タイトル: | 公開特許公報(A)_医薬組成物 |
出願番号: | 2008094101 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/137,A61K 31/704,A61P 3/06 |
原田 尚子 JP 2009242354 公開特許公報(A) 20091022 2008094101 20080331 医薬組成物 小林製薬株式会社 000186588 三枝 英二 100065215 中野 睦子 100108084 林 雅仁 100115484 原田 尚子 A61K 31/137 20060101AFI20090925BHJP A61K 31/704 20060101ALI20090925BHJP A61P 3/06 20060101ALI20090925BHJP JPA61K31/137A61K31/704A61P3/06 3 OL 13 4C086 4C206 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA19 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA06 4C086NA10 4C086ZC33 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA10 4C206MA02 4C206MA04 4C206NA06 4C206NA10 4C206ZC33 本発明は、体内脂肪の蓄積を抑制し、さらに体内脂肪を減少させる作用を有する医薬組成物に関する。 脂肪の過剰な蓄積によって、糖尿病、高脂血症、動脈硬化等をはじめとする生活習慣病を引き起こす可能性があるとされており、特に内臓脂肪型肥満の場合にはこれらの疾患の発症率が高まることが指摘されている。近年、特に生活習慣病や肥満に対する関心がさらに高まっており、より一層、肥満、特に内臓脂肪型肥満の予防、改善および/または治療に有効な医薬品の開発が求められていた。 肥満に効果的な成分としては、エフェドリン類が広く知られており、その食欲抑制作用と脂肪燃焼作用が、肥満の解消に利用されてきた。しかしながら、肥満に効果的な量を服用すると、しばしば血圧上昇やイライラ感が生じ、他の薬剤との併用では死にいたる危険性があるなど、副作用が多く存在するため、近年それらの抗肥満目的の利用は控えられてきた。 現在、エフェドリンを含む抗肥満関連の医薬品として利用されているものとしては、防風通聖散などの漢方薬があげられ、近年特に、内臓脂肪の減少に効果があることが確認されている(例えば、非特許文献1を参照)。しかしながら、防風通聖散においても、肝障害という副作用があるため(例えば非特許文献2を参照)、内臓脂肪減少効果を求めるがために投与量を上げることは問題があり、逆に投与量を下げすぎると、内臓脂肪減少効果を得ることができなくなってしまうという問題があった。 この様な背景から、副作用を有するほどに投与量を上げず、肥満、特に内臓脂肪型肥満の予防、改善および/または治療に有効である医薬品の開発が求められていた。平成14年度 科学技術総合研究委託費 地域先導研究 研究成果報告書ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)添付文書 本発明は、体内脂肪の蓄積抑制および/または低減に対して優れた効果を有する医薬組成物を提供することを主な目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、エフェドリンとグリチルリチン酸を所定の配合比率で含有する医薬組成物が、内臓脂肪の蓄積抑制または内臓脂肪の減少に有効であることを見出した。さらに、本発明者らは、このような医薬組成物が血清中の中性脂肪をも減少させることを見出した。また、これらの効果は所定量のエフェドリンを投与することによって得られることを確認した。本発明はこの様な知見に基づいてさらに研究を重ねた結果完成されたものである。 本発明は以下の医薬組成物を提供するものである。項1.(A)エフェドリン類、ならびに(B)グリチルリチン酸を含有し、(A)成分1重量部に対して(B)成分が4重量部以上であり、かつ成人1日あたりの(A)成分の投与量が2.5〜9mgになるように製剤されてなる、体内脂肪の蓄積抑制および/または低減用医薬組成物。項2.前記体内脂肪の蓄積抑制および/または低減が、内臓脂肪の蓄積抑制、内臓脂肪の減少および血清中の中性脂肪の減少からなる群より選択される少なくともいずれか1種である項1に記載の医薬組成物。