNAの合成方法、及び逆転写反応に有用なキットが提供される。本発明により、特異性、合成鎖長、合成量等の反応性に優れた逆転写反応が可能となる。(1)本発明の組成物 本発明の組成物は、コールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む。本願の発明者らは、コールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む反応組成物を利用して逆転写反応を行うことにより、驚くべきことに、逆転写酵素のみを用いた場合に比べて逆転写反応の反応性が向上することを見出した。 逆転写反応の反応性の向上とは、特に限定するものではないが、例えば反応特異性の向上、核酸合成量の増大、及び合成鎖長の増大から選択される効果のことを言う。 特に本発明は、長鎖のcDNAの合成を目的とした逆転写反応の際に有用であり、目的とするcDNAの合成量が増加する。また、非特異的なcDNAの合成を抑えることもできる。従来、長鎖のcDNA合成には、耐熱性の逆転写酵素を用いる高温での逆転写反応が効果的であると提唱されていた(例えば、国際公開第01/92500号パンフレット)が、本発明によれば、逆転写反応を高温で行うことなく、長鎖のcDNAの合成を効率よく行うことができる。さらに、本発明は、高温での逆転写反応にも適用可能であり、種々の酵素を用いた逆転写反応を改善することが可能である。 コールドショックタンパク質は生物、特に微生物においてその生育温度が正常の温度から低下した際、コールドショックにさらされた際に発現誘導されるタンパク質の総称である。 大腸菌の培養温度を37℃から15℃に低下させると、CspAというコールドショックタンパク質が一過性に高レベルで発現される。大腸菌にはCspAとアミノ酸配列上の同一性のあるホモローグとしてCspB〜CspIの8種のタンパク質が知られているが、このうちのCspB、CspG、CspIがコールドショックタンパク質である[ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.), 1999, 181, 1603−1609]。さらに、これらのコールドショックタンパク質のホモローグがBacillus subtilis(CspB)、Bacillus caldolyticus(CspB)、Thermotoga maritima(CspB、CspL)、Lactobacillus plantarum(CspL)等の微生物にも存在していることが知られている。なお、本発明においてCspAのホモローグとは、大腸菌由来CspAのアミノ酸配列に対して50%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有するコールドショックタンパク質のことを言う。 本発明には、これらのコールドショックタンパク質を使用することができる。本発明に使用されるコールドショックタンパク質としては、好ましくはCspAが、より好ましくはグラム陰性菌由来のCspAが、さらにより好ましくは大腸菌由来のCspAが使用される。また、本発明に用いるCspAは、組換え体であっても微生物から単離されたものであっても良い。 本発明の組成物におけるCspAの作用としては、低温時のミスプライミングの抑制による反応特異性の向上及び増幅量の増大や、RNAの2次構造の解消効果による伸長性の改善及び増幅量の増大が考えられる。 逆転写酵素は、逆転写活性、すなわちRNAを鋳型としてこれに相補的なDNAを合成する活性を有するものであれば本発明に使用でき、このような逆転写酵素としては、モロニーマウス白血病ウイルス由来逆転写酵素(MMLV由来逆転写酵素)やトリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素(AMV由来逆転写酵素)等のウイルス由来の逆転写酵素、サーマス(Thermus)属細菌由来DNAポリメラーゼ(Tth DNAポリメラーゼ等)や好熱性バチルス(Bacillus)属細菌由来DNAポリメラーゼ(Bca DNAポリメラーゼ等)等の真正細菌由来の耐熱性の逆転写酵素が例示される。 本発明には、ウイルス由来の逆転写酵素が好適に使用され、MMLV由来逆転写酵素がより好適に使用される。また、逆転写活性を有する範囲で天然由来のアミノ酸配列に改変が施された逆転写酵素も本発明に使用できる。 本発明の組成物には、コールドショックタンパク質及び逆転写酵素に加えて、少なくとも1種のプライマー、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド及び/又は反応緩衝液が含まれていても良い。 