タイトル: | 公開特許公報(A)_エネルギー分散型X線分光器を備えるX線分析装置 |
出願番号: | 2008101292 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 23/225 |
渋 谷 和 好 太 田 康 則 JP 2009250867 公開特許公報(A) 20091029 2008101292 20080409 エネルギー分散型X線分光器を備えるX線分析装置 日本電子株式会社 000004271 渋 谷 和 好 太 田 康 則 G01N 23/225 20060101AFI20091002BHJP JPG01N23/225 5 8 OL 11 2G001 2G001AA03 2G001BA05 2G001CA01 2G001EA01 2G001EA03 2G001FA06 2G001GA06 2G001HA05 2G001HA07 2G001HA13 2G001HA20 2G001KA01 2G001PA07 2G001PA11 本発明は、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等に装着されるエネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いた分析方法に係わり、特にEDSで収集したスペクトルを用いて試料表面の元素分布等を表示する方法の改良に関する。 試料表面に電子線を照射し、試料から発生する特性X線を検出して試料中に含まれる元素の分析を行なう装置として、EPMA、SEM、TEM等が知られている。試料から発生する特性X線を検出するための装置は、エネルギー分散型X線分光器(EDS:Energy Dispersive Spectrometer)と波長分散型X線分光器(WDS:Wavelength Dispersive Spectrometer)とに大別できる。 なお、EDS、WDSはそれぞれの分光方法を表す略称としても使用されることがある。また、EDS、WDSはそれぞれEDX、WDXのように略称されることもあるが、どちらも同じ意味である。 EDSは、試料から発生したX線を、図2の原理説明図に示される半導体検出器に入射させ、X線量子のエネルギーに比例した大きさの電気パルス信号に変換し、マルチチャンネルアナライザ(MCP)でエネルギー範囲毎のチャンネル別にX線量子数を計数することにより、図4に示すようなスペクトルを得るX線分光器である。図4のグラフにおいて、横軸はエネルギー範囲に対応したチャンネル、縦軸はX線量子数の積算値である。 これに対しWDSは、図3の原理説明図に示すように、分析点と分光結晶中心とX線検出器(比例計数管の一種)スリット中心の3点が、ローランド円と呼ばれる円周上に常にのっているように分光結晶を直進移動させる方式の結晶直進型X線分光器を用いる。この種のX線分光器では、ブラッグの法則を用いた幾何学的集光方法で試料から発生するX線を分光し、図5に示すようなスペクトルを得ることができる。図5において、横軸は波長、縦軸はX線強度(計数値)である。横軸のエネルギースケールは、波長λ(Å)とエネルギーE(keV)が、λ×E=12.4の関係を用いて相互に換算できることを利用したものである。 EDSとWDSはそのX線検出方法の原理的違いからそれぞれ長所や短所がある。例えば、図4のEDSによるスペクトルと図5のWDSによるスペクトルを比較すれば、エネルギー分解能(波長分解能でも同じ)においてEDSによるスペクトルの方がWDSによるスペクトルよりも桁違いに低いことが分かる。そのため、EDSを用いる分析においては、異なる元素から発生する特性X線同士の重なりを分離する演算処理が必須である。例えば、特許文献1の特開平11−316199号公報には、EDXスペクトルのピーク強度を求める方法において、処理時間を増大させることなく精度を向上させる技術が開示されている。 その一方、エネルギー領域全体で積算を行なうというEDSのX線検出方法は、WDSには無い特徴である。それぞれの特徴を生かすように、EDSは主にSEMやTEMに装着され、WDSは主にEPMAに装着される。特許文献2の特開平2−47542号公報には、WDSとEDSをEPMAに同時に装着して分析効率の向上を図る技術が開示されている。 ここで、面分析を行なうときの従来の測定方法について、WDSとEDSとの違いを説明する。図6は、試料に電子線を照射して発生するX線を検出し面分析を行なうときの原理を説明するための図である。電子線と試料とを二次元で相対的に移動させ、分析領域内に形成する単位区画(以下、「画素」と称す)毎に一定時間内のX線量子数を計数する。例えば、WDSでカルシウム(元素記号Ca)のX線強度を計数する場合は、Ca-KαスペクトルのX線強度が最大となる波長位置A(図5に示す)に分光結晶の回折位置を設定しておく。設定された回折位置で一定時間内にX線検出器に入射するX線量子数を計数し、その画素におけるCa-KαのX線計数値とする。