項3.(A)成分の投与量が3.5mg〜9mgになるように製剤されてなる、項1または2に記載の医薬組成物。項4.エフェドリン類が、エフェドリンおよび/またはプソイドエフェドリンである、項1〜3のいずれかに記載される医薬組成物。項5.(A)エフェドリン類、ならびに(B)グリチルリチン酸を含有し、(A)成分1重量部に対して(B)成分が4重量部以上であり、かつ成人1日あたりの(A)成分の投与量が2.5〜9mgになるように製剤されてなる、内臓脂肪の蓄積抑制および/または減少のための防風通聖散。 本発明の医薬組成物は、体内脂肪の蓄積抑制および/または低減に優れた効果を奏する。より詳しくは、本発明の医薬組成物は、内臓脂肪の蓄積抑制作用、内臓脂肪の減少作用、および血清中の中性脂肪減少作用を有する。従って、本発明の医薬組成物は、肥満の軽減、特に内臓脂肪型肥満の予防、改善および/または治療において有効である。また、本発明の医薬組成物は、血清中の中性脂肪を減少させる効果をも有するものであることから、高脂血症、心筋梗塞、動脈硬化の予防、改善および/または治療の用途にも有用である。 近年、内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧および高脂血症のうち2つ以上を合併するメタボリックシンドロームを罹患することによって、心筋梗塞、脳梗塞等の発症率が高まることが指摘されている。本発明の医薬組成物は、上記のような優れた内臓脂肪減少効果や血清中の中性脂肪の減少作用により、メタボリックシンドロームの予防、改善および/または治療用としても有用である。 本発明は、以下の構成を有する体内脂肪の蓄積抑制および/または低減用医薬組成物にかかるものである。(A)成分:エフェドリン類、ならびに(B)成分:グリチルリチン酸を含有し、(A)成分1重量部に対して(B)成分が4重量部以上であり、かつ成人1日あたりの(A)成分の投与量が2.5〜9mgになるように製剤されてなる。 なお、本明細書において「体内脂肪」とは、皮下脂肪、内臓脂肪、中性脂肪、遊離脂肪酸およびコレステロールをいう。以下、各成分について説明する。 (1)本発明の有効成分 (1-1)(A)成分:エフェドリン類 本発明においてエフェドリン類とは、一般的な高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、エフェドリンおよびプソイドエフェドリンの総量として検出されるものをいう。具体的には、エフェドリンおよびプソイドエフェドリンは、日本薬局法15局・医薬品各条(生薬等)3741−3742頁「マオウ」の定量法にしたがって検出・測定することができる。 エフェドリンは、(αR)-α-[(1S)-1-(メチルアミノ)エチル]ベンゼンメタノール、α-[1-(メチルアミノ)エチル]ベンジルアルコール、L-エリスロ-2-(メチルアミノ)-1-フェニルプロパン-1-オール等と表記されることがあり、構造的には不正炭素を2つ有し、立体配置が(1R、2S)および(1S,2R)となる。また、エフェドリンは、アルカロイドの一種であり交感神経興奮作用を有することが知られており、気管支拡張剤としても使用される。 プソイドエフェドリンはエフェドリンの光学異性体であり、不斉炭素上の立体配置が(1R、2R)および(1S,2S)となり、作用はエフェドリンとほぼ同じである。エフェドリンとプソイドエフェドリンを併せて総アルカロイドと呼ばれることもある。 本発明の(A)成分としては、エフェドリン類のうち少なくとも1種を用いることができる(以下、これらを単に(A)成分と表記することがある)。 以上の化合物はいずれも公知であり、従来公知の方法に基づきマオウより抽出することが可能である。また、より簡便には、商業的に流通しているものを入手して用いてもよい。 (1-2)(B)成分:グリチルリチン酸 本発明においてグリチルリチン酸とは、グリチルリチン酸に2分子のグルクロン酸を結合したトリテルペン配糖体である。グリチルリチン酸は、単にグリチルリチンとも呼ばれる。具体的には、グリチルリチン酸は、日本薬局法15局・医薬品各条(生薬等)3504−3506頁「カンゾウ」の定量法にしたがい、検出・測定することができる。 グリチルリチン酸は公知であり、従来公知の方法に基づきカンゾウより抽出することが可能である。また、より簡便には、商業的に流通しているものを入手して用いてもよい。 (1-3)各成分の配合比率および配合量 脂肪分解や熱産生を担うcAMPは、細胞膜結合アデニル酸シクラーゼによってATPから合成される細胞内セカンドメッセンジャーである。このcAMPは、交感神経終末から放出されるノルアドレナリンによってβ3アドレナリン受容体が活性化されると、Gsαタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼを活性化することによって生成される。この生成したcAMPは、ホスホジエステラーゼにより分解され不活化される。 本発明の医薬組成物における、上記(A)成分は、ノルアドレナリンの放出を増強する作用を、上記(B)成分はホスホジエステラーゼを阻害する働きをそれぞれ有し、上記(A)成分1重量部に対して、(B)成分を4重量部以上になるように調製することによって、(A)成分の成人1日あたりの服用量を少なくした場合であっても、優れた体内脂肪の蓄積抑制および/または低減効果を発揮することができる。本発明の限定的解釈を望むものではないが、このような配合比率であれば、(A)成分によってcAMPの生成が促進され、同時に(B)成分によってcAMPを分解するホスホジエステラーゼを十分に阻害することができるため、cAMPが脂肪分解や熱産生に有効に働いていると推定される。このように、本発明においては、生成されたcAMPの不活化を抑えるために、ホスホジエステラーゼが阻害されればよく、上記配合比率はとくに限定されないが、上記(A)成分1重量部に対する(B)成分の配合比率の上限としては、好ましくは40重量部、より好ましくは15重量部、さらに好ましくは11重量部である。この範囲内であれば、(A)成分量に比例して効率よく体内脂肪の蓄積抑制および/または低減効果を奏する。 本発明の医薬組成物の投与量は、患者の状態や症状の程度によって適宜変更され得るが、成人一人(体重60kg)に対して1日あたり、(A)成分に換算して通常2.5〜9mg程度、好ましくは3.5〜9mg程度、より好ましくは3.5〜8mg程度である。本発明の医薬組成物は、前記(A)成分の投与量を満たすように調製される。この範囲内であれば、上記配合量の(A)成分に上記配合比率の(B)成分を配合して製剤化することによって、本来(A)成分単独では十分に得られなかった、優れた内臓脂肪の蓄積抑制効果および内臓脂肪減少効果、ならびに血清中の中性脂肪減少効果を発揮し得る。 (1-4)本発明の医薬組成物の有効成分として、上記(A)成分および(B)成分を含有する漢方製剤を使用することもできる。すなわち、(A)成分はマオウに含有され、(B)成分はカンゾウに含有されることから、マオウとカンゾウを含有する漢方製剤を用いることができる。このような漢方製剤としては、例えば防風通聖散が挙げられる。 本発明において防風通聖散の植物原料としては、具体的には、例えばマオウ(Ephedra sinica Stapf,Ephedra intermedia Schrenk et C.A. Meyer,Ephedra equisetina Bunge)、カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis Fischer,Glycyrrhiza glabra Linne)、ショウキョウ(Zingiber officinale Roscoe)、ケイガイ(Schizonepeta tenuifolia Briquet)、レンギョウ(Forsythia suspense Vahl, Forsythia viridissima Lindley)、トウキ(Angelica acutiloba Kitagawa, Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino)、シャクヤク(Paeonia lactiflora Pallas)、センキュウ(Cnidium officinale Makino)、サンシン(Gardenia jasminoides Ellis)、ハッカ(Mentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud)、ボウフウ(Saposhnikovia divaricata Schischkin)、ダイオウ(Rheum palmatum Linne, Rheum tanguticum Maximowicz, Rheum officinable Baillon, Rheum coreanum Nakaiまたはそれらの種間雑種)、ビャクジュツ(Atractylodes japonica Koidzumi ex Kitamura, Atractylodes ovata De Candolle)、キキョウ(Platycodon grandiflorum A. De Candolle)、オウゴン(Scutellariae baicalensis Georgi)、ボウショウ(芒硝:硫酸ナトリウム)、カッセキ(滑石:天然含水ケイ酸アルミニウムおよび二酸化ケイ素含有物)およびセッコウ(石膏:含水硫酸カルシウム)である。 