プライマーは、鋳型RNAに相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、使用される反応条件において鋳型となるRNAに対してアニールするものであれば特に限定されるものではない。該プライマーはオリゴ(dT)等のオリゴヌクレオチドやランダムな配列を有するオリゴヌクレオチド(ランダムプライマー)であっても良い。 プライマーの鎖長は、特異的なアニーリングを行う観点から、好ましくは6ヌクレオチド以上であり、更に好ましくは10ヌクレオチド以上であり、オリゴヌクレオチドの合成の観点から、好ましくは100ヌクレオチド以下であり、更に好ましくは30ヌクレオチド以下である。前記オリゴヌクレオチドは、例えばABI社(Applied Biosystem Inc.)のDNAシンセサイザー394型を用いて、ホスホアミタイト法により合成出来る。他にもリン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオホスホネート法等いかなる方法で合成されたものであっても良い。また、生物試料由来のオリゴヌクレオチドであっても良く、例えば天然の試料より調製したDNAの制限エンドヌクレアーゼ消化物から単離して作製しても良い。 デオキシリボヌクレオチドは、有機塩基に結合されているデオキシリボースにホスホエステル結合によって結合されたリン酸基からなる。天然型DNAは、各々4つの異なるヌクレオチドを含有する。アデニン、グアニン、シトシン及びチミン塩基を有するヌクレオチドが天然型DNAに見られる。塩基のアデニン、グアニン、シトシン、及びチミンはそれぞれ、A、G、C、及びTと略されることが多い。 デオキシリボヌクレオチドは、遊離の一リン酸型、二リン酸型及び三リン酸型(すなわち、リン酸基が、それぞれ、1つ、2つ又は3つのリン酸部分を有する)を含む。従って、デオキシリボヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dITP、dGTP及びdTTP)並びにそれらの誘導体を含む。 デオキシリボヌクレオチド誘導体は、[αS]dATP、7−デアザ−dGTP、7−デアザ−dATP及び核酸分解に抵抗性を示すデオキシヌクレオチド誘導体を含む。ヌクレオチド誘導体は、例えば、32P若しくは35Sなどの放射性同位体、蛍光部分、化学発光部分、生物発光部分又は酵素で検出できるように標識されているデオキシリボヌクレオチドを含む。 反応緩衝液とは、緩衝剤又は緩衝剤混合物を含む溶液のことを示し、2価陽イオン及び1価陽イオンをさらに含む場合もある。 なお、コールドショックタンパク質を含む逆転写反応用の組成物又はコールドショックタンパク質を含む逆転写反応の反応性促進剤も、本発明の態様の一つである。(2)本発明の方法 本発明のcDNAの合成方法は、本発明の組成物を用いて、(A)コールドショックタンパク質、逆転写酵素、少なくとも1種のプライマー、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド、及び鋳型となるRNAを含有する溶液を調製する工程、及び(B)(A)工程で調製した溶液をインキュベートする工程を含む。本発明のcDNAの合成方法により、コールドショックタンパク質を含まない組成物を用いた場合と比較して、逆転写反応の反応性が向上する。 逆転写反応の反応性向上は、例えばcDNAの合成量や合成鎖長を確認することにより、評価することができる。 逆転写反応によって得られたcDNAの合成量は、例えば、逆転写反応後の反応液の一定量をリアルタイムPCRに供し、目的とする核酸配列の合成量を定量することにより確認することができる。本発明の組成物を用いて逆転写反応を行なった場合、コールドショックタンパク質を含まない組成物を用いて逆転写反応を行なった場合と比較してcDNAの合成量が増大する。 逆転写反応によって得られたcDNAの合成鎖長は、例えば、逆転写反応で用いたプライマーのプライミング領域下流近傍から増幅鎖長が異なる複数種類のプライマー対を設定し、各プライマー対を用いたPCRに逆転写反応後の反応液の一定量をそれぞれ供し、その増幅産物量より確認することができる。本発明の組成物を用いて逆転写反応を行なった場合、コールドショックタンパク質を含まない組成物を用いて逆転写反応を行なった場合と比較して長鎖のcDNAの合成量が増大する。 鋳型となるRNAは、プライマーがハイブリダイズした場合に、プライマーからの逆転写反応の鋳型として働くことができるRNAである。本発明の組成物には、1種類の鋳型を含んでも、又は異なるヌクレオチド配列を有する複数種の鋳型が含まれていてもよい。特定の鋳型に特異的なプライマーを使用することによって、核酸混合物中の複数種の鋳型についてプライマー伸長産物を作製することができる。