一方、EDSの場合は、図4のCa-Kαスペクトルを含むように、適当な幅のROI(Region Of Interest)を設定しておく。ROIには、通常MCPの複数のチャンネルが含まれる。ROIに含まれる全てのチャンネルに一定時間内に積算されたX線量子数が、その画素におけるCa-KαのX線計数値となる。 EDSとWDSの何れの場合にも、全ての画素についてX線強度の計数が終了したら、例えばX線計数値に従ってクラス分けし、クラス毎に色分けして画像表示すればCaの元素分布像を得ることができる。 上記した測定法は、予めピーク位置に分光素子を設定(WDS)したり、ROIを設定(EDS)して二次元的にX線強度を測定する方法である。これに対して、近年の記憶装置のメモリー容量が増大したため、画素毎にスペクトル全体を取り込んでしまう方法も行なわれるようになっている。但しWDSでは上述したように分光器を機械的に走査してスペクトルを取り込むため、一般的には行なわれない。ところがEDSは上記したように、エネルギー領域全体で積算を行なうため、画素毎にROIのX線計数値を記憶する場合も、図4に示すようなスペクトル全体をそのまま記憶してしまう場合も測定時間は変わらない。この特長を生かして、一旦全ての画素に全エネルギー範囲のスペクトルを取り込めば、ROIの設定範囲を後から任意に変更して元素分布像を得ることが可能である。また、単にX線計数値による元素分布像だけではなく、画素毎のスペクトル情報を基に定量補正計算を行ない、求まった元素濃度やそれらから求められる化合物濃度等の組成情報の分布像を表示することが可能である。特開平11−316199号公報特開平2−47542号公報 元素分布像を観察する目的は、試料上のある範囲における元素の分布状態を知ることが目的である。事前にどの程度の不均一度を持つかを知ることは困難であるから、できるだけ空間分解能を高くして(即ち分析領域を細かく分割して)測定したいが、画素数が増加すればそれだけ測定に要する時間も増大してしまう。一画素の計数時間を小さくすれば全体の測定時間を短くすることはできるが、一画素当りの計数値が小さいと統計変動が大きくなるため分析の精度が低下してしまうという問題がある。そのため、必要な画素の大きさを予め予備測定を行なって決めてから、本測定を行なうようにするなどしている。このような予備測定を行なうためには、試行錯誤で電子線径や走査領域などの測定条件を変更しなければならないので手間がかかり面倒である。 更に、EDSを用いて分析を行なう場合、画素毎に記憶されているスペクトルをデータ処理して分析パラメータを求めるとき、特許文献1の特開平11−316199号公報の従来技術に記載されているように、一般的に計算時間がかかるという問題がある。近年のコンピュータの性能向上により、計算時間は以前より大幅に短縮されたため1点当りの処理時間は十分に短いものとなった。しかしながら、数千点から数万点ものデータ処理を行なうとなると実用上は無視できない時間となる。そのため、データ処理においても、できるだけ分析パラメータを求めるためのスペクトル数を減らす必要がある。 本発明は上記した問題を解決するためになされたものであって、その目的は、EDSを利用した元素分布分析において、分析領域内の画素毎に既に測定済みのスペクトル情報に基づいて、任意の元素について、分析目的に見合った空間分解能で効率よくデータ処理を行ない、求められた分析パラメータを表示することにすることにある。 上記の問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、試料表面に電子線を照射して発生するX線を半導体検出器により検出し、該試料の分析を行なうためのX線分光器を有するX線分析装置であって、試料表面の分析領域が電子線により走査されるように電子線と試料とを二次元で相対的に移動する走査手段と、前記半導体検出器によって検出されるX線量子をマルチチャンネルアナライザによりエネルギー分別しX線スペクトルを得る計測手段と、前記計測手段により得られる前記X線スペクトルを、電子線が分析領域内の各単位区画に照射される毎に一定時間計測し、得られたX線スペクトルを前記単位区画毎に記憶するX線データ記憶手段と、前記半導体検出器によって得られるX線スペクトルをデータ処理して分析パラメータを求めるデータ処理手段と、前記データ処理手段により求めた分析パラメータの分布を画像表示するX線データ表示手段とを有するX線分析装置において、前記分析領域中の任意領域を任意の数だけ指定する領域指定手段と、前記領域指定手段により指定された各任意領域に含まれる単位区画に対応するX線スペクトルを前記記憶手段から読み出し積算して任意領域毎の積算X線スペクトルを得る積算手段とを備え、前記積算手段によって得られた前記積算X線スペクトルを前記データ処理手段によりデータ処理して分析パラメータを求め、該分析パラメータの分布を表示するようにしたことを特徴とする。 