これらの植物原料は、日本薬局方に準じて使用部位が規定されている。本発明において使用し得る防風通聖散の調製は、「一般用漢方処方の手引き」(厚生省薬務局監修、日薬連漢方専門委員会編集、薬業時報社発行)に準じて行い得る。 たとえば「一般用漢方処方の手引き」によれば、その成分および分量は、トウキ1.2(重量部、以下同じ)、シャクヤク1.2、センキュウ1.2、サンシシ1.2、レンギョウ1.2、ハッカ1.2、ショウキョウ1.2、ケイガイ1.2、ボウフウ1.2、マオウ1.2、ダイオウ1.5、ボウショウ1.5、ビャクジュツ2.0、キキョウ2.0、オウゴン2.0、カンゾウ2.0、セッコウ2〜3、カッセキ3〜5とされており、原則として、これを、その20倍重量(従って560〜620重量部)の湯で抽出した後、1/2容量になるまで濃縮し、固形分を除いたもの(抽出液)が用いられる。 なお、書簡によっては、上記成分中、ビャクジュツを含まないもの(例えば「経験漢方処方分量集」、大塚敬節・矢数道明監集、医道の日本社発行)や、オウゴンを含まないもの(例えば「続漢方あれこれ」大阪読売新聞社編、浪速社発行)や、上記分量中、1.2(重量部)をすべて1.5(重量部)としているもの(例えば「明解漢方処方」、西岡一夫、高橋真太郎共著、浪速社発行)など、成分や成分比が多少異なるものもある。また、防風通聖散エキスの作り方として、ボウショウ以外の上記各成分に水400重量部を加え、200重量部まで煎じて、かすを除き、次いでボウショウを加えるとしているもの(例えば「和漢薬ハンドブック」、久保道徳、森山健三共著、保育社発行)のように、作り方が上記と多少異なるものもある。本発明の防風通聖散には、これらの差異は特に制限されず、いずれもが包含される。 本発明において使用される防風通聖散には、漢方生薬調査会により定められた「漢方製剤の基本的取扱い方針」に規定されるように、現在繁用されている漢方関係の書簡に記載されている漢方処方(生薬配合物)やこれらの漢方処方から得られるエキスおよびエキス末が包含される。すなわち、本発明において防風通聖散は、得られたエキス(エキス形態)を使用してもよく、エキスを常法により製剤化した、いわゆるエキス末(エキス末形態)を使用してもよい。通常、エキスを常法により製剤化したエキス末形態としての防風通聖散がむしろ便宜に使用される。 かかるエキス末の製造方法としては、例えば、上記各成分の混合物に対し、約10〜20倍量の水を加え、80〜100℃程度で1〜3時間程度撹拌抽出し、温時遠心分離もしくは、ろ過して抽出液を得、これを減圧下に濃縮し、スプレードライ法により乾燥エキス末とするか、或いはエキスの濃度を高めた軟エキスに適当な吸着剤(例えば無水ケイ酸、デンプン等)を加えて吸着エキス末とする方法が挙げられる。 前述のように、防風通聖散においては、(A)成分はマオウ、(B)成分はカンゾウにそれぞれ含有される。防風通聖散を調製する際には、各成分が上記(1-3)に記載される配合量および配合比率を充足するように、予め原料(マオウまたはカンゾウ)中の(A)成分および(B)成分の含有量を前述の日本薬局法15局・医薬品各条(生薬等)に従って測定し、その結果に基づいて使用する原料を選択するのが望ましい。また、得られる防風通聖散中の各成分の含有量は、原料を刻む際の粗さの程度、抽出時間、抽出温度を調整する等の条件によっても適宜調整することができる。防風通聖散中に含まれる(A)成分および(B)成分の量は、下記実施例に記載される条件に従って確認することができる。 本発明に使用可能な防風通聖散エキス末は、前述のとおり製造することが可能であるが、例えば、防風通聖散乾燥エキスA、防風通聖散乾燥エキスAM、防風通聖散乾燥エキスEおよび防風通聖散乾燥エキスEM(燥エキス−F(いずれもアルプス薬品工業株式会社製)等の商品が知られており、商業的に入手することもできる。 (2)その他の成分 本発明の医薬組成物は、上記有効成分と薬学的に許容される従来公知の担体、賦形剤等を組み合わせて各種剤型に調製され得る。 