複数の鋳型は、異なる核酸内に存在しても、同一の核酸内に存在してもよい。 本発明に適用することができる鋳型となるRNAとしては特に制限はなく、試料中の全RNA、mRNA、tRNA、rRNA等のRNA分子群、あるいは特定のRNA分子群(例えば、共通の塩基配列モチーフを有するRNA分子群、RNAポリメラーゼによる転写物、サブトラクション法によって濃縮されたRNA分子群)が挙げられ、逆転写反応に使用されるプライマーが作製可能な任意のRNAが挙げられる。 本発明において、鋳型となるRNAは、例えば細胞、組織、血液のような生体由来試料、食品、土壌、排水のような生物を含有する可能性のある試料に含有されたものであっても良く、該試料等を公知の方法で処理することによって得られる核酸含有調製物に含有されたものであっても良い。該調製物としては、例えば細胞破砕物やそれを分画して得られる試料、該試料中の全RNA、あるいは特定のRNA分子群、例えば、mRNAを富化した試料等が挙げられる。 本発明の方法におけるコールドショックタンパク質の使用量は、特に限定はないが、反応液量20μLで逆転写反応を行う場合、好適には0.5〜20μgであり、より好適には1〜10μgであり、さらにより好適には2〜5μgである。 本発明の方法における逆転写酵素の使用量は、特に限定はないが、例えば従来の逆転写反応において使用されていた量を使用すれば良い。例えばMMLV由来逆転写酵素を用いて反応液量20μLで逆転写反応を行う場合、反応液中の該酵素量は10U以上であり、cDNA合成効率の観点から、好ましくは100U以上であり、更に好ましくは200U以上である。従来の方法では、過剰量の逆転写酵素による反応阻害を避けるために鋳型RNA量やcDNA合成鎖長に応じて酵素量を調節する必要があったが、本発明の方法においてはその必要はない。 なお、本明細書に記載の逆転写酵素の活性は市販の酵素の表示に基づくものであり、例えば、Poly(rA)・oligo(dT)12−18を鋳型/プライマーとし、37℃、10分間に1nmolの[3H]dTTP を取り込む酵素活性を1Uとする。 本発明の方法におけるプライマーの濃度は、特に制限はないが、鋳型RNAからの最大限のcDNA合成の観点から、特異的プライマーで逆転写反応を行う場合、好ましくは0.1μM以上、Oligo dTプライマーで逆転写反応を行う場合、好ましくは2.5μM以上、ランダムプライマーで逆転写反応を行う場合、好ましくは5μM以上の十分量のプライマー濃度で行えばよい。従来の方法では、過剰量のプライマーによる反応阻害を避けるために鋳型RNA量やcDNA合成鎖長に応じてプライマー量を調節する必要があったが、本発明の方法においてはその必要はない。 本発明のcDNAの合成方法は、好適には(A)CspA、逆転写酵素、少なくとも一種のリボヌクレオチド、少なくとも1種のプライマー、及び鋳型となるRNAを混合し、反応組成物を調製する工程、及び(B)鋳型RNAに相補的なプライマー伸長鎖を合成するために十分な条件で(A)工程で調製した反応組成物をインキュベートする工程を含む。 鋳型RNAに相補的なプライマー伸長鎖を合成するために十分な条件とは、特に限定するものではないが、温度条件としては30℃〜65℃が例示され、42℃〜45℃がより好適である。また、反応時間としては、5分〜120分が例示され、15分〜60分がより好適である。なお、本発明のcDNAの合成方法によれば、上記の温度条件に満たない温度に反応液を放置することに起因する、非特異的なプライマー伸長鎖の合成を抑制又は低減することができる。従って、本発明のcDNAの合成方法は、例えば、反応液の調製に長時間を要するような多検体を取り扱うcDNAの合成の際に、特に有用である。 なお、本発明の方法により得られたcDNAを鋳型として核酸増幅反応を実施することにより、cDNAを増幅することが出来る。核酸増幅反応としては、特に限定するものではないが、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法が例示される。(3)本発明のキット 本発明のキットは、コールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む。本発明のキットにより、反応性が高い逆転写反応を行うことができる。本発明のキットとしては、逆転写反応に用いられるためのキットであれば特に限定されるものではなく、試験管内での逆転写反応を行なうためのキットが挙げられる。具体的には、例えば、核酸標識用キット、RT−PCR用キット、cDNA合成用キット、部位特異的変異導入用キット等が挙げられる。 本発明のキットには、コールドショックタンパク質及び逆転写酵素に加えて、少なくとも1種のプライマー、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド、鋳型となる核酸及び/又は反応緩衝液が含まれていても良い。 