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タイトル:公開特許公報(A)_酸性多糖類の迅速定量法
出願番号:2008119168
年次:2008
IPC分類:C12Q 1/34,G01N 21/78,C12Q 1/48,C12Q 1/02


特許情報キャッシュ

鈴木 喜義 JP 2008295450 公開特許公報(A) 20081211 2008119168 20080430 酸性多糖類の迅速定量法 生化学工業株式会社 000195524 堀口 努 100124512 鈴木 喜義 JP 2007121459 20070502 C12Q 1/34 20060101AFI20081114BHJP G01N 21/78 20060101ALI20081114BHJP C12Q 1/48 20060101ALI20081114BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20081114BHJP JPC12Q1/34G01N21/78 ZC12Q1/48 ZC12Q1/02 25 12 OL 22 2G054 4B063 2G054AA02 2G054BB10 2G054CA30 2G054EA04 2G054EB01 2G054GA03 2G054GB01 4B063QA01 4B063QA18 4B063QQ06 4B063QQ15 4B063QQ67 4B063QR15 4B063QR18 4B063QR41 4B063QR66 4B063QS03 4B063QS28 4B063QS36 4B063QS39 4B063QX01 本発明は、培養液中の酸性多糖の定量方法に関する。 まず、本出願書類において用いる略号を説明する。GAGs:動物組織由来のグリコサミノグリカンBGAGs:バクテリア由来のグリコサミノグリカンALG:アルギン酸GEL:ジェランガムXNT:キサンタンガムHA:ヒアルロン酸CH:コンドロイチンGlcUA:グルクロン酸GlcNAc:N−アセチルグルコサミンGalNAc:N−アセチルガラクトサミンK5P:大腸菌K5株(Escherichia coli serotype O10:K5(L):H4 (ATCC23506)、Escherichia coli serotype O2a,2b:K5(L):H4 (ATCC23500)あるいは、Escherichia coli serotype O12:K5(L) (ATCC23508))より産生される酸性多糖であって、N−アセチルヘパロサン骨格(GlcUAβ1−4GlcNAcα1−4)nをもつものである。(ここで、β1−4はβ1−4グリコシド結合を、α1−4はα1−4グリコシド結合を、nは任意の整数をそれぞれ示す。)K4P:大腸菌K4株(Escherichia coli serotype O5:K4(L):H4)より産生される酸性多糖であって、CH骨格(GlcUAβ1−3GalNAcβ1−4)nをもつものである。(ここで、β1−3はβ1−3グリコシド結合を、β1−4はβ1−4グリコシド結合を、nは任意の整数をそれぞれ示す。)HS:ヘパラン硫酸HP:ヘパリンCS:コンドロイチン硫酸DS:デルマタン硫酸 多くのバクテリアは主要な成分が多糖類である莢膜を保持している。それら多糖は様々な単糖を構成成分としており、アゾトバクター・ビネランジー(Azotobacter vinelandii)が産生するALG、スフィンゴモナス・エロディア(Sphingomonas elodea)が産生するGEL及びキサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)が産生するXNTは構成糖としてウロン酸を含有する酸性多糖である。また、連鎖球菌や大腸菌等に属する菌株の中に、GAGsと糖鎖構造が一致する多糖、つまりBGAGsを生産するものが知られている。 さらに、ALG、GEL、XNT、並びにBGAGsの一種であるストレプトコッカス・エクィ(Streptococcus equi)等の連鎖球菌が産生するHAは、特殊なレオロジー特性のために、食品、医薬品及び化粧品等の産業に広く使用されている(非特許文献1〜6)。 BGAGsであるK5PやK4Pは大腸菌K5株及びK4株によって産生される多糖であり、それぞれHS/HP及びCS/DSと同じ糖鎖骨格構造を有している。そのため、医薬用途における当該多糖の商業応用はかなり期待されており、実際に多くの研究者がこれらのBGAGsを原料として様々なGAGミミックを調製することを試みている。しかし、HAを除くBGAGsの生産性は商業的に応用するためには十分ではない。従って生産菌の育種及び醗酵プロセスの改善が必須である。 発酵プロセスを正確にコントロールするためには、プロセスを通して、基質や生成物等、発酵過程の物質収支を正確かつ迅速にモニタリングすることが重要である。また、生産菌の育種では多数の試料を処理する必要もある。発色試薬としてカルバゾール又はフェノール等を用いた、比色分析法により少量の多糖類を含む試料の分析が知られているが、中性糖等の妨害物質の存在により分析が阻害されることが知られている。バクテリアの培養物中には様々な妨害物質が存在しているため、そこに含まれる多糖類を分析するためには、当該試料を前処理することが必須である。また場合によってはいくつかのステップからなる精製が必要となることもあり、分析の結果を得るまでにかなりの時間がかかることとなる。さらにこれら発色試薬と多糖との反応性は多糖を構成する単糖の種類に依存する。つまり、発色試薬の各種単糖に対する反応性が異なる。そのために、今まではBGAGs等の多糖の培養液中の濃度を測定する現実的な方法が知られていなかった。 一方、カチオン性のカルボシアニン染料は、酸性多糖類を染色するために良く用いられている。特に、1−エチル−2−[3−(3−エチルナフト−[1、2−d]チアゾリン−2イリデン)−2−メチルプロペニル]ナフト−[1、2−d]チアゾリウムブロマイド(以下「ステインズ・オール」という。) の可視スペクトルが酸性多糖の存在下で変化することと、その変化が分子の中のウロン酸残基の数に依存することが知られている(非特許文献7)。 しかしながら、これらの結果は全て精製されたHAやペクチン(ポリガラクツロン酸)を測定したものであり、培養液のような不純物共存下において、ステインズ・オールを用い酸性多糖を選択的に定量する方法は知られていなかった。ウェン−ピン チェン(Wen-Pin Chen)ら、1985年, アプライド アンド エンバイロメンタル マイクロバイオロジー(Appl. Environ Microbiol.)第49巻、第3号、pp.543−546ザォ ワン(Xia Wang)ら、2006年、アプライド アンド エンバイロメンタル マイクロバイオロジー(Appl. Environ Microbiol.)第72巻 第5号 pp.3367−3374N E ハーディング(N E Harding)ら、1987年、ジャーナル オブ バクテリオロジー(J Bacteriol.)第169巻、第6号 pp2854−2861ジャン K(Jann, K.)ら、1992年、カナディアン ジャーナル オブ マイクロバイオロジー(Can. J. Microbiol.)、第38巻、pp705−710ニミッヒ W(Nimmich, W.)ら、1997年、ジャーナル オブ クリニカル マイクロバイオロジー (J. Clin. Microbiol.)、第35巻 第5号、pp1112−1117デアンジェラス P L(DeAngelis, P. L.)ら、2002年、 カルボハイドレートリサーチ(Carbohydr. Res.)、第337号、pp1547−1552エドストローム R.D.(Edstrom R. D.)ら、1973年、アチーブス オブ バイオケミストリー アンド バイオフィジックス(Arch. Biochem. Biophys.)