また請求項2に記載の発明は、前記X線分析装置は、電子線照射により試料から発生する電子を検出する電子検出器と、前記電子検出器の出力信号強度を前記分析領域の分割された単位区画毎に記憶する電子データ記憶手段と、前記電子データを画像表示する電子データ表示手段とを更に備え、前記領域指定手段は、前記電子データの画像を利用して所望する領域の指定を行なうようにしたことを特徴とする。 また請求項3に記載の発明は、前記データ処理手段は、前記マルチチャンネルアナライザの任意の幅で選択されたエネルギー範囲に含まれる全チャンネルに対応するX線強度を積算する処理、又は波形解析処理を行なって分析目的元素の特性X線ピーク強度を求める処理、又は前記積算X線スペクトルと標準X線スペクトルとの強度比較に基づいて定量補正計算を行なって組成情報を得る処理の少なくともひとつを含むことを特徴とする。 また請求項4に記載の発明は、前記領域指定手段は、指定する領域を二次元の格子状又は直線状に等間隔に配置することを特徴とする。 また請求項5に記載の発明は、前記領域指定手段は、指定する領域を円形又は矩形又は三角形の形状で規定することを特徴とする。 本発明によれば、試料をX線分析装置に装着して分析領域に含まれる全て画素に対応するX線スペクトルを一旦収集しておくので、X線スペクトルの再収集を行なわなくても、所望する任意の空間分解能で指定した領域について任意の元素の面分布又は線状の分布を得ることができる。また、波形解析処理を伴う定量補正計算に時間が掛かる処理を行なう必要がある場合も、事前に空間分解能を粗くして短時間で分布状況の概略を確認しておくことができるので、効率的な分析を行なうことができる。 以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。但し、この例示によって本発明の技術範囲が制限されるものでは無い。 図1は、本発明を実施するSEMの概略構成例を説明するための図である。図1において、1はSEMの鏡体、2は電子線EBを発生する電子銃、3は電子線EBを走査する走査コイル、4は分析対象の試料、5は電子線照射により試料4から発生する電子を検出する電子検出器、6は電子線照射により試料4から発生するX線を検出するためのEDS、7は走査コイル3を二次元に走査させる走査制御部、8はEDS6で検出したX線の信号処理を行なうX線信号処理部、9は試料4を載置した試料ステージ(図示せず)を駆動するためのステージ制御部、10は電子検出器5からの電子信号を走査コイル3の走査と同期して取り込み画像化するための電子信号処理部、11はSEM全体の制御と検出した各種信号のデータ処理を行なう制御演算装置、12は液晶モニタ等の表示装置、13はマウスやキーボード等の入力装置、14はEDSのスペクトル及び電子信号データを格納するための記憶部である。この他実際の装置の場合、鏡体1内には電子線EBを細く絞るための電子レンズや絞り等が配置されており、また鏡体1の内部を真空排気する真空ポンプ等も配置されているが説明を省略する。 次に、図1のように構成されたSEMの動作を説明する。電子銃1から発生した電子線EBは、集束レンズ、対物レンズ等の図示しない電子レンズにより細く絞られて試料4に照射される。電子線EBは分析領域を走査コイル3により二次元に走査される。電子線の走査可能範囲より分析領域が広い場合は、ステージを二次元で移動させることも可能である。電子検出器5により検出された電子信号により画像化された二次電子像や反射電子像は、試料表面の表面形態や組織等を観察するために用いられる。 EDSで検出されたX線は、X線信号処理部8に取り込まれ、エネルギー範囲毎に設定されたチャンネル別にX線量子が積算されてスペクトルが形成される。電子線が分析領域内の各単位区画(画素)に照射される毎に一定時間計測され、制御演算装置11の記憶部14に格納される。このようにして、各画素に対応したEDSによるスペクトルが二次元のX線データとして蓄えられる。電子検出器5により検出される電子信号もX線スペクトルと同様に二次元の電子データとして記憶装置14に蓄えられる。 図7は記憶部14に蓄えられている面分析データの二次元構造を示す概念図である。図7(b)は分析領域を200点×160点の画素に分割した例を示し、図7(a)は左上の部分を拡大した図である。例えば、左上隅の画素をG(0,0)と番号付けすると左から4番目、上から2番目の画素はG(3,1)と番号付けされる。それぞれの画素に対応して、EDSにより測定されたスペクトルと電子信号データが格納されている。 次に、記憶部14に蓄えられているスペクトルのデータから、各種の分析パラメータを求めるために、スペクトルの格納されている画素を含む任意の大きさの領域を任意の数だけ指定する方法について説明する。操作者は、図1の表示装置12に電子像を表示させ、入力装置13を用いて領域指定に必要な操作を行なう。 