本発明の医薬組成物は、経口投与形態であれば限定されず、液剤(シロップ等を含む)等の液状製剤(懸濁剤含む)や、錠剤、丸剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)等の固形製剤のいずれでもよい。 本発明の医薬組成物を液状製剤の形態とする場合、凍結保存することもでき、また凍結乾燥等により水分を除去して保存してもよい。凍結乾燥製剤やドライシロップ等は、使用時に滅菌水等を加え、再度溶解して使用される。 本発明の医薬組成物を固形剤の形態とする場合、例えば、錠剤の場合であれば、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用することができる。このような担体としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、アルギン酸ナトリウム等の結合剤;乾燥デンプン、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、クロスポビドン、ポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン等保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。また、前記有効成分を含有する組成物を、ゼラチン、プルラン、デンプン、アラビアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等を原料とする従来公知のカプセルに充填して、カプセル剤とすることができる。 また、丸剤の形態とする場合、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。 上記以外に、添加剤として、例えば、界面活性剤、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩を、得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択し使用することができる。 また、アミノ酸、ビタミン類、有機酸塩類等の他の活性成分を含有させても良い。他の活性成分としては、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等のアミノ酸;ビタミンA1、ビタミンA2、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB6、ビタミンB1、ビタミンB2、アスコルビン酸、ニコチン酸アミド、ビオチン等のビタミン類;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩や、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の有機酸塩類が挙げられる。 これらの形態はいずれも当該分野における通常の方法を用いて調製でき、例えば、錠剤は、上記有効成分と、不溶性食物繊維およびその他錠剤を得るために必要な賦形剤等を適宜添加し、よく混合分散させたのち打錠して得ることができる。また、散剤は、上記有効成分と、不溶性食物繊維およびその他散剤を得る為に必要な賦形剤等を適宜添加し、好適な方法にて混合、粉体化して得ることができる。 (3)適用 本発明の医薬組成物の投与量は、上記(1-3)に記載の(A)成分の総量に基づく投与量に従って適宜設定することができ、通常一日2〜3回に分けて経口投与の形態で用いられる。服用時刻は、特に限定されないが、食前または食間が好ましい。 本発明の医薬組成物が防風通聖散の場合は、成人一人(体重60kg)1日あたり、乾燥エキスとして通常1〜10g程度、好ましくは1.5〜8g程度、より好ましくは1.5〜6g程度である。 本発明の医薬組成物は、内臓脂肪蓄積抑制、内臓脂肪減少、血清中の中性脂肪減少等の体内脂肪の蓄積抑制および/または低減に優れた効果を発揮するものである。従って、本発明の医薬組成物は、抗肥満用製剤(特に抗内臓脂肪型肥満用製剤)、内臓脂肪減少用製剤、血清中の中性脂肪減少用製剤等として好適に使用され得る。 内臓脂肪型肥満とは、内臓のまわりに脂肪が蓄積するタイプの肥満症であり、メタボリックシンドロームタイプの肥満として認識されている。内臓脂肪型肥満の判定基準は、日本肥満学会の肥満症治療ガイドライン2006によると、(i)「ウェスト径が男性85cm以上、女性90cm以上」(ii)「腹部CTスキャンによる内臓脂肪面積が100cm2以上」の2つの条件を満たしたものとされている。