コールドショックタンパク質、逆転写酵素、少なくとも1種のプライマー、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド、鋳型となる核酸及び/又は反応緩衝液は、これらのうち一部又は全部が混合された状態でキットに包含されていても、それぞれが単独のコンポーネントの状態でキットに包含されていてもよい。 また、本発明のキットには、逆転写反応によって得られるcDNAを鋳型とした遺伝子増幅反応、例えばPCRを行うための試薬がさらに含有されていても良い。このような試薬としては、耐熱性のDNAポリメラーゼ、反応緩衝液、少なくとも一種のデオキシリボヌクレオチド、及び少なくとも一対のプライマー対が挙げられる。 本発明のキットに含まれるコールドショックタンパク質、逆転写酵素、少なくとも1種のプライマー、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド、鋳型となる核酸及び反応緩衝液としては、前記の(1)「本発明の組成物」に記載のものが例示される。 以下に実施例をもってさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。なお、下記実施例において各酵素の活性は、各酵素に添付の説明書の表示に基づいて示した。調製例 CspA溶液及び酵素保存バッファーの調製 CspAをS.Chatterjeeら[ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J. Biochem.), 1993, 114, 663−669]に記載の方法に従って発現、精製した後、2μg/μL CspA溶液(2μg/μL CspA、20mM Tris−HCl(pH7.8(4℃))、100mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、50% Glycerol)、及び5μg/μL CspA溶液(5μg/μL CspA、20mM Tris−HCl(pH7.8(4℃))、100mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、50% Glycerol)を調製した。 また、CspAを含まない酵素保存バッファー(20mM Tris−HCl(pH7.8(4℃))、100mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、50% Glycerol)についても調製した。 以下の実施例における酵素保存バッファーとしては、本調製例で調製したものを使用した。また、CspA溶液としては、実施例1〜6では本調製例において調製した2μg/μL CspA溶液を使用し、実施例7〜8では本調製例において調製した5μg/μL CspA溶液を使用した。実施例1 Oligo dTをプライマーとして用いた逆転写反応におけるPolyA以外からの非特異的伸長産物量(バックグランド)の確認1 Human heart total RNA 1μg(クロンテック社)を鋳型とし、Oligo dT(終濃度2.5μM)によりcDNAを合成するための逆転写反応液20μLをPrimeScript(登録商標) RTase(タカラバイオ社)を用いて氷上調製した。その際、逆転写反応液の組成は、PrimeScript(登録商標) RTaseに添付の説明書に記載の逆転写反応液の組成に加えて2μg CspAを含むものとした。また、対照として、2μg CspAの代わりに酵素保存バッファー1μLを加えたCspAを含まない逆転写反応液についても調製した。次に、氷上調製したこれらの逆転写反応液について、0〜20分間氷上放置した後、95℃まで加熱して逆転写酵素を失活させた。続いて、0〜20分間の氷上放置により生成したcDNA量を確認するため、これらの反応液のうちそれぞれ2μLを、ディストロフィン遺伝子(GenBank Accession Number NM_004006)のPolyAから約7kb離れた領域の139塩基(6529−6667)、及びPolyAの近傍から6930塩基の鎖長(6529−13458)をターゲットとしたリアルタイムPCRに供した。 上記139塩基をターゲットとしたリアルタイムPCRは、プライマーとして配列番号1の塩基配列からなるプライマー及び配列番号2の塩基配列からなるプライマーを用い、SYBR(登録商標) Premix Ex Taq(タカラバイオ社)を用いて添付の説明書の推奨条件に従って行った。