、第155巻、pp307−314ヴァン W. F.(Vann W. F.)ら、1981年、ヨーロピアン ジャーナル オブ バイオケミストリー(Eur. J. Biochem)、第116巻、pp359−364マンゾニ M.(Manzoni M.)ら、1996年、バイオテクノロジー レターズ(Biotech. Lett.)、第18巻、pp383−386アライ M.(Arai M.)ら、1992年、バイオケミストリー アンド バイオフィジックス アクタ(Biochem. Biophys. Acta.)第1117巻、pp60−70ホーマー(Homer K. A.)ら、1993年、アナリティカル バイオケミストリー(Anal. Biochem)、第214巻、pp435−441リドホルト(Lidholt, K.)ら、1997年、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー (J. Biol. Chem.)、第272巻、pp2682−2687 本発明は、今まで測定が困難であった培養液中に含有する酸性多糖の定量方法を提供するとともに、その方法を利用した培養プロセスのモニタリング方法並びにキットを提供することを課題とする。 本発明の発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸性多糖をステインズ・オール溶液と共存させることによって、各酸性多糖に特異的な吸収スペクトルを持った複合体が形成されること及び培養液中の阻害物質としてリン酸イオン、塩化物イオン、ペプトン類を見いだし、さらにこれにより培養液中の酸性多糖を簡便、迅速、高感度、高精度かつ安価に測定することができることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、下記工程を少なくとも含む、酸性多糖の定量方法(以下、「本発明方法1」という)を提供する。工程1:ステインズ・オールと、酸性多糖を含有する試料を溶液中にて共存させる工程、工程2:工程1で得られた共存液の吸光度を測定する工程。 上記試料中の酸性多糖はバクテリアにより産生された酸性多糖であってもよい。 また、酸性多糖を含有する試料は、酸性多糖を含む培地であってもよい。 本発明方法1は、工程2における測定対象となる共存液中の塩化物イオン濃度を30mM以下となるように調整する工程をさらに含むことが好ましく、特に培地や塩化物イオン濃度が高い試料(例えば、塩化物イオン濃度が120mM以上の試料)について定量する場合に、工程2における測定対象となる共存液中の塩化物イオン濃度を30mM以下となるように調整する工程をさらに含むことが好ましい。 また、本発明方法1は試料中にペプトンを含む場合にも測定することができ、その場合には、工程2における測定対象となる共存液中のペプトン濃度を0.2%(w/v)以下になるように調整する工程をさらに含むことがより好ましい。 また、上記試料中の酸性多糖は、HA、GEL、XNT、ALG、K5P及びK4Pからなる群から選ばれる、いずれか1種類の酸性多糖であることが好ましい。 また本発明方法1では、酸性多糖を含有する試料が2種類以上の酸性多糖を含有する場合には、測定する酸性多糖以外の酸性多糖を分解する酵素を共存させる工程を、工程1の前にさらに含むことによって測定できる。 また上記2種類以上の酸性多糖は、HA、GEL、XNT、ALG、K5P及びK4Pからなる群から選ばれる2種類以上の酸性多糖であることが好ましく、酸性多糖を分解する酵素は、ヒアルロニダーゼ、スフィンガナーゼ、キサンタンリアーゼ、アルギン酸リアーゼ、ヘパリチナーゼ及びコンドロイチナーゼからなる群から選ばれる、1又は2種類以上の分解酵素であることが好ましい。 ただし、上記工程は必ずしもこの工程を含む必要は無く、後述の各酸性多糖の好ましい測定波長の範囲を選択することによって、測定したい酸性多糖を定量することもできる。 また本発明方法1は、試料中の酸性多糖がHA又はGELであるとき、工程2における吸光度を測定するときの波長が630〜670nmであることが好ましく、650nmであることがより好ましい。また、試料中の酸性多糖がXNT又はK5Pであるとき、工程2における吸光度を測定するときの波長が610〜630nmであることが好ましく、620nmであることがより好ましい。また試料中の酸性多糖がALG又はXNTであるとき、工程2における吸光度を測定するときの波長が470〜490nmであることが好ましく、480nmであることがより好ましい。また試料中の酸性多糖がK4Pであるときは、工程2における吸光度を測定するときの波長が620〜650nmであることが好ましく、630nmであることがより好ましい。 また本発明方法1は、工程2における測定対象となる共存液をpH5〜8になるように調整する工程をさらに含むことが好ましい。 また本発明は、酸性多糖を産生するバクテリアの醗酵プロセスをモニタリングする方法であって、工程A:酸性多糖を産生するバクテリアを培養する工程、工程B:該バクテリアを培養している培地とステインズ・オールを共存させる工程、工程C:工程Bにより得られた共存液の吸光度を測定する工程、を少なくとも含む方法(以下、「本発明方法2」という。)を提供する。 本発明方法2において酸性多糖を産生するバクテリアがHA骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリア、N−アセチルヘパロサン骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリア、又はCH骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアであることが好ましく、中でもHA骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアがストレプトコッカス属バクテリア由来のHA合成酵素を保持しており、N−アセチルヘパロサン骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアが大腸菌K5株由来のN−アセチルヘパロサン合成酵素を保持しており、、CH骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアが大腸菌K4株由来のCH合成酵素を保持していることが極めて好ましい。 また本発明は、構成成分としてステインズ・オールを少なくとも含むことを特徴とする、本発明方法1又は2の方法により酸性多糖を測定するキット(以下、「本発明キット」という。)を提供する。 本発明キットは、構成として、さらに酸性多糖標準溶液又は検量線が書かれた表を含むことができる。 本発明方法は、酸性多糖生産菌を培養することによって得られた酸性多糖を精製することなしに容易に定量することができ、また精製せず簡便に定量できることから、酸性多糖の製造プロセスにおけるモニタリング等に応用できることから極めて有用である。 以下、発明を実施するための最良の形態により本発明を詳説する。<1>本発明方法1 本発明方法1は、下記工程を少なくとも含む酸性多糖の定量方法である。工程1:ステインズ・オールと、酸性多糖を含有する試料を溶液中にて共存させる工程、工程2:工程1で得られた共存液の吸光度を測定する工程。 ここにいう「ステインズ・オール」とは、カチオンのカルボシアニン染料の一つである、1−エチル−2−[3−(3−エチルナフト−[1、2−d]チアゾリン−2イリデン)−2−メチルプロペニル]ナフト−[1、2−d]チアゾリウムブロマイドのことを言う。このステインズ・オールはシグマ社等から購入することができる。 また、このステインズ・オールは、本発明方法に影響を及ぼさない限りにおいて添加剤と共存させておくことができる。 ここにいう添加剤とは、pH調節剤(例えば測定されるpHに適した緩衝剤)や安定化剤、保存剤、キレート剤、酸化防止剤等が挙げられる。 