タイトル: | 公開特許公報(A)_重合性化合物および光学フィルム |
出願番号: | 2008102117 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C08F 20/10,C07C 69/92,C09K 19/54,C09K 19/56,G02F 1/1335,G02F 1/13363,G02B 5/30 |
中村 真理子 大川 春樹 JP 2009249586 公開特許公報(A) 20091029 2008102117 20080410 重合性化合物および光学フィルム 住友化学株式会社 000002093 新樹グローバル・アイピー特許業務法人 110000202 中村 真理子 大川 春樹 C08F 20/10 20060101AFI20091002BHJP C07C 69/92 20060101ALI20091002BHJP C09K 19/54 20060101ALI20091002BHJP C09K 19/56 20060101ALI20091002BHJP G02F 1/1335 20060101ALI20091002BHJP G02F 1/13363 20060101ALI20091002BHJP G02B 5/30 20060101ALI20091002BHJP JPC08F20/10C07C69/92C09K19/54 ZC09K19/56G02F1/1335 510G02F1/13363G02B5/30 19 OL 39 2H149 2H191 4H006 4H027 4J100 2H149AA18 2H149BA02 2H149DA04 2H149DA05 2H149DA12 2H149DB03 2H149DB15 2H149EA02 2H149FA03Z 2H149FA24Y 2H149FA26Y 2H149FA42Z 2H149FA51Y 2H149FA58Y 2H149FC08 2H149FD05 2H191FA22X 2H191FA22Z 2H191FA30X 2H191FA30Y 2H191FA30Z 2H191FA94X 2H191FA94Z 2H191FA95X 2H191FA95Z 2H191FB05 2H191FC13 2H191FC33 2H191FD12 2H191FD35 2H191GA08 2H191GA22 2H191GA23 2H191KA02 2H191LA13 2H191PA43 2H191PA45 2H191PA60 2H191PA87 4H006AA01 4H006AB64 4H006AC48 4H006BJ50 4H006BP30 4H006KA06 4H006KC30 4H006KD10 4H027BD12 4J100AL08P 4J100AL66Q 4J100BA02P 4J100BA02Q 4J100BA15P 4J100BA15Q 4J100BA22P 4J100BA40Q 4J100BC43Q 4J100BC48P 4J100CA04 4J100CA05 4J100DA36 4J100DA61 4J100DA66 4J100JA39 本発明は、重合性化合物および光学フィルムに関し、より詳細には、反射型液晶ディスプレイ及び有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示装置用の光学フィルムの作製に好適な重合性化合物及び光学フィルムに関する。 液晶表示装置(以下、「LCD」ともいう)や有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」ともいう)などのフラットパネル表示装置(以下、「FPD」ともいう)は、CRTと比較して省スペースで、低消費電力である。そのため、近年、FPDは、コンピュータ、テレビ、携帯電話、カーナビゲーションあるいは携帯情報端末の画面として、広く普及している。 FPDには、一般に、反射防止、視野角拡大などのために位相差フィルムなどのさまざまな光学フィルムが用いられ、その多くに、重合性の液晶性組成物が利用されている。この液晶性組成物が、液晶状態において光学異方性を示し、この異方性が重合により固定化されるためである。 例えば、このような液晶性組成物を構成する重合性の化合物としては、LC242(BASF社製)が市販されている(非特許文献1)。”Paliocolor”、[online]、平成16年10月20日、BASF社、[平成19年12月5日検索]、インターネット〈http://www.inorganics.basf.com/p02/CAPortal/en_GB/portal/Displaychemikalien/content/Produktgruppen/Displaychemikalien/Palicolor/Paliocolor〉 光学異方性体に必要な光学的特性は種々異なるが、なかでも、液晶性を発現する温度域は、光学フィルムの作製において重要な特性の1つとして挙げられる。 しかし、これまで、液晶組成物の液晶相の相転移温度調節に関する知見は得られてこなかった。 そこで、本発明は、低温で再配向処理、重合が可能な重合性の化合物を提供することを目的とする。 本発明の化合物は、式(1)で表される化合物である。 [式中、 A1は、2価の環状炭化水素基または複素環基を表す。 B1は、−CR5R6−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−C(=O)−NR5−、−NR5−C(=O)−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−又は単結合を表す。R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。 D1は、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CR1R2−、−CR1R2−CR3R4−、−O−CR1R2−、−CR1R2−O−、−CR1R2−O−CR3R4−、−CR1R2−O−C(=O)−、−O−C(=O)−CR1R2−、−CR1R2−O−C(=O)−CR3R4−、−CR1R2−C(=O)−O−CR3R4−又は単結合を表す。R1〜R4は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。 E1は、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。該炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよく、−O−又は−C(=O)−を含んでいてもよい。 G1は水素原子、ハロゲン原子又は式(2)で表される基を表す。 −D2−(A2−B2)r−E2−P2 (2)(ここで、D2はD1と、A2はA1と、B2はB1と、rはmと、E2はE1と、P2はP1と、それぞれ同義である。) P1は、水素原子または重合性基を表す。 Y1は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ニトロキシキド基、スルホン基、スルホキシド基、カルボキシル基、アルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、N−アルキルアミノ基又はN,N−ジアルキルアミノ基を表す。 mは、0〜8の整数を表す。] このような化合物においては、(1)Y1が、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。 また、D1及びD2が、それぞれ独立に、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−又は単結合であることが好ましい。 さらに、A1が、2価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。 B1のうち、A1のみと結合しているものが、−CH2−CH2−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−OCH2−、−CH2O−又は単結合であり、 B1のうち、E1と結合しているものが、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−又は単結合であることが好ましい。 また、P1が、水素原子、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることが好ましい。 さらに、本発明の液晶性組成物は、上記化合物と、液晶性を示す重合性化合物(前記化合物とは異なる)とを含有することを特徴とする。 この液晶性組成物は、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。 