図8は、EDSのスペクトルを取り込むときと同じ分析領域の分割条件で取り込んだ電子像を利用して、分析パラメータを表示させるための領域を指定する方法例を説明するための図である。図8(c)は、横6点、縦4点の格子状に円で囲んだ領域を指定する状態を示している。電子像上で図8(c)に示すように格子点を指定する方法は一般に知られた技術が多数あるが、ここでは以下のように操作例を説明する。 S(0,0)とS(5,3)をマウスでクリックし指定する。縦と横の分割数をキーボードにより入力する。図8(c)の場合であれば、縦は6、横は4と入力する。図8(a)はマウスによって指定される座標が画素単位の座標(例えばG(3,1)等)であるか、又は図8(b)のように画素と画素の間の座標として指定されるかの違いを表している。また、指定領域の大きさを決める円の大きさは、マウスをドラッグして円を描画させても良いし、その直径を試料上の実寸(例えば、1μm等)でキーボードから入力するようにしても良い。また、例えば図8(a)に示す例のように、円のかかる画素に対応する画素が全て指定されるようにしても良いし、図8(b)に示す例のように円の内部に全て含まれる画素のみが指定されるようにしても良いし、円に含まれる画素の面積を考慮して決めても良い。 更に、図10に例示するように、隣り合う円同士が接するように自動的に大きさが決まるようにしても良い。指定領域を格子状に分割したとき、分割によって算出される格子点の間隔が整数倍の画素数にならないときは等間隔になるように端数を四捨五入して格子点座標を微調整するようにしても良い。 図8及び図10において、格子点の間隔は、縦と横とが等しくなっているが勿論異なっていても良い。また、指定領域を円で指定しているが、円以外の図形、例えば楕円、三角、四角等の他、任意に形状指定した図形であっても良い。 図9は、図8において指定された6点×4点の格子状の領域において、4つの元素の分布を表示した例である。円で指定された領域内の画素に対応するEDSのスペクトルが全て積算されたひとつのスペクトルを用いてデータ処理が行なわれ、求められた分析パラメータの表示が行なわれている。積算されたひとつのスペクトルに基づいて表示される分析パラメータとしては、図4に示すようなROIに含まれる全チャンネルのX線強度の積算値でも良いし、特許文献1の特開平11−316199号公報のフィッティング処理により求めたピーク強度でも良いし、標準X線スペクトルとの強度比較に基づいて定量補正計算を行なって得られた組成情報でも良い。 図11は、電子像上で線状に指定領域を決める場合の例である。例えばマウス等で任意の線分をドラッグし、円の大きさとその線状の任意の点を指定しても良いし、図13に例示するように、P(0)とP(6)を指定して、隣り合う円が接するように自動的に間隔と円の大きさが決まるようにしても良い。図12は、図11において指定された7点において3つの元素の強度変化をプロファイルで表示した例である。円で指定された領域内の画素に対応するEDSのスペクトルが全て積算されたひとつのスペクトルを用いてデータ処理が行なわれ、求められた分析パラメータの表示が行なわれている。積算されたひとつのスペクトルに基づいて表示される分析パラメータとしては、二次元でのデータ表示と同様に、ROIの積算値でも良いし、フィッティング処理により求めたピーク強度でも良いし、標準X線スペクトルとの強度比較に基づいて定量補正計算を行なって得られた組成情報でも良い。 上記の指定領域を決めるときの説明で、電子像を利用する例を示したが、面分析を行なうときの従来の測定方法によって、指定したROIに含まれる全てのチャンネルに一定時間内に積算されたX線強度を収集した二次元データがあれば、それを画像表示した元素分布像上で指定領域を決めても良い。さらに、全画素に対応して格納されているスペクトルの指定したROIに含まれるチャンネルで積算されたX線強度を用いて表示した元素分布像上で指定領域を決めても良い。 また、指定領域を決めるとき、必ずしも電子像やROIの積算強度による元素分布像を用いる必要は無い。図14は、図7に示した分析領域全体をひとつの画素よりも大きな領域に分割する例を示す図である。図14において、200点×160点の画素からなる分析領域全体は、10×8個の指定領域に分割されている。例えばその中のひとつの指定領域H(3,2)は、図15に示すように、20点×20点の画素を含んでいる。このように、分析目的に見合った空間分解能が得られるように、分割数を変えてROIの積算強度による元素分布表示を高速に行なうことができる。そのため、各元素の大雑把な分布を簡単に把握し、フィッティングを必要とするような時間は掛かるが高精度な分析結果を得ようとする分割条件を再測定することなく決めることができる。 以上のようにして、EDSを利用した元素分布分析において、分析領域内の画素毎に既に測定済みのスペクトル情報に基づいて、任意の元素について、分析目的に見合った空間分解能で効率よくデータ処理を行ない、求められた分析パラメータを表示することができる。