またここにいう「酸性多糖」とは、ヘキソサミン(D−グルコサミン又はD−ガラクトサミン)とウロン酸(D−グルクロン酸又はL−イズロン酸)又は中性ヘキソース(D−ガラクトース)の二糖ユニットの繰り返し構造を持つ糖鎖、多糖構造中の一部に硫酸又はリン酸エステルを持つ糖類、或いはその両方の構造を持つ糖鎖であって、天然から得られる酸性多糖のみならず、遺伝子工学的に産生された酸性多糖等も含まれる。具体的にはCH、CS、HS、HP、6位脱硫酸化HP、2位脱硫酸化HP、N−脱硫酸化HP、HA、GEL、XNT、ALG、K5P、K4P及びそれらの塩が例示される。 また本発明方法1における「HA」、「GEL」、「XNT」、「ALG」、「K5P」及び「K4P」はそれぞれの酸性多糖が有する骨格を持つものであれば、その由来は限定されない。例えば天然から得られるもの、バクテリアの培養により得られたもの、遺伝子工学的に産生されたもの、人工的に酵素合成したもの等も含む概念で用いるものとする。より具体的には、例えばK4Pを例に挙げると、大腸菌K4株より産生された酸性多糖はもちろんのこと、これと同じ骨格を有する酸性多糖を化学的に合成したものも包含するものである。 工程1において、ステインズ・オールと、酸性多糖を含有する試料を溶液中にて共存させる方法及び条件は、これらの分子が互いに接触し、溶解した状態で複合体を形成する条件である限りにおいて特に限定されない。例えば、酸性多糖を含有する試料にステインズ・オールを含有する溶液を添加してもよく、ステインズ・オールを含有する溶液に酸性多糖を含有する試料を添加してもよく、また、両者を同時に添加することにより共存させても良い。 上記「共存」する条件としては、例えばpH3〜13の範囲で行われることが好ましく、pH4〜8の範囲で行われることがより好ましく、pH5〜8で行われることがさらに好ましい。また当該pH下で緩衝作用を有する緩衝溶液中で行われることがより好ましい。 上記緩衝溶液としては具体的にマッキルバインの広域緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス−酢酸緩衝液、HEPES緩衝液等が例示される。 また「共存」させる温度としては、例えば0℃〜50℃の条件下で共存させることが好ましく、10℃〜40℃で共存させることが好ましく、特に20℃〜30℃で共存させることが極めて好ましい。また、上記の酸性多糖等に反応したステインズ・オールの吸光度変化は速やかに生じるが、その後徐々に変化してしまうため、ステインズ・オールとの共存後60分以内、好ましくは30分以内、最も好ましくは10分以内に吸光度を測定することが好ましい。 また、共存時におけるステインズ・オールの濃度としては、測定する酸性多糖の種類やその他の条件により適宜選択することができる。後述する実施例の条件で共存させる場合ステインズ・オール溶液の濃度は、0.5〜1.5mMの範囲であることが好ましい。また、HAを定量する場合には0.5〜0.6mMの濃度のステインズ・オール溶液を共存させることが特に好ましい。 また、工程2における共存液の吸光度を測定する方法も特に限定されず、通常の吸光光度計等を用いて測定することができる。 また共存液中の酸性多糖の濃度を測定するためには、濃度が既知の酸性多糖標準液を用いて、ステインズ・オールとの複合体を形成させた後の吸光度の値(又はある波長における吸光度と他の波長における吸光度との比の値)と酸性多糖濃度との関係について予め検量線や関係式を作成しておき、酸性多糖濃度が未知の共存液についての測定結果をその検量線や関係式を用いて酸性多糖濃度に変換することで求めることができる。 また上記試料中の酸性多糖は、上述したようにその由来は限定されることはなく、バクテリアにより産生された酸性多糖であってもよい。 ここにいうバクテリアとしては、酸性多糖を産生するバクテリアであれば特に限定されず、具体的に例示すると、ALGを産生するアゾトバクター・ビネランジー(Azotbaceter vinelandii)、GELを産生するスフィンゴモナス・エロディア(Sphingomonas elodea)、XNTを産生するキサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)、HAを産生するストレプトコッカス・エクィ(Streptococcus equi)、K5Pを産生するK5株由来の大腸菌又はK4Pを産生するK4株由来の大腸菌等が例示される。 これらのバクテリアはATCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション)や東京大学医科学研究所、ザ・インターナショナル・エスケリキア・アンド・クレビシエラ・センター(WHO)、スタテンス・セーラム・インシチチュート(The International Escherichia and Klebsiella Centre(WHO),Statens Serum Institut)などにより入手することができる。 また本発明方法1は後述する実施例からわかるように、測定される試料が必ずしも精製されている必要がなく、酸性多糖を含有する試料は、酸性多糖を含む培地であってもよい。 また本発明方法1は、工程2における測定対象となる共存液中の塩化物イオン濃度が30mM以下となるように調整する工程をさらに含むことが好ましい。 後述する実施例からわかるよう塩化物イオン濃度が100mMを超えると大幅に吸光度が減少する。また一般的な培地中の塩化物イオン濃度は150mM程度であることから、本発明方法1を培地中の酸性多糖の測定する場合や塩化物イオン濃度が高い試料(例えば塩化物イオン濃度が120mM以上の試料)に適用する場合には工程2における測定対象となる共存液中の塩化物イオン濃度が100mM以下となるように調整する工程をさらに含むことが好ましく、30mM以下となるように調整する工程をさらに含むことがより好ましい。 上記共存液中の無機塩の濃度は、導電率を測定することにより調べることができる。水溶液中においては、イオン輸送によって電流が流れることから、共存液中に存在するイオンの量が増加すれば、高い導電率を有することとなる。また、導電率を測定するには導電率計(例えば、カスタニーLAB導電率計DS−12、堀場製作所製)を用いて簡便に測定できる。 また、上記塩化物イオン濃度を調整する方法は特に限定されず、例えば蒸留水等の希釈液により希釈することによって調整することができる。例えば、上述したように一般的な培地において塩化物イオン濃度は150mM程度であることから、培地中の酸性多糖を測定する際には、分析の前に蒸留水などにより5倍以上に希釈することにより、正確な測定が可能になる。 上記希釈液としては、本発明方法1における吸光度の測定に影響を及ぼすものでない限り特に限定されない。この希釈液としては、蒸留水や上述した緩衝液等を用いることができる。 また本発明方法1では、酸性多糖を含有する試料がペプトンを含む試料であってもよく、その場合は測定時における共存液中のペプトン濃度が0.2%(w/v)以下になるように調整する工程をさらに含むことがより好ましい。 また本発明方法1における「ペプトン」とは、牛乳カゼイン、獣肉、大豆タンパク質等をペプシン、トリプシン、パパイン等のタンパク質分解酵素、或いは酸で部分的に加水分解して乾燥した粉末であり、微生物の栄養源として培地に添加されているものである。 上記ペプトン濃度は、上記塩化物イオン濃度を調整する方法と同様に、希釈液により希釈することにより調整することができる。 また実施例からもわかるように、ピーナッツ及び大豆由来のペプトンに関してはその濃度が0.2%(w/v)以下においても測定に影響を及ぼすため、本発明方法1を用いる際にはこのような物質を含む培地を用いず、また培地に添加しないことが好ましい。 本発明方法1ではペプトンや塩の濃度が低ければ、酸性多糖を含む試料が中性糖など不純物を含んでいてもそれらに影響されることなく酸性多糖を定量することができる。