また、本発明の光学フィルムは、上記化合物に由来する構造単位を含有することを特徴とする。 この光学フィルムは、上述した液晶性組成物を重合してなることが好ましい。 また、波長550nmにおける位相差値(Re(550))が113〜163nmであるλ/4板として機能するか、波長550nmにおける位相差値(Re(550))が250〜300nmであるλ/2板として機能することが好ましい。 また、本発明は、上記光学フィルムと、偏光フィルムとを含む偏光板である。 さらに、本発明は、上記光学フィルムと、カラーフィルタとを含む光学部材である。 また、本発明は、上記偏光板及び/又は光学部材と、液晶パネルとを備えるフラットパネル表示装置である。 さらに、本発明は、上記偏光板及び/又は光学部材と、有機エレクトロルミネッセンスパネルとを備えるフラットパネル表示装置である。 また、本発明は、支持基材に、上記液晶性組成物を含む溶液を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法である。 さらに、本発明は、支持基材上に形成された配向膜上に、上記液晶性組成物を含む溶液を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法である。 また、本発明は、上記製造方法で得られた未重合フィルムを、重合により硬化させる光学フィルムの製造方法である。 本発明によれば、低温で再配向処理、重合が可能な重合性の化合物を得ることができる。従って、このような化合物を含有する液晶性組成物によって、液晶相の相転移温度を容易に制御することが可能となる。 本発明の化合物は、上述した式(1)で表されるアントラセン誘導体である(以下「化合物(1)」という場合がある)。 本発明の式(1)の化合物においては、2価の環状炭化水素として、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素のいずれであってもよく、脂環式炭化水素基としては、シクロアルキレン、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、ビシクロブチレン、ビシクロヘプチレン、ビシクロオクチレン等が挙げられる。 芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、インデン、ペンタレン、ナフタレン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン、ナフタセン、ビフェニレン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン等の任意の位置に2つの結合手を有する2価の基が挙げられる。 2価の複素環基としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子と炭素原子とを有する2価の環状基が挙げられる。この複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、有していなくてもよい。芳香族性を有する2価の複素環基としては下記式で表される基が例示される。 芳香族性を有さない2価の複素環基としては下記式で表される基が例示される。 アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。 炭化水素基としては、飽和又は不飽和炭化水素基のいずれでもよく、例えば、アルカジエン、アルカトリエン等の不飽和炭化水素の任意の位置に結合手を有するもの、アルキレン基(具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基等)等の飽和炭化水素基等が挙げられる。 アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が例示される。 ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 なお、本明細書では、いずれの化学構造式においても、炭素数によって異なるが、特に断りのない限り、2価の脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基、アルキル基、アルキレン基、アルコキシ基、ハロゲン原子等は、上記と同様のものが例示される。また、直鎖又は分岐の双方をとることができるものは、そのいずれをも含む。 本発明の化合物(1)においては、A1及びA2の環状炭化水素基または複素環基は、炭素数5〜20程度が挙げられ、5又は6員の単環であることが好ましい。また、この環状炭化水素基または複素環基には、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基が置換されていてもよい。 特に、A1及びA2は、環状炭化水素基であれば、この化合物を用いて光学フィルムを形成した場合、後述する重合性化合物に由来する構造単位の配向性が優れる傾向にあることから好ましい。中でも、A1及びA2が、2価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、あるいは得られる光学フィルムの液晶性が向上する傾向および化合物(1)の製造が容易になる傾向があることから、1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。 B1及びB2は、mが2以上の場合であって、A1又はA2にのみ結合するものは、特に、−CH2−CH2−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−OCH2−、−CH2O−又は単結合であることが好ましく、B1及びB2のうちE1及びE2と結合するものは、特に、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−又は単結合であることが好ましい。化合物(1)の製造が容易となるためである。さらに、A1又はA2にのみ結合するものは、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−又は単結合からなるものが好ましく、B1及びB2のうちE1又はE2に連結するものは、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−であることが、得られる光学フィルムの液晶性が向上する傾向があることから、より好ましい。 また、mは、2≦m≦6であることが、化合物(1)の製造が容易となるという観点から好ましく、さらに、2≦m≦3であることが、化合物(1)の溶解性が高く、かつより低温での成膜が可能となることからより好ましい。 D1及びD2としては、特に、原料入手、製造が容易であることから、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CR1R2−、−CR1R2―O−CR3R4−、−CR1R2−O−C(=O)−、−CR1R2−O−C(=O)−CR3R4−、−CR1R2−C(=O)−O−CR3R4−、単結合が好ましく、さらに、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、単結合であると、好適な配向性を示すのでより好ましい。 E1及びE2としては、特に、炭化水素基のうち、飽和炭化水素基であることが、原料が安価に入手可能であるので好ましく、なかでも、炭素数1から12のアルキレン基がより好ましい。 G1及びG2としては、化合物(1)の分子をより好適に配向させるためには、つまり、アントラセン骨格を垂直方向に配向させるためには、メソゲンとなる側鎖を導入することが必要となる。メソゲン部位とは、液晶性を発現するための芳香環又は炭化水素環など、剛直かつ配向性を有する官能基(原子団)を意味する。メソゲンとしては、化合物(1)では、(A1−B1)m−E1−P1、式(2)では、(A2−B2)r−E2−P2で表わされる部位を示す。このようなメソゲン部位は、アントラセンの9位及び/又は10位にあることが必要である。特に、9位及び10位の双方にメソゲン部位があると、より配向が安定化するため、好ましい。 P1及びP2の重合性基としては、化合物(1)を重合させることのできる置換基及び/又は後述する液晶化合物と重合させることができる置換基の全てが例示される。具体的には、ビニル基、p−スチルベン基、アクリロイル基、メタクロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、カルボキシル基、メチルカルボニル基、水酸基、アミド基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、アルデヒド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基などが挙げられる。