本発明の医薬組成物は、内臓脂肪の蓄積が原因となるメタボリックシンドロームの予防、改善および/または治療用としても好適である。 加えて、本発明の医薬組成物は、血清中の中性脂肪の量を減少させる効果があり、高脂血症、心筋梗塞、脂肪肝、動脈硬化、脳梗塞等の血清中の中性脂肪の増加が原因となる疾患の予防、改善および/または治療用として用いることもできる。 以下に実施例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、下記の実施例において特に言及しない場合は、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味するものとする。 試験例1. SDラット(4週齢)雄を1週間馴化した後、普通飼料CE−2(日本クレア製)にラードを20%配合した飼料(高脂肪食)にて飼育し、肥満モデルラットを作成した。1日1回、下記表1〜4に示される量のエフェドリン類((A)成分)とグリチルリチン酸((B)成分)をそれぞれ含有する防風通聖散エキスを、5ml/day/kgとなるよう1ヶ月間経口投与し、血清中の中性脂肪量を酵素法(遊離グリセロール消去法)にて測定し、堵殺後、内臓脂肪を摘出して重量を測定した。 ここで、防風通聖散エキスは、トウキ1.2(重量部、以下同じ)、シャクヤク1.2、センキュウ1.2、サンシシ1.2、レンギョウ1.2、ハッカ1.2、ショウキョウ1.2、ケイガイ1.2、ボウフウ1.2、マオウ1.2、ダイオウ1.5、ボウショウ1.5、ビャクジュツ2.0、キキョウ2.0、オウゴン2.0、カンゾウ2.0、セッコウ2.0およびカッセキ3.0を、水20倍重量(560重量部)を用いて約100℃で1時間抽出し、遠心分離して抽出液を得、減圧下で濃縮してスプレードライを用いて乾燥した「防風通聖散エキス」(スプレードライヤーによる乾燥は、抽出液を回転数10000rpmのアトマイザーに落下させ、150℃の空気の熱風を供給して行ったものを用いた。防風通聖散エキスは、それぞれ原料として使用するマオウおよびカンゾウを、(A)成分や(B)成分の含有量に基づいて選択することで、(A)成分および(B)成分の含有量が異なる防風通聖散エキスを調整した。原料中の(A)成分および(B)成分の量の確認は、日本薬局法15局・医薬品各条(生薬等)3741−3742頁「マオウ」および3504−3506頁「カンゾウ」の定量法にしたがって行った。 また、防風通聖散エキス中の(A)成分および(B)成分の量の確認については以下のとおり行った。 (A)成分の定量方法 防風通聖散エキス1.0gを50%メタノールで十分に抽出したのち、日本薬局法15局・医薬品各条(生薬等)3741−3742頁「マオウ」の定量法に従って定量した。カラムはCOSMOSIL「5C18−MS−II」(内径4.6×150mm)(ナカライテスク株式会社製)を、カラム温度は40度にて、移動相は128倍希釈したラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)水溶液とアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、リン酸(和光純薬工業株式会社製)が、640:360:1となる混液を用い、紫外吸光光度計(株式会社島津製作所製)にて210nmの吸光度を測定することによって行った。 (B)成分の定量方法 防風通聖散エキス0.15gを希エタノールで十分に抽出したのち、日本薬局法15局・医薬品各条(生薬等)3504−3506頁「カンゾウ」の定量法に従って定量した。カラムはCOSMOSIL「5C18−MS−II」(内径4.6×150mm)(ナカライテスク社製)を、カラム温度は20度にて、移動相に15倍に蒸留水にて希釈した酢酸(和光純薬工業株式会社製)とアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)が3:2となる混液を用い、紫外吸光光度計(株式会社島津製作所製)にて254nmの吸光度を測定した。 コントロール群は、防風通聖散の代わりにCMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液を飲ませた。各指標について、コントロール群と有意差(P<0.05)をもって減少した場合を○、減少しなかった場合を×とした。結果を下記表1〜4に示す。 ここで、ヒトへの概算値としては、実際の試験で用いたラット1kgあたりの投与量を1/10倍し、さらに成人男性を60kgとして算出した量を示した。