従って試料中の酸性多糖は、必ずしも精製されている必要がない。 また、本発明方法1の工程1及び工程2を少なくとも含む工程は、これ以外の工程をさらに含んでいても良い。例えば、上記ペプトンを除去する工程や脱塩カラム等を用いて前処理する工程を追加しても良い。 上記ペプトンを除去する方法としてはセントリコン(ミリポア社製)等の遠心限外ろ過ユニットを用いて高分子を回収し、再溶解する等の前処理を行えばよい。 また、本発明方法1において酸性多糖を含有する試料中に含まれる酸性多糖は、先に例示したものが好ましいが、中でもHA、GEL、XNT、ALG、K5P及びK4Pからなる群から選ばれるいずれか1種類の酸性多糖であることが好ましい。 また本発明方法1は、2種類以上の酸性多糖を含有する試料である場合、測定対象とする酸性多糖以外の酸性多糖を分解する酵素を共存させる工程を、工程1の前にさらに含むことにより、所望の酸性多糖を定量することができる。 試料中に含まれる酸性多糖としては、HA、GEL、XNT、ALG、K5P及びK4Pからなる群から選ばれる2種類以上の酸性多糖であることが好ましく、測定対象とする酸性多糖以外の酸性多糖を分解する酵素としては、ヒアルロニダーゼ、スフィンガナーゼキサンタンリアーゼ、アルギン酸リアーゼ、ヘパリチナーゼ又はコンドロイチナーゼからなる群から選ばれる、1種類以上の分解酵素であることが好ましい。 ここで、HAはヒアルロニダーゼ、GELはスフィンガナーゼ、XNTはキサンタンリアーゼ、ALGはアルギン酸リアーゼ、K5Pはペパリチナーゼ、K4Pはコンドロイチナーゼを用いることによりそれぞれ分解することができる。 本発明方法1で用いる「ヒアルロニダーゼ」、「スフィンガナーゼ」、「キサンタンリアーゼ」、「アルギン酸リアーゼ」、「ヘパリチナーゼ」及び「コンドロイチナーゼ」はそれぞれの酸性多糖を分解する酵素全てを包含する意味で用いられる。例えば「ヘパリチナーゼ」はヘパリナーゼ、ヘパリチナーゼ、ヘパリチナーゼI、ヘパリチナーゼII等のK5Pを分解する酵素を全て包含する意味で用いられる。 またそれぞれの分解酵素は測定対象となる酸性多糖を分解せずかつ測定しない酸性多糖を分解する酵素であれば特に限定されず、試料中に含まれる酸性多糖の種類に応じて個別に設定することができる。 2種類の酸性多糖を同時に含有する試料の具体的な測定方法としては、例えばHAとK5Pを同時に含有する試料中のHAを測定する場合、該試料にヘパリチナーゼ(ヘパリチナーゼはHAを分解しない)を添加処理した後、さらにステインズ・オールを共存させ、吸光度を測定することにより定量することが例示できる。 また将来、組み換え技術によって作り出されたバクテリアが、2種類以上の酸性多糖を同時に産生した場合も、それらの分解酵素と組み合わせることによって、それら酸性多糖をそれぞれ定量することができる。 また工程2における共存液を測定する際の好ましい吸収波長の範囲は、共存させる酸性多糖の種類により異なり、各酸性多糖−ステインズ・オール共存液の極大吸収波長における吸光度の少なくとも80%程度の吸光度を持つ範囲で測定することが好ましく、極大吸収波長であることが最も好ましい。 具体的には、試料中の酸性多糖がHA又はGELである場合、工程2における吸光度を測定するときの波長が630〜670nmであることが好ましく、640〜660nmであることがより好ましく、650nmであることが極めて好ましい。また、試料中の酸性多糖がXNT又はK5Pである場合、工程2における吸光度を測定するときの波長が610〜630nmであることが好ましく、615〜625nmであることがより好ましく、620nmであることが極めて好ましい。また、試料中の酸性多糖がALG又はXNTである場合、工程2における吸光度を測定するときの波長が470〜490nmであることが好ましく、475〜485nmであることがより好ましく、480nmであることが極めて好ましい。また試料中の酸性多糖がK4Pである場合、工程2における吸光度を測定するときの波長が620〜650nmであることが好ましく、625〜640nmであることがより好ましく、630nmであることが極めて好ましい。 また、後述する実施例からわかるようにpHが3以下の試料に関しては、共存液の吸光度が劇的に低下することから、測定対象となる共存液のpHが3以下である場合は、工程2における測定対象となる共存液をpH4〜13となるように調整する工程をさらに含むことが好ましく、pHを4〜8となるように調整する工程をさらに含むことが好ましく、pH5〜8となるように調整する工程をさらに含むことがさらに好ましい。<2>本発明方法2 本発明方法2は、酸性多糖を産生するバクテリアの醗酵プロセスをモニタリングする方法であって、工程A:酸性多糖を産生するバクテリアを培養する工程、工程B:該バクテリアを培養している培地とステインズ・オールを共存させる工程、工程C:工程Bにより得られた共存液の吸光度を測定する工程、を少なくとも含む方法である。 本発明方法2における「発酵プロセスのモニタリング」とは、発酵プロセスの進行の有無又は進行の程度の測定をすることやバクテリアの酸性多糖産生活性を測定することを言う。またマイクロリーダー等を用いることにより複数の検体に関しても容易に測定がすることができる。 また、本発明方法2は、発酵プロセスをモニタリングすることにより、酸性多糖を産生するバクテリアのスクリーニングに用いることができる。 また本発明方法2におけるモニタリングの方法についても特に限定されることはなく、培養後の任意の時間の1点について吸光度を測定することによりモニタリングしてもよく、2点以上の任意の時間における吸光度を測定することによりモニタリングすることもできる。 本発明方法2の工程Bにおける共存方法としては、培養後の精製等の工程を考慮すると各定量時に培地の一部をステインズ・オールと共存させ、吸収波長を測定し、その吸光度の変化を測定することが好ましい。 また本発明方法2をスクリーニングの目的として用いる場合は、培地にステインズ・オールを添加した後培養を行い、その培養時間に対する吸光度の変化を測定することもできる。 上記酸性多糖を産生するバクテリアとしては、具体的には本発明方法1で例示されたバクテリアを例示することができるが、HA骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリア、N−アセチルヘパロサン骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリア、又はCH骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアであることが好ましく、その中でも特にHA骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアがストレプトコッカス属バクテリア由来のHA合成酵素を保持したバクテリアであり、N−アセチルヘパロサン骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアが大腸菌K5株由来のN−アセチルヘパロサン合成酵素を保持したバクテリアであり、CH骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアが大腸菌K4株由来のCH合成酵素を保持したバクテリアであることがより好ましい。 上記HA骨格を有する酸性多糖とは(GlcUAβ1−3GlcNAcβ1−4)n構造を持つものであり、N−アセチルヘパロサン骨格を有する酸性多糖とは(GlcUAβ1−4GlcNAcα1−4)n構造を持つものであり、CH骨格を有する酸性多糖とは(GlcUAβ1−3GalNAcβ1−4)n構造を持つものをいう。(ここで、「β1−3」はβ1−3グリコシド結合を、「β1−4」はβ1−4グリコシド結合を、「α1−4」はα1−4グリコシド結合を、nは任意の整数をそれぞれ示す。) 