中でも、光重合が容易であり、取り扱いが容易かつで、製造も容易であることから、アクリロイル基又はメタクロイル基が好ましく、とりわけ、アクリロイル基が好ましい。また、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基が好ましい。特に、P1及びP2が同一の重合性基であれば、製造が容易となることから好ましい。 なお、P1とE1との置換基の種類を適宜選択することにより、両者の結合がエーテル結合又はエステル結合を介して行われることが好ましい。 Y1におけるアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アルキルアミノ基は、炭素数1〜8、さらに炭素数1〜4の基が好ましい。例えば、フルオロアルキル基としては、1以上のフッ素原子が置換されたアルキル基等が挙げられ、チオアルキル基としては、チオメチル、チオエチル、チオプロピル、チオブチル等が挙げられる。N−アルキルアミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基等が挙げられ、N,N−ジアルキルアミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−メチルエチルアミノ基、N,N−エチルプロピルアミノ基等が挙げられる(以下、同義である。)。特に、化合物の配向性が好適であることから、Y1は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロキシキド基、スルホン基、スルホキシド基、カルボキシル基、フルオロアルキル基、メトキシ基、チオメチル基、N,N−ジメチルアミノ基、N−アルキルアミノ基が好ましい。さらに、製造が容易であり、かつフィルムの長期安定性に優れることから、水素、メチル基、シアノ基、ハロゲン基、ニトロ基が最も好ましい。 置換基Y1を有するアントラセニレンとしては、例えば、以下のものが例示される。 −D1−(A1−B1)m−E1−P1及び/又は−D2−(A2−B2)n−E2−P2の具体例としては、以下の表に示す置換基が挙げられる。なお、D2はD1と、A2はA1と、B2はB1と、rはmと、E2はE1と、P2はP1と、それぞれ同じである。また、以下の表において、qは1〜12の整数を表す。 化合物(1)としては、例えば、化合物(1−1)〜(1−18)等が挙げられる。以下の式においてtは1〜12の整数を示す。 化合物(1)の製造方法としては、アントラセンに水酸基を構築後、該水酸基を−D1−(A1−B1)r−E1−P1を、D1に応じて、エステル化させる方法等が挙げられる。 さらに、式(R−1)〜式(R−347)で表される置換基を含む化合物の製造方法としては、例えば、後述する式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)および式(V)の化合物を合成するために公知の方法又はそれに準じて、D1、A1、B1、E1、P2の各構造単位を含む化合物を、例えば、縮合反応等で結合させることにより製造することができる。 本発明の液晶性組成物は、化合物(1)に由来する構造単位のみを含有するものであってもよいが、化合物(1)とは異なる化合物であって、液晶性を示す重合性化合物(以下、液晶化合物という場合がある)に由来する構造単位をさらに含有していることが好ましい。液晶化合物に由来する構造単位を含むことにより、組成物における分子の配向性が増加し、これを用いて光学フィルムを作製した場合には、位相差値が増加する傾向があるからである。 液晶化合物の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の3章 分子構造と液晶性、3.2 ノンキラル棒状液晶分子及び3.3 キラル棒状液晶分子に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物が挙げられる。なお、液晶化合物は、異なる複数の液晶化合物を併用してもよい。 液晶化合物としては、例えば、以下の置換基を有する化合物が挙げられる。 D11-C11-(L11-B11)a-L12- (A) このような置換基を有する化合物として、さらに具体的には、 D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-B14-L15-B15-L16-C12-D12 (I) D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-B14-L15-C12-D12 (II) D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-C12-D12 (III) D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-F11 (IV) D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-F11 (V) 式(A)、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)および式(V)において、B11、B12、B13、B14およびB15は、それぞれ独立に、2価の環状炭化水素基、フルオレニル基またはチオフェニレン基を表し、該環状炭化水素基、フルオレニル基及びチオフェニレン基に含まれる水素原子はフッ素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基で置換基されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子はヘテロ原子で置換されていてもよい。具体的には、前記B1として例示された基が挙げられる。 L11、L12、L13、L14、L15及びL16は、それぞれ独立に、−CRR’−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−、−NR”−C(=O)−、−OCH2−、−OCF2−、−NR”−、−CH2O−、−CF2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。RおよびR’は炭素数1〜7のアルキル基又はRおよびR’は結合した炭素数4〜6のアルキレン基であり、該アルキル基及びアルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。R”は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜7のアルキル基を表す。 具体的には、前記L1として例示された基が挙げられる。 C11およびC12は、それぞれ独立に、炭素数2〜25のアルキレン基を表す。C11及びC12に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフロオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。 具体的には、前記C1として例示された基が挙げられる。 D11およびD12は、それぞれ独立に、重合性基を表す。具体的には、前記D1として例示された基が挙げられる。 F11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基またはハロゲン原子を表す。 液晶化合物の具体例としては、例えば、以下の式(I−1)〜(I−5)、(II−1)〜(II−6)、(III−1)〜(III−19)、(IV−1)〜(IV−14)、(V−1)〜(V−5)で表される化合物などが挙げられる。ただし、式中kは、それぞれ独立に、1〜11の整数を表す。 これらの化合物は、合成が容易であったり、市販されているなど、入手が容易であることから好ましい。 本発明の液晶性組成物においては、液晶性組成物の全重量に対して、化合物(1)が1重量%程度以上、1〜50重量%程度、さらに5〜30重量%程度含有されていることが好ましい。このような範囲にすることにより、より低温で再配向処理及び重合をすることができ、良好な配向と高い異方性が得られる。また、安価に光学フィルムが作製することができる。 液晶化合物を含有する場合には、液晶性組成物の全重量に対して、液晶化合物が、1重量%程度以上、1〜50重量%程度、さらに5〜30重量%程度含有されていることが好ましい。この範囲内であれば、組成物における分子の配向性を向上させることができる。 本発明の液晶性組成物には、必要に応じて、重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、有機溶媒、架橋剤の添加剤の1種以上が混合されていてもよい。 