本発明を実施する走査型電子顕微鏡の概略構成例を示す図。エネルギー分散型X線分光器(EDS)に用いられる半導体検出器の原理説明図。波長分散型X線分光器(WDS)に用いられる結晶直進型X線分光器の原理説明図。エネルギー分散型X線分光器により得られるスペクトル表示例。波長分散型X線分光器により得られるスペクトル表示例。試料に電子線を照射して発生するX線を検出し面分析を行なうときの原理を説明するための図。面分析データの二次元構造を示す概念図。電子像を利用して格子状に領域を指定する方法例を説明するための図。格子状に指定された領域での4つの元素の分布を表示した例。格子状に指定するとき隣り合う円同士が接するように自動的に領域の大きさを決める方法例の説明図。電子像を利用して線状に指定領域を決める方法例を説明するための図。線状に指定された領域での3つの元素の強度変化をプロファイルで表示した例。線状に指定するとき隣り合う円同士が接するように自動的に領域の大きさを決める方法例の説明図。分析領域全体をひとつの画素よりも大きな領域に分割する例を示す図。大きな分割領域とそれに含まれる画素との関係を示す図。符号の説明 (同一または類似の動作を行なうものには共通の符号を付す。)EB…電子線1…鏡体2…電子銃3…走査コイル4…試料5…電子検出器6…EDS7…走査制御部8…X線信号処理部9…ステージ制御部10…電子信号処理部11…制御演算装置12…表示装置13…入力装置14…記憶部試料表面に電子線を照射して発生するX線を半導体検出器により検出し、該試料の分析を行なうためのX線分光器を有するX線分析装置であって、試料表面の分析領域が電子線により走査されるように電子線と試料とを二次元で相対的に移動する走査手段と、前記半導体検出器によって検出されるX線量子をマルチチャンネルアナライザによりエネルギー分別しX線スペクトルを得る計測手段と、前記計測手段により得られる前記X線スペクトルを、電子線が分析領域内の各単位区画に照射される毎に一定時間計測し、得られたX線スペクトルを前記単位区画毎に記憶するX線データ記憶手段と、前記半導体検出器によって得られるX線スペクトルをデータ処理して分析パラメータを求めるデータ処理手段と、前記データ処理手段により求めた分析パラメータの分布を画像表示するX線データ表示手段とを有するX線分析装置において、前記分析領域中の任意領域を任意の数だけ指定する領域指定手段と、前記領域指定手段により指定された各任意領域に含まれる単位区画に対応するX線スペクトルを前記記憶手段から読み出し積算して任意領域毎の積算X線スペクトルを得る積算手段とを備え、前記積算手段によって得られた前記積算X線スペクトルを前記データ処理手段によりデータ処理して分析パラメータを求め、該分析パラメータの分布を表示するようにしたことを特徴とするX線分析装置。前記X線分析装置は、電子線照射により試料から発生する電子を検出する電子検出器と、前記電子検出器の出力信号強度を前記分析領域の分割された単位区画毎に記憶する電子データ記憶手段と、前記電子データを画像表示する電子データ表示手段とを更に備え、前記領域指定手段は、前記電子データの画像を利用して所望する領域の指定を行なうようにしたことを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。前記データ処理手段は、前記マルチチャンネルアナライザの任意の幅で選択されたエネルギー範囲に含まれる全チャンネルに対応するX線強度を積算する処理、又は波形解析処理を行なって分析目的元素の特性X線ピーク強度を求める処理、又は前記積算X線スペクトルと標準X線スペクトルとの強度比較に基づいて定量補正計算を行なって組成情報を得る処理の少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載のX線分析装置。前記領域指定手段は、指定する領域を二次元の格子状又は直線状に等間隔に配置することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のX線分析装置。前記領域指定手段は、指定する領域を円形又は矩形又は三角形の形状で規定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のX線分析装置。 【課題】 EDSを利用した元素分布分析において、分析目的に見合った空間分解能で効率よくデータ処理を行ない、分析パラメータの表示を高速に行なう。【解決手段】 横6点、縦4点の格子状に円で囲んだ領域を指定する。円のかかる画素に対応するEDSのスペクトルを記憶部から全て読み出し、積算してひとつのスペクトルを作る。そのスペクトルに基づいてROI 積算値やフィッティングによる定量補正計算等のデータ処理を行ない、求められたX線強度や組成情報等の分析パラメータの面分布を表示する。【選択図】図8