本発明方法2における「ステインズ・オール」、「酸性多糖」及び「共存」等の意義並びに「共存」等の好ましい「pH」、「温度」、「ステインズ・オールの濃度」及び「工程2における好ましい測定波長」等の条件に関しては本発明方法1と同じである。 <3>本発明キット 本発明キットは、構成成分としてステインズ・オールを少なくとも含むことを特徴とする、前記の本発明方法1に記載の方法により酸性多糖を測定するキットである。 本発明キットを用いることにより、本発明方法1及び本発明方法2を容易に実施することができる。 本発明キットの様態は、上記本発明方法1及び2を簡便に実施するためのキットであれば特に限定されず、さらに、共存液を希釈するための希釈液、検量線を作成の用の標準となる既知濃度のGAGs等の酸性多糖標準品、マイクロタイタープレート等を構成成分として加えることができる。 また本発明キットは、上記酸性多糖の標準品の代わりに検量線が書かれた表をキットの構成として含むことができ、またその両方を含むこともできる。キットの具体的な構成としては実施例を参照されたい。 これらの構成成分は、それぞれ別体の容器に収容しておき、使用時に本発明方法1及び2に従って使えるキットとして保存しておくことができる。 本発明キットにおける「ステインズ・オール」、「酸性多糖」等の用語は本発明方法1と同様の意味で用いられ、本発明キットを使用する際の「共存」等の意義並びに「共存」等の好ましい「pH」、「温度」、「ステインズ・オールの濃度」及び「工程2における好ましい測定波長」等の条件に関しても本発明方法1と同様である。 以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(1)材料 以下の実施例においては下記の材料を使用した。 LURIA BROTH BASE nutrient medium (LB 培地)、BactoTM Tryptic Soy Broth、BactoTM ペプトン、カザミノ酸及び酵母エキスはディフコ社から購入した。トウモロコシ、綿実、小麦の麦芽、ピーナッツ及び大豆から調製した植物ペプトン類はオリエンタル酵母社から購入した。セチトリメチルアンモニウムブロマイド(CTA)、メタノール、フェノール、アスコルビン酸、CaCl2、1,4−ジオキサン、寒天及びグルコースは和光純薬工業社より購入した。HA及びALGはナカライテクス社から購入した、ステインズ・オール(1−エチル−2−[3−(3−エチルナフト−[1,2−d]チアゾリン−2インデン)−2−メチルプロペニル]ナフト−[1,2−d]チアゾリウムブロマイド)及びGELはシグマ社から購入した。XNTはピノア社から購入した。(2)使用した微生物 ストレプトコッカス・ズーエピデミカス(Streptococcus equi subsp. zooepidamicus) は医科学研究所(東京大学)から購入した。K4株由来の大腸菌(Escherichia coli O5:K4:H4)はザ・インターナショナル・エスケリキア・アンド・クレビシエラ・センター(WHO)、スタテンス・セーラム・インスティチュート(The International Escherichia and Klebsiella Centre(WHO),Statens Serum Institut)から、K5株由来の大腸菌(E. coli 010:K5:H4 (ATCC No.23506)) はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から購入した。(3)培養条件 バクテリアはLBプレートにて生育させた。発酵には3LのCYG培地(カザミノ酸;2.0%(w/v)、酵母エキス;0.5%(w/v)、グルコース;0.2 %(w/v)、アデカノール LG-109RR;100ppm、pH7.2)を含有する5Lのファーメンター(サクラ精機社製)を用いた。また接種量、温度、通気量、攪拌速度の条件はそれぞれ、1%(w/v)、37℃、1vvm、500rpmとした。(4)K5多糖類(K5P)とK4多糖類(K4P)の調製 K5Pはヴァンらの方法に従って調製した(非特許文献8)。具体的には、培養物から菌体を取り除くために、大腸菌K5株の24時間齢培養物を4℃、8,000rpmで20分間遠心分離した。得られた上澄み液にCTAを終濃度が0.5%(v/v)になるように添加した。 遠心分離法で沈殿物を回収した後、1MのCaCl2(50ml)に溶解し、75mlのエタノールと混合しK5Pを沈殿させた。次いで遠心分離によって沈殿物を回収し、蒸留水(50ml)に溶解した。 溶液に含まれるタンパク質をフェノール抽出により除去し、K5Pをエタノール沈殿させ回収した。これらのステップを5回繰り返した後、得られた沈殿物を蒸留水に溶解し、それを凍結乾燥した。 K4Pはマンゾニらの方法に従って調製した(非特許文献9)。具体的には、培養物から菌体を取り除くために、大腸菌K4株の16時間齢培養物を4℃、8,000rpmで20分間遠心分離した。スパイラルカートリッジS1Y10(分子量遮断;10kDa、ミリポア社製)を用いた限外濃縮法によって上澄み液を濃縮した。その後4倍量のエタノールと濃縮液を混合し、K4Pの沈殿を生成させた。得られた酸性多糖は真菌由来のプロテアーゼを用いた酵素消化とエタノール分画を用いて精製した後、凍結乾燥した。 これらの酸性多糖の純度は、アライらの方法に従ってGPC-HPLC分析にて評価した(非特許文献10)。各酸性多糖の純度は90%以上であった(図1)。(5)試薬の調製 試験に供した酸性多糖(K5P、K4P、HA、ALG、GEL及びXNT)は終濃度が1mg/mlになるように蒸留水に溶解し、標準液とした。 少量ずつ分注した後、それらを−20℃で保存した。1mMの酢酸と0.5mMのアスコルビン酸を含有する1,4-ジオキサンの50%(v/v)、水溶液にステインズ・オールを終濃度が1mMになるように溶解し、ステインズ・オール溶液とした。なお、当該溶液は4℃下、暗所にて2週間は安定だった。実施例1:酸性多糖の定量 各酸性多糖の分析はホーマーらの方法に従い実施した(非特許文献11)。上記調製により得られた各試料溶液50μlをそれぞれ試験管に移し、450μlのステインズ・オール溶液と500μlの蒸留水と順次、添加した。その後、該共存液を1.5 mlのガラスセルに移し、分光器UV-160A(島津社製)を用いて酸性多糖毎に適切な波長で吸光度を測定した。 すべての分析は3回実施し、平均値を記した。 マイクロアッセイでは、17μlの試料溶液を96穴マイクロプレートに移し、125μlのステインズ・オール溶液と150μlの蒸留水と順次、添加した後、マイクロプレートリーダーSK601(生化学工業社製)を用いて各酸性多糖に適切な波長で共存液の吸光度を測定した。 染料溶液に各酸性多糖を5μgずつ添加した際に生じたスペクトル変化を図2〜4に示した。HAを添加することによって、650nmに新しい吸収ピークが出現した(図2)。一方、K4P又はK5Pとステインズ・オールとの共存液については明確なピークは見られなかったが、610〜640nmの範囲に吸収の肩が出現した。ステインズ・オール溶液を参照として測定した場合、K4P及びK5Pのステインズ・オール共存液のスペクトルはそれぞれ、630nm、620nmで極大吸収を示した(図3)。同様に、ウロン酸含有多糖であるALG、GEL及びXNTもステインズ・オールとの複合体を形成し、それらの極大吸収はそれぞれ480、650、620nmであることが明らかになった(図4)。また、XNTのステインズ・オール共存液においては480nmにも極大吸収が出現した。 これらの測定の結果よりHA及びGELの最適な測定波長は650nmであり、K5Pは620nm、K4Pは630nm、ALGでは480nm、XNTでは620又は480nmであることを示した。また、実施例2以降の酸性多糖−ステインズ・オール共存液の吸光度の測定はそれぞれ上記の最適な波長にて行うこととした。 