〔重合開始剤〕 本発明の液晶性組成物は、通常、重合させるための重合開始剤、特に光重合開始剤を用いることが好ましい。 光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられ、より具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、及びイルガキュア369(以上、全てチバスペシャルティケミカルズ社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152又はアデカオプトマーSP−170(以上、全て旭電化)などを挙げることができる。 重合開始剤の使用量は、通常、液晶性組成物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶性組成物の配向性を乱すことなく、液晶性組成物を重合させることができる。 〔重合禁止剤〕 重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン又はアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2、6,6、−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類又はβ−ナフトール類等を挙げることができる。 重合禁止剤を含有することにより、液晶性組成物の重合を制御することができ、得られる光学フィルムの安定性及び塗布前の液晶性組成物の安定性を向上させることができる。 重合禁止剤の使用量は、通常、液晶性組成物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶性組成物の配向性を乱すことなく、液晶性組成物を重合させることができる。 〔光増感剤〕 光増感剤としては、例えば、キサントン又はチオキサントン等のキサントン類、アントラセン又はアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン類、フェノチアジン、ルブレン等を挙げることができる。 光増感剤を用いることにより、液晶性組成物の重合を高感度化することができる。 光増感剤の使用量は、液晶性組成物の合計100重量部に対して、通常、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶性組成物の配向性を乱すことなく、液晶性組成物を重合させることができる。 〔レベリング剤〕 ベリング剤としては、例えば、放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352、BYK−353、BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越シリコーン社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(大日本インキ化学工業製:F−445、F−470、F−479)などを挙げることができる。 レベリング剤を用いることにより、光学フィルムを平滑化することができる。さらに、光学フィルムの製造過程で、液晶性組成物溶液の流動性を制御したり、液晶性組成物を重合して得られる光学フィルムの架橋密度を調整することができる。 レベリング剤の使用量は、通常、液晶性組成物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶性組成物の配向性を乱すことなく、液晶性組成物を重合させることができる。〔有機溶媒〕 有機溶媒としては、本発明の液晶性組成物、任意に添加剤等を溶解し得る有機溶媒であればどのようなものを用いてもよい。具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ若しくはブチルセロソルブなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン若しくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン若しくはメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン若しくはヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン若しくはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、乳酸エチル、クロロホルム又はフェノールなどが挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。中でも、本発明の液晶性組成物は相溶性に優れ、アルコール、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、非塩素系脂肪族炭化水素溶媒及び非塩素系芳香族炭化水素溶媒などにも溶解し得ることから、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素を用いなくとも、溶解して塗工させることができる。 〔架橋剤〕 架橋剤としては、特に限定されるものではなく、当該分野で公知のもの、例えば、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ウレタンアクリレート類、ポリイソシアネート類、エポキシ化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。より具体的には、トリアクリレート類(新中村化学工業株式会社製:CBX−1N、CBX−0、A−TMPT−3EO、A−TMPT−6EO、A−TMPT−9EO、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMM−3LMN、A−GLY−3E、A−GLY−6E、A−GLY−9E、A−GLY−20E、TM−4EL、SARTOMER社製:SR499、SR502、SR9035、SR368)、テトラアクリレート類(新中村化学工業株式会社製:ATM−4E,ATM−35E)、ペンタアクリレート類(新中村化学工業株式会社製:A−9530、SARTOMER社製:SR399E)、ヘキサアクリレート類(新中村化学工業株式会社製:A−DPH−6E、A−DPH−12E、A−DPH−6P、共栄社化学株式会社製:UA−306H、UA−306I、日本化薬株式会社製:DPCA−60、DPCA−120)などを挙げることができる。 架橋剤を用いることにより、光学フィルムの架橋密度を調整することができる。 架橋剤の使用量は、通常、液晶性組成物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。架橋剤を用いることにより、化合物(1)および液晶化合物を光重合により架橋することができる。従って、熱による複屈折の変化の影響を低減させることができる。 本発明の光学フィルムは、少なくとも化合物(1)に由来する構造単位を含有する光学フィルムである。化合物(1)に由来する構造単位のみを含有する光学フィルムであってもよいが、上述したような、化合物(1)とは異なる化合物であって液晶性を示す重合性化合物(以下、液晶化合物という場合がある)に由来する構造単位をさらに含有してもよい。 本発明の光学フィルムは、上述した化合物(1)又は液晶性組成物を用いて、未重合で又は重合して形成することができる。 〔光学フィルムの重合〕 本発明の光学フィルムを重合して製造する方法について以下に説明する。 まず、本発明の化合物(1)又は本発明の液晶性組成物、任意に、上述した重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、有機溶媒、架橋剤等の添加剤の1種以上が混合された液晶性組成物の溶液を調製する。特に、有機溶媒は、成膜が容易となることから、重合開始剤は、得られた光学フィルムを硬化する働きをもつことから、含有されていることが好ましい。 化合物(1)又は液晶性組成物を含有する混合溶液の粘度は、塗布しやすいように、通常、10Pa・s以下、好ましくは0.1〜7Pa・s程度に調整される。 また、混合溶液における固形分の濃度は、通常、5〜50重量%である。固形分の濃度をこの程度の範囲とすることにより、光学フィルムの膜厚にムラが生じにくく、適切な膜厚に調整することが容易となり、液晶パネルの光学補償に必要な光学異方性を与えることができる。 続いて、支持基材に、液晶性組成物の溶液を塗布し、乾燥、重合させることにより、支持基材上に目的のフィルムを形成することができる。 用いる支持基材は、その表面に配向膜を形成できるものであればどのような材料を用いてもよい。