一方、上記6930塩基をターゲットとした長鎖のリアルタイムPCRは、プライマーとして配列番号1の塩基配列からなるプライマー及び配列番号3の塩基配列からなるプライマーを用い、PrimeSTAR(登録商標) GXL(タカラバイオ社)及びSYBR(登録商標) Green I(タカラバイオ社)を用いて行った。リアルタイムPCRの反応液は、最終濃度が×0.33となるようにSYBR(登録商標) Green Iを加えた点以外はPrimeSTAR(登録商標) GXLに添付の説明書に記載の高速PCRプロトコールの反応液組成に従って調製した。また、リアルタイムPCRは、98℃、10秒間のインキュベートの後、98℃、5秒〜68℃、2分を1サイクルとした40サイクルの条件で実施した。なお、本明細書に記載のいずれの実施例においても、リアルタイムPCRにはThermal Cycler Dice(登録商標) Real Time Cystem TP800(タカラバイオ社)を使用した。また、検量線は、上記領域を含む13542塩基(173−13714)のcDNAをpUC118のHinc IIサイトにクローン化したプラスミドの希釈系列を用いて作成した。 その結果、PolyA近傍から6930塩基の長鎖のcDNA産物は、逆転写反応液中のCspAの有無にかかわらず検出されなかった。一方、PolyAから約7kb離れた領域の139bpのcDNA量は、逆転写反応液中にCspAが存在しない場合には氷上放置時間が長くなるに従い増加した。これに対し、逆転写反応液中にCspAが存在する場合は、同領域のcDNA量がほとんど増加せず、氷上放置20分のcDNA合成量は反応液中にCspAが存在しない場合の40分の1であった(図1)。PolyA近傍から6930塩基の長鎖のcDNA産物は検出されないことから、逆転写反応液調製時及び氷上放置で生じるPolyAから約7kb離れた領域の139bpのcDNA合成産物は、PolyAから伸長した産物ではなくPolyA以外からの非特異的な伸長産物であることが分かる。このような非特異的な伸長産物は、完全長のcDNAを得る目的においてはバックグランドとなる。また、この非特異的な伸長産物は、PolyAからRNAの5′端までの伸長反応を阻害し、不完全長のcDNA合成産物の増加をもたらす。 本実施例において、逆転写反応液中のCspAにより、逆転写反応液調製時及び氷上放置で生じるpolyA以外からの非特異的伸長産物(バックグランド)の生成がほぼ完全に抑制されることが示された。実施例2 Oligo dTをプライマーとして用いた逆転写反応におけるPolyA以外からの非特異的伸長産物量(バックグランド)の確認2 PrimeScript(登録商標) RTaseに代えてSuperScript III RTase(インビトロジェン)を用い、SuperScript III RTaseに添付の説明書に沿って2μg CspAを含む逆転写反応液20μL及び対照のCspAを含まない逆転写反応液20μLを調製する点以外は、実施例1と同様の方法で、CspAの効果を検討した。なお、SuperScript III RTaseはMMLV由来逆転写酵素の変異体である。 その結果、逆転写酵素にSuperScript III RTaseを用いた場合も、PolyA近傍から6930塩基の長鎖のcDNA産物は反応液中のCspAの有無にかかわらず検出されなかった。また、PolyAから約7kb離れた領域の139bpのcDNA産物量は、反応液中にCspAが存在しない場合は氷上放置時間が長くなるに従い増加するのに対し、反応液中にCspAが存在する場合はほとんど増加せず、氷上放置20分のcDNA合成量が反応液中にCspAが存在しない場合の87分の1であった(図2)。以上のことより、逆転写酵素にSuperScript III RTaseを用いても、逆転写反応液中のCspAにより、逆転写反応液調製時及び氷上放置で生じるPolyA以外からの非特異的伸長産物(バックグランド)の生成がほぼ完全に抑制されることが示された。実施例3 Oligo dTをプライマーとして用いた逆転写反応におけるPolyA以外からの非特異的伸長産物量(バックグランド)の確認3 PrimeScript(登録商標) RTaseに代えてReverse Transcriptase XL(AMV)(タカラバイオ社)を用い、1μg/μLのHuman heart total RNA(クロンテック社)1μL、50μMのOligo dT 1μL、各2.5mMのdNTP mixture 1.6μL、Reverse Transcriptase XL(AMV) Buffer 2μL、40U/μLのRibonuclease Inhibitor 0.5μL、25U/μLのReverse Transcriptase XL(AMV) 0.8μL、及び2μg/μLのCspA 1μLを含む逆転写反応液20μLを調製する点、並びにこの反応液の対照としてCspAを含まない逆転写反応液20μLを調製する点以外は、実施例1と同様の方法で、CspAの効果を検討した。