また、酸性多糖−ステインズ・オール複合体は室温で少なくとも60分間は安定であることを確認した。実施例2:測定範囲の検討 本発明方法1で測定できる酸性多糖の濃度範囲を決定するために、様々な濃度に調製した酸性多糖溶液をステインズ・オール溶液に添加し、実施例1で得られた波長で吸光度を測定した。本発明方法1を用いた各酸性多糖の検量線を図5に示した。HAに関しては、650nmで測定した吸光度と濃度との間に正の相関が観察され、その直線性は100μg/mlまで維持されていた。一方、他の酸性多糖の場合にも吸光度と濃度の間に正の相関が観察され、検量線の直線性は250μg/mlまで維持されていた。また、これらの酸性多糖類の分析範囲の下限は2μg/mlであった。また当該方法は、上述した波長の固定波長フィルタが装備された96穴プレートリーダー分光光度計を用いたBGAGs等の酸性多糖のマイクロアッセイにおいても同様の結果を観察した。ALG(r2値:0.995)を除き、試験したすべての酸性多糖の定量分析における検量線のr2値は0.998以上だった。比較のために、GAGsの定量法であるカルバゾール−硫酸法の検量線を標準物質であるD−グルクロノラクトンを用いて作成したが、その直線性は100μg/mlまで維持されていた。どちらの測定方法でも測定範囲は同様な結果であったが、従来の方法(約1時間)に比べて、短時間(15分以下)で測定できる等、ステインズ・オール法は従来法に比べはるかに優れていた。また、この分析方法は従来の方法の干渉物質であるグルコースなど中性糖の存在下においても影響を受けず、マイクロアッセイを採用することによって多検体の同時測定も可能である。実施例3:酸性多糖−ステインズ・オール複合体形成に及ぼすpH及び塩の影響 異なるpHにおけるBGAGs−ステインズ・オール共存液の吸光度の相対的な強度の変化について調べるために、HA及びK5Pの水溶液を、20 mM マッキルバインバッファー(pH2.24−pH8.24)、20mM ホウ酸バッファー(pH8.18−pH10.05)及び100mMのNaOH溶液(pH13.4)を用いて調製し、実施例1に記載された方法でステインズ・オール共存液の吸光度を測定した。その結果を図6に示す。分析におけるBGAGs−ステインズ・オール共存液の吸光度はpH4からpH8までの範囲ではpHに依存せず、ほぼ一定の値を示した。またpH9付近において吸光度の減少が多少見られたがpH13程度までは問題なく測定することが可能であった。しかし、pH3の条件下では、これらの酸性多糖−ステインズ・オール共存液の吸光度が劇的に減少した。pH3以下の条件ではカルボキシル基のイオン化が抑制されるために、酸性多糖とステインズ・オールとの複合体の形成が阻害されると考えられる。従って、当該方法による分析の至適pHはpH4〜8の範囲であることがわかった。また特別なバクテリアを除いて、多くのバクテリアが生育できるpHの範囲はpH5〜8までであり、BGAGsの生産菌である大腸菌と連鎖状球菌もpHの範囲がpH5〜8でよい成長を示した。これらの結果は、細菌培養液のpHについては特に前処理を行わなくても、当該分析法によって細菌培養液中のBGAGsの濃度が測定できることを示唆している。 次に、BaCl2、CaCl2、MgCl2、MnCl2及びNaClなどの塩類を用いて、各々のカチオンの存在下における複合体の吸光度をそれらの非存在下における値と比較した。NaイオンとMnイオンを除き、10 mMの塩の存在の下でBGAGs−ステインズ・オール共存液の吸光度は減少した(表1)。 特に、Pbイオン又はBaイオンの共存下においては酸性多糖−ステインズ・オール共存液の吸光度が著しく低下した。しかし、上記イオンの濃度を1mMまで減少させたところ、この干渉効果は大幅に低減した。また、K5Pと酢酸ナトリウムを用いた試験において、Naイオンの濃度が250mMに達しても、K5P−ステインズ・オール共存液の吸光度の減少はほとんど見られなかったことからNaイオンの影響は無視できるものと考えられる。(図7)。またNaCl及びNa2HPO4以外の無機塩類に関しては、一般的な培地の中の濃度は10mM未満であることから、細菌培養液中のBGAGs等の酸性多糖の濃度を測定する際にカチオンの影響は無視できる。培地中のリン酸イオンと塩化物イオンの濃度は10mMよりかなり高いことから、K5Pをモデル化合物として、分析の精度に対するこれらアニオンの影響を評価した。上記酢酸ナトリウムを用いた実験で250mMのNaイオンが分析に対して影響を及ぼさないことがわかっているので、NaClとNaH2PO4を使ってK5P−ステインズ・オール共存液の吸光度への塩化物イオンとリン酸イオンの効果を比較した。アニオンの濃度が30mMを超えない限り、K5P−ステインズ・オール複合体の形成に作用することなく吸光度の変化はほとんど見られなかった(図8)。しかし、アニオンの濃度が30mMを超えるとその濃度に依存して、K5P−ステインズ・オール共存液の吸光度は徐々に低下した。特に、塩化物イオンの濃度が100mMを越えた時に、K5P−ステインズ・オール共存液の吸光度は大幅に減少した。培地中のNaClの濃度は導電率の測定結果から算出できるが、BactoTM Tryptic Soy Broth(TSB)など一般的な培地に含まれるNaClはおよそ150mMと推察される。従って、培地中の酸性多糖の濃度を定量する際、NaClの干渉を避けるため、培養サンプルを分析の前に蒸留水によって少なくとも5倍に希釈するべきである。実施例4:吸光度に対するステインズ・オール溶液の濃度依存性 ステインズ・オール溶液の最適な濃度を調べるため、先ず100μg/mlのHA又はK5Pに各濃度のステインズ・オール溶液(10、5、2.5、1.25、0.625、0.3125及び0.156mM)を添加した共存液のスペクトルを比較した。ネガティブコントロールとしては蒸留水を用いた。共存液は各酸性多糖50μlにステインズ・オール溶液450μl、蒸留水500μlを順次添加することにより得た。その結果、ステインズ・オール溶液の濃度が2.5mM以上では、試料が蒸留水である場合でも、それぞれの最適な波長において吸光度が上昇した。また、ステインズ・オール溶液の濃度が0.4mM以下の条件では、ほとんど発色せず、蒸留水と比較したものとほとんど変わらなかった。次に、ステインズ・オール溶液の濃度を0.3〜1.5mMの範囲について詳細に検討した。その結果、HAでは、0.5〜0.6mMの濃度において高い吸光度を示した。一方、K5Pについては、0.5〜1.5mMの範囲で吸光度が一定であった(図8)。実施例5:培養液中におけるBGAGs量の測定 次に、培地中に含まれる他の構成成分が与える本発明方法の分析精度への影響を調べた。 まず、ペプトン、グルコース及び無機塩類から構成されるTSBとステインズ・オールの共存液のスペクトル解析を実施した。TSBとステインズ・オールとを共存させたとき、HA−ステインズ・オール共存液と類似したスペクトルが観察された(図9)。しかし、TSBを蒸留水で10倍に希釈することにより、その影響は無視できることもわかった。前記実施例に記載したように培地中のグルコースや無機塩類が本測定法に影響しないので、この結果はステインズ・オールがTSB中に含まれるペプトンと複合体を形成することによって、波長610〜650nmに新たな吸収を持つことを示唆している。そこで、他のペプトンでも同様の複合体が形成されるかどうかを評価した。 TSBに含まれるペプトン含量は2%(w/v)であるので、同様の濃度で比較した。その結果、比較したすべてのペプトンで同様のスペクトルを観察した。次に、10倍希釈液を用いてスペクトルの変化を比較した。図10に610nm、620nm、630nm及び650nmにおけるペプトン−ステインズ・オール共存液の吸光度の結果を示した。