例えば、ガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム、透光性フィルム等を挙げることができる。透光性フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリフェニレンオキシドフィルムなどが挙げられる。 液晶性組成物から得られるフィルムは、貼合、運搬、保管等、強度が必要な場合があるため、支持基材を用いることにより、フィルムが破れず、取り扱いが容易となる。 なお、液晶性組成物の溶液を、支持基材上に直接塗工してもよいが、より均一な配向を得るため、支持基材上に形成された配向膜上に塗工することが好ましい。 配向膜は、本発明の液晶性組成物を含有する溶液の塗工等により溶解しない溶剤耐性を有し、溶媒の除去、液晶の配向の加熱処理による耐熱性を有し、ラビングによる摩擦などによる剥がれ等が起きないこと等が必要であり、ポリマーと、任意に溶媒とを含有する組成物によって形成することができる。 配向膜を形成するポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーが挙げられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合、共重合体したりしてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミンなどによる重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合又は開環重合等で容易に得ることができる。 溶媒は、特に限定されず、具体的には、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、乳酸エチル、クロロホルム等種々のものを用いることができる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。 また、配向膜を形成するために、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜としては、感光性ポリイミドに偏光UV処理を施したものとして、サンエバー(登録商標、日産化学社製)、オプトマー(登録商標、JSR製)などが挙げられ、アルキル変性ポリビニルアルコールとして、ポバール(登録商標、クラレ製)などが挙げられる。 支持基材上に配向膜を形成する方法としては、例えば、市販の配向膜材料、配向膜の材料となる上述したポリマー又はその構成モノマー等と、任意に溶媒とを、支持基材上に塗布し、その後、アニールする方法が挙げられる。 得られる配向膜の厚さは、通常、10nm〜10000nm程度が適しており、10nm〜1000nm程度が好ましい。上記範囲とすれば、後述する未重合フィルム調製工程において、本発明の液晶性組成物から形成されるフィルムを配向膜上で所望の角度に配向させることができる。 また、これら配向膜は、必要に応じてラビング又は偏光紫外線照射を行うことができる。これにより、本発明の液晶性組成物から形成されるフィルムを所望の方向に配向させることができる。 配向膜をラビングする方法としては、例えば、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられ、搬送されている配向膜に接触させる方法を用いることができる。 このように、配向膜を用いることにより、延伸による屈折率制御を行う必要がないため、複屈折の面内ばらつきが小さくなる。そのため、支持基材上にFPDの大型化にも対応可能な大きな光学フィルムを形成することが可能となる。 液晶組成物の溶液を、支持基材上又は配向膜上へ塗布する方法としては、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、ダイコーティング法などが挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーターなどのコーターを用いて塗布してもよい。 溶媒の乾燥は、光重合の場合には、成膜性を向上させるために、光重合前にほとんど溶媒を乾燥させて、未重合フィルムを得ることが好ましい。また、熱重合の場合には、通常、乾燥とともに重合を進行させてもよいが、重合前にほとんどの溶媒を乾燥させて、未重合フィルムを得ることが好ましい。その後、重合させる方法が、成膜性に優れる傾向があることから好ましい。 溶媒の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などが挙げられる。具体的な加熱温度は、10〜120℃程度が適しており、25〜80℃程度が好ましい。加熱時間は、10秒間〜60分間程度が適しており、30秒間〜30分間程度が好ましい。加熱温度及び加熱時間が、上記範囲内であれば、上記支持基材として、耐熱性が必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。 重合は、化合物(1)のP1及びP2並びに液晶化合物に含まれる重合性基が光重合性基であれば、可視光、紫外光、レーザー光などの光を照射して硬化させることができる。これらの重合性基が熱重合性であれば、加熱によって重合させることができる。 成膜性の観点から、光重合が好ましく、取り扱い性の観点から、紫外光による重合がより好ましい。 〔未重合光学フィルムの製造〕 本発明の光学フィルムを未重合で製造する方法としては、例えば、配向膜が形成され、ラビング処理が行われた支持基材の配向膜上に、液晶性組成物の溶液を塗工し、乾燥する方法等が挙げられる。特に、支持基材の上に形成した配向膜上に未重合フィルムを得る方法は、生産コストを低減することができ、ロールフィルムでのフィルムの生産が可能となり、製造効率が良好であることから好ましい。 得られた未重合のフィルムにおいて、本発明の液晶性組成物はネマチック相などの液晶相を示し、モノドメイン配向による複屈折性を有する。この未重合フィルムは0〜110℃程度、好ましくは、25〜80℃の低温で配向することから、耐熱性に関して必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。また、この未重合フィルムを等方相温度まで昇温した後に、液晶相温度まで降温し、再安定配向状態を得る再配向処理を実施すると、より良好な配向が得られる。さらに、配向後、10〜30℃の低温にて、再配向処理を実施することが可能である。 〔未重合光学フィルムの重合〕 なお、上述したように未重合でフィルムを形成した後、そのフィルムを重合して硬化させてもよい。これにより、本発明の液晶性組成物に由来する構造単位を有するフィルムの配向性を固定化することができる。 未重合フィルムを重合させる方法は、液晶性組成物に含まれる化合物の種類に応じて、適宜調整することができる。例えば、光重合、熱重合が挙げられる。なかでも、光重合が好ましい。これにより、低温で、未重合フィルムを重合させることができるので、支持基材の耐熱性の選択幅が広がる。また、工業的にも製造が容易となる。 未重合フィルムを光重合させる方法は、例えば、未重合フィルムに紫外線を照射することにより、未重合フィルムを重合させる方法などが挙げられる。未重合フィルムの重合工程において、液晶性組成物を光重合によって架橋させることにより、その後の工程等における熱による複屈折の変化の影響を受けにくくなる。 なお、上述した光学フィルムの製造方法では、支持基板及び/又は配向膜上に光学フィルムを形成した後、支持基材及び/又は配向膜を剥離する工程を含んでいてもよい。 このように、液晶ポリマーを用いることなく光学フィルムを製造することができる。 また、上述した製造方法により得られた光学フィルムは、支持基材と配向膜及び配向膜と光学フィルムとの密着性が良好であり、光学フィルムの製造が容易となり、界面活性剤などの表面処理剤を用いなくてよい。 〔光学フィルム〕 本発明の光学フィルムは、透明性に優れ、単独での単層又は積層構造(例えば、2〜4層程度)で、上述した支持基板及び/又は配向膜あるいは種々の光学フィルムとともに、種々の用途に用いることができる。なお、複数層積層する場合は、同一のフィルムであってもよいし、異なるものを組み合わせて用いてもよい。ここで、光学フィルムとは、光を透過し得るフィルムであって、光学的な機能を有するフィルムを意味し、光学的な機能とは、屈折、複屈折などを意味する。 このような光学フィルムとしては、優れた波長分散特性を有する光学フィルムが挙げられ、アンチリフレクション(AR)フィルムなどの反射防止フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、視野角拡大フィルム及び透過型液晶ディスプレイの視野角補償用光学補償フィルムなどが例示される。また、本発明の光学フィルムの用途として、これらの用途が例示される。 