なお、Reverse Transcriptase XL(AMV)は、AMV由来逆転写酵素である。 その結果、逆転写酵素にReverse Transcriptase XL(AMV)を用いた場合も、PolyA近傍から6930塩基の長鎖のcDNA産物は、反応液中のCspAの有無にかかわらず検出されなかった。また、PolyAから約7kb離れた領域の139bpのcDNA産物量は、反応液中にCspAが存在しない場合は氷上放置時間が長くなるに従い増加するのに対し、反応液中にCspAが存在する場合はほとんど増加せず、氷上放置20分のcDNA合成量は反応液中にCspAが存在しない場合の84分の1であった(図3)。以上のことから、AMV由来逆転写酵素を用いても、逆転写反応液中のCspAにより、逆転写反応液調製時及び氷上放置で生じるPolyA以外からの非特異的伸長産物(バックグランド)の生成がほぼ完全に抑制されることが示された。実施例4 Oligo dTをプライマーとして用いた逆転写反応における長鎖cDNA合成反応の阻害1 PrimeScript(登録商標) RTase(タカラバイオ社)を用いて、2μg CspAを含む逆転写反応液20μL、及びCspAを含まない対照の逆転写反応液20μLを、実施例1と同様の方法で調製した。氷上調製した反応液は、0〜20分間氷上放置した後、42℃、30分の条件で逆転写反応を行ない、95℃で5分間加熱し反応を中止した。この反応液のうち2μLについて、ディストロフィン遺伝子のPolyA近傍から6930塩基の長鎖をターゲットとしたリアルタイムPCRを実施例1と同様の方法で行い、逆転写反応により生成したcDNA量を定量した。 その結果、CspAを含まない反応液では、20分の氷上放置によりPolyA近傍からの6930塩基の長鎖の伸長産物量が氷上放置しない場合の52%に減少した。これに対し、CspAを含む反応液では20分氷上放置してもcDNA合成量は全く減少しなかった(図4)。このCspAの効果は、反応液中のCspAによりPolyA以外からの非特異的な伸長反応がほぼ完全に抑制され、PolyAからの伸長反応阻害が起こらなかったことに起因すると考えられる。 以上の結果から、反応液中のCspAにより、反応液調製後、逆転写反応するまでに要する時間を気にする必要がなく、PolyAからのcDNA合成において極めてバックグランドが少なく、完全長の割合が高い高品質なcDNA合成反応が可能であることが分かった。実施例5 Oligo dTをプライマーとして用いた逆転写反応における長鎖cDNA合成反応の阻害2 PrimeScript(登録商標) RTaseに代えてSuperScript III RTase(インビトロジェン社)を用い、SuperScript III RTaseに添付の説明書に沿って2μg CspAを含む逆転写反応液、対照のCspAを含まない逆転写反応液20μLを調製する点、及び50℃、30分の条件で逆転写反応を行い、70℃で15分間加熱し反応を中止する点以外は実施例4と同様の方法で試験を行い、逆転写反応により生成したcDNA量を定量し、CspAの効果を確認した。 その結果、CspAを含まない反応液では、20分の氷上放置によりPolyA近傍からの長鎖の伸長産物量が氷上放置しない場合の11%に減少した。これに対し、CspAを含む反応液では、20分氷上放置しても氷上放置しない場合と比較して80%のcDNA合成量を保った(図5)。本実施例により、逆転写酵素にSuperScript III RTaseを用いた場合であっても、CspAが逆転写反応液調製や氷上放置によるPolyAからの長鎖cDNA合成反応の阻害を抑制することが確認できた。実施例6 Oligo dTをプライマーとして用いた逆転写反応における長鎖cDNA合成反応の阻害3 PrimeScript(登録商標) RTaseに代えてReverse Transcriptase XL(AMV)(タカラバイオ社)を用い、1μg/μLのHuman heart total RNA(クロンテック社) 1μL、50μMのOligo dT 1μL、各2.5mMのdNTP mixture 1.6μL、Reverse Transcriptase XL(AMV) Buffer 2μL、40U/μLのRibonuclease Inhibitor 0.5μL、25U/μLのReverse Transcriptase XL(AMV) 0.8μL、及び2μg/μLのCspA 1μLを含む逆転写反応液20μLを調製する点、並びにこの反応液の対照としてCspAを含まない逆転写反応液20μLを調製する点以外は実施例4と同様の方法で試験を行い、逆転写反応により生成したcDNA合成量を定量し、CspAの効果を確認した。 