TSBにおける主要なペプトンであるBactoTMペプトンは、650nm又は630nmに弱い吸収が観察されたが、トウモロコシ、綿実及び麦芽由来の植物ペプトン並びにカザミノ酸は酸性多糖−ステインズ・オール複合体と競合する波長の吸収を示さなかった。一方、ピーナッツ又は大豆由来のペプトンの場合、10倍希釈液においてもなお高い吸収が観察された。特に、630nmの吸光度はK4P濃度に換算すると20〜30μg/mlに匹敵した。これらの結果は、ある種のペプトンで例外が認められるが、ペプトン濃度が0.2%(w/v)以下であれば、一般的な細菌培養用ペプトンが本発明分析方法に影響しないことを示した。次に、本検討の発酵実験に使用したCYG培地を用いた確認試験を実施した。CYG培地には2%(w/v)のカザミノ酸が含まれているので、10倍に希釈したCYG培地を用いて調製したBGAGs−ステインズ・オール共存液とBGAGs水溶液を用いたBGAGs−ステインズ・オール共存液の吸光度を比較した。10倍に希釈したCYG培地を用いて調製したBGAGs溶液の結果はBGAGs水溶液の結果と極めてよく一致した。これらの結果から、今回の発酵試験では培養液の希釈率を10倍に設定した。従って、本方法の分析範囲の下限は2μg/mlであるので、培養液中のBGAGs等、酸性多糖を測定する際の濃度の下限は20μg/mlであることを確認した。 次に本発明方法の応用として発酵プロセスの経時変化について検討した。図11〜12はそれぞれCYG培地を用いた時のBGAGs(順にHA、K5P)の発酵プロセスの経時変化を示したものである。対数増殖期には、すべてのBGAGsはほとんど生産されなかったが、減衰増殖期から定常期にかけてそれらは急速に生産された。細菌培養物におけるK5P及びHAの最大の生産性はそれぞれ、0.401、及び0.501g/Lであった。次いで、大腸菌K5株の24時間フラスコ培養物を用いて、ステインズ・オール法とカルバゾール法によってK5P含量を測定した。異なる3バッチにおけるK5P含量を両測定方法で見積もった結果を表2に示した。両方の分析結果は非常によく合致していた。これらの結果は、この分析方法が、BGAGs等、酸性多糖の発酵プロセスをモニタリングするための強力な分析ツールとなりうることを示唆している。 次に、複数の酸性多糖が共存している試料の測定を測定対象以外の酸性多糖を分解する酵素を用いて測定した場合影響が無いかどうかを調べるため、下記のサンプル1〜6の共存液のスペクトルを測定した。サンプル1:1 mg/ml HA 20μl、蒸留水 180μlサンプル2:1 mg/ml K5P 20μl、蒸留水 180μlサンプル3:1 mg/ml HA 20μl、1 mg/ml K5P 20μl、蒸留水 160μlサンプル4:1 mg/ml HA 20μl、1 mg/ml K5P 20μl、バッファー1 100μl、2 units/ml コンドロイチナーゼABC 20μl、蒸留水 40μlサンプル5:1 mg/ml HA 20μl、1 mg/ml K5P 20μl、バッファー2 100μl、0.1 units/ml ヘパリチナーゼ 20μl、蒸留水 40μlサンプル6:1 mg/ml HA 20μl、1 mg/ml K5P 20μl、バッファー1 100μl、2 units/ml コンドロイチナーゼABC20μl、0.1 units/ml ヘパリチナーゼ 20μl、蒸留水 20μlコントロール:バッファー1 100μl、蒸留水 100μl 上記バッファー1は50mM Tris-HCl,50mM 酢酸ナトリウム(AcONa)(pH6.2)を用い、バッファー2は100mM AcNa,10mM 酢酸カルシウム((AcO)2Ca) (pH7.0)を用いた。サンプル4〜6については37℃で3時間酵素反応をさせた後、熱失活したものを測定サンプルとした。それぞれのサンプル50μlに、1mMステインズ・オール溶液450μl及び蒸留水500μlを順次添加し、それぞれ最適な波長にて測定した。測定スペクトルからコントロールのスペクトルを差し引いた結果を図13に示す。図に示すように測定波長が重なってしまうような酸性多糖が共存する試料においても、測定対象以外の酸性多糖を予め酵素で分解することにより問題なく測定できることがわかる。 これらの結果により本発明方法は標準液だけでなく様々な不純物が含まれる培養液等におけるBGAGsの分析において高い再現性と精度を持つことがわかった。また、この分析方法は従来の比色分析法と比べ簡単であり、マイクロリーダー等を用いることによって多検体にも容易に対応できることがわかった。実施例6:カラムクロマトグラフィー法によるBGAGs精製への応用 K4P精製用クロマトグラフィー担体として、陰イオン交換体担体であるDEAE−セルロースDE52(ワットマン社製)を用いた。 2倍量の蒸留水で希釈した遠心上清液をDEAE−セルロースDE52を詰めた50mL用量のラジアルフローカラム(セプラジェン社製)にアプライした。カラムを100mM食塩水(250mL)で洗浄した後、300mM食塩水(250mL)と500mM食塩水(150mL)でカラムを溶出した。溶出液は15mLずつ分画した。 食塩濃度を50mM以下に下げるために、各分画は蒸留水で10倍に希釈した。ステインズオール分析法を用いてK4Pの分析を行った630nmの固定波長フィルタが装着された96穴プレートリーダー分光光度計を用いて測定した結果を図14に示した。K4Pの溶出カラム用量の1.2倍量の溶出液(300mM食塩水)をカラムに通液したところより始まり、溶出液量がカラム容量3倍に達したところで終了した。また得られた結果が正しいかどうかを確認するため、GAGの定量法として既に確立しているカルバゾール法でも測定を行った。カルバゾール法においても同様の結果が得られた。 K4Pを回収するために、K4P含有画分を濃縮した後、同量のエタノールと混合した。遠心分離法で回収された沈殿物を蒸留水に再溶解した。脱塩を行うために、当該溶液はコットンセルロース透析膜(Cellu−Sep H1、分子量カットオフ:1000、フナコシ社製)を用いて流水中で透析を行った。透析内液を凍結乾燥することによって、淡い象牙色のパウダー58.6mgを得た。 当該パウダーは、コンドロイチン分解酵素であるコンドロイチナーゼABC(生化学工業社製)により部分的に分解された。また、リドホルトらの方法(非特許文献12)により脱フルコトシル化処理を行った試料は、コンドロイチナーゼABCによって、不飽和二糖であるコンドロΔDi−0Sまで完全に分解されたことから、K4Pであることを確認した。実施例7:本発明キット 以下の構成からなる本発明キットを作成した。1. ステインズ・オール (1mg) 1本 2. ステインズ・オール溶解液(1mM酢酸、0.5mMアスコルビン酸、1,4−ジオキサン水溶液を含む) 1本3. マッキルバイン緩衝溶液(pH7) 1本 4. 各種酸性多糖標準液 標準液1(1mg/ml HA溶液) 1本標準液2(1mg/ml K5P溶液) 1本標準液3(1mg/ml K4P溶液) 1本標準液4(1mg/ml ALG溶液) 1本標準液5(1mg/ml GEL溶液) 1本標準液6(1mg/ml XNT溶液) 1本5. マイクロタイタープレート 1枚調製したK4P及びK5PをGPC-HPLC分析した結果を示す図である。HAを添加した際に生じたスペクトル変化を示す図である。K4P又はK5Pを添加した際に生じたスペクトル変化を示す図である。ALG、GEL又はXNTを添加した際に生じたスペクトル変化を示す図である。各酸性多糖の検量線を示す図である。BGAGs−ステインズ・オール共存液の吸光度のpH依存性を示す図である。K5P−ステインズ・オール共存液の吸光度のアニオン濃度依存性を示す図である。BGAGs−ステインズ・オール共存液の吸光度のステインズ・オール溶液の濃度依存性を示す図である。TSB培地中のHA−ステインズ・オール共存液のスペクトルを示す図である。各測定波長におけるペプトンの影響を示す図である。HA量の経時的変化を示す図である。