例えば、偏光フィルムに本発明のフィルムを貼合して楕円偏光板として用いることができる。また、この楕円偏光板にさらに本発明のフィルムを広帯域λ/4板として貼合して広帯域円偏光板として利用することができる。 特に、本発明のフィルムを、広帯域λ/4板又はλ/2板として使用するためには、液晶性組成物に含まれる化合物(1)及び化合物(2)に由来する構造単位の含有量を適宜調整し、フィルムの膜厚を調整し、位相差値を調整すればよい。 具体的には、λ/4板の場合には、得られるフィルムのRe(550)を113〜163nm、好ましくは135〜140nm、より好ましくは約137.5nm程度に調整すればよい。λ/2板の場合には、得られるフィルムのRe(550)を250〜300nm、好ましくは273〜277nm、より好ましくは約275nm程度となるように調整すればよい。 また、本発明のフィルムをVA(Vertical Alingment)モード用の光学フィルムとして使用するためには、本発明の液晶性組成物に由来する構造単位の含有量を適宜調整し、フィルムの膜厚を調整すればよい。具体的には、Re(550)が例えば、40〜100nm、好ましくは60〜80nm程度となるように、膜厚を調整すればよい。 つまり、本発明の液晶性組成物において、化合物(1)又は液晶組成物の含有量等を変化させることにより、得られるフィルムの屈折率の波長依存性、波長分散特性等を任意に制御することができ、液晶性組成物を塗布する際の量及び有機溶媒の濃度等を調整して、得られるフィルムの膜厚を調整することにより、位相差値を制御することができ、あるいは、位相差層の積層を省略することができる。 例えば、化合物(1)の[Re(450)/Re(550)]および[Re(650)/Re(550)]の値は1に近い又は1より小さいため、化合物(1)の含有量を増加させることにより、Re(450)/Re(550)等を変化させ、つまり、波長分散を小さくする等、所望の波長分散特性を得ることができる。 また、液晶化合物の含有量を増加させることにより、液晶組成物をフィルム方向に配向させることができる。 化合物(1)が一定である混合溶液の場合、フィルムの位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(3)のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るためには、膜厚dを調整する。 Re(λ)=d×Δn(λ) (3)(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける屈折率異方性を表す。) 従って、位相差値を大きくするためには膜厚を大きくし、位相差値を小さくするためには、膜厚を小さくすればよい。 本発明の光学フィルムの膜厚は、0.1〜100μm、好ましくは0.1〜10μm程度であり、光弾性を小さくするという観点から、0.5〜3μmであることが好ましい。 配向膜を用いて複屈折性を有する場合には、通常、位相差値としては、50〜500nm程度であり、好ましくは100〜300nmである。 このように、本発明の光学フィルムは、延伸フィルムで同等の位相差値を有するフィルムと比較して、薄膜とすることができる。また、位相差値の波長依存性を低減することができる。 〔光学部材〕 本発明のフィルムの実施形態として、本発明のフィルムを備えた光学部材について説明する。 図1に示すように、光学部材1は、位相差層として本発明の光学フィルム2と、配向膜3を介して積層されたカラーフィルタ4とを含んで構成することができる。 このような光学部材1は、以下の製造方法により形成することができる。 まず、カラーフィルタ4の上に配向性のポリマーを印刷し、ラビング処理を施して、配向膜を形成する。 次に、所望の波長分散特性をもつように、重合開始剤等の添加剤と、本発明の化合物(1)または液晶性組成物とを、良溶媒に溶解させて混合溶液を調製し、所望の位相差値になるよう厚みを調製しながら、得られた配向膜上に得られた混合溶液を塗布する。 最後に、化合物(1)又は液晶性組成物の液晶相をとる温度に加温しながら紫外線照射して、光学フィルムを形成する。この際、マスキングなどの手法によって光学フィルムをパターニングしてもよい。 本発明の光学フィルムは、配向膜上に塗布、紫外線照射等で重合させることによって形成することができるため、従来よりも簡便にカラーフィルター上に、例えば、広帯域λ/4、λ/2の位相差層、光学フィルムを形成することができる。特に、液晶パネルをカラー化するためには、カラーフィルターが必須であるが、このようなカラーフィルターを含む光学部材を用いれば、液晶パネル自体が備える位相差を軽減することができる。さらに、位相差層の数を減らした薄型の液晶表示装置を製造することが可能となる。 〔偏光板〕 本発明の光学フィルムの別の具体的な実施形態として、本発明の光学フィルムを偏光フィルムとを積層して構成される偏光板等について説明する。 偏光板30aは、本発明の光学フィルム14と、偏光機能を有するフィルム、すなわち偏光フィルム15とを直接張り合わせられており(図2(a))、光学フィルム14は、支持基材16、配向膜17および光学異方性層18からなる。偏光板30aは、支持基材16、配向膜17、光学異方性層18、偏光フィルム15の順に積層されている。 図2(b)に示す偏光板30bは、光学フィルム14と偏光フィルム15とが、接着剤層19を介して貼り合わされている。 図2(c)に示す偏光板30cは、光学フィルム14と光学フィルム14’とが直接貼り合わされ、さらに光学フィルム14’と偏光フィルム15とが直接貼り合わされている。 図2(d)に示す偏光板30dは、光学フィルム14と光学フィルム14’とが接着剤層19を介して貼り合わされ、さらに光学フィルム14’上に偏光フィルム15が直接貼り合わされている。 図2(e)に示す偏光板30eは、光学フィルム14と光学フィルム14’とを接着剤層19を介して貼り合わせ、さらに光学フィルム14’と偏光フィルム15とを接着剤層19’を介して貼り合わされている。 光学フィルム14および光学フィルム14’の代わりに、光学フィルム14から支持基材16および配向膜17を剥離した、化合物(1)に由来する構造単位を含有する光学異方性層18のみからなるフィルムを用いてもよいし、光学フィルム14から支持基材16を剥離した、配向膜17および光学異方性層18からなるフィルムを用いてもよい。 本発明の偏光板は、光学フィルムを複数積層してもよく、その複数の光学フィルムは、全て同一であっても、上述した異なるフィルムを組み合わせて用いてもよい。 偏光フィルム15としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムに沃素や二色性色素を吸着させて延伸したフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸して沃素や二色性色素を吸着させたフィルムなどが挙げられる。 接着剤19、19’としては、透明性が高く、耐熱性に優れた接着剤であることが好ましい。そのような接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系あるいはウレタン系接着剤などが用いられる。 〔フラットパネル表示装置〕 また、本発明の光学フィルムは、反射型の液晶ディスプレイ及び有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のフラットパネル表示装置(FPD)において、どのような位置に、どのような態様で、どのように機能させるものとして備えられていてもよい。 例えば、上述した偏光板と、液晶パネルとが貼り合わされた液晶パネルを備える液晶表示装置(LCD)、上述した偏光板と、発光層とが貼り合わされた有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置(EL)、さらに、本発明の光学フィルムを位相差板として備えるLCD及びEL等、カラーフィルタを備えるLCD及びEL等が挙げられる。 〔LCD〕 LCDとしては、例えば、図3に示すように、本発明の偏光板30と液晶パネル20とが接着層22を介して貼り合わされてなる貼合品21によって構成される。 この構成によれば、図示しない電極を用いて、液晶パネルに電圧を印加することにより、液晶分子を駆動させ、光シャッター効果を発揮させることができる。 特に、図4に示すように、一対の基板に液晶層が挟持され形成されてなる液晶表示素子において、少なくとも一方の基板の液晶層側にカラーフィルタを形成した薄型液晶表示装置について以下に説明する。 図4に示す液晶表示装置5では、偏光板6上に、例えば、ガラス基板などのバックライトと対向する基盤7が接着剤を介して固定されており、基盤7上に作成されたカラーフィルタ4’上に、本発明の光学フィルムが、配向膜3’を介して位相差層2’として形成されている。