その結果、CspAを含まない反応液では、20分の氷上放置によりPolyA近傍からの長鎖の伸長産物量が氷上放置しない場合の33%に減少した。これに対し、CspAを含む反応液では、20分氷上放置しても氷上放置しない場合と比較して75%のcDNA合成量を保った(図6)。本実施例により、AMV由来逆転写酵素を用いた場合であっても、CspAが逆転写反応液調製や氷上放置によるPolyAからの長鎖cDNA合成反応の阻害を抑制することが確認できた。実施例7 未変性RNAを鋳型とした逆転写反応に及ぼすCspAの効果 調製例で調製した5μg/μL CspA溶液を酵素希釈バッファーで希釈し、0.2μg/μL CspA溶液、1μg/μL CspA溶液、及び2μg/μL CspA溶液を調製した。次に、1μg/μLのHuman heart total RNA(クロンテック社) 1μL、50μMのOligo dT 1μL、各10mMのdNTP mixture 1μL、及び滅菌蒸留水6μLに、酵素希釈バッファー、0.2μg/μL CspA溶液、1μg/μL CspA溶液、2μg/μL CspA溶液、又は5μg/μL CspA溶液を1μL加えた計10μLの混合液をそれぞれ調製した。酵素希釈バッファーを用いて調製したCspAを含まない混合液については、65℃、5分のRNA変性処理を行った場合と行わない場合の2種類の試料を調製し、CspAを含む各混合液についてはRNAの変性処理を行わなかった。 これらの混合液各10μLに対し、PrimeScript 1st strand cDNA Synthesis Kit(タカラバイオ社)に含まれる5×PrimeScript Buffer 4μL、40U/μLのRibonuclease Inhibitor 0.5μL、200U/μLのPrimeScript RTase 0.5μL、及び滅菌蒸留水5μLを添加して計20μLの反応液を調製した後、42℃、30分の逆転写反応を行い、95℃、5分の加熱により反応を中止した。次に、これらの反応液各2.5μLを、ディストロフィン遺伝子の約8kbの領域をターゲットとするPCRに供した。PCRは、TaKaRa LA Taq(登録商標) Hot Start Version(タカラバイオ社)を用いて添付の説明書記載の反応組成により行った。プライマーとしては、配列番号4の塩基配列からなるプライマーと配列番号5の塩基配列からなるプライマーを用い、PCR反応液中の各プライマーの濃度は、200nMとした。また、PCRは、98℃、10秒〜68℃、8分を1サイクルとする30サイクルのPCR条件で、TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(登録商標)(タカラバイオ社)を用いて実施した。PCR反応終了後、反応液のうち3μLをアガロースゲル電気泳動に供して増幅鎖長と増幅量を確認し、各逆転写反応におけるcDNA合成量と反応特異性を評価した(図7)。 その結果、未変性のRNAを鋳型とした逆転写反応において、反応液中にCspAを添加することで、その後のPCRにより確認できる約8kbの長鎖のcDNAの増幅量が大きく増加するとともにターゲット以外のDNAの増幅量が減少した(図7)。以上のことより、RNAの変性操作を行わなくても反応液中にCspAを加えることで効率よく、かつ高い特異性でcDNA合成されることが示された。実施例8 1 step RT−PCRに及ぼすCspAの効果 5ng又は50ngのHuman heart total RNA(クロンテック社)を鋳型として用い、ディストロフィン遺伝子の約2kbの領域をターゲットとする1 step RT−PCRについて、PrimeScript(登録商標) One Step RT−PCR Kit(タカラバイオ社)を用いて行った。プライマーとしては、配列番号5の塩基配列を有するプライマー及び配列番号6の塩基配列を有するプライマーを用いた。1 step RT−PCRの反応液の組成は、PrimeScript(登録商標) One Step RT−PCR Kitに添付の説明書に記載の組成に加えて、5μgのCspAを25μLの反応液に加えた。また、対照として、5μg CspAの代わりに酵素保存バッファー1μLを加えたCspAを含まない反応液と、Single−Stranded DNA Binding Protein(SSB)溶液(usb社)(5μg/μL SSB、50mM Tris−HCl(pH7.5)、200mM NaCl、0.1mM EDTA、1mM DTT、50% Glycerol)を1μL加えた反応液についても調製した。