K5P量の経時的変化を示す図である。HAとK5Pが共存した溶液に各分解酵素を用いた時のスペクトルを示す図である。陰イオン交換クロマトグラフィーにおけるK4Pの溶出プロファイルを示す図である。下記工程を少なくとも含む、酸性多糖の定量方法;工程1:1−エチル−2−[3−(3−エチルナフト−[1、2−d]チアゾリン−2イリデン)−2−メチルプロペニル]ナフト−[1、2−d]チアゾリウムブロマイドと、酸性多糖を含有する試料を溶液中にて共存させる工程、工程2:工程1で得られた共存液の吸光度を測定する工程。酸性多糖がバクテリアにより産生されたものである請求項1に記載の定量方法。酸性多糖を含有する試料が酸性多糖を含有する培地であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の定量方法。工程2における測定対象となる共存液中の塩化物イオン濃度が30mM以下となるように調整する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定量方法。酸性多糖を含有する試料の塩化物濃度が120mM以上である請求項4に記載の定量方法。酸性多糖を含有する試料がペプトンを含有するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の定量方法。工程2における測定対象となる共存液中のペプトン濃度が0.2%(w/v)以下となるように調整する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の定量方法。試料中の酸性多糖が、ヒアルロン酸、ジェランガム、キサンタンガム、アルギン酸、大腸菌K5株により産生された多糖及び大腸菌K4株により産生された多糖からなる群から選ばれる、いずれか1種類の酸性多糖であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定量方法。2種類以上の酸性多糖を含有する試料に、測定対象とする酸性多糖以外の酸性多糖を分解する酵素を共存させる工程を、工程1の前にさらに含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定量方法。試料中の酸性多糖が、ヒアルロン酸、大腸菌K4株により産生された多糖、大腸菌K5株により産生された多糖、キサンタンガム、アルギン酸及びジェランガムからなる群から選ばれる、2種類以上の酸性多糖であることを特徴とする、請求項9に記載の定量方法。酸性多糖を分解する酵素が、ヒアルロニダーゼ、スフィンガナーゼ、キサンタンリアーゼ、アルギン酸リアーゼ、ヘパリチナーゼ及びコンドロイチナーゼからなる群から選ばれる、1又は2種類以上の分解酵素であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の定量方法。試料中の酸性多糖がヒアルロン酸又はジェランガムであり、工程2において吸光度を測定するときの波長が630〜670nmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の定量方法。試料中の酸性多糖がキサンタンガム又は大腸菌K5株により産生された多糖であり、工程2における吸光度を測定するときの波長が610〜630nmである、請求項1〜11のいずれかに1項に記載の定量方法。試料中の酸性多糖がアルギン酸又はキサンタンガムであり、工程2における吸光度を測定するときの波長が470〜490nmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の定量方法。試料中の酸性多糖が大腸菌K4株により産生された多糖であり、工程2における吸光度を測定するときの波長が620〜650nmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の定量方法。試料中の酸性多糖がヒアルロン酸又はジェランガムであり、工程2における吸光度を測定するときの波長が650nmである、請求項12に記載の定量方法。試料中の酸性多糖がキサンタンガム又は大腸菌K5株により産生された多糖であり、工程2における吸光度を測定するときの波長が620nmである、請求項13に記載の定量方法。試料中の酸性多糖がアルギン酸又はキサンタンガムであり、工程2において吸光度を測定するときの波長が480nmである、請求項14に記載の定量方法。試料中の酸性多糖が大腸菌K4株により産生された多糖であり、工程2における吸光度を測定するときの波長が630nmである、請求項15に記載の定量方法。工程2における測定対象となる共存液をpH5〜8になるように調整する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の定量方法。酸性多糖を産生するバクテリアの醗酵プロセスをモニタリングする方法であって、工程A:酸性多糖を産生するバクテリアを培養する工程、工程B:該バクテリアを培養している培地と1−エチル−2−[3−(3−エチルナフト−[1、2−d]チアゾリン−2イリデン)−2−メチルプロペニル]ナフト−[1、2−d]チアゾリウムブロマイドを共存させる工程、工程C:工程Bにより得られた共存液の吸光度を測定する工程、を少なくとも含む方法。酸性多糖を産生するバクテリアがヒアルロン酸骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリア、N−アセチルヘパロサン骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリア又はコンドロイチン骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。ヒアルロン酸骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアがストレプトコッカス属バクテリア由来のヒアルロン酸合成酵素を保持しており、N−アセチルヘパロサン骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアが大腸菌K5株由来のN−アセチルヘパロサン合成酵素を保持しており、コンドロイチン骨格を有する酸性多糖を産生するバクテリアが大腸菌K4株由来のコンドロイチン合成酵素を保持していることを特徴とする、請求項22に記載の方法。構成成分として1−エチル−2−[3−(3−エチルナフト−[1、2−d]チアゾリン−2イリデン)−2−メチルプロペニル]ナフト−[1、2−d]チアゾリウムブロマイドを少なくとも含むことを特徴とする、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法により酸性多糖を測定するキット。構成としてさらに酸性多糖標準溶液又は検量線が書かれた表を含むことを特徴とする、請求項24に記載のキット。 【課題】培養液中に含有する酸性多糖の定量方法を提供するとともに、その方法を利用した培養プロセスのモニタリング方法を提供する。【解決手段】下記ステップを少なくとも含む、酸性多糖の定量方法;工程1:1−エチル−2−[3−(3−エチルナフト−[1、2−d]チアゾリン−2イリデン)−2−メチルプロペニル]ナフト−[1、2−d]チアゾリウムブロマイドと、酸性多糖を含有する試料を共存させる、工程2:工程1で得られた共存液の吸光度を測定する。下記ステップを少なくとも含む、培養プロセスをモニタリング方法;工程A:酸性多糖を産生するバクテリアを培養する、工程B:該バクテリアを培養している培地と1−エチル−2−[3−(3−エチルナフト−[1、2−d]チアゾリン−2イリデン)−2−メチルプロペニル]ナフト−[1、2−d]チアゾリウムブロマイドを共存させる、工程C:培養時間に対する吸収波長の変化を測定する。【選択図】 図12


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