さらに、位相差層2’上には対向電極8が形成され、対向電極上に液晶相9が形成されている。 バックライト側は、偏光板10の上に、例えば、ガラス基板などの基盤11が接着剤を介して固定されており、基盤11上には、液晶層をアクティブ駆動させるための薄膜トランジスタ(TFT)と絶縁層12が形成され、さらに、TFT上に、Ag、Al又はITO(Indium Tin Oxide)による電極13、13’が形成されている。 このような構成によれば、従来の液晶表示装置と比較して、位相差層の枚数を減らすことができ、より薄型の液晶表示装置の製造を可能とする。 また、このような液晶表示装置は、以下のように製造することができる。 まず、バックライト側の基盤であるホウケイ酸ガラス上に、Mo、MoW等からなるゲート電極、ゲート絶縁膜およびアモルファスシリコンを堆積・パターニングする。 次いで、アモルファスシリコンをエキシマレーザでアニールすることによって結晶化させて半導体薄膜を形成する。その後、ゲート電極両側にP、Bなどをドープし、nチャンネル、pチャンネルのTFTを形成する。 さらに、SiO2からなる絶縁膜を形成する。 このようにして得られたバックライト側の基盤11上に、ITOをスパッタすることにより、全透過型表示装置用の透明電極13を積層する。また、同じくITOの換わりにAg、Al等を用いることにより全反射型表示装置用の反射電極13’を形成する。 さらに、反射電極、透明電極を適宜組み合わせることにより、半透過型の液晶表示装置用のバックライト側の電極を形成することができる。 一方、対向する基盤7に、カラーフィルタ層4’を形成する。R、G、Bのカラーフィルタを併用することにより、フルカラーの液晶表示装置が得られる。 次に、カラーフィルタ上に配向性ポリマーを塗布し、ラビングして、配向膜3’を形成する。この配向膜上に、化合物(1)又は液晶性組成物を含む塗布液を塗布し、液晶相をとる温度範囲に加熱しながら、紫外線照射によって重合させ、位相差層2’を形成する。位相差層形成後、ITOをスパッタすることにより、対向電極8を形成する。 さらに、対向電極8上に配向膜(図示せず)、液晶相9を形成し、最後にバックライト側の基盤とあわせて組み立てる。 〔EL〕 ELとしては、例えば、図5に示すように、本発明の偏光フィルム30と、発光層24とが、接着層25を介して貼り合わせてなる有機ELパネル23が挙げられる。この有機ELパネルにおいて、偏光フィルム30は、広帯域円偏光板として機能する。また上記発光層24は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層により構成される。 以下、本発明の化合物等を、実施例によりさらに詳細に説明する。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。<化合物(1−1)の製造例>(化合物i−aの製造例) 9−ホルミルアントラセン12g(58.2mmol)をクロロホルム100mLに溶解した。窒素置換後、メタクロロ過安息香酸(MCPBA)を18g(94.8mmol)を5回に分けて一時間ごとに加えた。反応溶液を室温、窒素雰囲気下で終夜攪拌した。反応溶液から析出した白色沈殿を濾別後、純水を加えて洗浄、有機層を回収し、飽和亜硫酸カリウムにて3回洗浄、最後に純水で洗浄した。有機層を回収し、エバポレータにて溶媒を除去した後、真空乾燥し、淡黄色粉末の化合物(i−a)を10.5g得た。収率は9−ホルミルアントラセン基準で78%であった。(化合物i−bの製造例) 10%水酸化ナトリウム水溶液を200mL1L三口フラスコにとり、室温で2時間攪拌させて窒素置換した。充分脱酸素した前記溶液に前項で得られた化合物i−a、10.5gを加え、室温、窒素雰囲気下で4時間攪拌した。得られた濃赤色溶液を、充分に氷冷した5%硫酸水溶液400mLに加えた。析出した黄色沈殿を濾取し、純水で濾液が無色になるまで洗浄し、真空乾燥することにより、化合物(i−b)を9.0g得た。収率は化合物(i−a)基準で82%であった。(化合物1−1の製造例) (4−(4−ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)安息香酸6.79g(19.8mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(水溶性カルボジイミド:WSC)4.18g(21.8mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)1.1g(9mmol)をとり、クロロホルム80mLに溶解した。溶液を室温、窒素雰囲気下で1時間攪拌し、酸無水物生成、脱酸素を確認後、前項で得られた化合物i−b3.5g(18mmol)を加えた。反応溶液を室温、窒素雰囲気下で3時間攪拌した。反応溶液をエバポレータにて二倍まで濃縮後、これをメタノール300mLに加えて再沈殿させた。得られた黄色粉末を濾取し、さらに冷エタノールで洗浄した。真空乾燥後、粗精製物をクロロホルムに溶解し、シリカゲルを用いて、カラムクロマトグラフィーを行った。溶離液としてクロロホルムを用いた。赤色成分より、早く溶出する成分を回収し、エバポレータにて溶媒を除去した。残渣を熱エタノールから再結晶させることにより、黄色結晶として化合物(1−1)を4.6g得た。収率は化合物(i−b)基準で47%であった。<化合物(1−2)の製造例>(化合物ii−aの製造例) 9−ブロモアントラセン5.0g(19.4mmol)、炭酸カリウム8.06g(58.3mmol)、を300mL三口フラスコにとり、ジオキサン75mL、純水30mLを加えて、室温、窒素雰囲気で2時間攪拌し、脱酸素した。上記溶液に、4−ヒドロキシフェニルボロン酸4.97g(36mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(0)を0.45g(0.4mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド0.1gを加えた。反応溶液を65度まで昇温し、終夜攪拌した。冷却後、析出した針状結晶を濾別した。濾液を回収しトルエン300mLを加えて分液し、有機層を回収した。無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過後エバポレータで乾固した。残渣をクロロホルムに溶解した後、ヘプタン−酢酸エチルを溶離液としてカラムクロマトグラフィーを行った。触媒を除去し、先頭の淡黄色成分を除去し、第二成分を回収した。溶媒をエバポレータにて除去後、残渣を、ヘプタン−酢酸エチルから再結晶させることにより、目的化合物(ii−a)を黄色結晶として2.8g得た。収率は9−ブロモアントラセン基準で47%であった。(化合物1−2の製造例) (4−(4−ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)安息香酸1.56g(4.6mmol)、WSC0.96g(5.0mmol)、DMAP0.21g(9mmol)をとり、クロロホルム20mLに溶解した。溶液を室温、窒素雰囲気下で1時間攪拌し、酸無水物生成、脱酸素を確認後、前項で得られた化合物(ii−a)0.95g(3.5mmol)を加えた。反応溶液を室温、窒素雰囲気下で3時間攪拌した。反応溶液をエバポレータにて二倍まで濃縮後、これをメタノール100mLに加えて再沈殿させた。得られた黄色粉末を濾取し、再度クロロホルム15mLに溶解し、冷エタノール100mLに再沈殿させた。黄色沈殿を濾取して、真空乾燥することにより、黄色粉末として化合物(1−2)を2.0g得た。収率は化合物(ii−a)基準で90%であった。(実施例1、2及び比較例1、2)<光学フィルムの製造例> ガラス基板にポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2重量%水溶液を塗布した後、加熱乾燥し、厚さ89nm膜を得た。続いて、表面にラビング処理を施し、ラビング処理を施した面に、表1の組成の塗布液(混合溶液)をスピンコート法により塗布し、140℃で1分間乾燥した。室温で1分間放置後、1200mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚1.02μmの光学フィルムを作成した。 表1中、液晶化合物は、LC242(BASF社より入手)であり、光重合開始剤は、イルガキュア907(チバスペシャリティーケミカルズ社製)、レベリング剤は、BYK361N(ビックケミージャパン製)、溶剤はシクロペンタノンを用いた。また、溶剤以外の表中の数字は、塗布液を100重量%とした固形分の重量%を意味する。