それぞれの反応液について、42℃、30分の逆転写反応、94℃、2分の熱処理を行った後、94℃、30秒〜55℃、30秒〜72℃、2分を1サイクルとする30サイクルのPCR反応をTaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(登録商標)で行った。反応終了後、反応液のうち3μLを1%アガロースゲル電気泳動に供して、反応産物を解析した(図8)。 その結果、図8に示すように、CspAを添加することにより約2kbの目的サイズ以外の非特異的な増幅産物が著しく減少した。一方、SSBを添加した場合、目的サイズの増幅産物は得られなかった。 本発明の組成物、該組成物を用いる核酸合成方法、及びキットは、広く遺伝子工学の分野に有用である。非特異的な伸長産物のCspAによる阻害効果を示す図である。非特異的な伸長産物のCspAによる阻害効果を示す図である。非特異的な伸長産物のCspAによる阻害効果を示す図である。CspAによる逆転写反応の反応性の向上効果を示す図である。CspAによる逆転写反応の反応性の向上効果を示す図である。CspAによる逆転写反応の反応性の向上効果を示す図である。CspAによる逆転写反応の反応性の向上効果を示す図である。なお、図中のMは、λ−Hind III digest(タカラバイオ社)マーカー2.5μLの電気泳動を行ったレーンであることを示す。CspAによる逆転写反応の反応性の向上効果を示す図である。なお、図中のMは、λ−Hind III digest(タカラバイオ社)マーカー2.5μLの電気泳動を行ったレーンであることを示す。SEQ ID NO:1 ;Synthetic primer for real time PCR quantification of dystrophin cDNA.SEQ ID NO:2 ;Synthetic primer for real time PCR quantification of dystrophin cDNA.SEQ ID NO:3 ;Synthetic primer for real time PCR quantification of dystrophin cDNA.SEQ ID NO:4 ;Synthetic primer to amplify a DNA fragment of dystrophin gene.SEQ ID NO:5 ;Synthetic primer to amplify a DNA fragment of dystrophin gene.SEQ ID NO:6 ;Synthetic primer to amplify a DNA fragment of dystrophin gene.コールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む逆転写反応用組成物。コールドショックタンパク質がCspA又はそのホモローグである請求項1記載の組成物。CspA又はそのホモローグが大腸菌由来CspAである請求項1記載の組成物。逆転写酵素がモロニーマウス白血病ウイルス由来逆転写酵素及び/又はトリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素である請求項1記載の組成物。少なくとも1種のプライマー及び少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチドをさらに含む、請求項1記載の組成物。(A)請求項1〜5いずれか1項に記載の組成物を用いて、コールドショックタンパク質、逆転写酵素、少なくとも1種のプライマー、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド、及び鋳型となるRNAを含有する溶液を調製する工程、及び(B)(A)工程で調製した溶液をインキュベーションする工程を含む、cDNAの合成方法。コールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む逆転写反応用キット。 【課題】逆転写反応に有用な組成物、該組成物を用いるcDNAの合成方法、及び逆転写反応に有用なキットを提供すること。【解決手段】コールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む逆転写反応用組成物、該組成物を用いるcDNAの合成方法、並びにコールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む逆転写反応用キットを提供する。コールドショックタンパク質及び逆転写酵素を含む組成物を利用して逆転写反応を行うことにより、逆転写酵素のみを用いた場合に比べて逆転写反応の反応性が向上する。【選択図】図8配列表