当該技術分野においては、一般的な安全性の評価において、ラット等の動物実験の結果をヒトに外挿する際、その単位体重あたりの投与濃度を1/10倍することが知られている。 表3の比較例および表4の参考例を比較することにより、本試験期間において、(A)成分の投与量のヒトへの概算値(成人1日あたりの投与量)が9mg以下となると、中性脂肪および内臓脂肪に対して十分な効果を発揮しないことが確認できる。 しかしながら、表2の実施例のように、(A)成分1重量部に対して、(B)成分が4重量部以上存在していると、(A)成分の成人1日あたりの投与量が9mg以下であっても、内臓脂肪や中性脂肪に対して高い蓄積抑制効果を発揮することが示された。 特に、上記比率において、表2記載の実施例4〜10のように(A)成分が3.5mg以上であると、短期的に中性脂肪の減少効果および内臓脂肪の蓄積抑制効果が顕著に発揮されることが示された。また、表1の実施例1〜3のように(A)成分の投与量(ヒトへの概算値)が少なくとも2.5mgであって、且つ(A)成分1重量部に対する(B)成分の配合比率が4重量部以上である場合においては、中性脂肪の減少に優れた効果を発揮することが示されており、長期的に使用を続ければ、内臓脂肪に対しても同様の効果が発揮されることが期待される。 一方、表3記載の比較例1〜4のように、(A)成分量に対する(B)成分量の配合比率が4以上であっても、(A)成分の、成人1日あたりの投与量が2.5mg未満である場合は効果は減弱し、十分な内臓脂肪の蓄積抑制効果が得られないことが示された。 エフェドリン類((A)成分)は、多く使用すると内臓脂肪への効果は高くなるが、副作用のおそれがあるため多量に摂取するのは望ましくないとされている。上述のように、本発明の医薬組成物であれば、比較的低用量であってもグリチルリチン酸((B)成分)との配合比率を調整することによって、優れた内臓脂肪の蓄積抑制効果、血清中の中性脂肪の減少効果を発揮し得ることが示された。 試験例2. 実施例12および13は、動物実験の実施例2および3と同じ配合比率の防風通聖散を用い、比較例10および11は、動物実験の比較例2および3と同じ配合比率の防風通聖散を用いた。動物1キロあたりの投与量を1/10倍し、成人男性(60kg)に換算した量を、ヒトへの1日投与量とした。 被験者はウェスト周りが85cm以上の男性とし、それぞれ6名ずつに防風通聖散を1ヶ月間、1日3回にわけて食前または食間に服用させた。服用前と服用1ヶ月後にCT装置による内臓脂肪および皮下脂肪の測定をおこない評価した。結果を下記表5に示す。 表5より、実施例12および13は服用前後において、内臓脂肪に20%以上の減少が見られたが、比較例10および11では顕著な変化は認められなかった。このことから、動物実験の結果(実施例2、3と比較例2、3の結果)と同様に、ヒトにおいても(A)成分の投与量が2.5mg/day/60kg以上、且つ(A)成分1重量部に対する(B)成分の配合比率が4重量部以上である場合に、内臓脂肪に対して効果があること、特に内臓脂肪の減少効果が得られることが示された。 以下に処方例を示すが、本発明はこれらに限定されない。下記処方例1〜12に記載の処方に従って常法により錠剤を製した。処方例(A)エフェドリン類、ならびに(B)グリチルリチン酸を含有し、(A)成分1重量部に対して(B)成分が4重量部以上であり、かつ成人1日あたりの(A)成分の投与量が2.5〜9mgになるように製剤されてなる、体内脂肪の蓄積抑制および/または低減用医薬組成物。前記体内脂肪の蓄積抑制および/または低減が、内臓脂肪の蓄積抑制、内臓脂肪の減少および血清中の中性脂肪の減少からなる群より選択される少なくともいずれか1種である請求項1に記載の医薬組成物。(A)エフェドリン類、ならびに(B)グリチルリチン酸を含有し、(A)成分1重量部に対して(B)成分が4重量部以上であり、かつ成人1日あたりの(A)成分の投与量が2.5〜9mgになるように製剤されてなる、内臓脂肪の蓄積抑制および/または減少のための防風通聖散。 【課題】体内脂肪の蓄積抑制および/または低減に対して優れた効果を有する医薬組成物を提供する。【解決手段】(A)エフェドリン類、ならびに(B)グリチルリチン酸を含有し、(A)成分1重量部に対して(B)成分が4重量部以上であり、かつ成人1日あたりの(A)成分総量の投与量が2.5〜9mgになるように製剤されてなる、体内脂肪の蓄積抑制および/または低減用医薬組成物。【選択図】なし