<光学特性の測定> 作成した光学フィルムの正面位相差値を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。また、光学フィルムの重合性化合物に由来する膜厚をレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス社製)を用いて測定した。<熱物性試験> 表1の組成の塗布液(混合溶液)をスピンコート法により塗布し、未重合の状態において、ホットステージ付偏光顕微鏡にて熱物性観察を実施し、昇温時のネマチック(液晶)相からアイソトロピック(等方)相への転移温度をNI点と定義し、NI点を測定した。<基材耐熱性試験> フィルムを120℃、140℃のオーブンにて10分間加熱し、取り出し後のフィルムの平滑性を目視にて評価した。オーブン加熱していないフィルムの平滑性と比較し、同等の平滑性を保つ温度を○、平滑性が低下する温度を×で評価した。○:良好。×:不良。 これらの結果を表2に示す。 表2によれば、実施例1及び2では、透明で均一に水平配向した光学フィルムが得られ、再配向処理温度が十分に低いことが確認された。また、実施例1及び2においては、複屈折率性を有することが確認された。 一方、比較例では、透明で均一に水平配向した光学フィルムが得られたものの、再配向処理温度がフィルム基材に対応するためには高温であることが確認された。 本発明の重合性化合物は、アンチリフレクション(AR)フィルムなどの反射防止フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、視野角拡大フィルムなどの種々の機能を有する光学フィルムに利用可能である。また、種々の表示装置、特に、液晶表示装置(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)などのフラットパネル表示装置(FPD)に広範に利用することができる。本発明の光学部材を示す断面図である。本発明の偏光板を示す断面図である。本発明の液晶パネルを示す断面図である。本発明の薄型液晶表示装置を示す断面図である。本発明の有機ELパネルを示す断面図である。符号の説明 1 光学部材 2、14、14’ 光学フィルム 2’ 位相差層 3、3’ 配向膜 4、4’ カラーフィルタ 5 液晶表示装置 6、10、30、30a、30b、30c、30d、30d 偏光板 7、11 基盤 8 対向電極 9 液晶相12 絶縁層13 透明電極13’ 反射電極20 液晶パネル21 貼合品23 有機ELパネル24 発光層15 偏光フィルム16 支持基材17 配向膜18 光学異方性層19、19’、22、25 接着剤 式(1)で表される化合物。 [式中、 A1は、2価の環状炭化水素基または複素環基を表す。 B1は、−CR5R6−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−C(=O)−NR5−、−NR5−C(=O)−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−又は単結合を表す。R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。 D1は、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CR1R2−、−CR1R2−CR3R4−、−O−CR1R2−、−CR1R2−O−、−CR1R2−O−CR3R4−、−CR1R2−O−C(=O)−、−O−C(=O)−CR1R2−、−CR1R2−O−C(=O)−CR3R4−、−CR1R2−C(=O)−O−CR3R4−又は単結合を表す。R1〜R4は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。 E1は、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。該炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよく、−O−又は−C(=O)−を含んでいてもよい。 G1は水素原子、ハロゲン原子又は式(2)で表される基を表す。 −D2−(A2−B2)r−E2−P2 (2)(ここで、D2はD1と、A2はA1と、B2はB1と、rはmと、E2はE1と、P2はP1と、それぞれ同義である。) P1は、水素原子または重合性基を表す。 Y1は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ニトロキシキド基、スルホン基、スルホキシド基、カルボキシル基、アルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、N−アルキルアミノ基又はN,N−ジアルキルアミノ基を表す。 mは、0〜8の整数を表す。] Y1が、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜4のアルキル基である請求項1に記載の化合物。 D1及びD2が、それぞれ独立に、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−又は単結合である請求項1又は2に記載の化合物。 A1が、2価の芳香族炭化水素基である請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。 B1のうち、A1のみと結合しているものが、−CH2−CH2−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−OCH2−、−CH2O−又は単結合であり、 B1のうち、E1と結合しているものが、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−又は単結合である請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。 P1が、水素原子、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である請求項1〜5のいずれか1つに記載の組成物。 請求項1〜6のいずれか記載の化合物と、液晶性を示す重合性化合物(前記化合物とは異なる)とを含有する液晶性組成物。 さらに光重合開始剤を含有する請求項7記載の液晶性組成物。 請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物に由来する構造単位を含有する光学フィルム。 請求項7又は8に記載の組成物を重合してなる光学フィルム。 波長550nmにおける位相差値(Re(550))が113〜163nmであるλ/4板として機能する請求項9又は10に記載の光学フィルム。 波長550nmにおける位相差値(Re(550))が250〜300nmであるλ/2板として機能する請求項9又は10記載の光学フィルム。 請求項9又は10記載の光学フィルムと、偏光フィルムとを含む偏光板。 請求項9又は10記載の光学フィルムと、カラーフィルタとを含む光学部材。 請求項13記載の偏光板及び/又は請求項14の光学部材と、液晶パネルとを備えるフラットパネル表示装置。 請求項13記載の偏光板及び/又は請求項14の光学部材と、有機エレクトロルミネッセンスパネルとを備えるフラットパネル表示装置。 支持基材に、請求項7又は8に記載の組成物を含む溶液を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。 支持基材上に形成された配向膜上に、請求項7又は8に記載の組成物を含む溶液を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。 請求項17又は18に記載の製造方法で得られた未重合フィルムを、重合により硬化させる光学フィルムの製造方法。 【課題】低温で再配向処理、重合が可能な重合性の化合物を提供することを目的とする。【解決手段】式(1)で表される化合物。[式中、A1は2価の環状炭化水素基又は複素環基、B1は、−CR5R6−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−O−、−C(=O)−NR5−等、D1は、−C(=O)−O−、−CR1R2−CR3R4−、−O−CR1R2−、−CR1R2−O−、−CR1R2−O−C(=O)−等を表す。R1〜R6は、H又はC1〜4のアルキル基、E1は、置換されていてもよいC1〜12の炭化水素基、G1はH、ハロゲン原子又は式(1)の右項で表されるD1、A1、B1、E1、P1であり、P1H又は重合性基、Y1は、H、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、スルホン、カルボキシル等、mは0〜8の整数を表す。]【選択図】なし